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変貌する運命

/変貌する運命

作者:DIRI

変貌する運命 

 

 今から半年ぐらい前、運命を分かち合う人が出来た。一番だけじゃなくて二番目の人が出来た。一番のコウヤも、二番のアズサも、僕は誰より愛してる。欲張りだと言われようが、エゴイストと呼ばれようが、僕は構わない。僕がコウヤとアズサを愛していることに絶対変わりはないから。好きな人が二人いたって良いじゃないか。どちらかを選ばなければならないとしたら僕は少し悩んでからコウヤを選ぶ。きっとそうだろう。彼女も、アズサもそれで良いって言ってくれている。彼女は二番目、僕の中でかけがえのない二番目の人。二番目だからこそ僕は彼女のことをどんなことをしてでも守ってあげたい。二番目だからこそ僕は彼女を愛することが出来る。「愛してるよ、二番目に」この言葉は僕らの絆の証。彼女は多分、二番目じゃないと知ったら激昂する。一番になったとしても、それより下になったとしても。アズサは二番目、どんなことがあっても二番目だ。彼女と一緒にいて、時々僕はコウヤのことを忘れてしまいそうになる。多分、もうコウヤとアズサのことが同じぐらい好きなんだ。それでも、それでも彼女は絶対に二番目の人。二番目だから僕らは共に生きているんだ。


 「この辺りで寝ようか、旦那様」
「そうだね」

またもやお久しぶりです。どうも、カルマン・アーヴァイン・ローゼンバーグです。あとは以下略。えっとですね……僕がアズサを抱いてから大体半年です。旅に出てから結構時間も経ったから僕も大分逞しくなりましたよ。中身まだこんなんですけどね。アッハッハ、爆笑。……まあ置いときましょう。アズサってばすごく良い子ですねってのが半年一緒に過ごしてきた感想です。一度交わりましたから彼女毎日要求してくるのかなって思ってたら週一ぐらいに抑えてくれてます。それはホントに助かりますね。僕としては出来るだけヤりたくない訳でもありますし。それと、彼女のことが好きなんで僕に言い寄ってくる雌に対して断固拒否が出来るようになりました。これもありがたい。知らない雌とヤるのは正直疲れるんです。コウヤと同じキュウコンでもやっぱりスタイルはコウヤの方が良いんです。でもね、アズサもボーイッシュなのに童顔というこのステキな顔立ちしてますから僕としては全然ありです。彼女のイき顔とかもう……ヒュウ! ま、アズサは全体的に雌らしさが溢れてるコウヤとは対照的に胸は……うん、まな板です。ゴメンアズサ、悪口じゃないの。まあ、ペチャパイ好きもいるじゃないですか。僕は胸とか正直どうでも……あ、でもあの柔らかさがたまに懐かしい……。胸の話してると脳内での話であってもアズサが「雌の勘でもの凄く不快なことを言われた気がした」って言ってドロップキックかましてくるんであんまりしたくないです。うわ、今一瞬殺気を感じた。まあ胸以外は平均的だし良いじゃない。それが僕の見解~。僕の見解で思いだした! 危険度皆無! Y、a、h、oo、yahoo!! 僕なんの旅してんのか時々忘れかけるんだけどさ、元々危険な所求めて旅してる訳です。それがキミ、危険の“き”の字も……前も言ったねこれ。内陸ばっか移動してるからかな……。たまには海岸辺り行ってみましょうか。ロマンティックが止まりませんね。やばいやばい、妄想が……夕焼けの海岸で僕とアズサが二匹だけ、見つめ合う僕らがキスしてそのあと……わぁぁ~、なんでだろ、交尾ぐらい既に何回もやってんのに改めて妄想してみると滅茶苦茶恥ずかしい……。ロマンティックスゲーな……。何効果だよ。でも行きたくなってきたな海岸線に。よし、明日提案してみよう。まあ多分二つ返事で「良いんじゃない?」とか言って来るでしょうね。彼女はついて来てるって言う立場ですからね、僕の決定は絶対ですよ。そう言えばロッソはどうしてるかなぁ……一匹だけ置いて来ちゃったからやっぱり心配だなぁ、今更ながら。生きてると良いけど。あるいはもう死んでるとか、トレーナーに捕まっちゃったとか……可能性はまだいっぱいありますけどね。歳の取り方がポケモンによって異なりますからロッソはもう13歳、あと二年経てば18でポケモンでは成人ですからね。ちなみに僕は24歳です。アズサは20歳。コウヤは生まれた年は僕と同じなんだけど種類が違うから22歳です。ま、享年は10歳なんですけどね。死んでからも成長してるっぽいんで。死んだ時はロコンでしたからね彼女は。そう言えばあんまり話題に持ち上がんないけど僕には妹がいます。ロッソからしてみれば姉です。僕と一年間ぐらいの間を空けて生まれました。だから今は21歳かな。あれ? 計算違いだったら18……? いやまさか。でもホントに僕の妹はコウヤと会う前にトレーナーに捕まったから記憶が曖昧すぎる……。全く覚えてない訳じゃないからね、名前は覚えてますよ。僕の妹の名前は……

「あだっ!」
「今私でもコウヤでもない雌のことを考えている気がした」
「気がしただけで側頭部に炎の石を投げないで下さい……」

アズサ、キミってエスパー? 勘がここまで鋭いと怖いんだけど。あ、ちなみに炎の石ってのはコウヤを進化させる時に盗ってきた炎の石のあまりです。落としたりした時のために二つ盗んできたんだけどそう言うことはなく、でも持ってて損はないから今現在も持ってるという……。アズサは「子供が出来たらその子に使う」とか何とか。いや、それは多分危なげなフラグが……。生まれてすぐ過失進化したらどうするんだ。進化は年齢に関係ないんだぞ。家があればまだ話は別だけど旅の途中だからね。第一旅の途中で子供産まれちゃったらホントにどうすんのさ、子育てしながら旅はさすがに無理あるよね。そうなると……それは夢の終わり……。って、やかましいわ。その場合は旅をやめなきゃいけないな……。僕も責任を取る必要が、そうですね、婚約です。あわわわわ……それっていざ死んだ時にコウヤに怒られないかな……。てかそれより前にこんなに何度もコウヤ以外の人と交尾してて怒られないかなって言うのもありますよね。コウヤ……どんなキャラだったかな……。怒りっぽくはないよね、性欲に飢えてたとはいえ強姦されてむしろそれを楽しんでた人ですからね。でもそんなにおおらかな感じでもなかったような。結構サディストっぽいし。ん? それは性的な意味でなら滅茶苦茶楽しそう……。仮に「あたし以外の雌にさんざん使ってきたモノ(これ)をとことん(なぶ)ってあげる」とでも言われた日には僕は完全なMに目覚めます。やべ、涎……。

「旦那様がいやらしい妄想をしている気がする」
「やかましい。ってかホントにエスパーじゃないよね?」

てかいい加減に寝ろ。いつもあんなに早いじゃないか。コウヤにいじめて貰えるんだよ? 垂涎ものでしょ。アズサは受け専だから少しは分かるんじゃないの?

