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マグマラシとシャワーズ

/マグマラシとシャワーズ

てるてる

この小説には、特殊な性的行為描写(道具の使用)が含まれています。



表面に細かな傷がつき透明度の失われたガラス器やさび付き元のきらびやかな姿など見る影のない金属器、
それと今となっては何かすらわからない破片や欠損品などはたとえ展示ケース越しだとしても美しいことに代わりはない。
それは視覚の物理的な感覚で言わせれば色あせた、何ら価値のない単なるがらくたなのかも知れない。
しかし、歴史的もしくは文化的な視点とあらば話は違う。
無価値であると思われるような粗大ごみでも、
考古学というフィルターを通すとたちまちそれは光を浴びたように輝き出す。
考古品を覗けばそこに過去が見える。
幾多の時代を無言のまま過ごしてきた考古品の向こうにはそれが作られた頃の世界が見える。
何の目的でそれが作られ、当時はどのような環境だったのか、全てがそこにある。
現在から過去へと誘う、時空を越え、空間をも越える。いわば心の時間旅行と言ったところか。
閉館した考古博物館の薄暗い一角の、金属器を囲う展示ケースを磨きながらマグマラシは思いを巡らせる。
整えられた毛並みを持つ、若い彼は眠気に目をこすると、窓の外の真っ暗な空間に視線を向けた。
家はまばらにしか無く、まだ日付が変わっていないにもかかわらず民家の明かりも見えない田舎町。
賑やかで活気に溢れ都市全体が巨大なエネルギーの塊である都会から見ればそこはまさに僻地だろう。
そんな田舎町の雰囲気には合わない建物、考古博物館はそこにあった。
度重なる風雨に真っ白い壁は薄汚れ、所々に補修した跡が見受けられる。
最初の内は博物館のみすぼらしい姿に嫌気がさしたが、ここで毎日寝泊まりしているとそんな感覚も薄れてきた。
最近にいたっては親近感すら湧いてきたほどである。
不意に、鉄製の職員用扉が金属特有の悲鳴を上げながらゆっくりと開いた。
何事か、とマグマラシが振り返ると同じ職場仲間であるサンダースが立っていた。
「こんなところで何してるんだ」
そう言いながら扉を後ろ手で閉め、展示ケースの側の長いすに寝転がるサンダース、徹夜明けなのだろうか目の下にうっすらくまがある。
「何もしていません。ところで何かご用ですか」
「用も何も、お前忘れたのか」
寝転んだままサンダースは言った。
「シャワーズだよシャワーズ。部屋で待たせてるんだろ、行ってあげなくて良いのか」
シャワーズの名前を聞いた途端、マグマラシは危うく手に持っていた雑巾を取り落としそうになった。
しまった。すっかり忘れていた。
時間を見ようと部屋を見回したが、この博物館に存在する時計は中央玄関にしか無いことを思い出した。
普段持ち歩いている懐中時計も今日に限って部屋に置いてきてしまった。
彼は小さく心の中で悪態をつきながら、
「ありがとうごさいます。では」
とだけサンダースに言い、展示室を飛び出す。
どうせ約束していた時間は過ぎている。
走っていっても歩いていっても遅れることに変わりはない。
だがせめて急いでいった振りだけでも見せておかないと、これからの自分への行為にも影響がある。
彼女を怒らせてしまうことだけは何としても避けたかった。
それは仕事の上でも、ベッドの上でも同じことだ。


照明の無い階段を手探りで駆け上がり、“関係者以外立ち入り禁止”の紙が貼ってあるロープをくぐり抜け、
薄暗い廊下の奥の一室を体当たりするようにして中に入った。
元々物置だったのを無理矢理改築されて出来た部屋は簡素そのもので、柱がむき出しの壁に断熱材は無く、かろうじて窓とベッドと洗面所があるくらいだ。
真っ暗の部屋に足を踏み入れたマグマラシは息切れしたままベッドの隣のスタンドの明かりをつけた。
自分の炎を明かり代わりに使うことも考えたが、燃え移る危険のことを考え、やめた。
光は部屋の隅々にまで行き届き、壁や天井や床、そしてベッドの上で眠っているシャワーズを照らし出した。
透き通るような水色の綺麗な肌とそれに似合うひれは水中での行動を可能にするという、多岐にわたるイーブイの進化系でもっとも個性的な能力を身につけている。
