ポケモン小説wiki
君の涙目にポケウォッシュ

/君の涙目にポケウォッシュ

大会は終了しました。このプラグインは外して頂いて構いません。
ご参加ありがとうございました。

エントリー作品一覧



 この作品には獣姦、強姦、肛門性交、NTR、3Pなどを含みます。
 苦手な人は蜻蛉返りして頂く様お願いします。



 不自然な体位だった。
 褥の上でつま先立ちになって膝を屈め、さながら兎跳びでもするかの様な姿勢で、裸の男が腰を振っていた。
 ひと突き揺すられる毎に、男の膝の上から淫靡な喘ぎが切なく漏れ、長い耳が宙に翻る。
 兎、である。
 人の子の背丈程ある兎が、男に背中から抱えられ、小さな雌穴を巨根で射抜かれていた。 
 夜灯りに照らされ興奮に逆立つ兎の毛並みは、普通に見られる兎の種族の毛色とは明らかに異なる、燃え尽き乾いた灰の色に彩られていた。
 宙に浮かせた尻が跳ねるように上下し、ベッド上の空間を掻き回す様にうねる。

「――いいモノ持ってんじゃねぇか。お前もこいつで楽しんでたのかぁ?」

 卑猥な声を耳元に注がれ、けれど灰色兎は応えない。
 幼い女児に小用をさせる様な姿勢で、男は抱えた兎の脚を広げる。
 太い指が灰色の土手を掻き分け、男の肉槍に引き裂かれている花弁を露わにした。
 肉槍が花畑を掘り荒らすと、秘奥から溢れた雫がぽとり、と玉袋を伝って滴り落ちる。褥に染み込むかと思われたそれは、しかしそうならずに水玉となって転がった。

「ぐ……はははっ、イきやがった! 今、中にドクドクぶちまけてやがるぜ。モノは立派でも耐久力はこんなもんなのか、それとも……俺の方が良かったってことかもなぁ?」

 言葉とは裏腹に、境界の潤いには頂点の濁りなど見えず、漲る欲望も激しさを増すばかり。灰色兎は涙の滲む瞼を堅く閉じ、耳に注がれる言葉を振り払うようにイヤイヤと首を振る。
 ややあって、

「おらぁイくぜ! 俺もイくぜ! 目ぇ背けてないでよっく見てろよ!」

 灰色の後頭部を通り越して足下へ吐き捨てるように言葉をぶつけると、男は兎の脚を目一杯に開かせ、一際激しく腰を突き入れる。今度こそ陰茎が脈動し、絶頂の奔流を灰色兎の胎内に噴出した。
 萎えて抜け落ちたその痕から、灰色兎の花園を蹂躙し尽くした白濁が滴り落ち、やはり染み込むことなく褥の上に揺蕩う。
「なぁ……気分はどうだ? もういいだろ。いい加減その面を拝ませろよ」
 荒れた声で男が呼びかけた先で。
 男と兎の、宙に浮かせた股の間で。
 白い褥に、蒼い色が混じる。
 やがて明確な姿を現したその蒼は――兎よりやや小柄で細身の、水蜥蜴だった。
 仰向けにされて男に跨がられた蜥蜴の白い腹は、兎が垂れ流した愛液と涙と、男の精液とでまみれていた。
 腹の下端、尻尾の付け根では、二股の雄棒が力なく垂れ落ち、右側の一方から白い液の糸が伸びたその先は、その色で汚れた男の尻穴に繋がっていた。
 垂れた鶏冠が被さる蜥蜴の眼は、それでも隠しようがないほど、惨めな涙を滂沱に垂れ流していた。



