作者――恐らく大方の予想通り
※注意:この小説には官能表現クンニリングス,筆攻め等や特殊プレイどちらかと言えば強姦,液状生物プレイ,サイコキネシス攻めなどが含まれます。グロ表現,過度の暴力表現などは出てきません。
なんでもござれという方はネタばれを含む注意書きを見ずに物語へお進みください。
高い木々が聳え立ち、鬱蒼と茂る木々の隙間には一様に影が下りる。
しかし、犠牲のもとにしか成り立たないのは陽樹だけであり、ダンジョンの奥地に形成されたコミュニティであるここ――ミステリージャングルに暮らす者たちは豊富な日光を求めていくらでも移動してその日光を全身に受けて光合成をする。
草タイプの理想郷ともいうべきこの場所の中心部に、濁りながらも豊かな水をもたらす巨大な水源――大河に寄り添うようにして、樹々の上下にポケモンの住処が形成されていた。
その中でもひと際高い樹に作られた割かし豪華な住処のふもと、ソプラノボイスな女の子の威勢の良い声がこだまする。
「まーだ終わらへんのか?」
肉厚の尻尾を持つ緑の体躯が特徴的なポケモン……キモリが壁――樹皮にひっついて突っ立っている……というのだろうか?
「あ、あのですね……種族柄、万能と呼ばれる私とて全能というわけではございませんので……」
お相手をしているポケモンは困り顔で頭をカリカリと掻いた。
「ふ~ん……ウチを待たせるんかアーキス。アンタ、大層いい御身分やのう?」
彼女の凄みを持たせて紡ぎだされるセリフの数々はとてもその小さな姿から発せられているものとは思えない棘を含んでいる。
「いえ、セフィロス様ほど良い御身分では……ございませぬ。ったく、わがまま娘め」
アーキスと呼ばれたポケモンは最後のセリフを"超"が付くほど小声で言った後、セフィロスと呼ばれた少女と眼をそらしながら必死で自身の尻尾を動かし続ける。真っ白な体に隈取りしたような目、ベレー帽をかぶったような頭頂部。熱帯のここでは日中は体温調節のために常にさらけ出されたピンク色の健康的な色の舌。
そして、何よりも特徴的なのは尻尾の先から染料のようなものを分泌出来ること。このアーキスと呼ばれたポケモンはドーブルである。
この二人、代々主従の関係が続いている、主人と従者なのだが、このセフィロス(といってもアーキスより遥かに年上ではあるが)代々続く従者に絵を描いてもらうのが趣味であり、それぞれの第ごとに違う絵の癖や上達の過程を見ることを
それだけならばいいのだが。ものすごくわがままで、人使いが荒い。リズミカルかつ軽快に他人へ危害を加えるという癖などもなかなかに刺激的な彼女の特徴だ。
「なんやと? いまのウチ……耳が腐ってたんやろうか? ふむ、あれやなぁ……"転がる石に苔は生えん"言うし……ちょいと腐る前に転がってみた方がええんやろうか?
せや、そうに違いあらへん。いっくで~~♪」
そう言ってセフィロスはにっこり笑いながらアーキスを睨む。どうやら小声で言ったつもりのセリフはきっちり聞こえていたようである。こうなってしまえば、其の先はリズミカルに危害を加えられるお仕置きタイムが手ぐすねを引いて待ち構えている。
「ヒィッ……」
キモリは"転がる"技は使えないはずなのに、なぜかこんなにもアーキスは恐れているのか、疑問に思う者もいるだろう。確かにキモリは"転がる"を使えない。
でもアレは……あの子はキモリというのだろうか? と、聞かれれば違うと答えざるを得ない。
「セフィロス様……お止め下さいませ。……えーとこれだ、謝罪のマークを額に刻みましたゆえこれでなにとぞお許しを!!」
アーキスがそう言って"謝罪"を意味するマークを額に描いたが……
「言い訳無用やねんな。生意気な口を利くような奴は断罪やゆうたやろ?」
謝罪は空しく空振りに終わり、緑色で肉厚な尻尾を持ったポケモンはみるみる姿を変えていき……あら不思議、ゴローニャに早変わり!!
「タネボーころころどんぶりこ♪ お池にはまってさぁ大変♪」
ゴローニャにあるまじきソプラノの歌声で軽快に歌ひながら……セフィロスはアーキスに迫る。あぁ、怖い……
「バンレイシィッ!!*2」
まるで熱帯果樹のような叫び声を上げながら、
アーキスの場合は尻尾が紐の役割を果たして、真っすぐと飛んで真っすぐと落ちていったとさ。何とか受け身を取って頭から着地するのは防いだものの、見せる表情はものすごく痛そうではある。
「アイタタタタタタ……セ、セフィロス様……荒っぽすぎま……」
「ドジョッチ出てきてこんにちは♪ 坊ちゃん一緒に遊びましょう♪」
ゴローニャにあるまじきソプラノの歌声で軽快に歌ひながら(ry。
「ジャボチカバァッ!!*3」
時間を重ねるごとに徐々に加速するその技は、1回目ですでに痛そうな顔をしているアーキスには酷である。まるで熱帯果樹のような叫び声を上げながら、
「タネボーころころ 喜んで♪ しばらく一緒に 遊んだが♪」
ゴローニャにあるまじきソプ(ry。
「ランブータンッ!!*4」
まるで熱帯果樹のような叫び声を上げながら、さらに威力が高まっているので
「やっぱりお山が 恋しいと♪ 泣いてはドジョッチ…… あ、くそ……よけられたか。3番も歌いたかったのに」
ゴローニャにあ(ry。アーキスは……生きているだろうか?
