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多夫一妻

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多夫一妻
作者 トリブヌ
 


タイトル通り、1匹の雌狐(キュウコン)が3匹の夫達(グラエナ、ヘルガー、ウインディ)等と房事をする内容となっております。
それではどうぞ。





 深い深い森の奥、断層による崖に開けられた小さな洞窟があった。
そこには毎日狩りに出掛ける夫達の帰りを待つ、美しい金色の毛並みを持つ九尾の雌狐が棲んでいた。
自分達よりも格上の相手さえも連携して仕留め持ち帰る彼等の棲み家に近付く者はいない。
縄張りこそ広くはないものの、森の中で彼等を知らない者はいなかった。




 北風が森の中を吹き抜ける晩秋、その日は夫の1匹である黒狼だけが先に帰ってきた。
いつもなら獲物を捕らえたのは自分のお陰だ、お前がミスしなければ逃げられなかった、などと他愛ない揉め合いをしながら帰ってくるのにと、心配した雌狐は尋ねる。
「あぁ…ヘルガーが怪我しちまってな。…前脚を噛み付かれたらしい。大丈夫だ、ウインディに任せてある」
黒狼は溜め息混じりにそう答えると、愛妻が予め焚き付けておいた暖炉の前に座り込んだ。ふさふさの毛皮に覆われた雄健な肉体が優しく燃える炎に照らされる。
「毎年の事だが…この季節じゃ獲物も見つからない…。悪い、今日は獲れなかった」
滅入っている旦那の慰めにならないかと、雌狐は側に来ると身体を寄せた。冷静で落ち着いた、しかし凛とした色気を漂わせる声で囁く。
「夜食は貯蔵庫にある肉を食べればいい。それより、最近…ご無沙汰…じゃないか…?」
歯切れの悪い質問に黒狼は苦笑した。
「…お前も色好きだな。いいのか、他の二人を差し置いて…?」
「構わん…」
彼女は目尻を緩ませて答える。誰と何日に営むのか特に決まっていないのが、この巣穴のルールだ。夫に聞いておきながら、一番欲情しているのは他でもない雌狐である。
「…それじゃあ、遠慮なくやらせてもらうぜ」
暖炉のある居間の他には貯蔵庫と浴槽、そして寝床がある。個人の部屋などという大層なものは無い。今から冷えた寝床を暖めるには時間が掛かると判断し、夫婦は場所を移さず、暖炉の炎に負けぬ燃えるような情欲を交わした。




「…大分霞んでしまったが綺麗な薄紅色だな…」
向かい合って仰向けになった雌狐の秘貝を両前足の爪で左右に裂くと、理性を麻痺させる雌の匂いが漂った。外教に曝された肉襞がヒクヒクと揺れる。黒狼自身の影で奥までは見えないが、てらてらと妖しく光る粘着質な体液が滲み出る。
「早く…しないと、帰ってくる…」
彼女は凝視されたままなのが堪えられないのか、急かすように尻尾が僅かに揺れる。表情こそ気取ってはいるが我慢が限界に達しそうだった。
「……ん………っ、くぅ……!」
穴の周りを舌が這う。それと同時に上の突起を犀利な爪が引っ掛く。刺激は痛みだけでなく快感も伴った。
嬌声を圧し殺す雌狐も愛らしいな、と黒狼はしばしば上目遣いの視線を向ける。気持ち良いと答える代わりに、悶え苦しみながらも彼女も見つめ返した。
…じゅる、じゅぷ…
溢れ出る美酒を啜りながら、ざらついた舌を穴の奥へと滑り込ませる。美味しそうに喉を鳴らして貪る姿は吸血鬼そのものだ。惚気るような甘い息遣いが聞こえる。
肉壁を舌で擦ると、間もなく雌狐は痙攣して言葉にならない嬌声を上げた。
「………はぁ…はぁ、っ…………」
そのままぐったりしている彼女の眼前に反り立った逸物がぶら下がる。それは見る見るうちに膨張して鼻先に当たった。
「…自分だけ気持ち良くなろうだなんて狡いなぁ…?」
悪戯っ子の笑みを浮かべた黒狼は、互いに急所を愛撫出来るよう身体を水平に回転させ、跨がったまま腰をゆっくり降ろした。牙が当たるが気にしない。
「ん…ぅむ」
雌狐は抵抗せず従順にそれを銜える。
体勢的に旦那が腰を上下に振るのには無理があるだろうと思った彼女は、こちらから積極的に奉仕をしなければと、舌を絡めて堅物を丹念に舐め上げる。雄独特の味が口いっぱいに広がった。
…ぺろっ……くちゅ…
肉厚な舌を這わせる度に硬化していく。
膨張し切った根本の球はカゴの実を思わせる。いや、牙の痕が残らない辺り鋼鉄なのではと勘違いしそうな程だ。しかし鋼鉄と違い筋肉のしなやかさ、生物の温かみも感じる。
「…ふはっ、やっぱりお前は最高の妻だ……っ!」
最初こそ愉快そうに突起を嬲っていた黒狼も、久し振りの絶頂が近付くと息を荒げて腰を突き出した。鉄の管が膨らんだ。
「だ、出すぞっ!――くあぁっ!」
そう叫ぶが早いが、堅物の先端からサラサラの白濁液が迸った。雌狐が溢すまいと閉ざした口内で堅物は脈打ち暴れた。
数日間溜め込んだほろ苦い欲望を堪能した後、胃へと流し込もうとするも喉に纏わり付く。
絶頂を迎えた堅物は徐々に張りを失っていく。
 気付けば雌穴からシャワーを噴き出していたようで、恍惚とした表情の黒狼は雨に遭ったようにずぶ濡れになっていた。
雌狐は夫の滑稽な姿を見ると自然と優しい笑いを洩らしてしまった。




