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夏の日の思い出~last summer~

/夏の日の思い出~last summer~

長編小説

人×ポケですよ・・・そして久しぶり?の長編・・・    作 ピカピカ



登場人物紹介


アノン(♂)
18歳の青年で、一年前までは水泳の実力派スイマーだった。しかしある日の事故で泳ぐ事をやめてしまった。性格はかなりの純粋君で器量も良くて優しくて頭もいい高校3年生。つまり才色兼備。パートナーにメスのブイゼル(リム)を持っている。

リム(♀)
歳はアノンと同じく18歳と思われる。アノンが水泳をやめた事に責任を感じており、何とかしてアノンにもう一回泳いでほしいと思っている。性格は明るくて、活発な女の子。頭もそこそこいい。足の方に人にはあまり見えない傷がある。

ラフ(♂)
18歳の青年で、アノンの親友。アノンと同じ水泳部をやっており、実力もアノンと同じくらいのもの。性格は普通すぎて、なんとも言えない。しかし女子からの人気が密かに高いようだ。パートナーにメスのサンダース(イナ)がいる。

イナ(♀)
皆と同じく18歳。ラフのパートナーで、電気タイプのくせに泳ぎがうまい。あまり泳ぐことはないらしいが。性格は勝気な感じで、いつもラフとケンカ?をしている。そして何より可愛いので有名。他のポケモンからナンパされる事が多いが、いつもナンパしてくる奴を雷と怒号で撃沈している。

そして言っておかなければならない事があります・・・。
この小説の中ではポケモンと人間が同じ学校に通っています・・・。


#プロローグ
ここは人口が少ない、いわば過疎地域。
町の人口およそ1000人程。学校はたったの一校。それに小学校、中学校、高校と同じ校舎なので、学校はかなり大きい。 
しかしその学校では自慢できる事が一つだけある。それは・・・

水泳

そう、何といってもこの学校は水泳という種目では、右に出る者はいないほど強かった。しかし、大会に出れるのは高校からと決まっており、高校を卒業すると皆この場所を去っていく。だから皆は高校で完全燃焼する事を目標としている。
ここにも一人、それを目標としていた奴がいた。

プロローグ 終



<第一話 夢>
(・・・・・・・暇だなぁ・・・何か面白い事起こらないかなぁ・・・)
部屋で一人、ベッドの上で大きな欠伸をしている男がいた。どうやら暇を持て余しているらしい。
「何かやる事探してみるか・・・」
そう言ってベッドから体を起こし、部屋中を探しまわる男。
ガサゴソガサゴソ・・・・
「ゲームは全部やり尽くしたし・・・音楽はコンポぶっ壊れてて聴けないし・・・」
つまり何もすることがない・・・。男はその場で膝をついて落胆した。
「あああぁぁぁぁぁッッッッ!!!暇だああぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!」
と、男がその場で両手を挙げて叫んでいると部屋の扉が開く音がした。



ガチャッ・・・



あまりの突然さにその場で固まりながらドアの方を見る男。見ると一匹のブイゼルがこちらを変なものでも見るかのように見ていた。
「・・・・何してるの・・?」
「・・いや・・・あの・・・これはだな・・・えっと・・・ヨガ・・?」
苦しい言い訳である。
「ふーん・・・ヨガやってたんだ・・・それにしては動きが変・・」
「う、うるさいな!!別にいいだろ!!どんなポーズしてたって・・・」
男は体を元に戻した。そしてベッドの上にまた乗っかる。
「で?何の用だよ、リム・・・」
リムと呼ばれたそのブイゼルは何か言いたげにもじもじしながら言った。
「いや、えっとね・・もしアノンが暇だったらどこか一緒に行こうかな・・・なんて・・」
リムは顔を少し赤に染めながら言った。しかしそれに対してアノンと呼ばれた男の反応は冷たいものだった。
「・・・海なら行かないぞ・・・」
突然さっきの顔から一変して真剣な顔つきになったアノンはリムに言った。
「・・・やっぱりね・・・アノン・・・私は・・「出てってくれ・・・」
リムが全てを言い終える前にアノンはリムを冷たく突き放した・・。もちろん本心ではない。リムもそれを分かっているのか、何も言わずに部屋から出て行った。ドアの閉まる音がやけにアノンの耳に響いた。
「俺だって・・・」
アノンは何かを言う前に部屋にある机の引き出しを開けた。そこには何枚もの賞状が積み重ねられていた・・・。アノンはそれを懐かしむように見る。
一年生の頃に取った賞状・・・
同じく二年生の頃に取った賞状・・・
賞状のどれもがアノンの優勝を称えていた・・・。そして賞状と賞状の間に挟まっていた一枚の紙切れと一枚の写真がするりと落ちた。アノンはその一枚の紙と写真を拾い上げて、思わず笑みをこぼした。
一枚の紙には大会の新記録更新の事が書かれていた・・・。
そしてもう一枚の写真には・・・



