ポケモン小説wiki
忠義

/忠義

忠義 

writer――――カゲフミ

「ねえ、ナイラ。ナイラってば」
 私を呼ぶトレーナーの声が聞こえる。聞こえてはいるし、どうして私の名前を呼んでいるのか大体察しはつくのだけれど。
あえて目を閉じたまま聞こえないふりをしていると、背中と首の境目辺りに手を当てられて軽く揺さぶられる。仕方ない。
今起きました感をものすごく出しながら立ち上がると、私はわざとらしく伸びをして細めていた目を開いた。
「なあに?」
「部屋の入口で寝ないでよ。出られないじゃないか」
「……私は今日はここの気分なの。あなたが避けなさいな」
 ふわあ、と小さくあくびをしてから私は再び彼の部屋の入り口で寝っ転がる。正直なところ、別にどこで寝ようが寝心地は大して変わらない。
私の反抗的な態度に対して、トレーナーの彼がどう出るか打診するための行動だった。本来、ポケモンとトレーナーがあるべき姿ならばわがままを言うなと叱る場面。
そんな彼は何か言いたげに口を開こうとしたが、結局言葉が出てこずに言い淀んでしまう。俯いてしまったトレーナーの第一声は。
「そう……だね。分かったよ」
 通りづらそうにして部屋から出ていく彼の背中は何とも寂しそうであった。片目を開けてひっそり様子を窺っていた私はため息をつく。
相変わらず押しが弱すぎる。優しいトレーナーなのは大いに結構。でも。手持ちのポケモンの顔色ばかり気にしていて、情けないったら。
こんな調子では私が望んでいるトレーナー像からは程遠かった。私にもプライドはある。私を従えたいのなら、もっとしっかりしてもらわないとねえ。