「おやおや、人が怪我したというのに呑気に閨事ですか?」
突然のドスの効いた唸り声に玄関を見れば、焔犬に負ぶさられた旦那が不機嫌そうに睨んでいた。
その黒い肌はなめし革の如く滑らかな感触で、背中には肋骨状、首元には髑髏の装飾が施されている。背負っている焔犬はきまりが悪そうに顔を赤らめて背けた。
彼は豪勢な黄色の体毛、虎縞模様の風格ある巨躯を持つにも関わらず、気が小さく恥ずかしがり屋なのだ。ただ、身体の大きさに見合う巨砲と質量感ある双玉が脚の間から見え隠れしている。
「…誘ったのは私だ」
驚きに毛を逆立てた黒狼が身を翻し、言い返すより早く雌狐が答えた。そして不気味な笑みを浮かべ手招きする。焔犬は側まで寄ると気を遣いながら髑髏狼(どくろ)を降ろした。
二人の時間を邪魔された黒狼は癪に触ったのか、小さく舌打ちすると奥へ引っ込んでしまった。慌てた焔犬が「ごめん」と言い掛けるも、その声に返事は無かった。
「傷口を見せてみろ。…痛々しいな」
うっすらと血が滲む。仰向けに開脚した姿勢の雌狐は、何を思ったのか躊躇なく傷口を秘貝へと寄せる。体毛に覆われた湿潤な雌穴を目の当たりにしても、彼の収納された逸物は微塵にも反応しない。つまらない反応だな、と彼女は心の中で呟く。
「…何をするつもりですか?」
目を細め、溜め息を吐く髑髏狼、だが微動だにしない。傷口に粘着質な体液が絡み付き、雌のフェロモンが血液を通じて全身に浸入していく。
「膏薬の代わりだ」
彼女は冷徹な一言を返すと器用に両前脚を使って塗っていく。手が乾く度に秘所を弄り湿らせる。
「…グラエナなら、いきなり雌穴に脚を突っこみそうですね…」
髑髏狼は冷ややかに独り言を呟く。雌狐は頬を染め返事をしなかったが、溢れ出る膏薬の量が若干増えたように見えた。
数分後には薬も乾き始め傷口を覆った。不思議な事に痛みは感じなくなっていた。一部始終を見届ける間、焔犬は何も言えず紅潮し、気を揉むばかりだった。




