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好きるスワップ

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好きるスワップ [#7Eh2YC4] 

writer――――カゲフミ

―1―

 休憩所の自動販売機のボタンを押すと、クラムは出てきた商品を取り出した。ピピピピと派手な自販機の演出の割には当たりは出なかったらしい。紛らわしい。選んだのはおいしいみず。喉が渇いたときは甘くない飲み物の方がありがたいのだ。ポケモンもトレーナーも飲める無難な味わいに仕上がっている。販売機横のベンチに腰掛け、キャップを開けて中身を喉へ流し込む。火照った体に水の冷たさが心地よかった。久々にバトルフィールドで声を張り上げたような気がする。公式戦や練習試合ではなく自分のポケモン同士の技の特訓ではあったが、気合が入ってくれば自然と体の動きも大きくなってくるというもの。ポケモンたちにも少々疲れて見えてきはじめたので休憩を挟んだというわけだった。今回の訓練の成果をポケモンの表現で例えるならば効果はいまひとつと言ったところだろうか。まるで効果が得られなかったわけではないが、かといって目を見張るような進展があったわけでもない。微妙な手応えだった。
「……そろそろ行くか」
 空になった容器をゴミ箱へ放り込むとクラムは立ち上がった。手持ち達には先に部屋に戻って休んでいてくれと伝えてある。ポケモンセンターの中でもかなり大きめの部屋を借りたから、部屋の中でもポケモンをボールに戻さなくても問題はない。ゆったりくつろげる部屋なのはいいが、若干歯切れの悪いところで休憩にしてしまったから、気まずい空気になっていないかが気がかりではあった。部屋のドアを開けると大きな背中と尻尾が床を占領していた。広い部屋にしてよかったと実感できた瞬間である。しかしもう一体の姿が見えない。
「あれ、カッツは?」
「さっきまで居たんだけど、黙って出て行っちゃった」
 ふむ。あいつが何も言わずに外に、ということはあまり機嫌がよろしくないと見た。思い当たる節はある。バトルフィールドでの訓練で、上手く技を決められなかったことが尾を引いている。そんなところではないだろうか。
「ダインが何か怒らせるようなこと言ったんじゃないのか?」
「ええー。僕はそんなことしたつもりないけどなあ」
 冗談交じりのクラムの口調を汲み取れずに、目を丸くして自身に原因があったのではないかと首を傾げるダイン。まあ、寝そべったままなので本気で思っているかどうかは微妙なところではある。どこか間延びした口調で動作ものんびりしており、せっかちな相手だと苛々させてしまうことも。体もでかくて顔も強面なのに、いざ口を開けば一体何のポケモンと話しているんだろうかと戸惑うこと間違いなし。威厳や荒っぽさとは無縁なガチゴラスらしからぬ性格のダインではあるが、だからこそ強気なカッツと衝突が起こらずに上手くやっていけているのかもしれない。ダインほど能天気で気の長くないクラムは、カッツと口喧嘩してしまうことも少なくなかったのだ。
「分かってるさ。お前が故意にあいつを怒らせたりするわけないって」
 からかって悪かったよの意味を込めて、クラムはダインの大きな尻尾をぽんぽんと叩く。本気にしていたかどうかはともかく、カッツのことが心配なのは彼も同じだったようだ。のそりと立ち上がって部屋の入口のドアの方へ向き直った。立つと大きな岩石が動いているのかと錯覚してしまいそうなくらい体躯のあるダイン。一番大きな部屋を借りてもドアはぎりぎり通れるくらいのサイズだった。歩きながらの会話だと、クラムも見上げなければ彼と視線が合わない。
「それじゃ、お姫様を探しに行きますかね」
「うん、行こっ」
 カッツのことを姫呼ばわりするのは、ダインも異論はないようだ。実質このメンツの中でもっとも権力が上であるのはクラムよりもカッツという認識が強い。クラムもなかなか譲らずに彼女と言い合いをすることはあれど、最終的に折れるのは大抵がクラムの方だった。下手に言い争いを長引かせるよりも彼女の意見を尊重した方が早く済むという合理的なクラムの判断だった。今回カッツを探しに行くクラムとダインは、さながら姫に付き従う執事と逞しいボディーガードと言ったところだろうか。基本的には強気でわがままな一面があるカッツだったが、一人の時間が長くなりすぎると徐々に不安を覚えてしまうだろう。もちろん直接口には出さずとも、心のどこかではクラムやダインの言葉を必要としているはずだ。姫様一人だけではうちのメンバーは成り立たないのだから。
「ドアの縁に気をつけろよ」
「ゆっくり通って……と」
 進化して間もない頃は何かと色んなものに体をぶつけがちだったダインも、ようやく自分の体に慣れてきたのか最近はものを壊したり傷つけたりすることは減りつつある。何しろ二メートルは優に越える巨躯だ。最初は部屋の中では恐ろしくてボールから出せずにいた。公園や広場で徐々に慣らしてからようやく建物の中に入れても大丈夫なところまでこぎつけたのである。
「どこにいると思う?」
「そうだねえ。センターの裏にちょっとした広場とベンチがあったでしょ。そこじゃないかな?」
「行ってみるか」
 半分くらいは彼の思いつきかもしれないが、案外ダインはカッツのことをよく見ている。クラムとのやりとりで何が好きか、どこへ行ったことがあるかなど。直接会話には参加せずに横で寝そべって聞いているだけのことが多いダイン。それでもクラム本人よりも事細かく覚えていることがあるので、なかなか馬鹿にできないのだ。クラムの記憶では何の変哲もない広場だったような気がするのだが、カッツはどこかでそこが気に入ったような素振りを見せていたのかもしれない。ダインがそれを覚えていたのだとすれば、彼女が広場にいる可能性は高い。ガチゴラスを横に連れているとそれなりに目立つ。最初はあまり気持ちの良いものではなかったが、もう慣れた。すれ違う人々の視線を受け流しながら、クラムとダインは裏庭へ辿り着く。
「さすがだな」
「へへ、すごいでしょ」
 えっへんと鼻息を鳴らして胸を張るダイン。これには素直にクラムも感心していた。下手をするとトレーナーの自分よりもカッツのことを理解しているのではないだろうか。ベンチの前。両手をそっと前に差し出すようにして、じっと立ったままカッツは動かずにいた。まるで銅像のように、目を閉じて息を潜めて。決して静かではない広場。瞑想するには不向きな場所だ。あえてここを選んでいるのは喧騒の中でも精神統一できるくらいの集中力を身につけるため、なんだろうか。
「……!」
 近づく気配に感づいたのか、さっと振り返ってクラムとダインを見上げるカッツ。一瞬だけ安堵の表情が浮かんだ、ように見えた。気のせいかも知れない。すぐにむすっとした表情に戻ってしまう。割と良く目の当たりにするカッツの顔つきだった。今回はやや機嫌が悪い、に分類されるだろうか。
「なに?」
「おいおい、何はないだろ」
「うん、僕たちカッツが心配で探しに来たんだよ」
 クラムも比較的柔らかめな口調で言ったつもりではあった。頭ごなしに怒鳴ったりすれば、ますますカッツが意地になってしまうのは目に見えている。それでもぷいと横を向いてそれっきり黙ったまま。どうやら二人に隠れてひっそりと技を練習するつもりだったらしい。休憩時間にいなくなったりすればばればれなので、全くひっそりではないのだがそれがカッツの可愛いところでもある。もともと強気で負けず嫌いな彼女のこと。新しい技が自分にできなかったという事実が結構堪えたようだ。
「別に、心配してなんて頼んでないし」
「水臭いな。まだ練習するつもりなら付き合うぜ」
 ああ別に頼まれてもない、という売り言葉に買い言葉をぐっと飲み込んで。クラムはカッツに手を差し伸べる。ここは自分が大人になるべき場所だ。
「初めての技なんだし、焦らなくてもいいと思うけどね。やるなら僕も協力するよ」
 ダインの無邪気なにこにこの笑顔で言い寄られると、さすがのカッツの刺々しい態度も鈍くなってくるというもの。ふうとため息をついた彼女の顔つきは少しだけ穏やかになっていた。
「余計なお世話。……でも、ありがと」
 素直になりきれない。けれども相手の好意を無碍にはできないのだ。クラムとダインの半分にも満たない小さな体格。それでも十分な存在感を放っているうちのお姫様――――ニャオニクスは小さく微笑んだのだった。