 まだ卵から孵ったままの姿だった野生時代、蜥蜴と兎は幼くして番だった。
 同族と異質な体色に生まれたことで迫害され孤立していた灰色兎を、哀れんだ水蜥蜴が匿うようになったのが切っ掛けで、感謝と依存による触れ合いだったものが成長に従って愛情へと変わり、自然に深い関係へと発展していった。
 蜥蜴は巧みな射撃技で兎を守り、兎は目聡く木の実を収集して蜥蜴を支える。幸せに満ち足りていた日々。いつかふたりでタマゴを作り、生涯を連れ添うのだと蜥蜴も兎も信じていた。
 しかしその幸福は、突如として引き裂かれた。
 珍しい色違いの存在を聞きつけたトレーナーの男が、草猿を引き連れて番を強襲したのだ。
 懸命に応戦したものの、水鉄砲など草猿に通用する筈もなく、二刀流の木撥で散々打ち据えられて力尽き倒れ伏した水蜥蜴は、愛する灰色兎が撥の峰で打たれ、トレーナーの投げた白いボールに飲み込まれて、抵抗も空しく捕らえられ連れ去られるのを見送ることしかできなかった。
 以来蜥蜴は、死に物狂いで我が身を鍛えた。
 略奪された兎を、その手に取り戻すために。
 艱難辛苦の末に進化を果たし、駆けずり回って憎きトレーナーの居場所を突き止めた蜥蜴は、果敢にも勝負を挑んだ。
 しかし迎え撃った草猿もまた、既に草大猩々へと進化を遂げていたのだ。水蜥蜴は独り軽快に蜻蛉を切って弱点を狙うも格の違いを埋めるには足らず、遂にはかつての灰色兎同様撥の峰で打たれたところを、トレーナーに青いボールを投げつけられ、飛び出した網に絡め取られて捕縛された。
 トレーナーの男は、色違いの兎を捕らえた際に激しく抵抗した小さな水蜥蜴を覚えており、捕らえた水蜥蜴こそその進化した姿であることをすぐに見抜いて、灰色兎に引き合わせてくれた。
 だが――漸く再会した灰色兎は、連れ添っていた頃の面影すら残らぬほど変わり果てた姿へと進化してしまっていた。
 あまつさえ、雌らしくふくよかに育ったその下腹から漂う、吐き気を催すほどに禍々しい臭気。
 同じく雌であった草大猩々の股座からも沸き立つその臭気は、吐き散らかされた男の欲望の残滓だった。
 彼女たちは、トレーナーの性奴隷にされていた。水蜥蜴の大切な花園は、最早取り返しのつかないほど踏み荒らされてしまっていたのだ。
 悲憤に打ちひしがれる水蜥蜴を、男は乱暴に抱え上げて褥の上に転がす。
 襟のボタンをもどかしげに外しポロシャツを脱ぎ捨てて逞しい大胸筋をさらけ出すと、豪腕に似合わぬ繊細な指裁きを水蜥蜴の肢体へと走らせた。
 拒絶は儚く官能に打ち破られ。
 抗議は空しく悦楽に呑み込まれた。
 たちまちの内に水蜥蜴を淫欲の虜に堕とすと、男はデニムのジーンズから引き抜いた毛むくじゃらの足で尻尾を跨ぎ押さえつける。
 そして灰色兎を呼び寄せると膝の上に載せ、今度は彼女の身体を弄び始めた。
 水蜥蜴が見上げる、その目の前で。
 首筋に舌を這わせ。
 胸の膨らみを揉みしだき。
 縞柄のブリーフに包まれた逸物を尻に擦り付けて、恥辱の泥沼へと灰色兎を引きずり込んでいく。
 淫靡に踊る手が震える足をこじ開け、遂に灰色の土手に咲く花弁を水蜥蜴に見せつけた。
 可憐な蕾だったそこは、今や無理矢理咲かされ歪に散らされて、それでもなお鮮烈な色合いで雄の欲望を煽っていた。滲む潤いは男に弄られる悦楽故か、それとも水蜥蜴を求めてのことか。前者であろうと灰色兎を責める筋は水蜥蜴にはない。彼自身もトレーナーの指が湧き立てる淫欲の沼に溺れさせられた後だ。
 それでも、探し求めてきた花弁を無遠慮に揉み漁られる様を眼前に突きつけられては、否応なく激情が心に逆巻く。
 僕のなのに。
 僕のために咲いた花なのに……!
 募る欲求に、水蜥蜴の股間に潜む双頭の愚息たちが目を覚まし、抗議を主張して鎌首を持ち上げた。
 そこに男の指が襲いかかった。
 殊更に活きのいい右の愚息を掴まれ、巧みな指使いで扱かれて、水蜥蜴は甲高く喘ぎ身を捩る。
 更に男の手が傍らから小瓶を取り上げ、中の冷たい粘液を愚息へとたっぷり垂らし塗り付けた。
 一体何をする気か。
 困惑する水蜥蜴に、答えが行動で示された。
 灰色兎を抱えたまま、男はブリーフを掴み下ろす。
 剥き出しにされたドス黒い陰茎が、水蜥蜴のそれを跨ぎ越した。
 掴まれた先端があてがわれたのはその後ろ。