「おそらく私には理解出来ないことを考えている」
「今日はえらく冴えてますね。怖いですよ、アズサさん」
「伊達に尻尾が九本もあると思うな」

理解不能です、本当にありがとうございます。

 「てかさ、ホントにもう寝ようよ、この辺りで寝ようかって言ってから一時間ぐらい経ってるよ」
「最近寝付けなくてな」

嘘吐け。

「うるさい」
「はい?」
「何か言ったろ、頭の中で」
「ろくに口説き文句も考えられませんね、本当にありがとうございます」
「行為で示せ」

そう言われたんで抱きしめてキスしてあげました。ま、こっちの方が下手な言葉よりも良いかもね。確かに僕は頭使うのが苦手だから仕方ないんだよぉぉ~。

「どうするアズサ? このままヤる?」
「ん~、いや、やめとく。気分が乗らない」

実はここ一ヶ月夜の方がご無沙汰です。僕は別に耐えられますけど、てかもう性欲に関係なくヤってた一年がありましたしね。でも彼女がどうかは知りませんからね。今までは耐えてたっぽいんだけどな、週一回の行為の時は目一杯やってましたから。結構欲がたまるタイプの人らしいんですよね。だったら気分が乗らないからってヤらないのはちょっとおかしいような……。まぁ、そう言う時もあるかな……。

「……それじゃ、このまま寝ようか」
「ああ……」

これじゃどっちが雄だか分かんないじゃんか。言っとくけど! 僕はこれでもそこそこ強いし体付きも逞しい、そしてアズサ曰く「作らなきゃそこまで完璧な顔にはならない」って言われる程の顔です! 言っとくけどポケモンに整形する奴はほとんどいないから。トレーナーでも頭のおかしい奴がやるだけだから。野生だったらそんな技術無いから不可能ですし。これが僕の素顔だよ。中身がこんなのだからいけないって言われても中身も少しは変わってんだぜ! 無駄に何かに怯えているようなことはなくなったんです。進歩だと思いませんか? とにかくおやすみなさい……。

 朝です。おはようございます。と言ってもですね、いつもはアズサが先に起きてるはずなんですが今日は何故か僕の腕の中です。動くに動けません。ま、寝ぼけてるからどうしようとも思わないんですけどね。朝に弱い訳ではありませんけども。その時! 僕の鼻が何かのにおいを察知した! そうですね、敵さんです。敵さんって言っても人間ですけど。火薬のにおいがしないからハンターじゃなくてトレーナーか、あるいはウォッチャーか。でもね、野生でいると分かるんですけど若干の敵意が見えます。あれはトレーナーで僕らを捕まえようとしてるんですね。勘弁して下さい。

「旦那様」

アズサが目を瞑ったまま小声で言います。あ、起きてたんだ。それが最初の感想です。気付かれないようにしたいんですね。じゃあ僕も小声で……これから少し先まで僕もアズサも小声です。

「何?」
「やっと起きたか。気付いてる?」
「人間?」

アズサはほんのわずかに頷きました。薄く目を開けてる状態だから見るのがやっとです。寝相の振りしてアズサの頬に手を沿えてたからやっと分かったぐらいです。まあそれはともかくですよ。どうしましょうか。別にウォッチャーだったら僕達が向こうを気にすることはないんですけどトレーナーだった場合戦闘に突入しますんで。どうしようか言い合ってる間にも人間さんがジリジリとこっちに寄ってきてるのが分かります。最終的な決定としては、飛び起きて脅かしてやりましょうと……どんな会議があったんでしょうね。知ってるけど面倒だから説明しません。

 「あと三歩近づいてきたら」
「ショータイムね」

とか言ってる間に二歩来てますからね。最後の一歩。始めの一歩じゃなくて。

「ばあ!」
「ばあって何だよ!?」

「ばあ」の犯人はアズサです。僕は適当に吼えようかと思ってたのに第一声突っ込みになっちゃったよ。どうしてくれんの。迫力ゼロじゃん。まあ、人間さんの方は僕らが飛び起きたのにびっくりして尻餅ついてますけど。結果オーライ?

「トレーナーっぽいね」
「逃げるか?」
「朝一のダッシュはきついよ……第一今も立ちくらみが……」

低血圧な訳ではないです。突然の体勢の変化で血圧が合ってないだけです。あ、トレーナーさんがボールを……何か出してきましたね。

「行け! ロゼ!」

人間さん、うるさいですよ。野生のポケモンの迷惑も考えましょう。

「で?」
「僕が行くからアズサは見てて良いよ」

そう言ってたらボールからポケモンが出てきました。ガーディですね。火炎放射で焼き払うことは出来なくなりました。フレアドライブなら打撃の威力があるからまだあれなんですけどフレアドライブ反動が痛くて……。

「ロゼ! フレアドライブ!」

ちょ、おま……。言ってる矢先になんて事を。小型のポケモンでも大型のポケモンを吹き飛ばせるぐらいの威力あるからなぁ……。仕方ない、僕もフレアドライブを……。やめた、神速でかわそう。

「こっちこっち」
「避けるなぁ!」
「痛いの嫌じゃないですか」

あのガーディ雌ですね。普通のガーディは赤茶色だけどあのガーディは純粋に赤! って感じの色合い。まあ白い所は白いですが。一匹で紅白ですね。めでたいめでたい。とか思ってたら第二波のフレアドライブ。危ね、かすった。所であの赤どっかで見た記憶があるような無いような。まあいいや、さっさと終わらせようかな……。

 「行けっ!」

人間さんモンスターボール投げてきましたね。……いや、ハイパーボールか。野生のポケモンからしてみればその極悪さはかなりのものです。ま、当たりはしませんがね。避けます、神速で避けます。

「きゃっ! だ、旦那様……!」
「! アズサ!」

なんてこった、延長線上にアズサがいるとは……。まずい、アズサがボールに入れられた。ハイパーボールは性能が良いから上手くやらないと逃げ出せない……。まだ揺れてる、なんとか逃げ出してくれないと……。

「ゲット!」

揺れが……止まった……。え? 嘘? マジですか……?

「アズサ!!」

もう人間とかガーディとか知ったことか、アズサが捕まえられた? いやない、これはない。夢であってくれ。でもアズサが入れられてるこのボールの冷たさとか現実なんだよ。嘘だ、やめてくれ。助けてやらないと。アズサを助けるためなら僕はどんなことだってしてやれるんだ。そう、何だって出来る。ポケモンの世界では御法度と言われる人間に攻撃する事も……。

「……人間、アズサをさっさとこのボールから出せ」

「っ……ロゼ、構えろ」

人間に僕の言葉が分かるはずはない。所詮人間はそんなものだ。自分の力だけではひ弱な生き物。道具やポケモンを頼らなければろくに生きていけない。そんな人間は嫌いだ。だから僕は全力で、あの人間をぶっ潰す

 「うあぁぁぁぁ!!」

「っ! ロゼ! フレアドライブ!!」

可哀想に、人間に使われるしか無いだなんて……。そんな無茶な命令聞いたことあるかい? 人間は自分を守りたいがために、キミに自分の数倍の体格をした、強力な相手の強力な技を避けろと命令せずに「自ら当たりに行って打ち勝て」と命令されているんだよ。憎くないか? 自分勝手とは思わないか? 仮にキミがそう思っていたとしても、僕はこのフレアドライブをやめる気はない。キミのフレアドライブを見てごらん。僕のフレアドライブとは比較対照にすらならないよ。火力も無い、勢いも無い、勝てないと分かっているから覇気すらないだろう? 残念だよ、キミがガーディなのが。キミがあの人間に懐いているのが。そうでなかったなら命令を無視して逃げることも出来ただろうに。可哀想な娘だよ。怒った僕を相手にするなんて……。

「ぅぐぁっ!!」

「ロゼ!!」

邪魔なんだ、僕に刃向かうなら容赦なんてしない。僕はこの怒りの根元を潰す。潰して、消し炭になるまで焦がして、そのままうち捨てて、時が経って朽ち果てるまで咎を背負わせてやる。咎はそのガーディだ。飼い主が死んでもボールがあれば逃げることは出来ない。アズサのボールは壊してしまえばいい。アズサを何とか外に出して、そのあと僕がボールを踏み潰す。そうすればアズサは自由になれる。さあ、消し飛び潰れろ人間め!

