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双眸の矛先

/双眸の矛先

Writer:&fervor
*官能小説です。そういった表現がいくつも含まれておりますので、お気をつけ下さい。
*また、この作品は多少の流血を含んでおります。駄目な人はお帰りください。


枝に付いたままの赤色の木の実が、風に揺られて吹き飛びそうになる。しかしこれは我にとっては大事な大事な食料。自らの身体の大きさを考えると、これでも足りないくらいだろうか。
かといって、取りすぎた結果次の木の実が生らなくなってしまっては困る。いくつもの場所を回ったのだが、結局今日見つかったのはこの枝を伸ばしていた木が一本だけ。
恐らくは辺りのポケモン達があらかた取り終わった後なのだろう。高いところの枝に木の実が残っているのもその証拠。上の方に見えている枝の一つを折り取って咥える。
そうして持って帰ってきたのがこの一本なのだ。生っている実はやや小振りではあるものの、十分食べられるほどに熟している。味の方はなかなか期待出来そうだが、やはり量が少ない。
オッカの実は我が最も好きな木の実だ。辛さの中にも甘みがほのかに残っているあの奥深い味わい。渋みが一切無いのも我の好みとぴったり一致している。
もちろんオッカの実だけを食べて暮らしていけるわけではないが、我は渋い物だけは本当に苦手なのだ。そんな物を食うぐらいならば、そこらの生き物を糧とする事を選ぶほどには。
幸い前に取りに行ったときの残りの分は蓄えてある。今回は蓄えを崩す他に仕方ないだろう。他の命を奪うのは最終手段だ。我とて無闇矢鱈と命を奪いたくはない。
目下の森には柔らかそうな肉をした者達がたくさんいる。それを好き好んで食らう輩もいるそうだが、我はそんな野蛮な生き物ではない。もちろん食らったことが無いわけではないが……。
オッカの実さえあれば十分満足できる上に、他の木の実でも腹は満たせる。わざわざ命を奪う必要はどこにもないというのに。そういう輩の気が知れんな。
日はもう地平線にその半分が埋もれている。橙色の光が空を染め、地を染め、森を染め、我の蒼い身体を染めている。急がなければこの寒空、直ぐにも日は落ちるだろう。
暗闇の中で飛ぶのは嫌いだ。我は闇夜を飛び回る様な種族ではないし、寒いところで長時間生きていられる種族でもない。元来ドラゴンは寒さに弱いのだから。
雪の心配はどうやらなさそうだが、この寒さはやはり耐えられそうもない。住処へ行けば集めた枯れ木に火を灯して暖を取ることができる。それまでの辛抱だ。
我が自慢の、背中の赤い翼を数回空気に叩きつける。木の実を落とさないよう細心の注意は払いつつ、出来うる限りの全速力で住処を目指す。
平坦な森が続く地形から、段々と岩が目立つ地形に。そして森の中にそびえる岩肌の山が見えてきた。ようやく住処に戻れそうだ。木の実も無事持って帰ることが出来た。
減速しながら中腹をぐるりと一周していると、急な斜面を駆け下りる不審な影が。暗い上に素早くてよく見えなかったが、一体何だろうか。岩が転げ落ちた訳ではないようだが。
そしてさらに近づけば、またもや不審な影が、今度は我の住処から飛び出して来るではないか。まさか、またこそ泥が大胆にも我の住処に盗みに入ったというのか。
前にも同じようなことがあった。その時は我も油断していたのだが。朝から晩まで住処を離れていれば狙われるのは当然のこと。いくら山の斜面とはいえども、種族によっては楽々進入できるらしい。
それからというもの、我は木の実を取りに行く時間も不定期にし、かつ素早く戻ってくるようにしていた。時にはフェイントをかけて奴らを追っ払ったこともある。
しかしその苦労も虚しく、またもや侵入を許してしまったようだ。同一犯かどうかも分からない。そもそも前回は姿さえ見ていないのだから。癪ではあるが、奴らの方が一枚上手と言ったところか。
今回も姿は見えず仕舞い。この暗闇では、追いかけても無駄だろう。……しかし、一度ならず二度までも我の住処に入り込むとは良い度胸だ。こうなれば我にも考えがある。
悪いのは向こうだ。我を怒らせたことを後悔させるためにも、一匹ほど見せしめにするのが手っ取り早いだろう。命を奪うのは気乗りしないが、今回は話が別だ。
手足の骨を噛み砕き、肉を引きちぎった姿を住処の外にでも晒しておけばきっと奴らも懲りることだろう。これからは毎日フェイントをかけてみる事にするか。
住処の入り口に滑るように降り立ち、四つの足を全て地に付ける。咥えていた枝は口元の辺りがぽっきりと折れてしまっている。どうやら気づかないうちに口にも力が入っていたらしい。
先ほどの獣の匂いがまだ窟に立ちこめている。臭い。普段はこんな事思わないが、これが我の木の実を盗んでいった奴らの匂いだと思うと吐き気がした。
匂いは奥へ行くほど濃くなっていく。空気の流れが悪いのだから当然か。一応風の通る穴は幾つか空いているのだが、今日は余り風が強くないらしい。
内部の広いスペースから、少し細い通路を通った先の木の実の貯蔵庫。期待は出来ないが、ひょっとしたら幾つか残っているかもしれない、という期待を胸にそこまで歩く。
「変わってない、な……どういうことだ」
木の実の山は大して減っていない。いや、それどころか増えている……様にも見える。まさか奴ら、我に木の実を持ってきたというのか。信じがたいことだが。
ふと木の実の山が動く。動くはずもないのだが、確かにぐらりと動いたのだ。ころころと一つ、オッカの実が転がって我の足下までやってきた。
その木の実に右前足を差しだし、鋭い爪で一突き。そのままそれを口元まで運び、爪から外して荒々しく噛み砕いた。辛い。美味い、はずだが。今はそんな気分ではなかった。
さらにもう一つ良い具合に木の実が転がってきた。今度はカゴの実だ。恐らく前回、大量に取ってきた時に混ざっていたのだろう。"かえんほうしゃ"でそれを焼き払い、炭と化したそれを踏みつぶす。
しかし、まさか逃げ遅れた奴がいるとは好都合。……ちょうど良い、腹も減ったことだし、食料としても見せしめとしても十分使えそうだ。不幸中の幸い、それもこの上ない幸運だ。
顔がにやつくのを押さえきれない。結局微笑んだまま、木の実の山へと顔を向け、笑いを堪えながら我はその獲物に向かって声をかけた。
「まさに袋の鼠だな。……出てこい、今、すぐに、な」
木の実の山が崩れる。どうやら奴ら、ご丁寧にも多少木の実を残して帰って行ったらしい。その気遣いがまた腹立たしいが、今はそんなこともどうでも良かった。
ゆっくりと、恐る恐る出てきたそのポケモン。黄土色の堅そうな身体に尻尾、顔の側面には特徴的な、鋭い刃のような牙が生えている。
若干面食らったのは我の方だった。てっきり盗賊はもっと獣らしいポケモンかと思っていたが、よもや我と同じドラゴンポケモンとは。それともこいつはたまたま一緒に行動していただけなのか。
そいつの顔は恐怖で引きつり、どうやら声も出せないらしい。我の前で立ち竦んだままだ。一方で我もどうすればいいのか分からない。ちょっと想像と違う、が。
「……お前が我の木の実を盗んだのか?」
とりあえずやることは変わらない。我の恐怖をとことんまで味わわせて、奴の反応を楽しんだ後、見せしめに殺して肉を食らう。それだけのこと。
まずは奴の命乞いをたっぷり楽しむことにした我は、目の前のオノノクスに静かに、重々しく話しかける。時折炎を吐き出すことも忘れはしない。奴にはあまり効きはしないだろうが。
「ち、違う! 俺が入ったら彼奴らが急に逃げ出して、それで、だから、俺は……ほら、こ、これ! 落ち着けって、な?」
手に持っていた木の実を差し出すそのオノノクス。差し出されたのは……フィラのみ。そうか、こいつ、まさか……そういうことなのか?
フィラのみを差し出すということは、その決意があるということ。古くからこの辺りの地で知られている、ドラゴン同士の婚姻の儀。それを知っていて出したというのか。
「お前、この辺に住んでいたのか?」
不意に質問された彼はふぬけた声をして我を見つめる。急に質問が変わったことに驚いたのか、我の様子が変わったことに驚いたのか。
「あ、ああ……そうだけど。……やっぱだめ、だよ、な」
へへへ、と軽く笑いながら後退りする彼。後ろの壁に突き当たって、へなへなと腰を曲げて座り込んでしまった。……こいつと我と、か。
初めて出会う。もちろんそれは彼も同じだろう。だが、彼は我を見て、それでもこうして番となることを申し出てきたのだ。やはりその思いに応えるべき、ではないか。
それに、こいつの顔立ちは中々のもの。我は普段考えたことも無かったが、こういうのを「かっこいい」と言うのだろうか。悪くない。いや、寧ろ上物だ。
「……それでは、もう一つ聞こう。本当に……覚悟は出来ているのか?」
彼の覚悟を確かめるべく、きっ、と彼を睨み付けると、彼は一瞬怯んだ。そのまま暫く俯いていたかと思えば、今度はなにやら決心したような様子でこくりと頷いた。
彼の話から察するに、恐らくは我を求めて入ったところでちょうど盗みを働く奴らと出くわしたのだろう。奴らはそれに驚いて逃げていったのだろうか。
こいつはこいつで驚いて、おまけに怒りの形相で帰ってくる我を見て慌てて隠れてしまった、と言ったところか。……確かに全部辻褄が合うな。
「分かった。その木の実、受けとろうではないか。お前なら悪くない。我の(つがい)として、な」
「……え?」
受け取ってもらえるとは思わなかったのだろうか。彼は訳が分からない、といった様子で呆然と座り込んでいる。我は彼が手に持ったままの木の実を口で咥えて受け取り、木の実の山とは反対側へ置く。
「さあ、我は木の実を受け取った。これで我らは夫婦だ。……もう緊張しなくてもよいぞ」
ふふふ、と微笑んでしまう。彼は何やらまだ怯えた様子で力なく笑っている。まだまだ仲睦まじい夫婦にはほど遠いが。そのうち彼も打ち解けてくれるだろうか。
しかし、まずは彼にも落ち着いて貰わねば。一緒に寝たいのは山々だが、これでは彼が寝られそうもない。幸い我の住処は広い。彼にはここで寝て貰って、我はいつもの広間で寝るとしよう。
「今日はここで寝ると良い。我は向こうで寝る。……気にするな、これからじっくりと触れ合っていこうではないか」
一応笑顔で話しかけたつもりだったのだが、彼はびくっと身体を震わせる。うーむ、雄というのは笑顔に弱いと聞いたのだが、違ったか。
どう話すべきか、何をするべきか。あれこれ思案を広げつつ我は貯蔵庫を出て広いスペースへと戻る。こちらは空気が良い。何より泥棒の匂いが薄いのが大きかった。
深呼吸を一回。色々あったが、ようやく落ち着いて寝られそうだ。……それにしても、思わぬ収穫が手に入ったな。これからの生活が楽しみだ。
明日の予定、今後の予定。そして(きた)るべき行為への期待。色々な事を頭の中に巡らせながら、我は身体を丸めて深い眠りへと落ちていった。