愛らしい寝顔に引き込まれるような感覚を覚えた。
このまま朝まで寝ていてくれたら、いやそれでは事態を先延ばしにするだけだ。
不意に視界の端で何かがきらりと光った。
視線をそれに移すと、枕の近くに置かれた懐中時計が目に入った。
正しく時を刻むそれは、現在の時刻が約束の時間を三十分も過ぎていることを教えてくれた。
腹を決めたマグマラシはゆっくり深呼吸をしたあと、シャワーズの体をそっと揺さぶった。
彼女はうっすら目を開け、マグマラシの顔を視認するとにっこりほほえんだ。
「おはようマグマラシ」
寝起きで涙ぐんだ彼女の瞳に彼は自分の顔が赤くなるのを感じながらも、部屋に来るまでに考えた言い訳を
心の中で小さく反芻する。
「すいません。急に頼まれた資料が中々見つからなくて、それで――」
シャワーズの手がマグマラシの口に触れたことによって言い訳は中断させられた。
水ポケモン特有のひんやりとした心地よい感触を感じた。
「嘘つかなくて良いよ」
彼女はそう言うとマグマラシの口元から手を離し、自らの首筋をなでて見せる。
「嘘をつくのなら首筋をかきむしるくせは直した方が良いわよ」
言われてやっと気がついたマグマラシは、首もとから手を離し後ろ手に手を組んだ。
嘘偽りなどの言いづらいことを言うとき、必ずといって良いほど確実に手が首に行ってしまう。
無意識で行っていることなので、気がついたときには遅いということもたびたびあった。
今のもそうだ。
彼はがくんとうなだれると、大きなため息を吐いた。
これ以上言い訳を重ねても無意味だろう。
逆に自分の立場を悪くしてしまう。
最初から正直に話してしまった方が、もしろ良かったかもしれない。
「すいません。実のことを言うとですね。えーと」
もじもじと無駄な間投詞を入れるマグマラシを見つめるシャワーズはさも愉快そうにしている。
それはまるで、口の塞がれた小瓶から出ようと、必死にはいずり回る虫を見る子供のような目であった。
子供は残酷なことも容易にこなしてしまう。恐らくそれは罪悪感や後悔の念よりも強いものがあるからだ。
好奇心がまさにそれだろう。好奇心のみがそれを可能にする。
今の彼女もまた、大人の中に子供のような好奇心を宿している。
どこをどうすればよがるのか、何をすれば喘ぐのか。
諦めたように、マグマラシはもう一度溜息をつく。
「忘れていました。これ以外の理由はありません」
「正直でよろしい」
おどけた表情でそう言うと、シャワーズは彼の首に腕を回す。
首筋に直に当たる彼女の吐息に彼はこそばゆい感覚を覚えた。
「早く始めよ。嘘つき坊やにはお仕置きしないと」
そしてシャワーズにマグマラシは引き倒された。


異性と体が触れ合う、たったそれだけのことにもかかわらず彼の体の一部は早くも自己を主張し始めていた。
いきり立った肉棒は刺激を与えられるのを今か今かと待ち望んでいる。
それを悟られまいと倒される直前、何とか体をよじりそれがシャワーズへ接触してしまうのを防げだが、それもシャワーズの前肢が肉棒に触れたことによって
無駄に終わった。
思いがけない行動にマグマラシが対応できないでいるのを尻目に、彼女は肉棒をゆっくりと上下に扱き始めた。
他人の手によって扱かれる自身のを見つめながら、じわじわと大きくなる快感の波に彼は息を荒げる。
シャワーズは彼にそれ以上の反応をさせるため、扱く手を早めた。
強く擦られることによって発生した大きな刺激は、興奮と快感を入り交じらわせ鈴口から先走りの粘液質な液体を分泌させる。
その液体は彼女の指や手のひらにからみつき、卑猥な水音を作りだし室内をより一層淫靡な雰囲気に仕立て上げる。
急激に強くなった快楽に、彼はたまらずあえぎ声を出した。
行為をしてから、始めての彼の口から出たあえぎ声。
それに気を良くしたシャワーズはマグマラシの三角の形をした大きな耳を甘噛みした。
「ひぃああああっ!」
突然襲ってきた強い快感に――それも別のところから――彼は悲鳴に近い声を上げた。
彼の性感帯、いわゆる弱点が耳だということを彼女は、前回の行為のときに把握していた。
