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守護の力 十三、十四話

/守護の力 十三、十四話

written by cotton



十三, 翼と氷 ~past~


ー忘れもしない。守護者になる前のあの日を。新たな自分の姿を手に入れたあの日を。そして、"氷石"に傷が刻まれたあの日を。



「ディフ~!」
駆けてゆく先には彼がいる。明け方の淡い光の中の銀は、仕草毎に強い輝きを放つ。
「お、来た来た。準備はできたか?」
「もちろん、万端よ」
心から待ち望んでいた今日の時。今のイーブイの体に別れを告ぐ日。
「で、行き先は決めたのか?」
「ええ、一応。まだ教えないけどね」
「…ああ、楽しみにしておくよ」
朝の心地よい風が流れる。彼の羽根をそっと撫で、森の奥に吹き込んでゆく。チラチラと、鮮やかな光が眩しかった。



彼の背中からは、銀の冷たさと、生きているという温かさを感じた。
「しっかり掴まってろよッ…!」
上空へ向けて羽撃く。地面から土と砂が舞い上がった。
いつも見ているだけの雲が少しずつ拡大されて見えてきた。彼は羽撃くのをやめ、滑空を始めた。
「涼しい風…。やっぱり気持ちいいね、空の空気って」
「今日のは随分といい気流だ…。最高の気分だ」
適度にバランスをとりながら風の中を滑ってゆく。
「…で、どこに行けばいいんだ?」
「ん?…ああ、そうだった」
何日も前から決めていた。何日も前からなりたかった。
指さす先にあるその場所。創造の森の向こう。
「リース山脈?ってことは、…グレイシアか?」
「正解。ここからじゃだいぶ遠い?」
「いや、それほどでもないが…」
その中にある巨大な岩。それには氷の力、つまり、グレイシアになるための力が込められているという。
このような岩は世界のあちこちにある。イーブイ達はそれらの岩を訪れることで、望む姿になることができるのだ。
「いいんじゃねえか?お前にピッタリだと思う」
振り向き、彼が了解の合図のつもりなのか、ゆっくりと頷いた。そっと微笑み、また前を向く。
グレイシアを選んだのは、どこか彼に憧れている点もあったからだと思う。エレガントな身のこなし、光の中で美しく輝く彼の体、…挙げてゆくとキリが無い。
楽しみで胸が弾む。気付けば、胸の鼓動ははっきりと伝わってくる。
目の前に広がるパノラマ。見下ろせば深緑の森。見上げれば小さな雲が漂う蒼空。
そして、その先に見える純白の霧。
ー見えてきた。太陽の黄金色に煌めく頂。



十四



気になった点などあれば。

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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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