 即ち――男の、菊門。

 明らかになった男の下劣極まりない意図に、激しく嫌悪感を覚えた水蜥蜴は猛然ともがき暴れた。だが根本を掴まれていては逃れようもない。愚息を萎えさせることさえ、眼前に突きつけられた灰色兎の花弁と芳香が許してくれなかった。
 その瞬間まで、水蜥蜴の愚息はそこしか知らなかった。
 灰色兎の花にのみ、愛を注ぐための水差しだった。
 そんな清らかな雄に、男は無慈悲にも尻を落とし、ローションの潤滑に乗って直腸深くまで飲み込んだ。
 粘ついた腸襞が哀れな雄を締め上げ、毒々しい細菌で蝕んでいく。
 挿れたモノに押し出されたように張りを増して反り返った男の逸物が、抱えた灰色兎の濡れた雌穴に毒牙を向ける。
 絶望の奈落に追い詰められて泣きじゃくる水蜥蜴と裏腹に、灰色兎は壊れた表情で、あぁ……と悲嘆とも悦楽ともつかぬ喘ぎを漏らすだけ。とっくに堕ち果てて諦めの極みに達しているのであろう。いずれ水蜥蜴も堕ちる地獄がそこにあった。
 そして遂に。
 男の肉槍が、灰の土手に咲く花弁を、水蜥蜴の眼前で引き裂いた。
 貫かされている状態でありながら、我が身が貫かれたかの如き衝撃が水蜥蜴を襲い、断末魔の絶叫が宵闇にこだまする。
 正に現世の悪夢。夫と妻とがひとりの男に同時に陵辱され、互いにその様を見せつけられていた。
 男が水蜥蜴の上で尻を降る度に。
 灰色兎を男根で突き上げる度に。
 淫猥な粘膜の摩擦音と共に、ふたりの悲痛な喘ぎが混ざり合う。
 その嘆きさえも男は貪欲に喰らい、鮮烈な加虐に酔いしれていた。

「……あぁ、あなた、お願い――」

 ようやく、灰色兎が眼下の水蜥蜴に声をかけた。
 妻を目の前で犯され、勃起した雄を強姦者の尻穴で弄ばれている、無力で惨めな夫に。

「――消えて。せめて、その姿を私に見せないで……」

 その言葉が。
 水蜥蜴の能力で体色を消してくれ、というお願いだったと彼が気付いたのは、拒絶されたのだと思い込んだ絶望で、蒼い身体を褥に白く溶け込ませて姿を消して、数瞬経った後のことだった。



