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塩助交際

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作者……仮面がぶ厚い事が周知の存在である人

 日中、遮る雲もなく、光を和らげる湿気もなく、ただひたすらに太陽を浴びた熱砂は、日が落ちるとともに徐々に熱を放出して冷えていった。ひんやりとした空気に包まれた砂漠の街はしかし、別の熱気に包まれていた。
 交易で栄える砂漠の街。この街にも探検隊のギルドがあった。不思議のダンジョンへと潜っては、そこで手に入る資材や食材を持ち帰り、市民の生活を潤し、富をもたらし、経済を動かす探検隊。探検隊という職業は高い報酬と引き換えに常に死と隣り合わせであり、それゆえか女性の探検隊は少なく、屈強な肉体を持つ荒くれ男たちばかりが所属している。
 しかしその荒くれたち、体の強さや収入だけを見れば間違いなく魅力的な肉体や頭脳の持ち主なのだが、危険に満ちた職業だけに生活が安定しないことや、いつ死ぬかもわからないリスクを抱えているため、家庭を持てるものはごく僅かだ。
 特定のつがいを得られない……となれば、男たちは欲求のはけ口を求めざるを得ない。そんな欲求不満な男達から収入のおこぼれに預かるため、探検隊が依頼のやり取りを行うギルドの周りには、女が接客を行っていたり、場合によっては別室で個人的な遊びができるお店が立ち並んでいた。
 もちろん、お店に所属することなく街路に立ち、男と有料で遊ばせてあげる女性もおり、こちらは店を介さない代わりに報酬を独り占めできるが、何かあったときに助けが入る可能性が低いというリスクを抱えている。
 ただ、店を介さない分自由に値段を設定できたり、遊び方も幅を持たせられるというのはとても大きい。今宵、とある探検隊が目をつけたのも、そんな店に所属をしていないフリーの遊女であった。

 男の全身は吹きすさぶ砂嵐に研磨され、その鱗は刃物のように鋭く研ぎ澄まされている。時折見える、まだ未熟な鱗は傷跡だが、多くはないし大きくもない。ついでに言えば、すでに傷がふさがり鱗が生え変わっている時点で、しばらく大きな傷を負っていないことがわかる。一仕事を終え、気持ちよく酒を煽ったその男は、ムラつく下半身に苛まれていた。数日かかる奥深いダンジョン、そのうえ気を抜けない高難度のダンジョンへの仕事後だけあって、ここ数日ずっと抜いていない。このまま家に帰るよりも、一度女を抱いてから気持ちよく眠りにつきたい気分であった。
 そう思い、ふらりと赴いた路地裏。虫も、毛のある奴も、怪獣も、ドラゴンも、鉱物も、より取り見取りの女の中に交じり男娼も見かけるが、そちらには興味がなかった。彼がひときわ目を引いたのは、月と星の光を受けて煌めく、巨大な青い結晶を持った女性であった、洞窟暮らしの男なら、月のない夜でもその輝きに見惚れていた事だろう。おあつらえ向きに、今日は満月。彼女の美しさがより一層際立って見えた。
「よう、お嬢ちゃん。遊び相手を探しているんだが、俺に付き合ってくれるかい?」
 男は夕暮れごろに手にした報酬金の一部を差し出し、女の前に提示する。
「お兄さん、ドラゴンなのに私なんかに目をつけるなんて変わってるね? でも、嫌いじゃないよ……遊びましょう」
 女はそう言って金を受け取った。交渉成立である。

