桜花
僕らの愛情物語 3 騎士の学び舎
作・桜花
前話のあらすじ
クロノア騎士団に入る事にしたユウナは、ライト達に連れられて、ジアースという街に連れられてきた。クロノア騎士団の兵舎までやって来た時、残りの騎士団のメンバー・ブースターのリエンとイーブイのイムルと出会った。その後制服を支給され、会議室という所で椅子を出した。
その夜、ユウナは眠れず、同じく眠れなかったライトと共に散歩をし、夜の草原で、2人は愛の誓いをし、そして一線を越えた・・・その後2人はジアースに戻り、兵舎のライトの部屋で、ライトとユウナは眠った。
※ ※
「・・・う、う~ん・・・」
朝日を顔に浴びて、ユウナは目を覚ました。
『・・・そうか・・・・僕・・・騎士団に入ったんだっけ・・・その夜にライトとヤッて・・・戻った後、ライトの部屋で一緒に寝たんだっけ・・・・』
と、ユウナは、昨日の事を思い出した。その時、一緒に寝ていたはずのライトが居ない事に気がついた。ユウナは起き上がって、部屋周りを見回すと、洋服ダンスの前に、ライトが立っているのが見えた。しかしその服装は、パジャマでもクロノア騎士団の制服ではなく、青色のネクタイをし、青色のブレザーを着て、青色のズボンを履いた服装であった。
「あっ! ユウナ! 起きたんだ!」
「うん。今ね・・・ところでライト、その服装はどうしたの?」
「これ? これは学校の制服だよ!」
「えっ!? ライト、学校に行ってるの?」
「僕だけじゃなく、他の皆も行ってるよ!」
「そうなんだ・・・」
「まあ学校っていっても、普通の高校と兵士養成学校を足して2で割った様な学校だけどね・・・良かったら、ユウナも通う?」
「えっ? 僕はどうしよっかな・・・・・ライトが通っているなら、いいかな♪」
「決まり♪ じゃあ学校に行ったら、先生に話しておくね♪」
と言うとライトは、棚から分厚いファイルと長方形の小さな木箱を取り出した。
「ユウナ! その木箱を開けてみて!」
「?・・・うん」
ライトに言われ、ユウナは木箱の蓋を開けてみた。すると中身は、ライトや他の皆が着けている、レリーフ付きのバンダナが入っていた。しかもレリーフの絵柄は、太陽のマークであった。
「それは、騎士団の証の額当てなんだ! 本当は証は、一つの騎士団に一つのマークだけど、僕らの騎士団は、そのポケモンのタイプのマークにしてあるんだ。それで僕のマークは、月だから、ユウナのマークは、太陽にしたんだ♪」
と、ライトは笑顔で言った。
「着けていいかな?」
「うん♪ いいよ♪」
ライトに着用の許可をもらい、ライトは木箱から額当てを取り出した。一瞬、何処に着けようか悩んだが、ユウナはライトの額当ての着用場所と同じ、首周りを選んだ。
「・・・どうかな?」
若干照れながら、ユウナはライトに聞いた。
「うん似合ってるよ! うれしいな♪ 僕と同じ所に巻いてくれたんだね♪」
「だって僕達・・・恋人同士じゃないか♪」
と、何気なくユウナは言ったが、その途端ライトの顔は赤くなった。
「じゃ、じゃあ僕は、学校に行くね! あとそのファイルには、騎士団のプロフィールが載ってるから! じゃあ、行ってくるね!」
と言って、ライトは通学鞄と日本刀を持ち、大慌てで部屋を出た。
「・・・何もあんなに、照れなくてもいいのに・・・」
と、薄っすら笑みを浮かべながら、ユウナは呟いた。
※ ※
あの後ユウナは自室に戻り、騎士団の制服に着替えた。そしてファイルを持って、会議室に行き、自分の椅子・アンティーク・チェアに腰掛けた。
「さてと・・・このファイルを見ますか!」
と、やたらデカイ独り言を言い、ファイルを開いた。ファイルの最初に表記されていたのは、イーブイのイムルであった。表記されている内容は、名前・生年月日・趣味・担当等。それに家族構成が書かれていた。
「イムルは・・・ええっ!? 父親が大手企業の社長!?」
イムルの家族構成の、父親の職業欄の所には、『企業の社長』と書かれていた。
『ふむふむ・・・それに双子の弟がいるのか・・・趣味はゲームか・・・今時の子らしい・・・』
ユウナはページを捲り、次の人物を見た。次はブースターのリエンであった。
『リエンとマーリンの父さんは、作家か・・・そういえば、トリト=ホムラって作家がいたな・・・それってこの2人の父親かな?』
と考えながら、リエンの趣味の所を見た。
『趣味はパソコンと・・・次のは読めないな・・・』
趣味・パソコンの次は、何故か消されていて、読む事が出来なかった。ユウナは仕方なく、次のページを捲った。次のページは、サンダースのギルムであった。
『コイツか・・・コイツはいいや!』
ユウナはギルムのページを見ず、次のページを捲った。
『次は・・・マーリンか・・・』
その次はマーリンであった。
『双子姉妹なのに、趣味とか全然違うな・・・こっちは水泳か・・・』
と、思いながらも、次のページを捲った。次はリンフであった。
「この娘は・・・!・・・・」
ユウナは、リンフの家族構成を見て、言葉を失った。それはリンフの両親の所が、『故人』になっていたからだ。
「・・・あの子・・・弟と2人で頑張ってるのか・・・・いいや2人じゃないか! 僕を含めた皆がいる!」
そう思いながら、次のページを捲った。次はフリムだった。ユウナはフリムの顔写真を見て思った。
『・・・説明しなきゃ、絶対女の子だと思うな・・・』
そう思いながらも、趣味の欄を見た。
『趣味は・・・姉様とお遊び???』
趣味の欄にそう書かれており、ユウナは疑問に思った。
『じゃれ合いでもするのか?』
そんな疑問を持ちながらも、最後のページを捲った。
『あっ! ライトだ♪』
最後のページは、最愛のライトであった。ユウナはライトの項目を見た。すると驚くべき事が書かれていた。
『!・・・・ええっ!? ライト・・・この騎士団のリーダーなんだ・・・』
何とライトは、クロノア騎士団のリーダーだった。さらに・・・
『ライトの父親は・・・・ジアース騎士団の団長!?』
ライトの家族構成の父親の職業の所には、『ジアース騎士団・団長』と書かれていた。
「・・・もしかしてライトって・・・凄い大金持ち?」
と、呆気に取られた口調で、ユウナは独り言を呟いた。そしてファイルを閉じようとした時、ある事に気付いた。
「!・・・ライトの母さん・・・・亡くなっているんだ・・・」
ライトの母親の所には、名前と『故人』と書かれていた。
「! ライトの母さん・・・レスカっていうんだ・・・」
と、謎の独り言を呟きながら、ユウナはファイルを閉じた。
※ ※
