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ブイズ・エレメンタリーズ 1 始まりの月 出会う仲間 陽

/ブイズ・エレメンタリーズ 1 始まりの月 出会う仲間 陽

桜花

  ブイズ・エレメンタリーズ 1 始まりの月 出会う仲間 陽  作・神風の兵長



 ポケモンの大軍勢が見える丘の上で、鎧姿の9人のポケモンがいた。その内の黒いポケモンが、軍勢に向かって言った。
 「・・・お前らみたいのがいる限り・・・僕は・・・何度でも現れる・・・」
 そう言ったそのポケモンは、他のポケモンと共に、軍勢に突っ込んでいった。そしてその黒いポケモンは、ブラッキーであった。

 ???

 「!?」
 ジープに乗っていたある少年が、不意に目を覚ました。
 「どうした?」
 その少年の隣にいる、迷彩服を着た男性が話しかけてきた。迷彩服の男性は、少年の父親である。
 「うん・・・何か変な夢見て・・・もういいや・・・」
 そう言って少年は、首に掛かっていたヘッドフォンを外して、自分のリュックの中に仕舞った。
 「曲を聴いて寝ているから、変な夢でも見たんじゃないか?」
 「それもそうかも知れないけど、昨日興奮して眠れなかったから・・・自衛隊の演習場に来るのに興奮して・・・」
 少年は言った。少年は今、自衛隊の演習地に来ていて、少年の父親は、陸上自衛隊の一等陸佐であった。少年は将来、自衛隊に入隊する為の参考として、演習場に見学に来ていたのだ。
 「どうだ? 自衛隊に入りたいか?」
 父親が聞いてきた。
 「まあ、今のところね・・・」
 少年が答えた。そんな何気ない親子会話であった。しかしそれは、其処までであった。
 ガガッ!! ガー!!
 「んっ!?」
 突然車内無線が、ノイズを出し始めた。
 「何だ?」
 父親が車内無線を弄り始めた。その時・・・
 ドドドドドド!!!!
 突如大きな地震が、演習地を襲い、少年と父親が乗ったジープは、激しい揺れを受けた。
 「ウワァァァ!・・・・」
 少年は悲鳴を上げ、そして意識を失った・・・

 ???

 「んっ・・・う~ん・・・」
 少年が目を覚ましたのは、先程の演習地ではなく、何故か森の中だった。
 「あ、あれ・・・ここは?・・・」
 少年は状況を確認する為、辺りを見回した。
 「あああ!」
 少年の目に飛び込んできたのは、逆さまになったジープに下敷きにされた、父親の姿だった。
 「父さん!」
 少年は慌てて、父親に近づいた。父親はまだ生きている様だ。
 「う、うう・・・! お、お前は・・・私の息子なのか?・・・」
 「そうだよ! 何言って・・・ええっ!」
 当たり前の事を講義しようとした少年だが、ジープのサイドミラーを見て驚いた。ミラーに写った自分の姿は、黒い姿と顔と金色の模様と真紅の瞳、それに少し長い耳と少し短い尻尾を生やした、ブラッキーであったからだ。
 「どうして・・・何で・・・」
 少年・・・ブラッキーは動揺した。そんなブラッキーに、ブラッキーの父親は言った。
 「どうして・・・お前はそんな姿になったんだ・・・・クッ・・・・もう私は駄目だ・・・」
 「そんな! 駄目だよ父さん! 生きてよ!」
 ブラッキーは涙目で励ました。そう言っている間に、ブラッキーの父親はジープ内から、何かを取り出そうとしていた。
 「こ、これを・・・」
 やっとの事で、ブラッキーの父親は、車内から何かを取り出し、それをブラッキーに渡した。
 「これは・・・」
 ブラッキーに渡したのは、陸上自衛隊の小銃・7・62mmの照準器付きの64式小銃であった。ブラッキーの父親の愛銃である。
 「私の勘だが・・・この世界は・・・我々が元居た世界とは・・・違う様な気がする・・・それでも・・・しっかり生きるんだ・・・我が・・・・・息子よ・・・」
 そう言って、ブラッキーの父親は事が切れた。
 「父さん・・・父さん!!!!」
 ブラッキーは悲しみのあまり、大声を上げた。

 十数分後・・・

 十数分後、ブラッキーは迷彩服を着て、色々な物が入ったリュックを背負い、64式小銃を持って、即席で作った父親の墓の前に立っていた。ブラッキーは何故か、人間の姿の時に着ていた服を着ていなかったので、父親の迷彩服を受け継いだのだ。
 「父さん・・・僕・・・行くね!」
 そう言って、ブラッキーは墓に敬礼をし、その場を離れた。

 ???

