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ワルなあいつに魅せられて

/ワルなあいつに魅せられて

Writer:&fervor


 この世は俺みたいな日陰者にとっちゃ眩しすぎる。だから俺はずっと独りで、このサウンドと共に生きてきた。
 痺れるようなパンクな音楽は、この世界をフツーにのほほんと暮らしているような奴らには理解できねぇ雑音だろう。
 でもこいつは違った。俺がかき鳴らす世界への反抗の狼煙を聞いて、俺という異端者に興味を抱いてくれた。
 こいつなら俺の心の奥底にあるありったけの想いを受け止めてくれるかもしれねぇ。俺の望みを叶えてくれるかもしれねぇ。
 そう、思ってたんだ。

「アタシが満足してないんだから、まだダメに決まってんでしょ?」
「た、たのむ、頼むからっ、勘弁して、してくれよぉっ!」

ワルなあいつに魅せられて 


 タマゴの頃からずっと主人に育てられていた俺は、進化と共に生涯の友を手に入れた。
 胸の6本の発電機関から奏でられる音は、静寂を劈き、空へと消えていく。
 最初の頃は主人も喜んで聞いてくれていたが、嬉しさのあまり毎日毎日朝から晩まで弾いていたところ、さすがに怒られてしまった。
 それ以来俺は音楽の楽しさを分かち合える相手を失い、毎晩のキャンプのたびに、独り寂しく皆から離れていくのだ。
 
「ま、いつの時代も、パンクってのは理解されないもんなんだよな」
 
 雪解けの原っぱに響くマイナーコード。俺の演奏を聴いて集ってくる野生のポケモンたちに、寂しげにそう語るものの。
 心のどこかで、俺はこの演奏を理解してくれる奴を探していた。そいつに俺の全てをぶつけてみたいと思っていた。
 
「へぇ、見ない顔ね。どっからきたの?」
 
 雲が星を隠す夜更けに舞い降りた、赤黒い焔の化身。周囲のポケモンたちが悲鳴を上げ、一斉に逃げ出した。
 そんな中、その姿に釘付けになる俺。一目見たその印象は、まさしく”かっけぇ”の一言だった。
 
「……あんたは?」
 
 見た目のパンクさに気圧されちゃいけねぇ。こういう見た目の奴に限って、中身はつまんねぇヤローだったりするんだ。
 俺は短い足を無駄に大きく開いて、斜めに構えて相手を威嚇する。が、明らかに体格に差がありすぎてどうしようもねぇ。
 
「アタシ? アタシはヴィーレ。アンタ、よく逃げなかったわね」
「は? そこいらの奴とは違ってな、相手の見た目が厳ついからってビビって逃げたりなんかしねぇよ」
「ああ、そう。そっか、知らないのね……へぇ、いいじゃない。いいわ、さっきの演奏の続き、聴かせてよ」
 
 見た目の割には、ちゃんと話はできる奴らしい。周りの雑魚たちが一斉に散っていったのだけが気がかりだが、お望みとあらば聴かせてやろう。
 迸る稲妻と、逸るビートをありったけこの手に乗せて。世間に喧嘩を売るかの如き攻撃的なバイブスを。
 刺々しく暴れる音色が、目の前の相手すらも刺し殺すほど。音圧が周囲の草花を吹き飛ばすほど。
 うっとりと見つめるたった独りの観客を相手に、久々に俺は全力で、このパンクロックを響かせた。
 
 * * * * * * * * * * * * 
 
「……どうよ」
 
 最後の一音を弾き終わると同時に、俺は両の手をだらんと垂らしてその場に倒れ込む。気温は低いはずなのに、暑くてたまらない。
 そんな俺を上からのぞき込む、透き通った水色の眼。メラメラと燃え上がる焔は、どうやら本物の炎ではなさそうだ。
 
「アタシを見て怯えるどころか、必死に立ち向かってくるその根性……気に入ったわ」
「そいつはどうも」
 
 俺のサウンドを理解してくれたのかどうかは分からなかったが、どうやらこいつのお眼鏡にはかなったらしい。
 かなったからといって何がどうなるかは知らないが、ここで食い殺されたりはしないだろう。
 
「アンタ、名前は?」
「……ナップ」
「そう、それじゃこれからはそう呼ぶわね。それで、さっきの演奏だけど。アタシを殺してやる、って気迫に溢れてたわね」
「そうだな……マジな時はいつも、聴いてくれる相手を的だと思って、毎回殺し合いだと思って弾いてる」
 
 手を抜かずに、気迫溢れるほどの演奏を聴かせたのはいつぶりだっただろうか。
 本気の演奏はいつも俺の心を昂ぶらせてくれる。その音が俺をさらなる高みへ連れて行ってくれる。
 