  ◇

 私はポケモン交換で今のトレーナーの元にやってきた。前の御主人もそりゃあ良いところも悪いところもあったのだけれど。今の御主人は、正直言うと頼りがいがない。
誰かと交換したポケモンはどういう原理なのか分からないけれど成長が少し早くなるらしく、私もここへ来てからからそれほど経たずにグラエナへと進化を迎えることが出来た。
だからなのだろうか、ポチエナのときには気にならなかったトレーナーの気弱な立ち振る舞いが、やたらと目に付くようになってきたのは。
トレーナーが手持ちのポケモンにびびっていてどうするのよという話である。だから私はもっとしっかりしなさいなと態度で示してやっていたのだ。
呼んでも返事をしない。モンスターボールに戻そうとすると避ける。他の手持ちポケモンから離れて単独行動するなど、私の反抗は日常茶飯事だった。
ただ、今回ばかりはバトルのときに威力控えめの技の指示を無視して、相手のポケモンをぼこぼこにしてしまったのでトレーナーはいるいつになく怒っていた。
手加減なんてしたら対戦相手に失礼だし、ポケモンバトルは命のやり取りをしてるわけじゃない。私は私の判断で気を利かせてやったくらいのつもりだった。
でも、彼がここまで怒りをあらわにするなんて珍しい。思っていたほど怖くはないけど。やりすぎだ、そこまでしなくてもよかっただろう、とうっとおしい。
「何で僕の言うこと聞いてくれないんだよ、僕が君に何かした?」
「……別に」
 何かした、というよりはやってほしいことをしていなかった部分がたくさんある。ただ、ちゃんと説明するのはとても面倒くさいのでそのままはぐらかそうとした。
トレーナーの部屋から立ち去ろうとしてむぎゅっと尻尾を掴まれる。そこはあんまり乱暴に触らないでほしいんだけど。どうもこの雰囲気だと逃がしてくれそうにない。
「そりゃ……頼りないかもしれないけど僕は君のトレーナーなんだよ。バトルのときくらい指示に従ってくれてもいいじゃないか」
「だめね。私を従えたいならもっとしっかりしてもらわないと」
「しっかりって、漠然としすぎてるよ。具体的にはどうすりゃいいのさ」
「そうねえ……」
 珍しく食い下がってくるじゃないの。よっぽど私の態度が不服だったと見える。だけど直接あなたにこうしてほしい、と伝えるのは何か癪なのよね。
相手が気が付くまであえて黙っておくスタイル。我ながら意地悪だとは思うけど、まあ私は悪タイプだし、ね。私はじっくりとトレーナーの頭から足先まで品定めするように眺めてみる。
一般的な少年トレーナーよりは少しばかり年長、といったくらいか。私から見ればまだまだ子供ではあるのだが。これといって大きな特徴があるわけでもない、平均的な体つきではあると思う。
そういえば、彼にはまだだったっけか。あんまり期待はしていなけど、さすがにこう言えば引き下がるかしら。
「それじゃあ、私に男気ってやつを見せてもらえる?」
「男気?」
「ええ、男気よ」
 そう言って私はトレーナーのズボンの上から股間の部分に鼻先を当ててつんつんする。ふにゃりとした柔らかい感触とちょっとした彼の体臭が鼻孔を通じて伝わってきた。
ふんふん。この感じだとちゃんとお風呂では洗っているらしい。トレーナーは慌てて後ろへ下がると服の上から股間に手を当てて守ろうとする。初々しい反応だ。
「な、なにするんだよ!」
「あなたも男なら付いてるんでしょ。ちゃんとした雄だって私に証明してごらんなさいな」
 別段人間の雄にものすごく興味がある、というわけではない。七割くらいは彼への嫌がらせで残りの三割は好奇心である。
トレーナーの手持ちの雄は、私が進化してからそこそこのタイミングで頂いてしまった。想像以上に手ごたえが無くてつまらなかったというのが正直な感想。
貧弱な雄ポケモンたちのトレーナーである彼もどうせ、という感じであまり期待はしていないが。そもそも見せる度胸すらないのかしら、と私が挑発を交えてやると。
「う……ぼ、僕のこと馬鹿にしてるだろ」
「さあ、どうかしら」
 その表現はやや語弊がある。一応私は彼のことを自分のトレーナーであるとは認識しているので、馬鹿にしているつもりはない。
ただ、言うことを聞くべきかどうかは私自身が判断するまでのことだ。この態度を馬鹿にしていると取られてしまえばそれまでなのだが。
「わ、分かったよ。見せればいいんだろ、見せれば」
 くすくすと余裕たっぷりに笑う私にさすがに腹が立ったのか、意外にも彼は履いていたズボンに手を掛けて一呼吸置いた後ずらしてくれた。ぱさりと布が床に落ちる音。
へえ。これが人間のもの。ポケモンのそれとは形が違う。ふにゃふにゃとした細長いものがだらりと下を向いてぶら下がっている。根元には僅かばかりの毛が生えていた。
トレーナーと同じく何だかずいぶんと頼りなさげな印象だが、今の状態のままだと私としても評価を下せないのである。
「な、何とか言ってよ」
「んー、まだ完全じゃないでしょ?」
 いざ露わになった肉棒を前にして私があまりにも無反応だったせいか、痺れを切らしたトレーナーから声が掛かる。
見せるように指示しておきながら無言というのは勝手が過ぎたかもしれない。私の無茶な態度にそこまで怒らないのはトレーナーの長所なのか短所なのか。
「どうせ私に見せるなら、大きくして見せてほしいわね」
「大きく……って言われても。気合いで何とかなるものでもないってば」