「っ……」
「ご主人の所には行かせない……!」

可哀想に……。洗脳されてるんだね。怖いことをするなぁ、人間って……。いっそキミもあの人間と同じようにしてあげようか。出来るよ、キミ程度のガーディなら。まぁ、足に噛み付くなんて低レベルなことをしてくるようだから結局高が知れてるよ。温室育ちのヌルい奴。僕ら野生を見下して育ってきたんだろう? 自分は人間と過ごしてる。自分は社会の一員。笑わせる。飼われてることにも気付かずに……。野生がいかに厳しいかって教えてあげよう。僕ら野生は全てのことを自分でやる。身を守るのもいざとなれば頼りになるのは己だけだ。さあ、僕に刃向かったこと後悔させてあげようか……。

 
 「ロゼ……」

「なんだい、その情けない声。人間、お前の相棒が死にかけてるよ。助けなくて良いの? 助けられないよね、非力な人間、無力な人間。所詮お前は虎の威を借る何とやら……。ポケモンの力や道具の力を自分の力と勘違いしてる。弱い弱い。飼っていて利用してたつもりが実は飼っていなきゃ自分に自信が持てないんだろう? だがいざ目の前で飼っていたそれが窮地に陥った時、人間、お前は何をしている? 怯え、うろたえ、逃げようかとすら考えている。飼っていたそれを見捨てて。結局自分が良ければいい。全て自分を中心に回っている。自分が中心であり他のものは自分の周りを回っているただの装飾品、いや、ただの空気だ。そうだろう? 飼われたこの娘も可哀想だ、まさか自分が見捨てられるとは思わずに今の今まで人間を信用して、人間の言うことを聞いていたのに。失望? それとも絶望か? その苦しみから今解き放ってあげよう。さあ、目を瞑って楽になろう……」

ガーディは僕の手で地面に叩き伏せられ喉を押さえつけられている。その手は無論、僕の手だ。この場合は前足って言った方がわかりやすいかも知れない。僕があと少し力を加えれば、体重をかければ、ガーディの呼吸は止まる。そして一生戻ることはない。可哀想。可哀想だよ。可哀想だから解放してあげる……。

「助……けて……カ……ル……マン……お兄……ちゃん……」
「!」

驚愕。驚愕を通り過ぎてただ呆然とするしかない。

「……ローザ……?」
「……!」

目を見開くガーディ。そうか、どこかで見たことがあると思った訳だ。人間からロゼと呼ばれたこのガーディは僕の妹のローザなんだ。
 突然全身の力が抜ける。そして赤い閃光が目の前を覆った。まさか。まさか人間が行動を起こすとは。僕にもハイパーボールを投げつけてきたんだ。暴れなければいけない。全力で抵抗しなければ。でもハイパーボールの捕縛性能が僕の想像以上に強い。暴れても暴れても身体から力が抜けるばかりで逃げようがない。それにさっきのフレアドライブが災いした。フレアドライブ同士でぶつかり合ったものだからローザの勢いは殺していても反動がいつも以上に強力だった。もう……ダメだ……。抵抗する気力が……。遠くから聞こえる感じで人間の声が聞こえる。僕は口調を崩しはしないけどこう言った。

「クソ野郎……」


 しばらくして、僕はボールから外に出されました。怒りはくすぶってはいるけど収まってきましたよ。まあ目の前でほくほく顔の人間見たら怒り再沸騰しますけども。うなる程度しかできません。理由? ハイパーボールの力です。ハイパーボールが僕を捕獲した時に抵抗出来ないようにするための機械的なのを埋め込みます。と言うよりも、モンスターボールがどんなプロセスでポケモンを捕獲したかを説明していくとわかりやすいかも知れませんね。僕のつたない知識を見て下さい。まずですね、モンスターボールは様々なポケモンを捕獲するために基本的にはどのモンスターボールであっても備わってるものがあります。それはポケモンをデータに変換するための装置とそれを電波、まあ可視光線ですね。それに乗せてポケモンをデータ化させるための出力装置があります。所で、何ですけども、ポケモンの定義って知ってますか~? これを知らないと僕の説明理解不能だからね。元々しっちゃかめっちゃかな説明なのにそれが更に滅茶苦茶になるからね。知らない人のために説明しましょう。ポケモンの定義とは、『自身をデータに変換出来る能力を持つもの』、『自身の大きさを変えることが出来るもの』、この二つです。無知な人間さんは時々全部機械の能力だって思ってるんですよね。でも、ポケモンをパソコンで転送出来るのも、ポケモンをモンスターボールに入れられるのも、ポケモンセンターの変な装置で一瞬で軽い怪我なら治癒出来るのは全部このポケモンの能力あってこそですから。そう、でも自分の身体をデータに変換出来るって言っても結局の所機械がないとその力は分かんない訳です。そこでモンスターボールですよ。モンスターボールはまず対象になるポケモンに投げつけますよね。そしてそのボールが野生のポケモンにヒットした時、ボールが一瞬で色んな事をします。とりあえず最初に話した例のポケモンをデータに変換するための装置が作動しますよね、作動した装置は無理矢理ポケモンをデータに変換させる信号を発信します。でもこれだけじゃ意味がないです。そこでそれを可視光線に乗せてぶつけたポケモンに発射します。すると、ポケモンは自分の意志に関係なく身体がデータに変換されてその可視光線を伝ってモンスターボールに吸い込まれます。光ファイバー? ま、そこで一応全部のモンスターボールに備わってはいるけど性能が千差万別なもの、それがポケモンを捕獲するためにポケモンに対して特殊な麻酔を施す装置です。モンスターボールに吸い込まれたポケモンのデータを読み込んだボールが元の形でポケモンを再構築しますよね。その時にその麻酔装置が作動する訳です。そしてポケモンの能力である自分の大きさを変えることが出来る能力をここで利用してる訳ですよ。まあ、ご存じの通りモンスターボールは小さいですよね。それに僕達ポケモンが入れる理由がそれです。元々はこれ、保身のための能力なんですよ。自分の意思で出来るものじゃなくてね。再構築されたポケモンは速効で麻酔装置にかかります。恐ろしい程の効き目ですよ。だから本能が反射的に働いてポケモンは一瞬で小さくなってモンスターボールに収まるサイズになります。って言うか再構築されてる時から小さくなってるんだけどね。でも小さくなったからって暴れられない訳じゃないですよ? 無論暴れることも出来るし、ある程度暴れるとモンスターボールの設定されてる耐久率が無くなって取り逃がすようなシステムになってるんです。なんでそんなデメリットがあるのかって? あれでしょ、あんまりやりすぎるとモンスターボールは機械だから爆発って言うかショートして中にいるポケモンが大怪我するからですよ、多分。ちなみに、何回もボール投げて取り逃がしててもいつか捕まえられるって言うあれ、事実だからね、麻酔は身体に残る訳ですから暴れる気力もいずれ無くなります。そしてモンスターボールがポケモンを内部に再構築してる時にもうひとつやってることがあります。データ化したポケモンを登録してるんですよ。だからもうそのモンスターボールは他のポケモンに使うことが出来なくなってます。耐久率が無くなったら捕獲する装置がいかれたことになりますから無論使用は不可能ですよ。そこで登録されて捕獲されてしまったポケモンには外に出される際、またデータ化されて麻酔を抜かれますけどもうひとつ別のものをデータ状態で組み込まれます。それが僕が今人間にうなることしか出来ない理由でもある『服従データ』、データは遺伝子だって唱える学者からは『服従遺伝子』なんて呼ばれるものが入れられて、どんなに不服であろうとトレーナーを攻撃したり、そう言うことが出来なくなります。まあ、過度のものにしか反応しないんだけどね。僕の場合完全にぶっ潰す気だから働いてるだけであって……。ん? 詳しすぎじゃないかって? 僕ね、実は本とか読むの好きなの。だからね、落ちてる本だったら結構なんでも読むよ、漫画であってもなんかの説明書であっても小難しい学術書でも……そうだね、エロ本も読みます。正直本よりリアルが好き。まあ、結構色々つまんない知識があると思っといて下さい。え? 文字読めるのかって? 基本的に誰でも読めますよ? アズサも読めるし。もうひとつ足形文字って言うポケモンにしか読めない文字があるんだけどね。泥とかで足跡が付いてる時に変な感じに並んでる時があったらそれは誰かが足跡文字で悪口書いてます。よく見るのは「間抜け」と「死ね」、一回しか見たこと無いけど気に入ってるのは「お前それでも人間か?」ってのがあってね、しかも人間の家の壁にでかでかと……。あれには吹いた。気付いてない人間、ホントにその通りだよ、頭悪っ。

 「旦那様……」
「! アズサ!」

アズサも表に出てました。人間め、アズサを捕まえたこと覚えてろよ……。

「アズサ、大丈夫?」
「ああ……。どうしよう……私達捕まっちゃった……」

不安そうにしてるアズサは初めて見たな……。仕方ないか、人間なんかに捕まっちゃったんだから……。確かに不安にもなるけど、乗り切らなきゃ。よし、ここは適当にかっこつけといて気分だけでも明るくさせとこうか。

「僕がついてるよ。大丈夫、きっと何とかなる。何とかしてみせるよ」
「……うん、旦那様……頼りにしてるよ……」

びっくりしました、ふいにこんな事言われましたからね。頼られてるって言うのは初めてなんですよね……。なんて言うか、ね? 少し緊張するというか。でも頼られてるなら何とかしてみせるしかないじゃないか。ここで僕の雄としての真価が試される時が来たんだよ。絶対に人間の所から抜け出して仕返しまでしてみせるぞ……。