 女の家は、海まで遠征をしては体に塩を貯め込み、岩塩を形成させ、それを遠くの街まで運び、身を削って売る事を生業とする家であった。そんな彼女だが、母が病に倒れ、それを治すためには薬となる希少な鉱石が必要となってしまう。母親からの収入が途絶えたうえに、希少な鉱石も買わなければならない。そうなると、生業だけでは生きてゆけず、泣く泣くもう一つの意味で身を削っていきる事をしていた……のは、過去の話。
 今は、十分に生活できるだけの金を生業で稼ぎながら、もう一つの生業も行うという、二足にわらじ生活をしている。彼女が今でも、二つの意味で体を売っている理由は、塩を売るだけでは得られない大金に魅力を感じた……というのもあるが、何より彼女は好きものであった。
 とはいえ、つまらない男に抱かれるのを好まない彼女は、男の相手を半ば強制されるような店に所属せず、断ろうと思えば断ることもできる気楽な立場で金を稼ぐ。探検隊ギルドの近くで待っていれば、逞しくパワフルな、彼女好みの男はいくらでもいる。
 とにかく金を稼ぐために相手を選んでいられない以前とは違い、立場で雄としての魅力に溢れる探検隊たちの逞しい体に抱かれる瞬間は何物にも代えがたい幸せであった。
 交渉成立した女は、角ばった腕で男のひれを軽く摘まみ、宿へと案内する。高い分綺麗に掃除された部屋へと案内された男は、扉の鍵を閉めると同時に後ろから女を抱きしめる。ピラミッド状の結晶となっている上半身は、腕を回しても半分も行かない。それだけのボリュームの塩の結晶が、室内を照らす橙色の炎に照らされてきらめいているのだから光物が好きな彼らの種族にはたまらなく魅力的な女だ。
 頬を押し当て、彼女の体を堪能していると、彼の鮫肌で削られた塩が、星屑のように削れ落ちて床に散らばっていく。男は抱擁を一旦やめると、ヒレについた塩の欠片をぺろりと舐めた。
「美味いな……美しいだけじゃない、味もいい」
「お世辞を言うのが得意なのね?」
「本音さ」
「どうだか」
「お前を抱くだけじゃ足りないって確信したくらいさ。もしお前の結晶が砕けたら、その時は買うぜ……ちょっと激しく抱きたくなってきた
「そんなに乱暴に女の子を抱くつもり? ちょっと怖いけれど、これは期待しちゃっていいのかしら」
 普通の女性ならば体が砕けるなんて聞いてしまえばおじけづいてしまうだろうが、それはこの女には当てはまらなかった。彼女は体が削られたり、砕けたりするのは日常の一部で、痛みすらないどころか、むしろ体が軽くなって丁度いいくらいだ。
「期待しろよ」
 男は女をベッドに押し倒した。大きな頭がドスンと音を立ててベッドに沈んでいく。重い客が来ることは想定済みの設計なので、ちょっとやそっとではベッドは軋まず、男はその上からさらにのしかかって重量を増した。ベッドの上に横たわった彼女の体は、どこも炎に照らされ妖艶な雰囲気で美しい。全身の大部分を構成している結晶を、己の体で削り、そうして生じた粉を舐め取り、疲れた体に塩分を補給する。彼女の種族が作り出した塩の結晶は傷を癒す力すらあるというが、普通に舐めるだけでも元気が出る摩訶不思議な塩だ。
 疲れた体によく馴染む。そうして削られることは彼女自身気持ちがいいのか、女は目を細めて男の乱暴な鮫肌の愛撫を受け入れている。種族によってはズタズタの血まみれになっているであろうおろし金のような肌も、彼女にとっては毛づくろいかマッサージのようなもの。体が削られていく感覚にむしろ陶酔しながら、そのガリガリという音を心地よいBGMに見立てて行為に没頭している。神経のない結晶だが、振動が伝わってきて本体の意思を微小に揺らす。そうすることで彼女の体が少しずつ敏感になり、本番への期待感が高まっていった。
 投げ出された彼女の四肢が期待で少しずつ震え、乱暴な抱擁と愛撫をもっともっと味わいたいと、その目線が熱っぽくなる。炎の光が逆光となっている男の顔は少し見づらかったが、上質な獲物を見つけた捕食者の顔をしていた。重い頭をすこし起こして目をやれば、彼の二本のペニスは岩のように固く怒張しており、汗臭く雄臭い匂いを放っていた。
