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僕は君を愛し君は僕を愛す5

/僕は君を愛し君は僕を愛す5

名も無き人間
皆様おはようございます!続きが出来ましたので投稿させて頂きます。


「それに…ポチエナの過去はアンタより酷いものだったわ。」

「ポチエナの…過去?」

「聞いたのよ。と、言うより話してくれたの。正直、泣きそうになったわよ。」

「それで…ポチエナの過去って?」

そしてエーフィは自分よりポチエナの過去の方が辛いと言い始めた。

僕は気になった。どんな辛い過去があったのか知らなかったからね。

エーフィはポチエナが話してくれたと言って、その内容の残酷さを表情で教えてくれた。

僕はエーフィに過去を教えてもらおうとした。

「言えない。ポチエナと約束したから。いくらアンタでも教えられないわよ。」

「そっか……」

「べ、別に意地悪してるんじゃないのよ? わ、私だってアンタになら教えたいわよ……」

「僕に…なら?」

だけどエーフィはポチエナと約束したから言えないって答えたんだ。

正直残念だったけど、仕方ないかな。

エーフィは少し焦りながら意地悪じゃないって言って、僕になら教えたいって言ったんだ。

僕にならっていう所が気になって、エーフィに聞き返した。

「あ…何でも無いわよ! とにかく教えられないの!」

「でもありがとう。ポチエナの友達になってくれて。」

「ポチエナと…境遇が似てたから……」

「え?」

するとエーフィは顔を真っ赤にして何でもないって言って、話を反らしてきたんだ。

これ以上聞いても意味がなさそうだから、僕はエーフィに感謝したんだ。

まだ会って一日も経ってないのに仲良くなってくれたからね。

するとエーフィは途端に暗い表情になって、自分と境遇が似てたからって呟いたんだ。

僕はその表情の意味が分からなくて、エーフィの顔を見るしか出来なかった。

「私ね…今のアイツが二人目のマスターなの。」

「そうだったんだ。それで…前のご主人はどうしたの?」

「……言ったって…何も変わらない…ただ悲しくなるだけよ。」

「無理にとは言わないけど…僕にもエーフィの悲しみを負担させてくれないかな?」

エーフィはそのままの表情で、友達が二人目のパートナーだって教えてくれた。

僕は勿論初耳だったから、前のパートナーが気になって聞いてみた。

するとエーフィは意味深な言葉を言って悲しげな笑みを浮かべたんだ。

だから僕はエーフィの悲しみを負担してあげたいって伝えて、エーフィを見た。

「……聞いて…くれるの?」

「うん。大丈夫、友達には絶対に言わない。約束するよ。」

「正直…アンタがマスターだったら…身を委ねても良かったのに……」

「え?」

「何でもないわよ。それじゃ…話すわよ。」

エーフィは少し顔を上げて、僕を見てきたんだ。

僕はそれに頷いて、絶対に誰にも言わないって約束をした。

するとエーフィは小声で、僕がパートナーなら身を委ねられたって言ってきたんだ。

僕はそれに少し驚いたけど、エーフィが過去を明かし始めたから何も言わなかった。


~エーフィ視点~

私は元々ブリーダーの下で暮らしてたの。沢山の兄弟姉妹のイーブイ達とね。

何でもトレーナーに渡すイーブイを沢山作ってる人みたいだったの。

勿論…その人だけじゃなく大勢の人間が私達の世話をしてくれてたわ。

そしてある時、私は人間に手渡された。それが前のご主人だったの。

正直不安だった。初めて知る外の世界だったから。

けどご主人はずっと一緒に、慣れるまで傍に居てくれたの。

それからは色んなトレーナーと戦って、どんどん経験を積んだわ。

その頃になるとご主人は私の進化について聞くようになってた。

勿論リーフィアとグレイシアは地域が違いすぎるから無理だったけどね。

私は五つの写真の中からエーフィを選んだの。迷う事なくね。

ご主人は私に笑顔で頭を撫でながら、頷いてくれた。

それからご主人は私に一杯愛情を注いでくれた。

毛並みの手入れをしてくれたり…お風呂の世話もね。

知ってると思うけど、エーフィの進化条件が積み重なった絆だから。

そしてご主人と知り合って一年位経った頃。私はエーフィに進化出来たの。