―2―

 カッツが練習している技は本来ならば覚えることが難しい特殊なもの。一週間ほど前、別の街のポケモンセンターで偶然出会った技教えの名人。クラムも噂には聞いていた。ポケモンが普通の特訓では覚えられない技を知っていて、それを伝えることができる人物だと。クラムはどちらでもよかったのだが、カッツが名人の技に興味を持ったため最終的にはクラムが頼み込んで、技をひとつ伝授してもらったというわけだ。彼女が練習中の技は、放った相手と自分の特性を入れ替えるという変わった効果を持つ、スキルスワップというものだ。元々珍しい技で、その特殊さ故に教えてもちゃんと扱うことができるポケモンは少ないらしい。きっかけは自分が言い出したもので、更に扱いが難しい技ともなるとカッツがここまで必死になるのも頷ける。クラムに頼んでもらっておきながら、まともに技が使えませんでしたという事態は彼女のプライドが許さないのだろう。
「ダイン、行くよ……!」
「うん。お手柔らかに」
 再びポケモンセンター内のバトルフィールドに戻ってきて特訓再開だ。裏庭でも出来なくはない内容ではあったが、あまり建物周辺で技の打ち合いをするのは好ましいとは言えないだろう。幸い他に利用者もいなかったのでクラムたちで貸切状態だった。カッツの練習相手はダイン。スキルスワップは攻撃技じゃなくて変化技だからか、あんまり身構えている様子もない。もし成功すればダインの特性『がんじょうあご』とカッツの特性『かちき』が入れ替わることになる。ただ、どちらも目に見えて変化のある特性かと言われれば微妙な感じだ。『がんじょうあご』は噛み付きわざを持ってないカッツでは確かめようがないし、『かちき』は能力を下げられなければ発動しないので分かりづらい。カッツが硬いポケモンフーズを食べやすくなったり、ダインの呑気な性格が変わったりすればそれはそれで面白そうではあったが。たぶん、スキルスワップはそういう効果ではないだろう。
「はあっ!」
 両手を前に差し出すカッツ。普段は途中で折れ曲がっている長い耳がふわりと持ち上がった。念力を集中させているサイン。何色とも表現しがたい淡い光が彼女の手先に集中し、ダインの方へ向かってくる。しかしダインのところまであと半分程度と言った距離で、光は分散して弾け消えてしまう。念力の強さが足りなかったのか、力の込め方を間違っていたのか。何にしても、失敗だと判断するのにそう時間は掛からない。
「もうっ、どうして上手くいかないのよっ!」
 苛立ったように足踏みをして叫び散らすカッツ。この光景を目にするのは何度目だろうか。最初は念力の光すら発生していなかったから、徐々に進歩はしてきているのだとは思う。ダインに向かっていく念力も少しずつ距離は伸びてきている。しかし、残念ながら命中したことは一度もない。技を完全な形にできるのはまだまだ時間が掛かりそうな雰囲気はある。
「落ち着け、カッツ。深呼吸してもう一度!」
 クラムの掛け声でカッツは顔を上げる。言われなくても分かってるという反論の声はなかった。今はそんな口答えに割く労力が惜しいようだ。黙って頷いて再び目を閉じ、気持ちを技へと集中させていく。おそらく次も成功する確率はかなり低い。ただ、カッツが投げ出さずに挑み続けることに意味がある。人間である自分にポケモンの技の勝手は分からなかったが、クラムはそう信じていた。粘り強く食らいついていけば何か見えてくるものがある。少なくとも初めて技を使ったときに比べれば、間違いなく上達しているのだから。
「はあああっ!」
 再びカッツの両腕から念力が発せられ、ダインに向かって一直線。光の目映さは先ほどと比べても大して変わりがない。ただ、進む速度が妙に早かった。カッツの手を離れた念力はぐんぐんと速度をあげ、やがてダインの元へと。
「わっ」
「うおっ!」
 奇跡的にもダインまで到着した念力の光。命中した途端に大きく弾けて隣にいたクラムにも降りかかった。これまで半分程度の距離までしか届いていなかったため、まさかいきなりここまでは来ないだろうという油断があったかもしれない。ダインに近づきすぎていたクラムは飛び散った光に巻き込まれてしまったのだ。照明や電灯の光とは違う、エスパータイプが作り出した念動力の光。瞼の裏にいつまでも残っている感じがする。眩しくて目が開けていられない。
「だ、大丈夫、二人ともっ!」
 慌てて駆け寄ってきているであろうカッツの足音と声しか分からなかった。さっきの念力は彼女にとっても想定外の飛距離だったらしい。ひどく慌てて、狼狽えているような口調だった。
「う、うん。僕は大丈夫……あれ?」
「どうした、ダイン……ん?」
 目を開いた。大丈夫だ、ちゃんと見える。場所はポケモンセンターのバトルフィールド。足元のカッツが心配そうにこちらを見上げている。あれ、こんなに小さかったっけか。確かにニャオニクスはもともと小柄なポケモンではあるが、何だかさっき見たときよりも小さいような。気のせいだろうか。そして妙に体が重い。念力の光を直接浴びてしまった影響かもしれない。ダインは大丈夫かと隣を見た瞬間にクラムは言葉を失ってしまった。
「え、な、なんで俺が」
 クラムの目に映ったのは、洗面所や風呂場の鏡でこれまで嫌というほど目にしてきた自分の姿。クラム自身がどういうわけか、クラムの目の前に居たのだ。
「ねえ、も、もしかして、クラム?」
 目の前に居たクラムが喋った。クラムの意思とは無関係に。一体お前は誰なんだと問おうとして、その口調には聞き覚えが。
「お前、ダインか?」
「う、うん。よく分からないけど……そうみたい」
「どうなってんだこれ。じゃあ俺はもしかして……」
 クラムは恐る恐る自分の体に視線を送ってみる。着ていた服も、ズボンも靴もない。あるのは鋭く尖った爪を湛えた大きな足と、厚みのある灰色をした腹部。体の割にはやや小さな両手だった。どうやら尻尾も動かそうと思えば動かせそうな感じがした。どこからどう見てもこれは、ガチゴラス。ダインの体だった。
「ちょっと、二人ともどうしちゃったのよ」
「分からん。だが、どうやらさっきの光で俺たち、入れ替わっちまったみたいだぜ」
 正直まだ信じられずにいた。しかしクラムの隣に居るのはダインの口調をしたクラム自身。さすがに見間違うことはない。そして、何度自分の体を見回してみてもごつい両足と太い尻尾がついてきて離れない。嫌でも現実を認めざるを得なかった。
「嘘……そんなこと言って私をからかってるんでしょ?」
「それならまだよかったんだけど。どうもそういうわけじゃないみたいだよ、これ」
 クラムの姿で、両手を前に持ってきて動かしてみているダイン。普段滅多に取り乱さない彼の声がやや震えているように聞こえた。それくらいダインにとっても、これは信じがたい出来事というわけだ。カッツが冗談だと信じてくれなかったのも無理はない。
「え、ど、どいうことなの。スキルスワップって特性を入れ替える技じゃ」
「それも分からん。ただ、技が不完全な状態だっただろ? それが影響しているのかもしれない」
 不安定な念力、不安定な技、それらの要因が重なって偶然、特性ではなく心を入れ替える技が発動してしまった。と強引に解釈するくらいしか方法が見つからなかった。それよりも今はなぜ起こってしまったかよりも、これからどうするかの方が大事だ。何にしてもずっとこのままでは居られない。
「どうしよう、クラム」
 不安げにこちらを見てくるダイン。クラムの姿でダインの仕草をされるととてつもなく違和感がある。これまで、自分が困ったときもこんな表情をしていたんだろうか。
「俺にも分からん。まあ、とりあえず、部屋に戻ってパソコンで調べてみるか」
 借りていたポケモンセンターの部屋に一台、備え付けのパソコンがあったはずだ。検索をかけてみると意外と思いがけないことでも出てきたりするもの。便利な世の中だ。ポケモンセンターの人に聞くにしても、事情を説明するのが大変だし信じてもらえない可能性だってある。まずは自分で調べてみることにしよう。
「ふ、ふふっ」
「おいカッツ。何笑ってるんだよ」
「ごめん。でも、普段の二人と違いすぎてなんだか可笑しくって」
 口では謝罪しつつも、口元に手を当ててくすくすとまだカッツは笑っている。技がうまくいかないことで心に余裕がなかった彼女。久しぶりに見た笑顔だったかもしれない。
「もう、カッツ。そんなに笑わなくたって……」
 クラムとダイン。性別こそ同じでも、性格には結構差がある。そんな二人が入れ替わったとなれば、普段とのギャップも大きくなるというもの。それがカッツには不自然でちぐはぐに映ってしまったようだ。まったくこちらの気も知らないで、やれやれとクラムが肩を竦めようとしてもガチゴラスの体の構造上、肩を竦められたかどうかが分からない始末。手が小さくなって、足が大きくなってとてもバランスが悪い。無事に部屋まで戻れるかどうかが、今のクラムにとっての最初の難関として立ち塞がりそうである。

