ポケモン小説wiki
名の無い双子の物語

/名の無い双子の物語

※はじめに
 この作品には特殊プレイ( 強姦、覗き、雄×雄、近親相姦)が含まれております。
 閲覧の際は十分注意してください。




僕には双子の姉がいる。
同じ日に生まれた、同じ顔の姉。
僕はそんな姉が嫌いだった。


名の無い双子の物語 

by蒼空





今日はユウジさん、僕等のトレーナーの友達が遊びに来るらしい。
ユウジさんは友達を迎えに行きに、近くのポケモンセンターまで出かけている。
留守番は僕達双子だけ。正直、気分が悪い。
何で、ユウジさんは僕等以外のポケモンを置いていってくれなんだろう。

「ちぃちゃん。ユウジが帰って来るまで一緒に遊ぼうよ!」
「……別に一匹で遊んでれば良いじゃん。僕を巻き込まないでよ」
「だって、一匹じゃつまんないもん! だから、ちぃちゃんも一緒に遊ぶの!!
 早く行こう! すぐ行こう! 疾風のごとく行こう!」

僕の意思は無視され、ねぇちゃんは僕を引きずる。
同じイーブイでも性格でねぇちゃんの方が力が強い。
いや、実際はねぇちゃんの力が強いんじゃなくて僕の力が弱いんだけど……。
流石にこのまま外まで引きずられるのは痛い。素直に歩こう。

「分ったよ! 行けば良いんでしょ!?
 引きずられなくても自分で歩けるよ!」
「うんうん。初めからそう言えば良かったんだよ、ちぃちゃん!」
「……僕、その『ちぃちゃん』って呼び方嫌いなんだけど。
 確かに僕が弟だけど、双子で生まれた時間は大して変わらないんだし。
 せめて、その呼び方ぐらい変えてくれないかな?」

何でねぇちゃんと大して変わらないのに「ちぃちゃん」なんて呼び方で……。
確かに僕よりねぇちゃんの方が少しだけ、ほんの少しだけ、身長が高いけどさ。
それでも、そんな可愛らしい呼び方だけは絶対にやめてほしい。

「え~! ちぃちゃんはちぃちゃんだよ!
 じゃあ、外に行こう!」
「……外に行ったら留守番の意味がないじゃない。
 今回は大人しく家の中で遊ぶべきだと思うよ」
「それじゃ、つまらないから外で遊ぶんじゃない!
 すぐに帰ってくるって言ってたし、少しくらい家を留守にしても平気だよ」

……本気で留守番する気がないみたい。
いや、すぐに帰ってくるって言っても家を空けちゃダメでしょ。
って言っても、ねぇちゃんは聞く耳なんて持たないだろうな……。

「……分ったよ。少しだけ、少しだけだからね。
 留守番をサボったってユウジさんに怒られるのは嫌だよ」
「大丈夫、大丈夫。さぁ、行こうちぃちゃん!
 早くしないと本当にユウジが帰って来ちゃうよ」
「その、根拠のない自信が心配なんだけどな……。
 ユウジさんが帰って来たなら、それでも良いんだけど」

僕が何を言おうと、ねぇちゃんはやっぱり聞く耳を持たない。
ユウジさんが帰ってくる前に戻って来るようにしないと……。
ここから、ポケモンセンターまでは往復で一時間くらいかな?
一応、時計は首にかけたし、時間になったら今度は僕がねえちゃんを引きずれば良いか。



家から少し歩いて、僕等は小さな森へとやって来た。
小さいのに結構レベルの高いトレーナーが多くやって来る。
何でも、ここには珍しい野生のポケモンがそこそこ居るとか。
僕等はここが近所だからどの種族が珍しいのかよく分からないけどね。
実際、僕等のような子供だけで安全と言い切れる場所ではない。
やっぱり、帰りたくなって来た……。

「……で、こんな所まで来て何をする気?」
「え~と……。何しようか? かくれんぼ? 鬼ごっこ?」
「それなら、態々こんな所に来なくても良かったんじゃないか……」

本当に何でこんな所に来たんだよ。
かくれんぼや鬼ごっこなら、家の庭でも良いじゃないか。

「こういう所でやるから楽しいんだよ!」
「それはそうかもしれないけど……。
 今日、ユウジさんに怒られるかもしれない日に来なくても良いんじゃない?」
「うっ! それは、そうだけど……。
 私は今日、ここで遊びたかったの!!」

つまり、何にも考えてなかったのか……。
こんな無計画な事に僕は付き合わされたのね。

「良いね~。イーブイって事はどっかのトレーナーのポケモンか。
 近くにトレーナーの姿も見えないし、丁度良いな」
「……今日はこのイーブイ達で決まりですね兄貴」
「こんな可愛い雌が二匹とはな。年齢が近そうだし、顔も似てる。
 双子ちゃんかな? ぐへへ。ますます良いね~」

二匹組のヘルガーが僕等に近付いてきた。
僕等を見る目が凄く怪しい。
正直、逃げた方が良いだろうな。

「……逃げよう、ねぇちゃん」
「う、うん。そうした方が良さそう。
 このヘルガーさん達、何か怖い……」

これだから、外出は反対だったんだ……。
僕とねぇちゃんはヘルガーとは反対の方向へ走った。

「おっと。残念だが、逃がしはしねぇよ」
「素直に俺達の慰み物になるんだな。兄貴はどっちのイーブイが良いんだ?」
「あ~、そうだな。こっちのねぇちゃんて呼ばれた方にしとくわ」

僕等が逃げるのを予想していたのか、簡単に回り込まれてしまう。
そして、それぞれのヘルガーが僕等を押さえつけた。

「さて、いろいろ溜まってるんだ。しっかり相手を頼むぞ」
「や、やだ。離して!」

僕の叫びは届かず、ヘルガーは楽しそうな顔をする。
そして仰向けにし、僕の後脚を無理矢理開かせた。
ヘルガーは「待ってました」と言わんばかりに股間に前足を突っ込む。

「……付いてる? 生えてる? こいつ雄?
 何だよ。こんな雌顔でこいつ雄かよ……。
 あ~。でも、溜まってるんだよな……。
 この顔なら雄でも良いか? 後の穴なら使えそうだしな。
 いや、早まるな俺! こんな可愛くてもこいつは雄なんだ!
 兄貴が満足したら変わってもらうか。ねぇちゃんて言ってたんだ流石に雌だろ」

僕の股間に前足を突っ込んだままブツブツと変な事を言うヘルガー。
どうやら、僕に何か変な事をするつもりだったらしい。
でも、僕は無事でもねぇちゃんは何をされるかわからないしな。

「じゃあ、お前はねぇちゃんが犯されるところでもしっかり見るんだな。
 こういうのを誰かに見せつけるのもタマには悪くないだろう」

ヘルガーは訳の分らない事を言うと、僕を今度はうつ伏せにし、ねぇちゃんの方へと向けた。
そして、僕が逃げられないように再び前足で押さえつける。
僕がどんなに暴れてもヘルガーの前足をどかす事が出来ない。
目の前を見ると、もう一匹のヘルガーがおちんちんをねぇちゃんの顔に擦り付けていた。

「やだ! おちんちん擦り付けないで!
 こんなことして何が楽しの!?」
「この遊びは子供にはまだ分んないだろうな。
 ほら、俺のペニスをさっさと舐めろよ」
「絶対に嫌! やめてよ!」

どうやらヘルガーはおちんちんをねぇちゃんに舐めさせたいらしい。
そんな事して一体何になるのか、僕には理解できないよ。

「くくく。そうか嫌か。まぁ、普通は拒否するよな。
 じゃあ、あっちのちぃちゃんって奴がどうなっても知らないぜ?
 おい! やっちまえ!」
「あいよ、兄貴!」

ヘルガーが僕を押さえる力を強くする。
いや、もうすでに押さえるなんてレベルじゃない。
こいつは僕を踏み潰すつもりなんだろう。
……苦しい。でも、絶対に苦しいなんて口にする気はない。
ねぇちゃんに頼りたくないし、借りは絶対に作りたくないから。
都合の悪い時だけ弟面するなんて格好悪い。
苦しいと叫ぶくらいなら舌を噛み切って死んでやる。

「早くしないとあいつ、本当に死んじまうぜ?
 さっさと俺のペニスを舐めれば良いんだよ。
 ほらほら、ちぃちゃんを助けたくないのか?」
「……ぼ、く……のこ……とは……気にし……な……い……で……」
「ちぃちゃん! もうやめて! ちぃちゃんが死んじゃう!
 おちんちん舐めるから、ちぃちゃんを殺さないで!!」

ねぇちゃんの言葉を聞いてヘルガーが楽しそうに笑う。
そして、僕を押さえる力が再び弱くなった。
これで僕はねぇちゃんに借りを作ったことになる。
でも、生きていられることに安心してる自分がいる事に気付く。
死んでやるなんて思っても僕の覚悟はそんなものなんだね……。
自分のことが嫌いになる。僕はなんて無力なんだ!