二人の人と二匹のポケモンが仲良く海をバックに写っていた・・・



「懐かしいな・・・そういえば夏休みに入ってから一度もあいつらに会ってないな・・」
今、この地域では夏休みに入っている。しかもここの夏休みは非常に長く、休みが二ヶ月もある。それはやはり夏の大会に向けての練習があるからなのだろう。そして休みに入ってからまだ一週間しか経っていなかった・・・。
「夏休みにある行事は・・・っと・・・」
アノンは賞状を再び引き出しにしまい、ベッドからおきて、部屋のカレンダーを見てみる。
「一週間後には夏祭り・・・二週間後はまだ夏祭りが続いていて・・・そして三週間後には・・・」
その後アノンが先を言う事は無かった・・・。
三週間後には自分が出るはずの無い水泳の大会があったからだ・・・。
「俺は・・・もう泳がないと決めたんだ・・・今更部に戻ったって・・・」
そう言ってアノンは部屋から出た。そして一階の玄関の方に向かう。(アノンの部屋は二階にある)そして田舎者らしいサンダルを履いて外に出た。
「母さん、俺少し外に出るから。晩飯までには戻ってくる」
そう言うと母さんのはーいと言う声が聞こえてきた。アノンは確認すると外に出た。
久しぶりに外に出たような気がするアノンはある所へと向かっていた。
「どうしてるかな・・・あいつら・・・」
アノンが向かっているのは学校だった。もちろん水泳部の様子を見に行くためである。
学校からはそう遠くはない距離だったのですぐ着いた。アノンは水泳部のあるプールへと向かう。近くに行くと水の弾ける音がしていた・・・。
「アノン・・・?」
突然聞き覚えのある声が後ろからした。振り返ってみるとそこには一人の男が立っていた。
「ラフか・・・久しぶりだな・・・」
「あぁ・・・お前も相変わらずだな・・・」
そう言って二人は少しずつ歩いて距離を縮めていく。そしてにらみ合う二人。今にも何かが起こりそうな雰囲気の中、二人はいきなり互いに肩を組んで笑い出した。
「しばらくだったけど元気にしてたか?アノン!!」
「俺はいつでも元気だ!お前こそ少し元気がないんじゃないのか?ラフ」
「バカ野郎!!んな訳ないだろ!!どうしたんだよ、いきなり顔出して」
そう言ってラフは俺の髪をクシャクシャにする。
「只、気になったから来ただけだ。理由はそれだけだ」
そう言うとラフは少し顔を真剣な表情に変える。
「本当にそれだけか・・・?」
「・・・?どういう意味だ?」
俺はラフの質問した内容が理解できなかった。
「お前、本当は泳ぎに来たんじゃないのか?」
「・・・・」
俺はラフの質問には答えず、静かに肩から手を離した。しかしラフは未だに俺に喋りかけてくる。
「なぁ・・・アノン・・俺のライバルはお前だけなんだ・・お前が水泳部にいないと俺は全然水泳を楽しめない・・・。また一緒にあの場所でお前と勝負したいんだよ!!・・・・イナも寂しがってる・・・だから・・・」
イナとはラフのパートナーで、サンダースと言うポケモンである。最近は会えなくてまったく話していなかったが。
「悪いな・・・ラフ・・・俺は・・もう・・・」
「なぁ・・・アノン・・・お前の足はもう・・・」
「悪いな!!もう帰るわ、俺・・」
ラフが言い終わる前にアノンは学校を去ってしまった。さっきのリムと同じような反応をしてしまった。その事にアノンは後から後悔する。アノンは走って家に向かった。
(俺だって・・・俺だって泳ぎたいよ!!・・・でも・・・)
アノンはスピードを上げて全力疾走で家に向かった。そして家に着くとすぐさまベッドに横たわった。母さんの「帰ったの~?」と言う声が聞こえる。俺は元気なさげにそれに答える。その様子をドアの隙間から心配そうに見つめているリムの姿があった・・。



