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千年桜の前で

/千年桜の前で

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writter クロフクロウ

※この作品には官能シーンが含まれています。

 夕暮れを漂わす黄昏時。
 北の山から吹く風は、大地の息吹を運んで来るとも言われている。根源の源である山脈の一角に、大きな翼を羽ばたかせ一匹のポケモンが舞い降りた。
 誰もいない事を確認して、銀色に光り輝く翼を折りたたむ。海の守り神であるポケモン、ルギアが険しい山の高原に姿を現した。
 特に名前は無いが、今はルアンと親しみを込めて呼ばれている。
 降り立った目の先には、真っ白な雪が溶けかけて、大地が見え隠れしている山の高原。木々に積もった雪が少しずつ落ちて行くのを見ると、冬の時期が終わり、春に向かって少しずつ山は衣替えをしていこうという段階。海の中では感じることの出来ない、冷たい風が身を凍てつかせるも、そんな些細な事は気にはしていない。
 そんな高原の中心、ルアンが見つめる先に一本の大きな木がある。巨体である自分の丈を優に超える大木。葉は全て枯れ落ちており、枝にはまだ雪が積もっている。よく見ると、その枝先には小さなつぼみが付いている。
 これがこの地で最も長く生きている桜の木。千年桜。
 あまり詳しい事はよく分からないが、その名の通り樹齢は千年を越えているという。毎年春の季節に、たくさんの桜の花を咲かせ、風が吹けば桃色の花が舞い散る吹雪が起こる。……のだが、未だその桜という花を見た事の無いルアンは、その光景があまり想像しにくかった。
 けどルアンの目的はその歴史ある大木ではない。
 探さずも、千年桜の前に佇んでいるのを発見した。虹色のポケモン。遠目から見ても、見事な翼は陽の光に当たり七色に輝く。
「お、来た来た」
 視線が合うと、ホウオウはいつものように翼を広げ出迎えてくれた。羽根を羽ばたかせると、虹色の光がホウオウの周りを覆い尽くす。上空からの太陽の光がより輝きを際立たせ、見る者を虜にしてしまいそうな。
 ルギアである自分も、光り輝く銀色の羽根を持ち合わせているが、あのような見事な輝きを放つことはない。まだ自分がそこまで成熟していないのもあるが、銀の輝きと虹の輝きは相手に与えるインパクトは違う。少し羨ましい目でルアンはその輝きを目に焼き付けていた。
「いやあ、わざわざ西の海から御足労様。にしても本当に来るなんて、暇なのね」
「オウカから呼び出すなんて珍しいからな。それに、この程度は朝飯前だよ」
「あら、頼もしい言葉」
 翼をクチバシで覆い、少し目を細め笑う。オウカと呼ばれるホウオウは、ルアンを見てニコニコと表情を変えた。
「よーし、そんなルアンには、あたしの大事なお願い事を聞く権利をプレゼントしよう」
「元はお前がオレに頼んで来たんだがな」
 妙にテンションの高いホウオウも珍しいだろう。ルアンの目の前にいるこのポケモンに今は威厳というものを到底感じられない。
 少なくともルアンの何倍ものの時を過ごしている。まだルギアの中では若年の値に入るルアンにとって大先輩であり憧れのポケモンである。
 のだが、その思いも次期に砕かれるのは思いもしなかった。
「で、いったい何の用だ。オレを呼び出すという事は、オレにしか頼めないんだろ?」
「ああ、それは間違っちゃいないかなぁ……。実は――」
 フッと、少し暖かな風と甘いニオイが。風は千年桜の木からそよいだ。


 千年桜の前で



「すっごい発情しているからエッチの相手して」
 満面の笑みでそう言われた時には、まず落ち着こうとルアンは自分の額に翼を押し付けた。そして一つ深呼吸。混乱しそうになる頭の中を一度リセットする。
「何を言っているんだ……?」
「もう、ちゃんと聞いてよ。春の時期が近づいて、無性にふわふわした気持ちが湧き上がってんの! これはきっと雄を求めるサイン! けどほら、あたしホウオウだからそれに吊り合いそうな相手がこの辺りにいなくて……そこで若くてピチピチなルアンにお願いしているの」
 このホウオウ、この山の守り神と聞いたのだが……んん? 聞き間違いか?
