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ツンドラ地帯にご用心

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ツンドラ地帯にご用心 


                     作者:COM
本作品はアルファさん&トランス ?さんリクエスト作品です。
リクエストしてくださったお二方、ありがとうございます。

秋の鹿は笛に寄る*1 



どうも、初めまして。
僕はヒョウって言います。
ニューラです。
え?ニューラっぽくない?
よく言われます。
悪タイプの母さんが父さんにベタベタだったせいじゃないでしょうか。
お陰で穏やかな性格になりました。
歳は19です。
家からさほど離れていない大学に通っています。
新しい環境はなかなか慣れないですが、みんなとても優しく接してくれるのですぐに溶け込めました。
新学期もようやく半ば、同じ学科の仲間は既にかなり打ち解けあってとても楽しいです。
そしてこの時期になるとみんな必ずこんな話をしだします。
「ヒョウ!お前誰誘うんだよ?」
少しテンション高めに話しかけてきたのが僕の友人、マグマラシのレッカです。
何の話をしているのか?
恐らく皆さんはもうお気づきでしょう。
「みんなで海行くんだろ?というかヒョウは誘うというより誘われる側だよな。」
そう、一学期ももうすぐ終わり。
みんなが楽しみにしている夏休みです。
さっき僕に話しかけて来たのがカメールのカレント。
この二人がこの大学に入って最初に仲良くなった人たちだね。
性格はレッカが熱血、カレントが冷静…。
なんてベタな属性似の正確ではなかったよ。
僕もあまり人のことは言えないけどレッカがお調子者で…
「レッカ。お前も海に行くのか?確か泳げなかっただろ?」
「甘いな。俺は克服した。その後モモちゃんとイイ事したいがために!漢の株を上げてやるぜぇ!!」
指を振りながらキザにキメてますが…要は頭の中はエロ大臣です。
皆さんの学校にもこういうの一匹は居ますよね?
「ヒョウ。お前今、すっげぇ失礼な事考えてなかったか?」
「そんなわけ無いでしょ。」
スルーしてカレントの説明に…。
カレントの方は口数も多く、とても陽気な人だけれど努力とは無縁と思われる程の天才肌です。
様々なことをそこそこどころではなく、ほぼ完璧にこなせるのは正直ずるいと思います。
しかし、本人は勉強とか努力があまり好きではないため…
「一応、今回の海、泳げない奴の事も考えてビーチバレーも考えてたのによ。」
遊びに賭ける情熱は素晴らしいものです。
それ以外は何も言いません。
否、言えません。
何もしないですから…。
「マジかよ…。まあいいや。泳げといて損はないだろ。ところで、ヒョウは誰から海で一緒に遊ぼう!って誘われるんだろうな?」
若干ショックを受けてはいたものの、そこは持ち前の性格ですぐに復帰したご様子。
そしてそろそろ僕の話題に戻りましょう。
実は今回、僕は一人だけ誘ってみたい女性がいるんです。
「えっと…。実は誘ってみたい人がいるんだ。」
素直にそう告白すると
「お!マジで!?誰誰?」
「それは俺も興味あるな。フィニか?」
二人とも興味津々で聞いてきました。
今、名前が上がった子がエルフーンのフィニさん。
僕と同じく小柄でほんわかしている、所謂愛されキャラです。