シャワーズはマグマラシが絶頂を迎えにくいように、肉棒から手を離し耳への刺激に専念する。
舐めたり、息を吹きかけたり、わし掴んだり、思いつく限りの愛撫をすると、まるで女の子のような声を上げ、体をくねらせる。
「こっちを見て」
体を丸くするようにして快感を受け流そうとするマグマラシの顔を上げさせる。
強い快感により目に涙を浮かべたその顔は、シャワーズの嗜虐心をより一層駆り立てた。
「その顔、わたしは好きよ」
そして、彼の唇に軽くキスをする。
耳への愛撫はかなり効果的だった。
彼の肉棒の鈴口からあふれ出た大量の先走りが肉棒と玉袋をぐっしょりと濡らし、シーツにまで垂れていた。
シーツにできた粘液質な小さな水たまりをシャワーズは指で触る。
本当に耳だけで達してしまいそうだと彼女は思った。次の機会に試してみよう。
指についた先走りをマグマラシの腹で拭うと、何のためらいもなく肉棒を咥えた。
肉棒に舌を絡めながら、先走りの味を楽しんでいると、僅かにだが肉棒がぴくぴくと痙攣しているのを感じた。
先ほどの行為により、絶頂に達するのが早くなってしまったのを若干後悔した。
次の瞬間マグマラシは情けない声を上げながら射精した。
精液はすぐにシャワーズの口内をいっぱいにした。
彼女はそれを飲まずに溜め、口移しで荒い息の彼の口に無理矢理流し込む。
精液を飲まされるという予想外の出来事に気管に入ってしまい激しく咳込むマグマラシ。
それが中々収まらず、俯せになったりして姿勢を変え苦しみを逃そうしているとさすがのシャワーズも心配そうに彼の背中をさすった。
「大丈夫?」
それに対し、ええなんとか、ととぎれとぎれに言うマグマラシ。
しばらくその状態が続き、マグマラシの呼吸が落ち着いてきたころ、シャワーズは再び行動にでた。
始めにマグマラシを仰向けに戻した。特に抵抗は無かった。
次に彼の口の端から垂れた精液をすくい取り、萎えて元気をなくした肉棒の近く、肛門にそれを塗りつける。
「な、何をしているんですか」
今の今まで触られたことのない部分に粘液をなすり付けられることに不快感を感じる。
「何って、ほぐしてるのよ。痛いのは嫌でしょ」
そう言うと、マグマラシの肛門から指を離し、自分自身の口の中に残っている精液と唾液とで指を湿らし、それをまた肛門に塗りつける。
出し抜けに、シャワーズが彼の中に指を進入させた。
感じたことのない異物感に強い不快感を感じた。あまり清潔でないところを触られるということにも抵抗があった。
それを見取ったシャワーズは指を引き抜き、さも残念そうな顔をしてみせる。
「そんなに嫌だった?指をやめて水にする?」
それを聞いた途端、マグマラシはぶんぶんと首を振る。
水を流し込まれるくらいなら、指の方がましだ。
「おもしろそうだったのに」
彼は恐怖にびくんと体を震わせる。
嫌がるマグマラシを押さえつけて無理矢理水を流し込む。
これ以上無いくらいにお腹をふくらましながら泣きじゃくるマグマラシを見てみたい気持ちもあったが、
あまりに度が過ぎると嫌われてしまう恐れがある。
それだけは絶対に避けたかった。
シャワーズが再度肛門に指を入れる。
ここにくる前に読んだ医学書のマグマラシの体の構造図の記憶を頼りに前立腺を探り当てる。
腸壁をさすっていくうちに若干膨らんでいる部分を発見した。おそらくこれだろう。
試しにと、その部分にあてがった指に力を加えてみる。
「ひぃゃぁああ! ぁあっ」
あまりにも彼が激しく反応するので、シャワーズは内心驚いた。
気がつくと、さっきまで萎えていた肉棒が、また最初の勢いを取り戻していた。
不意にマグマラシと目が合う。
思わぬところから流れてきた快感に、なんでといった風な顔をしている。
これはもしかしたら、耳以上に楽しめるかもしれない。
いつも以上の強い快感にマグマラシはどうなるか、期待に、思わず舌なめずりをする。
「あの、シャワーズさん。もう止めませんか?明日の勤務に影響が生じるおそれが――」
いつもと違った雰囲気をまとうシャワーズに恐怖を感じたマグマラシが、そう提案する。
しかしそれも、シャワーズが再び指を動かしたことによって続けることが出来なくなった。
