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夏の終わり

/夏の終わり

駄文執筆者 文書き初心者
※官能描写があります。


「夏ももう終わりだね」
 段々と水平線に隠れていく赤い太陽を眺めながら、フシギダネは言う。その口調はどこか寂しげである。だから、夏が去っていくのが惜しい事が、隣で座り込んで眺めていた僕にもふつふつと伝わってくる。
 ざざあん、ざざああんと僕達の足元にまで押し寄せる波。偶に大きな波が迫っては僕達の足を濡らしていく。それはもう丁度良い冷たさと言うよりは少し寒さを感じてしまう。
 とうに見慣れたもくもくの入道雲も今日に至っては名残惜しい気がする。
 身体を撫でる潮風も肌寒く、季節の節目を身を持って味わう。
「そうだね、もうそろそろ秋だからなあ」
 季節が変わらない筈は無い。こうして暑い夏が終わり、紅葉の秋になり、はたまた寒さが厳しい冬へとなって、そして桜が舞う春へとなる。この循環は僕達ではどうしようもない。ただ受け入れ生活するしか無いのだ。
 結局この夏はフシギダネと仲良く泳げなかった。
 フシギダネは草タイプだから夏場しか泳げない。水タイプなら水温なんて気にしないので季節問わずに泳げるが。その上更にフシギダネはカナヅチであるから、僕がちゃんと教えないと泳げるようにはならない。
 結末からすれば、フシギダネはカナヅチのままだった。僕がもう少し上手く泳ぎ方を教えられたら良かったのかもしれない。そう思うと不出来な自分に焦躁感が走る。
「来年こそは一緒に泳ごうねゼニガメ。ボク、必死で頑張るからさ」
 そして、フシギダネは僕の眼を見ながら、話を本題へと戻していく。あんなにも泳ぐことは出来なかったのに、フシギダネの言葉にはひたむきな思いがあった。その瞳の奥は沈みゆく太陽に負けじと輝いていた。
 それに釣られてか、僕にも希望と言う一筋の光が差し込んでくる。
 フシギダネが頑張るなら、僕も落ち込んでられない。フシギダネを手助けする立場なのだから。
「うん、来年こそは一緒に泳ごう!」
 今度は波打ち際近くの浅いところで遊ぶんじゃなくて、もっと深い奥まで。あの燃える太陽に触りに行くつもりで。
 僕はそう意を決めて、すくっと立ち上がっては沈む太陽を見る。フシギダネも僕から視線を逸し、赤い夕日を見る。
 僕達は太陽が完全に水平線に吸い込まれるまで、言葉を交わさずにずっと眺めていた。
 短かった夏が終わるのを唯ひたすら見送っていた。