確かに横に並べばお似合いかもしれませんが…
「ううん。他の人で誘いたい人がいるんだけど…会ってみてのお楽しみってことで!」
僕はそう言ってひとまず二人をはぐらかすことにしました。
かなり気になっていた様子で結構残念そうに言われちゃいました。
特にレッカからは…。
しかし、なぜはぐらかしたかというと…。
えっとですね…その…。
なんで自分でもそんな人を誘おうと思ったのか不思議なぐらい、そう言ったお祭り騒ぎが似合わない人なんです…。
その誘おうと思った方が…。
「レッカ。邪魔。」
机の横に立っていたレッカにそう一言だけ吐き捨てた彼女。
「お、おう…。悪い。」
普段ならそう言われればレッカは必ず調子に乗ってふざけるんだけれど、彼女の場合はそれができません。
そのままレッカがどくと、つかつかと歩いていき奥の窓側の席で座りました。
「やっぱ今日も相変わらずだな…シュネーの奴…。」
「雰囲気悪いというか…。そういうレベルではなくなってるからな…。」
こんな二人がそうこそこそと話をするような程に基本表情がへの字で固定されています…。
への字…いや…横真一文字の方が正しいかもしれませんね。
「そこの二人。こそこそ話さないといけないことなの?みっともない…。」
聞こえてましたね…。
まさに地獄耳ですね。
えっと…話を元に戻します。
それで今回、海に誘いたい人は…まあ、こういった流れからある程度予想できると思いますが…。
彼女、クチートのシュネーさんです…。
話題が戻ってない?
いえ、結構真面目に言っています。
彼女はこの学校の入学式からあんな感じでした。
そのため、女性仲間とも打ち解けておらず、基本一人でああやって窓寄りに座って講義を受けています。
友達がいないというのは死活問題である程の大学で一人で誰にも頼らずに生きている…。
何故かそんな姿を見ていてすごく好きになってしまいました。
どうしてそうなった?
何故でしょうね…。
講義が始まるまでああやって先に自分で勉強している様や…。
寝ることが多い、大講堂などの講義も一人真面目に…。
そして終わると周囲に何も言わせずに真っ直ぐに歩いて部屋を出て行くその立ち振舞い…かっこいいです。
気付くと好きになっていた感じです。
そしてそうなればなるほど一つだけ気になるところがありました。
彼女が笑っているところを見たことがありません。
当たり前、と言ってしまえばすぐに片付けられる問題ですが、僕は彼女の笑っているところが見てみたいです。
おかしいことを言ってますかね?僕。
そんなわけで(どんなわけだろう…)数週間後に迫った夏休みとみんなで海へ遊びに行く予定の日に向け、今日、アタックしてみようと思います。
勿論、誰にも見られないように…。
午前の講義が全て終わり、昼食をとっているであろう彼女を探しました。
「誰かシュネーさん見なかった?」
食堂の方へ行く途中、出会った人に話しかけると
「ん?あいつ確か帰ってたぞ。」
隙が無い…。
まあ…午後からの講義がすぐ始まらないのなら、家が近いと帰る人も多いですからね…。
しかし、こんなことではめげません。
午後の講義、自分が出た講義は全てで彼女の姿を探しました。
ようやく見つけたかと思うと、いつもの如く歩きとは思えない速さで講義室を抜けていきました。
僕も急いで帰り支度をし、彼女の後を追いましたが…。
既に煙のように消えており、後ろ姿すら確認できませんでした…。
隙が無さ過ぎる…。