ふと意識が戻る。ゆっくりと瞼を開けると、ちらちらと入り込んだ光の筋が見えてきた。いつもの岩肌、冷え切った空気。目覚めは至ってすっきりしている。
ただ残念なのは、まだほんの僅かに奴らの匂いが残っていることだ。風も無いから、完全にこれが無くなるまでには暫く掛かるだろう。我慢するほかに仕方がない。
とりあえずはこの寒さを打開すべく、昨日の残り木に向かって火を吹く。弾ける音と共に赤い炎が上がり、むわっとした熱気と煙が立ち上った。
我は自然と出てきたあくびを噛み殺して、軽く間接を回して身体を伸ばす。ここまでは今までと全く同じ、何の変哲もない朝なのだが、ここから先はいつもと違う。
そろそろ彼は起きただろうか、あるいは寝ているだろうか。寝ているなら起こすべきか、ゆっくり寝て貰うべきか、一体どうすればいいのか。
なにぶんこんな事は初めてで、勝手も一切分からない。日差しの入り具合からするともう昼が近いはず。いい加減起こしてもいい、はずだ。
となれば、どう声をかけて、どういう風に起こそうか。いきなり前足で突いたらびっくりされるだろうか。かといって耳元でささやくのも驚くか。
我の頭の中に様々な考えが浮かんでは消えていく。これでもない、あれでもない。夫婦というのも難しいな。相手をよく知ることから始めなければ。
ゆっくりと昨日の部屋へ歩いて行くが、考え事の所為で足下が疎かになった所為か、やや大きな岩を蹴り飛ばしてしまった。がらがらと岩が転がってぶつかる音が洞窟中に響き渡る。
前足の痛みは気にならないが、彼を驚かせてはいないか。転がった岩がぶつかったのもあの部屋の方だ。起こしてしまったなら謝らなければ。
我は早足で昨日の貯蔵スペースへ向かう。近づく度にあの匂いが鼻を刺激する。彼はこの匂いが気にならなかっただろうか。まったく、彼には早くも迷惑ばかりかけているな。
いつもの我らしくもない、と自分で自分がおかしくて笑ってしまう。落ち着いて、出来る限り普段通りにいることにしよう。彼も気に入らなければ何かしら言ってくれるはず。
一呼吸置いて、今朝初めての彼との対面。中に入るとやはりこれでもか、と言うほどの奴らの匂いが充満している。風穴があってもこんなに残るとは、この無風が恨めしい。
しかしそれにしても、この部屋には匂いが残りすぎている気はする。もう少し穴を増やせばいいのかもしれないが、穴をあけようにも、我がこんな細い穴を、しかも光が差すように器用に開けられるはずもない。
元々空いていた穴以外の穴を開けるのは諦めた方が良さそうだ。もちろん彼の身体でも無理だろう。立ち上がった彼の身体を上から下まで改めて眺めてみても、なかなか大きい。立派ではあるが、穴開けは無理か。
彼の身体はたくましいというかかっこいいというか。我はこういう事情については余りよく分からないのだが。我の独断と偏見ではかなりの上物。こんな雄が向こうから尋ねてきてくれるとは。
恐らく我の匂いに釣られてきたのだろうが。まさか姿を見たその場で婚約を申し込まれるとは思っていなかった。こいつも臆病そうに見えてなかなか大胆なところがあるのだな。
時折笑いながら彼の身体をじっくりと観察していたら、どうやら彼に誤解されてしまったようだ。ぷるぷると震えているのは恐怖からか。婚約破棄なんてするはずもないというのに。
「大丈夫だ、我はお前を捨てたりはせん。……一生の伴侶として付き従おう」
硬い表情で首を上下に振ったのはOKの合図だろう。それにしても、まだ緊張しているのか。まったく大胆なのか小心者なのか分からない奴だな。だがそんなところも可愛げがある。
我にも母性本能、のようなものが在るらしく、こういう弱い所を見ていると世話をしてやりたくなる。身体の大きさでは、二足歩行の分彼の方が大きく見えてしまうが。
「まだ匂いが残っているな……すまない、寝苦しくなかったか?」
先ほどと全く同じ動きで首が上下に振られた。寝苦しくはなかった、ということだろうか。この匂いの中では我は寝られそうにないが、彼は平気なのか。
うらやましいものだ。と言うよりも我が単純に彼らの匂いに嫌悪感を抱いているだけだが。……ああ、また気分が悪くなってきた、木の実だけ取ってさっさと広間に戻るとしよう。
「お前も好きな木の実を数個選んで食べるといい。最も、盗られた物も多かったのだがな……」
「あ、ありがとう……」
ぼそっ、と小さな声ではあったが確かに聞こえた。ようやく彼がきちんと返事をしてくれたのは素直に嬉しい。だが、あの時の大胆さはどこに行ったというのか。雄というのはよく分からんな。
まだまだ残る距離感に若干の悲しさを覚えたが、それを表に出すのも彼に悪い。とりあえず慣れるまではなるべく離れて暮らしてみようか。もちろん我としては今にでも隣で飯、といきたいのだが。
彼を怯えさせるつもりはない。しかし彼の方はなんだかびくびくしたままだ。何か気にしていることでもあるのだろうか。だがこの心配を上手く口に出すことがどうもできない。
結局我はそのままその部屋を後にすることにした。ここまで消極的となると、寧ろ我の方から積極的に近づいてみるべきか。きっとそのうち慣れてくれるとは思うのだが……。
「あ、起こしに来てくれたんだろうけど……急に来られると驚くし、来なくても大丈夫だから、な? 匂いも気にしてないよ、ありがとう」
去り際、我が部屋から完全に出る直前、彼はやっと流暢な言葉で我に話しかけてくれた。さっきおどおどしていたのは、いきなり押しかけられてびっくりしただけだったのだろうか。
まだ眠そうな声だったということは、最初に岩をぶつけてしまったときの音で起きたのかもしれない。単に眠くて元気がなかっただけ、ということもありえる。うむ、たぶんそういうことなんだろう。
心配しなくても大丈夫、か。今まで他のポケモンと共に暮らしたことなどほとんど無い我は、どうも一緒に生活するという事に関して知識が欠けているようだ。
生まれたころはもちろん親も居たのだが、記憶のある頃にはもう巣立ちだった。ドラゴンというのはそんなもの、だと思う。きっと彼も同じだろう。
お互いに不安を抱えたままの生活だ。彼も彼なりに何か思うことはあるはず。何も考えていなかったが、婚約というのは中々難しいな。新しい生活を始める、というのも。
しかし自分だけの時に比べるとなんだか楽しい。語る相手が居る、言葉を返してくれる相手が居ることに、これほど心が浮き立つとは。やはりいいものだ。
様々なことを思い浮かべながら広間に戻り、咥えた木の実を床に降ろす。そのうちの一つをまた咥えて噛み砕く。辛さと旨みが口の中に染み渡っていくのを感じる。やはりオッカの実は格別だ。
しかしこれで最後の一つ。今日の内に木の実は取ってきた方が良さそうだ。盗まれなかった分だけでは、我と彼ならものの一日で無くなってしまうはず。明日取りに行って、無かった場合を考えると。
彼を置いて取りに行けば、恐らく誰も盗みには入れないだろう。しかし今の状況ならそもそも取りに来られたところでそんなに痛くはない。なぜなら盗る物がほとんど無いのだから。
ならばいっそのこと、彼と一緒に取りに行くというのはどうだろうか。彼の身体は大きいとはいえ、我よりは少し小さく見える。我の方が年上なのか、それとも単に我が大きいだけなのかは知るところではないが。
これなら彼を乗せて飛ぶことも出来るのではないか。重たい物を載せて運んだことも無いわけではない。一度殺めた相手を乗せて巣まで帰ったことがあるが、そいつと彼は大して大きさも変わらない。
種族が違うが、重さは見た目の大きさ通りだろう。ならばきっと余裕で飛べるはず。……うむ、やはり彼を連れて行くか。我に慣れて貰うためにも、数量を運ぶためにもちょうどいい。
「すまない、こっちに来て貰えるか?」
洞窟内に響き渡るほどの大声で彼を呼ぶ。続いて聞こえてくるのは彼の力強い足音、それが近づいてきて、さっきも対面したあの身体が岩陰から飛び出してくる。
「ど、どうしたんだ? お、俺が何か……」
「いや、これから木の実を取りに行こうと思うのだが、一緒に行こうと思ってな。さあ乗るがいい」
そのまま背を彼に向かって差し出すが、彼は困った表情で立ち尽くしている。尻尾を軽く曲げて、さあさあ、と催促をする。暫く悩んだ末に、彼も観念した様子で。
「……分かった。でも、飛べるのか? 俺、重いしやっぱり無理が……」
我の背中に跨りながら、飛べるのかどうかの心配を。だが我が雌だからと言って、舐めて貰っても困る。出口に向かって方向転換すれば、明るい外からの日差しが目に染みてくる。
前足に力を込めて地面を蹴り出す。そのまま若干の助走を付けて、岩肌の出口へと一直線。飛べなかったら転げ落ちることになるのだが、彼の手前、失敗は許されない。
そして遂に前足が宙を捕らえる。それと同時に翼を空気に打ち付けて空へと舞い上がる。首元を優しく掴んでいた彼の手に力が入って若干痛い。しかし掴むところが無い以上それは我慢するしかないか。
「ほ、ほんとに飛べた……すごいな……」
「ふふ、我を舐めて貰っては困る。お前は空は初めてか? 気持ちいいだろう?」
感嘆の声を漏らしながら、彼はどうやらあちこちを眺めているようだ。翼を持たない彼のことだ、何もかもが珍しい景色のはず。飛べると言うことにこれほど感謝したのは初めてかもしれない。
調子に乗ってさらに上空へと上がってみるが、雲が邪魔で前が見えない。……帰れなくなっては元も子もないな、今日の所は木の実を探すことに専念することにするか。
「さあ、共に木の実を探すとしよう。空から探すのは初めてだろうが、よろしく頼むぞ、えー……ああ、名前を聞いていなかったな」
そういえば忘れていたが、夫婦だというのに名前もまだ知らなかった。よくよく考えればこんな状態でよく求婚なぞしてきたものだ。それを受けた我も我だ。……ふふ、面白いものだな。
あの時確かに、何か感じるものがあったのだ。何、とは言えないが、彼で良いのではないか、いや、彼が良いのではないかという直感のようなもやもやが。俗に言う一目惚れというやつか。
「あ、俺はトゥファム、だ。えっと、……よ、よろしく」
高度を落としつつ、森が在るはずの方向に向かって旋回する。雲の中を突っ切れば、ようやくいつもの森が見えてきた。そして我が住む山も見失っては居ない。とりあえず一安心だ。
最後の方は声が上ずっていたが、彼は何を緊張しているのやら。不安は一杯だろうが、困惑することもないというのに。我と彼なら何があってもきっと乗り越えていける、はずだ。根拠はなくともそんな気がする。
「我の名はダーチェ。何を困っているのだ? 心配することもない。我とお前なら、きっと、な」
軽く笑みを零しつつ、我は森の木々すれすれまで高度を落とす。とりあえずこれで彼……トゥファムとの距離は縮まっただろうか。こうして身体を触れ合うことが出来ているのだから。
少しずつ近くなっていく彼との距離が何だか嬉しい。やっぱり我らしくないな、と思いつつ。一旦そんな煩悩を吹き飛ばしてから、改めて我は真下の木々の実を、目を凝らして探し始めた。