ユウナは兵舎内の構造を把握する為、兵舎内を歩いていた。すると一つの部屋を見つけ、その部屋に入った。部屋の中は広く、部屋の隅の方にピアノが一台あるだけで、それ以外は何も無かった。ユウナはピアノに近づき、ピアノの鍵盤を開き、ピアノの椅子に座り、徐に曲を弾き始めた。曲名は『さらばピアノよ』であった・・・。
※ ※
一方その頃、兵舎入口に近づいている、黒い者がいた。それはライトであった。ライトはある用事の為、一旦兵舎に戻ってきたのだ。ライトは兵舎の中に入った。その時・・・
「!・・・・・ピアノ?・・・」
ライトの耳に、ピアノの音色が聞こえてきた。
「ユウナが・・・弾いてるの?」
兵舎にいる人物は、自分とユウナしかいないと確信し、ライトはピアノの音色が聴こえる方へ向かった。そしてその音色が聴こえる部屋に行くと、案の定そこには、ピアノを弾いているユウナが居た。しかも目を閉じて、ピアノを弾くことに集中している為、ライトの存在には気がついていなかった。ライトは暫し、その音色をうっとりしながら聴いていた。やがて曲は終わり、ライトは拍手をした。それにより、ユウナはライトの存在に気がついた。
「ユウナ♪ 良かったよ♪」
「ラ、ライト・・・いつからそこに!? 学校は!?」
ライトが居た事に、ユウナは相当驚いた様だ。
「ちょっと用事でね・・・ユウナ、ピアノ上手なんだ」
「ち、小さい時に、少し習っててね・・・ねえライト・・・ライトの母さん・・・」
「あっ! ファイル見たんだね・・・・・僕のお母さんは・・・僕が小学生の時に、病気で死んじゃったんだ・・・」
と、ライトは悲しげに述べた。
「・・・・・そうなんだ・・・・・実はね・・・僕の母さんもね・・・僕が小学生の時に、亡くなったんだ・・・」
「ユウナのお母さんも?・・・・僕らって本当に似てるね・・・」
「それと・・・ライトの母さん・・・・レスカさんっていうんだ・・・」
「うん・・・そうだけど・・・どうして?」
「僕の母さんも・・・レスカって名前だったんだ・・・凄い偶然だよね?」
と、声を明るくして、ユウナは言った。恐らく沈んだ雰囲気を上げる為に、わざと明るくしたんだろうと、ライトは思った。
「本当!?」
ライトも明るい声を上げた。
「うん! 僕、ビックリしちゃった♪ 自分の母さんと恋人の母親が、同じ名前だなんて!」
「ユ、ユウナ・・・そんな大きな声で、恋人だなんて言わないで・・・恥ずかしい・・・」
「そうかな? 僕は良いと思うけど・・・処でライトの用事って?」
ユウナは、先程ライトが『用事』と言っていた事を思い出し、ライトに聞いた。
「あっ、そうだった・・・今朝ユウナに、『学校に入らない』って聞いたよね?」
「うん。それでどうなったの?」
「先生に言ったら、今日学校まで来てほしいって言われて、それでその事を伝えて、ユウナを迎えに来たんだ」
「そうなんだ・・・何か要る物はあるの?」
「愛用の武器くらいだよ。もう行けるの?」
「うん! 大丈夫♪」
「じゃあ行こうか」
と言って二人は、ピアノがある部屋を出た。
ジアース
2人は学校に向かって歩いていた。といっても、ユウナは学校まで道順を知らない為、ライトについて行く状態である。2人は無言で移動していた。すると・・・
「あのさ・・・」
無言だった中、突如ライトが呟いた。
「今度時間があったら、学校までの道順以外に、ジアースの中を案内するね」
と、顔を若干赤くした状態で、ライトは言った。
『えっ?・・・今のってもしかして・・・デートのお誘い?』
ユウナは心の中で呟いた。
「ライト・・・今のってもしかして・・・・デートの誘い?」
と、ユウナが聞いたが、ライトは顔を赤くしたまま何も答えず、再び無言の時間が続いた。
※ ※
2人は、学校の校門の所に到着した。学校の名前は、アース兵士養成高校である。門の向こうには、広い校庭があり、綺麗な校舎や体育館等も有った。
「ここが僕達が通っている学校だよ」
ライトが言った。時間帯は昼休みなのか、校庭にはライトと同じ格好をしたポケモンが、遊んでいたりしていた。ライト達は校庭を抜けて、校舎へと入った。校舎内も綺麗であり、明らかに新築である事を物語っていた。そして入って直ぐの所に、職員室があった。
「職員室に行こう。さっき話した先生が、ユウナに会いたがってるから」
そう言うとライトは、ユウナを連れて、職員室に入った。職員室の中には、教師と思えるポケモンがたくさん居た。そんな中ライトは、入口から少し離れた所に居る、バンギラスの教師に話しかけていた。少しして、ライトがバンギラスの教師と共に、ユウナの所に来た。年齢は見た所、二十代末期の様だ。
「君がライトの言っていた、ユウナ=スピラか? 俺はライト達の担任の、レオ=ベクタだ!」
レオと名乗るバンギラスが、そうユウナに自己紹介をした。
「ユウナ=スピラです。クロノア騎士団の皆さんからの勧誘で、昨日入団を致しました!」
と、流石のユウナも、恋人の担任という理由で、敬語を使っている。
「そうか、おめでとう! この学校に入学したいらしいが、それには実技試験を受けてもらう必要があるが・・・大丈夫かな?」
「はい! 大丈夫です!」
レオの実技試験の話に、ユウナは元気良く返事をした。するとレオは、話している所から少し離れた所に座っている、バシャーモの教師を見た。
「カルロス先生! 来てくれ!」
「ハイ!」
カルロスと呼ばれたバシャーモは、ユウナ達の所にやってきた。年齢は二十代初期の様だ。
「何ですか、レオ先生!」
カルロスは、レオに向かって聞いた。
「実は今日、ライトの騎士団に入った、このユウナ=スピラが、本校に入学したいと聞いて、今日きてもらったんだが、君も知っている様に、我が校の編入試験は実技試験だ! そこで君に、このユウナの試験相手になってもらいたいんだが、構わないかな?」
レオに言われ、カルロスは少し考えてから答えた。
「分かりました! お相手します!」
と言ってカルロスは、ユウナの方を向いた。
「初めまして、僕はカルロス=アンブレラ。宜しく!」
カルロスはニコッと笑って言った。それに対してユウナも、笑顔でお辞儀をした。
※ ※
「あれ? あれってユウナじゃね?」
と、窓に寄り掛かっていたサンダース・ギルムが言った。その窓の外には、彼らが実技訓練に使用している場所に向かう、レオ、カルロス。そしてそれに続くライトとユウナの姿があった。
「もしかしてユウナさん。入学試験を受けに来たんじゃないんですか?」
と言ったのは、クロノア騎士団のブイズ・ツインズの一組・リーフィアのリンフとグレイシアのフリムの姉弟のフリムだった。
「? どうゆう事だフリム?」
不思議そうな顔をしながら、ギルムが聞いた。
「ギルム、忘れたんですか? ライトが今朝言ってたじゃないですか。ユウナさんが、入学したがってるって」
「・・・・・悪りぃ・・・忘れてた・・・」