――――


次の日、今度こそは!と気合を入れたのですが…。
まさかの今日は講義にすら出ていないという…。
何なんだろう…この鉄壁ぶり…。

めげずにさらに次の日。
なんとか手荷物をすぐに纏め、彼女の後を追って教室から出ることができました。
バタバタと片付けてすぐに教室を飛び出したのだから恐らく僕は目立っているでしょう。
そのことも考慮し、かなり離れるまで待って声をかけることに。
「すみません。シュネーさん!」
ようやくの事で話しかけることができました。
何度か見失いかけた事も一応言っておきます。
足が速いというより、自分のことがバレてて逃げられているような感覚でした。
「なに?私今から帰るんだけど。」
声のトーンに強弱がないのがまた怖いです。
というより、声を掛けただけでまさかそれほどまでに嫌な顔をされると思ってませんでした…。
「えっと…その…。」
ただ『一緒に海に行って欲しい。』その一言がものすごく喋りにくい恐ろしい雰囲気を持っていました。
そうやってまごまごしていると
「言うことないなら帰るわよ。」
呼び止めておいて言う事がないってのはおかしな話だと思わないんですか?
「あなた…と…」
必死に絞り出した言葉を続けようにも、言葉にならず詰まってしまいました。
あからさまに表情が苛立ってます…。
ああ…ダメだ…。
兎に角言うしかない。
「あ…あなたのことが好きです!」
誤爆…!
完全なる大墓穴…!
よりにもよって何故にそっちの出て欲しくない本音の方が先走るのか…。
しかし、言ってしまったことを訂正するのもおかしな話。
なんとかそのまま話を軌道修正していくことにしようと思い、
「そういうわけで…今度、一緒に海に…行って欲しいなぁ…なんて…。」
そう言いましたけど…。
どういうわけだよぉ!!
僕が彼女の側だったとしても意味が分からないよ!
「馬鹿じゃないの?」
声色一つ変えずに言われました。
「意味が分からないんだけど?私のことが好き?それでどういうわけか知らないけど海に行きたい?馬鹿じゃないの?」
淡々と言わないでください…というか馬鹿二回目…。
「えっと…感情が先走ったというか…ごめんなさい。」
なんで謝ってるんだろう…。
「なんで謝ってるのよ。馬鹿じゃないの?」
反復されなくても分かってます。
「大体あんたならもっといい子がいるでしょ。フィニとか。」
さりげなーく誘導されて避けられてるような気がします…。
ここまで顔色も声色も何一つ変わってません。
動揺とかとは無縁と行っても過言ではないかもしれないです。
「えっと…その…シュネーさんじゃダメですか?」
言ってしまったものは仕方がない。
ここでフラレたのなら諦めるしかないでしょう。
「奇特な人ね。別に構わないけど。」
うん…。声色一つ、最後まで変えませんでした。
「ごめんなさい…。」
「あんた人の話聞いてた?」
うぇ?奇特な人って聞きましたけど?
そんなことを考えながらぽかんと見ていると
「だから別に構わないわよって。あんまりこういうこと女性に何回も言わせるようなことじゃないんじゃないの?」
すみません…トーン変えてください…。
えっとつまり…。
うん…うん?
「え!?いいんですか!!」
OKすら淡々と喋られるせいでOK貰えてた事に全然気付きませんでした…。
あんまり嬉しかったので一人舞い上がっていると
「五月蝿い。いい歳した男がはしゃぐな。」
一蹴されました。
あれ?僕本当にOK貰った?


――――


次の日…。
もう少しで長い一学期も終わり、長い夏休みが始まります。
カレントが最後に、海に行くメンバーの人数確認をしていました。
案の定、フィニさんは他の男性と一緒に行くようです。
当たり前ですよね、可愛いですし。
「ヒョウ。お前は誘えたのか?」
「うん。とりあえずは…ね。」
カレントが僕に人数確認のために聞いてきたので、正直に答えた。
向こうが誰か聞いてこなかったのも一つの友情だと僕は勝手に思ってます。
誘った当の本人は…昨日の事が嘘だったかのようにいつもと変わらないご様子です。
あれ?僕本当にOK貰ったよね?
一応、メールアドレスは交換したのですが…メールを出したら返ってくるので一応、夢オチでは無いようです。
あまりに心配になって一度だけこんなメールを出しました。
『えっと…シュネーさんの…彼氏ってことでいいんですよね?』
不安になりすぎて直球なメールです。
『さん付けで呼ぶのはそろそろやめてもらえる?というかわざわざ確認が必要?』
返信も素っ気ないですが…彼女らしいといえば彼女らしいですね…。
ひとまず、今の僕とシュネーさんの関係はこんな感じです。
お陰(?)で彼女を海に誘った事がここにいる誰にもバレていません。
というよりもバレる要素が何一つありません。
別に学校で変わったこともないですし、放課後会うこともないですから…。
一応、海に行く日まで少し時間があるので夏休み中に一回ぐらいは二人だけで遊びに行きたいですけど…。
大丈夫なんだろうか…。