 生憎ながら彼女の手足はもちろん、口ですら男性器を愛撫するのには向いていない。岩を削ることもできるような丈夫な歯に、砕かれた岩でも簡単には傷がつかない口内は、男性器を受け入れるにはあまりにもしなやかさが足りない。そんな彼女の体の中で唯一柔らかい場所が女性器だ。彼女の下半身、股の間には塩分混じりの粘液がしっとりと漏れ出しており、塩辛い匂いと汗のような匂い、二つの匂いが混ざって何とも言えない淫らな雰囲気を醸し出している。そんな塩分濃度の濃い粘液に粘膜を晒してよいものかどうかは考え物だが、男は遠慮なくペニスをこすりつけた。
「大きいですねぇ……私よりも体は小さいのに、ものは……ふふ、私と同じ種族の男性よりも大きい」
 見ているだけでもそう思うが、実際に体にこすりつけられると、より強くその感想が浮かんでくる。
「ドラゴンってのはそんなもんだ。普通の種族よりもデカイ……それよりも、喜んでいるようだがいいのか? ちょっとは手加減してやろうと思ったが、喜んでいるなら壊れちまっても知らないってくらいに派手に責めるぜ?」
「体中の塩の結晶ならばともかく、本体の岩はそこまで軟弱じゃあありません。地面の圧力で圧縮されて鍛え上げられた体はちょっとやそっとじゃ……壊れませんから」
「いいぜ、気絶すんなよ。種族も違うから子供が出来て困ることもないし、徹底的にやってやる」
 女が全く怯まないのを見て、男は舌なめずりをし、彼女の中にペニスを差し込んでいく。抱きしめ、塩を磨き、塩を舐め、そうして与えていた微細な振動や気分の高揚が彼女の体をいい具合に温めていたため、いきなり中まで押し込んでも彼女は一度身震いをしただけ。痛みを訴えることはしなかった。むしろ瞼から力が抜け、震える吐息を流すその様は、この性行為の真似事に陶酔しているようであった。
「ううん、本当に大きい……とても素敵ですね」
「お前こそ、いい具合だ。温かくて、柔らかいのに締め付けは強い。中まで岩のように固かったらどうしようかと思っていたが……そんな事はない。外も中もいい女だ」
「よく言われる。外見をドラゴンに褒められたのは初めてだけれど、中は別の種族にも褒められるの」
「ほぉ……じゃその自慢の中身をもっと堪能させてもらうぜ」
 入れる前から中がほぐれていたので、男は遠慮なくゆっくり動き始めた。本当に具合がいい……濃い塩分でペニスがひりひりするのは考えものだが、地中の圧力で鍛えられた体は伊達ではない。岩の内部にある柔らかな肉は地中に負けない圧力でペニスを締め付け、絡みつき、雄を搾り取らんと牙をむいてくる。
「あぁ、いい……とてもいい……上手いのね、お兄さん」
 男が腰を前後するたびに甘い吐息を流し、快感に身をよじり、より強く締め付けをする女。男の喜ばせ方を知っててやっているかのような仕草だ。
 それが演技か、それとも本気なのかはわからないが、どちらかわからなくとも男は気分が乗ってきてしまう。彼女の体中の塩の結晶が削られ、ひび割れ、砕け落ちて床やベッドに散らばっていくのにも構わず、相手の下半身に自分の下半身を打ち付けていく。摩擦熱と血流で局部が熱を帯び、それに応じてより敏感になり、快感も増幅され。そうして突き動かされた欲望の赴くままに動いていく。
「ん……はぁ……ふぅ……あぁ……ちょっと……ダメだこれ……あぁぁぁ……」
 容赦ない男の責めを浴びせかけられ、女もだんだんと余裕がなくなってきたのか、意味のある言葉を発するのが難しくなっていく。
「この程度で音を上げるのか? こんなんじゃ終わらせねえぞ?」
 だが、男のほうはまだまだ余裕を残しているようで、悲鳴に近い喘ぎ声が途切れるまでは時間がかかりそうだ。男は、女がどこをどう攻めればより強い快感を得られるのか、快感に突き動かされながらもきちんと観察を続けていた。女が叫び声か喘ぎ声かも区別できないほどに感じて善がる姿程、愉悦を感じるものはない。彼女が受け入れきれない快感に『悶える』から、暴れるに近い状態になっても、それを力で押さえつけて快感を送り込む。悲鳴も嘆願も関係なしに腰を打ち付けていると、彼女は腰をのけぞらせて達してしまった。まるで苦悶の表情を浮かべるかのように歯を食いしばり、しかし下半身は雄から子種を搾り取ろうとぎゅうぎゅうに締め付ける。