<第1話 夢 終>



<第2話 緊張>
さっきのラフとの会話のせいなのか、俺は晩飯が喉を通らなかった。それを心配そうに見ていた母さんが「大丈夫かい?どこか具合でも悪いのかい?」と聞いてきたが、俺はあまり心配をかけたくないので、「大丈夫」と答えた。
一通り食べ終わった俺はすぐに自分の部屋に上がる。そしてふと階段を登る際に見えたリムの心配そうに見つめる顔・・・。



気づかれている・・・?



リムとは小学校から一緒にパートナーとして、または同じ水泳の部活動の仲間として一緒にやってきた仲だ。俺の心の中だって見えてしまうのかもしれない。母さんと同じであまり心配はかけたくない・・・。でもリムは性格は明るいけど俺に対して異常な程に心配性なんだよな・・・昔も今も・・・。
俺は部屋に戻ると、電気も付けないで部屋の窓を開けた。空にはいくつもの星が輝いていた・・・。
「綺麗だなぁ・・・そういえば部活が終わったあとはいつもリムとこんな星空を眺めながら帰っていたっけ・・・」
ふと何故俺はリムの事を考えたのか分からなかった・・・。やはりいつも一緒にいたからなのだろうか・・・それとも・・・
俺は、はっとして首を横に振った。何を考えているんだ、俺は・・。
その時、下から母さんの声がした。
「アノン?お風呂沸いたから入りなさい・・・」
俺はもうちょっとこの星空を眺めていたかったけれど、今日は疲れたから風呂に入ってサッパリしたかったところだ・・・。俺はすぐに風呂場に行って、湯船に浸かった。温かいお湯は疲れきった俺の体を癒してくれた。
「ふぅ・・・そういえば部活から帰ってきた後はすぐに風呂に入ってたりしたっけ・・たまにリムとどっちが先に入るかとかで争ってたりもしてたし・・・」
あれ・・・?俺またリムの事を考えてた・・・?何でだ・・ここ最近何故か思い出すとリムの事ばかり考えている・・・。
俺が風呂場でお湯に浸かりながら頭を抱えて悩んでいると、突然風呂場のドアが開いた。