「ヘルガー、痛み止めになる木の実を持って来てやっ…」
黒狼は絶句した。
既に髑髏狼と愛妻が既に交わっていたのだ。
だが、彼は気を取り直すと怒るでもなく木の実を戻しに退場した。
「…はぁ…っはぁ…ん…」
槍が貝を割っていく。卑猥な水音が響く。その桃色の裂け目は愛おしげに肉槍を包んでいく。程好い締め付けに彼の表情が揺らぐ。
…ズプズプ……グッ…
その槍が全貌を隠した事は今までに無い。三分の二も入れば十分だと子袋は進入を拒む。肉壁に包まれない根本の膨らみは寂しげに縮込まる。
そんな長槍を今晩こそ無理矢理にでも収めるよう腰を突く。
「…全部…、入りま…せん…ねぇ……っ」
熱を帯びた秘貝に全体重を掛けていく。流石の彼女も不安と苦痛の色を表し、前脚で髑髏狼を抱きしめようとする。
「…今日の…ヘルガー、何か…変……だっ、痛っ!!」
他の夫と違い、短毛で筋肉美が見てとれる彼の身体は至高の触り心地だった。
勿論、ふかふかの暖かい体毛を纏った身体も嫌いではないが、直に伝わる体温や心臓の鼓動は彼女に興奮を与えた。
「――ア゛ッ!?」
五回目の一閃の突きで、初めて鋭い先端が子袋を貫いた。一瞬のタイムラグを置いて根本の膨らみが吸い込まれる。最奥が突き伸ばされて、彼女のすらりとした、しなやかな腹は肉槍の先端をおぼろげに形状(かたち)造っていた。
「ふぁ……はっ……」
雌狐は下腹部の苦悶と違和感に耐えるのに精一杯で甘い声ばかりが漏れる。
引き抜こうとするも根本を咥えるように肉壁が絡み付き離さない。それでも彼は強引に槍を突き動かす。
普段は沈着冷静で交尾に殆ど興味を示さない、雌狐に誘われて渋々付き合うような髑髏狼が、こうして自ずから腰を振る原因は彼女にあった。傷口に雌の体液を塗りたくった事により、直接的にフェロモンを吸収し潜在的な淫欲を呼び覚ましてしまったのだ。
最早、彼は発情期の猛獣と化してしまった。
「…はぁぁ……あっ、ぁん……あぁっ……」
強引に子袋を開発されるうちに、雌狐にも徐々に突き上げられる快楽が芽生え始めた。
艶かしい嬌声を上げながら、走った訳でもないのに呼吸が荒くなる。興奮に目を瞑る。頭の中が真っ白になり、何も考えられなくなる。

 不意に、上下が逆転した。続いて後ろの秘孔に違和感を覚える。
顔を動かす余裕もなく視線だけを向けたところ、黒狼が覆い被さっているのが見えた。何をしているのかまでは判らないが、厭らしい舌舐めずりが聞こえる。
「――グッ…ウオォォッ!!」
後ろの感触に驚いた雌穴の急な締め付けに、肉槍は裏筋を膨張させて脈打つ。数十日が凝縮された実に濃厚な白濁液は聖域を直接穢していく。
生命の素が結び付けばタマゴが出来る事は間違い無い。ただ残念な事に、髑髏狼が腰を引けば大半は、どろりと糸を引いて零れ堕ちていく。
「ひ……っ!」
二匹が腰を密着させた瞬間を狙って、何かが菊所を抉じ開ける。しかしそれは肉圧で直ぐに潰れた。おそらく濶潤油の代わりになる柔らかいモモンの実だろう。食欲をそそる甘ったるい香りが鼻をつく。
同時に黒狼が伸し掛かってきて重い。押し出そうと反発する肉壁を逸物は難なく掘り進む。
「…ふぁあぁっ……グラエナぁ…、ヘルガぁ……、いぃ――イッ!!」
挟み撃ちにされた雌狐は、快楽への導き方を知り尽くした旦那達によって再び絶頂を迎える。
しかし挿入したばかりの黒狼は意地悪くも後ろから犯し続け、雌狐に休息の猶予など与えない。
髑髏狼も積年の鬱憤を晴らすかのように無尽蔵の体力で腰を突く。
「はっ…ヘルガーのが根本まで挿入(はい)ったんなら、俺のも挿入るんだよなぁ…?」
言うが早いが黒狼は両前脚で雌狐の胸元をしっかり抱くと腰を押し付けた。抵抗はあったが容易に抉じ開けられる。包み込まれた堅物が子袋の裏側を先端でなぞると、間接的に長槍にも肉圧が掛かった。
黒狼は半ば意識を失い目尻に涙を溜めた愛妻の横から首を回し、だらしなく垂らした舌を優しく舐めた。長いマズル同士を交差させれば、口腔に甘い味わいが蕩ける。
「……もっと、もっと…欲しい……、グラエナのも、ヘルガーのも……いっぱい……っ!」
その言葉を機に二匹は全身を尽くす。
ぐいぐいと腹部を出っ張らせる長槍に、最も刺激の強いピンポイントを攻める堅物。二本に突かれる度に狂ったような嬌声が漏れる。
二匹が腰を押し付けたのは殆ど同時だった。一時を置いて二度目の愛が注がれる。
明らかに見て分かる程に膨張した腹部だけでなく、心も満たされた雌狐は夫達の名を叫ひ続ける。
注ぎ終わった後も抜く事を忘れ、力尽き横倒しになると三匹は恍惚の表情でお互いを見つめ合っていた。