進化したのは太陽の眩しい朝だった。急に進化したの。

私も喜んだけど、ご主人はもっと喜んでくれた。

そしてお祝いもしてくれて…その頃私は一生ついてくって決めてたの。

その日の夜…私は今までの御礼を言おうと思って…思い切って喋ってみたの。

だけど…私が喋ると…人間は途端に気味悪がって…私を家から追い出したの。

勿論直ぐに戻ったわ。けど…ご主人は銃を向けてきて……

『さっさと失せろ! 化け物め! 今まで騙しやがって!』

……それがご主人の最後の言葉だった。

そしてご主人は私に向って銃を撃ってきたの。当らなかったけどね。

私は逃げた。走って走って…ずっと走った。そして小川で耐えられず涙を流してた。

裏切られた悲しみと…孤独になった哀しみに耐えられないで…ずっと涙が出てた。

あんなに優しかったのに…喋った途端、簡単に捨てた。

心から信じていたのに…ずっと一緒に居ようって決めてたのに……

裏切られる位なら…誰も信じない。

それからの私は人気…というよりも誰も居ない森で暮らし始めたの。

実の生る木が無いから遠くまで集めてに行って、その種を沢山植えた。

暫くは不自由だったけど、暫く経ってからは直ぐに木の実が食べられるようになったの。

そしてそのまま何年も暮らしてたけど…アイツがやってきた。

多分学校の課題で調べ物に来たみたいね。紙を一杯持ってたから。

私は見付からないように隠れたわ。直ぐに反撃出来る態勢になってからね。

アイツは私が育てた木の実を一個一個確認して紙に書き込んでた。

だけど…アイツの後を追ってきたのか、背後にはグラエナが数匹居たの。

アイツは気付いてないみたいで、熱心に木の実を調べてた。

そしてグラエナは一斉にアイツに飛び掛って来たの。勿論、その瞬間気付いてたけどね。

その時…何でか分からないけど…考えるより体が先に動いてた。

一番近くの奴にアイアンテールを放って…残りの2匹にシャドーボールを撃った。

自慢じゃないけど…そこらの奴等よりもレベルが高いから余裕だったわ。

そして私は…初めてアイツと出会った。

けどアイツは私を見ても捕まえようとはしなかったの。

そしてアイツは…オレンの実をくれた。私の一番の好物。

一個食べ終えるともう一個…そしてまた一個。

何個も食べている内に私は自然と涙が流れてきた。

そしてアイツは…今でも忘れない…ある言葉を言ってくれた。

『独りで居る事に疲れたなら…俺と一緒に来ないか? 俺も独りなんだ。』

そう言って、そっと頭を撫でてきた。凄く気持ち良くて…安心出来た。

だけど同時に…信じれば裏切られるって事が浮かんでいたの。

だから私はアイツから飛び退いて…戦闘態勢になってた。

けどアイツは逃げるどころか…座ったまま手を伸ばしてくれた。

その時かな…もう一度だけ…この人間を信じてみようって気になったのは。

信じれば信じる程疑いを持つ。だけど疑えば疑う程信じたくなる。

だから私は…人間の転がしたモンスターボールに触れて、アイツに捕まったの。

だけどアイツは直ぐに出してくれて…その日はずっと外に出してくれた。

それからは知っての通り、アンタとレオに出会って、今に至るってわけ。


~主人公視点~

「分かった? これが私の過去。どう? 惨めでしょ?」

「そんな事ない。エーフィは…立派に今も居るじゃないか。」

「っ……お、おだてたって…何も出ないわよ!」

「本音だよ。僕なんか…ずっと独りで…勝手に背負い込んでたんだから。」

エーフィは話し終えると小さく溜息をした。

そして悲しげな表情のまま、自分が惨めでしょって聞いてきた。

けど僕は違った。エーフィは過去を断ち切って、今此処に居るから。

それを伝えるとエーフィは顔を真っ赤にして、おだてたと思ったらしい。

だけど僕は本音を言ったんだ。惨めと言うなら…僕の方が惨めだったから。

レオの死を勝手に自分で背負い込んで…勝手に独りになってたから。

「馬鹿ね。そういうアンタこそ…立派に此処に居るじゃないの。」

「エーフィ……」

「過去は大切な思い出。今は大事な時間。そして未来は…希望。」

「そうだね。過去を大事にして…今を生きて…未来へ繋いでいくんだね。」