 充血した下半身が熱を帯びて最高の具合になったところで、男はラストスパートをかけた。
「待って、もう……休ませ……あぁ……ひぃぃ」
「おいおい、泣き言なんて聞かないぜ?」
 受け入れきれない快感の濁流の中、かすれた声とひきつった声にかき消されないようにかろうじて出した懇願を、男は一考だにせず突っぱねる。頭が沸騰し、全身がむずがゆくくすぐったくなるような感覚で悶える女。その悶える動きまでもが男を喜ばせるための計算されつくした動きのようで、もう勘弁してほしいという彼女の意思とは裏腹に男を喜ばせてしまっていた。そうして、ようやくの解放。男が射精に合わせて動きを徐々に緩やかにし、そして完全に動きを止めた。
「あぁぁぁぁぁ……いやぁ、こいつは名器だぜ」
 男はペニスのみならず、骨盤全体まで脈動させながら精液を送り込み、大きなため息とともにその至福の快感を堪能する。男は荒い息をついていたが、寝転がっているだけに見えた女のほうが疲れている。岩の体が軋みながら肩を上下させており、ぼんやりと天井を見つめる半開きの目には覇気がない。射精を経て頭が冷えた男は、まだ熱の轢かない女を見下ろす。
「おう、金を払う立場だからな。少し無理させちまったが気分はどうだ? まだやっていいなら、散らばった塩ごと買わせてもらうぜ」
 強い快感に打ちのめされて息も絶え絶えだった女は、呼吸を整えるために反応しなかったが、かろうじて彼の言葉は聞いていた。
「大丈夫……」
 ぽつりとつぶやく。
「おう? それはどういう意味だ? もっとやって欲しいっていう意味か?」
「うん、すごかった……最中は、すごく苦しくて、もう嫌ってなっちゃうのに……終わってみると、まだふわふわして、気持ちい感じで……また……」
「そんな重そうなナリして、ふわふわとはなぁ……良いぜ、金は追加してやる。お前の塩が全部削れるまで、注ぎ込んでやる」
 二本あるうちの一本のペニスで射精し、満足したらもう一本もしおれてしまう。だがそれも一時的なもので、強靭な肉体を持つドラゴンの男は、その復活も早かった。話しているうちにも少しずつ固さを取り戻し、大きな塩の破片を拾い集めている間にも、どんどん復活していく。部屋中に淫靡な匂いが漂っているのだ、なにも見ず、触れずとも雄は元気になる。やがて大粒で綺麗な青い塩の結晶を回収し終わるころには、すっかり固さを取り戻したペニスがそそり立っていた。
 宝石のような煌めきの塩の美しさを眺め終わった男は、状態を起こして期待に満ちたまなざしでこちらを見つめる女にそっとひれを添える。
「覚悟はいいな? また苦しくなるだろうけれど、手加減はしないぜ?」
「そのほうが、終わった後の満足感がすごいので……最中は苦しいけれど……」
「良いぜ……だが、男の二回目ってのは一回目よりもイキづらいんだ。さっきと同じ時間で終わると思うんじゃねーぞ?」
 男が女を脅す。女の顔が引きつったが、それでも覚悟を決めて頷いた。最中は苦しい、というのは本音で、終わった後の満足感がすごいというのも本音。そんな女のジレンマを抱えた欲求に答えてやるべく、男はもう一本のペニスを女に突き入れた。先ほど解した彼女の膣は、容赦なく注ぎ込んだ精液と愛液が混ざり、派手な水音を立てながらかき回される。さらに具合がよくなった彼女の内部は、あっという間に熱を取り戻し、下半身から全身、脳髄に至るまで快感で多い尽くしていく。下半身から筋肉の主導権が脳から奪われ、じっとしていられないほどの快感に身をよじりだす。その身を捩る動きは徐々に全身へと伝わっていき、男が体を打ち付けるのみならず、自分自身の体がぶつかり、擦れる動きで塩の結晶崩壊が加速する。
「あ、あぁぁぁぁ……うぅぅ……だ、だ、だめ……もうむりダメ……」
 さっきと同じ。徐々に喘ぎ声が悲鳴に近くなり、徐々に悶えは暴れに近くなり。
「おいおい、お前がもう一回大丈夫って言ったんだ。手加減なんてしないからな? 今更怖気づいても無駄だぜ」