「くははは。初めからそう言えば良かったんだよ!
 じゃあ、俺のペニスを舐めろ。 歯を立てたらちぃちゃんを殺すからな。
 まずは先端をゆっくり丁寧に舐めろ」
「う、うん……。分りました……」

ヘルガーの命令どおりにねえちゃんが、あいつのおちんちんを舐めはじめる。
勿論、表情でその行為がいかに嫌かが見てわかった。
それでも僕の方を一瞬だけ見ると、ねぇちゃんは「安心して」と言いたそうに微笑む。
ねぇちゃんが僕せいで……。僕のせいで!
どうしてこうなった!! どうしてこうなったぁあああああ!!!

「くぅう。良いねぇ。良いねぇ。
 ほら、今度は先っぽをくわえな」
「……は、はい」

ヘルガーはまるで、マッサージでもされているかのように気持ち良さそうだ。
分らない。おちんちんを舐められると、そんなに気持ち良いの?

「思ってた以上に上手いじゃないか。
 そろそろ、イけそうだ」
「い、行けそうって、何所に?」
「だから、子供には分んないって言ってんだろ。
 俺のザーメンをたっぷり浴びせてやるよ」

ザーメンって一体何? ヘルガーの言ってる意味が僕には理解できない。
ヘルガーはねぇちゃんからおちんちんを少し離す。
すると、おちんちんから白い液体が放たれた。
遠目で見ても、明らかにおしっことは違うのが分る。
あれがヘルガーの言ってたザーメンっていうものなのかな?
話の流れ的にきっとそうだろう。むしろ、そういう事にしておこう。

「……これ、ベタベタするし変な臭いがするよぉ」
「さて、前座はこれwらいで十分だ。
 これからが本番だぜ」
「……ほ、本番?」

ねぇちゃんはヘルガーのザーメンで不快なご様子。
まぁ、ご機嫌になってても嫌だけど。
楽しそうに笑うヘルガーが、凄く怖い。
一体、ねぇちゃんに何をする気なんだろう?
ヘルガーはねえちゃんを仰向けに押し倒す。
そして、後脚を広げるとお股をじっくりと眺めている。

「流石に濡れちゃいないか。
 まぁ、俺が気持ち良くなれれば良いから関係ないな」
「な、何をするの?」
「俺のペニスをお前のマンコに入れて、激しく腰を振るんだよ。
 かなり気持ち良いんだぜ。少なくとも雄の方はな。
 お前の未発達なマンコじゃ痛いだけかもな」

ヘルガーはおちんちんをお股の当てる。
入れるって言ってたけど、お股っておちんちん入るの?

「さぁ、入れるぞ。お譲ちゃん」
「痛いのは嫌だよ……。でも、やらないとちぃちゃんが……」
「兄貴! 誰かに狙われてる! 避けてくれ!!」

おちんちんを入れようとした瞬間に日差しがなぜか強くなる。
そしてヘルガーに目かってソーラービームが放たれた。
ヘルガー達は僕とねぇちゃんから離れると周囲を見渡す。
と、とりあえずは助かった……のかな?

「は~はっはは! は~はっはは!!
 天が呼ぶ、地が呼ぶ人が呼ぶ! 悪を倒せと俺を呼ぶ!
 人呼んで流離いのヒーロー! アカトラ参上! よろしく~」

やや、高いところで、逆光を受け叫んだポケモンが黒々と見える。
そのポケモンはシルエットで大型四脚のポケモンだという事は分った。
逆光が眩しすぎて観察するのも辛い。
ジャンプしてヘルガーの目の前に着地する。
それで、初めてそのポケモンがウィンディだと確認できた。

「何だてめぇ! それに、そのヒーローの口上を混ぜた名乗りは!?
 電気を使うカブトムシの改造人間。
 親友の復讐する為に旅をする私立探偵。
 サイボーグで構成された電撃隊の行動隊長。
 その三つを混ぜればバレないとでも思っていたのか?
 もう、そんなヒーローは古いんだよ! とっとと帰れ!!」
「そ、そうだったのか? 俺にはちっとも分らなかったぜ……。
 流石は兄貴。色々なことを知ってるんだな!」
「む! 貴様、この口上が分るとは中々のヒーロー好きだな?
 貴様が強姦魔でなければ同士になれたものを……」

ヘルガーの弟分と一緒で僕もちっとも分らなかった……。
あの、アカトラさんは味方で良いんだよね?
ただのお節介で本当は弱いなんて事はないよね?
ちゃんと僕達を助けてくれるんだよね?
……正直、とても不安なんですけど。

「てめぇは俺達に一匹で相手する気か?
 俺達も舐められたもんだ」
「貴様等のような悪党が何匹集まらろうと俺の正義の心は屈しない!
 それが正義の味方、ヒーローって奴だろう!
 さぁ、来い! 正義の強さを見せてやる!」
「大口叩いた事を後悔させてやる。蹴散らすぞ!」

兄貴分の号令で弟分が「へい、兄貴!」と返事をする。
二匹は同時に走り出し、アカトラさんを囲んだ。
まだ、アカトラさんは動かない。
ヘルガーが同時に攻撃をする為、アカトラさんに近づく。
二匹の攻撃が当たると思った瞬間にアカトラさんが消える。
一体何が起きたのか僕には分らなかった。
攻撃が当たる瞬間に消えたもんだから二匹が顔面で正面衝突する。
その光景は凄く格好悪い。

「あれは、トラちゃんの神速ね。
 ウィンディの得意技。初めから警戒するべきだと思わない?」
「え?」

僕は突然声をかけられ慌てて声の方へ振り向く。
そこには奇麗なキュウコンが座っていた。

「もう。そんなに、驚かないで。私はヨウコ。
 トラちゃん、アカトラちゃんと同じトレーナーのポケモンよ。
 だから、あなた達の味方って事ね。
 バトルを観戦するのも良いとは思うけど、その隙に逃げようとは思わないの?」
「……あ」

確かにその通りだ。今の僕は当然ヘルガーから解放されてる。
それは、ねぇちゃんも同じはずだ。
なんで逃げようって思わなかったんだろう。
ヨウコさんに言われて初めて気が付いた……。

「早く、あっちの雌を助けてあげたら?
 きっと、あなたを待ってると思うわよ」
「は、はい!」

そうだ! ねぇちゃんに助けられっぱなしなんてダメだ!
今度は、僕がねぇちゃんを助ける番だ!
僕はねぇちゃんの元へと走った。
ヘルガーに押しつぶされそうになった時のダメージがまだ、残ってる……。
それでも、ねぇちゃんのされた事に比べたら、こんな傷……。
ねぇちゃんの近くまでよると凄い臭いがした。
これがヘルガーのザーメンの臭いなんだろう。

「ねぇちゃん、動ける?
 アカトラさんて言うウィンディが戦ってる内に隠れよう」
「……うん。良かった、ちぃちゃんが無事で……」

僕はねぇちゃんを乗せると木陰に隠れる。
安心したからか、ねぇちゃんは眠りについた。
ヨウコさんはこちらを一瞬だけ見るとヘルガーの方へと向かう。
多分、アカトラさんを助けに行くんだろう。
というか、アカトラさんは何所行ったのかな?