と、苦笑いしながら、ギルムは言った。
「えっ? なになに? ユウナがこの学校に入学するの?」
妙に高いテンションで、フリムの姉・リンフが言った。
「・・・姉様も忘れたんですか・・・・」
と、若干呆れた口調で、フリムは言った。
※ ※
「ここだ!」
レオが、一つのバトル・フィールドを見ながら言った。
「ここで試験を行うんですか?」
ユウナが聞いた。
「そう! 僕が奥のベースに行くから、ユウナさんは、手前のベースに立ってくれ」
その質問には、カルロスが答え、カルロスはフィールドの奥のベースへ行き、ユウナは指示通り、手前のベースに立った。レオとライトは、フィールドから少し離れた所に移動した。
「ユウナ! 頑張って♪」
ライトが応援をした。
「勝負は通常のバトルで、時間は無制限で一本勝負だ! 技・剣技の使用は認めるが、銃器は禁止だ!」
「・・・ライト、持ってて!」
と、勝負内容をレオが説明すると、ユウナは腰のホルスターから、ベレッタを抜いて、ライトに投げ渡した。
「銃が無い方が、身軽で動きやすい」
ユウナは、その事を表現する様に、軽くジャンプをした。
「準備はいいかな?」
カルロスが聞いた。
「ええ! いいですよ!」
と言って、ユウナはカルロスの方を向いた。
「試合開始!」
と、レオが叫ぶと、ユウナはファイティングポーズを構えた。それを見て、カルロスは・・・
「そう真剣にならずに、気楽にやれば良い・・・んっ!?」
そうカルロスは言ったが、それを言った直後、既にユウナが目の前に来ていた。そして・・・
ドゴッ
「ぐふっ!」
と、何かを詰まらせた様な声を漏らしながら、カルロスはその場から、約20m程離れた所まで吹っ飛んで倒れた。カルロスが立っていた場所でユウナは、足を高く上げて立っていた。ユウナがカルロスに、蹴りを入れたのだ。その様子に、ライトとレオは呆気に取られていた。
「レオ先生、終わりましたけど?」
少し乱れた毛を治しながら、ユウナは言った。
「あ、ああ・・・・ユウナ=スピラ・・・君は合格だ・・・」
「・・・ありがとうござます」
ユウナは笑顔で言った。しかしレオはそれを見ずに、遥か彼方に倒れているカルロスの元へと向かった。それを見送りながら、ユウナはライトに言った。
「・・・これでも結構、パワーを押えたんだけどな・・・」
「ええっ!」
ライトが驚いた声を上げた。
「どうしたの? ライト?」
不思議そうな顔をしながら、ユウナが聞いた。
「カ、カルロス先生を、あそこまで飛ばしたのに、本気じゃなかったの?・・・ユウナって、本当に強いんだね・・・」
感心した様に、ライトが言った。
「そんなに驚かないでよ、僕は結構強いけど、ライトだって、結構強いでしょ?」
「えっ? そ、そんな事ないよ! 僕は弱いよ!」
と、何故か焦った様に、ライトは否定した。
「僕の勘違いかな? ライトは強いって思ったんだけどな・・・」
ユウナは考える時のポーズをしながら言った。
「そ、そんな事より、この学校の事務所に行こう! 手続きと制服のサイズ合わせをしよう」
ライトは、無理矢理誤魔化した。
「・・・まあいいか」
ユウナも深入りする気は無く、あっさり諦めた。
「制服は、どれ位で出来るの?」
「サイズが合うのがあれば、今日にも渡されるよ」
「嘘!? じゃあ旨くいけば、明日からライトと通えるんだ♪」
ユウナは、笑顔で言った。
「そうだね・・・・じゃあ行こうか・・・」
ユウナはライトに連れられて、事務所へと向かった。その後事務所で、ユウナのサイズに合う制服が見つかり、結果的にユウナは、明日から学校に通える事になった。そしてユウナは、ライト達がまだ学校があるので、先に兵舎へと帰る事になった。
クロノア騎士団・兵舎
兵舎に帰ってきたユウナだが、特にやる事もないので、持ってきた制服を机に置いて、ゴロリとベットに横になった。
『暇だから、少し眠るか・・・』
そう心の中で呟いて、ユウナは瞳を閉じた。そしてそのまま、ユウナは夢の世界へと旅立った。
数時間後・・・
「・・・ウナ・・・・ユウナ・・・・ユウナ起きて!」
誰かに声を掛けられて、ユウナは目を覚まして、目を開けた。すると目の前には、リンフの顔をがあった。それもかなり近くに・・・
「うわっ!」
ユウナは大声を上げて、起き上がった。ユウナが起き上がる瞬間、リンフは顔を引かせた。
「ど、どうしたのユウナ。そんなに大声を上げて・・・」
リンフは、少々驚きながら聞いてきた。
「どうしたって・・・そんなに顔を真近にあると、流石の僕でも驚くよ! それよりリンフ、何でここに居るの? 学校は?」
「・・・ユウナ・・・もう6時だよ! 2、3時間前には私を含めて、皆帰ってきたよ。それにもう、晩御飯だから、私ユウナの事を呼びに来たんだよ♪」
「そ、そうなんだ・・・ありがとう・・・」
ユウナが礼を言うと、リンフはニッコリと笑って・・・
「いいよ♪ 皆待ってるから、早く食堂に来てね♪」
そう言って、リンフは部屋を出て行った。ユウナはベットから降りて、部屋を出た。既に兵舎の構造は、昨日のライトの紹介で大体把握していたので、迷う事もなくユウナは食堂へと行けた。食堂には、自分とマーリンを除いた、6人が既にいた。
「遅かったねユウナ。疲れてたの?」
食堂に入るなり、ライトが心配そうに聞いてきた。
「暇だったからね。それにライトも、人が悪いよ! 帰ってたなら、起こしてくれても良いのに・・・」
と、ユウナが不満そうに言った。
「いや・・・帰って来て、ユウナの部屋を覗いたら、ユウナ、グッスリ寝てたから、起こすのは悪いと思って・・・」
ライトが、起こさなかった理由を話した。
「そうだったんだ・・・ごめんライト・・・」
ユウナが、申し訳なさそうに謝った。
「いいよ、気にしないで♪」
ライトが、笑顔で言った。その直後厨房から、マーリンが料理を持ってやって来た。そんなマーリンを見て、ユウナがライトに聞いた。
「ねえライト! 昨日も今日もだけど、いつも食事は、マーリンが作ってるの?」
「いつもはね! でも偶にマーリンが用事で居ない時は、別の人が作ってるんだ!」
「別の人って事は・・・ライトも作った事もあるの?」
「一度だけだけどね・・・後はリンフが作ったりしてたんだけど・・・リンフの料理は、マーリンの料理と同じ位美味しいんだ♪」
「姉様のスープは、世界一美味しいですよ♪」
ライトが言った後、続いてフリムが言った。
「ふ~ん・・・話の種に、一回飲んでみたいな♪」
ユウナが言うと、リンフが『えっ!』という感じで、ユウナを見た。
「じゃあその内、ユウナにも作ってあげるね♪」
リンフが、笑顔で言った。
1時間後・・・
食事が終わった後、ユウナは自室でシャワーを浴びようとした。その時・・・
コンコン!