だけどエーフィは笑顔で否定すると、僕も立派に居るって言ってくれたんだ。

その言葉が嬉しくて…僕は何も言えなかった。

するとエーフィは過去も今も未来も全部大事だって事を教えてくれた。

過去も今も未来も…どれかを捨てたら絶対繋がらない。

僕は…過去に縛られて今も未来も捨ててたのかも知れない。

それを聞いただけで…僕は今を生きて行ける気がした。いや、生きて行ける。

「でも…友達はエーフィが喋っても絶対嫌わないよ。僕が保障する。」

「それは分かってるわよ。でも決して拭えないの。もし嫌われたらってね。」

「その時は僕と一緒に暮らせば良いよ。いっそパートナーになっちゃえば?」

「ちょ、ちょっと何を言い出すのよ!? わ、私はアンタを認めたわけじゃっ!」

僕はエーフィに、友達だったら絶対喋っても大丈夫だって伝えた。

事実、友達はエーフィと喋りたがってるからね。

エーフィも分かっては居ても、過去のトラウマがそれを拒ませてるって言ったんだ。

だから僕は冗談半分に、嫌われたら僕のパートナーになれば良いって言ってみたんだ。

するとエーフィは顔を真っ赤にして、僕を認めたわけじゃないって答えた。

そしてソッポを向いたけど、その表情は笑みで溢れてたのに、僕は気付いてた。

「ま、私がアンタと話すのはアンタしか居ない時だからね。他にも方法はあるけどね。」

「それは分かってる。でも…他の方法って?」

「…(私はエーフィよ?テレパシーなんか造作もないわ。)」

「凄い…エーフィの声が直接頭に響いてくる……」

少ししてから、エーフィが僕の話すのは二人しか居ない時だけって伝えてきた。

それは勿論分かってた。他の人に聞かれたら下手したら過去と同じになっちゃうからね。

でもエーフィは喋る以外にも疎通を図る事が出来るって言ってきた。

それの意味が良く分からなくて、僕はエーフィに聞き返したんだ。

するとエーフィは黙ったまま、僕の頭に直接語りかけてきた。

エーフィはテレパシーを使った事を明かして、得意げな表情を浮かべてた。

「よし! じゃあ今日はエーフィへの御礼を兼ねて何でもしてあげるよ。」

「べ、別に御礼なんか要らないのに…でも…もし良いなら…一緒に寝て欲しい。」

「え?」

「いつもアイツと一緒に寝てるから…一人だと寂しくて……」

そこで僕はエーフィへの御礼をしようと思って、何でもしてあげるって伝えたんだ。

けどエーフィは照れながら御礼なんか要らないって言ってきた。

だけど直ぐに顔を赤くしながら、一緒に寝て欲しいって言ってきたんだ。

意外な事に僕は肩透かしをしちゃって、エーフィの顔を見たんだ。

するとエーフィは普段友達と一緒に寝てるから、一人だと眠れないって答えた。

なるほどね…意外と可愛いところあるんだね。

「分かった。それ位エーフィが望まなくても一緒に寝てあげるよ。」

「あ、ありがとう……へ、変な事しないでよね!?」

「し、しないよ! エーフィこそ寝てる間に襲ってこないでよね?」

「な、何で私がアンタなんかを襲わなきゃいけないのよ!? …ふふ。」

それ位なら何と言う事もないから、直ぐに承諾したんだ。

するとエーフィは静かに御礼を言って来て、変な事はしないでって言ってきた。

いきなりだから僕は顔を赤くして否定してから、エーフィこそ何もしないでって伝えた。

エーフィも同じく顔を真っ赤にして否定すると、笑顔で笑い始めたんだ。

それに釣られて、僕も自然と笑いが零れ始めた。

それからは夕飯までの時間は一緒に遊んだり、宿題を手伝ってもらったりした。

正直…僕よりエーフィの頭が良い事が判明したよ。

やっぱり良いもんだね…パートナーを交換するのも。

そして時間は過ぎて行って、夕飯時になってたんだ。

「それじゃ、そろそろ夕飯にしようか。勿論、大好きな木の実を使うからね。」

「無理しなくて良いわよ? だ、出してくれるなら…食べるけど……」

「遠慮しなくて良いよ。今日はエーフィに感謝する事で一杯だからね。」

「べ、別に私はアンタの為に言ったんじゃないんだからね! 勘違いしないでよ!?」

僕はエーフィに夕飯にする事を伝えて、好きな木の実を使うって言ったんだ。

けどエーフィは無理しないで良いって言ってから、小声で出すなら食べるって呟いた。