「あぅ……たくさんのトロピウスが……ジュカインが……ハヤシガメが見える……死ぬ前に……熱帯果樹が………食いたい……………水でもいい」
そんなことを言っている間にも、アーキスは自身の体にアクアリングを纏わせて回復を図ろうとしているあたり、彼にはたくましさがうかがえる。
「ふう……まぁええわ。今日はこれで許したる。さ、そんなにちまちま治しとらんで、早いとこキモリなウチが壁に直立している絵を描いてくれへんか?」
そう言ってセフィロスは再びキモリに戻っていった。このアーキスの苦労は絶えそうにない。
・
・
「セフィロス様、終わりましたよ」
ヒィヒィゼィゼィと息切れするわけでもないが、
その出来を見ては、満面の笑みを浮かべて『よう描けとるやんか』と褒め称える。そして、アーキスの頭をなでなでと……ちなみにヨノワールに変身して。
「お嬢……様。もう少し良いポケ選は無いのですか?」
その頭がすっぽり覆われそうな大きな手には、アーキスも思わず顔をしかめるが。
「なでなですんのに、これ以上ええポケ選があるゆうんか? 文句言わへんと、アンタはウチの言うことにウンウンうなずいとったらええんちゃうんか?」
セフィロスはこの調子である。
「まったく、セフィロス様には敵いませんね……はは」
こういったやり取りはいつものことであるため慣れっこである。こんなわがままなセフィロスに振り回されて何が嬉しいのかとも考えるであろうが、それはこのアーキスが極度にドMなわけではない。
彼女の仕事は作家とでもいうべきか、遠い世界を回って色々な出来事を記しては、それをこの地に住む民に聞かせてあげるのだ。
気ままな旅……と聞けば聞こえは良いが、多くのポケモンはその土地の風土に合った暮らしをしていて、風土にあった体をしている。つまり、環境の違う場所へ旅するのは過酷な旅となってしまう。
しかしそんな一般のポケモンの事情を軽く無視して、あらゆる環境に適応できるのは、セフィロスの特権であった。
「では、私はこれにて……少々休ませてもらいます故」
「ええ~……まだまだウチのこと描いてくれへんの?」
「もう、尻尾からは何も出ませんよセフィロス様。一応白と黄色の2色が少し残っておりますが……無茶はさせないでください。というか体中が痛いのですよ……岩タイプの攻撃が効いたようです」
「ほむ、ウチのせいやって言いたいんやね? 生意気やのう」
「いえ、滅相もありません……」
そう思っていることは絶対にバレバレというか、こうなっては取り繕いようもない。アーキスはセフィロスの心の中に燻ぶる嵐が過ぎ去るのをひたすら祈るしかないのである。
「ふ~ん……ま、ええわ。今日はもうお休みや、アーキス。また明日も絵描いてもらうさかい、体調崩されたらかなわへんからなぁ」
「御意にございます……ふぅ……疲れた……」
肩を落とし、尻尾を引きずるように垂れ下げ、舌を出しながらとぼとぼと自分の住処へ帰る後ろ姿からは、哀愁がまるでドリアンの匂いのように漂ってくる。
これが、セフィロスが滞在している間中、毎日続くのだから体に負担がかかるという他ない。
「ああ……美味しい。やっぱりバナナはフライに限る……」
そんな疲れた日でも、家にストックしてある完熟した熱帯果樹でも食べて疲れがとれる。これもセフィロスが滞在する時限定な彼の日課である。こうしてアーキスの日々は過ぎていくのだ。
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・
日々は忙しくも確実にすぎていく。今日はセフィロスが旅立つ前日である。今日のセフィロスは旅の食料を準備するためなのか、燻製肉を作るためにバシャーモに変身していたが、ようやくそれも終わったようである。
「セフィロス様。改まってお話とは如何なさいましたか?」
「う~ん、今日はね……あれや。いつも私が指定するポケモンをモデルにして描いて貰っているやんか? だからぁ……今日はアンタが描きたいポケモン、描きたいポーズで書かせてあげようかなぁ……って」
今日はセフィロスの雰囲気が、何かいつもと違う。このアーキス、代替わりしてそれほど時間がたっている訳ではなく、まだ旅に出るのを見送るのは2回目である。まだそんな短い期間しか従者として仕えている訳ではないので、こんなセフィロスは新鮮であった。
「ふむ……それは光栄でございます。ですがセフィロス様、一体いかなる心境の変化でございましょうか?」
「いやぁ……最近はずっとウチの絵描いてくれたおかげでアンタも上達したんとちゃう? さかい、アンタが一番描きたいもん描かせることでどんだけ上達したかみてやんのや」
「うぅむ……では……」
アーキスは腕を組んで尻尾を丸めた状態になり少しばかり考え始めた。やがてその思案に結論が出たようで、アーキスは誰にともなく頷いた。
「決めました。私は貴方のありのままの姿を描かせていただきたいです、セフィロス様」
セフィロスはしばらく考えました。セフィロスはミロカロスか何かでも頼まれると思っていたのだろう、少しもじもじとして上目遣いにアーキスを見る。
「ホンマにそれがええんか?」
そういったセフィロスは今までに見せたことのない表情をしていて非常に可愛らしいと、不覚にも思ってしまう。バシャーモの姿はセフィロスの本当の姿でもないのに。
「ええ、私は貴方のありのままが描きたいのですよ」
にっこりと笑ってアーキスは手の甲に"親愛"の意を表すマークを描いて微笑んだ。
「しょ、しょうがあらへんわね……」
セフィロスは燃え盛る毛髪の炎を消し、白い光に包まれながら見る見るうちに小さくなっていく。やがて姿を現した、そのチョコンとした姿は桜色。自分の体長よりも長く細めの尻尾を持ち、大きくつぶらな瞳と可愛らしい耳が小さな輪郭に収まるポケモン――ミュウが姿を現す。
「やはり、セフィロス様にはその姿が一番自然で美しいようで」
アーキスは背負ったキャンバスをテキパキと並べ、自身の尻尾を水で洗い、親愛を表す色とは違う色を出す準備を整える。