「ねぇ、お兄さん達。あんなヒーローオタクなんかとじゃなくて私と遊ばない?」
「あ~。俺、お姉さんよりも幼女が好みなんだ。他を当たってくれ」
「そんな事言わないで。ほら私、胸は小さいからきっと貴方でも満足できるわよ?」

ヨウコさんはヘルガーの前足をつかむと自らの胸に持っていく。
大胆な行動に流石のヘルガーも顔を赤くしている。

「なぁ、兄貴。せっかくの別嬪さんのお誘いを断るのは悪いよな?
 だから、このお誘いは俺が受けても良い?
 ほら、イーブイの一匹は雄で俺、抜いてないしさ」
「……お前も好きだな。好きにしろ」
「流石、兄貴! 話がわかる!!
 ささ、キュウコンさん、こちらへどうぞ」

弟分は鼻の下を伸ばしてヨウコさんと何所へと行く。
呆れる兄貴分の背後に突如アカトラさんが姿を現わした。

「まったく。貴様の弟分は今が戦闘中だって事をすっかり忘れてるようだ。
 お前もそう思うだろう? こうして一匹にされてるんだからな」
「へ? お前はヒーローオタクのウィンディ!?
 あいつは……さっきのキュウコンと一緒に……」
「ヨウコの奴も余計なお節介をしてくれたな。
 こんな奴等、俺だけでもこんな奴等くらい十分だったのに。
 覚悟はとっくに出来てるよな、強姦魔?」

アカトラさんの声でヘルガーは慌てて振り向く。
気づいた時、既に遅し。アカトラさんは電気をまとっている。
……あれは確か、ワイルドボルト。
炎タイプのアカトラさんが使うには少し似合わない気が……。

「これでもくらえ! ワイルドボルトォオオ!!」
「ちょ、ちょっと待って!? 正義のヒーローが不意打ちなんてして良いのか!?
 よ、良くないよな? 俺は戦いの仕切り直しを要求する!」
「待ったなし!! それに俺は攻撃する前にちゃんと声をかけた!!」

ヘルガーは無情にもアカトラさんのワイルドボルトで宙を舞う。
何か、酷い気もする。でも、あいつ等の方が酷い事してるし。
これで良いんだよね?
そういえば、弟分はどうなったのかな?

「……やっぱり、雄をからかうのは楽しいわ。
 あら。トラちゃんの方も終わったようね」
「ヨウコのやり方は相変わらずだな……。
 普通に戦っても十分強いんだし、少しは真面目に戦ったらどうだ?
 さっきの日本晴れじゃなかった日照りでのソーラービームだってかなりの威力じゃないか」
「うふふ。この美貌が私の最大の武器よ。
 この武器で何匹もの雄を倒してるんだから。
 だって、普通に戦っても面白くないじゃない。
 真面目に戦ってもそれなりなのはトラちゃんだって知ってるでしょ?
 そういう時はちゃんと戦うから安心して大丈夫よ」

ヨウコさんが弟分を引きずって来た。
弟分は何か恐ろしいものを見たのか、放心している。
一体、弟分はヨウコさんに何をされたんだろう?
そんなヨウコさんの言葉にアカトラさんはため息をつく。
て言うか、最初のソーラービームってアカトラさんじゃなかったんだね。

「……雄が雄を色仕掛けして楽しのか?」
「勿論、楽しいわよ。希望が一瞬のして絶望に変わる。
 その表情を見るのがとっても。
 いっそ、トラちゃんも同性の雌を口説いてみたら?
 私の気持ちが分かるかもしれないわよ。
 同性なら浮気じゃないわよね」
「希望を絶望にって。ヨウコって本当にドSだよな……。
 俺は……そういうのは好きじゃないから遠慮しておく」

え? ヨウコさんって雄? それにアカトラさんが雌?
失礼だけど二匹の性別を完全に勘違いしてた……。
でも、あんな性格じゃ誰だって間違えるよね?

「お! よ、ようやく追いついたか!
 アカトラ、ヨウコ。いきなり、走り出してどうしたんだよ?」
「俺は走り出す前に悲鳴が聞こえたって言ったはずだよな、ケイスケ?」
「トラちゃんが走ってたから追いかけたのよ。
 だって、トラちゃん一匹じゃ流石に心配でしょ?」

一人の人間が息を切らせて走って来る。
多分、アカトラさん達のトレーナーなんだろうな。

「あれ? そうだっけ?
 まぁ、良い。それよりも俺の事はご主人様と呼んでくれと何度も言ってるだろ?」
「それはケイスケが少しは優秀なトレーナーになったらと何度も言ってるだろ。
 今のケイスケは俺達の能力に頼り切ってるじゃないか。
 人柄は評価するが、トレーナーとしては二流だ。
 だから、俺達はご主人様なんて呼び方でケイスケを呼べないな」
「まぁまぁ、トラちゃん。そんな直球で言うとケイスケさんが落ち込むわよ。
 少しは優しくあしらってあげないと、本気でトレーナーをやめちゃうかもしれないわ。
 これ位の小言でトレーナーをやめるならその程度の器って事でしょうけど」

……自分のポケモンに凄い罵られようだ。
そんなにもケイスケさんは無能なんだろうか?
僕だったら自分のトレーナーにそんな態度をとる勇気はないな。
ヘルガー達が倒されたので僕はねぇちゃんは背負って木陰から出る。
走る足音が聞こえる。もう一人、誰かいるみたい。

「ウィンディとキュウコンは見つかったみたいだな。
 あれ? 何か見たことある顔がいるような気が……。
 ちゃんと留守番してろって言ったろ」
「このイーブイ達はお前のポケモンか。
 でも、言いたい事も分かるけどさ……。
 まずは自分のポケモンを心配した方が良いんじゃないか?
 雌の方は凄い事になってるし、雄の方も傷だらけだしな。
 お前は自分のポケモンに対して愛が足りてないぞ」
「お前みたいにポケモンを恋人にしたいわけじゃないからな。
 そんな変態が意外にもポケモンに好かれるから不思議だ。
 俺だって、愛まではいかないが情くらいはあるぞ」

……今、一番会いたくなかった人に会ったみたい。
この惨状をユウジさんに一体なんて説明するの?
今はケイスケさんに気を取られてるけど、次は僕らだ。
ケイスケさんとの会話が終わるとユウジさんはこっちに近づいてくる。
迎えに行った友達っていうのはケイスケさんで間違いないんだろうな。
そして、しゃがむと僕の頭に手を置いた。

「……今回の事で十分懲りたろ?
 今度からはちゃんと留守番してろよ
 じゃあ、帰るぞ」
「……ちゃんと留守番してなかった僕等を怒らないんですか?」
「何にもなかったら怒ってただろうな。
 今回だけは、こんな事になったから怒らないさ。
 留守番をサボるとどうなるか、俺が怒るよりも身に染みたろ?
 反省してる奴をもう一度怒る必要はないだろうしな」

ユウジさんは腰から僕達のモンスターボールを取り出す。
そして僕達はモンスターボールに戻された。



僕達が再びボールから出されたのは家に着いてからだった。
ユウジさんとケイスケさんは楽しそうに会話している。
久しぶりに会う友達だから話の話題は尽きないんだろうな。
ボールから出されても、ねぇちゃんはまだ眠っている。
やる事もないし、世話にもなった。
ねぇちゃんが起きるまでそばに居る事にしよう。
……起きる気配がないけど、大丈夫かな?
なら、僕も一眠りしておこう。

「……ちゃん、ちぃちゃん」
「ねぇちゃん?」
「こんな所で寝てたら風邪ひいちゃうよ」

こんな所で言っても風邪をひくような時間でも……。
あれ? もう、夜になってる!?

「ねぇ、ちぃちゃんはアカトラさん達にお礼は言ったの?」
「ずっと、ねぇちゃんの所に居たからまだだけど……」
「じゃあ、一緒にお礼しに行こうよ。
 ちぃちゃんはアカトラさん達がどこに居るか分かる?」

そうか、ねぇちゃんはずっと倒れてたから聞いてないのか。
ケイスケさんはユウジさんの部屋で寝るって言ってたっけ。
ユウジさんの部屋は広いから二人で相部屋でも大丈夫だもんね。
で、アカトラさんとヨウコは確か……。

「リビングで寝泊まりするって言ってたね。
 でも、アカトラさん達……と言うよりケイスケさん達は今日は泊っていくんだよ。
 だから、もう真夜中だしアカトラさん達が起きてるか分らなし明日にしない?」
「でも、今日助けてもらったんだし今日お礼しないと……。
 ちぃちゃんが一緒に来てくれないら、私だけでも行くから良いもん!」
「分ったよ。今のねぇちゃんだけじゃ心配だから僕も行くよ」

ねぇちゃんは嬉しそうに部屋を出る。
いつもの事だけど、ねぇちゃんはやると決めたら行動早いな……。



そんなに広い家じゃないからすぐに、リビングが見えてきた。
二匹が起きてるか心配だったけど、扉が少し開いていて、光がもれている。
良かった。まだ起きてるみたいだ。
いや、安心はできないかも。
電気を消し忘れても寝ちゃってるだけかもしれないし。
取りあえず、ドアの隙間から様子を見てみよう。

「どう、ちぃちゃん。アカトラさん達起きてる?」
「だから、それを今から確認するんでしょ」

確認しようとした瞬間にねぇちゃんが僕の背中に乗って来る。
正直に言うと降りてほしいけど、二匹並んで中が確認できないのは事実。
二匹同時に確認するには、こうしないといけないもんな……。
でも、僕の方が力がないの下って……。重い……。
中を確認して早く用件を済ませよう。
そうじゃないと僕の体力がもたないよ。
ヨウコさんとアカトラさんは……。

「なぁ、もう良いだろヨウコ?
 俺、もう我慢できないんだよ」
「ダメでしょ、トラちゃん。
 いつも私を一回イカせてからって約束でしょ?」

中ではなんと、アカトラさんがヨウコさんのおちんちんを咥えていた。
これって、昼にヘルガーがねぇちゃんにさせてたのと同じこと?
じゃあ、なんでヨウコさんとアカトラさんがこんな事してるの?
わからない。でも、なんかドキドキして目が離せない。
それは、上に乗ってるねぇちゃんも同じっぽい。
だって僕と同じでねえちゃんも息があがってるもん。
それに気づいたのか、ヨウコさんがこちらを見た。
ヨウコさんの目と僕の目が合う。そしてヨウコさんが微笑んだ。
気づいてる!? ヨウコさんは僕等がここに居る事に気づいてるの!?