終業式後、夏休みの昼のとある日。
カフェに来ています。
ソフトドリンクを飲んでいます。
シュネーさんと二人で向かい合って座ってます…。
あれ?なにこの近況報告?
ツイッターやってたっけ?
夏休みが始まり、追試もなく夏を迎えることができたのですぐに彼女を遊びに誘いました。
「別にいいわよ。場所とかはあなたに任せるわ。」
電話越しなのに確実に彼女が不機嫌になっているような気がするほどのトーンでした。
悪化してません?
そして当日、待ち合わせ場所に来ていた彼女は麦わら帽子に黄色のワンピース。
とてもお洒落でより一層好きになりました…。
「遅い。普通男性の方が先に来て待ってるものなんじゃないの?」
五分早めに来たにも関わらず、ダメ出しをいただきました…。
二人並んで歩く様はまさに恋人…。
そうならいいんですが…。
「えっと…あそこのお店ですよ!とても美味しいスイーツが食べられるそうです!」
まるで観光案内のガイドみたいになってしまってます…。
僕はあまりそういったお店とかには興味がありません。
しかし、折角彼女をデートに誘ったので出来る限り彼女には楽しんでもらいたい。
それが僕の想いだったので、必死に前日まるっと使って女性が好きそうな遊び場やスイーツショップ、お洒落なカフェなどの情報を熟知してきました。
そしてそのお店を見た彼女の反応は…。
もう、当たり前かもしれませんが無表情、無反応、無言でした。
「このお店…。ヒョウは好きなの?」
そのまま先導するようにお店に入ろうとした時、急にそんなことを聞いてきたのでびっくりしました。
感情はやはり篭っていませんでしたが、明らかにそれは僕に対する質問でした。
はっきり言ってあまりスイーツやこういったハイカラなお店は得意ではありません。
とても静かな…山奥の滝みたいな静かな場所とか、逆にとても活気で満ち溢れた屋台街とかで食べ歩きとかするのが大好きです。
雰囲気も楽しみたい僕からするとレッカやカレント達と一緒に行くレストランでも大好きです。
つまり、あんまり周りに気を遣いたくないんです。
食事の時ぐらいは自分のペースとか雰囲気を楽しみながらゆっくりとかしたいんです。
しかし、あまりお金のない学生二人が一日デートをするのにそういった場所には連れていけませんし、逆に屋台は確実に彼女が嫌がるでしょう。
ならカラオケという手がありましたけど…僕はあまりそういうの行かないんで曲もあまり知らないし、あまり騒がしいのは好きじゃないです。
その…ワイワイというよりはほっこり楽しみたいんです。
「えっと…シュネーさんが好きそうかな?…って思ったので…。」
頭を掻きながら僕は正直にそう言うことにしました。
僕は彼女が楽しんでくれたならそれで十分だったので。
しかし、その時の返事はありませんでした。
素っ気はなくとも必ず返事があったので少々驚きました。
そのまま店内に入り、何を頼もうかとメニューをざっと見渡している最中に
「私、あんまり甘いもの好きじゃないのよね。」
ボソッと呟くようにそんな声が聞こえてきました…。
というよりは何故それを入る前に言ってくれなかったの?
「え…えっと…。とりあえず飲み物でも…。」