日が落ちかけた空を切り裂きながら滑っていく。朱と藍のグラデーションの下を、輝きの元とは反対方向へ。そこにそびえ立つのはいつもの岩山、そして左側へと逸れてから旋回し、山へ向かって突っ込んでいく。
慣れた動作だが、今日はいつもより低めに滑り込む。背に載せているトゥファムに何かあっては困るからだ。今までの調子で行って、トゥファムが顔を強打、などということになったらどんな顔をすればいいのやら。
背中から降りてきたトゥファムの顔は至って正常。とりあえずは無事なようで何よりだ。にこり、と笑いかけてみるのだがトゥファムは苦笑い、といった感じ。うーむ、笑顔はどうも勝手が分からんな。
ひょっとしたら怖い顔になってしまっているのだろうか。自分の顔を確認しようにもここには水がない。水面に自分の顔を写して、今度から笑顔の練習をしてみようか、と考えてみる。
「あ、あのさ、俺はどうすれば……これ、持ってっていいよな?」
その両手に抱えた大量の木の実。そして申し訳なさそうに話しかけてくるトゥファム。おっと、またほったらかしにしてしまったな。考え事は後にしよう。トゥファムがせっかく話しかけてきてくれたのだから。
この住処のこと、生活のこと。説明することはさっさと説明してしまおう。説明してしまえば、あとはやっていく内にきっと慣れていくはず。尤も、説明することなどそんなに多くないのだが。
「うむ。貯蔵部屋……いや、お前の部屋に置いておいてくれ。もちろん好きなときにつまんでくれても良いぞ」
わかった、と返事をして、奥の部屋に消えていくトゥファム。木の実のことはこれで良し。あとはこの岩山の周囲のことを説明すればそれで終わり、と言ったところか。それもこの辺に住んでいたならきっと直ぐ分かるはず。
やがて手ぶらで帰ってきたトゥファムは広間の隅におずおずと腰を降ろした。我が中央の枝の山にふっと火を吹きかけるとむわっとした熱気が立ち上る。少し離れるとちょうど良い温かさが心地良い。
やはりトゥファムも寒かったのか、中央の火が付いたと分かると直ぐにその近くへとやってきた。必然的に我とトゥファムとの距離も近くなる。少しずつ右に向かって近づいていってみる事にしよう。
「トゥファムはこの辺りの地理は分かるのか? 分からないなら説明するが……」
右両足を一歩分動かす。話しかけながら自然に、を意識してみるものの、最初の一歩以降が難しい。一気に近づいてはトゥファムの方から離れてしまうに違いない。気づかれないようにそっと近づくしかないのだが。
「いや、大丈夫。心配してくれてありがとな。でも大抵のことは自分で出来るし、そんなに気は遣わなくてもいいよ」
何だか嫌われているような気がして寂しくなる。いや、恐らく我が世話を焼き過ぎなのだろう。だが……やはり何か、心にすこし刺さる様な、そんな気分。そうか、と返事をしたっきり会話が止まってしまった。
何度も近づいてみようとするのだが、嫌われるのが怖くて中々近づけない。これ以上トゥファムに世話を焼いたりしたら怒られはしないか。そう考えるとどうしても身体が動かなかった。
そのまま暫く炎を見つめるだけの時間。ゆらゆらと輝く赤い光が、トゥファムの顔をオレンジ色に照らす。すっかり陽も落ちて暗闇に飲まれた窟の中、浮かび上がる顔はどこか幻想的で。。
少しの間見蕩れていると、それに気がついたトゥファムが慌てて顔を逸らしてしまった。恥ずかしがり屋だったり大胆だったりと、ともかく雄は分からないことが多いな。あるいはトゥファムだけなのか。
「……ごめん、眠いから俺、そろそろ寝るよ。ダーチェも疲れただろうし、無理せず早く寝てくれよな?」
火の側で腰を下ろしていたトゥファムが再び立ち上がり、足早に離れていく。一緒に寝て欲しい、などとと言う間も無く。ただただおやすみ、と言ってトゥファムを見送るだけで精一杯だった。
そしてトゥファムが居なくなった後の広間はだだっ広く、淋しいだけの場所に変わってしまった。今まではこんな気持ち感じたこともなかったのだが。……やっぱり物足りない。
本当は一緒に寝たいのだ。トゥファムの温もりを感じながら、隣に寄り添えたらそれだけで良い。もちろん、出来ればもっと先へと進みたいが、まずは寝ることだけでも。
いつになったら一緒に寝ることが出来るだろうか。トゥファムが我を避けているのではないか。そんな勘繰りさえ起こしてしまうほど、トゥファムは我に近づいてくれない。
何をどうすればいいのだろうか、残った炎を見つめながらじっくり考えてみる。もちろん我に可愛さなどと言うものが似合わないのは十分分かっている。だがそんなに怖いだろうか。
精一杯の優しさを見せているつもりなのだが、その積極さが裏目に出ているのだろうか。だとすればどうやって接すればトゥファムが自ら近づいてくれるようになるのか。
考えれば考えるほど深みに嵌っていくような気がして。もう考えるのはやめよう、心ではそう思うものの頭がそれに従ってくれないのだ。無心を思えば思うほど、トゥファムの顔が浮かんでくる。
いっそトゥファムの寝床に我が行けば、いやそんなことをしたらそれこそ嫌われるかも知れない、とはいえ何もしなければ何も始まらないのではないか……。
ぶんぶんと首を振って一度全てを頭から吹き飛ばす。これ以上考えても埒があかない。こう言うときは寝るに限るだろう。炎の温かさを僅かに感じられる程度の場所で我は身体を丸める。
しかしどうしてもトゥファムの顔が浮かんでくる。考えないようにすればするほど、はっきりとそこに浮かび上がるトゥファムの顔、身体、匂い、声。火の明かりに照らされるなか、トゥファムは我の目の前に立っていて。
その手が我の身体に触れて、優しく仰向けに返されて、身体と身体が近づいて。吐息も感じられるほどの距離に顔が来たかと思えば、その口元が我の口元と密着する。その身体とは違い、柔な感触がそこにはあった。
開いた口からは肉感的な舌が我の口内へと伸びてきて、余すところなく、そして容赦なく蹂躙してくる。舌がようやく離れた瞬間、息継ぎとばかりに息を吐き出す我。それを見るトゥファムの目は鋭い雄の目つき。
そのぎらぎらと燃え上がる眼は今までのトゥファムのものではない。だがそんな眼もまたそそるものがある。ふふ、我のことをそう簡単に襲えると思って貰っては困る。
雄とのそういったことに関してもそれなりに経験はある。ある時は相手が泣いて許しを請うまで搾り尽くしたものだ。……流石にやり過ぎたのか、次の日にはその雄は出て行ってしまったが。
今回はもう婚姻の儀も済ませた。トゥファムのことを気遣うべきなのかも知れないが、トゥファムもまたドラゴンなのだ、強気で行っても問題はないだろう。中々の体付きなのだから、恐らくそっちの方面も強いはず。
やはりここは遠慮せず、たっぷり楽しませて貰うことにしよう。我の技巧でその瞳が涙に濡れる……ふふ、想像するだけでもなかなか。やはり我にはこの仰向けの状態よりも攻める方が似合っているな。
トゥファムが離れたその一瞬を狙って、我は身体を再び元の状態に戻す。両足が地に着く大きな重い音。その音に驚いたトゥファムに向かって、前足を大きく突きだして飛びかかる。肩に両前足が触れて、後は勢いのまま押し倒して……。
目を開けるとそこにはいつもの岩肌。うっすらと差し込む光の具合からすればまだ早朝か。火はすっかり消えていて、残っているのは燃え残りの枝と灰だけ。くすぶる煙もいよいよ消えかかっている。
……夢、か。一体いつから寝てしまっていたのか。こんな夢など未だかつて見たことはない。どれほどそういった処理にご無沙汰でも、こんな淫夢に惑わされるなどなかったというのに。
やはりトゥファムに我は何か特別な思いを抱いてしまっているらしい。夢の中のトゥファムも、普段のトゥファムも、見ているだけで胸が締め付けられるような思い。
勝手に心の臓が鼓動を早め、我の目は彼に釘付けになって。いわゆる一目惚れとはこういうものなのか。誰かを好きになるということは、こんなにも辛いことなのか。
これほど辛いのなら、いっそ好きになんかならなければよかったと思えるほど。だが出会ってしまった。好きになってしまった。もう絶対、離れたくなど無い。
我のこの想い、彼には果たして伝わっているのだろうか。彼は我のことを、一体どこまで愛してくれているのか。愛してくれているのに、まだ近づいてさえくれないのがもどかしくて仕方がなかった。
少なくとも我を一目見て好きになってくれたはずなのだ。あのプロポーズの時のように、もう少し積極的になって欲しい、もう少し近づいてきて欲しい、もう少し触れ合ってきて欲しい。
夫婦らしきこともほとんど出来ずにこのまま時が過ぎていくのは我慢できそうにもない。我の方からもっとアプローチをかけてみることにしようか。それに応じてくれればいいのだが……。
毎日何気なく会話をして、笑い合って、時には喧嘩をしながらも、仲良く支え合って生きていく。我の思い描く夫婦とはこのようなもの。理想と現実はやはり違うということなのか?
「……仲良くなる、か。難しいものだな、他者と付き合っていくというのも」
ため息混じりの一言が、徐々に明るくなってきた窟のなかで細々と響く。今考えるのはやめだ、もう一眠りすることにしよう、心にそう言い聞かせて。我は再び、深い闇の中へと閉じこもったのだった。