 容姿端麗、優美巧妙なホウオウがそんな下品は言葉を使うはずがあるわけないじゃないか。ルアンは必死に自分に訴える。
「オウカさん……オレはあなたの言っている事がよく分かりません」
「もう~! なら無理矢理入れてやる! うりゃー!」
 と、成すすべもなくオウカに覆い被され、ホウオウの意外なパワーを侮っていたのかルアンは何も抵抗出来ずに主導権を握られてしまった。
 笑みを浮かべながら、オウカはルアンに身を寄せる。巨大な翼と翼が合わさり、互いの胸肉が密着して体温と鼓動がシンクロする。
 オウカから放つ色気がルアンを刺激する。お互い伝説のポケモンといえど、こんなにも綺麗で美しいポケモンを前に、何も感情を抱かないわけがない。
「ちょ、ちょっと待て……オウカ! いったいどういう事だ! オレを呼び出しておいて何を――!」
「この時期になるとね、どうも異性と交わりたくて仕方なくなるのよ。ここ数年は何とか我慢してきたけど、今年はルアンがいるから今までのうっぷんを晴らすには丁度いいかなぁって」
「オレはお前の性処理係じゃない! そもそもオレたちがこんなことしていいと思ってるのか!?」
 何で、とルアンの言っていることがよく分からないと。そんな顔をしている。寧ろ溢れんばかりの気持ちを押さえながら、困惑するルアンを楽しそうに見つめた。
「それは、あたしたちが守り神だから?」
 そうだ。ルギアとホウオウ。本来他のポケモンを見守り、導くための守り神。その二匹がこれから成そうとする事にルアンはまだ受け入れられない。
 ニマ、と厭らしい笑みを浮かべ、オウカはルアンの股座に顔を寄せた。
「そんな事誰が決めたの。守り様とはいえ、あたしたちは普通にこうして生きている。その証拠に、あたしはこの上なくムラムラしちゃってる。もう一秒も我慢出来ないくらいに」
 ペロリと舌なめずりをして、オウカの目の色が一層鈍く光る。その言葉の通り、すぐにでも目の前の獲物を捕らえたいとばかりに。
「あたしはルアンとキモチイイことしたいよ。それじゃあダメ? もしかしてこんなことされるの初めてだから? キンチョ―してるから? フフ……」
 ストレートな言葉にルアンの顔がほんのり赤くなる。図星だ。ルアンの妙な貞操概念は守り神という立場からもあるが、何より経験がゼロであり拒否感が拭えないでいた。
 そんな言葉も口から言えず、オウカは自分の欲を発散したいためルアンを虹色の翼でいじる。股座に雌の割れ目のように桃色になった部分を翼でなぞり、刺激を与えお目当てのモノを早く出せ言わんばかりオウカは求める。
 あまりのことで思考が追い付かない。いったい自分はどうすればいいのか。守り神として接してきたルアンは、異性との経験すらない。ただ思考が麻痺してオウカにおもちゃのように扱われる。スリットから飛び出した肉棒が出てくるのもあっという間だった。
「ウフフ……かわいい……」
 恍惚な笑みを浮かべ、オウカはルアンの肉棒に舌を寄せる。思わず声を荒げそうになるが、理性を何とか保ち喉の奥から飛び出しそうになるも耐える。
 数刻前は想像もつかなかった光景が目の前で繰り広げられている。自分の雄槍をあのオウカが厭らしく舌を使って舐めている。信じられない行為に、目の前と置かれている状況の整理がつかない。
 けどそんな矛盾を装いに、ルアンの雄槍は更に膨張していく。守り神として自分の性処理など出来る時間や場所もなく、知らず知らずに溜まっていた性欲がここで露わになろうとしている。
 オウカの舌使いも肌身で凄いと感じる。
「あっ……うあぁっ……」
 初めての感触にルアンの喘ぎ声が轟く。どこを攻められても敏感に感じ、けいれんする様子にオウカの表情も晴々としてくる。
 そしてニュル、と雄槍の全貌がオウカの前に現る。