「ユウナ~居る?」
ノックの音と共に、リンフの声がした。
「? 何?」
ユウナは気になり、扉を開けてみた。するとそこには、リンフの他に、リエンとマーリンの双子姉妹も居た。
「どうしたの3人共? 僕に何か用事?」
「ユウナ、お風呂入ろうよ♪ ユウナ昨日、シャワーだけで終わらせちゃったでしょ? だから入ろうよ♪」
リンフに笑顔で言われ、ユウナは少し考えてから言った。
「いいよ。流石の僕も、二晩続いてシャワーだけってのはキツイからね!」
「じゃあ入ろうよ♪」
「じゃあ、少し待ってて」
そう言ってリンフ達を待たしユウナは、入浴道具を準備して、リンフ達に案内されながら、浴場へと向かった。浴場前に着くと、その入口は男と女に分かれていた。ユウナ達4人は浴場内に入って、脱衣所にて服を脱いだ。そして服を脱いだ後に、浴室に入った。ユウナとリンフは、体にお湯を流して、そのまま体を洗い始めたが、マーリンとリエンはお湯を流した後、湯船に入ってしまった。
「ねえユウナ! 背中洗ってあげるよ♪」
「んっ? うん・・・」
背後から背中を洗う事を申し出てきたリンフに、ユウナは承諾をした。リンフはユウナの背中を、スポンジで丁寧に洗い始めた。
「ユウナって・・・綺麗な体してるよね?」
突然リンフが言った。
「・・・そうかな? リンフの方が、いい体(?)しているけど・・・」
「う~ん・・・たしかに私には、胸があるけど・・・ユウナには・・・・・男の子も女の子も魅了する・・・凄い綺麗な体してるよ・・・・・」
と、妖艶な口調で、リンフは言った。その口調にユウナは、僅かな違和感を感じた。その時・・・
「!」
ユウナが向かい合っている壁の反対側で、何やら複数の声がした。
「ねえリンフ、この壁の向こうは何?」
「男風呂だよ! 丁度今は、男の子達も入っている頃だから・・・」
『ふ~ん・・・じゃあ今は、ライトも入っているのか・・・』
そうユウナは、心で思った。そんなユウナの考えを読んだのか、リンフがとんでもない事を聞いてきた。
「な~にユウナ? ライトの裸でも見たいの?」
「!? な、何言ってるんだ! ぼ、僕はもうライトの裸なんか・・・!」
ユウナは、『ライトの裸なんか、もう見た!』と言いそうになったが、ギリギリで言うのを止めた。それは自分のプライドや、ライトの事を考えて、言うのを止めたのだ。
「どうしたの?」
リンフが、不思議そうな顔をしながら聞いてきた。
「い、いや何でもないよ・・・」
ユウナは苦笑いで、リンフに誤魔化した。
※ ※
「・・・声・・・大きいですね・・・」
と、湯船の中に居るフリムは、隣に居るライトに言った。こちら側は男湯の方であり、今のユウナ達の会話を全て聞いていたのだ。ただ幸いだったのは、男湯には、ライトとフリムしか居なかった。
「ライト・・・今の姉様達の会話の中で・・・『ライトの裸』って単語が出た時・・・ユウナさん、かなり動揺していましたよね?・・・もしかして・・・」
フリムの言葉に、ライトは溜息をついて言った。
「やっぱり、フリムは誤魔化せないね・・・実は・・・」
ライトは、前日のユウナとの事を、フリムに話した。
「そうですか・・・じゃあ一人身は、とうとう私だけになりましたね・・・」
と、寂びそうに呟いたが、何故かフリムの表情に変化はなかった。
「フリムは・・・誰か好きな人はいるの?」
ライトが聞くと、フリムは青白い顔を赤く染めながら言った。
「実は・・・3人好きな人が・・・います・・・」
「3人!?」
驚きのあまり、ライトは大声を出してしまった。
「3人って・・・一人は大体検討はつくけど・・・あとの二人は?」
「一人は・・・ずっと昔から好きだったんです・・・もう一人は・・・最近好きになりました・・・」
と、恥ずかしながら言ったフリムに、ライトは感心した。
「流石・・・・学校一の美少年と言われるフリム・・・そんなに好きな人がいるんだ・・・」
「そんな・・・感心しないで下さい・・・それに私より、綺麗な男の子・・・学校に居ますよ・・・」
「えっ?・・・・そんな子・・・居たかな・・・」
「居ますよ・・・ライト・・・」
と、フリムが妖艶に言ったと思ったら、フリムはライトにくっ付いてきた。
「?・・・フリム・・・少しくっ付き過ぎじゃない?」
「そんな事ないですよ・・・・」
ライトの疑問に、フリムはそう答えた。その時・・・
「なぁ~に? お姉ちゃんに内緒で、男の子同士の会話?」
上から声がしたので、ライトとフリムが上を見ると、其処にはユウナとリンフが、男子と女子風呂の間の壁の上から覗いていた。
『ウワァァ!!!』
ライトとフリムは、Wで悲鳴を上げ、驚きのあまりに足を滑らせ、湯の中に頭を突っ込んでしまった。その様子を見ながら、ユウナとリンフは、クスクスと笑う。
「な、何やってるの!?」
湯から頭を出したライトが言った。
「何やってるって・・・見てのとおり覗き・・・かな?」
と、ユウナが軽く言う。
「女の子が覗きをするなんて・・・世界中探したって、姉様達だけですよ!?」
ユウナの言葉に、フリムが反論する。
「別にいいじゃない! 小さい頃から、お互いの裸を見合ってきたんだから♪ ね、フリム?」
「姉様・・・」
フリムは顔を赤くして、口を湯に沈めて、ブクブクとし始めてしまった。その様子を見て、リンフは再び、クスクスと笑う。
「ねえ・・・そんな所に居たら、湯冷めして風邪引くよ・・・早く湯船に入ったほうが良いよ」
と、ライトが心配そうに言うと、ユウナは・・・
「そうだね♪ じゃあライト! あとで部屋に行くからね♪」
そう言うとユウナは、頭を引っ込めた。それに続いて、リンフも頭を引っ込めた。
「ユウナ・・・何だろう・・・」
そう思いながら、ライトはもう一度湯船に浸かった。
※ ※
「ん~夜風が気持ちいい♪」
自室のベランダで、パジャマ姿のライトが言った。その時・・・
コンコン
と、誰かがライトの部屋の扉を叩いた。ライトは、扉を叩いた人物が分かった。
「ユウナでしょ? 入っていいよ♪」
「じゃあ入るよ!」
ライトから入室許可を貰い、来訪者・ユウナが入ってきた。部屋に入るとユウナは、ライトが立っているベランダに向かい、ライトの横に立った。
「ライト、幾つか聞きたい事があるんだ」
「んっ? 何?」
「ライトって・・・・・この騎士団のリーダーだったんだ・・・」
ユウナが言うと、ライトは口元に笑みを浮かべて言った。
「そうだよ・・・本当はリーダーなんて器じゃないけど・・・皆が推薦したから、こうしてやる事にしたんだ・・・」
「・・・そうなんだ・・・ライト、リーダーをやるのは・・・嫌?」
「・・・ううん・・・任されたなら、僕はどんな事でも、嫌じゃないよ」
「ライト・・・頑張ってね・・・もう一つ質問良いかな?」
「うん・・・良いよ」
「ライトの父さんって・・・この街を守っている、ジアース騎士団の団長って本当?」
「・・・本当だよ・・・僕の父さん・・・ライン=クロノは・・・ジアース騎士団の団長なんだ・・・そんな父さんに憧れて、僕は騎士への道を選んだんだ・・・」
ライトは、空にある無数の星を見ながら、そう呟いた。
「ライト・・・僕はライトについて行くよ・・・お休み♪」
チュ・・・
ユウナはそう言うと、ライトの頬に温もりを与えた。それが『キス』だと、ライトが分かった時には、もうユウナは居なかった。ライトは小さく笑って、室内に入り、ベットに入って寝に入った。
次の日
「ふぁぁ・・・良く寝た・・・」
ユウナは大きな欠伸をしながら、上半身を起こした。
「そういえば、今日から学校か・・・」
ユウナはベットから降りて、パジャマを脱ぎ、壁のハンガーに掛けてあるワイシャツと制服の上着を取って着て、次にスカートを履いた。
「ユウナ! 朝だよ・・・ってあれ?」
と、ユウナを起こしに来たのか、扉を開けたライトがユウナの制服姿を見て、疑問の声を上げた。