―3―

「だ、大丈夫?」
「おお、おう。お前こんな体でよく生活できるな……」
 とにかく部屋に戻らなければパソコンで調べ物もできないので始まらない。バトルフィールドから借りていた部屋までの移動。大した距離ではなかったのだが、ガチゴラスの前のめりな姿勢で何度も転びそうになるわ、体の幅が広がって壁に頭や背中はぶつけるわで散々だった。廊下に置いてあった観葉植物の植木鉢をひっくり返しそうになったところを、カッツの咄嗟の念力で事なきを得た場面もあった。幸い、修繕が必要なレベルで物を壊してしまったりはしていないのでクラムとしては及第点と言ったところではある。特に首周りの白い飾り毛が曲者で、自分が今いる位置との距離感が非常に掴みづらかった。部屋のドアを潜った途端、クラムはぐったりと床に倒れ込んでしまう。カッツを探す前にダインが寝そべっていたのと同じような姿勢だった。確かにこれは楽だ。ダインがよくこうやって床と同化しているのも頷ける。
「ダイン……はどうなの。違和感はそんなに?」
 クラムの姿である彼をダインと呼ぶのに若干の抵抗があるのか、カッツが名前を呼ぶ前にやや間があった。そういえばダインはここまで来る途中、躓いたりふらふらしたりといった様子がなかったように思える。クラムが自分のことで手一杯だったから、気が付いていなかっただけかもしれないが。
「うーん、以外と人間の体って動きやすいかもしれない。僕はもともと二本足で歩いてたからさ」
 体が以前より小さくなったダインはそんなに支障をきたしていないような雰囲気がある。首を傾げる仕草も何だか様になっていて横で見ているともう一人の自分がいるようで、クラムは妙な感じだった。ガチゴラスを体験してみて、いかに人間の体が理にかなったつくりになっていたかを痛感させられる。
「調べるって言っても、その体で何とかなるの?」
 カッツの言うとおりである。正直自信がなかった。歩くことですら一杯一杯の状態だ。パソコンを使って調べ物をする、などといった高度なことが果たして今のクラムに出来るかどうか。万が一周辺機器を壊しでもしたら目も当てられない。
「そうだな……ダイン。俺の代わりに操作してくれないか?」
「ええっ、僕にできるかなあ」
「使い方は横で説明する。この体じゃたぶん細かい作業は無理だ」
「私からも、お願い。今はダイン、あなたが頼りなの」
 カッツが素直に誰かに物事を頼むなんて珍しい。こうなってしまったのは自分が原因だから、という負い目があるからなのかもしれない。あるいは、移動するだけでも疲労困憊なガチゴラス状態のクラムに任せるのは難しいと判断したか。二人からの切実な頼みで、気が進まなそうだったダインも多少は背中を押されてやる気になってくれたようだ。
「分かった。できるだけやってみるよ」
 パソコンが置かれている机の前まで行き、ダインはおそるおそる椅子に腰掛ける。座って操作するものだというのは、これまで何度もクラムが調べ物をしているときに横で見ていて覚えていたらしい。
「この画面の横にある四角い機械の丸いボタンを押すんだ」
 クラムは右腕の爪の先でパソコンの電源ボタンを指差す。ガチゴラスの手では勢い余って潰してしまいそうなくらい小さかった。基本的には人間しか使わないものなので、当然といえば当然である。ダインは言われた通りにゆっくりとスイッチを押す。ぱちりと音がしてパソコンの画面が起動していく。
「何だか難しそうだなあ」
「大丈夫だって。ちゃんと教えるから」
「万が一のために、私も操作覚えとこうかしら」
 ダインの隣から覗き込むようにカッツは顔を突き出す。そうだな、ついでにカッツも説明を聞いておけばいざというときに使えるかもしれない。悪くない機会だ。クラムもできるだけ画面に近づきたいのはやまやまであったがスペースが足りず。人間サイズを想定して作られた施設の中、体が一回り大きいというのは何かと不便で仕方がなかった。
「最初はログインの画面になるから、パスワードを入力しないといけないんだ。このセンターのパスワードは……」
「ごめんクラム、ゆっくり言って……」
「……すまん、分かった」
 自分が普段何気なくやっている一連の動作。それを全く知らない者へ一から教えるとなると案外難しい。無意識のうちに体で覚えている操作もあったため、上手く言葉で解説できないのだ。パソコンを起動させて検索を掛ける自分の姿を思い出しながら、クラムはダインへ一つ一つ説明を重ねていった。