 それでも、男は止まらない。あまつさえ、散々抜き差しして快感が生じ始めたペニスを休ませるため、もう一本の休んでいたペニスを突き入れ、交互にクールダウンを図るなど、女を徹底的に責める意思を見せている。ただでさえ呼吸も出来ず、力も入らないほどの開館に苛まれながら、いつまでもそこから解放されない地獄のような強制絶頂。
 何とか逃れようと本能的に逃げようとする体は強靭な腕力で押さえつけられ、体が削れるのも構わずしっかりと固定されている。痙攣しているのか呼吸しているのか、曖昧なほどの体の動き、焦点の合わない目に悲鳴混じりの嬌声。狭い部屋に耳障りなほどの大音量を自ら奏でるが、それすらも気にならないほど頭が真っ白だ。女は、快楽に文字通り溺れ、息がつまる苦しさから逃れたいその一方で、くすぐったさの中にある強烈な快感が癖になってしまう。終わらせたいが8割、続けてほしいが2割で、その6割の差を男が力づくで抑え込んでいる。
 何度絶頂に達しても、男は一番反応のいい場所を器用に小突き、擦り、圧迫し、抉り、決して快感から逃れさせてはくれない。舌が縮みそうな塩分濃度の涙を流し、体を何度のけぞらせても、男はクールダウンを繰り返すようにペニスを交互に使い分けるので、小休止にもならない時間刺激を中断されてはまたすぐに刺激を与えられるという、快感の波状攻撃に翻弄された。
 暴れ続けた彼女はぐったりとしているのに、それでも送り混まれた快感が彼女を休ませてはくれない。ビクンビクンと、電気を流されたかのように痙攣する彼女は息も絶え絶え、苦しいのかどうかすらも曖昧になる中、さすがの男も限界が来た。クールダウンしても間に合わないほどに昂ったペニスから、再び精液が吐き出された。まだピクピクと痙攣している彼女に注ぎ込むと、収まりきらなかった精液が彼女の塩辛い愛液と混ざって膣から流れ落ちていく。今度の疲れ具合は半端なものではなく、女は天井を見上げたまま時折痙攣する以外は一切動かない。
「ふぅ……今回は俺も疲れちまったが、お前はどうよ?」
 男が話しかけたが、女は答えられなかった。意識は失っていない。ただ、疲れと、体に刻みつけられた快感に浸って、全身に穏やかな幸せが満ちる感覚で何も考えられないだけだ。先ほどまでは、それこそ拷問か何かでも受けているだけのような暴れ方だったが、今はまるで雲のベッドで眠っているかのように顔が穏やかだ。
 男は体液で汚れていない塩の結晶を掻き集め、特に形がきれいなものを見て一人愉悦に浸る。美しいだけじゃなく美味しい塩を生産し、そのうえ中の具合もいい。この女はそんじょそこいらの奴ではとても代用できない。
「はぁ……すごかった……ちょっと疲れたけれど……本当に、すごくて……また、やりたいような……やりたく、ないような……」
 やっぱり、やられている途中の強烈な苦痛と快感がないまぜになるあの瞬間。自分で言いだしたことを後悔するほどに息苦しいのだけれど、それが終わった後のこの時間の満たされた気分は、先ほどまでの好意が激しければ激しいほどに格別だった。
「へぇ、あれだけ激しくやっても、まだやりたい気持ちがあるんだな? ……気に入ったぜお前。これから見かけるたびに買ってやる。」
 男は、女の潤んだ瞳をじっと見つめてそう宣言する。
「……はい、是非」
 少しの間、葛藤が生じた。またあの激しいセックスを耐えられるのか? あの拷問のような苦しみを何度も? そんな恐怖と、でも今のこの心地よい感覚をまたいつか味わいたくなる。そのためならば多少の苦しみならば……そんな葛藤で、女はごくわずかな時間だが答えに迷ってしまった。その『間』を感じた男は、いずれ葛藤すら抱かないくらいに染め上げてやる、と舌なめずりをした。この美しい結晶を持った女の、今のセリフは本気ではない。雰囲気に流されたり、今後男に上客になってもらうため……という打算などから、半分男に言わされているようなものだった。しかし、時間をかけて、身も心もすべて、自ら捧げたくなるまで、女が自分からセックスを頼みたくなるまで俺色に染めてやる、と男はほくそ笑んだ。