咥えた枝の一つには木の実が十数個ほど。今日は運良くオッカの実が大量に見つかった。これだけあれば数日間はオッカの実が楽しめる。あの何とも言えない味が口の中に広がるのを想像しただけで楽しみだ。
しかしトゥファムはこの木の実があまり好きではないらしい。辛いのは嫌いだから、と一切手を付けようとはしていなかった。モモンの実やカイスの実は大量に食べていたところを見るとどうやら甘党のようだ。
もちろん夫婦だからと言って同じ味が好きとは限らないだろう。第一似たような好みだと喧嘩も起こりやすそうな気がしてならない。考え方を変えれば、好きな木の実を独占ということ、悪い話ではない。
とはいえやはりどこか寂しい気がする。最近はトゥファムも喋ってくれるようにはなったものの、我が近づこうとしても直ぐさまどこかへ歩いて行ってしまう。わざとなのか無意識なのかも分からない。
だがもし避けられているのだとしたら、それは我に何かしらの原因があると言うことだ。積極的にアプローチしてみたのは良いが、効果無しならばまた別の方法を考えるしかないだろう。
夕暮れの空を我は鋭く駆け抜けて住処へと急ぐ。住処ではトゥファムが盗みを働く輩が来ないよう見張ってくれている。どうも最近はトゥファムがうたた寝しているところを隙を突いて進入することがあるらしいが。
それでも気づいたら直ぐに追っ払うそうだ。おかげで木の実はあれ以来一度も盗まれてはいない。奴らの匂いだけは残ってしまうのだが、トゥファムは気にしない、と言っていたから我も気にしないことにしている。
早く帰って、トゥファムと近づける唯一の時間である食事にしよう。……そして今日こそ、今日こそはトゥファムをその気にさせたい。あれからもう何日も経った。いい加減我慢が辛いのだ。
正直我自身もう自分を抑えられなくなってきているのが分かる。寝込みを襲ってしまおうと何度考えたことか。その両手を前足でがっちりと押さえ、恐怖に戦くトゥファムの精を限界まで搾り取る。
そんな妄想が夢に出てくるのだ、やはり相当我の身体がそういう行為を欲しているらしい。一応は優しく、トゥファムを気遣って行為に及ぶつもりではいるのだが……もしかすると留められないかも知れないな。
だがトゥファムにはそんな自分を知って欲しい。嫌われたくはないが、自分の性癖を押し殺してまで楽しくもない行為に及ぶくらいならいっそのこと。そう思うのだ。
見えてきた岩山。食事の間にどうやって話を切り出そうか、どうやってトゥファムをその気にさせようか。ずっと考えていたが、やはり木の実の力に頼ることにしよう。恐らくはトゥファムもこの木の実は知らないはず。
何せかなり遠くに生えている木に生っているものだ、この近辺に住んでいただけでは絶対に知り得ないだろう。酸っぱい味ならトゥファムでも食べられる。そして食べれば我慢は出来ないだろう。
一つだけでも食べたら間違いなく抑えは効かなくなるはず。その気になってくれればあとはこっちのものだ。上手くいけばトゥファムを心ゆくまで蹂躙できるかも知れない。
咥えているもう一つの枝に五、六個生っているイアの実の匂いが既に鼻をくすぐっている。匂いだけでも少し頭がそういう気分になるのが分かる。熟したイアの実だ、やはり効果は底知れないものがある。
いつもの岩肌、いつもの穴へと降り立った我の元へと小走りで駆けてくるトゥファム。時折目を擦っているのは寝起きだからか。そして漂う匂いは我のものでもトゥファムのものでも、木の実のものでもなく。
「……また奴らが来たのか? 全く、懲りないものだな」
恐らくまた侵入してきたところで結構なバトルがあったのだろう、所々岩肌に新しい傷が見える。それで疲れてトゥファムは今まで寝ていたのだろうか。ふああ、と大きなあくびが一つ漏れている。
「ああ……おかげでそのあとよく眠れたよ……おかえり、ダーチェ」
窟の中に一歩足を踏み入れる度に、奴らの匂いが増していくのが分かる。トゥファムがいれば奴らも襲ってこないだろう、と高を括っていたのだが。どうやら奴らは想像以上にふてぶてしかったらしい。
もしもその場に我がいたなら、決して生きたまま返すことなどしないのだが。追い払うだけで済ませてしまうのはトゥファムが優しいからだろう。……優しいというより甘い、と言った方が良いか。
だがそこがトゥファムの良いところ。そんなトゥファムのことが好きなのだ、変わって欲しいとは思わない。寧ろずっとそうであって欲しい。そこもまたトゥファムらしさ、なのだから。
広間へ戻った我とトゥファム。陽はまだ完全には落ちきっていないが、もう夕食にしても良いだろう。どうせ木の実が効くまでには少し時間がかかる。今から食べれば暗くなった頃には。
「トゥファム、いくつか木の実を持ってきてくれないか? これだけじゃ足りぬだろう?」
「ああ、そうだな。適当に取ってくるよ、待っててくれ」
そう言うとトゥファムはまた小走りで奥の部屋へと戻っていく。その間に我は咥えていた枝を地面に降ろして、今度は端に寄せてある燃料の枝を中央へ運ぶ。そこに火を灯せば夕餉の準備は万端だ。
トゥファムも色々木の実を抱えて戻ってきた。我の直ぐ隣に座り込んで、目の前にごろごろと木の実を転がす。大分トゥファムも我に近づいてはくれるようになったのだが、まだ身体が触れ合う所まではいっていない。
まだまだ仲良くなる余地はありそうだ。尤も、今日でそんな欲求不満も解消するはずだが。効かない、などということはないはず。実際我も一度食べてなかなか大変な目に遭ったのだから。
あの時は我が自分で何とか処理したが、それでも効果が切れるまではどうにも我慢できないほど身体が熱かった。その後効果について話しているのを立ち聞きして以来一度も食べてはいなかったこの木の実。
「トゥファム、これも食べてみてくれ。この辺じゃ手に入らない木の実だ、取ってくるのも大変だったのだぞ」
枝ごと咥えて、トゥファムの目の前へとその木の実を持っていく。その一つをもぎ取って、恐る恐る口に近づけるトゥファム。恐らくこの辺りのポケモンなら誰もこの効果については知らないはず。
「辛くはないから心配しなくていいぞ。我も食べたことがある木の実だからな」
我の言葉に安心したのか、その一個を口の中へ丸ごと放り込んだトゥファム。噛み砕いた音も聞こえる。酸っぱい木の実だがさっぱりしていて中々おいしい……はずだ。
その枝から我も一つを前足と口とでちぎり取って、そのまま噛み砕く。既に我の方は準備万端だが、せっかく沢山あるのだ、我の方も気分を高めて損は無いだろう。お互いがより行為を楽しむためにも。
食べてみるとやはり想像通りの味。意外と口当たりがよくて、すっきりとした味わいが癖になる。だが調子に乗って食べ過ぎると後が怖い。そんなに大量に食べるのはよくないだろうな。
「なかなかおいしいな、この木の実」
枝の方を見ると既に四個ほどちぎられているらしい。一つは我が食べた。と言うことは残りの三個は……まさか。ぱっとトゥファムを見れば、恐らく三個目であろうイアの実をまたしても口の中へと放り込んでいる。
遅かったか。いや、かといって食べている最中にそれを止めるのも不自然。沢山実を付けた枝を取ってきたのが失敗だった。……三個も食べてどうなるかは流石に我でも分からない。
何しろ一個であれだったのだ。三個ともなれば我慢など到底不可能なはず。恐らくはトゥファムの方から求めてくるには違いない、が。問題はその方法なのだ。冷静に行為を求めてくるはずがない。
だが我が攻められる側に回るなど、受け入れられるはずもない。何としても我が主導権を握りたい。それが我の求める行為であり、何よりも我の意地だ。雄に蹂躙されるなど。
他の木の実を頬張りながら、我はただトゥファムの動向を伺う。いつトゥファムにその兆候が出るか、そしていつ我がトゥファムを組み敷けばいいのか。同じ時間に食べても、量が違えば効果がいつ出るかは分からない。
効果が出たかどうか、トゥファムに注意を向ける他は知る手立てがないのだ。トゥファムに多少変な目で見られている気がするが仕方ない。最初の一歩が肝心なのだ。
いつの間にか持ってきた木の実は全て無くなり、残ったのは枝に付いたイアの実だけ。だがこれを食べさせるわけにはいかない。幸いまだトゥファムには何も効果が現れていないようだ。今のうちに片付けてこよう。
「さて、この木の実は貴重だからな。あとはまた今度にするとしよう。我が置いてくるから待っていてくれ」
枝を咥えて、火の側から立ち上がってトゥファムの部屋へ。木の実の香りと奴らの匂いが一段ときつくなる。トゥファムの部屋はどうにも換気が悪いのか、奴らの匂いがなかなか消えない。
簡単には見つけられないように、イアの実だけは木の実の山の中の方へ。それも枝から外して一個一個ばらばらにして散りばめておく。トゥファムにこの木の実の効果を説明する気はまだ無い。
暫く経って、こんなものが無くてもお互いに交われるような仲になったときに、改めて説明するとしよう。それまでは秘密にしておかねば。ばれればそれまでだが、そんなことも恐らく無いはず。
隠し終えて、少し離れて改めて確認してみる。月明かりだけでは暗くて見辛いが、大体は隠せているようだ。間違って取ってきたとしても一個や二個。その時は行為に及べば良いだけのことだ。
戻ろうとして振り返ると、そこにはトゥファムの姿が。隠すのに時間が掛かってしまったからだろうか。わざわざここまで来てくれるとは、なんだかんだで我のことを思ってくれているのだろうな。
「すまないな、遅くなって……?!」
一瞬天地が分からなくなる。首を下に向けると何故か月明かりの漏れる天井が見える。そしてさらに傾けるとそこには息を荒くしたトゥファムが。油断は禁物、とあれほど思っていたというのに。
「ダーチェ、俺……我慢できそうにない。……だからせめて、いい声聞かせてくれよな?」
申し訳ない顔をしているかと思ったら、最後の最後でにんまりと笑みを浮かべるトゥファム。木の実の所為なのかは分からないが、トゥファムはどうやら完全に我を攻めて楽しむつもりらしい。
冗談じゃない、と身体を起こそうとしても、トゥファムの片足が我の胸元をしっかりと踏みつけていて動けそうにない。不味い、このままでは形勢逆転どころか、最後の最後まで我が攻め立てられる可能性さえ。
我の様子を見てくすくすと笑いながら、トゥファムの足が我の腹の筋をそっとなぞり……そして我の雌の筋を捉える。我はぎゅっと目をつぶった。声も涙も出さないように、そしてなるべく身体が震えないように。
いつ来るかも分からない逆転のチャンスを待ち続けなくてはならない。雄に行為で負けるなど、そんなことあってたまるものか。我は緊張の面持ちで、これから来るであろう快感地獄に備えることにしたのだった。