「お前達の名前を決めないとな~」

帰れ人間。帰れっつうかもうむしろ土に還れ。名前ならあるから、絶対妙な名前付ける気だろ。

「キュウコンは雌だから……ウル。ウインディの方は……シヤンでいっか」

死ね、五回ぐらい死ね。変な名前の上になんだよ、「いっか」って。いっか? 僕適当じゃね? アズサ、笑ってる場合じゃない。キミも何か“ウル”なんて名前付けられてるんだぞ。くそ、ポケモンの掟で今までの名前がミドルネームに入ってしまう……。元々ミドルネームある人だと長くなるし気持ち悪い語呂になるから最悪だよ……。

「シヤン・C・アーヴァイン・ローゼンバーグってキミ……」
「ウル・A・ロン・アルク……」

元の名前が……。何が何でも逃げ出さなきゃまずいなこれ。早急に、三日以内に行動を起こさないと。

 「ほら、ロゼ。今日から仲間だぞ」

人間が、僕の妹をボールから出しました。早速目が合ってすごい気まずいです。

「仲良くしろよ」

空気読め人間。

「……旦那様? このガーディは……」
「……ローザ・ニルダヘッタ・ローゼンバーグ。僕の妹だよ。そうだよね、薔薇色のローザ。その毛の色、ローザに違いない」

はっとしてるのはやっぱり確信が持てる証拠です。

「カルマンお兄ちゃん……? カルマン・アーヴァイン・ローゼンバーグなの?」
「うん、僕は深紅のカルマンだ」

深紅のカルマン。それが僕とローザの幼い頃に言っていた二つ名と言う奴だ。無論若い頃はそれがかっこいいと思っていた訳で。今となっては恥ずかしい限りですけどこの二つ名の存在を知ってるのは僕とローザ、もしかしたらロッソも記憶あるかも。まあ、そんなんですから僕だってわかるのには十分ですね。

「お兄ちゃん……!」
「わっ」

抱きつかないで下さい、いや、抱きついても良いけど急に抱きつかないで下さい。びっくりするじゃないですか。感動の再会~、なんだろうけど事実は感動の再会ではなくて僕がローザを殺しかけたって言う最悪な展開でしたよね。アズサは知ってるのかな……。

「ずっと会いたかったよぉ……」
「う、うん、僕もだよ。随分昔に生き別れになっちゃったからね」

やばい、人間の視線がキモい。そしてアズサの視線が痛い。僕このままどうにかなりそう。

 「赤きロッソはいないの?」
「……ロッソは一匹だけ置いてきた」
「どうして……?」
「生きてて欲しかったから」

案の定首傾げてます。てか一応謝っとこうかな。

「ローザ、さっきはゴメン。僕……」
「怒ってたね。久しぶりに怖かった」

おとなしい人程キレると怖いですからね。まあ僕はあの時怒ってただけでキレてはなかったけど。キレるってのは怒りの暴走状態のことですから。

「……そんなにそのキュウコンのことが大事だったの?」

アズサに話し振ろうかと思ったけど僕が火傷しそうな気がするから自分から入ってきて欲しい。でもとりあえずローザに答えないといけないよね。

「うん。彼女は僕の大切な人」
「アズサ・ロン・アルクだ」

ボーイッシュな童顔。もはや神がかってる。ローザも見とれてた。すごく可愛いよね、わかります。

「恋人……?」

まあ当然そう来ますよね。

「……アズサ、僕達恋人かな?」
「え~っと……ん? どうなんだろうな?」

僕は確かにアズサのことが好きです。でもそれはコウヤの次。ですからそれはあれでしょ? アズサは無論僕のことが好きな訳ですけど。それで、半年程前に「ついて来て欲しい」とは言ったものの付き合って欲しいとか恋人になってくれとかは一言も言ってませんからね。でも、関係はそれに近いぐらいで……。でも厳密には……とか考えてくと一生無限ループ。じゃあ結論!

「親友以上恋人未満です」
「際どい……友達以上じゃないし……」

ローザ突っ込みが手慣れてますね。ロッソを思い出すよ。てかボケ僕しかいないのかよ。それはきついじゃないか。

 「とにかく、アズサは大事な人」
「分かったよ……。つまりアズサを守ろうとして……」
「待とうかローザ、アズサはキミより年上ですよ」
「知らないよ。アズサを守ろうとしてあたしにあんな事……」

無視かよ。

「いいよ旦那様、生意気な方が可愛いだろ?」
「いやいや、キッチリして欲しいけど?」
「待って、旦那様って、え?」

そこは反応しますか。

「まあ愛称みたいなもんだよ」
「出来れば意味のままの人になって欲しいけどな。そしたらお前は私の妹だ」
「え~?」

何が不服だローザ。って、待て。

「ちょっとアズサも待って貰えますか? いやね、確かに責任を取らなきゃいけない状態になったら僕もそれは考えますけど……」
「あれ? 排卵日いつだっけ?」
「それは自分で覚えとけよ! 僕が困る一方じゃないか!」
「そうは言っても……なぁ?」
「うん」

女性陣の意気投合する早さ恐ろしい。雄には真似出来ない。てか待て、アズサが危険日覚えてなかったらやばいじゃん。半年週一ペースでヤってきてたんですからね。仮にその間ドンピシャなタイミングあったとしたら……。いや、ないない。そんなベタな話はない。しかし危惧する必要もあろうよ。やばいな……。第一人間と違ってポケモンの排卵のペース一ヶ月に二回だから妊娠確率滅茶苦茶高いんだぞ。今まで妊娠しなかったの不思議で仕方ないよ。まあ排卵のペースが速い分卵細胞の寿命も短くて……。ん? なんでそんなこと知ってるかって? ゴミ捨て場に教科書あったから読んでました。ポケモンのことが赤裸々に書いてありましたよ。ポケモンが交尾してる所は目撃されてるんだけどタマゴ産む時は誰も見たことがないって……まあタマゴは野生の人達よほどのことがないと使いませんからね。普通はそのまま出産しますよ。

 「よーし、顔合わせも終わったし、ロゼ、ウル、シヤン、次の町に行こう!」

「オー!」
「調子に乗るな人間」
「人間うざい」

僕らの人間の扱いテラヒドス。まあ正直な感想だ、分かっちゃいないだろうが受け取ってくれよ人間。まあどうでも良いことだ、チャンスがあれば逃げ出す訳だし。でもローザがいるなぁ……。ま、それからちょいと歩いて次の町に到着しました。ここはカトラスシティ、港町です。ずっと昔からこの大陸の交易の中心になっていたらしくて今でもその活気はすごいです。もう夕方なのに人でごった返してます。まあモンスターボールの中から見た景色なんですが。僕らが次にようやく外に出れたのはポケモンセンターの中です。人間は部屋を借りたっぽい。ベッドが一つ、それとなんかの棚と箱、もうひとつ黒い箱。ははぁ、これが噂の『てれび』か。噂では何か映るらしい。人間の科学技術って奴はもはやなんなのか意味が分からないですよ。って、おい! 人間お前どこにアズサを連れてく気だ! あ、行っちゃった……。クソ、帰ってきたら有無を言わさず放火してやる……。

「お兄ちゃん」
「ん?」

ローザと二人っきりですね。それはそれで……緊張するというか。あれですからね、一緒にいた時間って結構短いからね。相手がどんな風に育ってるかとかも知らない訳ですから。まあ何か、適当に話題作ってれば会話には困らないでしょ。幸い話すことはたくさんありますし。

「今まであたしがいなくて寂しかった?」

どう答えるのが正解ですか? わかってますよ、聞いてみただけです! 僕だって大人ですからね、忘れてないよね?

