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ヌメルゴンのヌメヌメ

/ヌメルゴンのヌメヌメ

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作者:リング

 ミアレシティの外殻道路の一画にある憧れのアロマオイルマッサージ店に入社した私は、毎日激務に終われていた。先輩セラピストを土台にした研修期間が終わり、雑用だけの毎日から解放されて、喜んでいられたのは一日……いや、一晩だけ。マッサージの仕事をするようになると、お客様の要望に合わせて体重をかける必要があるため、指に負担がかかって、翌日にはまるで鉛でも入れられたかのように指が痛くなる。仕事に入って一日で筋肉痛。一週間もすれば関節まで痛むようになっていた。
 慣れれば鍛えられれそのうち気にならなくなるよなんて優しい言葉を掛けられはしたものの、いつになったら慣れる日が来るのやらわからなかった。

 ただ、それら身体的なことは本当にいつか慣れる日が来るかもしれないので、辛いのは今だけかもしれない。だが、だ。耐えきれないのはもっと別の事である。
 このお店は女性のセラピストが香油を使って筋肉を揉み解して疲れを癒してくれるので、女性も来やすい店である。だが、男性客も当然来る。別に男性客が来るのは構わないし、普通にマッサージをされて帰っていくだけならばいい。しかし、世の中そうもいかないのだ。
 紙製の使い捨てオムツのようなショーツを着せられ、ほとんど全裸の状態の男性と、女性の二人きりの部屋。一部……しかし、こういうお店に来る男性にとっては七割くらいの男性にとってはその状況は何とも扇情的であるらしく。セクハラ発言は序の口だ。おさわりも私達の手をべたべたと触るくらいなら序の口だ。
 しかし、制服であるエプロン越しに胸や股間を触られそうになったり、私達の手を引っ張って股間に誘導して来たり、むしろ何も知らないふりしてショーツを着ていなかったり。私の仕事の助手であるドレディアに花びらの舞いか何かで切り刻んで(命ごと)お仕舞いにしたいほどに鳥肌が立ったものだ。ここを風俗店かなにかと勘違いしている客が多い。値段としてはそれぐらい張るのも事実だけれど。
 あんまり酷いと出入り禁止にしてもらえるのだが、ちょっとやそっとじゃ出入り禁止は許されない。そんな仕事のストレスと、人気店ゆえの激務のおかげだろうか。徐々に疲れを蓄積した私の体は、肌や髪から悲鳴を上げていった。肌はカサカサ、髪はぼさぼさ。きちんと手入れはしているつもりだが、化粧水ではケアしきれないレベルになるのも時間の問題だろう。
 だがしかし、私だって諦めるわけにはいかない。このお店は、ここ、カロス地方の有名人も多数使用する場所なのだ。ファッションリーダーのアマリリス。テレビ番組では名司会者として名を馳せるツユクサ。大物女優にしてポケモンリーグチャンピオンのカルネ。男性客なら体育会系モデルのザクロさん。
 そういった有名人と出会い、一緒にお話をするには、もっともっと経験と、チャンスが必要だ。そのチャンスも経験も継続でしか得られないのならば、私は継続するしかない。そう、それしかないのだ。

 そんな折、先輩がポケモンリーグのチャンピオンマスターにして、超大物女優であるカルネさんの指名を取った日の事。先輩が休憩時間を利用して、カルネさんとの世間話の内容を教えてくれた。もちろん、プライベートなことに踏み込んだお話や、二人だけのお話というのは教えてもらえなかったのだけれど。ともかく、先輩の話の中で重要なのは、カルネさんの肌の綺麗さについてである。
 カルネさんはどうも、ヌメルゴンのローションを使って、みずみずしい果実のような肌を保っているらしい。もちろん、『こういうお店の皆さんによっても支えられていますけれどね』とも付け加えたそうだけれど、自宅の肌ケアならばヌメルゴンのローションが一番ですとのこと。
 言うまでもなく、カルネさんの肌は特別性だ。そのみずみずしい肌は、メガシンカしたサーナイトに負けないほどきめ細かく、指でつつけば焼きたての食パンの中身がごとく柔らかく、指でなぞれば絹のハンカチを撫ぜるような心地よさ。セラピストの先輩が言うには、触っていて飽きない肌。むしろベッドにしたいくらいな肌。そんな風に言われるほどすごい肌なのである。テレビの画面越しでは分からない魅力がそこに詰まっているのだ。

