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季節

/季節

作者:想夏 ?


――春

これまでの出来事、昔の自分――
『過去』に想いを馳せる季節であり、

これからの出来事、将来の自分――
『未来』に想いを馳せる季節であり、

『今』を切り替えるのにふさわしい季節。





3月20日、春分の日。
昔を思い出すことになったきっかけは俺の主人の一言だった。
「よし、新年度を気持ちよく迎えるために大掃除するか」
普通、大掃除は新年を迎える時にやるもんだが……。
でも今突っ込んだら、主人は一生自分から掃除をしないに決まってる。滅多に掃除をしない主人がやるといったんだ。付き合うしかないか。
ということで、2人で協力をして隅々まで掃除をした。普段では気づかないテレビの裏や部屋の隅、棚の下も念入りに行なう。
でも、やはりというかなんというか……、主人は普段は掃除などしないので要領がとても悪かった。
主人は新しい場所を掃除するたびに掃除のやり方を聞いてきたり、掃除をした所はむらが出来ていた。
俺がいなかったら、この家はきっとごみで溢れかえっていたことだろう。
主人にはもっとしっかりして欲しかった。
そのだらしなさで主人には恋愛の面では春の訪れがやってこないのだろうと勝手に推測する。
主人には優しい性格だから、少しぐらいはそのような話が出てきてもいいはずなのだが。
主人の感情を読みとっても、心地よい感情で占めている事が多いのに。優しい気持ちで満たされているのに。
でも、いつもだらしないからなぁ……。
大体の場所を掃除し終え、最後に個人の部屋を掃除する事にした。
主人の優しさの表れで、「お前は俺の家族だろ?」と言ってくれ、俺専用の部屋を与えてくれたのだ。
せっかく与えてくれたのに、だらしなく使うのは気が引けるので、いつも整頓して片付いているからすぐに終わると思うけど。
それでも、やはり少しごみが残ってしまっている所はあるようだ。
隣ではものすごい騒音が聞こえている。なにか物が壊れているような音さえしている。気のせいか、ここまで異臭が漂ってきているような……。
どうやらこの後主人の部屋の手伝いもしなければならないようだ。
細かいところを掃除したところで、主人が撮ってくれた写真など、俺の思い出の数々をしまったダンボールを久しぶりに整理することにした。
大体のダンボールの中身を取り出すと、ダンボールの底に一通の手紙がしまってあった。
「これは……」
途切れ途切れしか覚えていなかった記憶が一気に繋がり、懐かしい思い出が一気に蘇ってきた。
この手紙は……初恋だったあの子からもらった手紙。
記憶と共に蘇ってきた初恋の頃のあの感情。ちょっと酸っぱくて、ちょっぴり甘く、ほろ苦い想い。
「シキー、ちょっと手伝って……懐かしいなその手紙」
主人も覚えていたらしい。
「あぁ、本当に懐かしいよ」
できればあの頃に戻ってもう一度……。
「そういえばあの頃の話、詳しく聞いたことがなかったな。シキ、今聞かせてくれないか」
このままだと掃除を日が落ちる頃までに終わらせることはできないな。と思いながらも俺は過去の記憶に思いを馳せながら、主人に語ることにした。