押し寄せる、とどまるところを知らない快感の波に、彼はよがることしかできなかった。
彼女もただ一点のみを攻めるという不器用なまねはしなかった。
ふつうに前立腺を刺激して喘がせたり、全く関係ないところを触って焦らしたり、回数を重ねるたびに工夫を凝らすようになる。
しばらくして、最初に塗りつけた液体が増えているように感じた。
いや違う、医学書の通りならこれは腸液だ。
腸内に異物が進入した際に傷がつかないよう、分泌される体液の一種だ。
愛液のように透明な液体だが、違う点は多々ある。
大きな違いは分泌される理由だ。
愛液は性交時の潤滑のため、腸液は進入してきた異物に対してである。
必ずしも腸液は、快感を感じているから分泌されるわけではない。
だが本当にそうなのだろうか。喘ぐマグマラシの顔を見ながら思った。
最初のときほど指に抵抗を感じなくなってきた。ほぐれたのか、二本目の指を肛門に突き刺す。
ばらばらに動かされる二本の指に、いよいよ彼は理性を保つのが難しくなってきた。
そんなとき、全くふれられることのない肉棒に、こみ上げてくる射精感を感じた。
「はっ……やめ、で……出てしま……ふあぁっ」
とぎれとぎれの言葉を聞き取ったシャワーズはいったん行為を中断し、ベッドから下りた。
何をする気だ、欠けた理性を取り戻しつつマグマラシが見ているとベッドの下の隙間から木製の箱を取り出しベッドの上に置いた。
見るからにいかがわしそうな物が入っていそうな箱の蓋を開け、ごそごそと何かを取り出す。
マグマラシの位置からでは、死角になっていて何かわからない。
「何なんですか。それ」
自分にとって、あまり良いものではないことは承知の上で恐る恐る聞いてみる。
「これ。これはね」
そう言いつつ、取り出した物を背中で隠し、ゆっくりとマグマラシに近づく。
そして、堅くそそり立った肉棒に手をかける。ふれられた瞬間、軽い快感が流れる。
「こうするの」
そこで初めて、彼女が持っている物の正体がわかった。
資料を束ねておくための帯だ。普段から資料室を行き来する機会がたびたびあったので見覚えがあった。
結束ベルトと呼ばれるそれは、堅くて四角いものならたいていは使え、任意の長さで束ねておくことが出来るので
資料室で山積みになった資料を片付けておくことができ、たいへん重宝している。
しかしシャワーズの持っているものは異様に短い。
よく見ると端がほつれているので、恐らく切ったのだろう。
マグマラシが何か言う前に、シャワーズは素早い動きで肉棒の根本にベルトを巻き付け、固く結んでしまった。
強い圧迫感と、それに伴う痛みに彼はうめき声を上げた。
それを聞いたシャワーズは再び箱に手を突っ込みながら、
「イけなくてちょっと辛いかもしれないけど、我慢しててね」
と、やさしく言い、箱から出した別の物を見せる。
勃起した男性器を模した物が――張形と呼ばれるもの――スタンドの明かりに照らされて不気味に鈍く光った。
それを何に使うのか、理解するのは容易だった。
自分の肉棒と同等、あるいはそれ以上の大きさのそれ、シャワーズの指の何倍はあるそれに、思わずたじろいだ。
「や、やめてください。それだけは」
恐怖感にうわずってしまっている彼の声を無視して、シャワーズはそれに自らの割れ目からあふれ出している粘液を塗りつける。
彼のよがる姿を見ていただけで、彼女のそこは決壊したダムのように水浸しになっている。手ですくう際に、軽い快感を感じた。
シャワーズの潤滑油代わりの愛液でコーティングしたそれを、マグマラシの、恐らくはほぐれたであろうそこにあてがう。
両方のついている液がふれあい、小さな水音を発生させた。
ひっ、と彼はしゃくり上げるような短い悲鳴を上げた。
やめてくれ、と懇願する彼の目が彼女の視点を貼り付ける。
度が過ぎたのだろうか、そんな思いが頭をよぎる。
いや、そうではない。彼女は頭を振り、吹き飛ばす。彼はそこまで嫌がっていない。
別に体を拘束しているわけではない。
逃げたければとっくに逃げているであろう。
なのに逃げない、それは彼自身も望んでいるからではないか。
彼女は子供にするような手つきでマグマラシの頭を撫でた。
「大丈夫よ、初めてのことは誰でも怖いものよ。力を抜いて」