「うん、まあね。でも随分昔のことだったし、最近はちょっと再会は諦めてたよ」
「そ、なら良かった」

何が良いの? 兄弟が居なくなってんのに寂しくないってもう奴頭おかしいでしょ。

「所で父さんと母さんは元気?」

ああそうか……ローザは父さんと母さんがまだ生きてた頃に捕まっちゃったもんな……。二匹とも死んじゃったなんて考えてもないんだろうね。さて、どう答えましょうか……。さっきのよりこれの方が断然難しいってまあ当然ですけどもね。あの答えを迷う人はそうそういませんよ。

「実はね……言いにくいんだけど……」
「?」
「……二匹とも僕達置いてどっか行っちゃったんだ……」

嘘でもないしホントでもない、故に一番卑怯な手段である。そう言う答えを僕は導き出してしまいました。これは優しさからですか? いいえ、怖いからです。泣かれるのが怖いからです、恨まれるのが怖いからです。僕が仮にホントのことを言ったとしましょう。そしたら彼女は悲しんで泣いちゃうかも知れないじゃないですか。せっかく再会したのに暗い空気の中にいるのはさすがにやだよ。だからといって嘘を吐きますとそれはそれで危険が付きまとう訳です。だってもし僕が口を滑らせたりとかしちゃった場合「どうして嘘吐いたの?」ってめっちゃくちゃ責められるじゃないですか。それ嫌だよね? ね? だからやった苦肉の策です。まあ、理由はどうあれ最低だぜ僕。

「そっかぁ、また会いたかったのになぁ……」
「うん、僕もまた会いたいよ」

本音です。両親のことは好きでしたよ。でも若い頃ってほら、親が空気みたいな存在じゃないですか? だからその、親孝行とかしたこと無いんです。親孝行したい時既に親はないって言葉がすごく身に染みます。ああ、どうしてあの時親孝行してなかったかな……。故人に孝行は出来ませんからね、コウヤみたいに冥界の番人になってちょくちょく現世に来たりしてない限りは。

 「それでさ、お兄ちゃんは今までどんな風に過ごしてたの?」

ま、その話題でしばらくは盛り上がってました。やっぱり野生の期間が短かったローザには僕の暮らしのあれが良く分かんないらしくて。驚いてましたね。まあ僕もローザの話には驚かされてますけども。『てれび』とか『げーむ』とかが面白いとか言われても……。まあテレビはわかるよ、ここにありますしね。でもゲームってなんぞ? なんぞや? まあ遊ぶための機械って事は分かったんだけどどんなものなのかサッパリです。まぁどうでも良いかぁ。途中でアズサが帰ってきたんですけどなんかね……妙に深刻そうな顔をしてました。どうしたのか聞いてもスルーされます。やばいな、あれほどまでにスルーの実力があればスルー検定一級取れるぞ……。あ、人間も帰ってきた。うなってみたけど人間の奴め、ニヤニヤしながら僕を撫でて行きやがった。死ねよ。

「それで……お兄ちゃんとアズサはやった事あるの?」
「何を?」

続きをローザが言おうとしてた所で大体僕も何言いたいのかは分かってたんだけどアズサがローザを連れて行っちゃいました。何事? スゲー心配だ~。何の話してたのかアズサに聞いてみても「何でもない」とか「あとで教えるから」とかそんな答えしか返ってきません。僕除け者? そ、そりゃないぜぇ~……。でも何で? ローザそれからすごいアズサと仲良くなったんだけど。時々僕が置いて行かれちゃいます。嘘だ、嘘だろステファニー! ステファニーは昔僕の頭の中にいた友達です。今も時々現れます。まあステファニーは今はどうでも良いんだよ、アズサがなんかおかしいの。心配で心配で僕もう……

「何があったんだアズサァァァ!!」

こんな事言いながらねてたらしいです。さすがのアズサも爆笑してました。ローザは軽く引いてました、その上で失笑してました。やべ、久しぶりに死にたくなった。まあ死にたくなったっていつも死にたいとは思ってる訳ですけどそう言うんじゃなくてもっとこう、ね? 機会があったら死ぬんじゃなくてもう自ら死にたくなるってあれ。そんなんです。まあそんなのになるぐらいアズサのことが心配。やっぱり聞いても適当にはぐらかされるし。何なんだよ~……黒船来航したみたいに眠れない……。

 そんな状態が二日続きました……。さすがに寝不足できつい……。その状態で人間は僕をポケモンバトルに引っ張り出す訳ですよ。死ねよマジで。オマケにフレアドライブばっかり命令すんじゃねえよ死ねクソが。おっと、勝手に口調が崩れた。まあそのくらいイライラしてます。寝不足なのも後押ししてやばい。戦闘中に寝てしまうこともしばしば……さすがに怒られた。僕が何もしないからっていい気になるのはホントにやめようぜ人間。本気になればお前ぐらい一瞬で消し炭に出来るんだぞ……。ま、人間の戦闘に関するセンスがゼロなのはよく分かりました。で、それが自分で分かってるらしく上手く戦うにはどうしたらいいのかって事でこれでもかってぐらい積極的にバトル仕掛けてこれでもかってぐらい僕を使う訳ですよ、本当にありがとうございます。お礼にのしかかってあげましょうか。うぅ……さすがにもう疲労が限界……。寝不足だから体力の回復が……いやポケモンセンターの機会で傷は治ってるんですけど気力とかそうゆう奴が……。アズサが最近様子がおかしい理由を教えてくれれば……。

「お兄ちゃん」
「ぅあ、何……?」

ダメだ、視界がぼやけてきた。このまま眠れそう……。

「……あたし悩んでるの」
「ぅえ? ……何を?」

よし、自分の頬に一喝して眠気飛ばしとかないと。自分の妹の悩みぐらい聞いてやらなきゃ兄として情けないってもんですよ。僕は情けなくない!! そうだ、その意気だ僕……お前は意気地なしじゃない、外見に中身が伴う雄だ、自信を持て、自信を持て、自信を持て……。

「お兄ちゃんが来てからご主人様あたしのことあんまり見てくれないの」
「……うん」
「どうしてかな……?」

まぁ、この意識が飛びかけてる頭で考えてでることは二つ。

「僕とかに目移りしてるか……あるいはローザはもう要らないって思ってるか」
「…………」

すごい地雷踏んだ気が。

「……分かった……ありがと……」

しゅんとしないでくれ、僕が泣きそうです。

 「どうしたローザ? 旦那様がいじめた?」
「それはな○※&◆%$……」

眠すぎて呂律回りません。まあその間にもローザがかくかくしかじかでアズサに説明してるから良いや。

「解決する方法はあるにはある」
「え?」

アズサがえらく自信ありげ。

「でも私としては……ちょっとためらいがある。何と言っても人間がローザを見ないのは私のせいだからな」

色々と待て。

「何でアズサ?」

ま、適当に何か誤魔化されるんでしょうね、わかってますよ。

「私が妊娠してるからだ」

ほれみろ、妊娠だってよ。……待て。

「に、妊娠!?」
「あ、ああ」

恥ずかしそうにするって事はマジだな? マジって事はあれか、つまりはアズサは僕のことが好きなんであって、僕と初めてヤった時から僕としかヤってない訳で、そうだとしたらアズサのお腹の中にいるのは僕の子供って事で……。マジか。

「え? 嘘じゃないよね?」
「嘘だと思うならほら……腹に耳当ててみろよ」

言われた通りにすると……。ちょっと恥ずかしげに~、だけどかなり遠慮無しに~、ここに僕の子供いる、僕の子供いる、確かにここにいる~。って歌ってる場合かぁぁ~!! やべーじゃん! マジでいるじゃん!! 胎動が聞こえるんですけど!! 気分悪いとかヤる気分じゃないとか言ってた理由これかよ!! 胎動聞こえるって事は結構大きいですよ!?

「どうすんの? どーすんのよ僕!?」
「お兄ちゃん、責任取るんじゃなかった?」
「フフッ、これで正式に私の旦那様だ」

言ってる場合か!!

 「まあ、今の話はそれが本題じゃないからこの事についてはあとでじっくり話そうな、だ・ん・な・さ・ま」

絶対今最後にハートついた。よし、切り替えが大事だ、切り替えの素早い大人が一番頼れる大人だっていつか友達が言ってた!

「ローザが最近人間に相手されてない理由はおそらく、私のこともあるだろうが戦闘能力が旦那様に格段に劣っているからだ」
「まあ確かにそうだけど……」
「僕に勝つようになるとかはさすがに無理だよね」

「そこでだ」と言いつつ、アズサが懐から何か取り出しました。……炎の石か……。

「炎の石でローザが進化すれば旦那様には劣ろうとも戦闘能力はぐんと伸びるはずだ」
「てか炎の石取られてなかったんだね」
「あいつ私の腹が少し大きいのに気付いた割には炎の石を隠してる場所には気付かなかった」

炎の石を隠してるのはアズサの尻尾の中です。九本も尻尾があって全部ふさふさだと中に炎の石を入れといても以外と落ちたりしないんだよね。てか人間アズサのお腹が大きいの良く気付いたな……。僕も気付かなかったのに。まあずっと一緒にいたから逆にって事かな?