「では、その愛らしい仕草をそのままスケッチしたいのですがよろしいでしょうか?」
「もう、照れるやないか……でも、ウチかて二言はあらへん。そのまま描いたってーな」
セフィロスは、照れると言いながらも嬉しそうに、その体勢のままアーキスのモデルになった。
「セフィロス様……表情を変えてはいけませんよ。ふふ、でも笑顔の方を描いてもらいたいと言うのならば……私はそうしますよ」
しばらくアーキスが筆を進めていくと、セフィロスは自分のありのままが一番美しいと言われたことに気分が良くなったのか、機嫌がよさそうに顔を綻ばせている。
「笑顔の方が可愛ええか?」
また照れくさそうにセフィロスは表情を変える。今日は本当にどうしたと言うのだろうか、可愛らしく愛おしすぎてどうしようもないくらいだ。
「ええ、貴方は笑顔の方が似合います」
いつもと違う彼女の様子に気を良くしたアーキスは、絵を書いている間中、何かとそうやって褒めることに終始していた。
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「完成しましたよ。セフィロス様。これは以前描いてみせたセフィロス様の絵よりもはるかに上達した……と言えるのでしょうかね。とにかく、自信作でございます……」
いつものようにキャンバスをひっくり返すと、そこに描かれているのはいい年してあどけない笑顔を浮かべる純粋無垢な少女そのままのセフィロスだ。
「可愛い……ウチってこないな風に見られてんねんなぁ」
念力で手繰り寄せたキャンバスを嬉しそうに見つめながら、セフィロスはさっきよりも眩しい笑顔を見せて歓喜する。すると、セフィロスはキャンバスを大事そうに置いてから、もじもじと恥ずかしそうに上目遣いでアーキスを見つめて、そっとその肩に触れる。
「これ、ウチからのお礼や、おおきに」
そっと彼女の唇がアーキスの頬に触れる。アーキスは呆然としながら頬に残る感触を確認するように指をなぞらせる。
「あ、ありがとうございます……」
アーキスは大きくかしこまって深々と礼をした。アーキスは口調や仕草はかしこまっていても、口がぽっかりとあいている。それが何だか可愛らしい。
「今日はもうあがってええよ。お疲れさん」
キスをするなんて本当に今日はどう為されたのかと、アーキスは呑気ながらにも心配に思う。自分の中でいろいろな思考がグルグルと空回りし、喜々としてキャンバスを持ち帰るセフィロスを見つめている他なかった。
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それから、セフィロスが旅に出られてからの数日間、アーキスはあらゆることが手につかないような思いで、熱帯果樹を齧る日々が続いた。
旅立ちの前日の軽いキスの感触が頬に残り、旅立ちの日の一言『じゃあ、帰りを待っとってな。ウチも帰れる日を心待ちにしとるから』という言葉が耳に深く残っていて、どんな熱帯果樹を食べても味がまともにしないのだ。
使用人という立場でありながらこのような感情を抱くことにはいささか抵抗があった。セフィロスが自分へ秘めたる思いを告白する光景を想像しては首を振ってその考えを振り払う。そういったことを繰り返しては、ため息をついている。
「セフィロス様……私の悩みの種を増やすのはやめてくださいませ」
そう言って自身の考えを否定しながらも、妄想と言うか夢想だけはどうにも収まらず、そんな自分に苦笑してしまう。そんな生活に終止符を打ったのが、数ヶ月後のセフィロスの帰還であった。
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「おかえりなさいませ、セフィロス様」
セフィロス帰還の報を受け、セフィロスが住人の質問攻めやら何やらに手間取っているうちにアーキスはさっそく彼女の家の釜戸に薪をくべる。
「ただいま。いやぁ、最近はずっとあり合わせの材料で作った食事のお世話になていたさかい、舌が寂しがってんのや。何かウチに作ってくれへんか?」
その数分後、火をつけて怒涛の速さで野菜を切りまくっているところで、セフィロスが住処に帰還した。
「ええ、そう言うと思って大至急取りかかっております。その砂時計が落ち切るくらいまでしばしお待ちを」
帰ってくるなりセフィロスが食事を要求するのはもう定番で、いつものセフィロスだと安心したアーキスは早速大量の食事を作る。身長に3倍の差がある彼女は食べる量は27分の1*5かと言うとそうでもなく、自分が食べる2~30倍くらいがちょうどいいくらい食べてくる。
自分が作った料理がそれほど評価されているのかと考えれば嬉しいことこの上なく、とても名誉なことである。
そのためアーキスはこれに使う技も様々覚えている。普通に薪の火に頼ることもあれば、焙ったり火力を強めたりのために自身の炎を使うこともお手の物であり、冷却や食材を刻むこともその器用さを遺憾なく発揮する。
そうして出された料理を、元の姿――ミュウの姿で食べてくれれば楽なのに、何を訴えたいのかベロベルトの姿で食べるセフィロスは中々に……野性的というか、なんというか。
ベロベルトは一番味覚が最も敏感な種族だから……というのは納得出来ても、そのはしたないとさえ言える姿にはさすがに苦笑する他ない。
「おいしいですか? セフィロス様……」
ただ、はしたなくとも夢中で食べる姿は、料理を作った者にとっては嫌いになれるはずもない。その光景を嬉しそうに見て、アーキスは微笑みながらセフィロスに話しかけるのだ。
「ふふ、ごっつうまいわ。おおきに、アーキス……」
集落の所々に湛えられた湧き水は濁りなく透明であり、その澄んだ水をフィニッシュでも決めるかのように一気飲みしたセフィロスは掛け値なしのお礼を言う。
その時見せた屈託のない笑顔は、以前絵を描き終えたときのモノと同様で、アーキスはひとまずの安堵を浮かべる。
あの時のこと――軽いキスや『帰れる日を待っている』という言葉は何かの間違いか――などと、アーキスが油断したのもつかの間。
「つ~かま~えたっと♪」