「おはよう♪ ライト」
ユウナは笑顔で、ライトを迎える。
「ユウナ・・・起きてたんだ・・・てっきり、まだ寝ているかと思った・・・」
「? ライトは僕の事を、『お寝坊さん』だと思ったの?」
「! い、いやそうじゃないよ! 昨日は僕より起きるのが遅かったから、朝に弱いのかな・・・ってそう思ったんだ」
ライトは、焦りながら弁解した。そんなライトに、ユウナはクスクスと笑いながら言った。
「冗談だよ♪ それに僕は、太陽を司るエーフィ種だよ? 朝に弱い訳ないじゃん」
「そ、そうだよね・・・朝食が出来てるから、鞄と武器を持って行こう!」
「そう。分かった」
ライトに言われて、ユウナは日本刀と拳銃を持って、ライトと共に部屋を出た。
食堂
食堂に着くと、既に他の6人は朝食を食べていた。
「やだユウナ♪ 制服姿可愛い~♪」
食堂に入ってきた、制服姿のユウナへの第一声は、リンフの歓喜の声であった。
「あ、ありがとう・・・」
リンフのオーバーな感想を聞きながら、ユウナは席についた。そして用意されていた朝食食べ始める。パンを頬張っている時、ライトが話しかけてきた。
「ねえユウナ。ユウナが入るクラスの話なんだけど・・・」
「クラス?」
「うん。ユウナの入るクラスは、僕達と同じクラスだよ!」
「本当!? 良かった♪」
ユウナは喜びの声を上げた。数分後朝食は終わり、8人は後片付けをして、兵舎を出た。
ジアース
ジアースの街中では、学校に登校する生徒で、溢れかえっていた。そんな中ライト達は、仲間内で話していた。
「それでさぁ! 親父がバカでさぁ!(笑)」
ギルムがマーリンに対して、笑いながら何かを言っていた。
『何さっきから、馬鹿笑いしながら言ってんだ?』
と、ユウナはギルムを見ながら、そう心の中で呟いた。そんなユウナに、リンフが話しかけてきた。
「ねえユウナ」
「んっ?」
「ユウナは私達と出会う前は、学校には行ってたの?」
「行ってたけど・・・」
「へぇ~・・・じゃあモテた?」
唐突にリンフに言われて、ユウナは慌ててライトの方を見た。幸いにもライトは、フリムとの会話にはまっていて、リンフが言った事は聞かれていなかった。
「リンフ・・・ライトの居る前では、自重しようよ・・・」
「えっ? 何で?」
「それは・・・・僕とライトは・・・付き合っているから・・・」
「ええっ!?」
リンフが大声を上げた。その声に反応し、マーリンはギルムとの会話を中断し、リエンと共にユウナとリンフの側にやってきた。
「何々? どうしたの?」
マーリンが、興味津々に聞いてきた。
「実はね・・・・ゴニョゴニョ、ゴニョニョ、ゴニョ!」
リンフはマーリンの耳元で、事の詳細を離した。
「へぇ~・・・ユウナ、ライトと付き合ってるんだ」
マーリンが小さな声で言った。
「ユウナさんがライトと付き合ったって事は・・・リンフ・・・とうとう一人身は、フリムだけになっちゃったね・・・」
リンフを見ながら、リエンは言った。するとリンフは・・・
「あの子なら大丈夫・・・・」
と、何故かリンフは、自信ありげに言った。
「どうしたの~?」
何時の間にか少し離れた所に居るライトが叫んだ。その他にフリム・ギルム・イムルもライトの傍に居た。
「あっ! 待ってよ~♪」
リンフが叫びながら、ライト達の所に行く。その後をリエンを支えながら、マーリンもゆっくり行く。ユウナはそんなマーリンを助ける為、ユウナもリエンを支えた。
『ありがとう♪』
リエンとマーリンは、ほぼ同時に礼を言った。
アース兵士養成高等学校
クロノア騎士団の8名は、学校に辿り着いた。その内ライトとユウナを除いた6名は教室に向かい、ライトとユウナは職員室に向かった。職員室に入ると、ライトはユウナを連れて、椅子に座っているレオの所に行った。
「おはようございます」
「おはようございます」
ライトが挨拶をすると、ユウナも挨拶をした。
「おはよう。さっそくだが、クラスに向かってもらおう。ついて来てくれ」
と言ってレオは、椅子から立ち上がって、出席簿等を持って歩き出した。
『・・・すぐ教室に行くなら、わざわざここに来なくても、良かったんじゃないか?・・・』
と、ユウナは心の中で思った。その後職員室を出て、階段を上がって、2-Aという表札がある教室の前で止まった。
「じゃあユウナ、僕は先に教室に入っているね」
そう言うとライトは、後ろの扉から教室に入った。
「じゃあ入るよ」
そう言ってレオは、目の前の扉開けて教室に入り、ユウナもその後に続いた。中に入って、ユウナは驚いた。教室は平均的な広さだが、クラスメートはクロノア騎士団のメンバーしか居なかった。
『都会の過疎化地域か、ここは!?』
と、ユウナは叫びそうになったが、堪えた。
「まあお前達は、もう知っている人物だから、自己紹介は要らないだろう。じゃあ席は・・・ライトの隣だな!」
運良くライトの席は最後列であり、右隣は空席だった。ユウナはゆっくりと皆の間を進み、席に辿り着いた。
「ねえライト・・・」
ユウナは隣のライトに、小声で話しかけた。
「何?」
「このクラス・・・僕を含めて・・・たった8人しかいないけど・・・何?」
「ああ・・・実はこのクラスは、僕もそうだけど・・・親がジアース騎士団の人の子供のクラスなんだ・・・」
『・・・ええっ!』
ライトの言葉に衝撃を受け、ユウナは声を上げそうになったが、必死に堪えた。
「それ・・・本当なの?」
ユウナはライトに聞き返した。
「本当だよ! 更に言うと、このアース兵士養成高等学校も、父さん達が作ったんだ・・・未来にこの街を護れる者の為に・・・って父さんが言ったんだ」
「・・・それかなり、凄い話だよ・・・・」
ユウナはあまりにも凄い事実に、それだけしか言えなかった。
※ ※
朝のHL(ホームルーム)が終わって休憩時間になると、リンフがユウナの所にやってきた。
「ビックリしたでしょ? クラスメイトは私達っていうのが!」
と、とびっきりの笑顔で、リンフはユウナに聞いてきた。
「『何でこの仔は、僕にこんなに構うんだろ?・・・まあいいけど・・・』まあ、少しわね・・・」
ユウナは心の中で、リンフに対する疑問を感じながらも、質問に答えた。
「そうだよね♪ 私も最初はビックリしたよ♪」
そう言うとリンフは、じっとユウナの顔を見つめた。
「? どうしたの?」
「えっ? い、いや何でもないよ(焦)! じゃ、じゃあ私は、フリムの所に行くね!」
そう言うとリンフは、フリムが座っている所に向かった。ユウナはリンフを見送ると、ライトの所に行った。ライトは、『ブイズ・エレメンタリーズ』という本を読んでいた。
「ねえライト」
「何、ユウナ?」
「リンフとフリム・・・つまりハーブ姉弟の事だけど・・・」
「?・・・それがどうかしたの?」
ライトが聞くと、ユウナはライトの耳元で、小声で言った。
「昨日資料を見て、分かったんだけど・・・あの2人の両親って・・・・」
ユウナが言うと、ライトも小声で返答した。
「うん・・・そうなんだ・・・小学生の時、あの2人の両親は・・・・・交通事故で亡くなったんだ・・・」
と、ライトは悲しそうな表情を見せながら述べた。
「それと・・・僕の父さんと・・・リンフとフリムの父さんは・・・昔からの幼馴染で、大の仲良しだったんだ・・・」
「・・・そうなんだ・・・」
「だから父さん・・・リンフとフリムの両親が亡くなった時・・・・・凄く悲しんでいた・・・」 「・・・・・」
「父さんは、あの2人に『一緒に住まないか?』って持ちかけたけど、断ったんだ・・・」
「? どうして?」
「家族で住んでいた家を、あの2人は離れたくないって、当時言ってたんだ・・・それでも、あの2人は立派だね」
「!」
「2人になっても、明るく元気に生きてる事・・・それって凄い立派だよ」
「ライト・・・今のは少し間違いだよ!」
