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今宵私の手の中で 五話

/今宵私の手の中で 五話

written by cotton



今宵私の手の中で 五,



ー行ってきます。



誰もいない自分の家に挨拶をした。覚悟は決まった。
これは、村を守る戦いでもある。皆を護る戦いでもある。
そして、過去の自分に別れを告げるための戦いでもある。
怪我無しで帰れるなんて思っていない。あるいはもう此処には戻っては来れないかもしれない。
でも、それが「護る」ということ。もう、自分は何もできないと思いたくない。
雲はその切れ目をより広げた。月の光はヒトリの戦士に降り注がれている。
「また来たか」
広場には、既に一つの影が立つ。
「教えてくれない?何故村を襲うのか」
「話は決着つけてからだ」
黒に包まれた右手から放たれた波動。「マジカルリーフ」で落とそうとするが、…駄目だ、威力が足りない。
二撃目。「はっぱカッター」は…駄目。
三、四、五、…いずれも止めることができない。すべての弾は、確実にこちらに命中させる。
「くッ…」
まただ。また自分を守ろうとしてる。
また右手を構えた、その時。
「ハーブちゃんッ!逃げて!」
「みんな…?」
皆、騒ぎに気づいたらしく、こちらへ走って来る。
だが、
「外野は手出すな」
彼はその右手をココ達にむけた。
「やめてッ!!」



「ハーブ…ちゃん…?」
「かばった…だと?」
直撃。痛い…でも、できた。護れた。皆みたいに、お母さんみたいに。
「これで…決めるッ!」
「ッ!?」
「のしかかり」。対応できなかった彼をダウンさせた。
「くそッ…!」
もう恐れない。自分を捨てること。
もう怖くない。自分が傷つくこと。
もう迷わない。自分を変えること。



全てを、その一撃に捧げたー



葉の旋風が、彼を斬り裂いてゆく。お母さんに教えてもらった技「リーフストーム」。自分の力を捧げて攻撃する大技。
今までは、自分を犠牲にすることなんてできなかった。それを今、使えた。
母の強い信念。私の強い誓い。
「じゃあね」
今までの私に静かに別れを告げたー



六話へ。



気になった点などあれば。

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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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