ポケモン小説wiki
俺の復讐その2

/俺の復讐その2

―――2 二つ目の目的 イリア

体中に溢れ出す優越感。
自然と溢れ出す笑い声。
「ははっ…」
聖夜の森に木霊する笑い声。

そんな中、俺の目的は現れた。

「やあやあ、久しいねぇい。」
燃える尻尾に二つの大きな羽。
リザードンのイリア……、俺の復讐の標的の一匹。

「相変わらずうぜぇ口調だな、黙らせてやろうか?」
「まーまー、昔ちょっと裏切ったからって……ごばッ!?」
何かを言おうとしたアイツの話が途切れる。
無理もない、ドラゴンクローが腹に炸裂したのだから。

イリアの巨体が大げさなまでに吹き飛び、大木にぶつかる。

「おいおい、黙らせてやるっつっだろォ? 無防備すぎんだろ。」
「げほっ…、てめぇ……」
イリアが何かを言おうとした、遅い。
「な、速い!?」
イリアの反応はあまりにも遅かった。
大木に体を預けているイリアがまた吹き飛ばされる。
「どうだ? 俺が使うシャドーボールの味はよォ…。」
「がはッ……、もう許さないぞコラ…。」
イリアが血を吐きながら立ち上がる。

「遅いんだよ、クズが。」
カイリューのあまりの速さにイリアの目が点になった。
自分の目の前でドラゴンクローが構えられていたら、それはそうなるだろうな。

グチャ、という肉が斬れ、血と混ざる音がまた聖夜の森に木霊する。
静かな森に広がる血、ドロドロと流れる血と肉片のミックスジュース。

あたりに広がる血のいい香り。
「ははははははははッ!!!!」
自分でも思う、俺は悪魔だ。

―それがいいんじゃないか。
血と肉のミックスジュースを指で掬い、少しだけなめてみる。
鉄の味。…だがマズさは感じられない。
「おいしい…。」

自然と笑いが零れる。
優越感、誇らしさ、快感。
その三つが一気に体を駆け抜ける。
「どうにかなりそうだぜ……、なぁ?イリア。」
俺の目の前に広がる、目に光がなくなり、裂けた腹から臓物をぶちまけているリザードン。

―――それはまるで人形のようだった。
人形のように、美しさと可愛さを兼ね備えている…。

また自分の口から笑いが零れた。



3 狂い出す計画、動き出す鮮血の薔薇


――そっちの様子はどうだ?
暗い闇に包まれた洞窟に響く誰かの声。

「ま、ぼちぼちってとこか。未だに血のにおいが抜けん。」

――ははっ! いいじゃねぇか。お前は死んだ事になってんだから。
「全く、世の中は勝手に人を殺すんだな。」
疲れで重くなった体を起こし、知り合いとの会話を続ける。

――それはそうと、今上ではお前と良く似た殺人鬼が動いてるらしいぜぃ?
「ほぉ、なかなか勇気のあるクズ野郎じゃねぇか。」
ギッと奥歯を噛み締める。

――まぁ、そうお怒りなさんな。お前が上に出ればいい。
「言われなくても…」
力を右前足に込めて、目の前にある柵に向かって勢い良く突き出す。
ゴォン!という鉄の折れ曲がるような奇妙な音と共に柵が崩れていく。

「そうさせてもらうに決まってんだろ、クソッタレが。」



―――なんで俺はこんな目に遭わなければならない…?
―――俺が何をした?どうして俺から全てを奪い去っていくの?

「復讐の的はあと2つ…。」
所々に血の付いた体を大樹に預け、ゆったりと座っている俺。
「ラムパルドのラオスとレパルダスのラオバ……。」
どちらも、鮮血の薔薇事件の後から姿が見えなくなっている。

「潰す、必ずこの手で…!」
固く決意を握り締め、大樹に身を預けて目を閉じた。


「おーい!―――! はーやーくー!」
「待ってよぉ!」
「ったく、相変わらず―――はおっせぇなぁ、ヘビみてーな体してるくせに。」
木の葉の間から降り注ぐ朝の日差し。
眩しさなんてもろともせずに遊ぶポケモンが3匹。

「こらー!お前ら仲良く遊べよー!」
それを遠くから微笑みながら見守るトレーナーが一人。

「イリア、―――、何して遊ぶー?」
「探検するって昨日の夜言ってたのはお前だろ、アリシュ。」
「あるぇ、そうだっけー?寝てたら忘れちゃった。」
呆れて頭を抱えるリザード、へらへらしながらクルクルとリザードの周りを走るイーブイ。

その近くにぜえぜえ、と息を切らしながらへばっているミニリュウ。
「ちょ、少しは待ってくれたって…」
「はいはい、分かった分かった。」
「むうぅぅぅぅぅぅっ」

そして、いつの間にかトレーナーの元から離れ、森の端のほうにある小さな洞窟にたどり着いた。
相変わらずミニリュウは息を切らしている。

「ここか、なぞの巨大生物がいるってのは。」
「うんうん、イリアなら倒せるよ!」
「その前に休け…」
「んじゃま、行くかー」
ヘトヘトのミニリュウをスルーして二匹は突き進んでいく。
「いいもん、僕残るし。」

ふぅ、とゆったりとしているミニリュウの目の前に大きな影が現れた。
「おォい、クソガキ。」
「ひッ!?」
ドスの効いた声に驚き、顔を上げるとそこには緑の立派な体があった。
バンギラス、トレーナーからは恐ろしいポケモンだといい聞かされている

そんな怪物が目の前に…。
「なんでこんなとこに居るんだよォ…。」
「―――!大丈夫か……!?」
「あーあー、さらに増えちまったぞコラ。」

「ご、ごめんなさい。コイツが悪いんです!」
と、大きなリザードがミニリュウをベソをかきながら指した。
「俺とアリシュは悪くないんで、こいつを好きにしてやってください!じゃ!」
「え、ちょ、ちょっと!!」
と叫んだときにはもう遅かった、半泣き状態でアリシュを連れて逃げていた。

「つー事だ、大人しく俺の道具になってもらうぜ?覚悟しとけ?」


「…。」
ゆっくりと瞳を開ける。
まただ、またこの夢だ。
俺が復讐しなくてはいけなくなった一番の理由。

俺を置いて逃げ、その後3年ほども助けに来なかったアイツらが悪いんだ。


トップページ   編集 凍結 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2011-02-26 (土) 00:00:00
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.