作者:ウルラ
※この作品は百合(♀×♀)の官能描写を含みます。
帳が下りる頃、虫達は大合唱を始める。
これは、ある夏の夜のことだった。
月の光を浴びて妖しく揺れ動くのは
赤い目は妖艶でいて、されども決して揺らいではいない。
ただ一心に目の前の秘裂を前にして、舌なめずりをひとつ。
微かな冷たさを纏いつつも顔を火照らせ朱色に染めているグレイシア。
いつもは水々しい色をした彼女の顔も、今はただ赤くなっている。
キュウコンはそのまま目をゆっくりと瞑り、口からそろそろと舌を覗かせて。
やがて、その先端が秘裂にそっと触れた時、夜の営みは産声を上げる。
「んっ……」
少し擦れただけで甘美な刺激が、彼女の脳を揺さぶる。
脳は警告を発する。けれども体は求めていた。その刺激を、その先を。
舌で愛でるだけでは飽き足らない。
キュウコンは舌をゆっくりと秘裂の中に差し込んでいく。
「んんっ……」
警告すら忘れそうな、刺激が脳を支配するような。
不思議な感覚に囚われながら、彼女は抜け出せずにいた。
最初は中で舌をうねらせていたキュウコンは、今度は舌を突き出したり引き込めたり。
さながらそれは雄が雌にする行為にも似たものだった。
「ふっ……むぅっ……!」
声を堪えながらも体を時折震わせる。
体が浮いていくような錯覚に囚われて、快楽の虜になりつつある彼女。
やがて辺りに甘いにおいが立ち込め、秘裂を貪る舌から出る音も大きくなる。
キュウコンは濡れそぼった秘裂から顔を離すと、恍惚とした表情で自身の口元を舐め取った。
グレイシアは息を荒くさせ、次に来るものに恐れを持ちながらも、体は微かに期待の意を示していた。
その彼女の前に差し出されたのは、キュウコンの秘裂。
そう。二匹は同性。どちらも雌だった。
キュウコンが指示をしなくとも、何をしてほしいのかは、グレイシア自身が分かっていること。
グレイシアは薄らと濡れている秘裂に向かって舌を恐る恐る伸ばす。
小さな水音と共に、小さなグレイシアの舌が、秘裂の傍らにある小さな点に向かう。
「ああっ……!」
キュウコンは甘い声を惜しげもなく上げると、グレイシアの方を向いて、笑みを浮かべる。
それはキュウコンの無言の懇願でもあった。
グレイシアはさらにその点を攻め立てると、キュウコンは甲高い声で何度も鳴いた。
やがてキュウコンはそれに満足したのか、まだ絶頂すら迎えてもいないのにグレイシアの舌の動きを遮るように、自身の秘裂を彼女の口元から離す。
「はむ……んく……ちゅる……」
グレイシアの口に、するりとキュウコンの舌が滑り込む。
ざらついたキュウコンの舌が、彼女の口内を滑っていく。
歯をなぞり、舌の裏をなぞり、更には唾液をグレイシアの口内に流し込む。
彼女はキュウコンの舌を避けようとしてもなかなか避けられずに、逆に絡めてしまう。
それは更にキュウコンの舌使いを加速させることになった。
「ん……ぷはっ……」
ほんの数分間だけ口づけをする。
ただそれだけのことが彼女たちを興奮させ、熱を加えていく。
深い口付けを交わした後、キュウコンはそのままの体制で前足を下ろしていく。
その指先が触れた先は、グレイシアの秘裂。今度は指をゆっくりと差し入れる。
「あっ……んっ……」
舌よりも太く丈夫な指がそこに入り込んだことに驚きつつも、甘い声を上げるグレイシア。
もう声を抑えることは出来ないほどに快楽の海に溺れていて。
彼女はだんだんとこの行為を楽しみつつあった。
「はぁっ……んっ……やっ……」
ちゅぷちゅぷと音を立てて出し入れされるキュウコンの指をまるで愛しむように、じっと見つめながらも喘ぎ声を漏らす。
首筋を撫でる彼女の舌が。顔に掛かる生暖かく荒い息遣いが。秘裂から溢れ出した愛液のにおいが。
その全てが彼女を快楽の奈落へと引きずり込んでいた。
もう、後は絶頂を迎えるしかないのだ。
「んっ……はあ……」
くちゅ……と、やがて彼女の秘裂から指が離されると、名残惜しそうな声を上げてグレイシアはその指をじっと見る。
キュウコンもそろそろ彼女が限界であることは分かっていた。
そろそろこの行為を終いにする時。キュウコンはそう思った。
前足についた愛液を舐め取ると、キュウコンはゆっくりとグレイシアに覆い被さるようにして上に立った。
そしてゆっくりと体を下ろしていくと、自身の秘裂と彼女の秘裂とをぴたりと密着させる。
“貝あわせ”の状態になった二人は、荒い息をお互いに整えつつも、ただ静かに時を待っていた。
「あっ……」
ふとキュウコンの喘ぎが響く。
意外にも動き始めたのはグレイシアの方だった。
しかし彼女の目はしっかりとキュウコンを見据えていて。
快楽に溺れたのではなく、ただ単にキュウコンへの仕返しなのだろう。
いきなりの攻めの反転に驚いたのもつかの間、キュウコンはそれを幸いにと自分も腰を上下に揺さぶり始める。
「んっ……やっ……あんっ……!」
「ふっ……あはっ……んくっ……」
二つの声が木霊する。二つの水音も木霊する。
“あまいかおり”を部屋中に放つ二人の行為は、より一層激しさを増していく。
口を合わせ、お互いの舌を貪って、更には前足で乳首を刺激しあって。
擦れ合う秘裂からは愛液が止め処なく流れていた。
「あっ……あああっ!」
「んっ……あっ!」
大きな声を上げて、二人は達した。
重なり合った貝から潮が勢いよく吹き出して、二人と、そして床をしっとりと濡らしていく。
「はあ……はあ……はあ……」
肩で息をするグレイシアを余所に、キュウコンはもう既に息を整えていて、グレイシアの首筋を労わるように舐めていた。
やがて疲れ果てたのか、くたっとそのまま眠ってしまうグレイシア。
そんな初々しい彼女の姿を見てくすりとキュウコンは母親にも似た笑みを見せると、その隣でゆっくりと眠りにつくのだった。
「……片付けるの、俺なんだけどなぁ……」
二人が眠りについたその部屋の隅で布団に包まりながら、私は密かにそう呟いた。
...END
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