 燃える夕日が水平線へと消えてしまい、黄昏時となり辺りは段々と薄暗くなる。
 もう波打ち際にいるのもぽつんと僕とフシギダネのふたりだけ。僕達の他にはひとっこひとり海岸にいない。その事は物寂しい気もするけど、考え方を変えればこの浜辺は僕達だけの物となる。
 もう少しだけ、ほんの僅かでもいいからふたり占めした此処にいたい。
 だけど、日が暮れてきたから急いで帰らなくてはいけない。僕はそんな悩ましいジレンマに陥って、何も出来ずに棒立ちしてしまう。
「――ゼニガメ」
 突然にフシギダネが僕に呼び掛ける。その声はどことなく切なげで、僕の心をどきりと鳴らせる。
 顔を横に向けると、太陽は沈んだのに頬を赤く染めたフシギダネが目に入る。フシギダネはもじもじと恥ずかしそうにしながら、なんとか僕と視線を合わせようとする。
 フシギダネの仕草に、僕も誘われてか徐々に恥かしくなってくる。フシギダネと同じにほっぺがほんのり熱くなっていく。
 なんとなく気まずくなって、暫し沈黙。でもフシギダネは勇気を振り絞ってそれを破る。
「あ、あのさ……もう一つ、ボクのわがままに付き合ってくれる?」
 もう一つ、とは何だろうか。因みにわがままのその内一つは、フシギダネを僕と一緒に泳げるようにするであった。だけど、それはもう叶えられない、来年に持ち越しとなってしまった。
「そのわがままってなに――うわあっ!」
 いきなりフシギダネが僕に向かって抱き付いてきた。即座の反応が出来なかった為に、背中を、と言うよりは甲羅を砂浜へと打ってしまう。それにより砂が宙へと舞い、粉雪の様にさらさらと降って僕達の身体へと纏りつく。
 フシギダネによって半ば強引に仰向けにさせらせてしまった。こうなると僕独りではなかなか起き上がれない。甲羅という奴が厄介なもので、四苦八苦しないと手と足が地面に着かないのだ。最も、今回に限ってはフシギダネに身を任せられているから尚更である。
 フシギダネの顔との距離はほんの少し。その上、抱かれているから身体と身体は密着状態。こんなんじゃあ自分の理性なんて何処かに飛んでしまいそうだ。
 心臓がどきどきと刻むのが止まらない。この鼓動は自分の物なんだろうけど、フシギダネのも混じっているに違いない。
 フシギダネは目を瞑って口をゆっくり、ゆっくりと近付ける。僕の口に目掛けて。
 拒む理由なんて無かった。寧ろ歓迎だった。
 僕はフシギダネに合わせて瞼を閉じる。フシギダネの口が寄ってくるのを、いまかいまかと待構える。
 そして、次に感じたのは――柔らかな感触。
 口と口同士が触れ合い重なり合う。たったそれだけなのに、ほのかな温もりを感じて心地が良い。
 やっぱり愛しい。
 胸の奥底に沈めて置いたのに湧き上がる感情。それには一抹の嘘すら無かった。本気も本気である。
 フシギダネとなら時を忘れてずっとキスをしても構わなかった。何だったらこの際に――――。
 僕が企てた途端に、フシギダネの口は離れてしまう。ゆっくりと僕との間を開いていく。これに乗じて儚くもふたりが離れ離れとなってしまいそうだった。
 互いに目をぱちりと見開く。先程の恋仲の様な雰囲気とはがらりと一転し、どよんと場の悪い空気が占めていく。そんな中でも、僕よりも先にフシギダネは喋る。
「……御免、嫌だったよね。ゼニガメは牡っぽいボクなんかよりも、可愛いイーブイとかロコンとかが好きだよね」
 フシギダネは力無くそう零すと俯いて、僕から顔を逸す。僕に悲しみを悟られぬようにと表情を隠そうとする。
 その様子を見た途端に、僕の中で何かが爆ぜた。
 違うっ。僕はそんな事が聞きたいんじゃないんだ。
 自分の胸が苦しくて苦しくて堪らない。呼吸はちゃんとしているのに、酸素なんてさらさら行き届いていない感じ。まるで呼吸困難で倒れてしまいそう。
 君とじゃないと駄目なんだ。君だから僕はこうして此処にいるのに。フシギダネは僕の気持ちを何一つとして分かってない、分かってないよ。きっと今まで何処かですれ違いが生じていたんだ。だからそれを埋めるのはこの瞬間でしか有り得ないんだ。
 フシギダネに、彼女に、僕の確かな気持ちを伝える為にも、
「フシギダネ、前を向いて」
 僕は彼女に優しく呼び掛ける。すると、彼女は瞳を湿らせた、しわくしゃな悲しい顔を僕にへと見せる。本当は見られたくないのであろう、僕に目線を一致させようとはしない。
 でも目的を遂行するには準備が整った。強引だけど、無駄に言葉を羅列するよりかは単刀直入で一番手っ取り早い。
 僕は彼女をぎゅっと、二度と手放す事の無いようにがっちりと抱き締める。そして、
 僕は彼女の口を不意打ちの如く奪う。
 ただ単に、重ねるだけの子供のキスじゃ物足りない、彼女の傷は埋められない。だから彼女の口内へと舌を入れて、見よう見まねで覚えた大人のキス、つまりフレンチキスへと移行する。
 僕の突然の行動に、彼女は目を丸くして驚いている。だけども、彼女も舌を絡ませてきて反応してくれる。僕の行為を快く受け入れてくれる。フレンチキスは嫌らしくも濃厚でとてもとても気持ちが良い。
 絡み合う舌。交差する視線。荒い息遣い。高鳴る胸。全ての要素が雰囲気を作り上げている。必死に僕は切実な思いを彼女へと伝える。
 大好き、愛してる。
 彼女の口内を隅から隅まで味わって、唾液も交換してと成せる物は全部成す。終いには鼻で呼吸することさえ忘れて、段々と泡を噴きそうなくらい息苦しくなる。
「ぷはあっ」
「はぁっ」
 口と口を切り離し、水中から水面上にでも上がったかのように息を吐く。それほどフレンチキスに没頭し過ぎて、息継ぎをろくにしていなかった証拠。お互いにぜえぜえ、と荒くしながら呼吸する。そんな際でも重力に抗いながら、唾液の糸が僕達を繋ぎとめる。ふたりの仲を暗示するかの様に。実際、そうであったら良いなと願う。
 幸せは求めるものじゃない、自分で掴み取る物なんだ。だって現に、僕の両手はこうしてフシギダネを抱いているもの。ちゃんと幸せを掴んでいるから。
「ぜに、がめぇ……」
 彼女が瞳をうるうると潤わせて僕を呼ぶ。今度は悲しげな涙じゃなくて、嬉し涙。泣かせてはしまったけど後者で何よりだ。