そして現在に至ります…。
わざわざスイーツの美味しいお店に来て僕はオレンジジュース、シュネーさんはブラックのアイスコーヒーを飲んでます…。
こんな気まずい空気は初めてです…。
早くこのお店も出たいです…。
なんというか…周囲の視線が気になって…。
多分、見られているわけではないと思うのですが、こんな様子なので自意識過剰になってるんでしょう。
シュネーさんも飲み物を飲み終わったのを確認すると
「そ、そういえば近くにカラオケがあるんですよ!」
背に腹は代えられない。
ここは苦手かもしれないけれどカラオケを選ぶべきだろう。
「ヒョウ…あなたあからさまに顔が引き攣ってるけど?」
なんでこの人は自分の感情は顔に出ないのに他人の感情はすぐに勘付くんだろう…。
「洋服見に行きません?」
「あなたは確実に興味ないでしょ。」
苦し紛れの案は全て彼女の的確なツッコミで論破されていってます…。
ひとまず店は出たものの、さっきからこんな感じでどこにもいかず、ただウロウロしてます…。
あぁ…だめだ…万策尽きた…。
自分から誘っておいてなんですがシュネーさん、あなた防御力が高すぎて僕じゃどうしようもありません…。
恐らく、こんな調子じゃ海でも周りの人や彼女にひたすらに迷惑を掛け続けるだけになるでしょうね…。
そんな事を考えつつ、すっかりブルーになって彼女と横並びで歩いていると
「ヒョウ。一つだけ言いたいことがあるわ。」
急に彼女が喋りだしたので驚きました。
「は、はい!?」
びっくりしてそんな返事をすると彼女は深いため息を吐いて
「あなた馬鹿じゃないの?」
お決まりのセリフをいただきました。
もう…慣れたよ…。
「私の普段の生活を見てたらこういうことしないってすぐに分かるでしょ?」
しかし、続いた言葉はただのダメ出しではありませんでした。
それに少し驚きながらもただ聞いていました。
「私は元々遊び慣れてないの。だから別に行く場所なんてどこでもよかったのよ。」
その言葉を聞いて僕は心底絶望してました。
ならなんでことごとくダメ出しを入れてくるんだろう…と。
「だから私はヒョウが楽しそうだったらそれでよかったの。」
え…?
「なのにあなたは私に気を遣って自分の事を放っておいて、私が好きそうな場所を選んでたでしょ?だから嫌だったの。」
その言葉は、今の僕にはとても予想外でした。
周りから浮いていて、いつも一人でいた彼女なので僕に合わせるのは嫌だろう。
そう勝手に決め付けていました。
「私は今まで好きだなんて言われた事なかったから心底嬉しかったわ。デートに誘われたのもね。」
なら嬉しそうにしてください…。
まあそれはもう慣れたので置いといて。
ここで僕はようやく彼女の事が少しだけ分かりました。
いえ、教えてもらったのでしょう。
「私は嬉しそうなヒョウが見れたらそれで十分だから。」
声の強弱はいつものようにありません。
やはりお経のように単調なセリフを並べてきます。
でも、言葉には沢山の感情が込めてありました。
「そ、それじゃあ…。」
彼女は感情を表に出すのが下手なだけで…
「最後にラーメンでも食べに行きません?」
僕は、少し自分の意見を言うのが苦手なだけなんです。
夕暮れに染まってしまった、ちょっぴり台無しのデートは、そんな形で色んな事を知ることができました。