「でも、今日は特別に許してあげようかしら。
 じゃあ、トラちゃん。何をどうしてほしいか言ってちょうだい」
「……入れて……下さい……」
「何をどうしてほしいか言ってちょうだい」

アカトラさんは顔を赤くしてモジモジしてる。
こういう姿を見るとアカトラさんも雌なんだなぁって思えるかな。
そんなアカトラさんを見てヨウコさんは何だが楽しそう。

「ヨウコのおちんちんを俺のマンコに入れて下さい!」
「入れるだけで良いの? 違うでしょ。さぁ、もう一回言ってちょうだい」
「ヨウコのおちんちんを俺のマンコに入れて、激しく突いて中に精液を出して下さい!!」

ここからじゃ、うまく聞き取れないけどヨウコさんがアカトラさんの耳元で何か囁く。
それを聞いたアカトラさんは嬉しそうな顔をした。
アカトラさんはヨウコさんにおしりを突き出す。
これから何が始まるんだろう?

「我慢できないって言ったくらいだし、激しい方が良いわよね?」
「ああ。身体が疼くから激しくお願いする」
「じゃあ、トラちゃん入れるわよ」

ヨウコさんは立ち上がり前足をアカトラさんの腰に乗っける。
あんな体勢で一体何をするの?
ドキドキしながら見てると、ヨウコさんのおちんちんがアカトラさんのお股に当てられる。
これも昼間に、ヘルガーがねぇちゃんにしようとしてた事だ。
じゃあ、やっぱりお股におちんちんを入れるの? 本当に入るの?
ヨウコさんのおちんちんは、どんどんアカトラさんのお股に入っていく。
凄い。本当に入るんだ。

「くぁあああ! 良いよぉヨウコぉおお!!」
「はぁはぁ。トラちゃんは本当に私のおちんちんが大好きね」
「そ、そう言う風にしたのはヨウコだろ!?
 ヨウコは俺のマンコは嫌いか?」

ヨウコさんには見えないだろうけどアカトラさんの表情が暗くなる。
質問をされたヨウコさん自身は逆に表情をぴくりとも変えない。

「そんなの決まってるじゃない。……勿論、大好きよトラちゃん。
 私みたいなオカマ野郎を好きになってくれるのなんてトラちゃんしか居ないわよ」
「そんな事言ったら、俺みたいな雄勝りを好きになってくれるのもヨウコしか居ないぞ」
「ふふ。じゃあ、愛の確認も済んだ事だし激しくいくわよ。良いわよねトラちゃん?」

アカトラさんにそう言うと、ヨウコさんは腰を振りはじめる。
腰を振られるたびにアカトラさんは凄く嬉しそうな顔をしていた。
この行為にどんな意味があるかは僕には分からない……。
でも、見てるだけで身体が熱くなる。何で? どうして?

「くぁあああ! 早く、早くヨウコの精液くれよぉお!」
「本当にトラちゃんは中出しが大好きなんだから。
 良いわ。私の精液、たっぷりトラちゃんに出してあげるからね。
 さぁ、大好きな精液よ。しっかり受けとって!!」
「来たぁあ! ヨウコの精液、俺の中に来たぁああ!!」

アカトラさんは狂ったように叫ぶ。
そんなにも凄いのかな?
ヨウコさんがチンチンを抜くと白い液体が流れる。
昼間のヘルガーが言ってたザーメンと多分同じ。
精液? ザーメン? アカトラさんはこれを中に出して欲しかったの?

「ヨウコ、好きだ」
「もう、トラちゃんたら。甘えん坊さんね」
「べ、別に良いだろ! でも、今日はこのまま一緒に寝ような」

アカトラさんはヨウコさんに抱きついて、そのまま目を閉じる。
今の言葉通りならこのまま寝ちゃうんだろうな。

「二匹共このまま寝ちゃうみたいだし、お礼は明日にしようよねぇちゃん」
「う、うん。そうだね。じゃあ、私達も寝ようか。おやすみちぃちゃん」

今ここで、おやすみって言われても部屋に戻るまで僕も一緒なんだけど……。
昼寝して起きたばっかりだからそんなに眠くはないけど今日は素直に寝ようかな。
僕とねぇちゃんはリビングを離れ自室へ戻ることにした。



結局、昨夜の出来事のおかげであまり眠れなかった……。
ねぇちゃんはぐっすり寝てみたいだけど。本当にたくましいな。

「じゃあ、アカトラさん達にお礼言いに行こうよ!」
「あ、うん。そうだね……。ふわぁ~」

ねぇちゃんがリビングへ走って行く。
僕もふらふらとねぇちゃんの後を追う。
今回はリビングのドアは全開になっていて中にはヨウコさん一匹だけみたい。

「ヨウコさん、こんにちは! アカトラさんは居ないんだね」
「あら? あなた達は昨日の……。
 そういえば名前、まだ聞いてなかったわね。
 トラちゃんが呼んでたから私達の名前は分かるみたいだけど。
 でも、一応自己紹介しましょうか。私はヨウコ。よろしくね」

困ったな。僕達に名前はないんだけど、どうしようか。
ねぇちゃんはどうするのかな?
まさか僕の事をちぃちゃんって紹介しないよね!?

「えっとね。私達は名前ないよ。
 でも、私はちぃちゃんの事をちぃちゃんって呼んでるよ。
 で、ちぃちゃんは私の事ねぇちゃんって呼ぶよ。
 私達、双子なの!」
「そうなの。じゃあ私もねぇちゃんとちぃちゃんって呼ばせてもらうわ。
 それで、トラちゃんに何の用からしら? 急用なら呼んでくるわよ」
「昨日、アカトラさんとヨウコさんに助けてもらったからお礼が言いたくて。
 助けてくれて、ありがとうございました」

僕もねぇちゃんがお礼を言った後に頭を下げる。
やっぱり、僕の事はちぃちゃんって紹介したよ……。
分かってたよ。そうやって紹介するって。

「じゃあ、昨日の夜に来たのもそれが目的かしら?
 トラちゃんは気づいてなかったみたいだけど、私は気付いたわよ。
 ずっと、のぞいてたみたいだけどそんなに楽しかったかしら?」
「いや、その。ごめんなさい……。
 楽しかったって言うよりも気になって……。
 あれってヘルガーがねぇちゃんにしようとしてた事と同じですよね?」
「そうね。行為自体は同じことよ。
 でも、目的と手段は大きく違うわね。
 あなた達にはまだ早いと思うからこれ以上は知らなくて良いと思うわ」

知らなくて良いって言われると逆に知りたくなる思う。
それは、ねぇちゃんも同じみたい。
だって顔に知りたいって書いてあるもん。

「ヘルガーは私に何をしようとしたんですか?
 私、知りたいです! ヨウコさん、教えてください!」
「ふふ。やっぱり、そう言うわよね。私は一応止めたわよ。
 昨日の事とこれからの事はトラちゃんには言わないって約束できる?
 これだけは約束してもらわないと教えられないわ」
「うん。約束する!」

僕も首を縦に振る。
黙ってるだけで教えてもらえる言うはずがない。
あの行為の意味。それは一体何なんだろう。

「あの行為はね。雄と雌が卵……赤ちゃんをつくる行為なの。
 でも、これってとっても気持ち良いのよ。
 だから自分が気持ち良くなりたいだけ雌を襲う最低な奴がいるの。
 あのヘルガーもその一匹よね。きっと、彼女居ない歴は年齢と一緒よ
 折角だから、ちぃちゃんにどれ位気持ち良いか教えてあげるわ。
 ねぇちゃんはダメよ。私、これでも浮気はしない主義なの。
 さぁ、ちぃちゃんこっちに来て」

説得力があるような、ないような……。
ヨウコさんの指示通り、僕は近づく。
すると、ヨウコさんが後ろから抱きついてきた。
ヨウコさんが雄だっと分かっていても、少しドキドキする。

「こんなに顔を真っ赤にしちゃって、可愛いわね。
 ふふ。お兄さんがたっぷり気持ち良くしてあげるわ」

そう言うとヨウコさんの前脚が僕の股間へと伸びる。
そして何のためらいもなく、僕のおちんちんを弄り始めた。
な、何か変な感じ。これが気持ち良いって事なの?

