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プレゼントは、サンタさん

/プレゼントは、サンタさん

サンタさんなんていないという人に是非、嘘ですいませんそんなの


「サンタさんはきっと僕たちにプレゼントをくれることはないと思うんだ」
 ミジュマルのロメロは何かまずい雰囲気の中で、蝋燭が刺さったケーキにフォークを突き立てました。お通夜のような雰囲気の中で、ポムスとロメロと、サニィとパッシュは、ごくりと生唾を飲み込みます。
「だって僕達、夜中に出かけたり、夜遅くまで悪いことしてたり……はぁ」
「うー」
 そんなことないよ、とサニィは言いたかったのですが。サニィ自身がまずパッシュと一緒に夜更かしをしていたことを思い出して言いだそうにも閉口してしまいました。彼女達は冬のイベントを心待ちにする半面、絶対に現れはしないという恐怖が切迫しているのだと実感していました。
「きっと、きっとサンタさんはくるよ。この家には煙突があるじゃない!!」
 ポムスは空気を変えようと必死に手足をバタバタさせました。ばたばたさせてから少しぐいと指先を動かすと、その先にある煙突にみんなの視線は動きました。この村の四季は、暑い時は暑く、寒い時は寒い。季節の移り変わりがとてもわかりやすい位置づけにあり、雪が降らなくてもとても寒い時期に近づいているため、暖炉はぱちぱちと薪が爆ぜ、暖かい空気を部屋中にたくさんふりまきます。
「サンタさんが下りてきたら焼けちゃうような気がするんだけど……」
「うぐぐ……」
「じゃあサンタさんが来る時は薪をとって、寒い中まってなくちゃいけないのかな」
 ポムスの言葉にパロメとサニィは首を傾げました。ポムスはそれ以上もの言うことなく、自分が悪いように過ごすごと布団に潜り込んで沈黙しました。パッシュもそれに続く様にポムスの隣にもぐりこんで寝てしまいます。ポムスは少しだけそれに反応したようですが、特に嫌ではなかったのでしょう、ぐうぐうと本当に寝息を立て始めました。
「……僕たちも寝ようかな」
「そうだね」
 ロメロとパロメも静かにそういうと、布団の中にもぐりこみます。ふわふわした布団に二人でくるまれて、ゆっくりと夢心地。何もしないうちに、二人も穏やかな寝息を立て始めました。
 この家では暖炉の火は最後まで起きてた人が処理をするという取り決めをしていたので、ずっと起きていたサニィはそれを処理するためにせっせと動いて、明日みんなが寒くないように、新しい薪を手に入れるために、家の外に置いてある薪を取りに行きました。
 外を開ければ一面真っ白雪の色、なんとみんながいろいろ考えているうちに、雪が降ってしまったではありませんか。サニィはただただ見とれるのと同時に、急いで薪をもっていかないと雪まみれになってしまうと思って、せっせと薪を入り口まで運びます。全部運び終えた後に、溜息をつきました。寒いのと、サンタさんを信じている自分達に来ないサンタさんの存在。大人達はサンタさんはよいこに来るとは言っていましたが、自分達は夜中に抜け出したり(夜のお祭りは大人たちも一緒なので大丈夫ですが)、悪ふざけをして遊んでいたために、本当に来ないんじゃないかと思っていました。毎年毎年、ポムス達は来ない来ないと思ってプレゼントをもらっているのですが、毎年毎年の行動で変わるのではないかと、今年は悪いこともしてしまったから、今年は夜更かしをしてしまったから、そんなわけで三人はやっぱり来ないやっぱり来ないと思っています。その時のいきさつはサニィとパッシュにはわかりませんでしたが。パッシュは何やらポムスと一緒にいていろいろなことを聞いているために、自分にはそういうことを共有することができないと。サニィは思っていました。
 自分は彼が好きだけれども、彼にはいつも、彼女がいる。