そしてもっと快感におぼれるあなたの姿を見せて、と心の中で付け加える。
あてがった物を持つ手に力を入れる。
そして、二回呼吸する間をおいてから、一気に押し込んだ。
いきなり襲ってきた、頭のてっぺんまで響き渡る痛みに、叫びそうになったが歯を食いしばり耐える。
下手に声を出して、その度に行為を中断されたらたまったものじゃない。
心配して止めてくれるのはありがたいが、さっさと終って、楽になりたいのが本音だ。
ならしがまだ不完全だったそこは、摩擦により鮮血が少量にじんでいる。
それを見てシャワーズは、本当に続けて良いのだろうかと迷っていたが、
特に痛いと言わないので大丈夫だと判断し、ゆっくりと張形を出し入れする。
張形が出し入れされるたびに、断続的に痛みが走る。
激痛の中に快感などこれっぽっちも見あたらない。苦しみに脂汗が出てくる。
やめてと言えば、中断してくれるだろうがまた再開されるのは目に見えている。
だからといって苦痛だけの終わりの見えない行為に耐えられる訳でもない。
何か良い方法はないかと思案する彼の視界に根本を縛られ、束縛されている自らの肉棒が映った。
何の刺激を与えられることなくそそり立ったそれは、時折何かを求めるかのように、ぴくんと痙攣する。
さわってくれ、そう言おうにも羞恥心が邪魔をする。
苦痛の中の奥の方に、わずかな快感を感じ始められはしたが、上回るまで待っていたのでは体が持たない。
ならばいっそのこと。
「シャ、シャワーズさん。さわって……ください。わたしの……」
強い痛みに声が断続的になり、まるで音飛びする古いレコードのような声となってシャワーズの耳に届いた。
そそり立った肉棒に気がつくと、以外そうな顔をしてみせ、
「あなたから求めてくるなんて珍しいわね」
とだけ言い、張形を動かしながら肉棒をくわえ、舌を這わす。
痛々しいほどに堅く張り詰めるまで肉棒を放っておいた事に罪悪感を感じながらも、罪滅ぼしにと的確に刺激してゆく。
肉棒への快感が、多少だが痛みを打ち消してくれた。
痛みが少なくなった要因は快感によるものだけではなかった。
痛みそのものが小さくなっていっているのだ。
やがて痛覚神経は完全に麻痺し、快感のみが流れ込んでくる。
肉棒と前立腺の双方からの刺激は、より一層強い荒波となり、マグマラシの脳を焦がそうとするかのごとき快感を発生させた。
もうとっくに達しているころだったが、ベルトの存在が射精を阻むので肉棒は元気なままだ。
ベルトを解こうにも、押し寄せる快感に手が震え、動かせず不可能だった。
激しい快感によって彼の顔は涙と涎でべちゃべちゃになっている。
何度も意識が飛びそうになるが、ポケモンというなまじ強靱な体がそれを許してくれない。
そんな彼を見ながら、彼女は余っている手で自らの割れ目をさする。
濡れそぼったそこは男なら誰もが劣情を催させられ、釘付けになるほどに淫らな様相を醸し出していた。
しばらくなぞった後、ためらいがちに指を入れる。
「んっ……」
指を入れただけで声が出たことに驚に内心驚いた。
恐らくは乱れる彼の姿を見て感度が上がっているのだろうと推測し、続けて指を動かす。
これから行う行為に備え、慣らすためでもある。
頃合いを見てシャワーズは張形を引き抜く。少量の血が付着している。
それを床に投げ捨て、さらにきつく巻き付いたベルトに手をかける。
シャワーズの唾液をはじめとした様々な液が染みこんでしまい、ぬるぬると手が滑りほどくのに時間を要した。
彼女はほどいたベルトも張形と同様に放ると、マグマラシの上に乗っかり、たがの無くなった肉棒にずぶ濡れの割れ目をあてがう。
触れ合った瞬間、小さな水音が鳴った。
「いれるね」
シャワーズの言葉にマグマラシは小さく頷いて返した。
彼女はゆっくりと腰を下ろす。
割れ目は肉棒を、じゅぶじゅぶと卑猥な音を立て飲み込んでいく。
俗に言う騎乗位という体勢になった。
「ああっ……」
肉棒と膣内に生じた摩擦による刺激に、二人はほぼ同時に声を上げた。
シャワーズのひんやりとした体温とマグマラシの、興奮によりいつもより熱くなった体温との相違が、
双方に違った感覚を与えた。
彼女がゆっくり腰を上下させる。