「どう、ちぃちゃん気持ち良い?
 気持ち良いわよね。だって、おちんちんが勃起、大きくなってるもの。
 雄ってこういう事するとおちんちんがおおきくなるのよ」
「あぅう。わ、分かんないです。頭が真っ白になりそうでぇえ!
 ダメ! 頭がおかしくなっちゃうよぉお!!」
「それが気持ち良いって事よ。だから怖がらないで。
 ちぃちゃんのおちんちん、ビクビクして今にも射精しそうね。
 さぁ、我慢しないで出しちゃって良いのよ」

我慢なんてしてない。分からないんだ。
こんな感じだと射精が近い?
でも、力が抜けていくよ。

「あぁうぅううう……」
「ふふ。出たわね。初めての射精は?」
「……え?」

ヨウコさんに指摘されて初めて気がついた。
僕のおちんちんからおしっことは違う白い液体が飛び散っている。
これが精液。これが射精。これが気持ち良い事……。

「初めての射精で疲れちゃったみたいね。
 射精って結構体力使うものね。
 どうする、ここでやめる?」

僕は無意識のうちに首を横に振っていた。
ヘルガーが自分の為だけに雌を襲うのも、なんとなく分かる気がする。

「気に入ったみたいね。じゃあ、今度は前脚でするよりももっと気持ち良くしてあげるわ。
 じゃあ、後足を開いてちょうだい」
「これ以上に気持ち良い事?」

前足で弄られるだけで気持ち良かったのにもっと凄いこと。
僕は期待に胸をふくらませながら、ヨウコさんの言うとおり後足を開く。
すると、ヨウコさんは僕の股間に顔をうずめる。

「今度は私の口でしてあげる。気持ち良さは前脚なんかとは比べ物にならないわよ」
「だから、ヘルガーもねぇちゃんに口でさせたの?」
「多分、そうだと思うわよ」

ヨウコさんの舌が僕のおちんちんに触れると電流が走るような感覚が押し寄せる。
凄い。本当に前足でされるのよりも気持ち良い。
それにこんな奇麗なヨウコさんに舐められてると、それだけでドキドキする……。

「まだ、先っぽを舐めただけでおちんちんをこんなに硬くしちゃうのね。
 ちぃちゃんは本当に可愛いわね。私もドキドキしちゃうわ」
「だ、だって……。ヨウコさんの舌、凄く気持ち良いんだもん」
「嬉しい事言ってくれるわね。じゃあ、もっとサービスしてあげるわ」

ヨウコさんは舌で舐めるのをやめると僕のおちんちんをくわえた。
おちんちん全体がヨウコさんの口で覆われる。
その気持ち良さは僕の想像を遙かに超えていた。
僕はもう一度、射精しそうになる。

「あぅう! ヨ、ヨウコさん! 僕、僕ぅううう!!」
「ふふ。我慢しないで私の口に出しちゃって良いのよ」
「は、はいぃいい!」

僕はヨウコさんの口の中に射精する。
口に流れ込む精液をヨウコさんは嫌がらずに飲み干していく。
飲んじゃったけど、精液って美味しいのかな?

「まだ小さいのに、二回目でここまで出せるなんて正直驚いたわ。
 最後にもう一度言うけど、昨日の事と今日の事はトラちゃんには内緒よ」
「はい。ありがとございました。行こう、ちぃちゃん」
「う、うん。ヨウコさん、ありがとうございました」

僕とねぇちゃんはヨウコさんに挨拶するとリビングを出た。
部屋に戻る途中でねぇちゃんが声をかけてくる。

「ねぇ、ちぃちゃんヨウコさんにおちんちん弄ってもらって気持ち良かった?」
「え? う、うん。凄く気持ち良かった」

ねぇちゃんの質問に僕は素直に答える。
正直に言うと僕にはねぇちゃんの意図が分からない。

「ふ~ん。そう。じゃあ、私ともああいう事したい?」
「そ、それは……」

流石に姉弟だしそれは不味いんじゃないかな?
……じゃあ、何で僕はそう即答しなかったんだろう?
ねぇちゃんとこういう事がしたいの?
ち、違う! 僕はただ気持ち良かったからもう一度したいって思っただけだよ!
それに僕は自分勝手なねぇちゃんが嫌いだし。

「そんな事ないよ」
「嘘でしょ? だって顔にやりたいって書いてあるもん。
 そうだよね。雌みたいな顔してても、ちぃちゃんだって雄だもんね……」

うっ! そんなに僕の考えって顔に出る!?
したい……のかな? 絶対に違う!
それに僕が雌みたいな顔をしてるの気にしてるって知ってるくせに!
これだから、僕はねぇちゃんが嫌いなんだ!!

「違う! そんな事言うねぇちゃんなんて嫌いだ!」

この空気に耐え切れずに、僕はねぇちゃんを置いて走り出した。
ねぇちゃんはこのまま部屋に戻るだろうから、どこか一匹になれる所へ……。
僕はねぇちゃんが嫌いだ。僕はねぇちゃんが嫌いだ! 僕はねぇちゃんが嫌いだ!!
自分に言い聞かせるように心の中で叫びながら、あてもなく走っていた。



ケイスケさん達が来て数日が過ぎた。
ただ、遊びに来ただけと思ってたけど、しばらくはユウジさんの家で厄介になるらしい。
それなら、あんなに焦ってヨウコさん達にお礼に言いになんて行かなかったのに。

ねぇちゃんはアカトラさんにかなり懐いていてずっと一緒にいるみたい。
しつこく遊びに誘われないから僕としては助かってるけど。
それもあって、今はヨウコさんといる事が多い。
理由は「トラちゃんがかまってくれなくてヒマなの」だそうだ。
これじゃ、今までとあまり変わらない気もする……。

「本当にねぇちゃんはトラちゃんに懐いてるわよね。
 一人称まで僕になちゃって、将来雄勝りにならないか心配だわ。
 どう? ちぃちゃんもねぇちゃんにかまってもらえなくて寂しいでしょ?」
「別にそんな事はないですよ! むしろ、静かで良いくらいです!」
「あら? 冗談のつもりなっだのに随分とムキになるのね。
 やっぱり、寂しいんでしょ?
 まぁ、聞きたいのはそんな事じゃないのよね。
 ねぇちゃんを見てて気になったんだけど、あの子って雄を避けてない?
 雄が近付くとすぐにトラちゃんに隠れるから気になってるのよね。
 やっぱり、この前ヘルガーに襲われたのが原因かしら?」

ねぇちゃんが雄を避けてる?
全然、気がつかなかったよ……。
でも、そう言われてみればそうかも。
確かにあの日からねぇちゃんが僕を誘わなくなったし……。
僕も避けられてる? 寂しいって訳じゃないけど心配かも。

「……そんな事はなかったです」
「そう。なら、やっぱりあれが原因なのね。
 でも、私が近付いても隠れようとしないのよね。
 私の事は恩人だから逃げないのかしら?
 それとも、雄だと思われてないのかしら?
 雄だと思われてないなら少しショックだわ」

……全然ショックそうじゃないですよ。
むしろ、嬉しそうですよ。
ヨウコさんにお礼を言ったあの日の別れ際……。
ねぇちゃんは僕の顔を雌みたいって言ったっけ。
じゃあ、僕もヨウコさんみたいに雌っぽくなれば避けられないのかな?
いや、いや。何で僕がそこまでしなくちゃいけないのさ!

