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「おはよう、ヤミ!今日も頑張って行こうね!」
「……んぁ」
ここは、トレジャータウンを抜けた先にある「サメハダいわ」。
名前の由来は、サメハダーに似た形の崖だから、と言われている。……何故サメハダーの形なのかは解らないが。
サメハダいわにはあまりトレジャータウンやギルドのポケモンは来ない。それは小さい時から「あの崖から落ちたらサメハダーに食べられちゃうのよ」などと教えられているからだ。まあ要するに、崖は危険な場所であるから行かないように教え込む迷信なのだが。
そんな誰も近付いたりしないようなサメハダいわ。その口の所に空洞があり、中には二匹のポケモンがいた。
ミズゴロウとコリンク。二匹は、かの有名なプクリンのギルドを卒業した探検隊なのだ。……とは行っても、最近は目立った出来事やダンジョンの発見等は無い為に、いつものようにギルドの依頼をこなす毎日だ。
「……ってヤミ、寝惚けてるね」
「ん……」
「ほら、早く目を覚まして……よっ!」
その一匹のコリンクは、寝坊助なミズゴロウ……ヤミが寝惚けていることが不服だった。
すると、コリンクは前足に軽く力を込めて、少量の電磁波をヤミに放つ。
コリンクの狙い通り、電磁波はヤミに直撃した。量を抑えた事によって、目が冴える程度に痺れさせることが出来たようだ。
「ぎゃあばばばばば!?ら、ライン!!何するのさ!?」
「何って、ヤミが寝坊助だからでしょ。ヤミったら、ダークライの時も遅れてクレセリアに『貴方は世界を救う自覚が足りません!』って言われてオーロラビーム喰らってたじゃないか」
「……うぅ」
ラインと呼ばれたコリンクは、ヤミが目を覚ました事にご満悦だった。ヤミが起きたあとも暫くニコニコとしていた。
ヤミはというと、少し不満そうだったが、ラインの笑顔を見ると途端に機嫌を直した。
ラインはギルドを卒業して探検隊になってから、ヤミと楽しそうに笑っていた。幻の大地の時に、探検隊の結成の目的の遺跡の欠片は使ってしまったが、ヤミといることが嬉しかった。
「……よし、ライン君。君のお陰で目が覚めましたぞ」
「あはは、それはどうも。……じゃあ改めて、おはよう、ヤミ!今日も頑張って行こうね!」
「うん、ライン!」
二匹は楽しそうに、トレジャータウンの方向へ駆けていった。
サメハダ岩にはポケモンが近付かないと言ったが、ラインとヤミの二匹が寝泊まりしていることはここにいる皆百も承知だった。
ディアルガの事件、ダークライの事件と二度も世界を救った英雄なのだから、当然なのだろうが。
ラインとヤミは早速、チーム「タベラレル」の二匹に話し掛けられていた。
「おーい、そこの英雄さんよー!」
「あ、オオスバメ!おーい!……ほら、ヤミも!」
「うん!……おーい!」
オオスバメは声が張れるらしく、遠くから呼んでいてもはっきりと言葉が聞き取れた。
ヤミとラインも大声を出すが、やはりオオスバメ程は出なかった。
二匹はオオスバメ達の所へ走って行った。
「おう、えーっと……チーム『サンライズ』だったっけ?」
「ち、違うよ……僕達はチーム『ミライズ』だよ」
「……や、ヤミさんとラインさんは相変わらず元気ですね」
どうやらオオスバメはチーム名をまだ完全には覚えていなかったらしい。オオスバメのミスに対して、ラインは慌てて訂正し、ヤミは溜息をつく。
ケムッソはその空気を読んでか、話を逸らした。ケムッソは空気を読めるいいポケモンらしい。
「あー……うん、元気だよ。これから依頼掲示板を見に行くんだ」
「……おう、そういうことか。引き留めて悪かったな」
「いやいや、大丈夫だよ!ね、ヤミ。じゃ、そういうわけだからまたね!」
ケムッソが話題を変えたお陰で、オオスバメは公開処刑を免れた。
引き留めてしまったことをオオスバメが謝るが、ラインはあっさり許し、駆け足でギルドに向かっていった。
「……ふぅ、アイツらな相変わらず元気で疲れてくるぜ。疲れると……お腹が空いてくるよな!」
「ひ、ひいいいいい!?」
……どうやらトラウマがぶり返してしまったようだ。
「……ヤミ、これなんてどうかな?」
ヤミとラインの二匹は、卒業したはずのギルドに来ていた。ここはギルドの地下一階だ。……と言っても崖に作られている為、窓があったりするのだが。
その地下一階にある依頼掲示板の前に二匹はいる。二匹はギルドを卒業してからも、ちょくちょくここに依頼を受けに来ているのだ。
ラインが指差した所にあったのは、
『○せんたくだまを とどけて!』
とあった。
ヤミはその紙に書かれている情報をじっくりと読み込んだ。
「ふーん……場所はやみのかこう、地下8階かぁ」
「階層も高めの所で良さそうだよね!」
二匹は意見を一致させた。やっと決まった、と言わんばかりにヤミが伸びをする。
今日受ける依頼は決まったが、ラインはまだ掲示板の依頼を見ていた。さらに、お尋ね者ポスターも確認していた。恐らくは明日の依頼をチェックしているのだろう。
「じゃ、行こうか!」
「そうだね!ヤミ、出発だよ!」
二匹は駆けてギルドを出ていった。周りにいたポケモン達は、少しの間二匹に気を取られていた。『元気だなぁ……』『いつもの調子でよいではないか』等と、各々の感想を頭に浮かべていた。
そう、彼等は心優しいポケモン達。今日もポケモン達を助けにダンジョンへ向かうのだ!
完
少し雑になっているかもしれません((汗
何か不自然な点があったらご指摘願います。感想等あれば是非お書きください。
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