「シキー、着いたよ」
まだ主人がご両親と一緒に暮らしていた時の事だ。俺は主人のお父様の転勤によってこの町に越してきたのだった。
田舎くさい。
この町にまず来てみての感想はその一言しか浮かばなかった。
この町は都会から少し外れていた。だから、木はたくさん生えていて、マンションとか高層ビルはなく、一軒家ばかりだった。
もちろん、近くには主人といつも一緒に行っていた、スポーツセンターもなく、デパートもない。
田舎とは不便なだけだと思っていた。
「そうだシキ、せっかくだからこの辺を見て回ってきなよ。家の片付けはまだかかるからさ」
主人に言われるまま、俺はあたりをぶらぶら散歩をすることにした。
本当に面白そうなところは何一つなかった。ただ木や草、田んぼがそこら中にあるだけだった。
俺は知らずのうちにその単調な景色に退屈し、顔を俯かせながら、ただ、ただ、前に住んでいたところよりも舗装されていない道を歩き続けた。
俺はこれからのここでの暮らしが楽しくはないんじゃないかと思い始めていた。これまでの景色の単調さや、遊べる施設が少ない事もあるが、聞くところによると、ここには野生のポケモンがたくさん生息していると聞くし、夜は暗すぎて前よりも遊べなさそうだし。
そんな事を思い浮かべていたら、俺はいつの間にか丘を上っていた。風景が徐々に変わってきている事さえ気づいていなかった。
いきなり自分の視界の中に何か小さな白い色が舞い落ちた。
「雪?」
この春の季節に雪は降らないだろうと思いながらも、白く、ふわふわとしたそれは幼い自分には雪としか映らなかった。
雪をもっと見ようと顔をふとあげてみると、目の前の光景に衝撃を受けた。
今でもその景色はあまりにも印象が強すぎて忘れられない。
「綺麗……」
思わず口から感嘆の声が漏れ出した。先ほどまでの景色にはなかった白、ピンクの淡い花。それが木に誇らしげに咲いており、木から降りてくる花びらが空気中に浮いている。そして、その木の側でまるで春を謳歌するかのように花びらの舞でキレイハナとチェリムが下から噴水の水のように花びらを吹き上げる。
そして吹き上げられた花は風に揺られて最終的には今日から住む事になった町へ流れていく。
この町に明るい希望を運んでいるかのように。
その光景はさっきまでの町の印象をがらりと変えてしまう。ここに住みたいと、さっきまでは思っていないことを考えていた。
俺は暫く時間を忘れてその景色に見とれていた。
「あれ、ラルトスなんて珍しいね。何でここにいるの?」
突然後ろから声をかけられた。俺は驚きながら後ろを振り返ってみると……。
誰もいない。
あたりをきょろきょろ見回してみても、その声の主は見つからなかった。俺は幻聴を聞いたのかと思った。
「ははっ。こっちよこっち」
またさっきの声が聞こえた。声を頼りにその場所を探り、上を見上げてみると――
その淡い花の色とは対照的に、風に揺られ、紫が混じったような黒の体。赤と黒で彩られた少し大きな目。赤の数珠のような首飾り。少し小さな口で笑う初めて見る種族のポケモンが花びらの中心にいた。
「ははは。びっくりした?」
「き、君は?」
「わたし? わたしはムウマのムビ。そっちこそ見かけない顔だけど誰?」
「ぼくは今日からここに住む事になったシキ。よろしくねムビちゃん」
「うん。よろしくね、シキ」
初めてのポケモンにいきなり呼び捨てで呼ばれた事に俺はそのとき驚いた。今の俺は初対面で呼び捨てで呼ばれることに慣れたのだが、このときの俺の時点では主人以外で呼び捨てで呼ばれたのはムビが初めてだったのだ。
「シキ、この花綺麗だと思わない?」
「うん。こんなに綺麗なのは初めてだよ。名前はなんていうの?」
「『サクラ』っていうんだって。わたしのトレーナーに聞いたんだ」
「へぇ、サクラかぁ」
「うん。この少しの時期にしか咲かないんだって。だからわたしは毎日見に来てるんだ」
彼女が笑った。俺はその笑顔がたまらなく好きになった。今でもムビの笑顔は忘れられず、桜の景色よりもとても印象に残っていて、ずっと見ていたかった。
「へぇ、じゃあぼくもまたここに来ようかな」
「うん。一緒に見よう。2人で見た方が楽しいもん」
この時から俺は彼女に初恋の感情を抱いてたのかもしれない。だって、またあの場所へ行きたい理由は桜を見に行くよりも……ムビの笑顔がまた見たかったからなのだ。
俺たちはこの後も俺がその頃の町に来るまでいた町の話を話したり、、ムビから町の様子やポケモンの話を聞いたりして楽しいときを過ごした。




「あぁ、だからあんなに嬉しそうな顔をして帰ってきたのか」
「……そんなに嬉しそうだったのか」
どうやらご主人が言うには、あの町に来た時の憂鬱そうな顔から一変して、にやけているような顔をして帰ってきていたらしい。
確かにムビに会えて嬉しかったには嬉しかったのだが、そこまで表情に表れていたのだろうか、……表れていたかもしれない。
気分は春爛漫ってところだったし。
「それにしても引っ越して早々ムビちゃんと出会っていたとは……。よほどお前とムビちゃんは赤い糸で結ばれていたのかもな」
「そんなに茶化すなよ。それより俺はお前の事が心配だよ。彼女は今まで出来た事あるのか?」
主人はこのまま俺と、雄と男だけっていうむさ苦しい生活を続けるつもりなのか?
「俺のことはいいからさ。ほかにも良い思い出、いっぱいあるんだろ? 聞かせろよ」
はぐらかされてしまった。主人の先行きが本当に不安になってしまう。
「慌てるなって。今からちゃんと聞かせるから」
とりあえず今は思い出話に話を咲かせる事にした。