「ちょっと舐めただけで……流石ルギア、逞しい……」
 天高くそびえる雄槍にオウカは驚きを隠せない。割れ目から飛び出し今にも襲い掛かりそうな‘海獣’がオウカに向けられる。
 炎の如く燃え盛るオウカの舌に刺激を与えられ、ビクンと震える。心の準備すらまともにしていないルアンにはまともな感覚ではない。
「守り神だって好きな事していい時もあっていいじゃない。ルアンもそうでしょう? こんなビンビンになって、雄のニオイすっごいさせて、あたしを狂わそうとしているんだから……」
 自らそうしているわけではない。だが正面切って否定できないのが、何よりももどかしかった。これ以上狂わせてどうしろというのか、もはや制御不能になったオウカに何を言っても聞かないだろう。しかしそう譲る気も無いルアンは、発情した雌の相手をしていると割り切ってしまおうとも、下衆な考えには至らなかった。
「んはぁ……すごいすごい、ルアンのもっと固くなっていってる……」
 が、体はもうオウカに授けようと身を投げている。間違いなくルアンの何倍ものの知識と経験のあるオウカが的確にルアンの雄槍を慰め続けている。何度も舌を絡め、先端から溢れこぼれ落ちる蜜を逃さず舐め、ルアンのあらゆるモノを堪能している。
 初めての刺激にルアンの限界は近い。まさか自分が異性とこうしてツガイをするなど思いもしなかったため、あらゆる行為そのものがルアンを少しずつ狂わしていく。自分の中に存在する守り神としての威厳と、わがままな醜い欲が心の中で戦っている。
 何としてもこの状況を打破しないと。必死にもがくもそんなか弱い意志はすぐに打ち砕かれる。
「ぐっ……! ああっ!」
 そんなルアンの意志とは反し、呆気なく絶頂に達した否や、雄槍から勢いよくオウカの口内に射精される。海の津波の如く、その勢いは凄まじい。いきなりの事でオウカは驚くも、口を離すことなく精を飲み込んでいる。
 けど流石に量が多かったのか、途中で口を離すと、そのままオウカの顔に精が降り注ぐ。金色のトサカから朱色の体毛まで真っ白に。
「フフ……すっごい量……相当溜まっていたのね」
 顔から流れ落ちる白濁の液を、クチバシを伝い舌で舐めとる。その姿がとてつもなく官能的で、何か胸の奥の高鳴りが求め出す。何か抱いてはいけないような感覚だが、抱かずにはいられない。
 相手がオウカでなければ翼で吹き飛ばしていたかもしれない。時間が経つにつれ、否定的な気持ちが徐々に薄れていった。
「ねぇルアン……やっぱり嫌?」
 突然オウカがルアンに問い出してくる。
「いきなりこんな事するのって、普通は嫌だよね? したくもないことをやらされるのって、すっごく不快になるし」
 厭らしい気持ちなど省いて、こうしてオウカと交わろうとすることに、まだ釈然としない気持ちはあるものの、決して嫌う要因になどならない。
「そうだな。最初は何してくれてるんだ、とお前をひっぺ返してやろうかと思った。けどそれくらい我を忘れるほどお前は欲しかったんだろう? その抑えられない気持ちを溜め込んでずっと辛かったんだろう? もういい、お前はありのままでいいんだ。ていうか、雄をその気にさせてその言葉はちっと傷つくぜ」
 一度紐を解してしまえば後戻りは出来なくなる。ルアンも求めてしまう気持ちが芽生えていた。
「よかったぁ。じゃ、遠慮なしにいいよね」
「わ、割り切りが早いな……」
「だって早く欲しくて堪らないの……。ルアンのおっきいおっきい‘海獣’を早くあたしの中で暴れさせて……」
 スッとオウカは自らの割れ目をルアンに見せる。白い体毛から粘液がトロトロと溢れ出している。もう受け入れる体制はとっくに出来ていたらしい。もしかしたら会う前にもう相当な発情をしていたのではないか。