「結構綺麗だな。何回か経験あると思ってたんだけど……ひょっとして初めてなのか?」
足の爪で、優しくその入り口をつつきながら、楽しそうな表情で我の顔を見つめるその目付きは何か得体の知れない不気味さがある。その気になってくれたのは良いが、我が望んでいたのはこんなことではないのだ。
自分で言うのも何だが、攻め慣れてはいる、つもりだ。少なくともそういう経験は割とある。だが、未だかつて雄に攻められることなど無かった。経験のない、未知の世界。だからこその恐怖。
「……そんなわけ無いだろう。トゥファムこそ初めてではないのか? 我にはそう見えたのだがな」
しかしこんなところで我の不安げな顔を見せるわけにはいかない。極めて冷静な、そして強気な所を見せつけておかねば。やはり雄に負けるなど、我のプライドが許さない。
質問を質問で上手く返したものの、トゥファムは答える気は無いらしい。何度も我の雌を足でつつきながら、その様子を確認している。だがその程度では我には大して効果など。
「っ……ぁっ?!」
馬鹿な。突かれただけだというのに、こんなに身体に刺激が走るなど、今まで一度も経験したことがない。ところが今はそれだけで思わず声を上げてしまうほどの刺激が走る。そして次に訪れたのは抑えきれない興奮。
一体何故、と考える間も無く刺激が体中を駆け巡る。まだほとんど何もされていないに等しいにも関わらずこの有様だ。この状況で何かが侵入して来ようものなら、どうなるかは自然と想像が付く。
トゥファムの奥に散らばった木の実の残骸を視界が捉えて、ようやく我は自分が何をしたか思い出した。そうか、我もあの木の実を食べたのだった。それがまさか今更、こんなタイミングの悪いときに効いてくるとは。
「あれ、場数を踏んでる割には余裕無さそうだな。……ほら、自分で見てみれば分かるだろ? 俺の足、もうこんなべとべとになってる」
悪気があるのか無いのか。素でこんなことをやっているのか、それとも我を屈服させる気でいるのか、それは分からないが。……悔しいが事実だ。木の実の効果はやはりすさまじいらしい。
そしてトゥファムの方に注目してみると、その股のスリットからははち切れんばかりに怒張した肉棒が一本。今まで相手にしてきたどの雄よりも大きい……少なくとも我にはそう見える代物。
あんなものを相手にするとなると、やはりこのままでは不味い。もちろんどんな大きさだろうと負ける気は到底無いのだが、木の実の効果がそれを許してはくれない。もしもこのまま入れられてしまったら、果たして耐えられるのだろうか。
いや、耐える他に選択肢はない。耐えられなければそれは即ちトゥファムに、雄に負けを認めると言うことになる。それだけは絶対に避けたい。あってはならないことなのだ。
そんな我のギリギリの様子を見たトゥファムは、これまた意地の悪そうな笑みを浮かべて、その肉棒をいきなり我の雌へと近づけてきている。幾ら何でも早過ぎはしないか。我の方は確かに準備は出来てしまっているが。
トゥファムの方はというと、確かに木の実の効果で準備万端、とばかりに膨れあがっているものの、刺激はというとこれまでの所全くない。スタートの位置が違うのだ。これはあまりにも酷すぎやしないか。
つまりだ。明らかに今、絶頂に近いのは我の方。しかもこれから、主導権を握れるのは我の身体を好きに動かすことの出来るトゥファムの方だ。……だが、負けるわけにはいかない。負けたくはない。
「……それじゃ、準備も良いみたいだし、いきなり行くぞ? まずは一回、ダーチェがイく姿、見せて貰わないとな」
ふん、そんなことを言っていられるのも今のうち。我のテクニックで先に搾り取ってやればきっとそのまま押し倒すチャンスも巡ってくるはず。押し倒しさえしてしまえればこちらのものなのだが。
生憎今はがっしりと両後足を握られてしまっている。流石にトゥファムもドラゴンだけあって力が強い。振り解こうとはしてみるものの、全く抜け出せる様子もない。じわじわとトゥファムの身体が近づく。
「あんまり暴れないでくれよ。我慢できないから、ゆっくりってのは無理かも知れないけど、なっ!」
先端が我の入り口に触れただけで身体がびくんと震えてしまうほどの敏感さ。その震えも意に介さず、いきなりトゥファムは勢いよくそのそそり立つ雄を我の雌の中へと押し込んできたから堪ったものではない。
「っああぁぁっ! がっ……はぁっ、あぁ……ぅ」
何とか絶頂だけは免れたものの、この大きさと勢いの良さ、そして木の実の効果がまとまって襲いかかってきたその衝撃に、我は自身に似合わぬ声を上げてしまった。悲鳴とも嬌声とも取れる声が洞窟に谺する。
悔しい。雄に啼かされることなど、今まで無かったというのに、まさかこんな。だが、冷静に落ち着けるほどの柔な刺激ではない。荒い息は止まらず、下半身からは絶えず刺激が送られてきている。
我の雌はすっぽりとトゥファムのそれを包んではいる、ものの。実際の所はギリギリだ。奥までその棒が当たる感覚が、我にはよく分かる。そして何より、奥へと突き当たるのは初めての感覚でもあった。
その初めての感覚とあまりの大きさに、我の雌も驚いたのか。搾り取る動きをする事も出来ず、ただその形に合わせてぴったりと張り付いているだけの内壁。力を入れようにも、敏感な肌はそれを許してくれない。
「一時はどうなるかと思ったけど……奥まで届いたみたいでよかったよ。それじゃ、休むのはこれくらいにして……我慢しなくてもいいから、素直にイっちゃってくれよな?」
ずるり、とでも言えばいいのか。我が出した潤滑液のおかげで、適度な抵抗で肉棒は引き抜かれる。その抵抗が全て刺激に代わり、快感へと変わって、我の身体全体を襲った。
声など出してやるものか。そう思っていたのだが、悔しいことにそんな必要も無かった。声も出せない快感に、一つ息を吐き出すだけで精一杯。びくびくと震える身体は早くも悲鳴を上げている。
こんなことがずっと続くと思うと。雄にこんなにやり込められるとは思っていなかったが、正直想像以上だった。もちろんトゥファムの方も快感地獄、のはずなのだが……どうやら耐久力も並大抵では無いらしい。
今まで出会った雄の中では間違いなく最強の相手。そんな相手をその気にさせてしまったのが間違いだったのか。いや、それでも恐らく我の方が強かったはずなのだが、最初にあれだけ焦らされれば話は変わる。
要するに、我は仰向けにされて、トゥファムに主導権を握られた時点で負けたも同然だったのか。……くそ、我は何を考えているのだ。まだ負けてなどいない。ここで弱気になるなど我らしくもない。
それでも身体の方は正直で、暫くの前後運動が続けばその快感もしっかりと感じるようになってくる。声も出せない快感から、喘ぎ声を上げたくなるような快感へ。くっきりと肉棒の形まで感じられる程に敏感な我の雌。
「ふ、あぁっ、くぅっ……ぁっ、はぁ……んぁっ」
はっ、と気づけばトゥファムはにやにやとこちらを見て笑っているではないか。考えているうちに、いつの間にか口元がお留守になっていたようだ。恥ずかしさで顔から火が出そうなほど。まともにトゥファムの方は見られない。
口元を堅く結ぶ。わなわなと震えるのは悔しさの所為だ。そんな我の様子を見つつも、トゥファムは一向にこの動きをやめる気がない。しかもまだトゥファムは余裕がありそうな表情を浮かべているから堪ったものではない。
身体を震わせている様子もなければ、我の様に声を漏らすこともない。多少の先走りは出ているかも知れないが、肉棒自体も震えることはまだ無いようだ。少なくとも、我の中からはそう感じ取れる。
「どうしたんだ、悔しそうな表情しちゃって……でも俺はまだまだ余裕だしさ、諦めて快感に浸っちゃえよ」
まだ余裕、だと。やはり見た通り、トゥファムはまだまだいけるということか。一方の我のことは、何より我が一番よく分かっている。身体の震えが止められない。声が出るのを抑えきれない。限界は直ぐ近くだった。
だが、負けなど認めてやるものか。チャンスがいつ巡ってくるのかも分からない。あるいは巡ってこないままと言うことも考えられる。それでも何とかして、主導権を握り返さなければならないのだから。
それまでは絶対に負けるわけにはいかない、負けを認めることもしない。そして、限界が近いこともなるべく悟られないようにしなければ。一度心を落ち着かせて、冷静になれば少しは。
「ふん、その余裕がどこまで持つのやら。……言っておくが、この程度で我をイかそうなど、馬鹿なことを考えるのはやめた方が良いぞ?」
なるべく我の顔が恐ろしく見えるように、ニヤリと笑って返してやった。そう、我の恐ろしさをトゥファムが感じ取ってくれれば、少なからず怯みが生じる。雄が引き抜かれて、一度身体が離れたときがチャンスなのだ。
「まだまだ余裕、か。お互いそうなら、もうちょっと激しくしても……いいんだよなあ?」
にやり、と言うよりもにたり、と言う方が正しいか。不気味な笑みを浮かべるトゥファムに、思わず我の方が怯んでしまう。どこまでも意地の悪そうなその笑顔が、我を不安にさせる。
ずるり、と雄が先端少しを残して引き抜かれ、再び突き込まれるこの動き。それが段々と早くなっているような……いや、確かに早くなっている。間違いない。トゥファムはまさか、さらに激しく動くつもりなのではないか。
これは本格的に不味い。体中に快感が染み渡って、頭が段々と悦楽に染まっていく。我慢など到底出来ないほどに、感覚が鋭敏になっていく。考える、我慢する、と言ったことが馬鹿らしくなってくる。
駄目だ、ここで負けるなど。負けたくない、雄に蹂躙されるなど、我は絶対に嫌だ。嫌ではあるが、それと同時に心に浮かんだ諦めるという選択肢。このまま変な我慢をせずにいれば、トゥファムに全てを委ねてしまえば。
「ひゃあぁぁっ! うあっ、はぁっ、あ……ああんっ!」
片足を掴んでいたトゥファムの右手が離れて、我の雌の突起をくりくりと弄った、様な気がした。しかも肉棒の動きは先ほどよりもさらに早まっている。こんな快感は初めてのこと。だが、悪くは……ないな。
声を抑えるのはもう諦めた。だらしなく口元は開ききっていて、喘ぎ声と荒い声、そして涎もこぼれ落ちている気がする。尻尾も小刻みに揺れていて、身体全体ががくがくと震えているのが自分でも分かる。
悔しさからか、涙が視界を滲ませる。滲んだ視界の先に見えるトゥファムのぼんやりとした形。笑っているのだろう。乱れた我を、にたにたと笑いながら見ていると思うと、怒りがこみ上げてくる、が。
それすらも今はどうでもいいくらいに。もはや我慢などどう頑張っても出来ない。ピントの合わない、涙で覆われた視線をトゥファムに向けることさえ出来なくなって、自然と笑みがこぼれてしまって。
「いい顔じゃないか、ダーチェ。可愛いよ……さあ、遠慮せずにイっちゃえよ、な?」
身体のぶつかる速度はさらに増して、秘豆をこねくり回す手の動きも容赦はなくなってくる。頭の中が快感で一杯になって、イきたい、この快感を全部受け止めたい、そんな気持ちだけが身体を支配してしまって。
遠慮もなく声を出して、あろう事か自分でも腰を動かすような動きを見せてしまって。それでも我は自分を止められない。トゥファムにイかせて欲しい。もう限界だ、お願いだから。やめ……ないで、欲しい。
「ふああっ、やぁっ、うぁっ、あっ……あああああああああぁぁぁぁぁっ!」
今まで我慢していたものが全てはじけ飛ぶ。身体を大きく反らして、盛大に愛液をまき散らしながら、我は絶頂を迎えた。身体は小刻みに揺れたまま。我の雌はトゥファムの肉棒を逃がさないように搾り取ろうと自ら蠢く。
荒い息を吐きながら、我はようやくありつきたかったこの快感に浸っていた。何も考えられない。零れた涎を拭うことも、快感でにやけた口元を抑えることも、とろんとした目を戻すこともしようとは思えなかった。
雄に負けるだとか何だとか、今はどうでもいい。ただただこの快感の余韻を感じていたい。悦楽に溺れた我は、トゥファムがそっと肉棒を抜いたことも気にせず、その場でだらしなく放心したまま、合わない焦点をゆらゆらと動かし続けていた。