「だめだ。良い情報がない」
 どうにかダインを検索画面まで誘導して、スキルスワップからの関連ワードで『入れ替わり』や『副作用』や『戻らない』などを入力してはみた。しかしキーワードが漠然としすぎているためか、これだという情報には結局行き当らず。いたずらに時間ばかりが過ぎてゆく始末。如何せん表示されるページの数が多すぎて目移りしてしまう。操作しているのがクラムならば、適当に流し読みして重要そうなポイントをある程度拾えそうな気はしていたが。操作する者と画面を追いかける者が別々、というのが効率の悪さに拍車を掛けていた。まあ、不慣れなダインにそこまで求めるのは酷というものだ。
「僕もう疲れちゃったよー」
 椅子に座ったままぐったりとして項垂れるダイン。慣れない体で慣れないパソコンの操作ともなれば疲労は溜まる一方だ。あんまりダインに無理をさせると自分の体にも良くない。元に戻れたときに体が不調なのは勘弁願いたかった。
「休憩、するか」
「うん。そうしようよ」
 椅子から立ち上がってダインは両手を上にあげて伸びをしながら、大きなあくびをする。小一時間ほどのパソコンでの調べ物。クラムならばどうということはないのだが、ことのほかダインには堪えたらしい。眠そうに目を擦る彼の表情は何となくげっそりとしていた。
「画面見てるだけでも案外疲れるのね、ふあぁ……」
 あくびが伝染ったのか、カッツも隣で口に手を当てていた。二人のあくびを見ていたら何だかクラムにも眠気が飛んでくる。顎が外れんばかりの勢いで大きく口を開いて、あくびの感染を受け入れた。目の疲れは体全体に広がるとも言う。知らず知らずのうちにクラムの体も疲労が溜まっていたのかもしれない。
「まいったな」
「ねえクラム。あのベッド使ってみてもいい?」
 ダインが指差しているのは窓際に置かれているベッド。借りているのは広い部屋でもさすがに一人用の一般的なサイズだ。呑気なもんだなと出かかった言葉を飲み込んで、クラムは黙って頷いておいた。ダインの疲れが目に見えるほどだったので、もう少し付き合ってくれとも言いづらかったのだ。クラムの体を背負っている事情もある。無理はほどほどにして、いたわってやらなければならない。
「やった。一度ふかふかのベッドを使ってみたかったんだよねえ」
 ばたりと倒れこむように横になると、ベッドの上でごろごろと転がるダイン。弾力を人間の体で初めて味わってご満悦と言った様子だった。確かにガチゴラスの体のままではとてもではないがベッドが耐え切れない。カッツのように体の小さなポケモンならともかく、ダインほどともなれば特注サイズが必要になるだろう。現にクラムもカッツと同じベッドで横になったことはある。眠るのが好きなダインからすればやきもきしてしまう光景だったかもしれない。ベッドで眠るという念願の夢が、思いがけない形で叶ったというわけだ。
「ああ、しあわせ……」
 そうこうしないうちにダインはぐうぐうと穏やかな寝息を立て始めた。カッツが寝顔を覗き込んで片手を顔の前でひらひらと軽く振ってみる。もちろんダインの反応はない。驚くべき寝つきの良さ。疲れていたところに心地よいベッドで瞬く間に眠りの世界へと落ちてしまったようだ。感心しているのか呆れているのか、カッツは彼を前にしてふうと息をついた。
「寝つきがいいのは体が変わっても同じみたいね」
「やれやれ。俺はそんなに眠くはないけどな」
 ダインが動かないとなるとしばらくは情報収集は止まってしまう。カッツを頼ってみることも考えたが、彼女の小さな爪ではキーボードやマウスを操作するのは不向きだろう。なんにせよ慣れない体で動き回った疲労感はクラムにもあった。休憩も兼ねて、クラムは慎重に床に寝そべった。ひんやりした床の感覚が妙に心地良い。普段の感覚で動いていると予想外のところで体が引っかかったりしそうで恐ろしくて仕方がない。何か物を壊してからでは遅いのだ。一挙一動にも気を配らなければならないのは精神的にも非常にくたびれてしまう。何とか元に戻る方法を探さねばと、クラムの中でも焦りが募っていくばかりだった。