ムビと出会ったあの桜の木も花が散り、若々しくとてもいきいきした葉が陽の光を浴び始めるようになった季節。
テッカニンが空を飛んでいるのをよく見かけるようになった。
ムビとはいつも桜の木の下で待ち合わせ、仲良く2人で遊んでいた。追いかけっこでは負けず嫌いだったムビはいつも空中に逃げて俺に捕まえられないようにしていたり、知らないポケモンの説明をムビにしてもらって、ムビに「そんな事も分からないの?」と馬鹿にされたり……。
でも、ムビと一緒にいる時間は本当に楽しく、相変わらずムビの笑顔は可愛く印象的だった。
季節が変わるうちに、ムビだけではなく、俺は他のここに住んでいるポケモンのビッパ、コリンク、ブイゼルとも仲よくなり、彼らとも楽しい日々を送っていた。
ただ……俺がいつも他のポケモンと遊んでいる間、ムビは何故か一緒に遊ばなかった。
いつも疑問に思っていた。ムビにそれを聞くと微かに笑いながら、用事があったからといつも本当の事を俺に喋ってくれない。そのとき俺は『悲しい』という感情をムビから感じ取っていた。
そのころ、俺はまだ未熟で、不安、落胆、軽蔑などの負の感情を、『悲しい』としか受け取れなく、逆に、愛情、安心、信頼などの感情は『楽しい』としてしか受け取れなかった。
いつもムビには『楽しい』という感情を持って欲しいのに。もっと明るい笑顔を浮かべて欲しかった。そんなときのムビの表情を見るのは辛かったのを覚えている。
だからその頃はムビが明るくなる方法をずっと考えていた。明るくなってくれれば、他のポケモンとも仲良くなってくれるだろうと信じて。
いくらか試してみたのだ。主人のお母様から聞いたことを参考にして、綺麗な花を摘んでムビにプレゼントしてみたり、前に他のポケモンたちと遊んで楽しかった場所に連れてって一緒に遊んだり……。
でも、そのときは明るい感情をキャッチしても何日か経つとまた暗い感情に変わってしまった。
そんなムビを明るい感情でいっぱいにする方法を考えているある日、
「母ちゃーん。夏祭り友達と遊びに行っていいか?」
「いいわよ。遊びに行ってらっしゃい」
その日は夏祭りで、主人が友達と遊びに行く日だった。
俺も連れて行って欲しいなと思いながら、突然ひらめいた。
夏祭りでムビを誘って、他のポケモンとも一緒に遊べばいいと。
始めからそれを考えるべきだったと思った。俺から他のポケモンとも一緒に遊ぼうと誘えば着いてきてくれたのかもしれないと。
早速俺はムビがいつもいる、桜の木の下に行った。
ムビはいつものように……いた。
「おーい。ムビちゃーん」
「あれ、シキ。今日は他のポケモンたちと遊びに行かなくていいの?」
「うん。そのことだけど、今日は他のポケモンたちと一緒に夏祭りに行かない?」
俺はこの当時は本当に馬鹿だった。少し考えればムビが『悲しい』感情を抱いている理由が他のポケモンと遊べないことが起因しているかもしれないと分かるはずなのに。
もっとムビのことをたくさん知ろうなんて思ってもいなかった。ただ、一緒にいるだけでいい。明るいムビがいてくれればいいなんて思っていた。
そんな考えが余計にムビを苦しめていたなんて思わずに……。
「……ごめん。他のポケモンがいるなら、わたし行けない」
「えっどうして?」
「どうしてもなの。とにかく行けないの」
……いつもよりも強い『悲しい』感情だった。今まででこんな感情は受け取った事がなかった。
とにかく明るくなって欲しい……。ただ、ただ、それだけなのに。俺は呆然とその場に立ちつくしていた。
しばらく、何も考えられなくなりそうな頭で、何とか振り絞って考えた。
そして出た答えは……
「じゃあ、2人で一緒に遊びにいこう」
ムビはきょとんとした顔で俺を見てきた。
「え……わたしと一緒に遊びに行くの?」
「当たり前だよ。ムビちゃんと一緒じゃなきゃ楽しくないよ」
「で、でも」
「いいから。そうと決まったら早く行こう」
俺は無理やりムビの手を掴んで、夏祭りに向かった。
そのとき、ムビの感情は『楽しい』と『悲しい』の両方が混ざっており、時間が経つにつれてどちらもさらに大きくなっていた。
俺たちは様々な人やポケモンたちが行き交う中で、ポケモンが食べれるような食べ物を食べたり、射的をしたりして遊んだ。
少し気になったのは、すれ違う人たちの俺達に向ける冷たい視線や『悲しい』感情。俺たちは何もしていないのに、その視線や感情を感じ続けた。
いよいよ夏祭りも終わりに近づいてきた頃、いつも遊んでいたポケモンたちに会った。冷たい視線こそ浴びなかったものの、俺たちに対して、『悲しい』感情をぶつけ、俺たちと目線を合わせないようにそのまま歩いて行ってしまった。
このとき、俺が少しでもデリカシーがあったなら、ムビに聞かなかったはずだが、ムビに対してそのまま聞いてしまった。
「さっきから思ってたんだけど、どうしてまわりはぼくたちから逃げたり、冷たい視線を送るかわかる?」
その質問を聞いた途端、ムビの顔が急に強張り、『悲しい』感情が一気に湧き出した。
「ぼくたちじゃない……わたしだけになの」
「どういうこと?」
「本当はシキには知って欲しくなかった。でも……もうしょうがないよね」
ムビは……ポツポツと涙を流していた。そして、語ってくれた。
「わたしたちムウマはね、驚かせることが大好きなの。その驚いた時の相手のどきどき感が大好きだった。周りにかまってもらえてるって感覚が好きなの。だから、わたしのおばあちゃんのころよりももっと昔から、近くに来たたくさんのポケモンや人をたくさん驚かしていたらしいの。でも、でも……驚かすたびに、だんだんとわたしたちは嫌われていって、ムウマだっていうことだけで嫌われるようになったらしいの。それがわたしが生まれるずっと昔から続いていて……だから、わたしといるとシキも嫌われちゃうから、わたしとはもう関わらないほうがいいよ」
よくムビは耐えていたと思う。生まれたときから嫌われ、誰とも接する事が出来なかったのだろう。ムウマである以前にムビはムビなのに……。
ムビは何もやってないのに嫌われた。ムビといると嫌われる。そのときの俺はその話をあまり理解できていなかったが、とりあえずムビに言いたかった事は、
「嫌だ。ぼくはムビちゃんとずっと一緒にいる」
俺はムビと一緒にいるときが一番楽しかった。ムビの隣が一番心地よかった。
「でも、わたしといると、嫌な思いをずっと受け続けなきゃいけないよ? わたし、シキが一緒にその感情を受けるの、耐えられないよ……。シキはわたしに対して違う態度をとってくれた大切な初めての友達だから」
「ぼくだってムビちゃんは大切な友達だよ。だから、困っている時は一緒に悩んだりしたい。……周りが近寄らなくたってぼくはずっとムビちゃんの側にいるから! ムビちゃんを護るから!」
……いまさらになって思うけど、かなり恥ずかしい事を言ったなと思う。まだ子供だろって思うだろうが、あのときは本当にムビのことを思っていた。まだ好きだとかそういう感情に気づいていなかったけど、やっぱりムビのことが好きだったんだなと思う。
「ばか……わたしなんかといたって楽しいことなんて少ないのに」
「ううん。ムビちゃんといる時が一番楽しいよ」
まずは知り合いのポケモンたちにムビのいいところを教えてあげて、ムビも一緒に友達になってもらおうと思っていた。
ムビの涙がやっと止まった時、突然空から大きな音が聞こえた。
見上げてみると、暗い空に一面の大きな花が咲いていた。
「ムビちゃん見てみて、綺麗な花が咲いてるよ」
「もしかして知らないの? あれは『ハナビ』っていうの。シキって本当、何も知らないんだね」
少し涙を浮かべながらも、ムビはいつもの笑顔に戻ってくれた。
「ちょっと、ぼくだって知ってることはいっぱいあるよ」
「ははっ。……今日はありがとう」
「え? なんていったのか聞こえないよ」
「なんでもないよ。わたしだけの秘密」
そしてムビはそっと俺との距離を縮めてくる。
俺たちは顔を見合わせ、笑いあいながら花火を2人でずっと見ていた。
ムビがまだ『悲しい』感情があるのは分かっているけど、これから俺が少しずつ『楽しい』気持ちに変えていこうと決意した。