二つのあえぎ声は、混ざり合い、それが出し入れされる際の淫猥な音に加わり、室内に響き渡る。
「はあっ……あん。良い……よ」
快感に身を震わせ、喘ぐ彼女の上下運動は徐々にだが激しさを増す。
マグマラシも喘いではいるが、半開きになった口からはかすれたような声しか出てこない。
シャワーズはそんなことお構いなしに激しく腰を動かす。
結合部分では愛液と先走りが混ざり合い、細かい泡がたち、精液のような白濁する液体のように見える。
二人の限界はもうすぐそこまできている。
彼女はスパートとばかりに、一心不乱に腰を動かす。
快楽におぼれる彼女の顔の方を見てはいたが、涙で潤んだ目でそれを捉えることはできなかった。
シャワーズの喘ぎ声に、マグマラシという単語が混じりだした。
彼女が達する時、必ずと言って良いほどそれをする。
相手の名を呼ぶことで気持ちを高め、絶頂を迎えやすくするための無意識の行為だ。
どちらにしろ達する間際だということには変わりない。
マグマラシが虚ろになった意識の中でそう考えていると、彼女が最後に深く腰を落とした。
肉棒が膣の最奥をつつく、耐え難い快感が電流のように全身を駆けめぐった。
ほとんど悲鳴のような声を上げ、体を弓なりに仰け反らせ果てた時、膣に力が入ってしまい、
マグマラシの肉棒を思い切り締め付けてしまった。
度重なる刺激とそれに伴った快感に、今まで射精を禁じられていた肉棒は勢いよく白濁した精液を放った。
それは瞬く間に膣内を満たし、少量が割れ目から溢れた。
荒い息づかいのまま、彼女は腰を上げ、マグマラシの横に寝ころんだ。
寝ころぶ際に腹に圧力が掛かり、精液が少し溢れ、シーツに染みこんだ。
マグマラシは彼女の方に顔を向けようとするが、長らく続いた行為による疲れと射精にしたことによる眠気に阻まれてしまう。
それを見たシャワーズが小さくほほえむと、ベッドのそばのスタンドに手を伸ばし、明かりを消した。
そして彼女は明かりを消す前の記憶を頼りに、マグマラシの唇にそっとキスをしてから目をつぶる。


体を丸め、小さな寝息を立てて眠る彼女の顔を見たとき、晩の行為を思い出したマグマラシは頬を赤らめる。
起こすのはかわいそうだと考えた彼は物音を立てぬようにベッドから降りた。
昨日の夜、初めてされた行為の影響か、一歩足を踏み出すごとに軽い痛みが走る。
激痛というほどでは無いが、しばらくの間は動くとき余計な力をいれる必要があると思った。
ふと、時間が気になり、枕もとに視線を動かしたが昨日まであった時計がない。
見ると昨夜の激しい行為のためか、床に裏向きに落ちていた。
それをそっと拾い上げたマグマラシの表情は凍り付いた。
開館時刻である八時を一時間も回ってしまっている。
十分前には位置についていろと言われていたのだ。
朝から来る人はほとんどいないので影響が出るとは思えないが、所定の時刻までに位置についていないと後々何を言われるかわからない。
マグマラシはそのまま、外開きの扉を体当たりで押し開け駆けだした。
一瞬シャワーズも起こすべきかと迷い足を止めたが、倉庫の整理を頼まれていた彼女をこの時間に起こす必要はないと考え、再び駆け出す。
と、目の前の扉が突然開いたため、勢いのついたマグマラシは止まりきれず顔からぶつかってしまった。
「どうしたんだ、マグマラシ。そんなに慌てて」
ぶつけた鼻先を押さえ、うずくまるその姿に笑いを堪えながら部屋から出てきたサンダースが問うた。
「慌てるも何も寝過ごしてしまったんですよ。開館時間に」
そう言いながら、鼻血が出ていないことを確かめ中央玄関へ向かおうとするマグマラシの腕を掴むサンダース。
「寝過ごしたわりにはまだ一時間以上もあるぞ」
そう言って、自分の部屋の時計を指し示めす。
壁に掛けられた時計は六時三〇分ちょうどを指し示している。
それを見たマグマラシは手に持っている懐中時計と見比べ、首をかしげる。
「どうなっているんでしょうか。この時計の時間、おととい合わせたばかりですよ」
首をかしげるマグマラシにサンダースは、見せてみろ、と時計をひったくる。
そしてしばらくのあいだ、ひったくった時計を裏返したりつついたりしたあと、
