ポケモン小説wiki

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 ・題名なし(まだ)


 「相方」僕は主人の事をそう呼んでいる。いや、正確には「いた」だった。過去形であって、その相方は今となってはもう居ない。僕らポケモンは野生であったり大概は飼われていたり人間の良きパートナーとして各々生活を送っている。
 1kのアパートに一人と一匹で暮らすのは中々不自由があったがモンスタボールも旧式の物しか調達できない相方と住んでいた僕にとってどちらが快適かといわれれば築30年、木造建てのオンボロアパートの方がしっくりきた。二人で住んでいる内、は。
 相方が仕事から帰ってくるのがやけに遅く、何一つ遅れる連絡も無く不審に重い昼夜逆転が常の僕にとって暗闇の中を探すのは容易な事ではあったが生憎相方の電源は切れていて、僕の前脚に付けてある首輪代わりのGPS付き携帯電話機能付きの時計で辺りをくまなく探した。山の中腹に住んでいる事もあり、人気もアパートの人や昔から何件かある住宅の家族を覗いては人も居ない事もあり、都内で野生時代を送っていた僕が思うに激しく過疎っている地域であることは間違い無いこの近辺で、探すと言っても山や野原をそれこそ夜中に駆け巡り、近所の人との関係性は薄かったものの助けを呼ぼうかと思った矢先、相方は崖下でうずくまり瀕死の重症を負っていた。すぐに人かポケモンに救助を要請しようかと思ったが、相方は僕にキスをして「今までほったらかしにして、ごめんね」と耳元で囁き、首筋を愛撫しようと身を乗り出してそのまま僕に体重を預け、荒かった呼吸よ脈動が一気に鎮まり、息絶えた。夜が明けようとしていた、薄明かりの中相方の顔を覗きこむと思いの外穏やかな顔をしていたのを今も鮮明に覚えている。彼は、人間とポケモンで結成された非営利の救助隊と自営でのレンジャーを単体で営んでいた。レンジャーに関しては、特に夜間に活動する場合僕もパートナーとして協力していたのだったが、家事が一切できず不器用な相方の為に家で専業主婦のようなことをしている方が多く、僕もそれにすっかり馴染んでいた頃だった。
 人の死にもポケモンの死にも僕は慣れていたせいか、今も目の前で相方を亡くした際も僕は涙一つ今まで流さずに冷静だったと思う。近所の人からは「所詮野良出のポケモン」「実は殺したんじゃないか」「心が壊れている」など呟く人も少なからずいた。アパートの大家は理解ある人で僕一人でしばらくここをレンジャーもしくは救助隊を続ける事を条件に、お金を入れず居てくれて構わないと言ってくれ、何も持たない僕はその言葉に甘える事にした。「儂も歳じゃがお前さんはまだ若い。どうじゃ?儂で良ければお前のさんのパートナーに・・・」
 僕は今でも独り身を貫いている。