「お前も結構やるときはしっかりやるんだな。ぼくが護るか……中々かっこいいじゃないか」
「やめてくれよ。今思い出すとかなり恥ずかしい。……主人は言ったことないのか?」
「さぁ、どうだったっけかなぁ」
「ずるいって。聞かせろよ」
「まぁ、おいおい話してやるからさ。早く続き」
……またはぐらかされた。俺は後で絶対に聞きだしてやると心に誓った。
「分かったよ。ちゃんと後で聞かせろよ」




あの夏祭りの後、俺は仲がいい友達にムビの事を教え、一緒に遊ぶ事にした。
最初はぎこちなかったが、日に日に仲良くなり始める。やっぱりムビも一緒に遊ぶと楽しかった。
ムビと俺もあの頃よりもお互いの距離は近くなった気がする。
2人で喧嘩をする回数は増えた。けれど、例え「バカ」とか「グズ」とか「エッチ、変態」とかムビに言われたとしても、ムビから『楽しい』感情が絶える事はなかった。
そんな日々を過ごし、野生のヤンヤンマやコロトックが姿を見せ始める秋が訪れた。
「えっ? つきみ?」
友達のコリンクとブイゼルからの提案だった。皆で一緒に月見をしないかというお誘いだ。
ここは月がとても綺麗に見えると評判になっていた。だから、満月を見に行くと思っていたのだが、
「あぁ、昔から伝えられている話なんだけど、ここでは三日月の夜に月が光り輝く時があるんだってさ。で、そのときに願い事をすると何でも叶うって話。だよな」
「うん。私はまだ見た事がないけど、本当に有名なんだよ。だから行こうよシキ君。ムビちゃんもきっと喜ぶよ」
「べ、別にムビちゃんは関係ないよね?」
やはり俺がムビの事がすきなのは周りは知っていたようだ。俺が好きだった事をそのとき知らないのは、ムビだけでなく、気持ちポケモンで感情に関しては敏感なはずのかなりの鈍感な俺自身。
「やっぱりムビちゃんとシキ君は似てる所、多いよね」
「似てる? どこが?」
「そういう鈍感な所とか、一緒にいるだけで楽しい所とか。もっと早くムビちゃんと仲良くなればよかったな。あんなに楽しいとは思わなかったもん。やっぱりムウマってだけで判断しちゃ駄目だよね」
ブイゼルにけなされ、ほめられた事に複雑な気持ちになった。そんな感情よりもムビの事を認められたことが一番嬉しかった。俺はその嬉しさを隠しながら反論する。
「鈍感じゃないって!」
「あぁ確かに似てるね。そんな風にすぐに対抗するところも似てるよ。あと、ちゃんと周りのいいところをすぐに見つける所とか」
今度はビッパにも。勘弁して欲しかった。
「だからぁー。ま、まぁその日にとにかく行けるか聞いてみるよ」