 光り輝く虹色の羽がより艶やかさを増し、肉を求める雌の顔を存分に浮かべるも下品さはあまり感じない。本当に素直に、ルアンを欲している。
 真っ直ぐな思いはオウカの存在を一際輝かせる。ルアンはその事を思い出して、頭の中に巡っていたもやもやの霧が少しかすみ出す。
 桜の花、という名で呼ばれるホウオウ、オウカ。春の風がルアンの心中に暖かな匂いを運んできた。
「あたしがリードしてあげるからね」
 恍惚な笑みがもう眩しいくらいに。オウカはルアンの腹部に身を乗せて、そびえる槍を自らのポジションに持っていく。
「……んぐっ」
 割れ目にルアンの巨大な雄槍を当て、ゆっくりと蜜の溢れる中に入れていく。
「あっ……んくぅっ……」
「ぐっ……オウカ……」
 初めて番う雌壺の感触にルアンは小さく声を上げる。肉と肉が擦り合い、オウカのヌルヌルした雌壺をたっぷりと堪能する。
 ルアンの雄槍では、秘所の範囲を想定したら相当膣内は膨張される。だがそんな事は気にせずともオウカは受け入れる。感覚に疼いていたのか、はたまたこの程度には経験済みなのか。
「はぁっ……ああっ、ルアンの初めて……あたしが……いただきぃ……」
 クスッと笑いを浮かべ、オウカは優越感に浸る。一度しか無い経験を今自分のモノにしたことが嬉しくて満悦そうだ。悪い気はしない。
 ヌプッとオウカの雌汁に肉が弾ける。まだ半分程度しか挿入していないのに、快楽により全身の熱が沸騰しそうになる。
 雌を相手にすれば、自分では自分でいられなくなる。欲に支配され己を見失う。
 その意味が全ての神経を伝い頭の隅まで理解する。極上の雌を前に、こんなの失って当然じゃないか。
 もはや千年桜の前に横たわる、二匹の守り神などいない。そこには欲に駆られ、肉を求める愚かな獣。
 今だけは、もう何もかも忘れてしまいたい。ルアンはオウカの見つめ、目をグッと細めた。
「オ、オウカ……すまない!」
「ひっ……ああっ……!?」
 ルアンは銀色に輝く両翼でオウカを抱き締め、慣れない動きで腰を動かした。半分まで沈んでいた雄槍は一気に根元までオウカの雌壺に収まる。
 突然の事にオウカは声という声が出ず、枯れた悲痛な叫びを上げる。いきなりに奥まで挿入したため、ボコッとオウカの白い腹部は僅かに膨れ上がる。
 ルアンにとっては至福だった。ドロドロに漏れた愛液が根元まで沁み渡り、しっかりと雌の肉を味わっている。太陽の熱に包まれているかのような心地よさと、頭が吹き飛びそうになる興奮。これは一度体感してしまったら戻れないだろう。話を耳にしただけでは絶対に理解出来ない。これはある意味大罪に値する。
「すっげぇ……オウカの奥まで届いて、鼓動がすごい伝わる……。すぐに果てそうだ……」
 軽く腰を動かし、雌壺の味をより堪能しようとする。互いの腹と腹が密着し、一度離れると思いきやすぐにくっ付く。自分の雄槍がオウカによって見え隠れする光景が堪らない。
 もう戻れない。もはや守り神としてではなく、一匹の雄として。
 ――自分のモノにしたい――
 抑える理由などない感情。何者にも縛られることなく爆発させるワガママ。何度も味わいたい。
 が、更に速度を上げようとしたその時、力の緩んだ隙をつかれ、オウカに翼を掴まれてしまった。
「ひどいよぉ……ルアン……。さっきので一回イっちゃったじゃないの……おかげでもう色々大変なことになっちゃった……」
 息を荒げながら、オウカはルアンを見下しながら言う。目の色が先ほどまでとは全く違う。何かとんでもないものを目覚めさせてしまったかのような。
「いきなりぶっこんじゃう、悪い守り神様にはしっかりおしおきしないとねぇ……」
 そう言ってオウカは腰を上下させ、自分の雌壺を刺激する。ルアンの雄槍の形にフィットするようになり、もう全力で振ろうがお構いなしだ。