―4―

「カッツ、ダインに布団を掛けてやってくれないか?」
「あら、優しい」
「俺が風邪引くと困るからな」
「ああそっか、ややこしいのね」
 足元の方へ畳んでいた布団を両手で引っ張って、カッツは寝ているダインに被せる。ベッドの裾で少し引っかかって肩まで届いていなかったが、これだけ掛かっていれば寒くはないだろう。普段ならさっと両手で引っ張ってくるだけでよいのだが、尖った爪でシーツを破いてしまっては元も子もない。出来ることがかなり限定されてしまう。当のダインは何とも気持ちよさそうに眠っているのが、クラムのもどかしさに拍車をかけていた。
「はあ……」
 口が大きいのでため息も大きい。窓に掛かっていたカーテンがふわりと揺らめいた。体が重いので一度寝そべると立ち上がるのも一苦労。屋内では常に周りに気を配らないといけない。そういえば、ダインが進化したての頃はモンスターボールから出すのは極力屋外にするように気を配っていたっけ。クラムがこの体に全く慣れていない状態だからこそ、余計に差し支えを感じるのかもしれない。とはいえ、支障を感じようが体が動きづらかろうが、クラムが指揮を取って戻る方法を探さなければ前を向いて進みそうにない状況だ。何か良い案が見つかるまでは、このダインの体と付き合うしかないのだ。
「まいったぜ」
 心のぼやきが口を通して表にまで出てきてしまう。横のスペースをちゃんと確認してからクラムはうつ伏せ姿勢から反転して、仰向けに寝転がる。首周りの飾り毛が簡易な枕のような役割をしてくれていて、意外と首が楽だ。ガチゴラスの新たな発見である。床の上に大の字で寝転がってみるのも案外悪くなかった。
「なあカッツ、俺はどうすりゃいいよ?」
「んー、悪いけど私に聞かれても……っ!」
 こちらを振り返ったカッツは一瞬驚いたように目を見開いて、そのままばつが悪そうに視線を逸らす。一体どうしたというのだろう。何か変なことでも言っただろうか。
「クラム、その。ダインの体であんまり……」
「ん?」
 カッツに視線で促されてようやく気がついた。仰向けで両足も投げ出していたせいで、尻尾の付け根にある縦のライン。ダインのスリットの部分がくっきりと見える状態になってしまっていたことを。ああ、なるほど。カッツが明らかに動揺していたのはこのせいか。どうも自分の体がポケモンになっているという感覚がクラムは掴みきれていない。近くでこんな格好されたら目のやり場に困るというのは納得がいく。ダインが寝そべる姿勢がうつ伏せばかりだったのは、仰向けだと丸見えになって恥ずかしかったからなのかもしれない。
「ああ悪い、気付かなかった」
 反動をつけ、再度うつ伏せになろうとしてクラムはふと気がついた。一度は逸らしていたカッツの視線が、再び尻尾の方へと向けられつつあることを。あまり凝視する訳にはいかない、だけど気になってしまうからちょっとだけ。そんなところだろうか。さりげなく見ているつもりでも、クラムから見ればばればれであった。
「気になるのか?」
「そ、そりゃちょっとは」
 やんわりと顔を赤くしつつも、カッツはあからさまな態度で否定したりはしなかった。正直なことは良いことだ。向けられている視線はもはやしっかりとスリットの部分を捉えてしまっている。たぶん気になるのはちょっとじゃないな。かなりだ。
「……そういやダインのがどうなってるのか、俺も直接見たことないんだよな」
 背中や頭部の皮膚に比べると若干の柔らかさが残るお腹の部分。灰色の腹部を下へ下へ進んだ先にある縦の切れ込み。ちょうど尻尾が始まる境目辺りか。ダインのお腹自体、まじまじと眺めたことがなかったような気がする。こんな色だったんだ、そして意外と柔らかいなと妙なところでクラムは新鮮味を覚えていた。
「ちょ、ちょっとクラム」
「俺も気になるんだよ。ガチゴラスの体がどうなってるのか」
 クラムはやや前のめりになって、片手を股間の方へ伸ばしていく。さすがに慌てた様子を見せたカッツも、彼の行動を止めはせず。むしろ足元の方まで近づいてきてしまっているのだから、それに対する興味からは逃れられなかったらしい。横でじっとカッツに見られていても、不思議と恥ずかしさはなかった。やはり自分はクラムで今はダインの体だからという認識があったからかもしれない。入れ替わった借り物の体で何を勝手に、とダインには怒られるかもしれないが。思うように打開策が見えず煮詰まっていた思考と、悪い好奇心はクラムの二本の指をそっとスリットへと走らせていたのだ。
「んっ……!」
 傷つけてしまわないように軽く爪を差し込んだ。それだけだというのに。ぞわりとした感覚が背中を駆け抜けていった。もちろんクラムも溜まってきた欲求を発散させるために、自慰行為を行ったことは何度もある。ただ、人間の体で感じたものとは明らかに違う何かがここにはあったのだ。少なくとも軽く触れただけで思わず声を上げてしまうようなことは過去に一度もなかった。
「く、クラム。どうしたの……」
「いや、これは」
 クラムはベッドの上で眠っているダインの方をちらりと見やる。掛けられた布団が軽く上下していることから、まだまだぐっすり眠っていることが伺える。もともとダインは寝つきが良い。一度深い眠りに入ってしまえばなかなか起きたりはしないはずだ。そう信じて、クラムはスリット内部へと潜入させた爪をくにくにと上下に動かしていく。時折こぼれてしまいそうになる喘ぎ声を必死で口元で噛み殺しながら、繰り返し。次第にスリットはぐっと左右に広がり、中からピンク色をした一物がにゅるりと外へ顔を覗かせてきた。ガチゴラスというポケモンは本来の体の大きさもあるので、それに伴って雄も大きくなるのは理にかなってはいる。叶ってはいるのだが、ダインのそれは少々その範疇をはみ出してしまうくらいのサイズ感があったのだ。
「うわあ……す、すごい」
「お、おお……」
 クラムもカッツも初めて目の当たりにするダインの肉棒。スリットから這い出してきた直後で、まだ完全ではないとはいえカッツの身長に勝るとも劣らない大きさ。臨戦状態になれば彼女を追い越してしまうのではないだろうか。カッツはもちろん、クラムでさえ股間にある抜群の存在感に息を呑まずにはいられなかった。普段のダインからは、どの辺りがぼうくんポケモンと呼ばれるガチゴラスなのか想像もできなかったが。彼が今まで隠し持っていたそれは、立派にぼうくんの名をほしいままにしているようだ。もともと穏やかでのんびりとしているダインのことだ。性的な事柄に積極的というわけでもなさそうだし、雄のサイズばかりが逞しくても活躍の機会がなく持て余していたのかもしれない。この異常なまでの感度の良さは、ダインがほとんど自分で触れていなかったからなのではないだろうか。久々に外の空気が吸えて嬉しいのか、ダインの一物は己の存在を誇張するかのようにひくひくと揺れ動いていた。
「ね、ねえ、クラム。さ……触ってみてもいい、かな?」
 カッツの目が輝いている。息も少し荒い。普段は冷静な彼女でもこういった好奇心には抗えないらしい。自分の手で触っただけで背中がざわつくくらいなんだ。きっと他の誰かに触れられたらもっと。思わず快諾しそうになって、すんでのところでクラムは言葉を飲み込んだ。
「……いいのか、カッツ。今、俺はダインじゃないんだぞ」
「ど、どういう意味よ」
 外見はダインでも中身はクラム。つまり本当のダインというわけではない。言葉通りの意味を伝えたつもりだったんだが。カッツにはぐらかすような態度で示されたのならばいた仕方なし。クラムの手持ちになってからカッツとダインとも付き合いは長い。自分のポケモンたちの心の動きもそれなりに把握しているつもりだった。
「いや。お前がいいならいいさ」
「言ってる意味が分からないわね……」
「そうか。ならこれ以上聞かねえ。好きにするといい」
 クラムが直接的な言葉で言わなかったのは、カッツがむきになって否定するのが分かっていたから。もう一つは、ダインの感度のままでカッツに触れてもらえることをクラムもどこかで期待していたからだ。ダインに悪いなという気持ちを抱きつつも、一度動き始めた欲望にはブレーキを掛けられそうにない。カッツが雄へと手を伸ばしてくるのを見つめているクラムの口元は吊り上がっていた。