ベロベルトの底なしに長い舌がアーキスの体に巻きつく。それとともに、シュルンとゴムの木で作られた紐のように引き寄せられる。アーキスの顔面のすぐ近くにセフィロスの顔。
それがベロベルトであっても、素顔の美しく愛らしいあのミュウの笑顔が脳裏に浮かんでくると、どうしても……照れてしまう。だが、照れよりももっと重要な感情として、恐怖が否応なしに浮かんできた。
ぬめぬめと唾液に
「ふふ、ベロベルトの舌には物溶かす成分があってな、ずっと触れとったら痺れるんやで。さ、このまんま溶かされたいかウチの我儘聞くか、選びぃや?」
セフィロスの空恐ろしい言動を肌で感じながら、アーキスは黙って頷くしか生き残る道はない気がして、恐怖心から逃れたい一心にてコクコクと壊れたおもちゃのように首を振った。
「素直でよろしい。では……我儘っちゅうのはアンタに私の相手をしてほしいゆうことやねん」
「な、何のでしょうか……セフィロス様。セフィロス様は私をからかっておられるのですか?」
脳内で夢想を繰り返したセフィロスの告白がまさかこんな風に……いやまぁ、予想の斜め上を行く告白の方法ではあったが。
「いただきます……そしてさいならアーキス。せめてもの情けっちゅうことで残さず食べたるわ」
冗談なのか本気なのかは分からない。ただ、セフィロスならば口の中に入れられて窒息させられるところまでは恐らく
全力で叫ぶ。
「お相手いたします。ですから……ゆる、許してくださいませ……」
やはり凶悪極まりないセフィロスの本性を警戒するあまりそう言ったセリフが自然と流れでてしまうのは仕方がないことなのか。アーキスは情けないなと自分を呪いたくもなってしまう。
その気になれば心眼によって絶対零度の息吹を
「素直やのはええことや♪ ま、相手っちゅうんは、多分アンタの想像通り大人の遊びの相手やで」
そう、とんでもないことを言いながらアーキスを解放したセフィロスは、見る見るうちにゴウカザルに変化した。
「ミミロップなんかここじゃ見慣れとるんやろうし、ゴウカザルならあんまり見たことあらへんやろうからちょうどええかな?」
そう言って燃え盛る毛髪を揺らめかせながら、アーキスに足払いをかけて押し倒す。セフィロスはこのゴウカザルの姿が身軽なこと、アーキスと身長が近いために同じ目線で話せることで気に入っているのだが、こういった格闘技にも使うとは思ってもみなかったことだ。
「ふぇ……セフィロス様……どうかお手柔らかに」
恐怖と、セフィロスのゴウカザルとしての雌の象徴が見えるような体勢になっているという二つの要因のせいで、アーキスは目のやり場に困ってしまう。目を合わせると怖いし、胸と股間は見ていられない。
結局どこを見ればいいのか分からず、目を瞑ると余計に怖い。結果的に目を泳がせるしかないのだ。
「……そんな怖がっとったら楽しめるもんも楽しめんやないか。せや、まずは恐怖を無くすことから始めたろか」
そう言って変身したのはロズレイド。ここ、ミステリージャングルでは見慣れたポケモンである。
「ウチの甘い香りで悩殺したるわ……」
言うが早いか、頭と両手から漂ってくる甘い香りが脳髄をまさぐる。ロズレイドと言えば普段は紳士だが、狩人に転じる時は『甘い香りでおびき寄せて、両腕の花束の中にある棘の生えた鞭で仕留める』ことで有名である。
他人を引き付けるほどのその香りを、今はおびき寄せるどころか至近距離で――ましてや馬乗りになって首元に花束を添え、その上口づけをすることでアーキスは鼻でしか息を出来なくさせられているからたまったものではない。
その上、口づけで交換し合った唾液がまぶされた舌に感じる味は、蜜が含まれているように甘い、いや……甘酸っぱい。
匂いと味がここぞとばかりにアーキスを攻めたてている。
感覚は混ざりあい、セフィロスとアーキスの体の境目も、味覚と触覚と嗅覚の間にある相容れない壁すらも取り払うようにすべてがリンクして感じられる。
舌が動くごとにその味は変幻自在。舌の動きに合わせて鼻で呼吸をすれば、甘い香りが脳髄から延髄まで侵し尽くす。聴覚や視覚は麻痺してしまったように何も映していないし何も聞こえない。
最も重要な感覚であるはずの二つは、セフィロスの容赦ない行動が、そのすべてを記号と同義に変えてアーキスの心を奪っていた。
アーキスは恐らく呆然としているのだろう。感情を失ったとも、驚愕以外の感情が全て失われたともいえる。だが、きちんとそれ以外の感情も持っているようで――しつこすぎるほどしつこい甘い香りとキスの攻めによってその下半身は否応なしに昂ぶらされている。
「セフィロス様……御気は確かですか?」
ようやく以って口を離されたセフィロスに、半ば怯えるような目でアーキスは尋ねる。
「当然やん、ここまでやって中断するん? そんなんはお天道様が許してもウチはゆるさへんよ」
今度のセフィロスの行動は馬乗りになったままアーキスの顔に背を向けることだった。左腕の青い花弁はいまだに鼻に押しつけるようにして、セフィロスは赤い花弁に包まれた鞭を伸ばす。背中に隠れて死角になっていたために、何をされるのか具体的には分からない……が大体は分かる。
素直に立ち上がった雄の象徴を、鶴の先端の棘のない部分まで巻きつけて、握りつぶされるように感じるくらい、強く絞めつけながら上下に扱く。
「あうあ……ぁセフィロス様……痛いです。お止め下さい……」
呻くようにそう言いながら、快感と苦痛で綯い交ぜの表情をするアーキスの事を気にすることもなくセフィロスは扱き続ける。
仰向けになったまま本能的に腰を上下させてしまうのは、行為の快感が判る年を迎えている生物の悲しい性か、落ち付き払った心臓は再びその活力をとり戻し、普段その存在を自覚しない心臓も口から飛び出ようとでもするかのような激しさを、馬乗りになっているセフィロスにすら知覚させている。
「痛くあらへん刺激やったら満足できるんか?」
また体の前後を入れ替え、息が触れる距離まで顔を近づけ一言。童顔の多いロズレイドにおいて、妖艶な笑みなどあまり予想はできない。