恋と哀れは種一つ*2 



どうも、ヒョウです。
以前のデートは大失敗に終わりました。
彼女に、シュネーさんによく見られようとして艶をつけすぎた結果です。
その代わり、きちんと収穫もありました。
そして今日はというと…。
「ヒョ…ヒョウ…。もしかして…いや、もしかしなくてもお前が誘った女性って…。」
「シュネーさんです…。」
「マジかよ…。」
とても楽しい?海です。
以前から言っていた海の日についになりました。
ええ、大体予想していた反応です。
恐らく、彼らからの心境からすれば何処をどう間違えばこのカップリングになるんだろうという状態なので…。
今日集まったメンバーは自分とシュネーさんを含めて8人。
まず、僕とシュネーさん。
次にレッカとタブンネのモモさん。
その次がカレントとシャワーズのシスイさん。
最後がカモネギのムサシとエルフーンのフィニさん。
以前噂されていた彼女は意外な男性に誘われていました。
ムサシは以前紹介されてなかった僕の友達で、かなり真面目な性格の人です。
そのため今回の海に来たのも意外なほどだったんですよ?
学校でも僕たちとよく話をしてくれたりするんですけど、基本おふざけなどが似合わない…真面目が服を着て歩くとまではギリギリいかないような人です。
しかし、今回の海にはかなり積極的でした。
元々カレントも気を利かせて誘わないつもりだったんだけど、自分から行きたいと言い出したので驚きました。。
まあ、だいたい理由はガッチガチに緊張したムサシの様子を見れば予想がつきます。
でも彼がああいう子が好きだというのは意外でした。
「ムサシさーん。今日は誘ってくれてありがとうございます。」
そう言い、フィニさんは小さな体をさらに折り曲げて小さな会釈をしたのに対し、
「い、いえ…こちらこそ!よろしくお願いします!」
ムサシの方は自分から誘ったのにも関わらず、何故か深々とお辞儀をしているのがとても印象的です。。
他のみんなも集まって欲しかったけれど、やはりそれぞれで約束があったり、バイトがあったりで大勢は集まれませんでした。
しかし、全員が顔を合わせるとやっぱり全員が硬直しました。
いやもう、分かりきってたんですけどそこまで嫌そうな顔しなくても…。
「私帰りましょうか?」
あからさまにイラついた顔をしてそんなこと言う貴女のせいでもあるというのに…。
やっぱりこういう場には一緒に行くべきではなかったのでしょうか…。
そんなことを考えて一人落ち込んでいると
「ヒョウゥ!!何処をどう間違ったらシュネーを連れてくるんだよ!どの辺りに色気があるんだよ!」
僕の肩に腕をかけ、耳元でひっどいことを小声で言うレッカ。
「色気って…。そういうのじゃなくてシュネーさん可愛いじゃないですか…!」
流石にそこには僕の意思があるので反論させてもらいました。
そう言うと、レッカは一度振り返り、シュネーさんを確認した後、また僕の耳元で
「お前一回『可愛い』って言葉を辞書で引け!間違ってもシュネーの顔は浮かばん!」
そんな事を言いました。
レッカだってポッチャリした女の子が好きなくせに…。
モモさんは…その…ふくよかとかそういうレベルを超えてるんですよね…。
一般論で言うならギリギリストライクゾーンを外れているような…ギリギリ残念な方なんです。
僕も何気に酷い事言ってますけど…。
でも…まあ…この中でまともなカップルといえばひと組しかいないので…。
言わずもがな、カレントとシスイさんです。
元々明るい性格のカレントとお淑やかで上品な元気さを持ってるシスイさんは間違いなくお似合いです。
それ以外はみんな凸凹ですからね。
あ、自覚してます。
僕とシュネーさんが並んで歩くと何かがおかしいことぐらいは。
まああまり長く話しすぎても面白くないだろうと思うのでようやく揃ったみんなとの移動の方に話を戻します。
実は直接海に集まったわけではなく、一度駅前に集合しました。
カレント以外は極めて軽装でした。
彼はどこで揃えたのか気になるほど色々持ってきていますね…。
電車に乗っても荷物が多すぎたのでカレントのみ一人で二人掛けの椅子を使い切ってました。
電車の中ではそれぞれ意中の女性と仲良くお話していました。
が、もちろん僕とシュネーさんでそういう会話があるはずがありません。
おかげで移りゆく窓の景色がとても綺麗です…。
ごめんなさい…どういう話をすればいいのか思いつきません…。
そこまで僕たちが住んでいる場所から海までは遠くないのであっという間に着いてしまいました。
海にはやはり僕たちと同じように遊びに来ている人達で溢れかえっています。
「うっひゃ~!!やっぱり人多いな!!」
目の前に広がるのは大海原と人の海。
レッカと同じく、みな声に出すか出さないかで予想以上の人の多さに驚いていました。
「仕方ないだろ。今日は近くで夏祭りがあるからな。」
カレントはそこまで調べ上げて今日を選んだそうです。
用意周到というかなんというか…。
そしてそんな事を言った彼は既に持ってきていた様々な道具を広げてみんながくつろげるスペースまで確保してました。
ビーチボールに折り畳み式の小型ビーチパラソルと椅子。
さらにはレジャーシートを広げて何処から出したのか小型のクーラーボックスまで…。
『何も持ってこなくていい。』と言っていましたが、まさか全部自分で用意しているとは…。
その情熱がもう少し他の事に向けば恐らく、弱点のない人になってたんでしょうね。
まあ種族柄、電気タイプは弱点ですが…。
そんなことは置いておいて、結局、海はすごい人の量でしたがカレントが用意してくれた様々なグッズで遊ぶことにしました。
ひとまずは4対4に分かれてのビーチバレー。
僕はあまり運動などが得意な方ではない為、カレント、シスイペアと同じチームに。
レッカとムサシも同じ感じですね、ムサシはあまりスポーツが得意ではありません。
「それじゃあ折角だし、負けたチームは砂に埋めようぜ。」
いつもの如く、レッカが笑いながらそんな碌でもない提案をしてきました。
まあそんな夏の陽気の照る中、熱に当てられたのかカレントもムサシも承諾しました。
カレントはともかく、ムサシとレッカは僕が敵だからそんな提案したんでしょう。
こういった勝負、勝ったことないです…。