 彼女は僕の胸の内で、枯れるくらいに嬉し泣きをした。僕は泣き止むまでそっと優しく抱き締めて待っていた。


 僕達以外に気配の無い夜の浜辺。海面は月光によってきらきらと輝いている。がやがや騒ぐ者はいないから、波が押し寄せる音が嫌でも耳に入る。だから僕達を妨げる障害なんか無かった。それどころか僕達をそうさせるのに充分な環境であった。

 聞こえてくるのは波の音だけでなく、ぱんぱんと肉と肉がぶつかり合って生じる音。くちゅぴちゃと卑猥な音を奏でる結合部。身体がまるで楽器となり猥褻な演奏は止まらない。そこに加わる僕達の喘ぎ声によるコーラス。
 砂浜でぽつんと身体を重ねる僕達。
 僕の耳に尽きること無く響き渡るのは彼女の甘美な嬌声。視覚を占めるのは、仰向けになって恥じらう様子も無く、未発達な乳房から恥かしい蜜壺まで何から何まで露出している彼女の華奢な身体。蜜から発せられる淫らな匂いがつんと鼻を刺激し、僕達の興奮を高める。
 自分のモノで彼女の蜜壺の奥まで突き、駆け巡る快感を噛み締めている。彼女に蔦でご自慢の尻尾を弄ばれて感じてしまっている。
「はぁっ……はあ、ふしぎだねっ」
「ぁあっ……あんっ、ぜにめぇっ」
 きっとお月様がきっと僕達を本能の赴くままに動かしているのだろう。操り人形のように、身体が勝手に動いていく。月の光は昔から何かを狂わせると誰かが言っていたのを聞いた事がある。
 現にこうして、未だ子供である僕達がこんな淫らな行為をしているのもそれがあるからに違いない。僕達に良心があるならとっくに帰路に着いている筈。だけども、易々とそうとはいかない。夏が残していったアバンチュールを、恋の冒険を堪能しなくてはならない。
 身体は汗ばむ程に熱く、湯気が立ちそうなくらいに火照ている。吐息ですら火でも吐けそうな勢いに熱くなっている。自分は水タイプなのにも関わらず、水の様にひんやりした冷たさとかは無縁であった。
 僕は彼女の小さな乳房に手を置いて、攻撃を仕掛ける。決してふくよかでは無いから、もみもみと柔らかに揉めないけど、硬く突起したものを手の平で擦る。
「ひゃあぁっ、気持ちぃよおっ」
 こうして彼女が善がると僕の攻撃は止まるどころか、彼女の可愛い反応を拝見したいが故に益々激しくなってしまう。もう片方の乳房に顔を寄せていき、突起したものをちゅうちゅうと赤子みたいに吸う。
「あぁんっ、ぜにがめ赤ちゃんみたいだよぉ。もう止めてぇっ」
 彼女はそう言うけど、説得力が微塵も無い。彼女の表情をちらりと窺えば、だらしなく涎を垂らして気持ち良さそうにしている。艶のある嬌声を自重せずに僕に聞かせている。
「女の子が涎なんてだらしないよ」
 僕は突起したものから顔を離す変わりに、意地の悪い事に彼女の耳元でそう囁く。そうしたら彼女の涎の軌跡を舌で舐めつつも彼女の口へとゆっくり近付いていく。舌が彼女の口元へと着いたら、そのまま流れに任せて口を重ねる。
 そうすれば愛しい彼女の顔が間近で目に入る。いつものあどけなさは何処へと飛んだのだろうか、今浮かべているのは目をとろんとさせて、牡を魅了する妖艶な表情。
 僕が彼女の口を支配したと思いきや、彼女は唾液を纏った舌で応戦してくる。対する僕も舌を彼女の舌へと絡ませて対抗する。重なる口から漏れ出すのは、ふたりの熱い吐息と響かない喘ぎ声。
 ずっとこうしていられたら良かった。でも終わりが迫ってきた。
 段々と込み上げてくる射精感。本能が彼女に種をぶちまけろと訴えている。