「えっ?」
ユウナの言葉に、ライトは『?』を浮かべた。
「2人じゃなくて・・・僕らがいるじゃないか!」
「ユウナ・・・そうだね!」
ユウナの言葉に、ライトは笑みを浮かべながら言った。するとその時、ライトが何かを思い出した様に言った。
「あっ! そうだ! そういえば、あの時からだったね・・・・」
「? 何が?」
「フリムの口調・・・フリム今は『私口調』だけど、グレイシアに進化する前は、僕と同じ『僕口調』だったんだよね・・・」
「? 何で?」
「それはちょっと分からないんだ・・・」
ライトは困った様に苦笑しながら、ユウナの疑問に答えた。その直後教室に、一時間目の授業の教師が入ってきて、授業が開始された。
数時間後 昼休み 屋上
「なあ、ライト・・・お前本気で、ユウナの事が好きなのかよ?」
昼頃の学校の屋上にて、ギルムがライトに言った。その他にも、フリムとイムルも居た。フリムは2人の会話を聞いており、イムルは双眼鏡を使い、校舎の前に広がる校庭の何かを見ていた。
「うん♪ そうだよ♪」
ニッコリと笑いながら、ライトは言った。そんなライトに、ギルムは呆れ気味に言った。
「マジかよ・・・どうなったら、お前みたいな大人しい奴が、あんな凶暴女好きになるんだよ・・・」
そう言うギルムに、フリムが言った。
「きっとライトは、ユウナさんの良い所を見つけたんでしょう。そうですよね? ライト」
「ユウナの良い所か・・・優しい所かな?」
その言葉を聞いて、ギルムは驚いた。
「優しいって・・・何処がだ?・・・そりゃ顔は可愛いけど、凶暴で馬鹿力で、俺にだけ態度が違う典型的なツンデレだし・・・僕口調・・・これは関係ないか・・・とにかく優しいの『や』も無いぞ・・・・」
「それはギルムが、ユウナの悪口を言うからだよ! 普通に接していれば、ユウナは優しい良い仔だよ」
微笑しながら、ライトはギルムに言った。
「・・・俺結構、普通に接しているぜ・・・まあそれはともかくとして、イムル、件のユウナはどうしている? マーリン達と一緒にいるのか?」
双眼鏡で見ているイムルに、ギルムは言った。
「それがリエンさん達は見つけたんだけど・・・ユウナさんだけ居ないんだ」
「はあ? ちょっと貸してみろ」
そう言ってギルムは、イムルから双眼鏡を取り上げ、校庭の方を覗いてみた。するとたくさんの生徒の中に、バレーボールをしているリンフとマーリン。その様子を見ているリエンが見えた。しかしイムルの言うとおり、ユウナの姿だけは見えなかった。
「何処に居るんだよ」
そう呟きながら、ギルムは校庭を見回した。
「あっ! 居た!」
ギルムは校庭の端にある、一本の木を指さしながら叫んだ。ライトはギルムから双眼鏡を受け取り、その木を見てみた。その木の上の方にある太い枝に、頭にヘッドフォンを着けた、ユウナが居た。ユウナは目を閉じていて、ヘッドフォンから流れる音楽を聴いているのか、眠っているのか分からなかった。
「普通女が、木の上で寝るか?」
ギルムは呆れ口調で、ライトに聞いてきた。
「まあそれも・・・ユウナの個性だよね・・・」
ライトは苦笑しながら言った。
「でもユウナさんって、凄く綺麗な
と、何気なくフリムは言ったが、その直後ギルムが、フリムを凝視した。
「? どうしたんですか?」
「いやお前・・・てっきり
「そんな・・・私にも好きな
「えっ!? マジかよ!?」
「そういえばフリム・・・昨日お風呂で言ってたね・・・・」
ギルムに続いて、ライトが言った。ただしライトは、フリムの好きな人が、3人居る事は言わなかった。
「それ誰?」
イムルも乗ってきた。フリムは顔を赤くしながら、戸惑っている。
「誰ってそれは・・・言えません・・・」
フリムは恋人が誰だか、言えないようだ。
「それじゃ特徴だけ!」
ギルムが尚も追及した。
「それじゃ特徴だけですよ・・・その
と、フリムはそのポケモンの特徴を述べた。その時・・・
『チャラーチャラー・・・』
と、誰かの携帯が鳴った。
「あっ! 私のです!」
携帯はフリムのだった。
「もしもし・・・あっ、姉様ですか?」
電話の相手は、フリムの双子の姉・リンフだった。
『フリム? 今屋上に居るんでしょ? 其処からユウナ見えない?』
「ユウナさんですか・・・校庭の端にある木の枝の所で、寝ていますけど」
『そう、ありがと♪』
そう言ってリンフは、電話を切った。
「リンフがユウナの居場所を聞いたの?」
電話を切った直後、ライトが聞いてきた。
「そう、きっと姉様、ユウナさんが気に入ってるみたいですね」
「フリム・・・リンフのあの噂って・・・本当なの?」
ライトが言う。リンフには何か噂があるようだ。
「・・・はい・・・ユウナさん・・・取られないように・・・気をつけて下さい」
フリムはリンフの噂を否定せず、寧ろライトに助言した。
※ ※
一方ユウナは、まだ木の枝で寝ていた。
「ユウナ♪」
「うん?・・・・」
突然下から呼ばれ、ユウナは目を覚まし、目を擦りながら下を見ると、下にはリンフがいた。
「ユウナ、何でまだ、刀を腰から下げてるの?」
リンフが、ユウナの腰の刀を見ながら言った。本来この学校では、持参した武器は教室に置いているが、ユウナは何故か持ったままであった。
「ああこれ?・・・念の為だよ! 別に寝る時いつも持ってる訳じゃないから、気にしなくていいよ」
「そう・・・それよりさ! 私達とバレーボールやらない?」
少し離れた所にいる、マーリンとリエンを指さしながら、リンフは聞いた。
「バレー?・・・・良いよ!」
「良かった♪」
ユウナの了承の言葉を得ると、リンフは最大限に笑った。
「じゃあ今降りるから、先に行ってて」
「了解♪」
そう言うとリンフは、マーリン達の方に走っていった。
「さて、と・・・んっ?」
木を降りようとしたユウナの目に、学校の方にやって来る、20名くらいのグラエナとヘルガー集団が見えた。
「・・・・・」
ユウナはその集団を見つめ続けていた。
※ ※
「おっ! あれ見ろよ!」
ギルムはそう言いながら、学校の外に現れた。何かの一団を指さした。それはグラエナとヘルガーの集団だった。
「何か・・・・ヤバイ感じがするね・・・」
イムルが怯えたように言う。
「少し前に聞きました・・・何処かのクラスの生徒が、他校の不良と喧嘩したって話・・・」
フリムが言う。
「まっ! 何にせよ、教師達が何とかするだろ? なっ、ライト・・・」
と言ってギルムは、横に居るライトに話しかけた。しかしライトは、校庭の方を大変な物を見ている様な目で見ていた。何かと思い、ギルムが校庭を見ると、不良集団の存在に気付き、逃げていく生徒とは、逆方向に向かって行く、日本刀を持ったエーフィの姿が見えた。
※ ※
「お~し、てめぇら覚悟は良いな!?」
リーダー格と思われるヘルガーが、鉄パイプを高らかに上げて叫んだ。
「数日前に、俺らの仲間とやり合った奴らは、この学校の奴らしい! 兵士学校の生徒だからって恐れんな! 見つけ出して、ぶっ殺せ!」
『おおっー!!!!』
手下のヘルガー&グラエナが、ボス・ヘルガーの叫び声に答えて叫んだ。その時・・・
「ギャンギャン、ギャンギャン・・・五月蝿いよ」
と、突然の声にヘルガー達は、その声がした方を見た。其処には日本刀を持った、制服姿のエーフィ・ユウナが立っていた。
「ああっ~? 何だお前?」
「此処の生徒だよ! 正確に言えば、今日此処の生徒になったんだけどね」
ヘルガーの睨む様な目つきにも怯まず、何時もの口調でユウナは言った。するとヘルガーは、厭らしそうな目で、ユウナを見だした。
「・・・胸は無いが、結構可愛い顔してるな、ぶっ倒すついでに、この女を貰っていくか・・・オイ!」
ボス・ヘルガーが、手下のグラエナに、ユウナの捕獲を命じた。グラエナはユウナに近づき、捕まえようとした。その時・・・
ドゴォ!