―5―

「じゃあ、遠慮なく……」
 とは言いながらも、クラムの方へと差し出されたカッツの手は結構な躊躇が見て取れた。もちろん興味はあれど、初めて目の当たりにしたもの。未知の事柄に関する不安は彼女の中にもあったのだろう。スリットの外へ這い出したダインの一物に触れたカッツの勢いはかなり控えめだった気がする。それでも彼女の小さな手が密着した瞬間、クラムの下半身にはぞわりとした感覚が広がっていた。自分の爪でスリットの入口を弄っていたときとはまた違う。ダインの片手に腕まですっぽりと収まってしまいそうなカッツの手でも、感触は十分すぎるくらいだ。
「ずいぶん熱い……へえ。こんな感じなんだ」
 自分の手を介して伝わってくる雄の感触に興味津々なカッツ。いつにも増してその表情は生き生きとしているように見えた。口元はだらしなく半開きになって、微かに笑みが浮かび上がっている。普段は何かにつけてつんとしていて澄ました態度でいることの多いカッツの新たな一面を垣間見た気がした。などとクラムが冷静に彼女を観察していられる時間はそう長くはなく。
「んおぅっ」
「ふふ、ほんとに、敏感なんだあ」
 一度触れてしまえばもう恐れるものなどなくなってしまったというのか。さわさわと表面を撫でるカッツの手つきに遠慮がなくなってきていた。さらには彼女のもう片方の手も合わさって肉棒の裏側の部分を擦られはじめたのだから堪らない。簡単に目を覚ますようなことはないと思うが、寝ているダインのこともある。できるだけ声を上げまいとしていたクラムの努力も虚しく。これまでろくに日の目を見てこなかった故に敏感すぎるダインのそれは、クラムが耐えることを許してくれなかったようだ。
「か、カッツ……ま、待て。んひっ」
 おそらくクラムの静止はカッツに聞こえていなかったわけではない。視線が合ったとき、クラムに意地悪く笑ってみせたのがその証拠。手に取るように反応を示すクラムを前にしているうちにカッツも段々と歯止めが効かなくなっている感じがした。荒くなってきた彼女の吐息が完全に勃起したダインの肉棒に降りかかるのをクラムは確かに感じていたのだ。先端からは既に先走りの雫がとろとろと流れ始め、大きな大きなダインの雄の表面をぬらりと光らせている。せっかく感度の良い体を経験しているのだ。どうせならもう少し、ゆっくりじわじわと楽しみたいというのがクラムの本音。そんな彼の想いに反してカッツの手つきは徐々に激しさを増していく。暴走しかけた彼女を静止しようにも腕や腰に全く力が入らなかった。
「あっ、そ、それ以上はっ……あっ」
「ひゃっ」
 クラムの今までの経験上、この感覚ならばまだ持つと思っていた。こみ上げてくるものはあれど、限界ぎりぎりのところではない。多少は余裕はあるだろうと。その考えはどうやら甘かったようだ。感じ始めてから発射までの許容期間が異様なまでに短かった。カッツの手つきがすごかったとかそういうのではなく、ダインの雄が相当敏感だったらしい。ほとんど暴発に近いような感じでクラムは先端から勢いよく精を撒き散らしてしまっていた。カッツの両手に軽く押し上げられていたため先っぽがちょうど真上を向いていて、噴水のように飛び出した大量の精液が辺りを白く染めていく。
「あっ、かはっ……うあっ」
 視界が定まらない。近くにいたはずのカッツの姿を上手く捉えられないくらい。それでも大げさに声は上げまいと必死になっていたような気はする。奥から奥から次々と溢れ出していく白濁液。震える肉棒に伴って、次々と押し寄せる快楽の波。意識を飛ばしてしまいそうなくらいに、衝撃的で、刺激的で、ただただ心地良い。そんな感覚。ダインの体はやばすぎる。それくらいの感想しか今のクラムには抱けなかった。
「うわぁ……す、すごい」
 カッツの声でようやく意識がこちら側に戻ってきた。クラムは慌ててベッドの方へと視線を送るが、横たわったダインは相変わらず呑気に寝息を立ててくれている。結構派手に喘いでしまったにも関わらず、物音を気にして寝返りを打つ気配すらない。このときばかりはダインの深い眠りに助けられていた。もし今の状況で彼が起き出してきたらと思うと、目も当てられない。ひとまずその心配はしなくても良さそうな感じだった。
「あ、あぁ……やっちまったなぁ」
 自分たちの体だけでは到底収まりきらず、床のいたるところにまで飛び散った白、白、白。時間が経つにつれて次第に色を失いつつある箇所も。幸い部屋の中は土足で歩き回れるコンクリートの床だったため、後で念入りに拭き取ればどうにか収拾はつきそうだった。絨毯の床でなかったことを心から安堵するばかりである。カッツの方はというと、頬や頭に降りかかったダインのそれを別段嫌がる素振りもなく不思議そうにわざわざ手に取って見つめている。
「気持ちよかった?」
「おお。やべえなこれ……」
 正直まだ下半身には達した後の感覚が残っていた。人間の体のときは心地よさが引いていくのはあっという間だったのだが、ダインの体はそれが長い。ぼんやりしていると無条件で顔がだらしなくにやけてしまいそうな、だらだらとした快楽。それがずっと肉棒にまとわりついているような、そんな感じだった。
「ね……ねえ」
「何だよ」
「えっと、その……」
「はっきり言ってくれないと分からねえぞ」
 クラムはダインほど鈍感ではない。カッツが何を伝えようとしていたのかは概ね理解はしていた。おそらく、直接声に出していうのは憚られる内容だからカッツはもじもじしているのだ。彼女の雰囲気を察しつつもクラムがあえて口に出させようとしていたのは。愛撫を止めようとしたにも関わらずカッツに撫でるのを続行させられて、暴発することになってしまったクラムの遠回しな仕返しも含まれていた。
「もうっ。今度は私に……して、欲しい」
 微妙に目を逸らしながらのおねだり。少しばかり誠意が足りないんじゃないかと思いはしたが、ものすごく貴重なしおらしいカッツの姿なのでそれでよしとしよう。快楽に喘ぐダインの姿を見るうちに、カッツも興奮してきてしまったらしい。頬を紅潮させて、片手を股の方へ当てているカッツは想像以上にいやらしかった。雌に飢えている雄ならば生唾が湧き出すのを抑えられなくなりそうなくらいには、扇情的だった。あんまり焦らしてもまた怒らせてしまいそうだし、ここら辺りでクラムは要望を呑んでやることにした。
「いいぜ。でも、入らねえぞ」
「分かってる。私、仰向けになるから。擦りつけて……欲しいの」
 硬いコンクリートの床の上。飛び散った白いのを気にもとめずにごろりと仰向けになるカッツ。躊躇いを匂わせない、期待に満ちた眼差しでこちらを見上げてくる無防備な姿。どうやらダインのこれが欲しくて欲しくて仕方がないようだ。派手に弾けてしまった割にはそこそこの強度は残っている。まだ、戦えそうな感じはあった。ダインのものを使うのも、カッツに押し付けるのも初めてで勝手はあまり分からないが、おそらくやってやれないことはないだろう。とはいえ、ガチゴラスとニャオニクスでは数倍くらいの体格差がある。一歩加減を間違えれば大怪我をしかねないはずなのに、こうして身を任せてくれているカッツ。差し出された雌の姿に突進していかなかったのは、ダインの姿になってもトレーナーとしてのクラムの気概が色濃く残っていたからか。あるいは、元々心穏やかなダインの心がクラムが暴走しないようにどこかで抑えてくれていたからなのか。真相は分からない。それでも、彼の中に雄としての劣情よりもカッツを大事にしてやりたいという気持ちの方が強く湧き上がってきたのは事実。おそらく初めての大胆な立ち振る舞いで、ややこわばっていたカッツの体の緊張を解してやる意味合いも込めて。クラムは彼女の小さな頬をぺろりと舐めてやったのだ。