 その肌が、ヌメルゴンのローションで得られるときけば、身を乗り出さずにはいられない。カルネさんが大物と成れたのはその美貌だけでなく、類稀な演技力やポケモンバトルで培ったカリスマ性もあるが、そのうちの肌の美しさだけでも手に入れられれば、お客様がもっと指名をつけてくれるような気がする。肌がカサついたセラピストなんぞ、私は指名したくない。逆に言えばそれは、絹のような肌を手に入れれば、指名を入れたくなるという事ではないか。
 よし、決めた。私はカルネさんと同じく美しい肌をゲットするのだ。彼女のような健康的な体を手に入れて、少しでもカルネさんのような自信とカリスマ性を手に入れるために。それに、肌がきれいな方が、お客様としても好印象になって人気が出るはずだ。そうして評判が上がれば、私を指名してくれる有名人だっていてくれそうじゃない? そうに違いない。


 数日後の休日。私はポケモンナビゲーターと呼ばれる、ポケモンの捕獲や野外調査などの補助を行ってくれる職業トレーナーとともに、ミアレシティの北ゲートから一四番道路へと赴く。一四番道路はじめじめとした湿地が広がっており、そこには泥や水を好み乾燥を嫌うポケモン達が住んでいる。そういえば、湿り気ヌオーは乾燥に強いから肌が乾燥しにくいのだっけ? あぁ、そう言えば、よく見かけるカブルモの進化形のシュバルゴは格好いいんだよなぁなどと、余計な雑念を振りまきながら、私はナビゲーターのポケモンを貸してもらい、ヌメルゴンの進化前であるヌメラを弱らせたうえでゲットした。
 ついでに、肌の乾燥を防ぐためにはやっぱり湿度の調整も大事ということで、湿り気の特性であるウパーも捕まえた。
 ナビゲートを頼むのにお金を使ってしまったが、ポケモン捕獲、繁殖代行サービスのショップで購入するよりもよっぽど安く済んだ。

 ともかく、この子らを育てない事には、ヌメルゴンのローションも手に入らない。しかし、育てて進化させるには適度な運動が必要だ。朝は早起き、夜もだらける時間を減らして運動する時間を作ってあげなければなるまい。丁度二匹ポケモンがいるから、お互い戦わせればうまく競い合って強くなってくれるだろうが、私からも遊んであげなくっては、懐いてくれない。
 懐かないと成長が遅くなると聞いたので、積極的に遊んであげるのだが、そうすると夜にはへとへとになってすぐ眠ってしまうのだ。友達とメールや電話をする時間すらありゃしない。

 食事も、一緒に取らないとヌメラもウパーもあまり勢いよく食べないから困ったものだ。なんでも、トレーナー曰く食べている姿を見せないから心配している可能性があるだとか。かと言って、外食して自分だけ食べている姿を見せると、消化液をダラダラとながしてこっちを見ているから、すごく食べづらい。
 結局、私は外食する機会が減り、お家で大人しく食事をとるしかないのだ。そうして料理を作り出すと、外で食べるよりも食材がずっと安いので、肉も野菜もついつい買いすぎてしまう。腐らせるのももったいないし、運動のせいでお腹も減っているので、太る可能性に恐怖しながらも全部食べるしかなかった。
 そんなこんなで、いざポケモンとともに生活してみると、私の生活はがらりと変わってしまった。今までの友人とは少しばかり生活のリズムが合わなくなってきたし、友達の相談に乗ったり、逆に相談することもなくなってしまった。仕方がないから、欲求不満な分はポケモンとヌメヌメしたりじゃれあって解消するしかなく、今まで愚痴を言い合っていた友達とも自然に疎遠になってしまった。なんてこった、ポケモンのせいでいろいろ台無しだ。
 なぜか肌だけはだんだんと綺麗になっているし、食べる量が増えたのに太っていない気がするけれど、ヌメラやヌメイルのヌメヌメでも効果があるのか、それともヌオーのおかげなのか。それは分からなかった。