 そういう気持ちがもやもやと湧き上がっては消えてしまいます。サニィは思いました。自分は彼のそばにはいられないんじゃないかと。一か月以上彼らの家で住んでいましたが、自分のアプローチや行動をしても、結局彼が――ロメロが行きつく先はずっとずっと前からあった場所に行きつくんだと。そこが彼の行くべき終点だと。薄々感じてはいたものの、サニィはそれをどうしても認めたくありませんでした。だってだって、認めることは自分があの中では、一人ぼっちということを認めることと同じですから。そう思ってサニィは無理にでもロメロにくっついていました。もうわかっていました。彼の帰着点はいつもパロメです。口では特に何ともないなんて思っていても、彼らはいつもつかず離れず。離れてもお互いがお互いを気にかけています。お互いを思い合う気持ちはやはり、二人の方が上でした。そのあたりから、なぜか自分は弾かれているような気がしてなりません。薪を丁寧に積み上げて、まだぬくもりの残る家の出入り口に手をかけようとして、サニィはなぜかくるりと振り返り、大きく足を出しました。右足、左足、走って走って、雪の浅いところに自分の足跡をつけます。寂しくなったとか、自分がいなくなれば、とかではなく、サニィはどうしても、吹っ切れない気持ちを吹っ切りたくて、とにかく走り続けました。嫌な気持ち、自分のもやもや。それは初めて呪いを解いてくれた感謝だけを残して、今までの行いをすべて流してしまうように、サニィは走りました。村のポケモン達はとても優しくて、ロメロもとっても優しくしてくれます。だけどそれだけです。特別になることは、きっとできないんだと悔しくて、大きな声を出しました。
「サンタさんの……ばかーっ!」
 悔しい気持ちをありったけに空にふりまきます。クリスマスプレゼントよりも、ほしいものはやっぱりロメロの気持ちだったのかも知れません。夜空に響く声が吸い込まれて、騒がしさが元の静けさに戻ります。
「はぁはぁ――すっきりしたかな」
 肩で息をして、寒さに少し震えました。このままいたら湯気が立った自分の体はまた冷え込んで、風邪を引いてしまうと思いました。早く家に戻って、布団をかぶらないとと思ったサニィは、空から帰ってきた声に耳を傾けました。
「こらぁっ」空から声が返ってきます。「サンタさんを馬鹿にするとは何事か!!悪い子にはプレゼントは上げないよ!!」大きな声が帰ってきて、サニィはびっくりして身構えました。悪い子にはプレゼントをくれないなんて、自分が悪い子なんだろうかと思うか思わないかのうちに、空からデリバードが降ってきました。大きな袋を担いて、顎鬚を生やした変な鳥ポケモンです。
「わぁっ、ま、マスタッシュマン!!」
「誰がマスタッシュマンだ!!」デリバードは顔を真っ赤にして怒鳴りました。結構アグレッシブなサンタさんです。「私はこの村のサンタさんの担当者、デリバードのギフトだ!」
「ギフト……さん?」
「そうだよ、最近の子供達はサンタさんを信じるポケモンが年々少なくなってきているからね、サンタさん協会で、子供の心に近いってことで子供の私がサンタさんに選ばれたのだよ」
 そう言ってえへんと胸を張りました。確かによく見れば体躯は子供です。でもサニィはそんなことはどうでもよかったのかも知れません。初めて現実で見たサンタさんが、目の前に存在します。すごいことだと目をキラキラさせて、サンタさんをぺたぺた触りました。
「わ、何をするんだ君は」
「すごーい、ほんものの、さんたさんだぁ!!!」
 子供のように目を輝かせる彼女の顔を見て、少し戸惑いながらも、ギフトは照れくさそうに笑いました。


 サンタさんと一緒に凍った池を見ながら、サニィは寒いことも忘れて燥いでまわりました。クリスマスの前日にこんなに燥ぐのは、ちょっと新鮮な気もしました。
「サンタさんは、皆のプレゼントを配ってるんだよね」
「そうだよ、この村のポケモン達も信じてはいないかもしれないけど、心ではそれを欲しがっているから、私はそんなポケモン達にほしいものをプレゼントするサンタさん、夢や幻のような存在かもしれないけれど、サンタクロースは心から存在を信じられる限り、いつでもどこでも、存在し続けるよ」