ふと脚に違和感を感じる。そのままぐいっと身体が持ち上げられて、我はようやくその違和感がトゥファムの手だと認識した。そういえば確かに、まだトゥファムとしては物足りないだろう。何せ絶頂を迎えたのは我だけなのだから。
「イったとこ直ぐで悪いけど、俺はまだイってないんだよな……もう一回、いいよな?」
未だに先ほどの快感が頭の中を回っていて、拒否する気力さえなかった。トゥファムの顔がある方向を向いて、ぼやけた輪郭をただじっと見つめているだけで精一杯。
我のその表情がトゥファムには肯定の合図に見えたのか。再び雌の入り口に、ねっとりと愛液で濡れた肉棒の先が触れる。少し触れただけでびくんと震える身体。ひくつく雌はやはりそれを求めているのだろうか。
今度は先ほどよりもゆっくりとした動きで肉棒が入ってきた。すっかり柔らかくなった秘部は、その侵入をすんなりと受け入れていく。だが、内壁をそっと撫ぜられるその快感が、何だか少し物足りない。
ようやく奥まで肉棒を銜え込んだかと思えば、今度はそれがゆっくりと引き抜かれていく。さっきの無遠慮なスピードとは大違いだが、今の我にとってはそっちの方が地獄だった。
さっきのあの、脳を揺らす様な快感ではない。じわりじわりと、身体全体がむずがゆくなる様な微弱な快感。心が拒否しても、身体はどうしてももっと激しいものを自然と求めてしまうが故に。
「もっと、はや、く……ぅん……ぁっ」
気づいたときには遅かった。違う、絶対にこんなことは嫌だ。嫌だというのに……身体は嫌がるどころか、寧ろそれを嬉しがっている。雄に攻められて、ただただ喘ぐだけのこの状態が、身体にとっては悦びと化している。
自由にならない身体をもぞもぞと動かして、必死に快感を得ようとする我を見て、トゥファムはきっと笑っているに違いない。それが悔しくて、情けなくて、我は歯をくいしばった。
「結構淫乱……なんだな。分かったよ、ダーチェがそこまで言うなら、俺も鬼じゃないからな。今度は一緒にイくとするか」
言うが早いか、いきなりトゥファムの雄が奥まで突き立てられた。悲鳴の様な短い声を上げる我。今度はトゥファムも止まることなく、腰を引いてその雄を引き抜き、また一気に沈めてきた。
先ほどイったばかりの秘所は相当敏感。地獄の様な快感の嵐に、我の思考はもうどこかへと行っていた。あるのはただ、快感を求めようとする本能だけ。喘ぐのを我慢するのも、身体を必死に留めるのも、ばからしくなって。
腰が動かせない我は、ただ身体を捩ることしかできないが。それでも不規則な動きが入ることによって、触れられていなかった箇所にも肉棒が襲ってきて、また新しい快感が生まれる。
愛液が潤滑液となって、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てながら、肉棒は先ほど我がイったときよりも速く、スムーズに引き抜かれ、突き込まれる。だらしなく垂れた尾でさえべとべとになるほど愛液が溢れているらしい。
「あっ、はっ、うぁっ、あ、あ……ひゃっ、んんっ、あうぅっ!」
頬に垂れた涎も、つり上がる口元も、もう我の心だけでは抑えきれない。本能と快感に揺り動かされて、身体が勝手に動いてしまうのだから。それはたぶん、トゥファムも同じこと。
お互いにその快感を求めて動き続ければ、当然いつかは訪れる絶頂。本能で動いているはずなのに、どうやらこの身体、頭の片隅に残った「一緒に」という言葉だけは律儀に守っているらしい。
先ほどから雌はしきりに震えているが、絶頂を迎える寸前で踏みとどまっている。我慢など出来ないはずなのに、身体が勝手に絶頂を拒んでいる。その所為でいつまで経ってもイくことが出来ない。この快感が終わらない。
「やぁっ、あぁ……とぅ、ふぁぁっ、ふっ、むっ、ぁんっ、はぅっ!」
トゥファムの名前を呼んだのはどうしてだろうか。それ以上は何も言わなかった、いや、言えなかったが。たぶんきっと、一緒にイきたい、我の本能がそう思ったのだろう。そしてトゥファムにもその気持ちが伝わったのか。
「ああっ、いいよっ……ダーチェ、俺もっ、……もうっ」
身体同士がぶつかり合う音、ねばっとした液体が擦れる音。それが一段と大きくなる。我もトゥファムも、絶頂を求めて激しく動く。そして、ひときわ大きく肉棒に突き抜かれた我は。突き込んだトゥファムは。
「ひゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「うあああっ、はっ、あ……かっ、は、ぁ……!」
呻く様な声と共に、我の中で肉棒が暴れだす。熱いものが吐き出され、広がった膣の中をあっという間に満たしていく。流石に相手もドラゴンだけあって、我の中を満たせるほどの量らしい。
やがて行き場を失った精が、肉棒と内壁の隙間を通って我とトゥファムが繋がった部分から溢れてくる。温かく、そしてねっとりとした液体が尾を伝わる感覚。それでもまだトゥファムの吐精は終わらない。
ずるり、と引き抜かれても未だにその雄からは精液が吐き出されていて。飛び散るそれが我の身体に降りかかる。独特の匂いと粘り気。腹には何本もの白濁の筋が。顔も若干濡れてしまった。
開きっぱなしの口の中へも当然それは入ってくる。当然のことながら苦いが、これがトゥファムのものなのだ、と思うとあまり嫌だとは感じなかった。寧ろ我にとってはご馳走、なのかもしれない。
長い射精が終わると、トゥファムは我をそっと地面へと降ろして距離を取る。未だにトゥファムのモノはその大きさを保ってはいるものの、流石に疲れたのか、そのまま後ろの岩壁にもたれかかって座りこんでいた。
お互いに荒い息を吐きながら、暫くその快感に酔いしれる。二度目の絶頂を甘んじて受け入れた脳が上手く働いてくれない。何を考えるわけでもなく、暫くそこに仰向けになったまま天井をぼんやりと見つめるだけ。
やがて徐々に戻ってくる思考。それはトゥファムも同じだろう。だが場数を踏んだ我の方が多少回復力でも上をいっている、のだろうか。ちらりとトゥファムの方を見やるが、まだ目はどこか遠くの方を見つめている。
思考が戻ってくるにつれて、我の心に浮かんでくるのは悔しさと怒り。雄に負けた、あろう事か欲してしまった、その情けなさに自分でも腹が立って仕方なかった。こんな屈辱を味わったのは……誰の所為だ?
もちろん我も悪かったとは思う。だが、最終的に行動に移したのは紛れもなくトゥファムの方なのだ。良い様に扱われて、思い通りに喘いでしまって、挙句の果てに淫乱呼ばわりされたことを、忘れたわけではない。
そうして改めて目の前のトゥファム……オノノクスを見つめる。未だに残るあの獣たちの匂いも奴の所為、そして我を弄くり回したのも奴だ。好きだ、という感情と同時に起こる、怒りの感情。
だが今のトゥファム相手なら、この怒りを存分にぶつけられるのではないか。その顔が恐怖で歪むくらいの仕置きは必要だろう。……残念ながら我もまだ物足りない。今度は我がトゥファムを蹂躙する番だ。
仰向けの状態から、少し勢いを付けて横に転がる。どすん、と両足を地に付ける感覚が久しぶりだ。溜まっていたトゥファムの精がぽたぽたと零れるのも気に留めず、我は一歩一歩、トゥファムの方に近づいていく。
「ああ……ダーチェ。次は口で、俺の雄をなめてくれないか? ……まだ良いことしたい、だろ?」
疲れた目では我の表情が見取れないのか。歯ぎしりを抑えながら、とりあえず笑みを浮かべてトゥファムを迎え入れる。手をついて立ち上がり、肉棒を我の方へと差し向けるトゥファム。
そのトゥファムに我は近づいていき、トゥファムの肉棒を暫く見つめる。トゥファムの顔を見れば、期待の眼差しで我を見ている。だが、ようやく我の表情がおかしいことに気づいたのか、若干その表情が揺らいだ。
「そうだな。我もまだ良いことがしたい。だが、我にした数々の淫行、忘れたわけではないだろうなっ!」
龍の力を込めた我の尾が、的確にトゥファムの腹部に命中する。至近距離で外すはずもなく、呻き声と共に直ぐ後ろの壁に叩きつけられるトゥファム。洞窟全体が多少揺れ、ぱらぱらと天井から細かな粒が降ってくる。
「貴様、よくも我を……覚悟はでき……て……」
尻尾を向けた状態から、再びトゥファムの方へ向き直る。壁にもたれかかって朦朧としている目の前のオノノクスを組み敷いて、何なら爪で多少の傷を付けてやろうか、そう思っていたのだが。
そこにもたれかかって痛みを堪えていたトゥファムは……いや、そもそもこいつはトゥファムなのか。ともかく、目の前にいたその姿は、どこかでその形を見たことがある様な、黒い身体をしたポケモンの姿。
そして頭から生えた長い毛は赤みを帯びていて、後ろの珠の様なもので束ねられている。手足の赤い爪は鋭く、そして顔はどこか獣……狐の様な風貌をしているこの姿。我は何度か見たことがあった。
そう、いつも取り逃がしていた、あの影のシルエットと一致する。そして何より、この匂いを我は忘れるはずもなく。間違いない、こいつが……こいつが我の住処を荒らしていた群れの一匹だ。