辺りに鈍い音が響いた。そしてその瞬間、手下のグラエナは、腹部を押さえながら、右拳を前に差し出してるユウナの前で倒れた。
「お前らみたいな、野良犬如きに、僕の相手が務まるか!」
「テメェ!!!」
仲間をやられた事と、野良犬呼ばわれされた事に腹を立てたのか、ボス・ヘルガーは激怒した。
「刀持ってるからって、いい気になってんなよ!」
と、手下の一人が叫ぶと、ユウナは刀を地面に突き刺した。
「お前ら如きに、母さんの刀を使うもんか・・・・3分でケリつけてやる!」
「んだとっ! テメェらヤッちまえ!」
『オオッー!!!』
ユウナの最後の言葉に、完全にキレたのか、ボス・ヘルガーは手下にユウナを倒すように仕向けた。しかしユウナは余裕の表情を浮かべていた。
ドゴォ ガスッ!
「がはっ!」
「げぼぉ!」
ユウナは手始めに、一番手前の手下の顔面を殴り、次に二番目の手下の胸部に蹴りを入れて倒した。すると三番目の手下が殴りかかってきたが、ユウナは軽やかに避け、その手下に回し蹴りを入れた。そのままユウナは次々と手下を倒していき、遂にはボス・ヘルガーだけが残る事になった。
「ウグッ・・・・」
ボス・ヘルガーは、予想外の事に驚きを隠せなかった。
「何だ・・・お前・・・」
「普通のエーフィですけど?」
ボス・ヘルガーの質問に、ユウナは平然と答えた。
「ふ・・・ふざけんな!」
恐怖心と怒りが混ざりあった状態で、ボス・ヘルガーは鉄パイプで殴りかかった。しかしユウナは、それを軽々と避けてジャンプした。そしてその時、ユウナの尻尾は光っていた。
「・・・
そう呟いた途端、ユウナは尻尾と蹴りを同時に、ボス・ヘルガーの脇腹に叩き込んだ。
ドガァァ!!!!
「ゲバァァァッッッ!!!!!!」
途轍もない奇声を上げながら、ボス・ヘルガーは衝撃で、学校の外まで吹き飛ばされてしまった。ボス・ヘルガーは、軽く痙攣をしながら気絶していた。
「ウワァァァ!」
その光景を見た手下達は、慌てて逃げ出し、その内何人かは、ボス・ヘルガーを担いで逃げていった。
「馬鹿犬如きが、僕に勝てるかって・・・」
そう言いながらユウナは、地面に突き刺さった刀を抜いて鞘に戻し、校舎に戻っていった。
※ ※
ユウナは平然としながら、教室に戻ってきた。其処にはユウナを除いた七人が集まっていた。
「んっ? どうしたの?」
「どうしたの? じゃねえよ! 何だよ今の!?」
あまりのユウナの平然振りに、ギルムはツッコミを入れた。
「何って・・・・ブラッディ・カーニバル」
「普通に血祭りって言えや!」
ユウナの冷静さに、ギルムは更にテンションを上げてツッコム。
「あの~ユウナさん」
携帯を片手に持ったイムルが話しかけてきた。
「んっ? 何?」
「間違ってたら、すみませんけど、ユウナさんって・・・『夜叉姫』って異名がありませんでした?」
「ヤシャヒメ? 何だそれ?」
ギルムが聞くと、イムルは携帯を見せた。
「ネットのあるサイトに、凄く喧嘩が強くて、夜叉のようなエーフィが存在するってあるんだけど、そのエーフィは牝性だから夜叉の姫、つまり夜叉姫という異名を付けられたという、都市伝説なんだ」
「ああ、それ僕だね!」
『え゛っ!?』
全員から、濁った声が漏れた。
「以前、ぶっ倒した奴らの一人が言ってたね・・・『お前、夜叉姫か?』って、当時の僕は、何の事やら分からなかったけど、それ僕の事を指してたんだね♪」
「だね♪ ってお前、どんだけヤベェ事やってきたんだよ!?」
「まあ・・・色々だね♪ 並の奴らなら、倒すのに五分も懸からないから♪」
と、ユウナはスマイルで言った。
「まあ僕も・・・あの女だけには、かなり時間が懸かったけど・・・」
と、何故かユウナは、それを言った時だけ、呆れ口調に言った。
「あの女って?」
リンフが聞いてきた。するとユウナは、再びニッコリと笑って言った。
「あ、うん。別に良いの! 忘れて♪」
そう言うとユウナは、自分の席に座った。その後レオが教室に来たが、クラス全員で、ユウナの事は話さなかった。
※ ※
午後の授業では、ライト達は外に出ていた。その以外にライト達とは別のクラスの生徒達も出てきた。更に腰には其々剣や刀があった。
「ねえライト。これから何処行くの?」
ユウナが聞いた。
「昨日ユウナが、入学試験を行った場所だよ!」
「何で其処に?」
「今日の午後の授業は、実技訓練。騎士団員同士の刀剣使用の勝負による訓練なんだ」
「・・・・その訓練の対戦相手の組み合わせは、ランダム?」
「ううん。自分達の好きなように出来るよ」
「そう・・・」
それを聞いて、ユウナは微かに笑ったが、ライトはそれに気付かなかった。やがてカルロスがやって来た。
「じゃあ皆! 何時も通りペアを組んで、訓練に励んでくれ!」
カルロスが言うと、皆其々ペアを組み始めた。その時・・・
「ライト!」
「うん?」
ユウナはライトに話しかけた。
「僕と戦わない?」
「えっ・・・・」
ユウナが言うと、ライトは動揺し始めた。しかしその動揺は、ライトがユウナの強さに対する動揺でない事が、ユウナには分かった。
「いや・・・僕は・・・いいよ・・・」
「どうして? ライトは強いから、僕と戦っても大丈夫じゃないか!」
「! ぼ、僕は強くないよ(焦)!」
何故かライトは、焦りながら否認した。するとユウナは・・・
「ねえライト・・・何で嘘をつくの? 僕分かるよ! ライトは僕と同じ位強いって、それなのにどうして、自分の強さを否認するの?」
ユウナは不思議そうな顔をしながら言った。すると・・・
「・・・僕が強いって分かると、騎士団に支障が出ると、僕は予想したんだ。だから僕は、自分が強いって事を黙ってたんだ・・・」
「・・・そうなんだ・・・ゴメン、知らなくて・・・」
「いや・・・良いんだ」
「? 何で?」
「・・・多分、ユウナ以外の皆にも、僕の事気付いてるから・・・(汗)」
「え゛っ!?」
ライトの言葉に、ユウナは他の皆を見た。すると・・・
「何だ・・・バレてたのか」
と、ギルムが言った。
「ライト、私と戦ってる時、一回も本気を出してなかったですね」
フリムも言う。
「ライトって、昔から嘘つけないよね♪」
リンフも言った。
「・・・って皆・・・気付いてたんだ・・・」
ユウナは呆れ口調で言った。
数分後
「じゃあライト! 相手お願いね♪」
「・・・分かった。フリム、開始宣言お願い」
「分かりました」
そう言うと二人は、バトルフィールドの上に立った。そして10m程離れると、両者は腰の刀を鞘から抜いた。
「ねえライト、提案があるんだけど」