 それじゃあサンタさんの意味がないじゃないかと思って笑います。ギフトはサニィの笑顔を見て、少し肩の緊張が取れたのか、やれやれと荷物を下ろしました。どうしたのとサニィが尋ねると、少しだけ苦い顔をしながら、それでも優しく笑って、ギフトはぽつぽつと語り出します。
「んー、私が前に担当していた町ではね、サンタさんは「おとうさん」「おかあさん」だったからね。私の役目なんてほとんど無いに等しかったんだ。町ではサンタさんというものは子供たちはとても信じていた。だけれどね、「おとな」になってしまったポケモン達は、サンタさんの役目は自分達であると、まるで義務のようにその役目を奪っていったのさ。子供たちはほしいものをサンタさんにお願いし、サンタさんという役目を担った親達はそれを買ってくる。確かにそれが家庭の温かさかもしれないけれどね、サンタさんを信じている子供達の笑顔は大切さ、けれども、またそういう世代になっていくと、親たちになる子供達もそれを心で割り振ってしまうのさ」
「ふぅん」サニィはなんだかそれがひどく悪いことのように聞こえました。サンタさんは今目の前にいるのに、触ったり喋ったりできるのに、どうしてみんなサンタさんから役目を奪っていくのだろうか、ながーい耳がペタンと垂れて、寂しそうに瞳を潤ませました。いつかは自分もそうなってしまうのだろうか、そうして「おとな」になって、子供のころの夢や希望なんかを忘れ去っていくのだろうか。「おとな」という大義名分に縛られて、子供のころの大切なものを、また自分達の思い込みで捨て去っていくのだろうか、そう考えると、ギフトの話を聞いていると、さにぃは「おとな」というものを敬遠しました。まるでそんなものにはなりたくないという思いが、いっぱいいっぱい重なりました。「「おとな」って、ギフトさんの――サンタさんの役目を奪っちゃう悪い人たちなんだね」
 その言葉に対して、ギフトさんはびっくりしたように双眸を見開きました。それでもサニィの気持ちは止まりません。子どもの頃からずっと一緒だったパッシュ以外にも友達が増えて、すごく嬉しい半面、いろんな行事を体験していない彼女にとっては、サンタさんという架空の存在がどれほどに心を打つもので、それを奪う「おとな」というものが、悪いような存在に思えました。
「そんな悪い人に、私もなっちゃうのか、だったら私「おとな」になりたくなんてないや」
「それは違うよ。サニィちゃん」
 ギフトさんはすぐにそれを否定しました。
「子供たちは心の底からサンタさんを信じている、サンタさんはその存在をぼかしている。悪いのは大人じゃなくて、サンタさんという存在が有耶無耶になっているからだよ。最近では考え方も変わってきてはいて、サンタクロース協会のポケモン達は、サンタさんという仕事に対して熱意というものが欠けていることに気がつき始めていたんだ。結局それは親御さんたちが演じるサンタクロースという存在が、その存在を象徴し始めているから我々の仕事がなくなってしまうということ。その存在を完全に否定されてしまったときに、我々は寄る辺を無くし、千々に乱れてしまうかもしれない。だけれども、それは大人達が悪いわけじゃない。存在を有象無象のままではっきりとさせない私達の存在が一番いけないんじゃないかと思うんだ」
「でもサンタさん――ギフトさんは、悪くないじゃない。私はやっぱり。サンタさんの存在を信じなくなっちゃった「おとな」の人達の方が」
「およしなさい」ギフトさんはそう言って優しくサニィの頭を撫でました。寒さに震えないように、優しくぎゅっとサニィを抱きながら、自分の身の上のお話を続けました。「私達デリバードという種族はね、冬だけじゃない、贈り物、郵便物、感謝の謝礼状、なんでも送り届ける種族さ。その中でサンタクロース協会を作って、私達を信じてくれている子供達にプレゼントを贈るというのを、私達は誇りだと思っていた。その世代が親にとって代わることは、何ら悪いことじゃないさ。サニィちゃんのように、まだサンタクロースの存在を信じてくれる子供たちがいる限り。私は頑張れるからね」
「でも、サンタさんは存在を見られちゃいけないんでしょ?どうして私の前に来てくれたの?」