その後俺は主人に許可をもらい、一緒に月見に行くことにした。
もちろんムビも一緒に行く事になった。夜に皆と遊びにいけると上機嫌で、「脅しちゃおっかな」なんて言っていた。
それが冗談かどうか俺には分からなかったが。
俺たちは夜に遊ぶってことにはしゃいでいたのかもしれない。月見に行くことを全員がそれぞれ指折り数えて待っていた。
夜は野生のグラエナなどが出てきて危ないとそれぞれがトレーナーに言われ、グラエナの対処法や遭遇しないような場所を探して三日月の夜に期待を膨らました。
月見の当日。俺が家から出ようとすると、
「シキー。いる?」
突然ムビが扉をすり抜けて俺の家へ入ってきた。そのときの俺の驚きようは半端なものじゃなかった。
「い、いきなり驚かさないでよ。びっくりした」
「はははっ。お迎えに来たよ」
いつもは外で遊んでいて俺の家で遊んだ記憶がなく、家がどこにあるかをムビには教えたつもりがない。だから何故ここにムビがいるのか分からなかった。
「ど、どうしてここが分かったの?」
「どうしてだと思う? 当ててみてよ」
しばらく俺はうんうんと唸りながら考えていると主人が慌てて俺の元に駆け寄ってきた。
「シキ、どうした? あれ……この子は」
「は、初めまして! シキの友達のムビです」
「あ、君がムビちゃんか。よろしくね」
「あれ、わたしのこと怖くないんですか?」
「シキから君の事をいつも聞いていたからね。いつもシキが笑顔でいるのは君のおかげみたいだからそんな子を怖いなんて思わないよ」
「そ、そうなんですか」
おそらくムビは怖がらない人間を見たのが初めてだったのだろう。だからムビは主人のことを不思議そうな目で見ていた。
「うーん、分かんない! ムビちゃんはなんでここが分かったの?」
するとムビはくすくすと笑って、
「まだ悩んでたの? 昨日帰るシキの後ろについていって、ここの家をしったんだよ。シキはやっぱり鈍感だね」
「う、うるさいな」
俺はこの時も『楽しい』感情をムビから感じていた。本当に心地よくて、心の中に温かい風が吹いたようだった。
前よりもムビから『楽しい』感情を読み取れて、自分のことのように嬉しかった。
「月が出始めてきたからそろそろ行こうよ」
「そうだね。行こう」
俺たちはコリンクたちが待っている公園まで急いだ。
あともう少しで公園まで着くという時、
「シキちょっと待って」
ムビが急に止まり、俺の方を振り向く。
「あのさ……、途中で2人で抜け出さない?」
そのときの俺はその意味が全く分かっていなかった。皆で一緒に見た方が楽しいのに、とか考えていた。
「何で? そんなことしたらみんなが心配しちゃうよ」
「えっとほら、2人だけの秘密の場所で見たいなって思って。……だめかな?」
「なるほど。2人だけのあの場所かぁ。それならやっぱり2人だけだね」
俺たち2人だけの秘密の約束を交わした。
公園で合流した後、みんなであらかじめ計画しておいた場所に行き、それぞれで持ち寄った食べ物や飲み物を持ってきて騒いだ。
ブイゼルが持ってきたポフィンがとても美味しかった。甘くて俺の好みにぴったりと当てはまっていた。
しばらく見ていても月が光り輝かなかった。だから、俺たちは月を見るのに飽きてしまっていつものように追いかけっこなどをして遊んでいた。
夜に遊ぶのは楽しかった。薄暗い月明かりの中というのことだけでいつもとは違う楽しさを味わった。
かくれんぼで隠れる絶好の場所を探している途中、ふいに後ろからつんつんと背中を小突かれる。振り返ってみると、
「ねぇ、そろそろ行こっか」
ムビが俺を誘う。昼のムビは可愛い印象を受けていたが、夜のムビは、月の光に照らされた姿はとても魅力に溢れていて、俺はその姿に心を奪われたかのように惹きつけられていた。
「うん。行こう」
俺たちはあの丘へと急ぐ。もちろんあの桜の木の下だ。
やはり丘から見える月は綺麗だった。町から見る月よりもくっきりとして、明るく見える。
しばらく俺たちは静寂に包まれながら月をみた。2人でそうしているだけでだんだんと気持ちが満たされていく。
『明るい』感情を読み取る事が出来たから、ムビも俺と同じ気持ちだったのだと思う。
「ねぇ、シキ。いつもありがとうね」