 本能が悟った。これは完全にオウカを嫌な方向で壊してしまったと。
「はぁんっ……! ルアンのたくまっしいのイイ……!」
 甲高い声で荒ぶるオウカの姿にルアンは胸の高まりが抑えられなかった。こんな淫らな姿、今までのオウカには想像も出来ない。
 見境なく腰を振るオウカから体がずれないよう、ギュッと大きな翼で抱き締める。互いに火照る体が密着して鼓動が強く伝わる。
「オウカ……ちょ、はげしいって……」
 もしかしたら、二度とこんな贅沢な思いは出来ないかもしれない。息が荒くなり徐々に神経が敏感になっていくルアンは、そんな思いで自らの雄槍を堪能するオウカを見つめる。
 守り神として、こんな刺激的な時間は今までにない。海の皆を守るという役目から外れ、オウカと一緒にいるこの時間が果てしなくたまらない。
「けど……オウカ……。こんなオレだけど、オレはもっと欲しい……もっとお前をくれ!」
 こんな思いを抱くだけで守り神失格かもしれない。だが嘘は吐けない。ルアンは良い意味で自分の正直だ。
「はぁ、はぁ、はぁ……ルアンがすごいあたしを感じてくれてる……はぁっん……うれしい……」
 炎がとろけるような眼差しでオウカは妖艶に微笑んだ。一つ一つの仕草がルアンの心を熱く溶けさせる。
 海の中では感じることの無い熱き炎の心。燃え盛る魂がルアンの中で一つ滾る。
 何度も何度も互いの性器を刺激させ、お互いの欲を満たしていく中で、オウカは更にギアを一つ上げる。
 無限の欲は、何もかも忘れさせる。ルアンはそろそろ限界が近い。
「オ、オウカ……そろそろ……」
「はぁ、はぁっ! きて……あたしの中でいっぱい……!」
 その行為そのものに何の抵抗も抱かなかった。溜まった欲を盛大に発散させたくて仕方ない。
「うっ、オウカ……もう……だす……!」
「あたしも……! あたしもまたイっちゃ――ッ!」
 声にならない声を上げ、ルアンはドビュッ、とオウカの雌壺に精を吐き出す。自らでも分かるくらいに熱く、たっぷりと放たれる射精感にルアンの頭の中は真っ白になる。同時にオウカも絶頂に達しトロッとした液がルアンの腹部を汚す。
 膣内に放出された白濁の液の勢いは留まらず、何度も吐き出され結合部から溢れ出す。波打つ度に、ドクドクと溢れるルアンの精。流石伝説のポケモンというだけあるのか、はたまたルアンがただ自らの性欲の強さに自覚が無いのか、予想以上の注ぎ具合にオウカは恍惚の表情を浮かべる。たっぷりと満たされた感覚に満足したのだろうか。
 けど今のルアンにパートナーの気持ちを分かち合うほど余力が無かった。何せこれが初めてのツガイ。あまりの刺激にルアンの理性が全く戻って来ていない。
「ああっ……ルアンのでお腹の中がすごいことになってる……」
 翼で自らの腹部を撫で、オウカはニッと笑みを浮かべた。溢れんばかりの精子を注いでくれたオウカの白い腹部は、少し膨れ上がっている。
「フフ……初めてなんでしょルアン。なのにこんなにたっぷり注いじゃって……やっぱりルアンはすごいなぁ……」
 オウカ自身もこれほど出すとは予想もしなかったのか、驚きに満ちた目で息を荒げるルアンを見つめた。
 見下ろすオウカをバックにそびえる千年桜の木がより大きく見える。何百年も生きているこの組み合わせの前で、何て破廉恥な事をしているのだろう。
 だが、ルアンはまだまだ足りていない。きっとオウカも一ミリも満足していないだろう。
「まだ終わりじゃない……よな」
「フフ……ルアンの目、すっごいギラギラしてる。あたしもまだまだ満たされてないよ」
 ギラギラしているのはオウカもそうだ。お互いの本音だろうが、本意の言葉ではないだろう。快感に支配された二匹の守り神の堕ちた言葉だ。
 けど、今は満たしたくて仕方ない。個の感情が支配した心に逆らう術がない。