―6―

 全く別のニャオニクスを相手にしているのではないかと錯覚してしまいそうなくらい、カッツの普段の勝気な態度はどこへやら。だが、これはこれで見下ろす側としてはかなりそそられるものがあるのは事実。クラムはもう一度だけ彼女の頭の先端から胸元、お腹、そして股から足先のほうまでじっくり眺めまわしてから腰を上げた。人間の体だったときはカッツのことを性的な対象として認識していなかったが、今の状況では見え方もまた違ってくる。彼女の小さな内腿や筋に自分の物を擦りつけたら一体どんな感覚なのだろうかと、試してみたくて溜まらなかった。先ほどは手の動きだけで呆気なく弾けてしまったが、直後の二回戦ともなれば多少は刺激に耐性が付いているはず。ただし、ダインの体は未知数なところがある。二、三度擦っただけで終わりにならないことだけは願うしかなかった。位置取りは大体こんな感じで良いだろうか。このまま腰を低くすれば、だいたいカッツの太腿と股の辺りに一物があてがわれるようになる。と、せっかくだしその前に。必要ないかもしれないが準備運動も兼ねて。クラムは大きな舌を小さなカッツの筋に這わせてやった。
「ひゃうっ……」
 思いがけず漏らしてしまった嬌声。慌てて両手を口元に当ててみるも時すでに遅し。しっかりとクラムの耳には届いていた。予想していたよりも遥かに可愛らしい反応だ。ほんのりと湿っていたように感じられたのはクラムの唾液か、あるいは。
「カッツもなかなか可愛い声出すんだな」
「な、何よ。普段は可愛くないとでも?」
「そんなこと言ってねえよ。別の可愛さ、って奴だなこれは」
 基本的には口を横一文字にきゅっと結んでいて笑うことの少ないカッツだが、時たま垣間見える彼女の笑顔にクラムが可愛さを感じることはあった。ダインみたいにいつも穏やかな表情をしてればもっと愛らしいのにと思うこともあれど、生まれ持った自身の性質はなかなか変えられるものでもない。それはそれとして、現在進行形でクラムが感じているのはカッツの雌としての愛おしさ。トレーナーが手持ちのポケモンに抱く感情とはまた方向性が違うのだ。
「じゃ、行くぜ」
「う、うん」
 大きな期待の中にもどこか不安が入り混じった瞳でカッツは見上げてくる。心配しなくてもそんなにぐいぐいと攻め込むつもりはない。慣れないダインの体は加減が分からないし、何よりさっきみたいに暴発してしまうのはごめんだ。今度はカッツに主導権を取られずに自分のペースで進められるから、焦らず慌てず慎重に。数分前派手に出したばかりだというのにダインの一物は疲労を感じさせない張りが戻りつつあった。カッツを眺めたり、触れたりしているうちにすっかり第二ラウンドに持っていけるくらいの状態にはなっている。やっぱりダインの体ってすげえなと思いつつ、クラムはゆっくりと腰を落としてカッツの筋に肉棒の裏筋を押し付ける。さわさわとした短い毛のあるカッツの太腿の感覚は、手で触れられたときとはまた別のもの。クラムの思い当たる限りでは直接触った記憶はなかったものの、一物を通して伝わってくる感触は引き締まった中にも程よい柔らかさがあって具合は悪くなさそうな感じがした。
「熱い……な」
「熱い、ね」
 触れている割合にすれば僅かであろう、小さなカッツの雌。それでもクラムの裏筋に太腿とは違う、ひときわ熱を帯びた存在感を残していた。ガチゴラスとニャオニクス。埋めようのない体格差があるので、一般的な行為の形を取るのは非常に難しい。ただ、このときクラムは確かにカッツとの繋がりを感じていたのだ。型にはまった直接的なやり方でなくとも、お互いを感じあう方法はいくらでもある。
「動かす、ぞ」
「んっ……あっ」
 カッツの割れ目に沿うようにして、クラムは肉棒を前後に擦り上げる。どの辺りが太腿でどの辺りが雌の感触なのかは混じってしまっていてあまり判断が付かなかった。ただ、カッツの手で撫でられていたときよりは遥かに密着している部分が多い。自分で動かしている分、触られているという感覚はなくともこれはこれで刺激的だった。何度か擦り続けるうちに、早くも下半身に込み上げてくるものを感じ取っていた。あれほど噴水のように出しておきながら、まだまだ余力があるとは。本当にダインの体は素晴らしい限りだった。
「あっ、いいっ……も、もっとっ」
 すっかり蕩けた表情のカッツがクラムの行為を促してくる。快楽に溺れかけた淫らな顔つきで羨望され、クラムの動きも加速していく。カッツの股から太腿にかけてはいつの間にやらぐっしょりだった。湿らせている原因がクラムのものかカッツのものかは、もはや判断が付かない。カッツの激しい誘惑に触発されたクラムが腰を強く前後させ始めてから、彼女が一際大きく体をのけ反らせるのに、そう時間は掛からなかった。
「はっ、だ、だいっ……んあぁっ」
 声を抑えねばならないという意識は辛うじて残っていた理性が働きかけてくれたのだろう。涙目になりながらも両手で必死に口を押えて、それでも口元から次々と溢れてくる喘ぎを抑えることは叶わず。クラムが最初に果てたときまでは行かずとも、カッツの絶頂もかなりのものだったようだ。こればかりは大きなダインの一物が仇になって、彼女が愛液をまき散らした瞬間を目の当たりにできなかったのは残念ではある。もちろんカッツの悲鳴と、クラムが押し当てていた雄にじんわりと生暖かいものが広がっていくのを感じたので、果てたことは十分伝わってきてはいた。
「あぁ、お、れも……うおっ」
 クラムが良い具合に昂ってきていたところに、どうにか喘ぎを堪えようとするカッツの表情が起爆剤にならないはずがなく。彼女が達してから二、三度腰を動かしていないにも関わらず、彼も後を追うように果ててしまった。肉棒を押し付けられていたカッツは当然直接浴びることになってしまい、頭の飾り毛や胸元の毛の青い部分がみるみるうちに白く濁っていく。ああやっぱりダインの奴かなりの早漏なんだなという評価が頭を掠めながらも、射精に伴う快感には抗えず。二回目とは思えないくらいの心地よさにクラムはうっとりと目を細めることしか出来なかった。量もそれなりに出たような感覚が下半身を通じてぼんやりと広がっていく。カッツと仲良く共倒れになってすっかりぐちょぐちょになってしまったこの状況。まだ眠っているであろうベッドの上のダインにちらりと視線を送って、こりゃあとてつもなくやばいなと認識しながらも。じわじわと自分たちを包み込んでいく快楽はどうしようもない。クラムもカッツもふわふわした笑みを浮かべながらお互いの顔をしばらくの間見つめ合っていたのだ。