「ふぅ…」
鎮火し煙が立つように息を吐く黒狼。行為の激しさを表すベタついた腰を離そうとすれば、肉襞が吸い付いてズルズルと引き出される。恐ろしい事に、怒張した堅物は未だ収まりそうにない。
「…うっ……!」
肉慾を解き放ち、少しずつ理性を取り戻している髑髏狼は目眩がするのか頭を押さえた。愛妻が心配そうに覗き込むも、大丈夫だと言うように前肢で制する。
…ゴプッ……
力任せに癌を引き抜くと、目一杯膨らんだ子袋から断続的に白濁液の塊が流出する。記憶にはあるが、これだけ大量の子孫を出したのだという事を俄には信じられない様子で、目を皿のようにして彼は眺めた。空気に触れ、その塊は徐々に粘着性を強めていく。
「…一時休戦だ。風呂に入ってくる…」
ふらりと黒狼は立ち上がった。その背に呼吸も落ち着いてきた雌狐は軽く鳴き声を掛けて見送る。その時、遠くからヨルノズクの鳴き声が聞こえた。
「…おや? ウインディはどうしました?」
いつの間にか焔犬が居ない。欠伸を噛み殺しながら嗅覚を頼りに探すと、寝床にいるみたいだと判明した。眉を潜める雌狐。
「仕方ない奴だな…。一昨日相手してやった癖に、他の雄との情事を羨ましがって…。呼んでくるか…」
「いえ、自分が呼んできます」
「そうか。
…戻って来るんだぞ?」
最後の言葉に髑髏狼は溜め息を吐きたくなった。本当は疲れた身体を休ませておきたかった。心を読まれたのか、と項垂れる尻尾を奮い起たせながら、重い足取りで寝床へと向かった。




 寝床に入るなり、地の底から響くような慟哭が鼓膜を襲った。
耳障りな音源を探すと、焔犬が顔を藁布団に突っ伏して咽び泣いていた。天井の美しい夜空が見える穴から注がれる月明かりが彼の巨躯を照らしている。
「…やれやれ。キュウコンが呼んでいますよ」
前肢で目を擦りながら気怠そうに伝える。声を掛けられた焔犬は、涙に濡れた情けない顔を上げると堰を切ったように吼え出した。思わず耳を塞ぐ。
「……だ、だって…、僕……この間も、お世話になったし……ひっく、また…グラエナに、ガバガバだって怒られるし……ひっく」
髑髏狼の顔色を伺いながら、注意しないと聞き取れないような、か細い声で呟く。
気弱な態度とは裏腹に、十分すぎる程に屹立した丸太が猛烈な雄臭を放っていた。意外にも柔軟なそれは、到底挿入出来そうにない愛妻の孔に圧搾されて収まってしまうのだから不思議である。
「…あれは、あなたが悪いんじゃないでしょう。ただ、グラエナが心も…サイズも小さいだけでしょう。でも、もう二匹とも済ませたので、もうキュウコンはあなたのものですよ」
髑髏狼は言い難そうに顔を背けて言った。確かに焔犬の行為の後は、雌穴が拡がり過ぎて他の旦那では十分な締め付けを得られないのだった。
本当は黒狼は前の孔には挿入していなかったのだが、焔犬を説得する為だと思えば嘘も方便だ。
焔犬は泣くのを堪え、目線を幾らか送りながら部屋を後にした。洞窟の湿った土の匂いと交尾の臭いの中で、髑髏狼は独り、溜め息を再び吐いた。