壁に寄りかかった其奴の両腕を前足の爪で引っかけて地面に引きずり下ろす。完全に地面に仰向けになったところで、我は其奴の上に覆い被さった。もちろん両腕に爪を強く押し当てておくことも忘れない。
血が滲んでいるのを其奴も感じ取ったのか、恐怖で顔が引きつっている。いい顔だ。だがその前に説明して貰わねばならないことが山ほどある。本当なら今にもその身体を炎で焼き払ってやりたいのだが。
「……全部だ。全部説明しろ」
目の前の獣を一睨みする。一応何かを話そうとしているらしいが、口だけがぱくぱく開いたり閉じたりしているだけで、全く声が出ていない。どれだけ我を苛つかせれば気が済むのだ。
そんなことを思っていると、我のイライラが若干増したことを目の前の奴もどうやら悟ったらしい。やはり誰でも死にたくはないのか、しどろもどろになりながらも声が漏れ始めた。
「……俺は、トゥファム。見たこと無いのかも知れないけど、俺はゾロアークって種族で……相手に幻影を見せる事が出来るんだ。つまり、その……」
幻影。つまり我は、居もしない、在りもしないものに恋心を抱いて居たというのか。……笑わせるな。こんな屈辱が……我は一体何だというのだ。ただの莫迦ではないか。
ギリ、と歯ぎしりをせずには居られなかった。悔しかったのだ。まるで失恋してしまったかの様な、あるいは他者に恋をぶち壊しにされてしまったかの様な、そんな悔しさだった。
「俺、ドラゴンの婚姻の儀なんて知らなかったんだ……だから、気が動転してて、とっさに掴んでた木の実を差しだして、落ち着いて貰おうとしたら……あんなことになって……。
 死ぬ覚悟もある程度は出来てたから、『覚悟』っててっきりそういうことだと思ってたら……でも、あの時本当の事言ったら、せっかく命拾いしたのが無駄になりそうだったし、それに……。
 ……それに、嬉しそうなダーチェの顔見たら、逃げるのも悪い気がしたんだ。それで、ずっとオノノクスの振りしたまま、ダーチェの側で暮らそうと思ったんだけど……やっぱばれちゃう、よな」
哀れに思われていたのだろうか。我ながら滑稽なことだ。こんな奴にまで気を遣われるとは。……その優しさの所為で、どれほど我が傷ついたか分かっているのか。
「……でも、出来れば……許して欲しい。俺だって、仲間に捨てられてるんだ、俺だけ残されて、仕方なくて……ダーチェ、お願いだ」
やはり死ぬのは怖い、か。誰でもそうだろうな。だが、許してやれるほど、我の怒りは単純なものでもない。ここまで虚仮にされたのだ、到底許せるはずなど。
せいぜい足掻くだけ足掻いて貰ってから、殺すことにするか。あっという間に楽にしてやるなどもってのほか。精神的にも肉体的にも、我が受けた苦痛よりも酷いものを味わって貰わねば。
我の受けた数々の屈辱。返すにはやはり同じ方法しか無いだろう。壊れそうな快感の地獄、次に味わうのは他でもなくこいつだ。……ただし、壊れたらその時点で我が殺してやる、がな。
「命乞いか? ……助けてやらないこともない。ただし、条件がある」
まだ上手く状況が飲み込めていない様だが、我はそれ以上何も言わない。ちらりと下の方を見れば、そこには木の実の効果で未だに大きさを保ったままの肉棒が。……幻影の立派さにはほど遠いな。
こんなもので我の責めに耐えようなど、烏滸がましいにもほどがある。……だが、せいぜい頑張って貰うことにしよう。絶望に歪むその顔も……悪くないはずだ。
「な、なあ、条件って……ぁがっ?!」
両腕から両足へと自らの前足を移動させる。そこにもしっかりと爪を立てる事は忘れない。そして片前足を離して肉棒へと近づけ、奴の腹に向かって一気に押し込んだ。
流石にこれだけ放って置いた所為か、付いていた粘液はすっかり乾いてしまっている。潤滑は悪いが、寧ろ其の方が力を込めやすくて責め甲斐がある。
体重を徐々に掛けながら、その元気な雄を引き締まった腹へと押し込めていく。当然のようにこいつは噎せ返るが、我は躊躇無く、さらに深くへと押し込んだ。
「っがぁ……はぐっ……あ……な、にを……?」
「簡単なことだ。最後まで一切気を失わなかったなら許してやろう。だが、途中で力尽きたなら……ふふ、あとは分かるだろう? せいぜい苦しんで足掻くが良い」
恐怖で歪んだ顔もなかなかそそるものがある。我ながら趣味の悪い好みだとは思うが、もがき苦しむ雄の姿は例え憎き相手のものだろうと面白いものだ。一体いつまで耐えてくれるのやら。
押し込んだ状態から、今度は上下に擦ってみる。苦しそうな声の中に、一瞬混じる少し柔らかな声。やられる、と思うとやはりそこに意識が行くのだろうか、先ほどよりも遙かに敏感だ。
一度下から上に撫で上げれば、若干白みを帯びた透明な液体がとろりとあふれ出す。まだ中に残っていた分だろうか、二度目に撫でたときは出て来なかったが。
しかし、三度、四度とそこを擦るにつれて、確かにトゥファムの様子は変わっていく。あれだけ苦しそうな表情をしていたのが、少し和らいで、どこか惚けた表情に。
喘ぎこそしないものの、確かに快感は感じている様だ。だがこの程度の快感ではただ気持ちいいだけで終わってしまう。そんなに我は甘くはない。まだまだ始まったばかりなのだから。
「さっきは図々しいことを()かしていたな? 望み通りにしてやろう。ただ……ここで果ててしまうようでは、後が辛いぞ?」
強く、早く擦っていると、いつの間にかとろとろと先走りが溢れる状態に。ピクリ、と時折震えるのは絶頂が近い証か。こんなところで限界では、先もそう長くはないはず。
そんなことを考えつつ、今度はその肉棒を丸ごと咥える。牙を立てても面白かったかも知れないが、それでは搾り取るという地獄を味わわせる事が出来ないのでやめておいた。
咥えた瞬間肉棒が反応する。肉厚な舌でその雄槍を周囲から先端に向かって、回しながら撫でていく。先端の鈴口を舌で多少こじ開ける様に動かすと、中からはまたもや新たな粘液が。
今更奴の何を舐めたところで嫌ではない。というよりも、気にしていては始まらないのだ。目の前の雄がこれから我に搾り取られる。久しく雄との情事も無かった我には、先走りの味も何だか懐かしく感じられた。
「や、めてくれ……頼む、頼むから……っ」
今にも消えそうな声で懇願してくるトゥファム。その呼び声に一度口を離して顔を見る。怯えたその顔もなかなか良い物だ。せいぜい恐怖を味わうがいいさ。それが我にした事への罰なのだから。
「何だ、さっきと言っていることが違うぞ? 遠慮はするな、吐き出したいのならそうすればいい」
意地悪く笑って見せてから、再びトゥファムの雄を咥えて、今度は先ほどよりも執拗に舌を動かす。心做しかトゥファムの吐息も早くなってきた様だ。もう肉棒は今か今かと震えている。
一度止めを刺しておくとしよう。舌の動きに加えて、一気に肉棒を吸い上げる。その一撃で遂にトゥファムの我慢も限界を迎えたのか、ひときわ大きく肉棒を震わせた後。
「うああっ……あ、はぁ……っ……!」
二度目の射精だというのにその勢いはあまり衰えた様子を見せない。やはりあの木の実の力は相当なものだ。だがいくらそんなものに頼ったところで限界はある。最後は精神力の差が重要なのだ。
もちろん我も木の実を食べた。だが一つだけでは大して持続はしない。全く興奮していないわけではないが、最初に比べれば随分と落ち着いた。これならばほぼいつも通りにやれるだろう。
口の中に吐き出された精は一応全て飲み込んでおいた。何故こんな事をしたのかは自分でも分からないが、気づいたら既に飲み込んだ後だったのだから仕方ない。案外悪くなかったのも事実だ。
一度肉棒を解放して眺めてみた。若干の精液に濡れた肉棒が、まだ力強く立ち上がっている。二回どころでは木の実は許してくれないらしい。尤も、トゥファムの精神がまだ大丈夫かどうかは分からないが。
ここで休ませてしまっては面白くない。続いて再び前足を両腕へと移動させて、我の割れ目の入り口に濡れた鈴口を宛がう。僅かな抵抗を見せるトゥファムだったが、腕を押さえる爪に力を入れるとやはり大人しくなった。
「あ……あ……」
本来ならば雌との行為は、雄にとっても待ち望んだ、楽しい物になるはずだが。今回は命が掛かっていることもあって、流石にそんなわけにはいかないらしい。もはや怖くて声も出せないのだろう。
「何を怯えているのだ? さあ……精一杯、藻掻いて、喘いで、耐えてみせろ」
楽しくて仕方がない。やはりこうやって雄を戦かせるのが我の性分に合っているのだろう。オノノクスのフリをしていた奴が、今度は戦かされるとは、何とも面白いではないか。
我の雌もそれなりの興奮でまた湿り気を帯びていた。それ故に大した抵抗もなく雄は我の中へと埋まっていく。敢えてきゅっと絞った内壁、その間を突き進む肉棒。その圧力による快感はなかなかのもの、だろう。
「うあああっ、あっ、は、あっ、あああっ、やめ、やめえっ、て……ええっ! しにっ、あがっ、たく……なああっ!」
どれほど泣き叫ぼうとも我は一切止まったりはしない。射精直後の敏感な肉棒をじわじわ、ずぶずぶと中へと押し込んでいく。やがて根元まで我の中へすっぽりと覆われてしまった。流石に奥までは届かないか。
そのあまりにも華奢な肉棒を、内壁に力を込めて圧迫する。少し弛緩させては再び絞る。上下運動はまだせず、敢えてそれだけにしておいたが、やはり敏感な肉棒には辛かったのか。
「くああっ……ああ、あっ、あ……っ」
三度目の射精は流石に力が衰えてきたのか、多少勢いがない気がする。中での出来事はあまりよく分からないが、中に当たるその感覚は若干弱々しかった。それに量も最初と比べると少ないようだ。
普通ならこの辺りで限界と言ったところか。しかしここからがお楽しみ。快感と言うよりもただの責め苦にしかならないだろうが、それが罰なのだから、悪くは思わないで欲しいところだ。
力を入れたまま、肉棒が抜ける寸前まで腰を浮かせる。先ほどまで肉棒が居たその部分を再び力を込めて引き締めてから、またそこに肉棒を差し込んでいく。くちゅ、ぐぽっ、と聞くも淫猥な音が洞窟に響いた。
「やめっ、あ、がっ、や、ぐあっ、かはっ……あああっ、やあああっ、めぇっ……ふああっ!!」
出し入れを繰り返す度に、きっちりと喘ぐその姿が、苦痛と快楽に溺れるその顔が、我の興奮を誘う。何ともいい顔だ。ふふふ……だが、許しはしない。このままでは長くもないだろうな。
肉棒が中へと入る度に若干震え、絶頂は断続的な物に。何度も何度も精液を吐き出しては外気に晒される肉棒。我にはその辛さは分からないが、恐らく相当な物なのだろう。
「……だ……ぁ……っ……ちぇ……っ」
だんだんと声も聞こえなくなってきた。両手の爪は地面を強く擦っていて、岩肌には傷が付いている。身体全体が肉棒の動きに合わせて震えるのもなかなか面白い見物だな。
絶頂と絶頂の間隔がどんどんと短くなる。精液も恐らくほぼ飛び出していないのだろう、内壁に液体が当たる感覚はもう全くない。そろそろ絞り尽くした、ということだろうか。
ふと、緊張しきっていた腕、そのぷるぷると震える動きが無くなった。全ての筋肉の力が緩んで、がくりと首を横に逸らすトゥファム。肉棒はまだ多少の大きさを残している。
しかし、腰を上下してみても、もはや何の声も聞こえない。若干の喘ぎはあるものの、それ以外の反応は一切見られない。涙をこぼしながら、目をぎゅっと瞑って、必死に耐えていたその顔のままだ。
前足で顔を小突いてみても何も言わない。秘所から肉棒を抜き、そっと離れるが、トゥファムは荒い息をしながらぐったりとそこに横たわっていて動かない。……気を失った、か。
「ふん、結局耐えられなかったか。あっけない最期だな。……我の名を呼んでも、無駄なことは分かっているだろうに。そうだ、我は……こいつを……」
喉元に爪を宛がう。そうだ、こいつに騙されていたんだ。我はトゥファムを愛した。そう、あのトゥファムが好きだったというのに。でも……あれはただの幻だった。
でも……あれはこいつそのものでもあるのではないか。姿形こそ違えど、こいつは……違う、何を考えているんだ我は。許すわけにはいかない、こいつの命を奪わねば……気が……。


僅かな岩の隙間から漏れる一筋。ふっと緩んだ瞼の隙間に入り込んだその眩しさに導かれて、ようやく我は目を開ける。差し込む光の量からすると、もう日が出てからかなりの時間が経っている様子。
辺りを見回しても、もうあの姿はない。昨日の一件もようやく片付いた。これで以前と同じ、平凡な独り身の生活が始まるのだ。我の住処にはもう、他の誰の声も聞こえない。
あれでよかったのか、と寝る前は散々苦しんだ。それでも、自分で決めたこと、今更後悔したところで遅い。奴、トゥファムはもう居ない。そう、もう居ないのだから。
「ダーチェ、起きたんだな。……お、おはよう」
声。振り返る。昨日見たままの獣の姿。其の手には木の実。何かの間違いじゃないか。ひょっとするとまだ夢の中なのだろうか。昨日の夜、確かに我はトゥファムを。
「ありがとな、ダーチェ。俺のこと、殺さないでくれて」
どうしても殺せなかった。脳裏に過ぎるのはオノノクスの姿をしたトゥファムと、その影に重なるゾロアークの姿のトゥファム。どちらもがトゥファムなのだ、そう認識してしまうと、途端にトゥファムへの殺意が消えてしまって。
迷ったあげく、我はトゥファムを逃すことにした。岩山を囲む森の中、それも他の奴らに見つかりにくい場所にトゥファムを運び、気を失ったままのトゥファムを置いてきた。はずだったのだが。
何故か今、目の前には紛れもなくトゥファムの姿がある。まさか、危険だと分かっていながら我の住処まで戻ってきたのか。それも我に復讐するでもなく、のうのうと朝食まで持って。
「何故ここにいる? 貴様は、どうして」
心が落ち着かない。その姿を見ると、どうしても動悸が激しくなる。こいつは我を騙したのだ、我の愛したあのオノノクスとは違う。そう思っているはずなのだが、どうして身体は勝手に。
認めたくなかった。目の前のその獣に、我の心が掻き乱されるなどあり得ない。違う、絶対に違う。我はまだこいつを許していないし、こいつのことを憎んでいるんだ、こいつのことが、嫌い――。
「騙したのは認める。でも、いつの間にか俺、本当にダーチェのこと……好き、になってた。それだけ伝えに来たんだ」
目の前に差し出されたのは一個のフィラのみ。よく見ると一口分囓られた跡がある、それも少し前に。これは恐らく、我が置いておいた、あの記念のフィラのみだろう。
漂う香りが我の鼻をくすぐる。その匂いの中に、あのオノノクスの匂いを感じるのは気のせいだろうか。そして、トゥファムそのものの匂いも、何故だか愛おしく感じられて。
「これ、食べちゃってくれ。残しておいたら、俺もダーチェも吹っ切れない気がするんだ」
儀式で使った木の実。確かにトゥファムの言う通り、残しておいても、あのオノノクスの姿をしたトゥファムを思い出すだけだ。そうだ、こんな物、ない方が良いに決まっている。
我は何も言わず、その木の実を口で受け取る。後は噛み砕いてしまえば終わりだ。そうだ、全部終わりだ。これで終わるのに、どうしても力が入れられない。どういうわけか、急に視界が揺らいで。
躊躇っている内に受け取った木の実は口から零れ、地面に落ちてしまった。落としたそれを拾うために顔を下へと向けると、乾いた地面に染みが一つ、二つと増えていく。
「頼む。トゥファム、我は……我は、お前と、離れたく、ない」
声が震えて上手く出せない。それ以上は喋ることも出来なくなり、整理できなくなった気持ちが涙になって溢れてくるだけ。我自身でもどうすることが出来ないまま、ただ嗚咽するばかり。
俯いて涙をこぼす我の頭に、何かがぽん、と載せられる。その温もりと、濃くなったトゥファムの匂い。このまま、離れたくはない。我は、やっぱり、トゥファムのことが。
「なあ、ダーチェ。もしよければ、あの木の実、もう一回、今度はきちんと、受け取ってくれないか? ほら、今度こそ、本当の姿でやりたいんだ、儀式」
我の涙もようやく落ち着いてきた頃。トゥファムはそっと我から離れて、先ほどの転がった木の実を拾い上げながらそんなことを言う。涙が全部を流してくれたのか、やけに素直ですっきりとした気持ちが我の中に。
意地を張るのはもうやめにしよう。我の本当の気持ちに嘘をつき続けるのも、それを否定し続けるのも馬鹿馬鹿しいこと。再び差し出された木の実をまじまじと見つめながら、これまでの事に思いを馳せる。
まだ知り合ってからそんなに経っていない。だが、暫く共に暮らす内に、我はトゥファムのその姿よりも、その内面に惹かれるようになっていたようだ。オノノクスかゾロアークか、そんなことはどうでもいいのだ。
トゥファムの方へと数歩歩み寄って、またその木の実を受け取る。実は、婚姻の儀というのは最後に我がその木の実の欠片を食して全てが終わる。最初に出会ったあの時は、あとで我が独りでそれを済ませたのだが、今度は正式に。
咥えたまま、さらに顎に力を込めて、その木の実の一部分を囓り取る。余った部分は地面へと落ち、囓り取った部分は口の中で辛みを弾けさせる。オッカのみも旨いが、このフィラのみもなかなかの物。
ようやく我の方も落ち着いたようだ。顔の方はまだ若干泣き顔かも知れないが、どうせトゥファムには全て見られているのだ、今更何を気にすることもない。
「これで全部儀式は終わりだ。トゥファム……オノノクスではなく、ゾロアークの姿のお前とも、番だ」
照れくさいのか、トゥファムはあちこちをきょろきょろと見回していて、ちっとも我と目を合わせようとしない。だが、こんな風に少し内気な方がトゥファムらしくて似合っている。
やはり今度は、このトゥファムのままで居て貰うことにしよう。あの木の実に頼るのはもう終わりだ。尤も、よくよく考えると、そう悪いものでもなかった気がするが。
「ああ、そういえばトゥファム。昨日はすまなかったな、あんなものを使ってしまって」
「あんなもの……?」
そういえばトゥファムには何も知らせていなかったな。ならいっそ、このまま知らせないことにするか。なんだかんだ、トゥファムのあの強烈な責めが忘れられない。我の性分に合わないはずなのだが、トゥファムだと不思議と許せてしまう。
今度はどちらの姿で臨んで貰うとしようか。ゾロアークというのも中々便利な種族だな。我ながら、こんな方向にばかり考えが行ってしまうのはどうかと思うが仕方ない。まだ昨日の木の実が抜けきっていないらしい。
まだ全く訳の分かっていない様子のトゥファムを横目に、我は洞窟の出口へと目を向けた。日はまだ空高くで輝いているらしい。風の音もほとんど聞こえない。絶好の飛行日和、といって良いだろう。
「さあ、出かけるぞ。我の背中に乗ってくれ」
トゥファムに顔を向け、目で出発の合図をする。トゥファムも慣れた様子で我の背中に乗り、我の首元にしがみつく。そこまではいつも通りだったのだが、やはりオノノクスの姿の時より軽く、小さく感じる。
そしてゾロアーク特有の肌の温かさが我の背中に伝わって、どうしてもトゥファムの事を意識してしまう。トゥファムは恐らく我の様子に気づいていないのだろうが、少しそういう気分の我には中々辛い。
まあいい、夜までは我慢だ。連日の疲れもあるだろうが、トゥファムにはもう一度頑張って貰うことにしよう。二日ごときで根を上げていてはこの先が大変だろう。特訓にもちょうど良い。
何も知らないトゥファムを余所に、独りそんな決心を。そしていよいよ大空に向かって飛び出していく。空を吹く微かな風に揺られつつ、トゥファムと共に、蒼く広々とした天の元を駆け抜けながら思う。
オノノクスとしてのトゥファムと、ゾロアークとしてのトゥファム。どちらの我の大切な夫だ。これからも我は、トゥファム、という存在を愛し続けていくのだろう。
トゥファムの姿は偽りでも、トゥファムのかけてくれたあの言葉は偽りではなかった。我はきっと、オノノクスの奥にいたトゥファムに見蕩れて、恋に落ちたのだ。だから、姿などどうでもいい。
ただ、夜だけはオノノクスの姿で居て欲しいものだ。別にゾロアークの姿のトゥファムに文句を言うつもりはないのだが、雌としてはやはり。誰が言ったのかは知らないが、我もつくづくそう思う。
――大きいのは良いこと、だな。