「これはたぶん、あれだ」
と言って時計を持ち主に差し出す。
「シャワーズに一杯食わされたんだよ」
そういわれてみればそうだ。彼は受け取った時計を見つめる。
おとといから今まで、きのうを除いて肌身離さず持っている。
時計をいじる機会はきのうの朝から夜までの間に限られる。
きのう部屋に入ったのは、把握している限り自分とシャワーズだけである。
となると時間をずらしたのは彼女なのか。しかしなぜ。
いや、答えは出ている。口実をつくるのが目的だろう。
時間に遅れたことにかこつけて、お仕置きの名の下に行為に及ぶ。
黙ったまま時計を見つめるマグマラシにサンダースは、
「ところで、昨日やったんだろ」
と、からかうような口調で言った。マグマラシは顔を上げ、問う。
「何をですか」
「セックスだよ」
それを聞いた途端、マグマラシは一瞬顔をそらす。
「していません」
顔を真っ赤にしながら言った彼の手は首筋へ伸びしきりに掻きむしっている。
その動作から、あまり信憑性は無さそうだと踏んだサンダースは、話題を変えようとマグマラシの体を上から下へ見やる。
「していない、か。まあ良い、ところで開館まで時間があるから水でも浴びてこい」
そう言いながら、マグマラシと共に部屋に入り鏡台の前に連れて行く。
「ひどい姿だぞ」
鏡を見たマグマラシは思わずたじろいでしまった。
鏡の向こうのマグマラシの姿はひどいものだった。
全身の体毛が汗でめちゃくちゃに乱れている。
涙と涎のあとがうっすら残っている顔面と、精液や愛液で汚れ、それが乾いてごわごわになった股間がとくに目立った。
あまりにもひどい姿に彼は鏡から目をそらすと、となりでにやにや笑っているサンダースが目に入った。
「時間はあるんだ。水でも浴びてこい」
それだけ言うと、マグマラシを廊下へ追い出し、さっさと扉を閉めてしまった。
追い出された彼は自分の部屋に戻り、洗面所のタオルを水で濡らし体を拭く。
洗面台の上に掛けられた鏡越しにシャワーズの姿が見えた。
寝顔はかわいいのに、と思いながら体をきれいにし終えると、手に持っていた懐中時計に気がついた。
時計とシャワーズを見比べた後、時計の針をさらに五時間すすめて、ベッドの枕もとに置いておき、部屋をあとにした。


最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • サンダース率直過ぎてなんか笑う……w
    このマグマラシみたいに、友達とか知り合いにからかわれたりする人って、私あんがい居ると思うんですよねえ(それでもってうまく答えられないww
    そういう意味では、十分すぎるくらい共感しましたw

    なんだか長編に続いてるということですので、そちらの方も読ませていただきますね。
    ―― 2010-04-02 (金) 14:24:33
  • >>名無しさん
    返信が遅くなってしまってすいません。
    このような稚拙な文章に目を通していただいて、なんとお礼を言って良いのか……。

    長編化とは名ばかりで、短編にあった一部の設定と登場人物を持って行っているだけなのでほとんど繋がりはありません。
    新しい人物を一から作る必要がないから楽だ、と、何の考えもなしに使い回しをしてしまったばっかりに、不必要な制約を招いてしまったと後悔しているなんてことは口が裂けても(ry
    このマグマラシは長編になっても相変わらず振り回されっぱなしの立ち位置になりそうです。

    しかしこのころのわたくし。博物館だとか田舎だとか懐中時計だとか、いらん設定を入れすぎだぜ

    長編のほうもがんばっていきます。コメントありがとうございました。
    ――てるてる 2010-05-02 (日) 03:38:09
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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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