「それは、サニィちゃんが心の底からサンタさんを信じていたくせに、サンタさんに向かってバカなんて言ったからね、ちょっと私も怒ったんだ。サンタさんを信じているのにサンタを馬鹿にするなんて何事かってね」
「ごめんなさい」
「謝らなくてもいいよ。実を言うと私は、この村を担当するよう言われてから、ろくな下積みもしないまま時間に大幅に遅れて飛び出してきたんだ。プレゼントの袋と、自分の足で、空を飛んでね。そしてこの村の近くに来た時に驚いたよ。今ではサンタさんを本気で信じている子供の数が少ないにも関わらず、この村の子供達はサンタさんというものを信じているからね。私はびっくりしたよ。サンタクロースの存在を信じてくれる子供達がこんなにいたなんてと思った。嬉しかったよ、私はこの村を担当していれば、子供達が信じる心も、まだまだ捨てたものじゃないと思えるから――」
「でも、サンタさんは――ギフトさんは――私は……ほんとにサンタさんがいるって……信じてくれたんですか……だって……さっき、ばかって――」
 はぁはぁと荒い息をつきながら、ゆっくりと左の方へ体を倒してしまいました。ギフトさんは驚いてサニィを抱き上げて、ゆっくりとおでこに自分の手を載せました。とても熱く、動脈も早く、風邪を引いていました。熱い所から寒い所へ急に体を移動させたための急激な気温変化だとギフトさんは思いました。
「大変だ、サニィちゃん、大丈夫かい?」
「大丈夫です」つらそうな声を出して。サニィは笑いました。「私はまだ、サンタさんとお話したい。もっともっと、お話したいのに……なんで、こんな……からだ、うごかないよぅ、うっ、ひっく」両手で顔を隠して、すすり泣きをします。サニィの心をくみ取って、ギフトさんはなんだか嬉しくなりました。サンタさんをここまで信じてくれて、自分のことをサンタさんと慕ってくれる女の子を、子供と同年代だからと言っても、ギフトさんは彼女よりも少し年上です。ギフトさんは優しく彼女を抱き上げて、にっこりとほほ笑みました。
「さんたさん……さんたさん……」彼女はうわ言のように何度も何度もつぶやきました「さんたさん、ぷれぜんと、いりません。だから、もっともっと、おはなししたいです……ひとりぼっちなんて、いやだぁ……やだよぅ、ロメロ君も、パロメちゃんも、ポムス君も、パッシュも。みんなみんななかよしなのに、わたし……わたしぃ……うぐっ、ひっく、うえぇっ、ぐずっ」彼女の本音が、ぽろぽろと零れます。ギフトさんは優しくほっぺたに口付けをして、笑いました。
「プレゼントじゃなくてサンタさん自身をプレゼントに選ぶなんて、君は贅沢だね、サニィちゃん」
 サンタさんの優しい声が聞こえて、サニィはゆっくりと瞳を閉じました。本当に楽しかったこと、サンタさんに会えたこと、ロメロやパロメのこと、何もかもがくちゃくちゃになって、深い深い意識の中に消えました。


 サニィは目を覚ますと、周りにポケモン達の声が聞こえました。のそのそと布団から身を起こして周りを見ると、綺麗な飾りや装飾が家を彩っています。これは誰がやったんだろう、なんで自分は家にいるんだろう、熱はどうしたんだろう。最初におでこに手をあてて、熱を確認したところ、熱はすっかり引いていました。おかしいと思って体を起こすと、横にお絞りがありました。氷水を入れてあるバケツに、抜け落ちた羽、サニィは驚きながらも、騒がしい周りのみんなにどうしたのと聞きました。
「ほらほら、プレゼントだよ!!」
 ロメロは嬉しそうに笑います。彼が手にしていたのは、彼が欲しがっていた果物ナイフです。ポムスも大きな箱の中身を見て、喜んでいました。彼の欲しがっていた温かいポンチョと、パッシュの欲しがっていた万華鏡。パロメも自分の欲しがっていた香水を貰ってとても上機嫌。これは何があったんだろうとサニィが思っていましたが、今日の日付を見て、そういえばと改めました。サンタさんと話していた時には日付の感覚なんてなかったのに、とそう思っていた時に、自分のベッドの脇に一枚の手紙があることを確認しました。サンタさんよりと書いてあり、サニィは昨日の夜の出来事が夢でも幻でも何でもないことを確認しました。騒いでいるみんなを横目で少し憚りながら、恋文を開けるようにゆっくりと封をあけました。