 こうして――褥の上で中腰になりながら膝上に抱えた灰色兎を犯している男、という冒頭の状況が出来上がった。
 結局のところ、水蜥蜴が姿を消したことなど何の抵抗にもなり得ない、単なる現実逃避に過ぎない。
 仰向けの上に跨がられ、愚息を男の尻に縫いつけられている水蜥蜴は、身を隠そうが逃げる術などなかったのだから。
 幼少の頃の様に流す涙に刺激物が含まれていれば反撃の目もあったろうが、仮にそんな技が今の水蜥蜴にあったとしたら褥に引きずり込まれることもなく放り出されていただけの話。状況に当てはめられない仮定に意味はない。
 或いは灰色兎と力を合わせて反抗したとしても、草大猩々に阻まれ容易く撃退されてしまうであろうことは目に見えていた。八方塞がりの絶望の中、為す術なく水蜥蜴は陵辱された。
 色を消した雄銛を肛門括約筋で締め上げられ。
 直腸壁で扱き抜かれ。
 前立腺で玩味されて散々弄ばれ。
 遂には灰色兎に捧げるべき愛の証を男の臓物に搾取されて。
 その無様な有様を灰色兎の耳に告げられ嘲られ。
 あまつさえ灰色兎の、水蜥蜴のためだけの花園が男の毒液で汚し尽くされる惨状を見せつけられて。
 滴る汚濁を、その身に浴びせかけられた。
 雄としての尊厳も、番の絆も、完膚無きまでに踏み躙られて、嗚咽すら尽き果てて涙に溺れながら、水蜥蜴は力なく褥に沈んでいた。
 これから、どうなるのだろう。
 全て終わったら、解放して貰えるのだろうか。……そんな望みは期待できまい。現に灰色兎がそうされている様に、水蜥蜴もまた性奴隷として、男が飽きるまで汚辱され続けるのだ。穢されようと番が引き離されないことを幸いと思うべきなのであろうが、その事実自体が地獄から逃れ得ぬ枷であることも否めなかった。
「おい、いつまでも寝転がってないで、そいつを洗ってやれよ」
 横柄な声で、男が水蜥蜴を呼び起こす。
 指さす先には、しどけなく横たわる灰色兎。
「番なんだろう。お前が綺麗にしてやれ。終わったらお前らもヤっちまえよ。俺は分かち合いたいだけだ。惚れた雌を追いかけてきた恋路の邪魔をするほど野暮じゃねぇ」
 ふたりの間に丸々物理的に割り込んだ邪魔者以外の何者でもない障害物が、言うに事欠いてその行為を分かち合いだとか、言語の崩壊も甚だしいだろう――と毒づきたい水蜥蜴だったが、灰色の土手を望まぬ白に染められている彼女をそのままにもしておけない。言われるまま狙撃手の眼で汚れた雌花を見据え、細い指先を的へとと向けた。
 水気が指先へと収束し、水鉄砲となって吹き出す。
 一直線に飛んだ水撃の矢が、灰色兎の真芯を打ち抜いた。
 灰色兎の身体には効果抜群となる水流を、狙撃手の精密な照準で急所へと直撃。いかに低威力の水鉄砲といえど、男の雁首に散々摺り下ろされた膣壁には過激に過ぎて、苦悶の悲鳴と共に灰色の脚がのたうつ。
 それを掴んで押さえ込み、水蜥蜴は更に至近から水撃を浴びせかけた。
 花弁の裏側を捲り。
 陰核の根本まで丹念に。
 雌穴の奥を、襞の一枚一枚すべて、果ては秘奥の子宮口すら穿つほど徹底的に。
 精虫一匹、恥垢のひと欠片も残さず洗い流す。
 それは最早洗浄などというものではなく、水撃による陵辱であるかのようだった。
 灰色兎が息も絶え絶えに悶絶しても、水蜥蜴は情け容赦なく雌穴を責め立て続ける。
 夫のではない雄に侵入を許し、不貞な快楽に濡れた妻への摂関も、含まれていなかったとは言い切れまい。
 漸く水蜥蜴が手を下ろすと、土手に滝川の如く水が流れた。
 花弁はえずくかのように蠕動し、止め処なく水を吐き出していく。
 流し込んだ水量を全部漏らしても、まだ溢れてくる様だった。
 ――否。
 流し込んだ水量以上に、水は溢れていた。
 急所を穿たれる苦痛は、頂点を越えて悦楽に変わっていたのだ。
 愛する雄に注がれ貫かれていると、感じたからだろう。
 愛する雄に貫かれ注がれたいと、求めているからだろう。
 番なんだろう。
 ヤっちまえよ。
 男の声が、水蜥蜴の脳裏で反響する。
 搾取され枯れていた右雄が、再び鎌首をもたげた。
 男の下卑た視線が背筋に触ったが、今更気にしてなどいられない。
 否、その眼に焼き付けてやらねばならない。
 誰が灰色兎の番なのかを。
 水蜥蜴を求めて蠢く花弁に。
 男の汚物にまみれた雄銛を突きつけて、