 一方ほぼ同時刻に、ある小さな小屋があった。其処は診療所であった。その診療所の中に、一人の少女が倒れていた。その姿は薄紫色に同じく薄紫の瞳、更に額に真紅の宝珠があり、先が二つに分かれた尻尾を生やしたエーフィであった。そのエーフィの服装はナース服であり、その上から青いカーディガンを羽織っていた。そしてこのエーフィも、ブラッキー同じ、元々は人間であった。暫くして、そのエーフィは起きだし、自身の姿に動揺した。
 「どうして・・・何でこんな姿に・・・」
 エーフィは、軽くパニックなったが、直ぐに落ち着いた。
 「・・・こんな事でパニックになっちゃ駄目! 理由を探らないと!」
 そう自分に言い聞かせると、エーフィは使えそうな薬を選び、それらをナース服のポケットに入れた。薬を入れ終わった時、診療所の窓から街が見えた。
 「あそこに行けば・・・何か分かるかも・・・」
 そう思いエーフィは、診療所を出て、その街に向かった。

 ブラッキー

 一方ブラッキーは、森から出る事が出来た。森を出た先は草原であり、ブラッキーは全身に、風と草原の匂いを感じた。そしてブラッキーには、その場所について、見覚えがなかった。
 「・・・父さんの言ったとおり・・・ここは僕が住んでいた世界じゃないかも・・・んっ?」
 その時ブラッキーは、少し離れた所に、街があるのが見えた。
 「あの街に行けば・・・何か分かるかも・・・」
 そう思った時、ブラッキーの体は既に、街に向かっていた。やがて街に着いた時、ブラッキーは驚いた。街に住んでいたのは、ポケモンだったからだ。しかもそのポケモン達は、何故か銃を持っているブラッキーを見ても、驚く事はなかった。
 「やっぱり此処は・・・僕が住んでいた世界じゃない・・・」
 ブラッキーはそう自分に言いきかせ、落ち着く為に、腰のベルトに掛かっている水筒の水を飲もうとした。しかし・・・
 「?・・・無い・・・」
 元から入っていなかったのか、水筒には一滴も水がなかった。仕方なくブラッキーは、水筒の水を補給する為、水道を探し始めた。

 数分後

 「・・・こんなもんで良いね・・・」
 ブラッキーは街中に水道を見つけ、其処で水を補給した。
 「さてと・・・」
 ブラッキーは街を出る為、移動しようとした。その時・・・
 「キャアア!!!」
 「! あっちか?」
 女性の悲鳴を聴き、ブラッキーは悲鳴をした方に走り出した。建物の角を曲がった時、ブラッキーの目に、ある光景が映った。それはナース服にカーディガンを羽織った女の子のエーフィが、ガラの悪そうなグラエナに絡まれている光景だった。
 「姉ちゃん、可愛い顔してんな~、俺と遊ばねぇか?」
 「や、やめて下さい・・・」
 明らかにそのエーフィは、グラエナの行動を嫌がっていた。
 「嫌がってるじゃないですか!」
 「あん?」
 ブラッキーは、そのエーフィを助ける為、グラエナ向かって叫んだ。
 「何だテメェ?・・・やんのか!?」
と言って、グラエナは懐から、ナイフを取り出した。しかし・・・
 「これが見えないんですか?」
 そう言ってブラッキーは、64式小銃をグラエナに見せた。ブラッキーとグラエナの距離は、少し離れている為、この場合銃の方が有利なのだ。
 「!・・・チッ!」
 グラエナは自分が不利な事を悟り、その場を去った。ブラッキーは、まだ怯えているエーフィに近づいた。
 「大丈夫?・・・もうアイツは居ないから・・・・」
 ブラッキーがエーフィに、優しく言う。
 「あ、ありがとうございます・・・」
 鈴の音の様なとても綺麗な声で、エーフィは礼を言った。
 「あの・・・とても信じられないと思いますけど・・・私・・・人間なんです・・・」
 「ええっ!! き、君も?・・・」
 「君もって・・・じゃああなたも・・・人間なんですか?・・・」
 「うん・・・僕以外にも・・・この異変に巻き込まれた人がいたんだ・・・・あっ! 名前を言ってなかったね。僕の名前は・・・・・あれ?」
 ブラッキーは何故か、自分の名前を思い出す事が出来なかった。
 「な、名前が思い出せない・・・」
 「えっ?・・・・そういえば、私も名前が分からない・・・」
 なんとエーフィも、自分の名前が分からなかった。その後暫く、無言状態が続いた。
 「これって・・・この異変と関係があるのかな?」
 沈黙を破る様に、エーフィが言った。
 「多分・・・良し!」
 突然ブラッキーが、大声を上げた。
 「僕はこの異変を調べるよ! このまま何も分からないでいたら、日本男児として情けない!」
 ブラッキーは、決意の言葉を述べた。するとエーフィが・・・
 「あの・・・私も一緒に行って良い?」
 「えっ!?」
 ブラッキーは驚いた。危ない事もあるかも知れない異変調査を、このエーフィは同行すると言うのだ。
 「・・・危険な事もあるかも知れないよ・・・それでも付いて来る?」
 「・・・私も・・・この異変の原因を知りたいの!」
と、エーフィは力強く言った。そんな強い決意をしたエーフィに、ブラッキーは・・・
 「分かった・・・よろしくね!・・・・何て呼べば良いかな?」
 名前が分からない為、エーフィの事を何と呼べば良いか分からなかった。そんなブラッキーを見て、エーフィは小さく笑って言った。
 「私の名前は外見どおり、『エーフィ』で良いわ♪」
 「じゃあ僕の事は外見どおり、『ブラッキー』って呼んで!」
 「うん♪ よろしくねブラッキー君♪」
 「よろしくエーフィ♪」
と、お互いの名前を呼び合った。その後2人は、街を離れた。

