作者名:風見鶏 ?
作品名:失われた感情6
前作:失われた感情1 ?
失われた感情2 ?
失われた感情3 ?
失われた感情4 ?
失われた感情5 ?
失われた感情6 ?
失われた感情7 ?
・官能表現があります、苦手な方は退避してください。
目の前には顔を伏せたままのフィアがいる。
僕は、いったいどうなってしまったのだろう?
体がまったく言うことを聞かない。
夢のなかにでもいるような、自分の体ではないような感覚。
どういうことだ、いったい何をした?
問いただそうとしても言葉が出ない。
それどころか、意識が遠くなってきた。
「おやすみ、フィフス」
誰かがそういった。
誰かが、僕の体を愛撫している。
感じたことはないけれど、まるで母親に守られているようなやさしさ。
でも、その手は、少しだけ震えている。
やがて、僕の体から手が離れ、ぬくもりが離れていく。
いったんぬくもりを覚えてしまえば、そこに残るのは、寂しさだけだ。
「目が覚めた?」
おぼろげな意識のなか、聞き覚えのある声が響く。
この声は……、いけない。
だが、体は思ったような反応はしてくれなかった。
「……」
目の前の敵に、声を上げようとするが、それもできない。
「まだ頭がさえない感じ? 仕方ないわね、痺れ薬をのんだんだから」
そうか、痺れ薬を飲まされたのか、だから。
声の主はレイだった。
なぜ、ここにいるのか、どうしてジュースの中身の詳細を知っているのか。
聞きたいことは山ほどある。
「あなたが何を思っているか、大体はわかるわ、教えてあげる」
表情一つ変えないで、レイは静かに言葉をつむいでいく。
「……あなたもうすうすわかっているんじゃない?」
その言葉を理解したくはなかった。
「フィアは、私たちの仲間よ」
瞬間、どこかから息をのむ気配がした。
「正確には、フィアの姉、シアが私たちの正式な仲間だったけどね。
フィフス、あなたも聞いていたはず。私たちが四匹組のチームだってことを。
いずれにしても、警戒するべきだったんじゃない? いまさら、遅いけどね」
淡々と話すレイの後ろで、フィアの姿があった。
「フィフス、悲しいでしょうね。でも安心して、すぐに楽にしてあげるからね」
のしかかるような体制でレイは体を密着させてくる。
「もうあなたを生かしておく必要もないから」
「……!」
その言葉に、凍りつきそうになる。
「大丈夫、苦しくなんてないよ。たぶん、何も考えられないまま死んでいくから」
その言葉のあと、レイはフィフスの唇を無理やり奪った。
二匹の舌が絡まりあう音が、洞窟の中に響く。
「手が早いのね」
しばらくたったあと、また聞き覚えのある声が聞こえた。
そして、ようやく長い接吻から開放される。
「もう、私たちに残された時間も、短いからね」
レイの背後にはルゥが目を細めたたずんでいた。
心なしか若干やつれて見えているのは気のせいではないだろう。
「そう、ね、リオのほうは戻ってきているのかしら? 姿は見てないけど」
そうつぶやくルゥの瞳が怪しく輝く。
半ばぐったりしながら見つめていたフィフスは確信していた。
本当に、殺される。
死にたくない。
そう思っているのに、体のほうはまったく反応してはくれなかった。
「リオは、子供たちを船に運んで行ってるところよ。そのうち戻ってくるわ」
……子供?
「……言ってなかったわね。私たち、あなたとの子を産んだのよ、少し前にね」
一瞬理解できなかった。
頭の中が真っ白になる。
「……まぁ、その子供を見ることもないけどね」
そういうとレイは再びフィフスを抱き、熱い口づけをする。
「んぅ……!」
口をこじ開けられ、容赦なく舌を絡ませられる。
「ん……ふ……ぅ……ん……」
だんだん焦点が合わなくなる。
やがて唇が離れ、自由になったとたん、僕は力なく倒れこんでしまった。
僕は、完全に彼女たちの思うままになってしまうのだ。
そんなのいやだ。
「フィフスのほうも、もう準備ができているみたいね」
皮肉にも、体のほうはもう完全に調教されてしまった。
もう、快感に抗うこともできない。
「私ももう我慢できない」
レイの体が、フィフスにのしかかる。
そして、いやらしい音とともに、フィフスの肉棒はレイに飲み込まれた。
「あぐっ……!」
「ん……ぅっ!」
しばらく二匹は硬直する。
だが、しばらくして、レイが体を激しく揺さぶり始めた。
動けないフィフスにとって、その行為はただひとつの感覚。
強烈な快感がフィフスを襲う。
「うああああっ!」
悲鳴とも嬌声とも言えない声でフィフスはあえぐ。
「んん……く……!」
同じくレイも、欲情に満ちた表情で快楽をむさぼっていた。
「あ……!」
限界が訪れる。
「うっ……あああっ!?」
子種がレイの子宮に注がれる。
まるで意識が溶け出していくような、そんな感覚に襲われる。
快感の、虜になってしまう……。
「あ……は……あぁ……」
知らずのうちに、僕は甘い声をあげていた。
そんな、快感に浸るわけにはいかないのに。
「……もっとほしいの?」
思考をさえぎるようにレイが問いかける。
動くたびに、飲み込まれている肉棒が締め付けられ、なんともいえない快感が再びフィフスを縛り付ける。
「いいよ、おいで」
再び、唇は奪われた。
あと何度、僕はレイと舌を絡ませあうのだろうか。
そのさなか、一瞬だけ唇が離れる。
「一緒に、堕ちよう。何もわからなくなるところまで」
その言葉は、狂気が宿っている。
だが、それ以上に深い、レイの悲しみ、絶望、そして見えない何かを求める渇望があった。
レイが忘れたなにか。
「ん……ぅ」
言葉を交わせるならば、伝えたい。
もし、言葉がレイに届くならば。
「――っ!」
だが、その思考さえ、もう、押しつぶされる。
快楽の衝撃で、体がのけぞり、唇が離れる。
目が大きく開かれ、呼吸が苦しくなる。
フィフスの視界に入ったレイの瞳には、疲れ果てた表情の僕以外、何も写されてはいない。
むしろ、僕の姿すら、もう正確には捉えていないのかもしれない。
「んんっ――! う……はぁ……」
だんだんと、レイの吐き出す嬌声も獣じみてくる。
だが、そのさなかでもフィフスは確かに捉えた。
レイの頬には涙が伝っているのを。
忙しい時期なので更新のほうができない状況が続いております。
できる限り書いていくのでどうかよろしくお願いします。
コメントはありません。 Comments/失われた感情8 ?