「あらら。黙り込んで考えちゃって。
 そんなに、ねぇちゃんの事が気になるなら話に行けば良いんじゃないかしら?」
「べ、別に気になってなんかいないですよ」
「そうかしら。まぁ、良いわ。
 私はちょっとトラちゃんに用があるけど、ちぃちゃんはどうする?
 一緒に来る? 来ればねぇちゃんと会えるわよ」

会えるとか、会えないとかじゃないとかじゃない。
ちゃんとねぇちゃんと話さないといけない気がする。

「……一緒に行きます」
「ふふ。そうこなくっちゃね。
 じゃあ、行きましょうか」

ヨウコさんはリビングを出て庭を目指す。
数日ぶりにねぇちゃんと話す事になるのかな。
そう考えると、なんだか少し緊張する。
僕はヨウコさんについて行きながら、ねぇちゃんと何を話すか考えていた。



何を話すか考えてるうちに庭に着いてしまった。
そんなに距離があるわけじゃないから当り前なんだよね。
しかし、まだねぇちゃんと何を話すか考えがまとまってない。
目の前にはもうアカトラさんとねぇちゃんがいる。
こちらに気づいたのか、アカトラさんが近づいて話しかけてきた。

「よぉ! ヨウコじゃないかどうしたんだ?」
「ちょっと、トラちゃんに聞きたいことがあるの。
 私とトラちゃんだけで話がしたいんだけど良いかしら?」
「ん? 俺に聞きたい事? まぁ、良いけどさ。
 じゃあ、ちょっとヨウコと話をしてくるから、ねぇはここで待っててくれ」

アカトラさんはねぇちゃんの事ねぇって呼んでるんだね。
正直、アカトラさんが誰かをちゃん付けで呼ぶのは想像できないけど……。
ヨウコさんとアカトラさんは僕らを残し、家の裏へと移動する。
いきなり、ねぇちゃんと二匹きりになっちゃったよ。
何を話そう。やっぱり、僕というか雄を避けてることだよね。
どう話を始める? 単刀直入でも良いかな?
むしろ、ねぇちゃんも黙っちゃって凄く気まずい……。

「あ、あの、ねぇちゃん。なんか僕の事避けてない?」
「僕がちぃちゃんを避けてる? そ、そんな事ないよ!」
 
結局、単刀直入に聞いてしまった。
でも明らかに動揺してる。図星って事だよね。
やっぱり、ヨウコさんの言うとおり雄を避けてるって事か。

「ただ、この前ヘルガーに襲われたのがきっかけで雄が怖くて……。
 ちぃちゃんだって、ああいう事に興味があるんでしょ?」

そっか、それで雄を避けてるのか。
でも、それを聞いたところで僕に何が出来るんだろう?
ヨウコさんは避けてないんだから、僕が雌っぽくなれば良い?
ちょっと、冗談でねぇちゃんに聞いてみようかな。

「……じゃあ、僕がヨウコさんみたいに雌っぽくなれば避けない?」
「ちぃちゃんが雌っぽく? それなら大丈夫だと思う……。
 そうすれば僕も雄恐怖症が克服できるかも!
 ありがとう、ちぃちゃん!!」

え? 本気で受け取った?
今更、冗談なんて言える雰囲気じゃないんですけど……。

「う、うん。僕も頑張るから、ねぇちゃんも一緒に頑張ろうね」
「うん! 一緒に頑張ろうね!!」

ねぇちゃんがとびっきりの笑顔を僕に向ける。
こんな変な事を言ったのに嫌な気分ならない。
……僕、ねぇちゃんの事が好きなのかな?
そうかもしれない。違う、そうだったんだ。
嫌いって思う事で僕は姉に恋する変態だって思わないようにしてんだろう。
僕は双子の姉を本気で好きになっちゃってたんだ。

話が終わったのか、ヨウコさんとアカトラさんが戻ってくる。
アカトラさんが戻ってくると、ねぇちゃんは嬉しそうにすり寄ってく。
……何か、悔しい。アカトラさんに嫉妬。

「あらら。勢いでとんでもない事言っちゃったわね。
 良ければ、私がちぃちゃんの先生になってあげるわよ」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「素直な反応ね。少し面白くないわ。
 出来れば、もう少し楽しい反応をしてほしかったわね。
 ちぃちゃんは私が立派な雄の娘にしてあげる。
 まずは、何が良いかしら。言葉づかいは当然でしょ。
 内股の方が雌らしいわよね。
 ふふ。しばらく退屈しなそうだわ」

流石、ヨウコさん。雄をからかう時に幸せそうな顔をするよ。
でもヨウコさんの力が借りれるのは心強い。
ねぇちゃんに宣言したとおり雌よりも雌らしくなってみせるぞ!



爆弾発言からしばらくが経ち、私はヨウコさんの特訓を受けていました。
まだ、ぎこちないけど形にはなってきたと思います。

「ヨウコさん、こんな感じでどうですか?」
「ええ。及第点だわ。ちぃちゃん、飲み込みが早くて助かるわ。
 もしかして、こういう事に興味があったのかしら?」
「そんな事はないですよ。私はただ、ねぇちゃんの為に……」

そう、全て大好きなねぇちゃんの為。
特訓の成果もあって、ねえちゃんも少しは話してくれるようになりました。

「ねぇちゃんの為に、だなんて素敵よね。
 私もドキドキしちゃうわ。
 うふふ。まるで弟……いえ、妹ができたみたい。
 もぉ、ちぃちゃんたら可愛すぎるわ。
 この前、ユウジさんとケイスケさんが話してるの聞いたのよ。
 そうしたらね、ちぃちゃんとねぇちゃんを進化させるって言ってたの。
 ちぃちゃんは一体何に進化するのかしら?」
「私達が進化……ですか?
 ユウジさんからは、まだ何も聞いてないです」
「あら、そうなの? じゃあ、何に進化するのか楽しみね。
 性格的に、ブースターやリーフィアはないわよね。
 ちぃちゃんは、エーフィやグレイシアなんかが可愛くて似合いそうよね」

じゃあ、逆にねぇちゃんがブースターやリーフィア何でしょうか?
それなら、ねぇちゃんと私でリーフィアとグレイシアが良いですね。
何か、その方が姉弟って感じがしますし。
考えてると、ユウジさんが走ってきました。

「お。居た居た! いきなりで悪いけど明日お前達を進化させにいくぞ!
 あっちはケイスケにある森に行ってもらうから、お前は俺と洞窟に行くからな。
 これで新しいポケモンが図鑑に登録されるな。進化をするたび図鑑が増えるぜ!
 じゃあ、俺はケイスケと打ち合わせすから後よろしく!!」
「え? あ、はい……」

用件だけ伝えると、ユウジさんは走り去ってしまう。
洞窟って事は私はグレイシアに進化……。
そして、ねぇちゃんはリーフィアに進化する。
自分の希望通りに進化できるのは嬉しいですね。

「前日で打ち合わせが終わってないのは、どっちの不手際かしら。
 それにしても、ユウジさんってポケモン図鑑持ってるのね。
 あれって意外に高いでしょ? ケイスケさんには絶対無理だわ」
「はい。結構、良い値段しますね。
 ユウジさんは色々と集めるのが好きですから。
 それが理由でジムバッジも集めてるみたいですし」
「ジムバッチまで集めてるの? それは凄いわね。
 ケイスケさんも幼馴染との約束でジムリーダーになるなんて言ってるのよ。
 夢を持つは良いけど、それ程の実力がないのが残念よね……」

夢がジムリーダーですか。
アカトラさんとヨウコさんを連れてるって事は炎タイプのジムでしょうか?