 その日、金と肉欲という交換条件の一致で繋がった一夜だけの関係は、今後も長く続く関係となる。二人が互いに依存しあう関係はこうして始まった。

あとがき 

大会では3票の投票ありがとうございます。みんな、キョジオーンが好きになってくれましたかね!?
それとも、『この作者、ガブリアスと変なCP組ませるのが好きだな』って思ってませんかね!?
今回は大会のテーマが『えん』だったので、書けと言われたような気がして書き上げました! DLCのモチーフが桃太郎なんで、そっち方面で擦る人がいなかったのが割と意外でしたが、キョジオーンを書く人が私以外にもいてくれたのはとても嬉しかったですね。キョジオーンはこう、体が大きくて力持ち、それでいて優しく癒し系という、性癖が詰まったポケモンですからね! オヤブンサイズのヒスイバクフーンにママみを感じるように、大きくて癒し系という属性は最高の性癖ですよね! ですよね!
今回の大会では、♂♀どちらのキョジオーンも魅力的であるということは十分に伝わったと思いますので、これからキョジオーンが流行りますね! 流行りますね!
ちなみに、竿役のガブリアスは、パルデアにはメレシーがいないために、ガブリアスは何を愛でればいいかわからないと思ったところ、ふさわしいポケモンがキョジオーンでした。生息地も、どちらも砂漠に居て不自然じゃないですし、これはベストカップルですね! ですね!

岩塩はおろし金で削ることもあるので、そういう意味でもガブリアスとのカップリングは塩が散って美しいのでとてもいいと思います。

いただいたコメント返信 


こういうの大好物です (2023/06/08(木) 21:57)
塩は血液ですからね。好きになるのは当然です。これから暑い季節になるので、キョジオーンを愛でましょう!

よかったです (2023/06/10(土) 22:33)
キョジオーンの結晶は美しいですからね! 岩塩の魅力を感じていただければ幸いです。

キョジオーンらしく、それでいてとてつもなくエッチで素晴らしかったです!! (2023/06/10(土) 23:58)
キョジオーンらしさにはこだわりました。体液はどれもしょっぱく、表面はごつごつしていて……でも、中身は優しいポケモンですよね、なんせキョジオーンですから。

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Last-modified: 2023-06-18 (日) 00:38:58
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