 一度理性の紐が解かれれば、ルギアの本性が暴走する。荒くれる嵐の如く、力を支配する海の守り神は最高に醜い姿をお披露目しようとした。
「また孕むまで注いでやる」
 自分がこんな言葉を発するなどきっと後に後悔するだろう。だが、そんな言葉を発してもオウカは真っ赤な瞳の色を全く変えず、嬉しそうに笑った。
 銀色の翼でオウカの体を大木に押し付ける。今度はルアンがオウカを上から見る体制だが、表情は依然とオウカの余裕ぶりが少し恨めしい。
 二度の射精にも関わらず、太さも固さも全く衰えていない雄槍を、今度は自らが雌壺に挿入する。ドロリとした雌壁に先端を入れると、ルアンは小さな声で快感の声を漏らした。
「力抜けよ」
「それはルアンがね」
「その言葉が聞きたかった」
 相手に入れられるのと、自分から入れるのとではまた感触が違う。オウカの雌壺の温かさが身に染みて分かる。一度経験してなお、また新しく感じる事に妙々たる思いが込み上がる。
「ルアンがどんなテクニックで、あたしを悶絶させるのか楽しみにしてるよ」
「文字通りプレッシャーをかけるな」
 それはオウカも同じだろう。全力でルアンの事を受け止めようとしている。満たされたくて仕方ないのだろう。
先ほど射精したばかりの精がヌルッと感じるのも何だか気持ち良くなる。もう感じる事全てが愛おしくて、快感で。
「オレ、もうオウカとしか交えられないかもな……」
グッと再び腰を突き刺した。太く煮えたぎる雄槍はまたオウカの奥へ。
「はぁっ、ああっ! これ……くせになりそう……ひゃっ!」
 力強いルアンの動きがオウカを刺激させる。淫口からグチュ、グチュ、と液と液が混じる音が漏れ、無音の環境下にその音はよりこだまする。どんな声を上げようが、音を立てようが、見ているのは開花を間近に迫った千年桜だけ。果たして木に宿る神様はどんな思いで自分たちの行為を見ているのだろうか。
 自ら腰を動かすとまた違う快感を覚える。ルギアの光沢のある体とホウオウの体毛で覆われた肌を肌が触れ合い、お互いそばにいるのだな、と実感させられる。
「はぁっ、はぁっ……そんなにオレのモノにハマったのか。想像以上に淫乱だな、オウカは……!」
「んんっ! だ、だって……ルアンのすっごい気持ちよくて……強くて……色々すごくて……ひゃああっ!」
 オウカの喘ぐ声が直に伝わる。こんな艶めかしい声だったのかと、自分の事で精一杯だったルアンは先ほどの行為から色々と後悔しっぱなしである。
「エロい声出すよなお前……守り神とは思えないな」
「き、気持ちいいのは仕方ないじゃない……自分に嘘は吐きたくないの」
 その言葉にルアンの目が見開いた。そうだ、オウカはいつだって自分に正直だ。自分の気持ちに向き合い、自分をよく理解している。ルアンはオウカを見つめたまま口をゆっくりと吊り上げた。
「それは……オレも同じだ! オウカ、もっとお前を喰らうぞ!」
 気持ちの高ぶりが最高潮に達し、またオウカを翼で抱き締め力強く腰を振った。甲高いお互いの喘ぎ声は夕暮れの空にこだまして貪る。堪らなく最高で、まだまだ訪れたくない絶頂の瞬間。求めても求め足りない欲は、上り詰めることなく散ってしまう。
「あっ、ひゃっ、ひゃあっ、は、はげし、ルアン、ルアンンン……!」
 パン、パンと音を上げ、雄槍の進撃は止まらない。オウカも感極まりルアンを抱き締め返す。温かく、燃え上がる思いを受け止め、オウカを喰らう。
「奥に突けば突くほどイイ声だ……」
 力強いルアンの動きはもはや止める術もない。舌を出し、ルアンは呼吸すらもう意識しないでいる。
「ル、ルアン……あふっ、もうあたし……」
 力強くルアンを翼で抱き締め、もうオウカの限界が近い。それはルアンも同じタイミングだった。
「イ、イく、最高だオウカ……もうが我慢できない……ぐぅっ!」