「でも、リーフィアに進化できる森ってここから遠いわよね。
 勿論グレイシアに進化する洞窟もだけど。
 そうすると日帰りは難しそうね。ちぃちゃんはねぇちゃんと話さなくて良いの?
 きっと数日は会えないわよ」
「そうですね。今日くらいはねぇちゃんと一緒に居る事にします」
「じゃあ、私も今日はトラちゃんと一緒に居ようしようかしら」

避けられてる時も会えはしましたから会えなくなるのは初めてです。
そう考えると、凄く寂しいですね。
今日のうちに話したい事、沢山話しておきましょう。
私はヨウコさんと別れるとねぇちゃんの所へ向かいました。



会いに行く道中にねぇちゃんと会いました。
話がしたい、その思いはねぇちゃんも同じだったようです。
ねぇちゃんと他愛無い会話をしながら自室へと向かいました。

「ねぇ、ちぃちゃん。しばらく会えなくなるんだしさ……。
 僕の雄恐怖症の克服の新しい一歩に協力してくれない?」
「え? は、はい。それで私は何をするんですか?」
「仰向けで後足を開いておちんちんを見せてほしいの」

……へ? 仰向けになっておちんちんを見せてほしい?
私も耳がおかしくなってしまったみたいです。
落ち着いて、もう一度聞いてみましょう。

「あ、あの。ねぇちゃん今言った事をもう一度言ってもらっても良いですか?」
「だから、ちぃちゃんのおちんちんを見せてほしいの。
 でも、怖いから絶対に暴れたりしちゃ嫌だよ?」

ねぇちゃんに協力すると言ったのは私ですし……。
恥ずかしいですけど、ここはねぇちゃんの言うとおりにしましょう。
とりあえず私は仰向けになりました。

「こ、これで良いですか?」
「おちんちんがまだ隠れてるよ。
 えっと、あの時ヨウコさんが言ってたのは……
 おちんちんを弄れば大きくなるんだったよね?」
「えっ!? 私のおちんちん、弄るんですか!?」

それって、ねぇちゃんがあの時のヨウコさんがしてくれた事をしてくれるって事ですか?
た、確かにあの時にねぇちゃんとこういう事をしたいって少しは思いましたけど……。
やっぱり私達、姉弟ですし……。で、でもしたいです。

「あれ? まだ、弄ってないのにちぃちゃんのおちんちん大きくなったよ?
 おちんちんって弄らなくても大きくなるんだね」
「あ、あれ!? 何で私のおちんちん大きくなってるんですか!?」
「僕に聞かれても分からないよ……。
 これがちぃちゃんのおちんちん。
 大丈夫。ちぃちゃんのは怖くない。怖くない……」

怖くないと何度も呟きながら、ねぇちゃんは私のおちんちんに触れました。
ねぇちゃんが私のおちんちんを触っている……。
そう考えると胸のドキドキが納まらない。

「ひっ! 触ったら、もっと大きくなった!?
 な、何もしないでね。本当に何もしないでね、ちぃちゃん」
「何もしないでって言われても、おちんちん弄られたら……。ひゃっ!」

私の言葉をさえぎるように、ねぇちゃんが私のおちんちんをくわえてしまいました。
それはまるで「反論しちゃダメ!」って言うねぇちゃんの言葉みたいです。
ヨウコさんよりは上手じゃないけど、必死に私のおちんちんを舐めてくれる。
ねぇちゃんが私のおちんちんを舐めてくれていると思うともっとドキドキしちゃいます。
舌がちんちんを這うたびに頭が真っ白になりそう……。

「あぅうう。ねぇちゃん、私もう……射精しそうです……」
「ふえ? う、うん。分かった。じゃあ、口を離すよ」
「ひゃぁあああああ!!」

ねぇちゃんが口を離すと同時に私は射精してしまいました。
飲み込みはしなかったですけど、ねぇちゃんは凄く嫌そうな顔しています。
ヘルガーにかけられたのがトラウマになったんですから当然ですよね。

「ご、ごめんなさい。ねぇちゃん、こんなに精液かけちゃって……」
「……舐めとってよ。悪いと思うなら僕にかけた精液全部舐めとってよ。
 そうしたら、ちぃちゃんの事許してあげる。自分の精液だもん平気でしょ?
 ほら、早く奇麗にしてよ!」
「わ、分かりました。失礼します」

私はねぇちゃんに付いた精液を舐めとるために顔を近づけます。
精液ってどんな味がするんでしょう?
ヨウコさんは私の精液を平然と飲んじゃってましたけど……。
そんな私を見て、ねぇちゃんは勝ち誇った顔をしています。
精液を舐めとる事でねぇちゃんの雄恐怖症が少しでも良くなるなら……。
思い切って、ねぇちゃんに付いた精液を舐めてみます。

「舐めた、舐めた。どう? ちぃちゃん、自分の精液の味は?」
「あ、あんまり美味しくないです……」
「そっか、そっか。じゃあ、全部舐めとってよ」

……うぅ。やめさせてはくれないんですね。
私はねぇちゃんに付いた精液を舐めとっていく。
耳、顔、前脚、胸、お股……。
お股を舐めたらねぇちゃんが顔を赤くしました。
何かを我慢するような反応。
ねぇちゃんも気持ち良くなってるって事ですか?
私は嬉しくなって、ねぇちゃんのお股を舐め続ける。
そうすると、何だかお股が湿ってきたよう気がします。

「ち、ちぃちゃん。お股にはもう精液付いてないよぉおお!」
「はぁはぁ。お股を舐められて、ねぇちゃんも気持良いんですか?」
「分からないよぉ。でも、頭が真っ白になっちゃいそう」

ヨウコさんはそれが気持ち良い事って言ってましたよね?
じゃあ、このままねぇちゃんを気持ち良くしてあげます。
私はお股をペロペロと飴のように丁寧に舐める。

「ダメ! ちぃちゃん、それ以上舐めちゃダメだよぉおお!!」
「私、ねぇちゃんにも気持ち良くなってほしいんです」
「ひゃぁああああ!!」

ねぇちゃんが叫ぶとお股から透明な液体を噴き出す。
おしっことは違う液体、雄で言う射精と同じなんでしょうか?

「うぅ。ダメって言ったのに……。
 酷いよ、ちぃちゃん」
「ご、ごめんなさい」

私がねぇちゃんを襲ったら、雄恐怖症を治すどころか悪化させてしまったんじゃ……。
今度こそ、どうしたら良いでしょう……。

「謝ってすむ問題じゃないよ!
 問題じゃないけど……、気持ち良かったからまたしようね。
 あ! でも、お股におちんちん入れるのは嫌だよ。
 それだけは約束しね、ちぃちゃん」
「は、はい! 勿論、喜んで!!」
「えへへ。ちぃちゃん大好き」

良かった。ねぇちゃんの雄恐怖症は悪化してないみたい。
それに少しは改善されたと思って良いんでしょうか?
しばらく会えませんけど、きっとすぐに会えますよね。
私もねぇちゃんの事、大好きです!



グレイシアに進化するための洞窟へと向かい数日。
やっぱり、ねぇちゃんに会えないのは寂しいですね。
ユウジさんはねぇちゃんの代わりにヨウコさんを受け取ったので、そこまで寂しくはないですけど。
洞窟自体には到着し、目的地の凍った岩まではあと少しらしいです。
寒い洞窟だけに氷タイプのポケモンが凄く多いですね。
もう少しで、私もその氷タイプの仲間入りですけど。

「ふふ。この洞窟は本当に氷タイプが多いわね。
 たまには身体を思いっきり動かすのも悪くないわ。
 炎タイプの私が居て良かったでしょ?」
「ああ、そうだな。ケイスケに受け取っといて良かった。
 性格的に雄には思えんが、戦力としてはかなり高いな。
 なんであいつがこんな強いポケモンを持ってるのか不思議だ」
「そうね。私達も何でケイスケさんのポケモンなのか、不思議に思う事があるもの。
 人柄が良いから、ポケモンに好かれやすいのよね。
 まぁ、私やトラちゃんもその一匹だけれど」

確かにケイスケさんって、なんか親しみやすい方ですもんね。
ヨウコさんの言う事、分かる気がします。
襲ってくる野生のポケモンをヨウコさんが蹴散らしていく姿は初めて会った時とはまるで別のポケモンみたいです。
真面目に戦えばそれなりって言ってましたけど、それなり以上に強いですよ。
毎回、バトルのたびに日差しが強くなるのは変わった特性ですけど。
確かグラードンと同じ特性ってヨウコさん自身が言ってましたっけ。
普通のキュウコンではありえない特性だそうですね。
アカトラさんも正義の心っていう特別な特性らしいです。
正義の心、だからあんなにヒーロー番組に詳しかったんでしょうか?
どんどん奥に進んでいくと、大きな岩がある広間へとたどり着きました。
これが、グレイシアに進化するために必要な凍った岩ですか……。

「さてと。進化させるために、ここでレベルあげないとな」
「学習装置を、ちぃちゃんに持たせるのかしら?
 それで私が野生ポケモンを倒せば良いのね?」
「いや、不思議な飴を使うから戦う必要はない。
 ケイスケにも不思議な飴を渡してあるしな。
 学習装置は高くて手に入れてない! 図鑑で精一杯だ!!
 不思議な飴はデパートの景品で手に入れたからな。
 じゃあ、これ食ってグレイシアに進化してくれ」

ヨウコさんは「……テンション下がるわ」とため息をついています。
ここまで来て、冒険の落ちがこれではテンション下がりますよね。
私はユウジさんに渡された不思議な飴を舐め始めます。
すると、身体にどんどんと力が湧いてきました。
これがレベルアップですか……。
身体が熱く、疼いてきました。これが進化!?

