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因果な二匹がトラブルに会う

/因果な二匹がトラブルに会う

 血とかの表現があるかもしれません。注意してください。
 ……一応、忠告しときますよ? by簾桜


「じんぐるべ~るじんぐるべ~るすずがぁなる~、もうすぐたのしいくりすます~♪」
「……さっきから何を歌っているのだお前は……」

 因果な凸凹コンビは雪がちらほらと降る中を片方は陽気に、もう片方は呆れつつ進んでいるところであった。ミュウは季節ゆえかクリスマスの曲を口ずさみ上機嫌であったが、ミュウツーは少しだけげんなりしていた。それでもミュウを止めようとはしないようだが。
 ……ちなみに、クリスマスは数日前にとっくに過ぎている。ミュウツーもこれを知っており数十分前に何故歌っているのかと聞くとミュウは楽しそうな笑顔で「気分だけでも盛り上がりたいじゃん?」と言うだけであった。ミュウツーががっくりと肩を落としたのは言うまでもない。
 現在二匹は人間の住む辺りから離れたいわゆる秘境と呼ばれる場所を目指していた。一週間ほど前に自分の友達が住んでいるポケモンの住処が近くにあるから立ち寄ろうとミュウが提案し、それが受理されたという事である。
 雪が降る故になかなかの寒さの中を進んでいるが、二匹共ケロッとした表情でズンズンと進んでいく。……どちらも毛皮がないのだが、そこはエスパータイプ。体に神秘の守りを薄く張り*1寒さや風を凌いでいるのだ。
 だが流石に空中浮遊と神秘の守りの長期同時発動は疲れるらしく、時折ミュウツーの頭や肩に止まって休憩をはさむ姿も目立つ。そのたびにミュウツーは嫌そうに顔を歪ませているが、文句は言わないようだ。何だかんだで良いコンビ、というわけだ。

「ん~、もーそろそろの筈なんだけどなぁ~」

 ミュウツーの頭の上で目を凝らすミュウはため息まじりに呟く。傍から見れば親子なのではと思うようなその光景はなかなか滑稽に見える。
 いい加減に離れろとミュウツーは口に出しかけるも、その前に彼の足がぴたりと止まる。どうしたのかとミュウが首もと辺りに移動すると、彼の目つきは戦闘時のそれと同じようにキッと細くなっていた。

「敵だ。前に三、左右にそれぞれ二、後ろに四。統率がとれてる辺り野党ではないかもしれん」
「うげ、マジで? あ~もう、じゃああたし後ろやるから残りお願いね」

 後ろに音符マークがつく程陽気に提案し、ウインク一つをのこしてミュウはテレポートで消えてしまった。ため息を吐いたミュウツーは、瞬時にミラクルアイを発動させる。これで同時に攻め込まれても瞬時に対応できる。
 同時に左右からそれぞれ二匹ずつ黒い影が飛び出してくる。体を捻りつつもその姿を確認し相手は右側がヘルガー二匹、左側がグラエナ二匹だと判断した。素早く相手の首元を狙い手刀を二発、左右それぞれ一匹ずつに打ち込む。
 完全に意識を絶ったグラエナとヘルガーは地面に倒れ、残るもう片方それぞれは警戒しつつも前にグラエナ、後ろにヘルガーと挟むように展開し、同時に悪の波動を発射する。
 弱点である攻撃であるがミュウツーは表情一つ変えずに両手にエネルギーを溜め、それを前後につきだす。攻撃が迫る中精神統一をし、次の瞬間両手のエネルギーをその場で爆発、衝撃波によって前後の悪の波動を同時にうち消した。
 流石にこれには敵も驚き、ミュウツーはその隙をつく。急激に前へとダッシュすると同時にグラエナの上空へとジャンプ、瞬間的にエネルギーを電気へと変換させ“十万ボルト”として放った。
 隙を突かれた上に上空からの攻撃もあって避ける暇なく見事直撃。まともに食らったグラエナは全身マヒした状態であえなく戦闘不能となった。
 後ろにいるヘルガーが火炎放射で応戦するも、ミュウツーはまるで蚊を払うかの如く軽く腕をふるい炎を振り払った。ヒィッと恐怖におののくヘルガーをサイコキネシスを上から落とす要領で放つ重力攻撃にて一撃で沈黙させた。
 フン、と鼻で笑うような行動をとるミュウツー。すると後方から突如爆炎が襲いかかる。何とか反応出来たミュウツーはサイコキネシスにて爆炎を受け止め、相手を確認する。
 相手はどうやらブーバーンのようだ。炎タイプのなかでも一、二を争えるほどの高ステータスを誇る種族であるが、あくまでそれは伝説と呼ばれるポケモン達を除いて、という話である。神と呼ばれるディアルガやパルキアといったポケモン達とほぼ同レベルのミュウツーにとってはまだ余裕のある火力であった。

「ハァァァァァァァ……!!」

 ジワリジワリと相手の火炎放射を押し返し、気合と共にブーバーンもろとも一気に跳ね返す。急激に念エネルギーを使用した為頭がズキリと痛むも、ミュウツーは何とか堪え敵を確認する。
 吹っ飛ばされたブーバーンに駆け寄ってきたのはドクロッグとハブネーク。どちらも念技を苦手とする毒タイプなうえ、ドクロッグに至っては格闘タイプでもある。勝負は既に決したようだ。

「ひぃ、う、うわぁぁぁぁぁ!!」
「ちょ、待てよ! くそ、覚えていろ!!」

 発狂し逃亡するハブネークを追い、ドクロッグも捨て台詞を残し敵前逃亡する。ズキズキ痛む頭を抱えつつミュウを探そうとすると、ちょうど終わったのか大きく伸びをしながらミュウが帰ってきた。傷一つない所を見ると圧勝だったようだ。

「ただいまー。お、全員気絶してるだけみたいね。随分手加減がうまくなったねー」
「この程度の奴らならな。そちらは?」
「もち、地震で一発KO! 若干つぶし過ぎて十八禁食らいそうになっちゃうぐらい。もうちょっと頑張ってほしかったけどねぇ~」
「お前が手加減を覚えろ……二匹ほど逃がした。仲間を連れて戻ってくるかもしれん」

 「敵を逃がすなんて珍しいねぇ~」と意外そうに答えるミュウであったが、ニッコリと笑ってまたもテレポートを使用しどこかへと消えてしまう。
 小さくため息をつくミュウツー。何をしにいったのか分かってしまうだけにどうしても重くなってしまう。
 数分後、遠くの方から二匹程の悲鳴が聞こえマメパトやらポッポやらが飛び立つ音が聞こえた。その直後にミュウがテレポートによって帰ってきた。若干赤い液体が体や手に付着しているのが見えるが、あえて見ないようにする。

「どうやらこいつら一種のハンター、奴隷商人って感じ。今だに奴隷制度がなくなってない場所に売りに行く為の子を探してたみたい。
 アジトに何匹か捕まってる子がいるらしいから悪いけど少しだけ付き合ってもらうね。あ、舐める?」
「生憎そこまでがめつくはない」
「あっそ」

 そういってミュウはペロペロと手に付着した赤い液体を美味しそうに舐めるのだった。
 後日分かった事だが、この赤い液体は近くになっていたマトマの実の果汁だったとの事である。


ミュウ「まだ続きまーす♪ 次回はキャッキャウフフな展開が……」
ミュウツー「ないだろうから期待せずに待っていろ」




*1 ミュウが発動している

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Last-modified: 2011-01-06 (木) 00:00:00
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