 まあ、それもそうか。私が見つめるだけでむくむくと大きくされたらそれはそれで私のトレーナーへの評価が二転三転することになる。
あいにく彼には私に見られて興奮する嗜好はお持ちでないというわけだ。だけど、直接ならどうかしら。私は無防備にさらけ出されたトレーナーのそれをぱくりと咥え込んだ。
「ひっ、な、ナイラ……何をっ」
 せっかく度胸を示してくれてるんなら、もっと男気を見せてもらわないと。鼻先が長めに突き出したグラエナの口は細長いものを咥えるのに適した形。
ちょうど私の口の中の半分程で収まったトレーナーのペニスを舌の上で転がすかのようにくりくりと弄んでやる。少しざらついた私の舌は程よい刺激になるんじゃないかしら。
「ちょ、や、やめっ……あっ」
 ポケモンの雌が相手ともいえど敏感な個所だ。愛撫されれば感じてしまうのは雄ならば共通らしい。柔らかかったトレーナーのそれも次第に強度が増してくる。
本気で嫌ならば私の頭を押しのければよいだけのこと。彼の両手は私の頭に添えられてはいるものの、ただ置かれているだけで全く力は籠っていない。
きっと、初めてペニスを舐められる感覚と心地よさに戸惑っているのだろう。まるでトレーナーが私を抑えつけて無理やりしゃぶらせているような構図だった。
大分本調子になってきたと思われる頃合いを見て、私は彼の肉棒を口から解放してやった。元気が無さそうに俯いていたときとは打って変わって、ぴんと上の方を指している。
最初の状態からすれば、なかなかの膨張率。想像していたよりは立派な気がする。人間の雄のものだとしても、私も一匹の雌としてそそられるものが多少なりともあった。
「へえ……悪くはなさそうね」
「はぁ、き、気が済んだ?」
 荒くなった息を零しながら、強引な私に対して文句の一つや二つでも言いたげな表情のトレーナー。
ただ、ぺろぺろしていたときの後半は時折彼の口元からくぐもった声が聞こえてきていたから満更でもなかったんじゃないかしら。
「何言ってるの。これからが本番なんだから」
「わっ」
 後ろ足で立ち上がった私はトレーナーの肩の辺りに前足を掛けて軽く力を込める。そのままあっさりと尻もちを付いてくれたので、あとは早かった。
勢いに任せてさらに前足を突き出してトレーナーを仰向けに寝転がらせる。軽く床に頭をぶつけたらしく、あいたっという声が聞こえた。これでも手加減したつもりだ。
「あなたの男気がどんなものなのか、確かめてあげる」
「ちょ、待っ……んあっ」
 むくむくと頭をもたげたままのトレーナーの雄の位置を確認しつつ、私は自分の雌をあてがうとゆっくりと腰を沈めていく。
彼の手持ちの雄たちで実践済みなのでこの動作にも慣れたものだった。私が股を広げて仰向けになってみても、トレーナーには攻め込む嗜好も度胸ないはず。
ならば私が彼を押し倒した方が手っ取り早いのだ。私は全く慣らしていないので最初は慎重に。それでも先端部分を飲み込んでしまうくらいの滑りはあった。
僅かながらとはいえ、私の股も濡れていたらしい。種族を問わずに、雄の象徴を愛撫するという行為にどうやら私は興奮を覚えるようだ。新しい発見だった。
「んっ、ぐうぅ」
「もうばてた、何て言わないでよね」
「だ、誰が……っ」
 私を睨みつけるような反抗的な目つき。へえ。耐えてやろうという気概は持ち合わせているらしい。あんな顔のトレーナー、初めて見たような気がする。
多少なりともそそられる、いい表情。それならもっと楽しませてもらわないと。私はずぶずぶと順調に腰を沈めていく。だいたいこれで彼の大部分は入ってしまったかな。
確認も含めて結合部にちらりと視線を送って、思わず目を疑ってしまう。私が想像していたよりも遥かに、トレーナーのそれはゆとりを残していたのだから。
ん。これでまだ半分、えっ。私の感覚としてはもう、あんまり奥まで余裕がない。今は良くても、これ以上進めようとするとたぶん、危なくなってくる。
確かにトレーナーの一物は、これまで相手にしてきた雄ポケモンよりも一回りくらいは大きいように感じていたけれど。
長さも太さも規格外というわけでもなかったし、何とかなるだろうとたかをくくっていた部分はあった。実際中に入れてみると、こんなにも違うものなのか。
動きを止めてしまった私を見上げるトレーナーの顔に、一瞬怪訝そうな表情が混じったように見えた。どうやら彼はまだまだ余裕、ということらしい。
私からトレーナーの中へ土足で踏み込んでしまった以上、もう後には引けない。いきなりペースを落としたりしたら怪しまれるだろうし、これまでの流れで行くしかなかった。
半分から先へ。最初みたいにぐいぐいと押し込んでしまうと、私の方が先に危なくなってしまう。これでは何のためにトレーナーを押し倒したのかが分からない。
圧倒的な力の差を見せつけて、私を従えるなんてまだまだ先の話ね、なんて台詞を突きつけてやるつもりだったのに。逆に私の方が非情な現実を突きつけられている。
ずるずると肉同士が擦れ合う音。進みは明らかに悪くなっていた。手持ちポケモン達とのまぐわいでは触れられなかった奥の方まで撫でられている感覚がある。
ふいに、下半身にぞくっとしたものが走り四肢の踏ん張りが緩んでしまう。私が上、というのが余計に良くなかった。力が抜ければ彼の一物をより深く導いてしまうことに。
「んうっ」
 堪えきれずに甘い声を漏らしてしまう。はっと目を開いて、しまったと思ったときにはもう遅い。眼下のトレーナーが何かに気が付いたようにはっとする。