 不意に――
 水蜥蜴は気付いた。
 男の視線に潜んでいた、邪悪な真意に。
 これが、まさにこれこそが狙いだったのだ。
 男に穢された水蜥蜴に、灰色兎を抱かせることで。
 肛門による兎の雌穴への間接的な強姦として、何重にも犯そうとしているのだ。
 そんな暴挙は許さない。
 そんな悪意は認めない。
 綺麗にしてやれと、男は言った。
 そうだ。それこそが僕の務めだ。するべきことだ。
 汚しなどするものか。僕が、灰色兎を、綺麗にするんだ……!

 両の指先を我が身に向けて、水鉄砲を自ら浴びる。
 男の腸液と自らの精液で汚れた雄銛を洗い。
 灰色兎の涙と愛液と、男の白濁とで汚れた胸元を洗い。
 屈辱と絶望で曇り果てた顔を、頬打つが如く洗い流した。
 飛び散る飛沫が、眩い閃光に輝く。
 進化の、それは光だった。
 暗闇を蒼空が切り裂くように、細身の影が大きくその丈を伸ばす。
 灰色兎の背丈を追い越して。
 男の背丈すらも追い越して。
 垂れていた鶏冠は雄々しく天を突き、露わになった瞳は月光にも似た黄金色。
 才気漂わせる精悍な水大蜥蜴へと、彼は姿を変えていた。
 股間にそそり立つ双牙も、進化前より隆々と猛々しく張り詰めている。
 その一方に、水大蜥蜴は意識を集中した。
 穢された右側ではなく、まだ清らかなままの、左の銛へ。
「左側でしたこと、なかったよね。まだ誰にも捧げてないよ。僕の左の初めて、君にあげるね……」
 撫でるように優しく囁かれ、強ばっていた灰色兎の頬が綻んでいく。
 またひと雫が、股に流れた。
 それが雌花が流した涙なら、きっと嬉し涙だろう。