ガチャッ・・



昼間と同じパターンだった・・・。俺はドアを開けた奴を見た。そこにいたのはリムだった・・・。
「わわわわわッッ!!何だよいきなり!?」
俺は顔を紅潮させて、慌ててリムから目を逸らした。
「入ってたの・・・私、アノンのお母さんに入れって言われたから入りに来たんだけど・・・」
母さん・・・わざとか・・わざとなのか・・!?俺にどうしろと言うんだ!?この状況を・・・・!!ちらっと振り返って見るとリムの顔も俺に勝るとも劣らないほど顔を赤く染めていた・・。
一方その頃母はと言うとせんべいをかじりながらテレビを見ていた・・・。顔をニヤつかせて・・・。
「ま、まぁここまで来ちゃったし、わ、私も一緒に入るね・・・」
「す、好きにしろ・・・」
俺は相変わらず目を背けていた・・・。だって当然だろ?下手すりゃ・・・リムの・・・・・・って!!俺は何を考えているんだっ!!
俺が一人芝居?をしていると、リムも湯船に浸かり始めた。ちょうど家の湯船はポケモンと人が互いに一人ずつ入れるくらいの大きさだった・・・。そしてリムの体が全部浸かると、お湯が少し溢れた。しかしそんなことは気にしなかった・・・いや気にする事が出来なかった・・。
いくらポケモンとはいえ、リムは女だ・・・俺だって少しは気にしてしまう・・。俺はどんどん高まっていく緊張を隠せずにいた。多分それはリムだって同じ事だと思う。
「ねぇ・・・アノン・・?どうしてこっちを見ないの・・?」
不意にリムが聞いてくるもんだから俺は焦った。
「ど、どうしてって・・・そんなの分かるだろ!?」
「分からないよ・・・だって昔は顔を見合わせながら入ってたじゃない・・・」
「そ、それはまだ俺たちが小さかったからだろう?今はもう俺たちは大人なんだからさ・・」
未だに顔を合わせられない俺は、リムに背中を向けている状態だった・・。
「ふ~ん・・・もしかして私の裸・・・見ないようにしてる・・?」
その言葉を聞いて俺は動揺した。
「な、ば、バカッ!!お前何言って・・・」
俺が慌てて言っている最中に、ふと後ろからリムにいきなり抱きつかれた。
「・・・・!?リムッ!!?どうしたんだよ、いきなり・・・!!」
リムの素肌と俺の背中が当たっている・・・そしてリムの温まった体温が触れ合う肌によってジンジンと伝わってくる・・・。リムのはぁはぁという吐息が聞こえてくる・・。
「アノン・・・私別に見られてもいいんだよ?・・・アノンになら・・・」
後ろから抱きつかれ、それに加え肌も密着して、それまた更にリムの思い切った発言・・・。どれもが俺にとって未知の領域・・・心臓の鼓動がさっきより早くなっている・・・。リムは体を擦り寄せてくる・・。
(や、やばい・・・胸が当たってる・・・リムの奴いつの間にこんな成長を・・・ってそんな事考えてる場合じゃないっ!!)
一人心の中でノリツッコミをしている自分・・・。こんな状況の中で何やってるんだ、俺は・・・。
「アノン・・・?さっきから黙ってるけど・・どうかしたの・・?」
「どうかしたのって・・・どうかしてますよ・・・俺もお前も・・・一体どうしたんだよ・・・リム・・・今日のリム、何か変だぞ・・・?」
そう俺が言うとリムは抱きつくのをやめた。
「アノン・・・私の方を見てよ・・・何で目を背けるの・・?」
俺はいつもとは違うリムの声を聞いてちらっと後ろを振り返った。
「べ、別に俺は目を背けてなんか・・・」
「嘘っ!!絶対背けてる!!私を見ないようにしてる!!」
顔を真っ赤に染めて俺に怒鳴りつけるリム。
「だって当然だろ!!?お前と俺は性別が違うんだぞっ!!見れる訳ないだろ!?」
そう言った俺は興奮しているのか、体をリムの方に向けた。リムは少し戸惑いを見せ、目を俺から背ける。
「何だよ・・・お前だって目逸らしてるじゃないか・・」
「だって・・・アノンのそこ・・・おっきくなってるんだもん・・・」
「へっ・・?・・あっ!!!」
俺は知らず知らずのうちに下半身のアレを露出していた。俺は慌ててそれを隠す。
「もしかして・・アノン・・さっきので興奮しちゃった・・?」
俺はもう何をいい訳しても無駄だと思ったので、静かに首を縦に振った。
「そっか・・・アノン・・・私でも興奮してくれるんだ・・・ちょっと嬉しいかも・・」
俺は最後の方を少し聞き取れなかった。しかしそんな事は今は気にしないで只ひたすら恥ずかしさを隠す。
と、俺が両手で下半身を隠していると、リムが俺の肩に手を置いてにっこり笑った。
「・・・?リム・・・?」
俺はリムと顔を合わせる事が出来ずにふと目線が下に行ってしまう・・・。見えたのは・・・リムの秘所・・。
「見えてるって・・・」
「んっ・・?何が・・?」
「お前のそこ・・」
俺は今にでも顔から火が出そうなくらい顔を赤くしていたと思う。しかし俺の言葉を聞いたリムの顔も少し赤くなっていた。
「・・・アノンのエッチ・・・」
リムはその言葉を言うと湯船から出て、風呂場からも出て行った。
「なっ・・・悪いのは俺だけかよっ!?」
完全な悪役・・?俺って一体・・・