『種無しには出て行ってもらう』
昔、雌狐に告げられた言葉が脳裏を過る。そして、全てを放出し力尽きた逸物を見つめた。

「…はむっ……、んっ」
壁を背に倒立し、身体を丸めて白く穢れた槍を咥える。体重が頚に掛かる苦しみなど気にする余裕は無い。
性欲は他の行動で解消される。その言葉通り、百戦錬磨の如く毎日狩りに明け暮れる彼にとって自慰行為は不要だった。
彼自身こういう行為に無関心な訳ではない。そうでなければ雄に喜がり狂う雌狐と契りを交わす事は無かっただろう。心のどこかで期待していたのかもしれない。ただ、きっかけが無かっただけで。
「……んぅ………っ」
無心に己をしゃぶり続ければ、口いっぱいに雄の味が広がる。しかし、先程の激しい交尾による快感には箸にも棒にも引っ掛からない。先端から粘ついた体液が少しずつ垂れてくるが、それだけ。雌の甘いフェロモンというものはそれだけ雄にとって魅力的なものなのだろうか。やはり本番には叶わない。
「…はぁ……はぁ…」
結局十数分の時も経たぬうちに疲れが気力を上回り、身体がぐらりと横倒しになると心地好い睡魔が襲ってきた。




 雌狐が丹念に毛繕いをしていると、泣き晴らした腫れぼったい顔の焔犬が怯えながら俯き歩いて来た。静かに口元を緩ませ、ちらりと目を向ける。
「まだグラエナはいない。やりたいのか…?」
相手の様子などお構い無く端的に告げる。しかし、その声には期待の色が混じっているようにも聞こえた。同時に風も無いのに九尾がゆっくりと揺れる。
「い、いえ…。えっと、ぼ、僕はお腹が空いたので、食べに来ただけで…」
恥じらいながら、しどろもどろに答える。黒狼とは違い、どんな時にも気を遣う事を彼は忘れない。尤も、視線は白濁液を垂らす縦割れに向けられていたが。
「…貴様にその気が無くとも、私は貴様と交わりたいのだが?」
焔犬の燻っていた表情が少しだけ明るくなる。予想外の返答に戸惑いながらも、純黒の瞳を輝かせる。
「えっ…本当に、いいの?…大丈夫?」
正直、何度も心配されるのは煩わしさを感じる。黒狼までとは言わないが、もう少し押しが強くなって欲しいものだと日頃から想ってはいた。いつも此方が攻めばかりでは味気無い。
「大丈夫も何も、私から言い出した事だろう…。さあ、その立派な逸物を出せ」
申し訳なさそうに、はにかむ焔犬が上半身を伏せて腰を上に突き出すと、背後に回った雌狐が舌を逸物に這わせる。暖炉の炎に照らされ、黄金色の美しい毛並みは一層鮮やかに靡いた。