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  • こちらでは初めまして。前からこの作品は読ませて頂いておりましたが、この度初めてコメントさせて頂きました。
    元々ドラゴン好きの自分にとってはもう見逃せない作品で、毎回更新されるのを今まで密かに楽しみにしていました。ボーマンダと言うと自分の中では雄のイメージが強いのですが、雌のボーマンダもなかなか良いものですね(笑)。また彼女――ダーチェの一人称が我だったり、絶対に雄に屈しない独占欲が強い性格なども個性的で、でも世話好きと言うかお節介な面や相手が自分をどう思っているのかを気に掛けたりと、雌らしい一面も併せ持っているのが、ただ強気なだけの雌ではない感じがして、個人的にとても好きになれました。
    一方のトゥファムの方は弱気な感じですが、ダーチェが思っているようにそこが良いですよね(笑)。オノノクスを始めドラゴンタイプと言うとやはり逞しいイメージがあるのですが、草食系的な弱気な雄と言うのもまた良いものです。
    展開の方はこれから良い所と言う箇所で区切られていますが、これから二人が互いに心を開き、打ち解けられるのか。上記の良い所と合わせて今後の展開を楽しみに待っております(笑)。
    これからも焦らずマイペースで頑張ってください! 応援しております!
    ――SKYLINE 2011-05-01 (日) 12:01:13
  • >>ウルラさん
    二匹ともそれぞれ思うところはあるのです。ダーチェ視点なのでトゥファムがどう思っているのかは分かりませんけど……w
    もちろんダーチェは色々と強い仔なんですが、恋愛方面はどうやら弱いようで。トゥファムのことが大好きだからこそ色々考えちゃうんだと思います。
    奥手ではありますが今回は加速装置があったのでこんなことになりました。暴走しましたが(
    コメント返し遅れて申し訳ないです。これからも読んでいただければ幸いです。

    >>SKYLINEさん
    わざわざコメントありがとうございます。読んでもらえてるだけでもありがたいです。
    ドラゴンはいいものですよね。ボーマンダはどっちもありです、個人的には。色んな意味で。ええ。
    我、って一人称は確かにあんまり見かけてない気がします。ドラゴンなら我でも良いと思ったので今回は採用しましたが、どうだったでしょうか。
    ウルラさんへのコメントと被っちゃいますが、なんだかんだでトゥファムのことが大切なんです。一目惚れしちゃったのは寧ろダーチェの方なのかも。
    もちろん強気ではありますが、嫌われるのを恐れてついつい奥手になっちゃうダーチェ。そんな彼女が持ってきた加速装置が暴走しちゃいましたw
    とりあえず一区切りですがまだ官能シーンも続きます。これからこの二匹がどうなるのやら。書いてる自分も楽しみです。
    続きもなるべくはやく上げられるように頑張りますね。この作品も、他の作品も、どうかよろしくお願いしますー。
    ――&fervor 2011-05-16 (月) 00:07:13
  • ダーチェの過去の経験談とかも気になりますね~

    執筆頑張って下さい
    ――名無し ? 2011-05-20 (金) 23:14:55
  • >>↑の名無しさん
    過去の体験もいつか書けると良いですねえ、といってもいつになるやらw
    どうもありがとうございます、続きも頑張りますね。
    ――&fervor 2011-05-30 (月) 00:11:08
  • あれー?トゥファムさんオノノクスじゃないのか;;これは急展開ですね。常識にとらわれていては&fervorさんの小説の続きはなかなか予想できませんねー。そして相変わらずきれいな一人称の書き方で、見習いたいというか恩恵にあやかりたいくらいのきれいさ、さらさらと読めるような文章と、自然な流れがこういうふつくしい文章を形成しているんだろうなぁと思いました。変に飾ったりしないで、その人物をありのままに書き連ねる、この出来事で、こんなことが起こったとか、この先に起こることは、このことよりももう少し違うことだろうとか、そういう言葉で表すと簡単っぽそうですが、案外文字に浮かして書くと難しい文章を自然に書けるのはやっぱり&fervorさんが変に飾り立てることなく、ありのままの文字を自然に打ち出しているからこそ、こういう飾り気がなくても、見る者を惹きこませるような文章が浮き上がるんだろうなぁと思いました。そういうことができない私にはなんでできるんだろうと首をかしげたくなります;;
     散々探しまわしたポケモンが実は自分の伴侶となる人だったと知った時にダーチェはどんな心境でそのポケモンと接するのでしょうね、期待とは膨らんだ分、違うものへ相転移してしまうんだろうなぁというのが、今回のお話でわかりました。複雑ですね。自分から言った言葉は、ダーチェの性格からして取り消そうとは言いそうにありませんし、このままどのような展開に転んでも、期待や喜びの感情が何かに相転移するのでしょう。悲しみか怒りか、うーん、読んでてドキドキわくわくします。よくわからない感想になってしまいましたが、ええとですね、何が言いたいかっていいますと、続き楽しみにしています、頑張ってくださいませ、マイペースで;;orz
    ――ウロ 2011-05-30 (月) 00:43:45
  • 一度雄を引き抜いて、さらにもう一度雄を引き抜いたのですか? おかしいですね。
    まさかのイリュージョンでしたか。逆にダーチェとなぜ伴侶になろうとしたのか、気になります。そして、この後ダーチェの怒りはどうなるのか? 散々やられてソイツは恨んでいた奴だったという.....
    執筆頑張ってください。
    ――ナナシ ? 2011-05-30 (月) 10:32:01
  • トゥファムの部屋に侵入者の匂いが色濃く残っていたのは、伏線だったんですね……。
    しかしイリュージョンでそっちの方も完璧にごまかせるものなんでしょうか?
    変身する対象と性別が同じなら行為自体は何とかならなくもなさそうですが、ゾロアークとオノノクスだと結構大きさが(以下略
    住処を荒らされていたのとだまされていいようにもてあそばれてしまったので、ダーチェには二重の怒りが備わってそうです。ゾロアークはおしおきされちゃうんでしょうか。
    次も頑張ってください。応援してますー。
    ――カゲフミ 2011-05-31 (火) 22:38:55
  • >>ウロさん
    色々伏線張ったのは初めてかも知れません……上手く張れてたならいいんですが。
    一人称はそんなにきれいでしょうかねー。自分では特に自覚無かったり。寧ろ割とごちゃごちゃしちゃったかな、と。
    ボーマンダ視点なので堅苦しい文章ですが、ボーマンダらしさが自然とでていたら嬉しいです。
    騙されてたダーチェですが、果たして次はどんな行動に出るんでしょうかねえ。トゥファムは消し炭となるのか、はたまた。
    コメントどうもです、執筆スピードも上げたいところ……。

    >>ナナシさん
    指摘どうもありがとうございます。修正しておきました。
    まさかのイリュージョンです。トゥファムにはどんな事情があったんでしょうね……たぶん次で語ってくれると思うんですが。
    更新頑張りますね、コメントありがとうございました。

    >>カゲフミさん
    その通りです。割と色んなとこで伏線張っときました。ちょっとバレバレだったかな、って気もしましたが……。
    イリュージョンの効果は映画レベルの力を持ってる……なら可能かな、と。きっと大っきくごまかせるんです。其の方が夢が(ry
    実際元のモノがどういう大きさなのかは分かりませんが、やっぱり体格差準拠だと思いますw
    犯人を夫にして、しかも騙されたままずっと暮らしていたダーチェの怒りがどれほどのものなのやら。お仕置きもどんなものになるか想像が付きませんね……。
    コメントどうもでした、次は早めに投稿できるよう頑張りますね。
    ――&fervor 2011-06-01 (水) 00:40:20
  • 見事に絞り尽くされちゃいましたね。ここまでやられるってどんな気分になるんだろうか……怒った女は怖いガクブル
    最後のダーチェの想いが何なのか、トゥファムはどうなってしまうのか。
    次の更新頑張ってください。
    ――ナナシ ? 2011-06-22 (水) 09:08:00
  • >>ナナシさん
    ドラゴンを怒らせるとこうなります。ここまで来ると怖いかもしれません……気をつけましょうw
    結局こんな感じになりました。色々思うところはあるけれど、やっぱりトゥファムのことが好きだったみたいですねえ。

    コメントどうもありがとうございましたー。
    ――&fervor 2011-06-27 (月) 00:38:47
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Last-modified: 2011-06-26 (日) 00:00:00
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