湯船に浸かりながら一人落ち込む俺・・。ご愁傷さまである・・・



しばらくして風呂場から出ると体を拭いて、服を着る。それが終わったら、今度は自分の部屋に戻った。部屋に戻るともはやこの時間帯から自分の敷布団を敷いて眠りについているリムの姿があった・・・。この歳になっても一緒に寝ている俺たちって・・・。見るとリムの掛け布団がずれていたのでかけなおしてやった。
「風邪ひくぞ・・・まったく・・・」
心配性の癖して自分の心配をしないんだよな・・・リムは・・・。
俺は少しため息をつくと自分のベッドに横たわった。
「俺も寝るかな・・・お休み、リム・・・」
俺が言うとリムはそれに答えるかのように「ふにゃ」と寝言を言った。
俺はリムの反応をみて、少し笑って瞼を閉じる。とにかく今日は疲れた・・・明日はどんな事が起こるのだろう・・・・。
俺はそんな事を考えながら眠りについた・・・。



<第2話 緊張 終>



<第3話 再会>
朝、珍しく早く目覚めた俺は、一人で朝食を済ました。まだ母さんとリムは寝ている。リムはいつもは俺より早く起きて、俺の耳元でデカイモーニングコールをする。それが嫌なために俺は最近早起きするようになったんだ・・・。しかも今日はいつも以上に早く起きたから、俺はある場所へ向かうことにした・・・。母さんとリムを起こさないように静かに玄関の戸を閉める。
「行ってきます・・・」
静かな声で俺は言った・・。俺はある場所へ向かうためにまだ朝日も出ていない状態、と言うか、朝の霧がかかっている状態の道を歩いていった。まぁ、今から行くところを教えると、俺の大好きな海だ。
昨日はリムに向かって「行かない」と言ってしまったが、実を言うと俺はたまに一人で海に行っていたりする・・・。これはリムにも秘密の事・・・。
そしてちょうど俺が海に着いた頃には眩しいくらいの朝日が出てきていた。俺は海辺の砂浜に座ってその朝日を眺めていた。
「綺麗な朝日だな・・・何かぽかぽかしてあったかいや・・・」
そう言って俺は知らず知らずのうちに夢の中へ・・・
と行きたかったのだが、その時向こうから人影・・・?っぽいのが近づいてきた。
「・・・はっ!!あれは・・!!あの人影、もといポケ影?は・・!!」
俺は慌ててそこら辺の岩場に隠れた。近づいてきたそのポケモンは・・・毛の色は黄色、首の辺りは白い毛で、何か全体的に毛が逆立っている感じのポケモン・・・間違いない・・サンダースだ・・・しかもあの目の色は普通のサンダースではありえない目の色をしているのは・・・間違いない(本日二度目)・・・「イナ」だ・・・。
イナとは昨日会ったラフのパートナーのサンダースの事・・(あれっ・・?この説明は昨日も・・・まぁいいや・・・)性格は勝気な感じで、ラフとは仲がいいんだか悪いんだか分からない・・・。でもあいつの可愛さはこの町ではかなり評判とされている・・。ポケモンの可愛さコンテストでは、何度も優勝しているほどだからな・・・ちなみにリムはいつも二位・・・どうでもいいっか・・・。
それにしても何であいつがこんな時間に・・・。あいつも海が好きなのはよく知っている。何せ小学校からの付き合いだもんな・・・。
イナは少し寂しそうな顔をしていた・・・いつもとは違う顔・・・あいつ、あんな顔もできるんだな・・・。
「さっきからそこで覗いてるのは誰?」
俺は体がビクッと反応して、思わずイナの前に出てしまった・・・。気配で読み取ってたのか、コイツ・・・。
「あ、アノン!!?アノンじゃない!!久しぶりっ!!」
覗いていたのが俺とは流石に分からなかったらしいのか、イナはビックリしているのと同時に、俺に抱きついてきた。
「うおっ!!?ちょっとイナ!!苦しいって!!」
イナは本当に心を開いた奴にだけ自分の本性を見せる・・・。もしかしてこれがツンデレってやつなのか?イナは俺が困っているのにも関わらずに顔を俺の方に摺り寄せてくる。