「何?」
「刀、腰に差してるけど、これって義務?」
「違うけど・・・」
「じゃあ腰じゃなくて、背中に差さない? そっちの方が移動しやすいと思うよ」
「・・・そうだね、一応考えておくけど・・・・何で今それを?」
「・・・何となく♪」
笑顔を見せながら、ユウナは言った。それに対してライトは、軽く息を吐いて言った。
「ユウナは・・・面白いね♪」
「んっ? 何?」
「何でもないよ・・・じゃあ始めようか」
そう言ってライトは、刀を構えた。そしてユウナも構えた。
「それでは・・・試合開始ッッ!!!」
フリムの開始宣言と共に、ライトとユウナは正面から向かって行った。
『キィンッ! キンッ! キィン!』
二人の刀の刃がぶつかり合い、激しい金属音が響く。
「・・・!・・・!!・・・」
「!・・・!!・・・!・・」
二人は一言も発さずに、無言で刀をぶつけ合い続けた。それを見ていた皆は・・・
「す、凄い・・・」
「ライト・・・ユウナさんと互角に亘りあってる・・・」
リンフに続いて、フリムも驚きの声を上げる。刀が横から来れば素早く伏せ、前から突けば素早く後退する。そんな攻防戦が10分位続いた。やがて・・・
『ガキィィィン!!!』
「!!!!!」
一本の刀が、もう一本の刀に弾かれて宙を舞い、地面に突き刺さった。そして刀を持っていないのは・・・ユウナだった。
「・・・・・」
「・・・・・」
刀が弾かれてから数秒間、沈黙が続いたが、やがてユウナが言った。
「あ~あ・・・負けたか・・・やっぱりライトには勝てないね♪」
そうユウナが笑顔で言うと、ライトはフッと笑い、地面に刺さった刀を抜いて、ユウナに手渡した。
「ありがとうユウナ、良い勝負だった」
「こちらこそ♪」
そう言うと二人は、握手をした。その瞬間周りから、拍手の嵐が発生した。
放課後
放課後になり、生徒達はそれぞれ下校し始めた。勿論クロノア騎士団の皆も下校しており、ユウナはライトと共に下校していた。
「ねえライト、一つ聞きたいんだけど」
「んっ? 何?」
「会議室の椅子・・・あるじゃん? あれってどうゆう仕掛けになってるの?」
ユウナが聞いたのは、先日の不揃いの椅子の事だ。
「あれは以前、ギルムとイムルがあの会議室で、何かの機械を弄っていたら、いきなり爆発して、何故かあの椅子が出てくる現象が発生したんだ!」
「・・・何そのSFみたいなギャグみたいな・・・結局仕掛けは分からないのか・・・」
そう聞くとユウナは、ライトより少し前に出た。
「ねえライト・・・僕・・・この騎士団に入ってよかったよ♪」
ユウナは振り向き様に、笑顔で言った。それを聞いたライトは、クスッと笑った。
僕らの愛情物語 3 騎士の学び舎 完 4に続く・・・
オマケ・ライトとユウナの座談会(ほとんど台詞だけです)
ユウナ・「こらっ!! 作者ぁぁぁぁ!!!!(怒)」
ライト・「ユウナ・・・声が大きいよ(困)・・・一体どうしたの?」
ユウナ・「だってライト! 予定されていた、僕と君の絡みをやらないで、今話終了させてんだよ! 桜花の奴手抜きしたよ絶対!」
ライト・「何か事情があるんじゃないかな?」
ユウナ・「あったとしても、理由を言わなきゃ、キャラの僕らには理解出来ないよ! 出て来い桜花!」
その時、一枚の紙が飛んできた。
ライト・「何だろう・・・『・・・ライトとユウナへ、今作品は作成期間があまりにも長かった為、そのシーンやその他のシーンは、全部カットさせてもらった』・・・だって・・・」
ユウナ・「何だって!?!?!?!? じゃあ絡みは次回にお預けか!?」
ライト・「そうゆう事・・・だね・・」
ユウナ・「マジで!?・・・・でもまあ、次回ヤれるしね♪(笑)」
ライト・「あっ待って! 追伸がある・・・『追伸・これから暫く(ブイズ・エレメンタリーズ)を更新するので、(僕らの愛情物語)は暫くお休みにします』・・・って・・・」
ユウナ・「・・・マジで!? 『フリーダム・ナイト』が消滅して、折角こっちの話数が増えるとおもったのに・・・」
ライト・「ユウナ、落胆しないでよ。何も作品が終了した訳じゃないんだから。それより今回は座談会だから、色々な話しよう!」
ユウナ・「・・・そうだね、ところで僕ら二人なのに、何で椅子が四っつもあるの?」
ライト・「それは・・・」
???・「ユウナ~♪」
ユウナの名と共に、一人のクロノア騎士団員が、ユウナに抱きついた。
ユウナ・「なっ、リ、リンフ!? 何で抱きつく!?」
リンフ・「えへへ♪ つい♪」
ユウナ・「ついって・・・んんっ? 一人がリンフって事は、もう一人は・・・」
???・「まっ、待って下さい~」
ユウナ・「あっフリムがやってきた!」
フリム・「いきなり走り出さないで下さいよ~(困)」
リンフ・「ごめんごめん♪ お姉ちゃんが悪かった♪」
フリム・「姉様、それ本気で謝ってますか?」
リンフ・「しょうがないな~、じゃあ後でご褒美あげるから、それでいい?」
フリム・「ご褒美ですか♪ 勿論良いですよ♪」
ライト・「ご褒美って・・・何?」
リンフ・「あのね、セッ」
フリム・「わぁーーー!」
フリムが慌てて、リンフの口を塞いだ。
フリム・「な、何でもないですよライト(笑)」
ライト・「???」
ユウナ・「っで、何で君らは来たの?」
リンフ・「あっ、それは次回は私達もメインだからだよ」
ユウナ・「メインって・・・まさか姉弟でイチャイチャでもするの?」
リンフ&フリム・「「キャ!!!」」
二人同時に悲鳴を上げ、お互い抱きついた。
ユウナ・「そんなに驚かなくても・・・まさか図星?」
リンフ・「!!!・・・まままま、まさか! いくら仲が良いからって、そんな事~、ねぇ~?(焦)」
フリム・「そそそそ、そうですよ! ユウナさん考えしすぎです(焦)」
ユウナ・「そんなに動揺しなくても・・・」
リンフ・「じゃ、じゃあ私達帰るね!」
フリム・「し、失礼しました~」
全速力で二人は去った。
ユウナ・「・・・何だったの、あの二人・・・」
ライト・「僕にも分からない・・・ユウナ、そろそろ帰ろう! でもその前に!」
ユウナ・「! あれだね!」
二人は事前に何か打ち合わせがあったらしい、そして・・・
ライト&ユウナ・「「これからも、『僕らの愛情物語』を宜しくお願いします!!!」」
ライト・「じゃあ帰ろうか♪」
ユウナ・「うん♪」
二人はそう言って、その場を去っていった。
ライトとユウナの座談会 完
あとがき
「暫くお休みしますが、再開後も僕らの愛情物語を、宜しくお願いします! それでは♪」