 それによって拍車がかかるピストン運動。スパートとして、腰を素早く動かし幾度も幾度も奥を突いていく。更なる快感を飢えて止まらない、いやもう止められない。
 流石に彼女の中はまずいから、外へと精を出そうと試みるが、尻尾に絡みつく蔦の所為で逃れられない。それに加えて彼女が前脚でぎゅっと抱き締めるから、益々身体の自由は奪われていく。
 彼女の目を見れば、中に出してと訴えている。そうなると、僕は彼女のご希望に応えるため、折れるしかない。僕も彼女抱いて捉える。
 果てる寸前に僕は一思いに、彼女の奥を勢いよく大振りに突いた。
 すると今まで体験した事も無い快感が全身を駆け回る。彼女もびくびくと痙攣しながら快感に浸っている。
 僕のモノからびゅくびゅくと波を打ちながら流れる液体状の白い種。それが彼女の中を徐々に満たしていく。
 ふたりで抱き合い、口を重ねながら営みの余韻を味わう。このままふたりでうとうととまどろんしまっても構わなかった。
 だけど簡単にそうとはいかないようで、彼女が突如、蔦と前脚を使って僕を後ろに押し退ける。
「……よいしょっ」
 砂が舞いながらもごろんと仰向けにされてしまう僕。そうなると起き上がるには困難で、彼女の力を借りない限り簡単には起きれない。
 そして彼女が僕を覆っていく。今まで僕に見せた事もない妖しい笑みで見つめながら。
「もう一回しようか」
 語尾は疑問系だが、あくまでこれは確認の問い掛けである。だってこの状態じゃあ僕に拒否権は無いもの。
 その上、此所は砂浜であるのに僕の両手両足は草で縛られていく。これはきっと彼女の得意技である草結びによるものだろう。
 拘束されては逃れる術は無いので、仕方無く萎縮しながら僕は首をこくりと縦に振る。
 まあ良いんだけどさ。僕は海の様に深い深い心の持ち主だから断れないんだ、きっと。
「えっへへ、有難うゼニガメ」
 さっきとは打って変わり、あどけない笑みで言う何時もの彼女。前の牝らしい妖艶な表情は何処へといったのやら。
 そして、僕のモノに白い種を漏らしながらも蜜壺が宛行われる。もう二回戦の準備は整ってしまった。

 夏が忘れて残したアバンチュールはまだまだ続く。


原稿用紙(20×20) 17.45 枚
総文字数 5821 文字
行数 118 行
台詞:地の文 347文字:5474文字


後書き
駄文を読んで下さって有難う御座いました。
ポケ×ポケなんて久し振りでした。それとちゃんとした純愛物も。
先日、ポケダン時を無事にクリアしたもので、その勢いでこの駄文を書いてしまいましたw
どうしてフシギダネって♀に出来ないのでしょう……。パートナーの性別が固定とかorz

当初の予定では、純愛物だからキスシーンまでかなと思って、この駄文の半分所「~~抱き締めて待っていた。」まででショートショートの形で投下するつもりでした。
でもまあ、今まで欠かさず書いてきましたし、やはり官能描写は必須だと思い、付け加えた形なので少し描写が少なめです。御免なさいorz


駄文に関する感想、コメントをご自由にどうぞ。


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Last-modified: 2011-03-18 (金) 00:00:00
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