――サンタさんより
 君へのプレゼントはない。その代りに、外に出てきてくれ。

 その言葉の何とも魅力的なことか、皆が騒いでいるのを尻目に、サニィは大きくドアをあけました。寒い風が入らないように、すぐにドアを閉めると、目の前には確かに存在しました。夢でも幻でも何でもない、サンタさんが――ギフトさんが存在しました。
「さんたさんっ!!」
「やぁ、風邪は治ったみたいだね。でも燥ぎ過ぎては駄目だよ」
 そう言われても、もう一度会えたことが彼女は嬉しくて仕方ありませんでした。自分の夢でも幻でも何でもないものが、今目の前に存在しました。家の中ではまだ感動と熱気と興奮が渦巻いている中、サンタさんを目の前に何だか妙な気恥かしさが、サニィに纏わりつきました。
「サンタさん……あの手紙は?」
「君のプレゼントをね」ギフトさんは恥ずかしそうに頬を掻きながら、何と言えばいいのかを確かめているようでした。「君の口から聞いたときに、びっくりしたんだ。プレゼントにサンタさんを欲しがる女の子なんていなかったから、どうすればいいのかわからなかった。僕もまだ若いけれど、一つの町のサンタさんをやらせてもらってはいたけれど、そんなこと初めてだったからね。困った時は上のサンタさんに相談してみることが一番、サンタクロース協会に相談をしてみたら、そのプレゼントはちゃんと受理させてあげなさいってね。僕はサンタクロース、君はピカチュウの女の子、だけど君と会う時だけは、僕はただのポケモンに戻るよ。プレゼントがサンタさんじゃないけれど、君のプレゼントはかなえられ――」
 言葉が続くか続かないか、サニィはギフトさんを雪の上に押し倒しました。何度も何度も頬ずりをして笑顔をピカピカ光らせます。ギフトさんはそれに面喰って、何をすればいいのか、どう反応をしたらいいのか困っている顔でした。
「さんたさん!!さんたさん!!私、私、サンタさんと一緒に、また一緒にお話できて、すっごく嬉しいです」
 サニィは喜んでサンタさんを質問攻めです。あのプレゼントはどうやって手に入れたのか、どうやって家の飾り付けをしたのか、どうやって、どうやって、質問攻めにあって、なんだかギフトさんは照れくさそうに笑ってばかり。そんな二人を陰から、二人のサンタさんが見守っていました。
「おお、先を越された」
「本当にサンタさんって存在したのね、あのプレゼントを入れる袋、どうなってるのかな、一瞬でいろんなものが出てきたわよ。ねェマギ」
「んー?」
「私達、何のためにこれ買ったのかしらね?」
「……文句は後で、村長に言っておこうぜ」マギさんは笑いました。「あのサンタさんの言う通りだしな。大人って言うのは知らないうちにこんなふうに、サンタさんの存在を忘れちまうものだし……そういうことを気がつかせてくれたあのサンタさんには感謝しないと」
 ノエルさんとマギさんはどうやらみんなのためにプレゼントを用意していたようでしたが、本物のサンタさん相手ではどうしようもありませんでした。すごすごとプレゼントを持ち帰り、村長に嫌みたらしく、さも残念そうに突き返すのでしょう。大人が子供の夢を信じられなかった村長に、二人はたっぷりと仕返しをしようかなと考えましたが、自分達も信じられなかったサンタさんが、今目の前にいるという感動に浸り、子供のころを思い出して笑いました。
 サニィとサンタさんは中良成、仕事の合間に二人でよくあうようになりましたが、それはまた別のお話で。
 ありがとうございました。





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Last-modified: 2011-12-18 (日) 00:00:00
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