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一人と独り

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ここは暗くて森の奥のところ。私はそこでひっそりと暮らしていた。
なぜこんな所に住んでる理由は私がアブソルだからだ。
大半の人間は私達アブソルを見ると災害が起こり、呪いをかけられると言う伝承を信じてる。そして私達を見つけるとそれが起きる前に始末するだと言う。
だから私は人間に見つからないようこの森の奥で1人で暮らしている。昨日までは…

「アブソル~どこにいるんだ~?」
「…お前の近くの木の上だ」
「ん?あぁそこかー」
このポケモンはウインディ、昨日この森に入り、迷っていたところを私が家に連れてった。
訳を聞いたら人間のポケモンだったが、捨てられたらしい。その理由は彼よりも強いウインディが手に入ったからだ。
なんとも自分勝手な人間だと思った。どうしてそんなことを平気でやれるんだと私は内心で怒りを覚えた。
その時は情が移っていたのか、彼を家に招き、なおかつ一緒に暮らそうと言ってしまった。
その結果今に至る。
「よっと、ふぅ~ここに上るのって結構大変なんだなー」
「…そうか?私にはどうってことないけどな。」
今まで誰かと接するのを避けていたからか、誰かと一緒に暮らすことになったときはどうすればいいのかわからないままだった。
そのせいか、今も少し冷たい感じで返事を返してしまうことがある。
「俺は元々木に上る機会なんかなかったからこれが初めてなんだ」
「そうか、ならひとつ言っておく。ここはまだいいが、細い枝に上るなよ。お前の体重じゃあ折れてしまう。」
見た目でもわかる通り、彼の体重は軽く私の体重の2倍以上ある。
今乗っている枝は太く、まだ地上に近いところだから良いが、これでも結構音を発てているのだ。枝が折れてしまう前に降りるとしよう。
「私は今日のご飯を採ってくる。住みかに戻るか、そこで時間を潰しても良いが、あまり遠くに行くなよ。昼でもこの森の暗さはお前にとってはきついだろう。」
「あぁ、俺にも木の実の場所教えてくれよ。ここに暮らすなら覚えておかねぇと。」
「わかった、じゃあ付いてこい。」
こうして私とウインディは木の実の実る場所に行った。



「ここが木の実が実る場所だ。」
「おーすごい木の数だな…」
この辺りには住んでいるポケモンも少なく、人間もこの場所を把握仕切れてないため、木の実は毎日充実している。
「ここには辛い、苦い、渋い、酸っぱい、甘い味のする木の実全て揃っているから好きなのを食べれるだけ食べていいぞ。」
「本当か!?じゃあ遠慮なく」
クラボ、カゴの実を沢山採っているということは辛いか渋い味が好きか?あ、ナナシの実も食べた。
私が彼の食べてる味を気にしているのはここにはフィラ、ウイ、マゴ、バンジ、イアの実が実っている。それを嫌いな味とわからず食べて混乱してしまわないように気にしているのだ。けど、彼はその場にあまり動かず食べ続けているから心配はないだろう。私も食事をすることにしよう。私は甘い味が好きだからモモンの実を食べる。この辺りは本当にやって来るポケモンは少ないため、ウインディがあんなに食べても大丈夫だろう。そんなことを思いながら私は今度はマゴの実を食べに行った。


昼と夜の分も採り終え、ウインディも同じく食べ終え、昼と夜の分も持ち、帰ることにした。*1


昼はウインディと一緒に昼寝をした。光があまり届かないこの森でもある場所だけ昼に日が指しこむ所があり、そこで昼寝をした。


そうしているともう夕方になった。私はウインディを起こし、住みかに戻った。もちろん夜は夜行性か、暗いところでも目が見えるポケモンでなければすぐに迷う。だから私達はすぐ住みかに向かった。ちなみに私でもたまに迷う。それがここにポケモンが少ない理由でもある。

「んーよく寝たな~」
「そうだな。さ、ご飯にするとしようか」
無事住みかに帰った私達はご飯にすることにした。
ついでに、ウインディと一緒にいることにもすでに慣れた。ポケモンはパートナーと過ごすときは仲良くなれる者同士ならすぐに仲良くなれるという不思議な性質があるらしい。にわかに信じがたいことだがそうでもないみたいだ。
「あ、アブソル食事の前に聞いてほしいことがあるんだ。」
「ん、なんだ?」
「俺が捨てられた理由、まだ話してないことがあるんだ。」
「なっどうしたんだ?」
いきなり捨てられた理由で言っていないことと言われても私には関係無いはずだからそこまで知りたくないけど、彼が自分から話してくれるなら聞くことにしよう。
「わかった。話して」
「あぁ、俺が捨てられた理由の………」
ウインディは話しにくそうながらも言ってくれた。
まだ話してなかった捨てられた理由は、怖かったから、と言う。当時のウィンデイは前の主人の人間の為に鍛え、野性のポケモンでも人間の連れているポケモンにも容赦なく攻撃をし、絶対無敗を目指していたらしい。だけどその頑張りは主人の人間にとって怖い存在となっていた。その時に違う強いウィンデイをゲットし、ウィンデイを捨てたらしい。そしてその時にウィンデイに向けていった言葉は「お前には心が無いのか?」と。

「…と言うことだ。」
「…つまり、何が言いたかったんだ?」
「は?そりゃ…」
「どっちにしろ、ウィンデイの過去がどんなにひどくても今が違うなら私はそれでいい。」
心が無いのなら今、ここでこうして話しているのはなぜか、とその人間にいってやりたくなった。
「じゃあ、あとひとつ言いたいことがあるんだ。」
ん、まだあるのか?
「そろそろご飯食べたいから短めに頼むよ。」
「じゃあ一言でいう。アブソル、好きだ」
「…え?」
どういうこと…?と言う前にウィンデイは私を抱き締めた。
「最初会ったとき、お前のことを知りたいと思ったんだ。まあ、一目惚れ…かな?」
「え、い、いいのか?私で?」
「逆に聞く、こんな俺でも良いか?」
…答えはもちろん、
「…私で良かったら…よろしく。」
こうして、私は一人でこの森で暮らすことはなくなり、独りぼっちでもなくなった。私にとっての最高な日だ。


その翌年、その森はある程度の木が伐られ、その伐られた木のところに小さなポケモンが遊んでた。近くに白い毛を持つポケモンとオレンジ色の毛を持つポケモンがくっつきながらその小さなポケモンを見守る姿があった。


*1 運び方は大きめの葉っぱに置いて運ぶのがアブソル、実のヘタを噛んで持つのがウインディ

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Last-modified: 2013-03-03 (日) 00:00:00
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