 そんな生活を続けていくうちに、ヌメラはヌメイルに。ついでにウパーはヌオーとなりとなり、最後にヌメイルはヌメルゴンとなった。冬に外へ出てのロードワークは中々辛い所があったが根気よく付き合って、氷雨の中で野生のポケモンを叩きのめしているうちに、ヌメイルの体が光った時は非常に心躍ったものである。
「よくやったわ、ムチン。進化してくれて嬉しい!」
 私はヌメルゴンに駆け寄って、その手を握って勝利をねぎらおうとした。が――
「ギュウ!!」
 と、ムチンも嬉しそうに私に駆け寄っては、私の手をさっとかわして腕を広げて私を包み込み、粘液の滴る体でわたしを抱きしめる。習性、忘れていたわけじゃないけれど……実際やられると、これ以上ないくらいに粘液で汚れるのね……着ているのが安物のジャージでよかった。


「さて、ここでならどれだけ抱き着いても大丈夫よ」
 と、その日から私はお風呂場で(裸で)ムチンに抱きしめさせては、その粘液を塗り付けて、クリーム用などを塗る時専用のパジャマ(朝になると結構匂う)などを付けて就寝する日々が続いた。そんな生活を続けるうちに私の肌は実際に目に見えて良くなったのだが。
「へー……ヌメルゴンのローションかぁ。本当に効果あるのねぇ……」
 仕事終了後、私達は片付けの最中に世間話に興じていた。その際、私の肌が目に見えてよくなったことに気付いたのだろう、先輩が私に美しい肌の秘訣について尋ねてきた。隠す事でもないし、みんなでこういう情報は共有していくべきだろうと、私はチャンピオンマスターのカルネさんを真似て、ヌメルゴンのローションも使っていることを告げる。ついでに、ヌオーも加湿器代わりに一緒に暮らしていることや、そのせいで他の生活も一変してしまったことを愚痴ったりもした。
「えぇ。ほら、先輩が以前、チャンピオンもヌメルゴンのローションを使っているって言っていたじゃないですか。ですから、私も使い始めたんです」
「どんな商品? メーカーは分かる? カルネさんが使っているのはシロガネ製薬の化粧品なんだって。やっぱりメーカーによって良し悪しとかあるのかな?」
「え? うちが飼っているヌメルゴンに抱き付いてもらってるだけだけれど……?」
「え……?」
 ヌメルゴンのローションが普通に通販などで売っている事。カルネさんが別に自分のヌメルゴンに抱き付かせて化粧品代わりにしているわけではないことを私が知るのは、それから一分後であった。


 そんな私の肌がどうして綺麗になったかって? 大体生活習慣のせいだって言われたよ!

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・運動をする:筋肉が付き、基礎代謝が上がります。基礎代謝が上がると、肌がすぐに新しく生まれ変わるため、肌は綺麗になります。また筋肉のおかげで二の腕や太ももがたるみにくくなります。
・よく食べる:皮膚の材料となるたんぱく質や、皮膚の鮮度を保つ栄養素をたくさん取れて肌が綺麗になります。ついでに体温も上がりやすくなって病気になりにくくなります
・ヌメヌメ:ムチンという保湿成分のある多糖類が含まれています。食べると山芋や納豆しかり、スタミナ維持に役立ちます。カタツムリのローションは実際に存在します。
・よく寝る:寝ている間に肌の再生は活発になります。肌を綺麗にしたいならよく寝ましょう
・癒し:人間関係に疲れたら、ポケモンからの無償の愛を受けましょう。ストレスが癒されれば、ホルモンの分泌が阻害されません


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Last-modified: 2014-05-11 (日) 12:18:36
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