「そういう強い仔たちが、アタシは好きなのよね。特にちょっと斜に構えた、ナップみたいな仔は特に」
「……は?」
 
 地面に倒れた俺の両手が、ヴィーレの両足で固定される。立ち上がろうにもこの体格差では、全く逃げられる様子もない。
 眼前に迫るヴィーレの顔。嘴から伸ばされた舌が、俺の頬を一舐めした。
 
「今度はアタシが、アンタという楽器を奏でてあげる番よ。いい声で啼いてよね?」
「は、ちょ、まっ、んんむぅっ!」
 
 口を開いたその瞬間、ぬるりと舌が俺の口の中へと入ってきた。生温かいその舌が俺の口内を余すところなく味わい尽くす。
 訳も分からず、俺は反抗することも忘れ、ただじっとその舌の動きに身を任せるだけ。
 これってアレじゃないのか、そういうコトをするってことだよな?
 いやでもなんでこんな、っていうか俺こんなコトやったこともねえんだけど、っていうかそうじゃなくってだな。
 
「んはぁっ……その顔、素敵よ? 訳も分からず、でもこれからに期待もあり、それでいて不安げな表情……あぁ、たまんない!」
「どういうことだよ、これじゃあまるで……そういうことがしたいってことか?」
「ま、ナップの想像通りよ。あーでも想像よりは少しばかり……気持ちよすぎちゃうかもしれないけどね?」
 
 俺の上でくるりと反転したヴィーレは、今度はその舌を俺の腹部に這わせてくる。
 くすぐったいような、むず痒いようなその刺激が、徐々に俺の下半身に欲となって集まってくる。
 やがて外気をひんやりと感じたところで、俺はようやく自分のチンコがどうなっているかに気がついた。
 
「ようやく顔が出てきたわね。ふふ、かわいい」
「ばっ、馬鹿にしてんじゃねぇ! っていうかじろじろ見んなよ!」
「何言ってんの、これから散々いじめ抜くあいてんだから、ちゃんと観察してあげないとね?」
 
 ふぅ、ふぅとヴィーレの吐息が当たるたびに、ぴくりと先端が揺れ動く。やがてその先端が、ぬるりと何かに包まれた。
 
「ひっ、ふ、ぅ……っ」
「あら、思ったより敏感ね。そんな(なり)しといて、実は初めてなのかしら?」
「う、るせぇっ、馬鹿にすんなっ……ん、ふぅ」
 
 主人と一緒に旅をしてきた間、預かり屋に預けられた仲間の話でそういうコトの知識だけは得ていた。
 自分だけで欲を発散させることもしばしばあったが、実際の行為の経験はまだ一度もない。
 が、そんなことをこいつに知られたらまず間違いなく馬鹿にされるに決まっている。
 
「ま、どっちでもいいけど。アタシが満足できれば」
 
 ぬるん、と舌が突起の先端から離れていく。月明かりに照らされて輝く俺のチンコは、何かを期待してヒクヒクと揺らいでいる。
 根元から先端まで、ぬとりと舌が這わされるたびに、背中にゾクゾクと震えが走った。
 
「大きさは平均点ぐらいかしら。初めてならどうせそんなに耐えられないだろうし……遊び相手としてはフツーね」
「そんなもん、ヤってみないとわかんねぇだろ! ほら、今度は俺の番だよな?」
「……何か勘違いしてないかしら?」
 
 顔にヴィーレの股ぐらが押しつけられる。濃い雌の匂いと、すでにじっとり濡れた割れ目が俺の顔を塞いだ。
 声も出せず、息も出来ず。どうやらこいつを気持ちよくしてやらないといけないらしい。
 というかこのままだとほんとに息が出来なくて死んじまう。こんなの気持ちいいとかいう以前に拷問じゃねぇか。
 両足をばたつかせてみるが何の効果もなく、がっしりと押さえつけられた両手のせいで逃げることも出来ない。
 蜜が溢れてくるその割れ目をぬちぬちと舌で小突いてみたり、穴の中を撫でてみたり。
 初めてのマンコとのご対面がこんな形になるなんて。俺はもっとかっこよく雌を抱いてみたかったのに。
 パンクとはほど遠い格好で、雌に襲われされるがままの俺の姿。せめて誰にも見られてないことだけ願いたい。
 
「んー、まだまだ初心者ね。こういうことに慣れてない、ってのが丸わかり」
 
 苦しさで意識が飛びそうになっていた頃に、ようやく俺の顔が解放される。息を整えるたびに、嫌でもヴィーレの匂いが入ってくる。
 
「ひぅっ……ん、は、ぁっ……」
 
 間髪入れずに俺のチンコがヴィーレの口の中へと押し込まれた。じゅるじゅると音を立てて吸われるたび、出したいという気持ちがこみ上げてくる。
 こんなところでイったら絶対馬鹿にされる。早漏なのは否定しないが、でもこいつの前でだけはイきたくない。
 