「…二発目」
先端から勢い良く射出された、煮え滾った白い熔岩を喉の奥に流し込む。二発の前戯など余裕そうな怒張を横目に、雌狐は提案する。
「たまには貴様が主導権を握ったらどうだ?」
いきなりそんな事を言われ、焔犬はたじろいだ。だが躊躇していると「早くしろ」と被せるように告げられ、何をされるか判らない出前、断れずに頷くしかなかった。思わず出そうになった溜め息を飲み込みながら体勢を変え、仰向きになった雌狐に跨がった。
華奢な身体の太腿と周囲がほぼ同じである巨砲は、既に雄に抉じ開けられた雌孔のだらしない拡がりを遥かに越えている。そんな怪物にも憶さず、むしろ期待と興奮の眼差しで雌狐は凝視を続ける。その視姦に焔犬も情欲を煽られ、本能がそれをさらに大きく、太く肥えさせる。極上の絶品を前に「おあずけ」をさせられている猛獣は、まだか、まだかと、生唾を垂らして待ち構えている。その涎を厭らしく艶めく肉壺に注ぐよう、覆い被さった焔犬は先端を宛がう。
「……んぐッ!!」
緩みかけていた肉襞が目一杯引き伸ばされる。許容量を超えまいとする凄絶な締め付けに、柔靭な太棹は雌孔の形に圧搾される。スポンジを連想させる巨砲の分厚い包皮は、凄まじい摩擦で外へとずり出され根本に皺が寄る。
「だ、大丈夫?止める?」
いつもの事ながら身体を反らせて苦悶の表情を浮かべる雌狐を憂虞してしまう。別に本当に嫌がっている訳でもないのに、最愛の妻を壊してしまわないかと、つい不安が募り億劫になる。無理に押し付けていた腰を思わず引きそうになった。
「…だ、大丈夫だ……くッ」
歯を食い縛り、天を仰いでいた顔が此方へと向き、空気に消え入りそうな淡い声を絞り出す。外れんばかりに拡げた股関節が軋み、見ていて痛々しい。だが、それ以上に溢れ出る雌孔の滑潤油が、自身を包み込み受け入れてくれる証に見え、彼の心配は払拭された。
全身を駆け巡る血液量が次第に増して、心拍の間隔を短く、大きく開かれた口から漏れる呼吸を荒げていく。戦闘で炎技を吹き出す時とは違う、相手を傷付ける事の無い熱気を含む湿っぽい息が、愛妻の滑らかな起伏を体毛越しに濡らしていく。
「そっ…そろそろ、いい?」
「入れるなら…早く、入れろ…っ」
焔犬はその呼吸を一瞬止め、自分の巨砲の型へと徐々に慣らしていた雌孔へと、他の者には恐らく真似出来まいであろう凄まじい衝きで捩じ込み始めた。いつもの気弱な彼からは想像も出来ない馬鹿力。
「…ぁがッ!……ア゛ッ――ぁああぁああッ!!!」
メコッ、という異様な音を明らかに立てて、張りのある根本の肉塊は吸い込まれた。子袋の入口が再び開かれ、肥え太った先端が雄臭い汁を散らして顔を出す。髑髏狼ほどの長さを持たないその逸物では奥を突く事までは出来なかったが、それでも雌狐を絶頂させるには十分な刺激であった。
前までは根本まで挿入出来なかったのに。
前までは子袋の入口を貫かなかったのに。
油断していた雌狐が小さな身体を震わせ艶かしい咆哮を上げるも、雌孔からは愛液が殆ど零れ出なかった。がっちりと嵌め込まれた根本の肉塊との間には、そもそも隙間など無いのだから。それと引き換えに、彼女の柔らかな腹部は混ざった多量の先走りと愛液で満たされ、少しずつ膨張していった。
「ご、ごめん……!全部、挿入っちゃった……直ぐ抜くから……」
焔犬も愛妻の苦しむ様子には耐えられなかったようで、慌てて食い込んだ亀頭球を引きずり出そうとする。この惨状を黒狼に目撃される事も恐れていたが、何より愛する雌狐を壊してしまいそうな自分が許せなかった。
「馬鹿、誰が抜けと言った!」
言葉を掛けるより早く、彼女の太股が巨砲を虎挟みのように閉じる。精一杯押し潰せば当然反発を食らい、骨折しそうな程の激痛が両脚に走る。それでも雌狐は脚を閉じるのを止めなかった。
「ご、ごめん」
焔犬は静止を掛けられたまま、何をするでも無く、ただただ謝るばかり。
「はぁ……。謝るのを止めろ。やっぱり貴様は攻めには向いてないな。仰向けになれ」
やがて開脚すると、疲労を飛ばすように溜め息を吐く。やれやれと言わんばかりに落ち込んでいる彼を嗜めた後、巨砲を嵌めたまま焔犬と向かい合うように身体を廻したかと思うと、有無を言わさず押し倒して相手の股間に跨がった。
「んぐっ……はっ……」
これから何をされるのかは流石に焔犬にも分かる事だった。従順に押し倒され、自由になった四肢が宙に投げ出される。心肺蘇生でもするかのように、雌狐の両前足が胸元をリズムを刻んで圧迫する。それは腰を持ち上げてから深く落として快感を得る為の、彼女の熱いビートであった。
「はぁっ…、はぁぁっ……、気持ち良いぃ…っ」
一回一回子宮口を貫く度に、彼女の冷徹な表情は恍惚としたものに崩れていく。温かい涙や唾液が焔犬の顔に降り掛かる。双方ともの甘くて荒い息遣いが、お互いの毛先を湿らせていく。

突然、開いた口が塞がる。柔らかい肉厚な舌を感じ、呼応するように舌を重ね合わせる。より多くの酸素を欲しているのに、口を離そうとはしなかった。お互いの甘い唾液が淫らな水音を立てて混ぜ合い、溶け合い、蕩けていく。

唇同士を繋ぐ銀の糸が音も無く崩れていく。焔犬の中で何かが吹っ切れた。


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Last-modified: 2017-10-19 (木) 18:45:40
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