 ※       ※

 街を離れて暫くすると、2人は森に着いた。森に入って暫くして、2人は倒れた木に腰を掛けた。その後暫くは沈黙が続いたが、やがてエーフィが、沈黙を破る様に言った。
 「ブラッキー君・・・あなた、迷彩服を着ているけど・・・自衛隊?」
 「ううん・・・普通の高校生だよ・・・エーフィは、ナース服を着ているけど・・・・」
 「私も高校生なんだ・・・どうして・・・迷彩服を?・・・」
 「実は・・・」
 ブラッキーは、事の詳細を話した。
 「そう・・・お父さんが・・・ゴメンなさい・・・」
 エーフィは、申し訳なさそうに謝罪した。
 「ううん気にしないで、確かに父さんは死んでしまったけど、僕は父さんの意志をちゃんと継いだから! それがこの銃!」
 ブラッキーは、64式小銃を高らかに上げながら言った。
 「僕はキミを守るよ、エーフィ! 天国の父さんも、きっとそう望んでいる!」
と、父親が死んだにも関わらず、気丈に振舞っているブラッキーを見て、エーフィはブラッキーに逞しさを感じた。
 「ブラッキー君・・・」
 そう言ってエーフィは、そっと頭をブラッキーの肩に寄せた。ブラッキーは一瞬驚いたが、直ぐに落ち着きを取り戻した。それから暫くして、2人は再び行動を開始し始めた。

 ???

 ほぼ同時刻、ブラッキー達がいる森から離れた所にある教会の礼拝堂で、ブラッキー達と同じ歳くらいのサンダースが目を覚ました。
 「・・・何だ?・・・何が起きたんだ?・・・!?」
 サンダースは自分の手を見て驚いた。
 「な、なんだよこれ?・・・」
 サンダースは慌てて、別室の鏡を見た。しかし写っているのは、サンダースである自分自身であった。
 「何だよ・・・コレ・・・俺・・・人間だよな・・・」
 鏡の自分を見ながら、サンダースは呟いた。
 「!・・・ってか俺、何か着よう」
 サンダースは服を着ていなかったので、礼拝堂とは別の部屋に入り、衣服を探した。その結果、神父がきる黒い衣装と医者の白衣を見つけた。
 「・・・親父とお袋のか・・・」
 サンダースはそう呟いて、神父の衣装を着て、さらにその上から、白衣を羽織った。
 「あと・・・武器だな・・・」
 サンダースは部屋の中を探し回った。その結果工具箱を見つけた。サンダースは工具箱をひっくり返して、武器になる物を探した。
 「・・・これでいいな」
 サンダースが決めたのは、ラチェットスパナとネイルハンマーであった。サンダースはラチェットスパナを白衣のポケットに隠し、右手にネイルハンマーを持ち、左手に部屋で見つけた懐中電灯を持って、教会を後にした。

 ブイズ・エレメンタリーズ 1 始まりの月 出会う仲間 陽 完 2に続く

 あとがき

 「ブイズ・エレメンタリーズの第一話は、無事終了しました。このブイズ・エレメンタリーズは、あるブイズ作家の影響を受けて、最初に書いたブイズ小説です。他のブイズ作品のブイズ達の性格は、この作品が基本ベースです。個人ブログにも載せていますが、それを僅かに編集して、ここにも発表する事にしました。続きを楽しみにしていて下さい。それでは♪」


 
 


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Last-modified: 2011-08-16 (火) 00:00:00
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