いきなりそんな事を言われた。ここで言われるとは思っていなくて、俺はかなり驚いた顔をした。
「なんでそんなに驚くの」
「だっていつものムビちゃんからだと想像できなくて……」
「だっていつもはみんながいるから。シキだけに言うのも恥ずかしいのにみんなに聞かれるのは……」
ムビの頬がほんのりと赤くなっていく。
「みんなと仲良くなれたのもシキのおかげだし、今までよりも楽しいのもシキのおかげ。だから本当に感謝してる」
「それだったらぼくもだよ。いつもムビちゃんの隣にいると楽しいよ」
そしてまた月を眺める。
「……また来年もシキと月、みれるかなぁ」
「見れるよ。来年だけじゃなくて、ずっと」
「本当?」
「うん。だって言ったじゃん。ムビちゃんの側にずっといるって」
「そうだよね。ずっと、ずっと」
「そういえば、ムビちゃん。ぼくもムビって呼び捨てで呼んでいいかな?」
「い、いきなり何?」
「なんかその方がもっと仲良くなれるかなって。駄目かな?」
「べ、別にいいよ。わたしだってシキって呼び捨てで呼んでるし」
そんな事を話していると、突然月が輝きだす。
「シ、シキ」
「うん。光ってるね。でも、あのポケモンは……?」
月の上には見た事もないポケモンが飛んでいた。月を輝かせている光をあのポケモンが纏っているようだった。
「わたしも見た事がない。……でも、綺麗」
だんだんとそのポケモンが大きくなっていき、その姿をしっかりと捉えられるような大きさになった。
そのポケモンは月の光の当たり具合で羽の色が変わり、その羽から光が漏れ出していた。
三日月がポケモンになるのなら、まさしくこのポケモンだろうなと思わされた。
そのポケモンは優雅に反転をし、またどこかへ飛んでいってしまった。
反転した時にひらひらと自分達のもとへ降りてくる三日月のポケモンの羽。
ムビはその羽をずっと魅入っている。
「羽も綺麗だね。それ、ムビがもっててよ」
「うん。大事にするね。これでシキとの宝物ができたね」
何度このほほえみに胸を躍らされただろう。どれだけムビの事を考えたのだろう。
この月見の一件であの頃の俺はやっと気づいた。どれだけ鈍感だったかもやっと分かった。友達に言われなければ気付かなかったかもしれない。
――ムビの事がずっと好きだったと。
でも、気づいた所でムビに対して言うのは恥ずかしかった。結局せっかく2人きりの時に伝える事はできなかった。
俺たちはコリンクたちがいる場所に戻った。
「あ! お前らどこ行ってたんだよ。探したんだぞ。いくらかくれんぼしてたからって遠くに行き過ぎだって」
コリンクにさんざん文句を言われる。気のせいだろうか、顔が少しにやけていた。
「ごめんごめん。ちょっと2人で行きたい所があって」
「ふぅん、ところでさっきの月見たよね。2人は何かお願い事した?」
ブイゼルが疑いの目を向けながらそんな事を聞いてくる。
「あっ!」
俺とムビは同時に思い出す。不思議なポケモンを見て、お願い事の事をすっかりと忘れていたのだ。
「シキのせいだからね。シキが忘れてたからお願い事できなかったじゃん」
「ムビも忘れてからお互い様だよ!」
俺たちはまた喧嘩を始めた。喧嘩するほど仲がいいとはよく言われているけど、このときの俺は丘にいたときのムビに戻って欲しいと思っていた。
コリンクたちは慣れてしまったのか、見ていて微笑ましいというような顔でこちらを見てくる。
それを横目で見てしまった為、俺は照れ隠しで喧嘩をいつもよりも騒がしくやる事にした。
喧嘩のほとぼりが醒めた所で解散となった。
2人で一緒に途中まで帰ることにした。
今度は俺がムビの家までついていって、明日ムビを驚かそうかなと思っていると、
「わたしについていってみようなんて考えてない?」
「えっ? 何で分かったの?」
「だってシキの顔、何考えてるか分かりやすいから。今日はもう暗いから帰った方がいいよ」
「分かってるよ!」
ムビがいつものように笑う。
内心ひやりとした。もしかして俺がムビの事好きだって言う事も分かったのだろうか。
「そういえばシキ、何をお願いするつもりだったの?」
「いつも意地悪なムビには言わないよ」
結局、分かれ道まで喧嘩をまた始めていた。
どうやらムビは俺のムビに対する気持ちは気づいていなかったようだ。