だが、確かな童顔の下に秘められた情欲がセフィロスの顔を酷く大人に見せて、心臓が握りつぶされたように
それは甘い香りのせいでもあったのだろう、五感ともう一つ得体のしれない第六感も総動員してアーキスに魅力をぶつけてくるから、否応なしにアーキスも昂ぶらざるを得ない。
「なるべくは……そちらの方がいいです……」
そう言ったアーキスの声は泣きそうな声であった。だが、痛みがないくらいでは良い方向へ向かっているとは言えないことを、アーキスは薄々感づいている。
「まぁ、ええわ……そろそろやな。アンタ"変身"っちゅう技覚えとるかわな?」
それでも言いなりになるしかない、骨抜きにされたアーキスを見て、セフィロスは頃合いと判断したようで何事かを提案する。
「ええ、まぁ……以前セフィロス様が、どうしても覚えろと仰ったので……セフィロス様のように一日に何十回も出来ませんが」
うまく働かなくなった頭で何とか返答をする。アーキスが後悔したのは相手の反応を待つ前だ。
「じゃあ、ウチに変身してぇな」
何に変身させられるのかと不安に思いながら後悔していたアーキスには朗報だった……のだろうか? 怖いことをされるわけではないと分かると、少しばかり安心したようにアーキスは安堵の息を漏らす。
「かしこまりました……では、変身させていただきます」
アーキスはセフィロスに怖い事はされないと思って安易に変身をしてしまったが、はっと思い返せばまともな結果になる気がしない。
だがアーキスが後悔したころにはもう遅い……とはいえ、どうせ逆らうことなんてできないしね、遅いかどうかなんて考えるのは無粋かもしれない。
「はぁ……ウチってこんなに可愛いと思われとるんか? というか、美化しすぎやないか、アーキス?」
アーキスの変身に大いに満足したのか、セフィロスは上機嫌になっていた。
「いえ、鏡を見る限りでは……私は違和感を感じませんが」
アーキスは手鏡を持って自分の顔を確認する。間違いなくセフィロスそのものである。
「せやなぁ……そんなら、いくらでも教え込めるなぁ」
何やらセフィロスが口ずさむ不穏な言動に、アーキスは背筋を凍らしてしまう。怖い……それでも、聞かずにはいられないのが好奇心という甘い罠……
「と、言うと……?」
背後にいるセフィロスの眼を見るのが怖くて、セフィロスの姿のまま手鏡を見たまま立ちすくむアーキスの後ろには、アーキスの姿をしたセフィロスが立っていた!?
「いや、あの……何を?」
さて、これ以上の恐怖はこの世にあるのだろうか……?
「もし、ウチの了承なしに変身解いたら相応の仕打ちは覚悟するんやで?」
予想できる範疇をはるかに超えた現実が彼に突き付けられた。
セフィロスがアーキスとして集落に繰り出すとか、そういった替え玉的なことはこれまでも何回かやったことがある。しかし、今日のようにアーキスがセフィロスに変身させられたのは初めてだし、アーキスに対して性的な刺激を加えたことなどもちろん初めてだ。
「かしこまり……ました」
もう、なるようになれとしか思えず、言葉を詰まらせながら、来るなら来いと手鏡を元の場所に置く。
「ふふ……」
セフィロスの小さな笑い声と一緒に、アーキスの下腹部に這うのは柔らかい毛の感触。痰や鼻水に近い感触の粘液――本来は尻尾から分泌して、濃さを調節して色を薄めたり、塗り味を変えたりなどに使うその粘液を伴って。
くすぐったく、むず痒く、こそばゆい。正直不快に感じてもおかしくないし、実際後ろからそれを這わされた時には一瞬顔をしかめてしまった。
続けていくうち、肛門付近の筋肉が僅かにぴくぴくと動くような気がして、それが肛門ではなく雌の象徴の周りの筋肉である事に気がついた。どうやら雌に変身したら体は雌として正直に反応してしまうようだ。
それでもアーキスは、『私はセフィロス様の姿でなにを感じているのだ……』などと呑気に考える余裕はまだまだあった。まだ、意識は働いている。
ていうかさぁ、アーキス……アンタは自分の姿でセフィロス様にこんな事をされるのは構わんのですかい?
今まで直立するように宙に浮かせていたアーキスの体は、貞操を差し出す様にうつ伏せ状態になっている。時間の経過に伴い、筋肉がぴくぴくと動く理由が快感であると、予想や知識ではなく実感として分かってきた。
「……ぬぁ……ぅ………うぁ……勘弁……して」
無意識のうちにあえぎ声が漏れてしまい、気付いた頃にようやくアーキスは口を閉じる。セフィロスが終始無言だから、アーキスは無意識でやっていることに気がつくのがどうしても遅れてしまう。そもそもアーキスは、男として女性を相手にした経験すら少ない。それでは、女にさせられては意識しづらいのも当たり前だ。
無意識の反応は当然それだけではない。筆のような毛でしか与えられない淡過ぎる感覚にもっと強い刺激を欲して、自己の中でその刺激を生み出して完結させようとでも言うように体が身を捩ってしまう。
この程度ならば自分の意思で割と簡単に止められる程度の反射でしかないが、それを意識するにはアーキスは未熟で、セフィロスの生殺しの感覚も絶妙だった。
アーキスの心の内にある、『このまま辱めと生殺しが続くなら、早々に終わって欲しい』という願いが段々と高まってきた頃のことだ。
その願望は半分成就し半分潰える。生殺しは続かない、だが……辱めは続くのだ。
「お、終わりですか……?」
セフィロスが操っていた筆のような尻尾が下腹部から離れる。アーキスはようやく解放されたことに安心して、今まで押し込めていた呼吸の帳尻合わせをするように荒い呼吸を開始する。
「んなわけあらへんやろ? まだまだこれからやから、こんくらいでへばっとったらあかんで?」
「うへぇ……」
次は舌。セフィロスはアーキスを仰向けにひっくり返した後、腕に抱いたまま舌を下腹部に這わせる。その舌は味を感じるだけでじゃなく体温調節をするためにも使うため幅広く大きい。そして、水をすくい取るのにも適したその舌の筋肉は強靭でサーナイトやゴーリキーのような構造の口を持ったポケモンと違い、上だけでなく下にも自由に曲がる。