 その雌花に狙撃手の照準が定まり。
 左の雄銛で、急所を的確に、狙い撃った。

 熱く滾った情念の塊が、幾重もの帷幕を捲り、潜り抜けて、秘奥の門を叩く。
 大きく進化した蒼い痩身が、灰色の毛皮を覆い隠して包み込んだ。
 男の視線から、この世のあらゆる害意から、兎を庇うように。
 まるで卵を抱いて暖める母親の姿だった。
 蒼い身体が波打って鱗を毛皮に擦り付け、鼓動と温もりを重ね合う。
 漆黒の指先が毛皮を掻き分け、官能の旋律を爪弾き奏で、兎の昂りを高みへと導く。
 灰色の腕が柳腰を抱え、大きな耳で蒼い背中を掻き抱く。
 ふたりの身体が、ひとつに絡み合う。
 吐息を沸き立たせる兎の前歯を避けて、大蜥蜴が伸ばした舌が差し入れられた。
 ――その奥にさえ、男の残滓が染み付いているのを感じ取れた。
 舌を放しなどしない。こんな汚物を含まされて、辛い思いをしたのは兎の方なのだ。全て舐め拭い、飲み込んで、また舌に舌を絡ませ結び合う。
 遂に大蜥蜴は、腰を大きく律動させた。
 熱く潤んだ雌穴を、肉の銛が突き、貫き、掻き回す。
 どれほどの清水で洗い流そうと落としきれない、そこに刻まれた陵辱の記憶を削り取り、磨き上げて、蜥蜴の色に艶々しく輝かせるために。
 兎もまた、大蜥蜴の節奏に呼応して灰色の尻を男根に擦り付け、精一杯膣壁で締め上げて想いを返した。
 抽送が重ねられる毎に、頑なに閉ざされていた互いの心が、解けていく。
 溶けていく。
 融けていく。
 蕩けていく。
 脳髄の奥底で、堤が切れるのを、蜥蜴は感じた。
 稲妻の衝撃が背筋を駆け降り、左の肉銛へと収束していく。
 大蜥蜴はひと際強く堅く兎を抱き締め、秘奥の的へと狙いを定めた。
 腕に伝わる戦慄きで、兎も達したのだと大蜥蜴は覚った。
 奪われ、踏み躙られたものは、全て取り戻したのだ。
 至福の喜びに最後のひと押しを受けて、大蜥蜴は兎の膣内に撃ち放った。
 秘奥の門を打ち破って子宮にまで到達するほどの、それは激しい奔流だった。
 清らかな白が、兎の傷痕に深く満ち、厚く埋めて、堅く閉ざしていく。
 もうこの先、男がどれほど兎を穢そうと、決してその先には通さぬとばかりに。

 絶頂の余韻を名残惜しむように、頬を擦り合わせて浸る最中。
「ごめん、なさい……」
 恍惚に酔いしれた声で、しかし悲しく灰色兎は呟いた。
「貴方はちゃんと私を助けにきて、綺麗な身体で私を抱いてくれたのに、私は流されて奪われるばかりで、もう貴方に返してあげられるものが何も残ってない……あそこも、お尻も、口の中も、耳の穴さえも、みんなみんな犯されて、弄ばれて、汚、されて……」
 嗚咽に濁る灰色兎の言葉は、水大蜥蜴が伸ばした舌で塞がれた。
 舐め拭って舌を戻した月色の瞳が、甘い微笑みを番に注ぐ。
「汚れなんか、僕が全部洗い流してあげる。何度でも、どこまででも」
 灰色兎の腹に、水大蜥蜴は顔を埋める。
 豊かな毛並はじっとりと水を含んでいたが、暖かく柔らかな感触と鼓動を頬に伝えた。
「あぁ、やっぱり君はあの頃のままだ……いや、昔よりずっと素敵になったよ」
「貴方も、本当に立派な姿になって……」
 それ以上、言葉は要らなかった。
 灰色の長い耳が、夫の顔を愛おしげに抱き締める。
 遂に取り戻した妻の想いと温もりに抱かれて、水大蜥蜴は黄金の瞼を閉ざした。
 落ち着いた夫の鼓動に安堵したように灰色兎も眼を閉じて、寄り添いながら眠りの底へと隕ちていく。
 深く。
 深く。
 夢も悪夢も見ぬほどに、深く。



「なるほど、それがお前らの愛し方って訳か」
 脚の間に草大猩々を侍らせ、男根から尻穴までを丁寧に舐め拭わせながら、男は興味深げに呟いた。
「結構結構。それを縁に縋りついてりゃ幸せだってんなら、左のペニスは兎にくれてやるよ――代わりに他の部分は全ぇ部、俺の好きに弄ばせて貰うがな!」
 豪快に哄笑し、男は酒杯を煽る。
「夫婦いつまでも仲睦まじく幸せ。俺も交ざって一緒に幸せ。どこに咎められる余地があるよ。なぁ?」
 嫉妬を含んで股間に甘える草色の鬣を撫でて、悪びれもなく男は呟いた。
 水大蜥蜴の頭を両の耳で包み抱き、丸く膨らんだ腹に埋めて眠らせている、灰色の毛並みを持つ土兎の安らかな寝顔を、満足そうに眺めながら。




トップページ   編集 凍結 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2023-12-09 (土) 23:55:27
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.