「へえ、それはまた仲がいい事で。そういえば結局願い事はなんだったんだ?」
「……ムビともっと仲良くなる事」
「聞いてるこっちまで赤くなりそうだよ。そんな事を行く前からお願いしようとしてたのに好きだって気づかなかったなんて……。やっぱり鈍感なんだなお前」
「うるさいな! そんなの分かってるよ」
「ふっ。ふふふ。……そういえばそのポケモン、俺知ってるよ」
「そのポケモンって?」
「お前が見た月のポケモン。伝説のポケモンだから本当に存在してるかは今まで知らなかったけどな」
「えっ! なんて言うんだ?」
「クレセリアっていうんだ。確か俺がその町で聞いた噂では、月をお互いのことが好きな2人で見ていると現れて自らの羽を授けるらしいんだ。で、その羽をもらった2人はずっと結ばれるって話だったんだが」
「それが本当ならなぁ。今頃もムビと一緒にいれたのに」
「あの冬はお前にとって辛かっただろ」
「あぁ、思いっきり泣いたよ」




それから、ムビにどうやってこの好きだという気持ちを伝えようか迷っていた。なんというか、今更2人の関係を壊すのもどうかと思い、ムビに告白したとしてもちゃんと伝わるかも分からなかったからだ。
友達として好きだと受け取られそうで。そこからまた喧嘩に発展してその告白がなかった事になりそうで……。
どうしてあの月見の時に告白しなかったんだろうと今更ながら後悔をした。
そんな感じで時が過ぎ、葉も全て落ち少し寂しくなった木に、白い雪がかかり始めたこの季節。俺を突然驚かせた出来事が起きてしまった。しかも一番聞きたくなかった言葉だ。
「て、転勤?」
「そうだ。せっかく他のポケモンたちと仲良くなり始めたのにごめんな」
ということは近々ここを去るという事、ムビに会えなくなってしまう事だった。
もちろん俺はかなり悲しかった。日に日にムビと仲良くなり、ムビのことが好きになっていたのに……辛かった。
好きという感情を伝えなくて良かったのかもしれない。それでさらに辛くなるかもしれなかったから。
本当はここに残ってもっとムビと遊んでいたい。でも、俺は主人のポケモンだ。主人の事はムビと同じくらい大事だし、俺を大事に育ててくれてるし、いまさら俺だけ残るわけにもいかなかった。
その日、俺はいつものポケモンたちのところへ行き、今日お父様から言われた事を伝えた。
それぞれから『悲しい』気持ちを受け取った。いつもは受け取るのが辛い『悲しい』気持ちだったが、このときだけは俺の事を想ってくれたのだと嬉しかった。
「そういえば、ムビは?」
俺が質問すると、コリンクがまだ来ていないと言った。
俺はいつもの桜の木の下に行ってみた。
「あっ、おはよう。シキ」
ムビがこっちに気づいて笑いかける。
「おはよう。ムビ……」
ムビを見たとき、もう会えなくなってしまうのかと涙が出そうになった。
「ムビ、実はね、ぼくそろそろこの町から出て行くことになったんだ……」
ムビを見てみると、大きい目をさらに大きく見開いていた。
「……なんで?」
「主人のお父様の都合で、転勤する事になって」
それを聞くと、ムビは暫くうつむく。俺はムビから、コリンクたちよりも強い『悲しい』感情を感じ取った。
そして顔を左右に振り、涙を浮かべながら、
「なんでよ! わたしを護るって言ったじゃん!」
「……ごめん」
「来年も一緒に月、見に行こうって約束したじゃん!」
「……ごめん」
「ずっとわたしと一緒にいるって、言ってくれたのに!」
謝るのがこれほど辛いと思った時はなかった。
「……ごめん。ぼくだっt」
「嘘つき!」
ムビはどっかへ飛んでいってしまった。追いかけようとしたが、すぐに俺はムビを見失ってしまった。


あれから何日が経っても、ムビは俺の前から見せなかった。
こんなことは初めてだった。何回か喧嘩をしたが、いつも次の日までには仲直りをしていた仲だったから、余計にこのことは俺にとってショックだった。
他のポケモンたちは、俺の為にお別れ会といって、それぞれの得意技で俺を笑わせたり、泣かせてくれた。皆それぞれの思いやりが本当に嬉しかった。
残り数日を後悔しないようにたくさん俺は友達と遊んだ。
ムビを探したくても、ムビの家は知らなかった。
前よりも俺はムビの事を知っているつもりだったが、本当は全く知らなかったのかもしれない。
こんな俺のことを好きになってはくれないだろう。だから、好きと伝えなくても良かったのかもしれない。そう思った。
とうとう引越しの当日になってしまった。他のポケモンたちは俺を見送りに来てくれた。……ムビはこの日も来なかった。
「ムビちゃんもきっと悲しんでるから、気にしなくてもいいよ。シキ君、元気でね」
とブイゼル。
「うん」
「一緒にいた時間は短かったけど、楽しかったよ。またいつか遊ぼう」
とビッパ。
「うん」
「俺たちは遠く離れていてもずっと友達だからな」
とコリンクが言う。
「うん。ありがとうみんな。ずっと友達だよ」
俺はあらためて別れの挨拶をし、ついにムビと会えず、この町から旅立つ事になった。




「あとは主人も覚えている事だろ?」
「なるほどな、それでムビちゃんはあの手紙をシキじゃなく、俺に渡したわけだ」
「そういうこと」
俺は忘れもしない、車でのことを思い出した。




「そうだシキ、ムビちゃんから車でこれを読んで欲しいって言われてたんだ」
主人が手に持っていたものは手紙だった。
「そうなんだ。なんて書いてあるの?」
「なんか元気ないなシキ。じゃあとりあえず読むよ」

――シキへ
シキ、あんな形で別れることになってごめんね。
本当はちゃんとシキに会って謝りたかったんだけど、シキにあったら泣きそうで……。
だから、わたしのトレーナーに書いてもらって、貴方の主人に渡したの。
本当にシキと一緒にずっといたかった。
いつもわたしの心の支えになってくれて、側にいると本当に楽しかった。
あの桜の木、今までよりももっと好きになったよ。シキと初めて会った場所なんだもん。
夏祭り、シキから貰った言葉は嬉しかった。
秋に2人で見た月、いつかまた見ようね。そのときにまたあのポケモンに会えたらいいよね。
これを読んでもらってるという事は、もう会う事は出来ないかもしれないんだね。
シキに会う事が出来ないのは寂しいよ。
でも、たくさんの思い出をシキからもらったから、それを胸に頑張るね。
いろんな事をもっと、もっとシキに言いたいし、手紙にしたいけど、最後に1つだけ。
シキ、ずっと言えなかったけどシキの事大好きだったよ。わたしのこと、忘れないでね。
                             ――ムビ