それで舐めるというのは、上記のポケモンにやられるソレよりもはるかに快感を伴うもので、いまだにセフィロスの姿から変身を解いていないアーキスから弱々しい抗議のセリフが発せられる前に体が跳ね上がって言葉を押さえつけられる。
上げる嬌声は心の内にくすぶっていた背徳や羞恥など何処吹く風で、ただ単に快感に突き動かされた横隔膜と声帯が鳴らす効果音の一種のようなものだった。男性として生きてきたアーキスにとっては、快感の質も量も違う女性に変身した自分の下半身が別物のようで気味が悪く、それでいて強い快感が魅力的すぎる。
「セフィロス様……もう勘弁して下さい。耐えられません……」
すでに体が自身の心を無視して動こうとするほどの疼きを抱えているアーキスは、歯を食いしばって下半身に意識を集中しないようにして必死に耐えしのぶ。
だが、いくら意識の外に追いやっても少なからず感じるその快感を完全に抑える術など知るはずもない。アーキスは我を忘れ、仰向けのまま腰を出来るだけつき出して快感を懇願するような体勢をとった。
その時、アーキスが思わずセフィロスの顔に添えた手は、触れただけでなんの力も入っていない。セフィロスの顔を押し付けることで、より大きな快感を得ようとしたのか、もしくは秘所を這う舌を拒絶しようとしたのかは分からない。どちらにしても、どちらかのことをやろうとしてギリギリで踏みとどまった彼だけが知ることである
そういった一連の動作は全部無意識で行われていた。アーキスの意識が正常に戻ったころには、自分がやっていた腰の突き上げは終わっていたことが彼には幸福なことだったのかもしれない。アーキスが気が付いていないことで、セフィロスが気にしていないことならばきっと永遠に問題になることなんてないのだから。
意識が明白になり、不意に感じた何か――液体が体内を通り過ぎる感触。それが放尿――失禁という事に気が付いた時は、幼いころに経験したおねしょよりも遥かに性質の悪い恥ずかしさがアーキスを襲う。
それに対して、嫌な顔一つしないどころか、何も言わずに喜々として掃除しているセフィロスが逆に怖い……というか怖すぎた。そして理解した。
「セフィロス様……まだ、続けるのですね?」
と、言う事を。
不覚にも絶頂を迎えてしまったことで、しばらく口もきけなかったアーキスは、セフィロスの表情を見るとやめてもらえる可能性はゼロという事が理解出来ているのに、思わず聞いてしまう。
「うん、そのつもりやで。嫌やった?」
質問にはそっけなく答えられ、お返しとして突き付けられたのは意地悪な質問。正直に言うと嫌なわけがないのだ。セフィロスにあんなことをしてもらうのも、あの快感も忘れられない。出来ることなら口に出してしまいたいくらいだ……『もっとやれ』と。
だが、それを口に出すのは恐ろしい。自分が誤っているような気がして――むしろセフィロスを止めないことが過ちだったのかもしれない。だが、逆らうことも出来ないし、双方が少なからず続きを望んでいることを肌よりもはるかに深い所で感じていて……それが枷になってセフィロスを止めることが出来なかった。
「恐らく、セフィロス様の思っている通りですよ……やはり私をからかって楽しんでおるのですね? 貴方にあのようなことをされて……嫌なわけないではありませんか……はは」
自嘲気味にそう笑ったアーキスはもはや覚悟を決めていた。セフィロスから越えてはならない一線を踏み越えるのだったら、どうぞ踏み越えてもらおうじゃないか。
セフィロスの行動をすべて受け入れることこそ私の務めだ、とか開き直ってみる。
「ですから、もう続けるのかどうかを聞くのは止めにします。貴方の気が済むまで私を
アーキスは言うことで、いろいろ吹っ切れた気分と同時に何かをいろいろ失ったような気がするが、それはもはや気にすべきことではないのだろう。
セフィロス様が私にこういうことをするのが目的ならば快感に身を任せることも誇りにしてやろうじゃないか、などと心の中で何度もつぶやく。いいのかそれで?
「ほむ、良く言うたなぁ。もっと言わせてやりたくなるわ……
あんたはいいことゆうたが、そら最終目標とちがうんやで……」
「それってどういう……」
「秘密やさかい、その時になってのお楽しみ……やで♪」
「はは……」
もう苦笑するしかなく、アーキスは覚悟を決めた。だが、恐怖と言うか不安が渦巻く彼の胸中とは裏腹に、与えられるものはまたも純粋な快感で、痛みは無い。
このミステリージャングルでは、蔓を伸ばして愛撫するなどと言う行為も普通に行われている。アーキスもまた、どこで知ったかも覚えていないがそれを知っている。
だが、そんなものはこれに比べれば甘い。
「ちょっと冷たいんやけど、我慢してぇな」
突然、飲料水を入れるにしては彼女が持つには不釣り合いなほど大きな
さて、ただ水中で行為に及ぶのならば触手プレイまがいの話など引き合いに出す意味はない。何をするのかと考える間もなく、セフィロスは水に溶けた……
水に溶けることで防御力を上げる技の一種で、シャワーズなどが得意とするこの技、重要なのは溶けたままでも攻撃したり動き回ったりできる点である。ここまで言えばもう、何をするのかは予想が付いたかと思う。
全身に這う蔓や触手など比ではない。体を覆う水の全体が指や手のひらのように器用な強弱をつけて全身を弄るなど、およそ普通に暮らしていれば体験することがない刺激。
セフィロスの姿から、いまだに変身を解いていないアーキスは、水面に浮かんでいるが為に上下左右前後の別なしに悶え続ける。暴れまわっていると言い換えても語弊はなさそうなくらい激しい悶え方だ。
暴れる原因は、地面のようなしっかりとしたとっかかりがない故に体勢を固定する要素がないのも大きいのだろう。もう一つは溺れることへの恐怖心や、この状況を何とかしたい恐怖心によるものだろうか。
だが、最たる原因は、快感によるものだろう。なにせ、口の部分には巨大な水泡がくっついていて溺れる心配はしばらくなさそうだし、殺されたり痛めつけられる心配はないから逃げる必要は無い…
…いや、あるかも?