「グレイシアへの進化が始まるぞ!」
「私も炎の石を使った時を思い出すわ」

身体の疼きが納まると視線が高くなったようです。
進化したって事ですよね?
あんなに大きく見えたヨウコさんも今は胸元くらいでしょうか。

「これがグレイシアか……。
 どれどれ、図鑑を確認してみるか。
 グレイシア、しんせつポケモンっと。
 良し。登録されてるな。
 用事も済んだし、後は帰るだけか。
 ケイスケの方はどうなんだろな?
 ……そういや、あいつ携帯端末何にも持ってないんだっけ。
 連絡取れないじゃないか」
「まぁ、ケイスケさんって機械に弱いから。
 パソコンだって、まともに使えないのよね。
 それだから、ポケギアやポケナビ、ポケッチ、ライブキャスターは買おうとしないし。
 友達からも連絡が取りづらいって良く言われてるもの。今みたいに。
 タウンマップだって紙製のやつを使ってるのよ。
 今更そんなの使ってる若者なんてケイスケさんくらいじゃないかしら?」
「……だろうな。他に居たら驚くぞ。
 じゃあ、帰りのバトルもよろしく頼むぞ」

ユウジさんはヨウコさんの背中を軽く叩きました。
期待の言葉に「任せてちょうだい」とヨウコさんは胸を張って答える。
どうやら進化しても私は戦力としては数えられてないって事ですか?
そう考えると何か悲しいです。
私達は来た道を戻り、洞窟の入口へ向かっていきました。



進化の長旅を終えて、目の前に久しぶりの我が家が見えます。
いつもの家も進化すると小さく見えますね。
ねぇちゃんの目的地の方が遠いから会えるのはもう少し先でしょうか?
進化した、ねぇちゃんに早く会いたいです。

「久しぶりの我が家よ! 俺は帰ってきた!
 返事はないだろうが、あえて言わせてもらおう。ただいまと!!」
「お! そっちの進化も終わって帰ってきたか。お帰り」

玄関のドアを開けて大声で叫ぶユウジさん。
何故か返事が返ってきましたね。
目の前にはリビングから顔を出したケイスケの姿が……。
目的地はユウジさんよりもケイスケさんの方が遠いはずですよね?
な、何で先に帰ってきてるんでしょう……。

「そっちのグレイシアが弟の方か。
 ますます雌らしくなったんじゃないか?」
「な、なな何でお前が先に帰ってきてるんだよ!?
 ちゃんとリーフィアに進化させてきてのか!?」
「随分な言われようだな……。
 リーフィアなら、ちゃんとそこに居るじゃないかよ。
 逆に聞きたいけどお前は律義に歩いて洞窟まで行ってたのか?」

目の前には確かにリーフィアに進化したねぇちゃんの姿があります。
話を振られたことで、取りあえず前足を振ってアピールしていますね。
進化した、ねぇちゃんはとても奇麗です。
ねぇちゃんていうよりも、そう……姉様って感じです!
姉様……何だか素敵な響きで良い感じですね。
今度から、呼び方は姉様にしましょう。そうしましょう。
私が決めました。今、決めました。
律儀に歩いてって聞くって事はケイスケさんはどんな手段を使ったんでしょうか。
ユウジさんも、考えてるみたいですけど答えはまだ出そうにないです。

「ああ。素直に歩いて行ってぞ」
「だから遅かったのか。数日帰って来なかったから心配してたんだ。
 俺はアカトラに乗って、日帰りで帰って来たからな。
 流石はウインディだよ。早かったぞ」
「何てこった。確かにそうだよ……。
 ポケモン使えば早いし、楽だよな……。
 何で俺、素直に歩いて行ってたんだ?」

何ほど、確かにそれは歩くより断然早いですよね。
ユウジさんもそうすれば早く帰ってこれたんでしょうか?

「まぁ、良いや。済んだ事はしょうがない。
 じゃあ、キュウコンを渡すからリーフィアを返してくれ」
「俺のポケモンはちゃんと名前が付いてるんだぞ。
 キュウコンじゃなくて、ちゃんとヨウコと呼んでくれなきゃ。
 お前もしっかりとポケモンに名前を付けたらどうだ?」
「分かった、分かった。ちゃんと訂正すれば良いんだろ。
 俺には名前を付けるセンスがないから種族名で良いんだよ。
 ヨウコを渡すからリーフィアを返してくれ」

まぁ、ユウジさんのセンスは凄いですからね。
名前がなくて困ることも多いですけど、変な名前は流石に嫌です……。
でも、別の種族に進化したおかげで種族名でも困らなくなるでしょうか?
ユウジさんとケイスケさんは互いのポケモンを返しています。
これでケイスケさんはもう帰っちゃうらしいです。
ヨウコさん、アカトラさんとは仲良くなれたので寂しいですね。

「良し。交換終了っと。
 どれどれ。リーフィア、しんりょくポケモン。
 登録の方も無事に終了だな。
 世話になったなケイスケ。感謝してるぞ。
 やっぱり、感謝の気持ちは形にしないとな。
 そうだ! そっちのウインディにも懐いてるみたいだしリーフィアを連れて行って良いぞ!」
「いや、連れて行って良いぞって言われてもな……。
 イーブイ系は好きだから大歓迎だけど。
 それなら何でわざわざ進化させたんだよ?」
「そりゃ、勿論図鑑の為に決まってるだろ!
 イーブイは珍しいし、進化が多いから集めるのが大変なんだよ。
 これでリーフィアとグレイシアのデータは手に入ったからな。
 ついでにキュウコンのデータも手に入ったけど」

えっ!? じゃあ、ケイスケさんが連れて行くって言ったら……。
姉様と離ればなれって事ですか!? そんなの嫌です。
離ればなれになるっって言われて涙があふれて……。

「ユウジさん。私、姉様と離ればなれになるなんて嫌です!
 お願いですから、考えなおしてください。お願いですから……」
「うっ! 分かった。分かったから泣くな。
 という訳だから、ケイスケ悪いけど……」
「まぁ、それはしょうがないよな」

よ、良かった。これで姉様と一緒に居られますよね?
分かったって言って「だが断る」なんて言わないですよね?

「俺はまだ話終わってないぞ! 人の言葉をさえぎるな!
 という訳だから、ケイスケ悪いけど、リーフィアと一緒にグレイシアも連れて行ってやってくれ。
 双子一緒なら寂しい思いもしないだろうし良いだろう?」
「そっちなのか!? 悪いけどリーフィアは渡せないって方じゃないのか!?
 いや、俺はもっと得してるけど、お前は本当にそれで良いの?」
「別に良いけど。悪いと思うならウインディのデータもくれよ」

ケイスケさんは唖然としながら「それぐらいで良いなら……」とアカトラさんの入ったボールを手渡しました。
ボールからアカトラさんを出すと図鑑をかざしています。

「これでウインディのデータも入手と。
 はい、これ。リーフィアとグレイシアのボール。
 二匹とも可愛がってやってくれよな!」
「サンキュー。この二匹も名無しなんだよな?
 なら、ちゃんと名前を付けてやらないとな……」
「別に今すぐにじゃなくても良いんじゃないか?」

私達に名前……。
嬉しいような、恥ずかしいような、やっぱり嬉しいような……。

「それもそうだな。焦って考えても良い名前なんて思いつかないしな。
 二匹供、これからよろしく頼むぞ!
 あと、俺の事はケイスケさんじゃくて、ご主人様って呼んでくれよ!」
「やっぱり、そこはこだわるのか……。その呼び方、本当に好きだよな……。
 まぁ、もうお前のポケモンだから好きにしてかまわないけどさ。
 また、いつでも遊びに来いよ! 出来るなら珍しいポケモンを持って!」
「ああ!じゃあ、またな!!」

ケイスケさん……じゃないですね。
ご主人様とユウジさんはお互いに手を振って別れを告げます。
私と姉様もご主人様の後を追っていきます。

新しい姿。
新しい主人。
新しい名前。

新しい事が沢山あって、きっと楽しい事も沢山ありますよね?
どんなに辛い事があっても姉様と一緒ならきっと平気です。
そうですよね、姉様?
私が姉様の方に顔を向けたのと同時に姉様もこちらを向きました。
きっと、考えてる事は一緒ですよね?

姉様、大好きです!!

~fin~


コメント頂けると嬉しいです。




トップページ   編集 凍結 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2013-04-30 (火) 00:00:00
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.