「んん~~やっぱりアノンは顔が気持ちいいわぁ~~」
俺に擦り寄ってくるのはそのためかいっ!!まったく・・・何か何処となく似てるんだよなイナは・・・リムと・・・
そんなことを考えながらも俺はさっきから気になっていた事をイナに聞く。
「そういえば何でお前こんな朝早くにここにいるんだ?」
「んん~~?いやね、私今日珍しく早起きしたもんだからここに来たくなって来たの」
おいおい・・・俺とまったく同じだよ・・・。
「アノンは?どうしてここにいるの?」
「お前と同じだよ・・・つーかそろそろ降りてもらえないか?」
「い~や!!私はこのままがいいの!!」
そう言ってイナはさっきよりもっと顔を摺り寄せてくる。
「そういうアノンだって私とこうしていたいんじゃないの~?」
俺は少し顔を赤くしていたと思う。何か顔が熱かったから。
「ば、バカっ!!お前にはラフがいるだろう!?」
「ラフはこんな事してくれないもん・・・それにアノン・・さっきからさぁ・・何処触ってんの?」
「はっ・・・?」
俺は手元を見てみた・・・・手はイナのお尻の部分を支えていた。(つまりは片手で腰の部分、もう片方がお尻の方を支えている状態)
「わあああぁぁぁぁぁッッッ!!ゴメンッ!!俺そういうつもりは・・・!!」
顔を真っ赤に染めていると思われる俺を見てイナはクスクスと笑った。
「別に気にしてないわよ?相変わらずアノンは女の子に弱いのね・・これじゃリムとは・・」
「な、何もしてないからなっ!!リムとは何もしてないからなっ!!」
「知ってるって・・まぁ、いいわ。それより降ろしてくれる?」
イナがそう言ったから俺はイナを砂浜に降ろしてやった。
「ありがとう。わたしそろそろ行くね?リムにヨロシク言っておいてね?」
「あぁ・・分かったよ・・・」
俺はまだ顔を赤くした状態で、頬をポリポリと掻いていた。イナは去ろうとする直前に俺に話しかけてきた。
「アノン?あと5日後にお祭りがあるよね?」
「あぁ・・?うん・・・」
イナが顔を近づけてきた(と言うよりは俺がしゃがんでイナと同じ視線にした)
「その時にさぁ・・・四人で一緒に行かない?私とラフ、アノンとリムで」
「それはいいな・・・久しぶりだもんな・・・四人で行くの・・」
「じゃあ決まりねっ!!ラフには言っておくからアノンはリムに伝えておいてね?」
イナが俺に向かってにっこり笑った。俺はその笑顔に思わずドキっとしてしまう。
「わ、分かった・・。言っておくよ」
「じゃあ、約束ね・・・アノン、顔を寄せて」
「んっ?何だ?」
「いいからっ!!」
俺はイナの言うとおりにする。その時唇に柔らかい感触が伝わってきた。
「・・・!!?」
イナは俺と唇を交わしてきた・・・。しかしイナはすぐに唇を離す・・。短い秒数ではあったが、俺にとっては長く感じられた・・・。
「これは約束の印ねっ?じゃあねっ!!」
そう言って何事も無かったかのようにイナは走って去っていった・・。いつものイナとは違うもう一人のイナ・・・。どっちが本物なのだろう・・。俺はその場でボーっとし続けていた・・・。イナが見えなくなるまで・・・。
俺もしばらくして家に戻った・・・。時間は皆が起きる時間帯・・八時をさしていた・・。



祭りまで後5日か・・・。



俺は一人、早く祭りの日がこないかとそわそわしていた・・。
<第3話 再会 終>


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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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