と、とにかく……気持ちの良い冷たさの水と、それに溶けたセフィロスが毛を分け入って侵入し、撫でまわす。特に敏感な部分を撫でまわすときは体の動きに合わせるようで、刺激を求めるリズムと刺激を与えるリズムが一致する攻め立ては嬉しすぎるほどの快感が走っている。
その状況で吐き出す言葉は意味を為さない叫び声に近いものだった。
どれだけ狭いところでも液体であるからか、関係無しに侵入して入り込み、全身を犯し尽くされる。その挙動は撫でるだけでなく揉んだりこすったりといった動作も変幻自在に行ってくる。
その上に、粘りを持った粘液としての感触も持ち合わせていて滑らせるのも自由自在である。溶けた状態でもそんな器用なこともできるというのか。
アーキスが何とか脱出しようと暴れまわっているせいで、瓶からは水が飛び散り掃除が大変そうな状況になっていて、本来は掃除をすべき立場でありながら、今のアーキスには何も見えていない。暴れまわって床が水浸しになるがままに任せている。
「や、やめて、やめぁぁぇう……やめてくだ…はぁぅっ……」
アーキスはところどころにあえぎ声を織り交ぜながら中止を懇願する。快感に呑まれて徐々におかしくなってしまう自分が信じられずに、これから解放されたいと、ひたすら願った。
しかし、ここでやめるという考えも、一度焦らそうなどという考えも、セフィロスには毛頭ないようだ。
【ええ声あげてんなぁ】
液体の状態では声を出せないため、ミュウとして生まれ持った最高峰のテレパシーで的外れな受け答えをする。アーキスはその後に起こるであろう事態を受け入れざるを得なかった。
当然、そのまま攻められれば、絶頂に導かれるまで時間はかからない。アーキスの限界を感じた水に溶けたセフィロスが膣内にまで侵入する。
アーキスはそれで内部を満たされ、全体を不規則な凸凹をつけながら往復させられて、それが痛みを伴わない絶妙な加減をされた。アーキスは大きく
雌の象徴の筋肉は収縮と
だが、セフィロスが溶けた状態から形のある状態に戻ってぶるぶると体を振るって水気を払うとようやく正気を取り戻す。
「セフィロス様……続けるのかどうかを確認するのはやめると言いましたが……さすがに無理です。これ以上は、私死んでしまいます」
もともとアーキスは体の強い種族ではなく、体力には乏しい。それだけに、至極疲れた様子で焦点の合っていない眼を虚空に向けている様を見せるのも当然と言えば当然だった。
彼の全身がしばらく動きたくないと語っている。そんな状態でもセフィロスに忠義を尽くさなければならないのだから涙ぐましい。
「何言うとんのや、そう簡単に死ぬとか口にするもんやないで? そんな弱気なあんたにはウチからのお仕置きやで?
まぁ、アンタは何もせんでええから、楽っちゃあ楽やけどな……痛くあらへんから安心せぇや♪」
涙ぐましいのは、セフィロスがこんな性格だからであろう。
「ふぇ……」
理不尽なセリフと共に無駄と分かっていながら、アーキスは這って逃げようとした……もちろん赤子の手をひねるがごとく簡単に水から引き揚げられた。
逃げた分のお仕置きも含めてアーキスに与えられる次の攻めはサイコキネシス攻め。アーキスはセフィロスの姿の変身を解くことはいまだに許されずに、床へ押し付けられて動けなくなる。
動けないのは疲れていたのもあるのだろうが、綿毛のようなふわふわした感覚でしかないのに床面に張り付けられてしまっているのが不思議でならなかった。
単純に腕で抑えるのとは異質な力が働いていることに依るのであろうことは推察できるが、なんとも不思議でならない。
アーキスは今度も先ほどと同じく全身を攻めたてられるのは同じだが、二つ違うところがある。
一つは拘束されているせいで悶えながら体を捩ることすらできないということ。
もう一つは徐々に抵抗できなくなる上に……感覚が敏感になっていくのだ。これはサイコキネシスに地味であるが含まれる追加効果である特殊防御力を下げる追加効果によるもの。
体中を撫でられる感覚は、いつの間にか神経がむき出しになっているのかと思うほどに体が敏感になって、徐々に徐々に強烈な快感に変わっていく。
なのに撫でつけられる感覚に耐えられず身をよじろうとしても、どれだけ力を込めてもそれは、首から上や手足の先など、サイコキネシスの戒めが働いていない体の末端以外ではピクリとも動く気配を見せてくれない。
自由は奪われたが、大きな苦痛では無い。セフィロスは求めるままに応じてくれて、焦らすようないじわる"は"、まだしない。
体力が根こそぎ奪われるような疲労が生じさせるのは十分意地悪な気もするが……それはある最終的な目標のために仕方がないこと。体力が無尽蔵に存在するハピナスのような種族ならば恐らくは疲れなんて感じなかったのではなかろうか。
とにかく、その目的のために今……セフィロスはこうして、攻めて攻めて攻めまくるのだ。アーキス自身も満更でもなさそうだから、極悪非道とまでは言えないが……色々問題あるよねぇ?