「でも進化するとなれば無論ガーディの姿とは一生おさらばになる訳だし、もしかしたら可愛い物好きって言うあの人間がウインディになったローザを否定するって事も考えられる。ハイリスクローリターンって可能性もなくもない」
「そっか、ウインディって可愛いって言うよりかっこいいとか美しいの類だもんね」
「あとは……ローザ、お前の判断にゆだねる。進化するならこの炎の石をやる。だけど、進化しないならこれは私達の子供用に取っておく」

まだそれ言ってんですか。いや、現にお腹の中に子供いる訳ですからあれなんですけどね。ローザどうすんのかな? 進化したら僕と種類被る訳ですし……。あれ、そうなったらどっちかが置いて行かれそうな気が……。ま、その場合は無理矢理にでも逃げだしてやるから良いか。ローザはまた一匹になって人間とまた仲良くやってくんでしょ。僕としては正直どうでも良いです。どうでも良いって言うかローザが良い方を選んでくれれば僕は全く文句も言いませんし。結局僕とローザは違う運命の中にいる訳ですから僕が介入すべきじゃないだろうし。何か最近考え方がおかしくなってきたなと思います。

 「……すぐにはやっぱり決められないよ……」
「だろうな。旦那様、私としてはあと数日中に人間の所から離れたい。最近構われるのがうざったくなってきたからな」
「僕ももう限界なんで早くおさらばしたいです……」

ローザに選択権があるのは残り三日と言うことになりました。それを過ぎたら僕が強制的に人間をのしてボール破壊でバイバイキーン。ハッヒフッヘホー野生の生活ってことです。まあ三日あれば多分決められるでしょ。僕はその間に寝不足のこの身体を休めたいと思います。アズサの様子がおかしかった理由も分かってすっきりしたことですし。よーし! おやすみなさい!

「旦那様」
「ぅえ~……」
「何がぅえ~だ。話し合いだ、こっちに来い」

アズサァァァ!! 僕に今現在死亡フラグが立ってんのに……。数日寝不足の状態で話し合いって言ったらベタな落ちになりかねないじゃないか、どうすんだよ。目の下にくま出来てるの気付いてるだろ。寝不足の他にもバトルでこき使われてんだぞ。

「ZZZzzzz……」
「寝るなぁ~!!」
「ほげっ!?」

こめかみにドロップキック喰らいました、本当にありがとうございます。てか身重なのにそんな激しい技使うんじゃないよアズサ……。
 

 「結局……また眠れなかった……」

うつらうつらしながら人間の隣でぼやいてる僕って一体……。まあ一日しか経ってませんけどね、さすがにもう限界です。立ったまま寝れる。アズサったら僕が寝ようとするたびにドロップキックかスリーパーホールドを……。女子プロレスでもやってたんですか。人間も僕の異常に気づけよ。本気で死んでくれないかな。

「よーし、今日も頑張ろうな、シヤン!」

「死ね……」

僕の呪いの言葉を理解してくれ。

 そういや昨日はなんの話し合いしてたんだっけ? 眠たすぎて内容サッパリ覚えてないや。蹴られたりしたことは覚えてるんだけどね、不快な事実として。ま、今日もどんどんと過ぎていきまして僕が力だけで他のトレーナーのポケモンを叩き伏せてると言う実につまらない一日でした。人間ももうちょいさぁ……フレアドライブ以外の攻撃を使ってみたりとか補助技をやるとか無いのかよ。そんなんだからお前上達しねぇんだよ、クソが。

「今日もお疲れ様、お兄ちゃん」
「とりあえず寝床……」
「今日はもうちょっと歩くらしいよ」
「ふざけんなー!!」

今どこに向かってんの? ……ソウジンシティ? どこだよそこ。温泉街? ……知らね。

「ぅあ~……」
「大丈夫か?」
「ん……多分もうちょっとで電車が来る……」
「は?」

僕今なんて言ったよ、眠すぎて意味わかんね。そのくらい眠いんですよ、察して下さい。てか人間もなんで今日に限って僕を表に出して歩くんだよ、死ねよマジで、死ね死ね光線!!

 そのまま夜に突入。結局ソウジンシティとやらには着かず野宿です。まだ海岸線があるからその近くで寝ることにしたっぽいです。潮風が……海風が吹いてます。磯の香りは少し苦手かも。

「今日こそは寝てやる! ぐっすりとな!」
「まぁ、今日ぐらいは良いか……」

アズサも寝かせてくれる気になったみたいです。やった、これで僕の安眠を妨げるものは……はっ!? これって死亡フラグ!?

「お兄ちゃん」

まさかのローザです、本当にありがとうございます。

「……あたしどうするか決めた」

炎の石ですね、わかります。

「……進化することにしたよ」
「そう……じゃあアズサ……ZZZzzzz……」

寝ちまったZE。あ、今日の夢はコウヤですね、なんか良く分かんないけど僕とコウヤが(たわむ)れてます。そこだ! キスしろ! 押し倒せ!! まあそう都合良く行かない夢ではありました。それ以前に夢が唐突に終わるという最悪の事態でしたが。

「うぅん……」
「お兄ちゃん」

もう、またローザかよ……。てか開口一番「お兄ちゃん」ってのやめて欲しいな……。気恥ずかしいよ。

 「何……まだ進化して無いじゃん……」
「うん、アズサとちょっと話し合ってて」

「何を?」って聞くのすら面倒なんで首傾げるだけです。そしたら……

「っ!?」

なんでだよ、ローザ……。僕達は兄弟だろ……。

「っぷは! キスとか言語道断!!」
「うん、言うと思った」

てめっ、何考えてんだ。「言うと思った」って、思ったならなんでキスしたよおい。

「アズサがね、まだ正式には夫婦って訳じゃないから今日ぐらいは良いよって言ってくれたの」
「何を? え? 何を?」

大切なことだから二回言いました。てか問題のアズサはどこにいるんだよ。

「ばあ」
「ばあってなんだよ!?」

真後ろですね、ありがとうございます。……って、よく見たら僕両足縛られてる……。オマケに仰向けで。ロープの繋がってる先は木です。本当にありがとうございます。

「え? ちょ、まっ、何する気なの二匹とも……」

あ、アズサのあの意地悪そうな笑みが……。ローザ真似すんな。真似しちゃいけないものもあるよ。

「聞く所、ローザはまだ経験がないらしい。好きな雄もいない、となると……」
「近くにいる雄って一匹しかいなくなるよね」

僕ですね、わかります。そして本当にありがとうございます。そうか、この流れはあれなんだな、ヤっちゃう系のあれなんだな……。待て。

「さすがに! さすがに兄弟はまずいよ!! 確かに数え切れないぐらいの雌とヤってきた僕ではありますが!?」
「どの位ヤったの……」
「覚えてないよ! でも兄弟ってさすがにやばい! ホントに!」
「静かにしろ、人間が起きる」

てかなんでアズサは反対しないんだよ。一応僕ら結婚する予定なんじゃないんですか? 成り行きではありますが。おまっ、未来の旦那様が未来の妹とヤっても良いのかよ。

「18歳になって処女なのは辛いだろ」
「知らないよ、僕雄だから」
「雄はお前、最初の相手なんてこだわらないだろ」

うるせー、確かに童貞卒業は強姦でしたよ、それが偶然コウヤだっただけですよ。

「ローザはな、旦那様なら別に最初の相手として不足はないって言ってるんだ」
「不足は無くても不満がありますけど」
「愛で乗り切れ! 私だって愛で承諾してやったんだ!」

僕の承諾を得ようね。そして兄弟愛なんかで乗り切れる問題じゃないね。ああ、僕また強姦されちゃうんですね……。ホント何でなのかなぁ~、顔のせいだとするならこんな顔に生まれてきて損した。

 「まぁ、私も少し欲求不満だし、一緒にヤるから文句言うな」
「その顔は文句を言わせない顔ですね、本当にありがとうございます」

その笑みが今は憎いです。可愛いんだけどね、可愛いんだけどね!!