 ルアンは最後の一振りに力を込めた。迷うことなく再びの射精を蜜壺に注ぐ。幾度なく快感を求め合った二匹は甲高い声を上げ、山の高原にこだまする。とても猟奇的で感情を爆発させた声は山中に大きく唸りを上げて轟く。
「はぁっ……す、すごい……ルアンのあっついのがすごすぎる……」
 何度射精しても衰えることの無いルアンの精は、あっという間にまた雌壺を満たし、すでに一度精を注いでいるからか、膣外に溢れる量も半端なかった。何度も射精する度にドクドクと溢れ、互いの心を満たしていく。
 ようやく射精が終わり、少し萎えかかった雄槍を引き抜くと、さらに大量の精が溢れる。互いの性器から白濁の液がたっぷりと流れ落ち、二匹の足下は白い水たまりが出来ていく。
 息を整え、ルアンとオウカは余韻に浸りながら互いを見つめる。その眼差しは言葉では言い表せないほどに恍惚感に満ちており、一つ息を荒げる度に胸が高まる。
 絶頂に達した直後では呂律が回らず、言葉を交わす事が出来なかった。しかしそれはオウカも同じで息も荒れているのに、その目はまだまだ燃え盛っている。
「……まだやれるよね?」
 やればやるほどその欲は倍増していく。すっかりルアンにハマってしまったのか、射精して萎えていく雄槍を翼で抜きながら欲求するオウカに遠慮は無い。
「当たり前だ」
 けど、それはルアンも同じだった。まだ精を注ぐほど溜まっているのか分からないが、心がオウカを求めてしまって制御出来ない。目の前に出された食事を完食しないと気が済まなくなってしまった。
 ふと冷静になってこれまでの状況を思い返していた。元はそうだ、オウカが発情してとにかく発散させたいから相手になってくれと頼まれたから。
 それが自分の欲を煽り、もう自分も酔い痴れてしまった。
 けど目的は忘れていない。ただ欲を発散するだけ。それでも――
「次はいくら注いでくれるのかな? フフ……」
 お互いに求め合う心が存在することは、絶対に否定できない。この千年桜の前で、ルアンは一足早いある意味の春を満喫した。



後書き

やらかしました。
一万字という制限をすっかり見逃していました。おかげで題名と概要が破綻してしまい……官能しかなくなりましたが……もう結果オーライということで!

五票の投票をしてくださった皆様、本当にありがとうございます! お粗末様でした!
久しぶりの大会の参加だったので、こういうお話が書けてとても楽しかったです。ルギアとホウオウという二匹の伝説の組み合わせながらも、そんな雰囲気をまったく感じさせないよう、とにかく官能には意識しました。

改めて、管理人さんであるrootさん、主催をしてくださった水のミドリさんには心から感謝いたします!

クロフクロウ

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 第二位おめでとうございます。やっぱ皆さん官能お好きですねえ。
    オウカちゃんのぶっ飛んだ一言で潔いなあと感じましたが、でもそれでいいんだと思います(
    官能に全部振り切ったおかげでじっくりねっとりたっぷりばっちりとそれはもう読ませていただきましたとも。
    個人的にもルギアのはきっとすごいと思ってるのでイメージぴったりでした。ナニがとは言いませんが。
    今回はご参加どうもありがとうございました! -- root ?
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Last-modified: 2017-03-14 (火) 23:08:41
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