途中から、俺は泣いていた。
ずるい。とムビにたいして思った。
自分だけ想いを伝えて、俺には伝えさせてくれないなんて。
俺だってムビの事大好きだったのに……。
「1つだけお願い、聞いてくれる?」
「なんだ?」
「その手紙の端っこに『ぼくも大好きだったよ。ありがとう』って書いてくれないかな。ムビにぼくの気持ちが少しでも伝わるように」
……いつか、また会えるように。




「あれから全然会ってないな……」
「今まで、記憶にすら浸れないぐらい忙しかったからな。……そうだシキ。明日から一週間、あの町に行ってきなよ」
「えっ、でも主人は……」
俺がいなくて、主人は生活できるのか不安だった。さっきだって掃除も出来なかったのに……。
「俺は大丈夫だって。一週間ぐらいなら生活できるから。それにいつもお前には苦労かけてばっかりだったから、たまにはなんかしてあげたいんだ」
いつもお世話になっているのはこっちの方なのに。
主人の気遣いで心が満たされる。せっかくだし今回だけは主人の優しさに甘えさせてもらおうか。
「じゃあそうする事にするよ。ありがとうな、……シュン」
今までの感謝も込めて、幼い頃の主人の呼び方で主人――シュンにお礼を言った。
このあと、シュンの思い出話に花を咲かせすぎて俺たちはシュンの部屋の掃除を夜遅くまでかけて終わらせることになった。




俺は電車を乗り継ぎ、あの懐かしい町に戻ってきた。なんというか、空気、風、空、全てが本当に懐かしい。
俺はあの桜の木に行ってみた。初めてムビに会った時みたいに桜が見事なほど、下から、上から舞っていて、相変わらず綺麗だ。
ここだけ昔から変わらず他と空間が切り離されているように感じる。
「あれ? こんな所にサーナイトなんて珍しいね」
突然聞こえた声に振り返る。……後ろには誰もいなかった。
「はははっ。こっちよこっち」
以前に聴いたことがあるような声。だけど、それよりもずっと大人びていて、ずっと綺麗になっていて……。
俺は上を向いて、あの声の方へ顔を向けた。
「びっくりした? ……あれ? そういえば何か以前にもこんな事があった気が……」
「君は?」
「え、私? 私は――」

――春

今までの出会いを振り返る季節

そして、

新たな出会いを繰り返す季節


【原稿用紙(20x20行)】51.5(枚)
【総文字数】15248(字)
【行数】505(行)
【台詞:地の文】32:67(%)
【ひら:カタ:漢字:他】62:5:28:3(%)
【平均台詞例】「あああああああああああああああああああ。あ」
一台詞:23(字)読点:47(字毎)句点:40(字毎)
【平均地の文例】
あああああああああああああああああああ、ああああああああああああああああ。
一行:38(字)読点:41(字毎)句点:30(字毎)
【甘々自動感想】
すごくおもしろかったです!
短編ぐらいの長さですね。これぐらいの長さ、好きかも~。
男性一人称のこういうファンタジーっぽいの大好きです!
それぞれの文章がいい長さでまとまってますねぇ。尊敬しちゃう。
あとー、台詞が多くてすごく読みやすかったです!
「そうだ。せっかく他のポケモンたちと仲良くなり始めたのにごめんな」この言葉! 耳に心地よいフレーズですね!
これからもがんばってください! 応援してます!


……なんで超脇役のシュンのお父さんの台詞が気に入っちゃったの?



結果は3票頂き4位でした。
票を頂くとは思ってもみなかったので本当に嬉しいです。
票を入れてくれた方、そしてここを閲覧してくださった方々本当にありがとうございます。
これを励みにもっと頑張ります。



投票の際にコメントしてくれた方のものです

小学1年生のときに引っ越していった女友達のことを思い起こされました。

自分の作品でそのように思い起こしてくださって本当に嬉しいです。
コメントありがとうございました。


この作品に対してのコメントがあればこちらによろしくお願いします。

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 何分昔の話でもう相手の名前も思い出せないのですが、僕もムビちゃん同様彼女の引越しの当日は悲しさの余り見送りに行けなかった事だけはよく覚えています。
    あ、激しく順番が前後しましたが投票時にコメントを書いた3P歳男性です。(4半世紀以上前の思い出話でお恥ずかしいwww) -- 狸吉 2009-04-01 (水) 13:52:01
  • 狸吉様>
    小さい頃の引越しは辛いですよね。自分はシキのような立場を少し体験したのでよく分かりますww
    再びのコメントありがとうございます。貴方のような方に票を入れてもらえるだけでなく、二度もコメントをいただけたのは本当に嬉しいです。 -- 想夏 ? 2009-04-01 (水) 20:02:05
  • すごく切ない話ですね…
    いやぁー感動しました。 -- 2009-07-10 (金) 17:22:31
  • 名無し様>
    遅くなって申し訳ありません。コメントありがとうございます。
    自分の書いたお話で感動していただけるのは嬉しいです。
    更新は遅くなりそうですが 、これからも頑張っていこうと思いますのでよろしくお願いします。-- 想夏 ? 2009-07-25 (土) 19:59:47
  • 続きキボンヌ!
    ―― 2013-06-24 (月) 18:46:29
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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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