「とにかくだ、ローザ、先に進化しておこう。さすがにその身長で旦那様とヤるのは無理がある」

経験者は語る。炎の石をローザに渡して……っていつの間に僕の上に乗ったんだよローザ。炎の石に触れてローザが進化……進化の光が包んでますが、僕やばいんじゃないかなこの体勢は。なんて言ってもお腹の上にローザが乗ってる訳でありまして、ウインディって大体150キロぐらい体重がある訳で……。

「ぐほぉ……退いて……っ」
「あっ、ゴメン」

進化し終わったローザ、もうちょっと遅かったら僕口から色々出てました。内蔵とか、臓物とか、体内器官とか……。

「じゃあ、ローザ、上を攻めるか、それとも下を攻めるか、どっちにしたい?」
「……下って……あれでしょ?」
「そうだ」
「上で」

上も下も僕からしてみれば結局犯されることに変わりない訳でありまして……。もう良いや……眠いし、抵抗しても無意味なんでしょ……。

 「んっ……」
「んむ……」

ローザのキス、ディープキスです。あぁ、目を開けてるのも面倒なんだから絡める気起きないよなぁ……。もう割り切ってヤっちゃえば良いやって見解になったんですけど眠気が……。色気より眠気……。

「んぁっ!?」

アズサがモノ舐めてきました。え? 同時進行なの? それだと僕持たない……。でも容赦ないです。多分僕がこのタイミングで落ちたら翌日アズサからフルボッコにされる……。それは避けたい。でもモノ舐められてたら舌を絡めるのが困難な訳でありまして……。ローザ飽きたっぽいです。随分と早いな。キスは手慣れてたけど。

「……アズサ、舐めて大丈夫なの……?」
「大丈夫大丈夫、愛があれば」

その愛って取り消せないよね。正直ローザは僕のモノ見て動揺してますね。当然だろうね、初めて見るんだろうから。その少し恥ずかしそうなそれのせいで僕も恥ずかしいんですけど。ああ、誰か殺して……。

「ひぁっ!?」

あれ、ローザが加わった……。え、何この状態。二匹の雌が僕のモノを舐めてるんですよ? ボーイッシュな童顔と、まだ幼げな感じの残る少女が、僕のモノを音を立てながらペロペロペロペロ……。それを眺めてる僕って一体何なんだろうとか思うんですけどそれより前にモノを舐められてる快感の方が先に来ますからしてやばい。丹念に、ためらい気味に……そんな感じで舐められてたらもう耐えられませんよね……。

「ローザ、一旦やめ」
「え?」

何故やめる。もうちょっとでイけたのにぃぃ~……。

「さすがに初めてでぶっかけられるのは精神的に無いと思う」
「ぶっかけ……?」

知らなくていい、知らなくて良いよ……。

 「ぶっかけって言うのはな……」
「アズサ……説明しなくて良いよ……」
「じゃあ実演」

そう言う事じゃなくてね。

「まぁ、まずこうやってモノを弄ってだな……」
「ぁうっ……」

身体がピクッと跳ねてしまう、反射です。アズサめ、手を使ってくるとは……。扱かれると言うのはさすがに耐え難いことですよ……。途中からフェラに変わったのは多分頭から被る気だな。顔にぶっかけられてる状態が一番良いらしいです。僕としては全身にぶっかけたいです。

「うあぁっ!」
「そろそろかな……」

ローザ真っ赤じゃん。まあそりゃ他の人が犯されてる様見りゃ当然ですか。処女ですしね。

「あぁぁぁっ!!」
「んっ……」
「うわぁ……」

まあそれが正常な反応ですよローザ、キミは正しい。アズサは頭から僕の精液を被ってドロドロですよ。あ~、これでまたそそられちゃう僕ってなんだかなぁ……。久しぶりだったから結構出たし、身体の方まで白いです。

「これがぶっかけ……まあ慣れたらこう……な、抱きしめられたのと同じ感じだ。要は相手が身体にまとわりついてる訳だし」
「でもやめとく」

「それより」で僕の足のロープを噛み切って僕を自由にしたローザ。ああ、多分本題に行きたいんだろうな……。わかるよ、普通はマニアックな知識はあとでちょくちょく吸収していくものだからね……。そう腰を上げられてもですね……僕の気力というものが失せてるんですよ。射精ってば滅茶苦茶体力いるんだからね。人間で言えば2キロをダッシュした時ぐらいの体力がいるらしいです。睨むなよアズサも……。仕方ないなぁ……。って、濡れて無いじゃないですか。それで入れるとなったらこっちもそっちも痛いですよ? ……面倒だけどやるか……。

 「きゃっ!? お、お兄ちゃん!?」
「あのね……ここが濡れてないと初めてじゃなくても痛いからね」

ローザの秘所を舐めてあげてます。優しさです。決して他意はありません。だって僕は異性としてローザのことが好きな訳じゃないですから。だから僕は今までのコウヤとアズサ以外の雌と同じように扱うことにします。それなりに楽しむ気ではありますけどね、何より眠いですから。

「あっ……ぁんっ……」
「気持ちいい?」

徐々に濡れてきました。さっきからアズサの視線が痛い。不快に思うぐらいなら承諾しなきゃ良いのに……。承諾してもう行為にまで及んだんだから恨みっこ無しだよ。

「ひぁぁぁっ!!」

ローザイっちゃった……。まあいっか、イったんなら十分濡れてる訳だろうし。

「大丈夫?」
「なんとか……」
「これで準備出来たね」

ローザの処女を僕が奪うのかぁ……。ちょっとなぁ……罪悪感……。

 「良い? 入れるよ?」
「うん……」

後背位が良いらしいので後ろから……。モノをゆっくりとローザの中に入れていきます。……今自分の妹犯してるんだよ僕……。背徳心とかで胸一杯……。

「んっ……」
「痛かったら言って……」

更に少しずつ奥に……と、あ、なんかにぶつかった……。これが“処女膜”とやらか……。これを破ったら、ローザは処女卒業と……。ホントに僕なんかで良いのかな……。聞きたいんだけど……多分聞いたら野暮って言われるなぁ……。それはそれで嫌だし……。まぁ、ここまで来て自分から嫌だって言わないって事は多分大丈夫なんでしょ、僕は一切責任を取りません!

「行くよ……」

確認を待たずに一気に、一思いに奥まで突きました。

「ぃっ! あぐっ……!」

痛いんだろうね……涙目になってるよ。アズサがローザを撫でてやってるけど……僕どうしたらいいんですか? このまま続けて大丈夫?

「ローザ、一回抜こうか?」
「いい……大丈夫……」

そう見えないから言ったんですけど……。まあ、僕はそれを信じます。

 「もう動かして大丈夫?」
「うん……」

さすがに中に出す気はありませんけどね。交尾の快感という奴を教えておきましょうかと……いや、僕みたいになられても困るけどね……。とにかく、交尾で彼女をイかせるべきなんです。

「あっ……んぁっ……」

ゆっくりとね、最初は。まだ痛いだろうし。息が荒くなり始めたら少しずつ少しずつ速くしていきます。その見極めってのは結構難しいんですけど多少は多分大丈夫でしょ。まぁ、最終的にはアズサとヤってる時みたいに速く腰振ってるんですけどね。卑猥な水音、腰と腰のぶつかる音、そう言うのが全部理性ぶっ飛ばす元ですからね。

「はぅっ! あんっ! お兄……ちゃん……っ!」

そろそろローザは限界かな……。僕はもうちょっとは大丈夫だけどね。初めてだから早いみたいだね。

「あぁぁぁんっ!!」

ローザ、イっちゃった。本日二回目。ぐったりしてるから抜いて大丈夫かな。もう一度言うけどさすがに中に出す気はないからね。妹ですから。

 「はぁ、はぁ……ありがとお兄ちゃん……」
「お礼は言わなくていいよ……」

さて、寝ようかなって思うんだけど、もうちょっとでイけるからイきたいんだけど……。

「私とヤろう? 旦那様」
「え? でもお腹の子供が……」
「大丈夫だよ、きっと」

そんな感じで……結局アズサとヤることになりました。途中は特に何もなかったんで割愛します。入れるとこからね。そこが醍醐味じゃないか~。

「騎乗位か……」
「嫌?」
「いや、ただあの時は出来なかったなって……」

一番最初のことだね。騎乗位で入れようとしたら僕のモノが彼女に入らないって言う……。なんのギャグマンガですか。まぁ、今は少しきついけど入りますからね。そう言えばローザは体格が近いのもあってヤりやすかったな……。