 一年はあっという間に過ぎ、一年半後の春。丁度今がそうなのだけど、春はポケモンにとっては♂♀無機質メタモン関係無く容赦なくそれらを乱れさせ、色々とキツイ。それを悦ぶ者も居るが、木造のアパートの軋む音や日夜繰り広げられる他の狭い部屋からの熱いバトルだったり、あるいはハイパー甲高いボイスの繰り返しであったり。部屋によってはハイパー超低温ボイスであったり、へんなにおいがしたり。
鼻も耳も効き、相方との日々を思い出してしまう僕は、職についているポケモンだけ春季に長期の休みが許されているこの春に全ての職を休んで、レンジャーの勘だけは鈍らせないように相方を亡くした山を含め山々を渡り歩きさながら野良のような生活をしていた。性活とは程遠い暮らしになってしまっていたが、この一年半、そういったものとは無縁の淡々とした生活を送っていたし、元々野良出身であった為に特に抵抗は無く、周りの目といったものも大概気にしない体なので、差し当たって問題は無かった。
 ただブイズ、ことブラッキーという種族がこの辺りでは珍しいのか性別構わずアパートでも単身者と大家からの求愛行動にはうんざりしていたのだけど、山で何日も経たずして求愛され今年の春は相方を亡くしたあの時のように大雨が続く日が多く、雨宿りと求愛から逃れるようにして大昔の人が起こしたポケモンが大量に犠牲になった昭和の戦争の時の名残だろうか、ボウクウゴウと呼ばれる洞穴に身を寄せ、雨風を凌ぐことにした。幸いこの辺りは実りが冬季を除けばとても抱負で食料に困る事も無く、人も少なく野良には理解があるとは田舎にしては言えないのだが、救助隊のバッチ面倒事に巻き込まれた時に第一発見者が必ず助けなければ行けないなどという面倒な決まり事があるため職場に返却しており、プロのレンジャーに就いている証となるスカーフは首に巻き、万が一何か自分の身に大事があっても、住処にしていたアパートの大家かもしくは救助隊で良く組んでいたメンバーの何名かに連絡が自動で行くようになっていた。便利な世の中になっていっていると本当に思う。余り自分の命にも他人の命にも関心は無いのだけども、相方の仕事を手伝っていたせいもあってかすっかりシステム云々に関しては身体で慣れてしまっていた。この土地には4,5年はいる筈だが、救助案件もそう多くなく、レンジャーとしても家事を行っている事がこの土地に来てからはほとんどで、今ここにボウクウゴウがあるのも全く知らなかったし、ましてや救助隊やレンジャー達で作り上げたマップにも記されていない誰も知らない場所であった。
 暖をくべる程の寒さではなく、道中で拾った木の実をかじっていると、なぜか急に眠気に襲われ都合良く地面に敷かれてあった古びた草木、いや藁のような物の上に、身を投げ出すようにして僕は仮眠を取っていた。

 ピチャ、ピチャ・・・。雨音なのだろうか。一定のリズムで辺りに反響する音に耳を傾けていると、ふと僕は下半身に違和感を感じた。それはとても心地よく、しばらく僕が感じることの無かった感触、であった。「誰かそこにいるの?」声を掛けるが返事は無く、前脚を伸ばそうとその身に触れようとするがどうも匂いからしても人では無く、体格も小柄で体毛の濃いポケモン。性別や身柄が気になったが次第にそのリズムは鼓動に共鳴するかのように速くなり僕もしばらく交尾や自慰すらからも遠のいていた時期を過ごし春を迎えていた為「だ、誰なの・・・ダメ、イッちゃう!!」絶頂に早くも達そうと声を荒げたその時「おいおいおいおい早いな、お前。春だからって性欲旺盛過ぎるんじゃないの?」と恐らく舌で僕の股間に埋めていたであろう顔を上げ、声からも感じた生意気そうでいかにもやんちゃそうな♀か♂の子どもとギリギリ呼べるような年頃のポケモン。この種族を、僕は知っている。そう、、

 「君は、」こちらが改めて相手の素性を聞こうとした時僕の口は相手によって塞がれていた。素性も知らない恐らく野良であろうポケモン相手に不思議と不快な気は起きず、キスの際舌を器用に絡ませる動きからこの手を事には野良ながらにも慣れているんだなあと感心のような、好意的な感情すら持っていた。
「私が怖くないの?見ず知らずの相手の舌に任せたままで、レンジャーにしては随分軽率な行動じゃなあい?うふふ。そうだ、この姿ならもっと燃える?」と言いそのポケモンは僕のとても良く見知った姿に形を瞬時に変え、驚き固まったままの僕の股の上からその子はゆらりと一旦地面に降り、二足と両手で地面に這いつくばるような格好になりながらその前脚だった部分を人の手に変え、僕の大事な所を弄ぶかのように、行為を再開したのだった。

(tobecon...)




(題名は最後に。ページの名前の変更方法とは)


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Last-modified: 2015-04-22 (水) 21:42:18
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