だめ、気が付かないで。私に余裕がなくなってるなんてそんなことは。続いて、にやりとほくそ笑んだトレーナー。その笑いは、彼のこれからの反撃を意味していた。
悪タイプの私からしても、薄ら寒さを覚えてしまうような残酷な笑みだ。トレーナーのこんな表情を目の当たりにしたのはこれが初めてのことだった。
「ひゃうっ!」
 トレーナーから背中に腕を回されて、肉棒をさらにぐいっと奥へ押し込まれる。もう、込み上げてくる声を抑えることなど出来ない。
なんとか踏みとどまれていたのも、彼がじっとしてくれている前提があったから。私の虚勢がばれて、動かれてしまったらもうどうしようもなかった。
私がいっぱいいっぱいで、トレーナーに自分の方が優位だと認識されてしまえばあとは何も抵抗ができない。でも、頼りない彼のことだしそんなにめちゃくちゃにされたりは。
「いつもっ、わがままばかり言って!」
「んひぃっ!」
 あっ、これは完全に怒らせてしまっている。ほどほどで済ませてくれたらいいな、なんて私の淡い希望は完全に打ち砕かれてしまった。
腰を突き上げられるようにして、奥までペニスを打ち込まれて。トレーナーが動くたびに視界が揺らいで頭がぼうっとしてきた。彼がどんな表情で腰を振っているのか分からない。
珍しく声を荒げていることくらいは認識できた。トレーナーの腰の力で私の体は完全に浮いてしまっている。繋がっている肉棒に私の全体重が掛かり、さらに深々と突き刺さって。
「僕はっ、君のトレーナーなんだぞっ、思い知れっ!」
 気遣いもなにもあったもんじゃない、がむしゃらに腰を突き上げてくるトレーナーに。私の膣内は容赦なくかき乱されていく。
半ば強引に彼をいただいてしまおうとした私が手心を求めるのもおかしな話だが。おそらく大して経験の無さそうなトレーナーだ。
行為に関してはきっと手探り状態でおっかなびっくりなはず、なのだが。ここへきて度胸を発揮したのか。相手が私、というのもあるのだろうけど何も遠慮がなかった。
口元が緩むのを、舌がだらりと飛び出すのを抑えていられない。ああ、私が、彼に。彼の立派な男気にぐりぐりと塗りつぶされて。
もう、もうだめだ。完全にトレーナーを甘く見ていた。私が、私が悪うございました。
「あっ、ごっ、ごめんな、ひゃいいっ!!」
 ひくひくと痙攣しながら私は果てた。腰が勝手に動いてしまう。秘所から透明な液体がじゅわじゅわと染み出して、彼の下腹部を伝って床にまで大きな染みをつくっていく。
これは、これはすごい。頭の中が真っ白だった。彼のどの手持ちポケモンも、私をこんなにもかき乱したりは出来なかった。それが出来たのは、トレーナーだけ。
「うっ、ぐっ……」
 くぐもった声。やや遅れてトレーナーの分が来たようだ。私が激しく動いていたせいで、結合部が緩んでいたのか中に出たのと外へ漏れ出したのが半分ずつくらいだった。
それでも、私の中でとくんとくんと脈打つトレーナーのものはしっかりと感じることが出来ていた。生暖かい感触だったが、不思議と悪くない。これはきっと私が行為に満足してしまったからか。
絶頂を迎えた後の余波も落ち着いてきて、ある程度冷静になってくるとどんな言葉を発すればよいのかが分からない。私の方から仕掛けておきながら返り討ち。
トレーナーも果ててこそいたけれど、私ほど激しく乱れてはいなかったような気がする。前後不覚になるくらいに情緒をかき回されてしまったのは、私。
「……ご、ごめん。大丈夫?」
 やめてやめて。私の心配なんかしないで。今更になっての気遣いなら手遅れだし、それに大丈夫じゃない。もちろん彼を責めるつもりはなかったし、私にそんな資格はない。
理想のトレーナーを求めようとするわがままで彼を困らせている私でも、この場面でトレーナーにひどいなんて言うことはさすがに出来なかった。
根本的に悪いのは完全に私だというのに、優しいのかあるいは人が良すぎるのか。一瞬見せた度胸は本当に一瞬のものでやっぱりトレーナーはトレーナーか。
「謝らないでよ。余計惨めになっちゃう」
「……ごめん」
 結局謝るトレーナー。私は思わず吹き出してしまった。本当に頼りないな。でも。ちゃんと男気のようなものは持ち合わせていることが今回の件で分かった。
これからは少しくらいは、彼の言うことを聞いてあげてもいいかもしれない。私をめちゃくちゃになるまで弄んでくれた、初めての雄なんだから、ね。

 おしまい


・あとがき
 言うことを聞かない生意気なグラエナがトレーナーに分からされる話
 あんまりストーリーがない官能作品として楽しんで書けたように思います
 たまには小説で薄い本的な流れも良いものです

【原稿用紙(20×20行)】20.4(枚)
【総文字数】6924(字)
【行数】138(行)
【台詞:地の文】11:88(%)|765:6159(字)
【漢字:かな:カナ:他】31:65:4:-1(%)|2202:4504:308:-90(字)

読んでくださった方々、ありがとうございました。


何かあればお気軽にどうぞ

コメントはありません。 忠義のコメントログ ?

お名前:

トップページ   編集 凍結 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2022-04-19 (火) 20:08:33
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.