自由になっている首は、激しいリズムを刻む曲で興奮した指揮者が狂ったように振るう指揮棒のように激しく振られている。
叫びながら暴れまわるその姿は、首から上だけを見れば拷問をしているように見えなくもない。
それらの行動が、性感帯というか、俗に言う敏感な部分はまだ攻めていないというのに行われているというのが恐ろしい。
特殊防御力を極限まで下げられると、一番重要なところに触れられずとも相当な快感を感じられるのだ。
では、その状態で割れ目を刺激するとどうなるか。
「あわをぉぅ……」
などと、アーキスは斬りつけられたような快感を感じて意味不明な叫び声をあげる。拘束していなかったら酷く暴れまわっていたかもしれない。サイコキネシスに対する抵抗性が皆無になりつつあったその時には、どんな抵抗を弄そうとも体を戒めから解くことが出来る気配は皆無だ。
「ひぃやわぅぅぅぅぁ…………ふぁ……ぅぅ…………はふあぅぃ」
アーキスは腕に筋が浮き上がって見えるくらい力を入れても身動きできず、全身が床に張り付いて絶頂を迎える準備は何一つ出来ないまま、ほどなくして3回目の絶頂を迎えた。
今度は目も閉じられていて意識はほとんどないようだ。こんな状態で続けてやっても意味はないだろうかとセフィロスは考えた。
そのため、アーキスに対していつの間にか課せられていた、今日の課題である受けのパートは終了である。
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セフィロスの種族はミュウ。すべてのポケモンの遺伝子が刻まれていると言われ、あらゆるポケモンの姿をコピー出来、またあらゆる技を使いこなすことが出来る。従者のアーキスは、身体能力こそミュウより遥かに下だとしても、それを補って余りある模倣能力はミュウすら超えるため、ある意味では至高のポケモンである。
セフィロスは同種の仲間が少ない種族柄故か、自分とアーキスが似ているということで安心するのだ。だからセフィロスはどれだけ代を重ねてもアーキス以外の従者を雇おうとはしない。
でもそれは、表向きの理由……
「ほむ、取り急ぎ覚えてほしい性技は一応みんな体験させたさかい、あとはスケッチの能力でおぼえさせてウチに実行させるだけやな。
それにしても、アンタは万能だけど全能じゃあらへんか……ウチも同じやで。相手がいないと十分な快感なんて得られへんのよ♪
ほんまに全能やったら一人でも十分やさかい、ウチも全能なんかやあらへんわ」
明日からは攻めの訓練が始まるのだ。そう、アーキス特有の至高と言える模倣能力を駆使させられて、完璧なる奉仕をさせる。
そのためにセフィロスは彼の姿に変身して、彼を自分の姿にさせてまでこんなことをしたのだ。旅立つ前日のお絵描きも、キスも、思わせぶりなセリフもすべてこのための布石だった。別にそう言う趣味があると言う"だけ"の理由では無い。
その日、部屋の掃除はアーキスではなくセフィロスが自分でやった。いまだにセフィロスの姿のままぐったりとしたアーキスは一人で帰れそうな気配では無かったので、泊めてあげる。
セフィロスがアーキスに大好きな熱帯果樹を好きなだけふるまったり、やわらかな寝床で添い寝するように一緒に眠らせたり……と、二人は姿どころか主従まで逆転したような夜を過ごした。
そして二日後……攻めのパートを終えて魂が抜けたような表情でふらふらと帰っていくアーキスを見送り、セフィロスは一人ほくそ笑む。
「16代全部の性技覚えさせるのには時間がかかりそうやけど……やっぱアーキス……いつ見たかて飲み込みが速い。すべての技教え込んだ後は、新たな技編み出してくれるほど従順に……貪欲に……ふふ、何代目までも続けて、伝えて、絶やさず、続いて欲しいな。
アンタもウチのために……ずっと仕えてな、一代目執事ミラベル=アーキスの血筋の子……17代目執事アーキス=ミラベル=アーキス君」
裏の理由は、セフィロスと歴代の従者だけが知っていること。今日行われた一日目の訓練は平穏無事に終了した……後日、アーキスはまたあの日のようなものすごい攻めを受け、また奉仕の訓練を受けさせられるのだろう。
アーキス本人が幸せだと本心から言ってくれれば、すべては丸く収まるのだが……そう上手くいくものかねぇ?
まぁ、アーキスは満更でもなさそうだから。
大会に出した作品のなかでは4位……不覚です。何が不覚かっていうとね……私の上にいるのは全員ブイズが主人公なんだよなぁ……それが悔しい。某SS様に『そんなにブイズ嫌ですか?w』と尋ねられましたがそうではありません。むしろ好きです。
スマブラでメタナイトを自重するのと同じ心理です^^と言ってもスマブラプレイヤーでもなければわかりませんか、一応説明しておきます。
メタナイトは最強性能のキャラともっぱらの評判なのです……そのせいかタイマンスレでは敬遠されがちと、某MH様が仰っておられました。
ミュウはともかくドーブルは、NOVI氏しか使っておられませんので……いいかなぁと思って。で、ブイズてんこもりに負けないぞと意気込んでみたものの……結果は乾杯× 完敗○
とはいえ、優勝作品の『めざめるパワー』には真っ向勝負をしても勝てる気はしませんけれどね^^ あれはフライゴンサイドでも優勝できたことでしょう……シンクロの問題があるかもしれませんけれど。
まぁ、そんなわけで票をくださった皆様はありがとうございました。
ドーブルって見た目悪くないし、便利すぎるほど便利なポケモンなのに案外誰も使っていなかったんですね。これまた便利すぎるポケモンであるミュウとCPさせてみると、なんだかとんでもなく尻に敷かれている物語が出来あがってしまいました。
……書いていて、どんどんキャラが勝手に動いていくのですが大筋から外れることもなく形として纏まったのは幸いです。
こんなのを描いているうちにドーブルがたまらなく好きになりました。願わくばこの苦労人なアーキスに幸あれ!!
え~……このミュウはセフィロスです*6。セフィロスの名前を出すと微妙に規則違反な気がするので大会期間中は『お嬢様』と呼称しておりましたが、大会の終了に伴いセフィロスに改めました。
このお話では、オルドラン城のミュウが恐らくは500以上生きていることから、無茶苦茶な長寿という設定になっており、無限の思い出をドーブルの従者と共に刻んできた……と言った感じです。
代が変わるごとに教育しなおすことを楽しんでいるのか面倒がっているのか、私としてはどちらも感じているのだと思っております。今回は取り急ぎ覚えてほしいと言っているあたり、数ある性技の中でも強い快感を与えるもの……なんでしょうね。
この子はのちに不治の病を患って、その後いろいろと……と言う事で、今のところTGSや漆黒の双頭に関連するエピソードとしては最も古いエピソードとなるのでしょうか。
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最後に、お読みいただきありがとうございました