今日はエーフィに感謝する事で一杯だから、その事をエーフィに言ったんだ。

するとエーフィは顔を真っ赤にして、僕の為に言ったんじゃないって言ってきた。

今思うと…ツンデレのエーフィも悪くないかもね。うん。

「それじゃ、直ぐ作るから待っててね。」

「う…うん。」

「え~っと…オレンとチーゴとクラボっと。」

僕はエーフィ様のお皿を取って、木の実を用意していった。

エーフィの好物は殆ど覚えてるから、選んだ木の実を洗ってからお皿に盛った。

そして後は普通のポケモンフードをよそって、エーフィの夕飯が出来た。

僕の夕飯は既に作ってあったから、テーブルに運んでからエーフィにも運んであげた。

「もし足らなかったら言ってね。まだ一杯あるから。」

「あ、ありがとう……いただきます。」

「僕も、いただきま~す。」

量は十分だと思うけど、足らなかったら言ってねと伝えてからテーブルに着いた。

エーフィは小さく御礼を言ってくれてから、ゆっくり食べ始めた。

僕も食べる前の挨拶をしてから夕飯を食べたんだ。

ポチエナも今頃夕飯を食べてるのかな?

ふとエーフィを見ると、両手でポケモンフードを食べてる最中だった。

そのまま食べないで、ちゃんと両手で食べるんだなぁ……

「な、何?」

「何でも無いよ。おかわり要るかなぁと思って。」

「大丈夫よ。これ以上食べたら太っちゃうし。」

「そっか。」

僕が見てる事に気付いたのか、エーフィは食べるのを止めて僕を見てきた。

まさか食べてるのを見てたとは言えないから、おかわりが要るか見てたって答えたんだ。

エーフィは要らないって言うと、これ以上食べたら太っちゃうって答えた。

僕はそれを聞くと、自分の夕飯を再開したんだ。

個人的に少し太ってた方が好きなんだけどなぁ……

「それ…女の子に対して失礼だと思わないの?」

「ぐっ…ご、ごめん、冗談だよ。」

「全く……。」

エーフィは急に僕を見てきて、考えてる事を読んだみたいで、反論してきたんだ。

僕は丁度食べてる最中だから喉に詰まりそうになった。

急いで水を飲んでから、エーフィに謝ったんだ。

エーフィは少し腑に落ちない様子だったけど、ポケモンフードを食べ始めた。

でも少し太ってた方が健康で良いと思うんだけどなぁ……

それからは何も起こらないで、無事に夕飯を済ませる事が出来た。

「あ…お風呂どうする? 僕は構わないけど…エーフィは雌だし……」

「何? 雌だと何か不味いわけ? まさかアンタ…そういう趣味があるの……?」

「ち、違うよ! いくら知り合いって言っても一緒に入るのは嫌かと思って。」

「別に嫌じゃないわよ。私一人じゃ体洗えないもの。洗ってくれるんでしょ?」

少ししてから、僕はお風呂の事を思い出した。いつもは友達と入ってるだろうからね。

それをエーフィに聞くと、当たり前の様に、何か不味いのかって聞いてきたんだ。

そして直ぐに表情を曇らせて、変な趣味があると思い始めたらしい。

勿論そんな趣味はないから直ぐに否定したよ。

いくら仲良くても僕とは他人だから嫌かと思ってって伝えたんだ。

するとエーフィは普通に嫌じゃないって言って、体を洗ってくれって言ってきたんだ。

「わ、分かった。」

「変な事しないでよね? もししたら…本気で怒るわよ。」

「し、しないよ! ほら、風呂場はこっちだよ。」

「知ってるわよ。何回ここに来たと思ってるのよ。」

意外な返答に少し戸惑ったけど、直ぐに承諾した。体を洗う位なんてことないからね。

エーフィはそれを聞くと、変な事したら本気で怒るって言ってきた。

もう一度言うけど、僕はそんな趣味持ってない。

だから着替えを用意すると、エーフィを風呂場に案内しようとしたんだ。

けどエーフィは知ってるみたいだった。そういえば…何度も家に来てたっけ。

はぁ……何でこんなに慌てなくちゃいけないんだ……



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Last-modified: 2012-09-26 (水) 00:00:00
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