「今は私に集中して欲しいんだが?」
「ゴメンゴメン」

アズサが自分の秘所に僕のモノをゆっくりと入れてきます。騎乗位は女性優先の体位ですからね。あぁ、久しぶりのアズサの中……この吸われてるような感触……。気持ちいい……。

「あぁっ! 旦那様! あんまり激しくしちゃやだよぉ!」
「あぁ、ゴメン……」

お腹に子供がいるからですかね……。僕から突いたら激しすぎてダメらしいです。じゃあって訳でアズサが動いてくれます。グジュグジュって音がして僕の身体がアズサの愛液で濡れていく……。ダメ、イきます。

「アズサっ……イくよ……っ」
「うん……っ」
「っあぁぁっ!!」

中に出しました。大丈夫かな……。

 「はぁ……やっぱり良いな、交尾は……」
「よし……区切りがついた、寝よう……」
「お兄ちゃん」

フラグが立ちました。

「あたし、もう一回ヤって欲しいな」
「私もまだ物足りない」

……僕これから先の記憶ありません。

 目が覚めた時は朝日が眩しい時間帯でした。辺りを見てみると、夜中の惨状がありありと影を残している有様であります。これ普通に何があったのか容易に想像出来るじゃないか、ダメだダメだ、片付けないと……。

「うわっ!」

「げっ!」

人間起きて来ちゃった! アズサもローザも妙な格好で寝てるし、オマケに二匹とも僕の精液でドロドロだし、ローザは進化してるし、まあ色々と突っ込み所は豊富だよ。

「……シヤン、お前……」

「事情説明出来ないのがこんなにも悲しい事って今までありませんでしたよはい」

言葉通じませんからね。……っておい、人間何故棒を拾う!?

「ウルは元からお前と(つがい)でもな、ロゼにまで手を出すような奴仲間にしておけるか!!」

「ちょっと待って、イテッ!」

……何で? なんで僕が殴られなきゃいけないんだよ? 僕はアズサとローザから無理矢理ヤらされたのに……。

「ご、ご主人様!?」
「旦那様!」

起きたね、二匹とも。最高のショーが見れるよ……。

「ロゼ、仇討ってやるぞ!」

「ご主人様違うよ!!」
「ローザ、もう手遅れだよ……」

ローザの顔色が一気に悪くなったのが遠目からでも分かる。僕が怒ったらどうなるのか、ローザはよく知ってるから。僕をさっきから棒で殴ってる人間がどうなるのか想像出来たから。

 「いい加減にしろ」

殴られたら痛いのは当然だよね? だから僕は人間の持ってる棒を弾き飛ばした。さて、道具にしか頼れない人間、どうする? どうしようも出来ないよね。

「久しぶりに聞こえたよ……緒の切れる音が」

怒りが抑えきれない。僕は昔から、怒ることもあんまり無かったけど、キレることは滅多になかった。今久しぶりに僕はキレてる。

ぶっ殺す

それから少しの間、人間の悲鳴と何かが折れる音、炎の()ぜる音が聞こえていた。

「……だ……旦那……様……」

アズサの消え入りそうなその声は断末魔にかき消されていた。

「……ご、ご主人様!!」

涙声で叫ぶローザに答える主はもう居ない。

「……これが僕とアズサのボールか」

破壊されたボール、それは僕らの自由を意味していた。

「アズサ、行こう」
「…………」
「……アズサ」

僕はアズサを睨んだ。その瞬間、アズサはビクッと動いた。その目は確かに恐怖に満ちている。その恐怖の対象は紛れもない僕だ。僕をアズサは恐れている。今人間の命を奪ったこの僕を恐怖して見ている。でもしばらくそうしていたけれど、アズサは僕のそばにゆっくりと歩み寄ってきた。

「さあ、旅を続けよう」

僕らが行くのは危険な場所、命を取るか取られるか、そう言う世界に行くんだ。

「行かせない!!」

立ちふさがるのはローザ。僕の妹ローザ。

「……邪魔するなよローザ」

冷ややかな目、僕の視線はそんな感じだったろう。

「ご主人様をよくも……っ!!」

飛びかかってきた彼女を僕は神速で叩き伏せた。

「……ローザ、キミは僕の妹だ。だからこれ以上は攻撃しない」

僕は鬼なんかじゃない。ちゃんとした心もあるんだ。

「所詮、ロッソも、ローザも、僕より弱い存在でしかない」

僕はそう言い残すとアズサを引き連れてローザと、ローザの主人の骸を置いて足を進めた。一歩一歩と進んでいくその道には必ず僕が背負ってしまった咎が見える。僕は人を殺した。でも後悔はしていない。僕はローザの大切な人を奪った。でも後ろめたいとは思っていない。僕は変わった。でも良いことばかりとも限らない。




 変貌する運命、僕はその中を生きていくんだ……。


あとがき

こんばんは、スランプに陥っていたDIRIです。
今現在も若干スランプから抜け出せず困っています。スランプの時は文章を書くのが一番だと思っているので書きまくった結果、官能表現に行くまでが異常な程長くなってオマケに官能表現がそれに対して短いという…、なんかなぁ、最悪だぁ(汗
さて、カルマンは変わりましたよね。完全なヘタレという訳ではなくなりました。
ヘタレはヘタレなんですけど、覚悟が出来るようになって一皮むけたんじゃないでしょうか。
まあ、最後の当たりはちょっと私もどうしようか迷ってはいましたけど……(苦笑
これからカルマンの運命が大きく変貌していきます。
期待せずに続編を待っていて下さい。


最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • カルマン怖すぎる!!
    アズサはこれを見てこれから着いてきてくれるのでしょうか?
    今回のお話は何だかゾクッとしました。続き期待しています
    ――ルベ ? 2009-08-26 (水) 06:06:32
  • この後ローザはどう生きていくのでしょうか。このまま一人生きるで生きていくのかカルマンについていくのか…。とても気になります。
    そしてこの後カルマンとアズサの運命がどうなるのかも気になります。
    次回楽しみにしています。
    ――ポスト ? 2009-08-26 (水) 19:12:32
  • 連続すいませんが…カルマンからンをとったらカルマ(=業)になるなと思ってしまった…。
    ――ポスト ? 2009-08-26 (水) 19:54:38
  • カルマンは、さっさと終わらせれば良かったのに。
    そうすれば、捕まることは、無かったはず。
    しかし、そのおかげ(?)で黒カルマンが見れました♪
    ――ホワシル ? 2009-08-29 (土) 21:05:07
  • 初めまして!
    DIRIさんの作品は和みますね。
    いつもは優しいカルマン…でも本気で怒ったら怖い!
    こんなカルマンを見てアズサはついて来てくれるのでしょうか?
    今後の展開が楽しみです。執筆頑張って下さい!
    ――F ? 2009-08-29 (土) 23:03:34
  • ルベさん
    コメントありがとうございます。
    カルマンは怒りを溜め込んで一気に全部だしちゃうタイプなので怒ったらあんな感じです(笑
    今後アズサは…、秘密です(殴
    ポストさん
    ローザは長い間人間に養われてますし、カルマンがボールを壊しませんでしたから誰かが拾ってくれるのを待つだけです。しかしウインディは珍しいし目立つので引き取り手はすぐに見つかると思います。
    ちなみに、カルマンはカルマから取った訳ではなく、フランス語で“真紅”を意味する言葉を取ってます。
    ローザとロッソはイタリア語で薔薇色と赤という言葉です。
    ホワシルさん
    コメントありがとうございます。
    カルマンはローザに見覚えがあるような気がして面倒だから終わらせようとしたら人間がボールを投げてきたんです。その後怒って隠れてたSが出てきて捕まってしまったという…(笑
    黒カルマン…、さて、こんなもんでしょうかね?(不穏
    Fさん
    初めまして、コメントありがとうございます。
    カルマンは優しいとかの前に臆病ですから(笑
    そのせいであまり怒ることとかが無いんですよ。
    アズサは一応カルマンのことを本気で好きなのでついていくはずです。
    期待に添えるように頑張ります!
    ――DIRI 2009-08-31 (月) 02:49:53
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