「へぇ、結構頑張るのね。根性は認めてあげるわ。じゃ、お望み通りさっさと本番に行きましょうか」
 
 そう言うと、再びヴィーレは俺と顔を向かい合わせる。股と股が近づいていき、俺のチンコが、ヴィーレのマンコに吸い込まれていく。
 
「あっ、ぐっ、だっ、イっ……あ、はぅっ……!」
 
 情けない声を上げながら、俺はため込んでいた精子をヴィーレの中へ注ぎ込む。耐えてみせるつもりだったのに。
 その気持ちよさに浸りながら、俺は恍惚とした表情でただチンコを震わせていた、のだが。
 
「あぐっ、まっ、や、やめっ、今まだっ、まだイったばっかっ……あぁっ!」
「ほら、でもまだナップのチンポはやる気満々よ? ほら、頑張ってもっと出してみなさい」
 
 容赦のない上下運動。ぐちゅぐちゅと精液と愛液が混ざり合う音。果てたばかりで敏感なチンコが悲鳴を上げる。
 
「やめてっ、やめっ、お願い、お願いしま、しますっ、おねっ、はうんぅ!」
「あはっ、かわいい顔。そういう顔がねっ、アタシはっ、大好き、なのよっ!」
 
 さらにその動きは激しさを増し、ぱんぱんとマンコが打ち付けられるたびに、俺は涙を流して許しを請う。
 けれどもその動きが止まる様子は全くなく、続々とやってくる快感と痛みとが、俺の頭を埋め尽くしていく。
 
「いっ、イってる、イってる、からぁっ! や、やめっ、ひぐうぅぁっ!」
 
 ぷしゅ、と精液とも違った感覚で何かがチンコから吐き出された。体をガクガクと震えさせて、いつもとは違う快感に酔いしれる。
 
「あら、潮噴きまで出来るなんて、この先有望じゃない……って、聞こえてるかしら?」
 
 ヴィーレの声が遠い。ぬぽん、と穴から抜けた俺のチンコが、ぴゅく、とさらさらした液体を腹部に吐き出した。
 それでもまだ堅さを保った俺のチンコが、もう一度ヴィーレのマンコに飲み込まれそうになる。
 
「ごめんなさい、もう、勘弁してください……お願いだから……」
 
 もういやだ。気持ちいいよりもただただ痛い。このままじゃ俺のチンコが壊れちまう。
 泣きながらそう訴える俺の頬を、ヴィーレの舌が優しく拭った。ああ、ようやく終わるのか。
 
「うんうん、よく言えました。けどね……」
 
 じゅぷり、と飲み込まれる俺のチンコ。痛みと快感が俺の頭を揺さぶる。このままじゃ本当におかしくなっちまう。
 
「アタシが満足してないんだから、まだダメに決まってんでしょ?」
「た、たのむ、頼むからっ、勘弁して、してくれよぉっ!」
 
 俺の声は、今日の演奏以上に大きく、この大地を揺らすほどに響き渡るのだった。
 
 * * * * * * * * * * * * 
 
「ふふ、アタシもそれなりに満足できたわ。ナップはどう?」
「も、もう……ゆるして……ください……」
 
 自分たちの体液でべっとりと濡れた体を冷たい水辺で洗い流しながら、ヴィーレの声に震える俺。
 あれから結局何時間続いていただろうか。今ではうっすらと空も明るんできている。
 幾度となく行為中に気を失っていた気がするが、少なくともあれから数回は潮を噴かされたと思う。
 そもそも潮噴きって雌しか起こらないんじゃないのかよ……聞いたことないんだが。
 
「また会ったときは……もっと楽しいことがたくさん出来るといいわね。それじゃ、またどこかで」
 
 もう二度とごめんだ。そう思いながら、体を洗い終えた俺は逃げるようにその場を後にする。
 そうだ、今日のことは忘れよう。どうせあいつにはもう会うこともないんだ。会いそうになったら逃げればいいんだし。
 パンクがなんだ。ワルがなんだ。あんな奴に見た目で惹かれた俺が馬鹿だった。あんな奴より、優しい主人の方がよっぽどいいじゃないか。
 今日くらいは、主人にいっぱい甘やかしてもらいたいな、なんて。柄にもないことを思いながら、俺は主人のキャンプまで帰ってきた。
 
『あ、お帰り、ナップ。探したのよ? ……さて、改めてみんなに説明するけど、今日は伝説のポケモン探しをします!』
 
 主人が開いたその資料に描かれていたのは、見覚えのある赤と黒の鳥ポケモン。その水色の瞳は、俺を見て笑っている……ように見える。
 さあ出発だ、と意気込む主人と仲間たち。主人の手をつかみ、必死で首を横に振る俺。
 
「どうしたの? ほら、わがまま言わないの。それにほら、結構かっこいいじゃない。こういうの好きでしょ、ナップ?」
「嫌だ……嫌だ、いやだよぉっ!」

お返事 

>よかったです
こちらも無事投稿できてよかったです(

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Last-modified: 2021-01-17 (日) 00:51:17
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