   ◇

「だいたい取れたか?」
「たぶん。においも残ってないし」
 部屋に取り付けられていた浴室でクラムはシャワーを片手にカッツを洗っていた。もちろん、人間の姿でだ。想定外のスキルスワップの効果。前例がない事態にクラムも焦っていて、とにかく解決の手立てを探らねばと躍起になりすぎていたのかもしれない。下手にパソコンで調べてしまった結果、取り留めのない情報ばかりが頭の中で錯綜して深みに嵌ってしまっていた。スキルスワップの効果の基本的な部分。場に出ているポケモンがモンスターボールに戻ると、効果が切れるということをクラムは完全に失念していたのだ。ちょうどクラムの鞄の口が開いていて、モンスターボールが取り出せる状態だったのが幸いだった。ダインの不器用な手でもどうにか取り出せて、開閉スイッチを操作できたのだ。ボールから発せられた淡い光に包まれた後、クラムが目を開くとそこはベッドの上。見覚えのある手、肩、足。ほっと大きく安堵の息が零れたのをクラムはっきりと覚えている。モンスターボールのおかげで無事に人間の姿に戻れたのだった。仕組みは未だに分からない部分が多いが、モンスターボールの素晴らしさを再認識した瞬間であった。
「調子に乗りすぎね」
 両手で頭の飾り毛や胸元の毛の辺りを念入りに擦りながらカッツはぽつりと言う。落ち着き払った普段の彼女の声。シャワーの温度はぬるめだったが、頭はすっかり冷えていたのだろう。結構派手にやらかしてしまった個所ではあるから、入念に洗っておくべきなのは間違いない。体の青い毛の部分は普段からカッツが手入れに気を遣っている部分。思いっきり汚してしまって後でひどく怒られるかもしれないという懸念があったのだが、意外にも彼女はクラムを咎めたりはしなかったのだ。青い毛が濁ってしまったのも一連の行為の中、しかるべき結果だったという認識があったからかもしれない。
「それはお互い様、ということで」
 シャワーの蛇口を捻って止めると、クラムは苦笑いを交えながらバスタオルをカッツに被せてわしゃわしゃと濡れた体を拭っていく。表面積がそれほどでもないし、毛も短めなので割とすぐに乾いてくれるだろう。ひとまずカッツに関しては収拾がついた。後は床に飛び散ったり、浴室に向かう途中にカッツから垂れ落ちたダインの残滓は丁寧に拭き取ったからそこまで痕跡は残っていないはず。お互いに達した後の余韻が引いてくるにつれて、これは最悪の状況に近いと気が付くのにそんなに時間は掛からなかった。眠っているダインがふと起きだしてきてこの光景を見てしまったらそれこそ大惨事。いくら寝つきが良いと言ってもいつまでも眠っていてはくれないだろうし、それまでに何とかしなければならない。後戻りが出来ない環境で追い詰められたからこそ、モンスターボールに戻してみるという基本的な判断を下すことが出来たのかもしれない。
「あとはダインが気が付くか否か。どう思う?」
「……さあ。こういう事後の雰囲気に敏感な感じはしないけど、たまに妙に鋭いところがあるから」
 それはある。今回も部屋を出て行ったカッツの居場所をぴたりと当てて見せたり。クラムやカッツとはまた別目線での勘の鋭さは確かにある。ただただ能天気でおっとりしているだけでもないのだ、ダインも。一応クラムもモンスターボールを試す直前に、ダインの体に残っていた痕跡に関しては証拠隠滅を図っておいた。体が体だけにちゃんと拭き取ったりはできなかったが、幸い飛び散ったのは大半が床とカッツに向けてだったのでおそらく気づかれないのではないかと思う。というかそれを願うしかない。
「もし怪しまれたら、上手くごまかすの手伝ってくれよ」
「なんで私が……と言いたいところだけど。まあ、私に出来る範囲でなら」
 カッツもカッツで、体を乾かすことになってしまった原因はクラムだけではないと理解しているらしい。彼女の方から積極的に参加してしまったという負い目は少なからず感じているようだ。それを差し引いてもカッツがあっさりと協力に応じてくれたことは意外ではあったのだが。
「連帯責任だな」
「あれは不可抗力、よ。……それに、結構楽しかったしね」
 カッツはぼそりと小声で。少しだけ照れ臭そうに。シャワーを出しっぱなしだったら水音に掻き消えて聞こえていなかったかもしれないくらいの声。ああ、楽しかった。確かに楽しかった。あれは人間の体では絶対に味わえそうにない。スキルスワップの誤作動なんて、狙ってできるものでもなさそうだし。ひょっとすると二度とクラムには巡ってこない体験かもしれない。だが、カッツならば。
「次は入れ替わった俺じゃなくて、本物のダインと出来るといいな」
「なっ、なな、何言ってるのよクラム」
 明らかな動揺。不機嫌そうな仏頂面をしていることが多い反面、ふいに転がり出たカッツの感情はかなり分かりやすい。本人は気づいていなかったかもしれないが、果てる瞬間カッツはクラムではなくダインの名前を呼んでいた。中身はクラムでも、姿はダイン。一連の行為をダインとのものに置き換えていた部分が少なからずあったのではなかろうか。クラムもトレーナーとしての経験はそれなりだ。手持ちのポケモンたちの心の動きはある程度把握しているつもりだった。
「茶化してるつもりはねえよ。……応援してるぜ」
「余計なお世話。でも……ありがと」
 やっぱり素直になりきれない面があるのは致し方なし。それでもいつかはダインに気持ちを伝えられることをひっそりと願いつつ。クラムは乾かしたカッツの頭をそっと撫でたのだ。

 おしまい


・あとがき

・この話について
ふとしたアクシデントからポケモンと体が入れ替わってしまったトレーナー。入れ替わったポケモンの体の具合が思いのほか良くて、そのまま欲望に流されるままに官能シーンへ……という流れを最初に思いつきました。入れ替わりネタは以前から一度書いてみたかったお話ではあります。体が入れ替わってしまう手段はスキルスワップの誤作動に落ち着いた感じです。ちなみにガチゴラスとニャオニクスというカップリングはwiki本3に乗せる小説案の第2候補になっていて没になった話から引っ張ってきたという裏話が。ガチゴラスの初出は第六世代。発売から結構経ちますがようやく書いたことのないドラゴンタイプを登場させることが出来ました。

・クラムについて
トレーナーは男性にすると決めていました。割と砕けた感じで話すタイプで、ダインにもカッツにも分け隔てなく接する感じです。入れ替わった体で行為に及んでしまったのは、カッツに求められたのと、ガチゴラスの体を試してみたくなったのとの両方でしょうか。普段はカッツのことを別に性的な対象として見ているわけではありません、念のため。

・ダインについて
ガチゴラスの雄。ぼうくんポケモンにそぐわないのんびりおっとりした感じの性格。入れ替わったときの対比を出したかったので、このようなキャラに決まりました。眠ることが大好きでいつかベッドで眠ってみたかったという夢が叶ってご満悦。寝ている間に入れ替わったクラムとカッツがえらいことになっていたとは文字通り夢にも思わないでしょう。話の都合上、後半は中身がクラムの状態でしか出番がなかったですね。

・カッツについて
ニャオニクスの雌。性格はイメージ通りのツンデレ系。隠れ特性がかちきなのもぴったりだと思います。序盤でダインへの仄かな思いを匂わす描写をしつつ、結局中身がクラムのままのダインと行為に及んでしまう流れは、書いておきながら若干の罪悪感が。まあ普段できないことを入れ替わった体で楽しむ、というのが入れ替わりネタの醍醐味ではあります。ガチゴラスとはかなり体格差があるので、そういった面に気を遣う描写もなかなか書いていて楽しかったです。

【原稿用紙(20×20行)】 62.5(枚)
【総文字数】 22233(字)
【行数】 269(行)
【台詞:地の文】 12:87(%)|2726:19507(字)
【漢字:かな:カナ:他】 32:61:8:-2(%)|7216:13650:1969:-602(字)

最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。


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  • スキルスワップを使った入れ替わりネタとは、また面白そうなお話ですね……!
    まだまだ始まったばかりですが、今度どんな展開になっていくのか楽しみです! -- クロフクロウ
  • 一度入れ替わりネタ書いてみたかったんですよね。それにスキルスワップを引っ張ってきたような感じです。
    感想ありがとうございました。久々の連載になりますがどうかよろしくお願いします。 -- カゲフミ
  • おいクラムさんやめろカッツさんも何乗り気になってるんですかちょっとちょっとちょっと、やめたげてよぉ!!!!!(((
    これを知るであろう後のダインさんの心境やいかに。

    行動はさておき、感情面を示唆させるものがありますよね。まるでダインさんとカッツさんは双方ほんのりと特別な好感を抱いているかのような、少なくともクラムさんは双方の間柄をそう認識しているかのような。
    ダインさんがカッツさんのことを"よく見ている"というのは、そしてカッツさんが、ダインさんの"無邪気なにこにこの笑顔"に刺々しい態度を鈍くするというのは――なるほど、そういう……? --
  • ダインはそういう事柄に疎そうな感じなので、カッツにしてもクラムの立ち振る舞いにどきどきしてしまった面はあったのかもしれません。
    クラムもクラムでガチゴラスの体はなかなかに具合がよかったようで止められそうになかったという感じでしょうか。
    まあ官能シーンはまだまだ始まったばかりなのでのんびりお付き合いいただければと思います。
    感想ありがとうございました! -- カゲフミ
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Last-modified: 2019-10-07 (月) 21:21:50
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