――――


ジャンケンの結果、先行のサーブ権はレッカペア、ムサシペアチームへ。
「それじゃ!行きまーす!」
モモさんのそんな元気な掛け声と共に勝負開始。
同時にモモさんからのサーブが飛んできました。
サーブはそのまま伸びていき、僕を越えて後ろのシュネーさんの所へ。
彼女はあまり運動などをしていないので若干不安だったのですが、僕が心配するまでもありませんでした。
ボールの真下で綺麗にレシーブ。
そのままボールはカレントの元へ…。
カレントも綺麗にトスを上げる。
この流れからすると…アタックは僕ですか…。
そう思って飛び上がろうとすると彼女が…シュネーさんが後ろからダッシュジャンプ。
そしてそのまま強烈なスパイクを打ち込みました。
「邪魔。」
吐き捨てられた言葉が胸に突き刺さります…。
そうそう、一つ言い忘れていましたが、彼女は人一倍負けず嫌いです。
後々聞いた話では彼女が黙々と勉強していた理由は目の前の宿敵、ムサシに勝ちたかったからだそうです。
つまりそういうことです。
恐らく、今の動きからして彼女はかなりスポーツが得意…というか恐らくバレーをしていたんでしょう。
ここまで本気のアタックが帰ってくると予想していなかったレッカ、ムサシペアチーム、微動だにすることができずに一点を失う。
流石にただの楽しいビーチバレーの予定だったのでポイントは5点先取制。

0-1

この後、所謂ローカルルールでサーブはそのままレッカ、ムサシペアチーム。
フィニさんのサーブ。
「エイ!」
流石に体が小さいため頑張って僕のところに届いただけでした。
うっ…結局僕の出番か…。
嫌々ながらもレシーブ。
止めたと思っていたボールはそのまま跳ねて後ろへ…。
やっぱり下手だなぁ…。
「シュネーさんごめんなさい!」
そう言い後ろに振り返ると既に彼女は自分がそうするのが目に見えていたかの如く、走っていました。
必死過ぎる…。
そのまま気合のセーブ。
ボールはなんとかシスイさんの所へ届き、彼女のトスで相手コートへと帰って行きました。
というか器用に後ろ足だけで立ってそんなことが出来るんですね…僕と大違いです。
ごめんなさい…シュネーさんの目が本気過ぎて怖いです。
帰ったボールはモモさんの位置へ。
彼女は見た目とは違い、かなり運動ができるようで少し後ろに下がってレシーブ。
型はまさに女子バレーを見ているようでした。
ボースはそのままムサシの元へ跳び、彼のトス。
を盛大にスカりました。
ムサシさん…。

0-2

サーブはムサシに。
「お前せめてコートに入れろよ!言い出しっぺの法則は嫌だからな!!」
ここに来てレッカは危機を感じたようです。
「俺だって嫌だ!!何が楽しくてこんな舞台で恥を晒さないといけないんだ!!」
お二方共始まるまでの威勢はどこへやら、完全に焦っています。
後ろの女子二人は楽しそうにニコニコと笑いながら会話をしているのがなんとも凄まじいギャップを生み出しています。
そして遂に彼らにも僕の後ろにいるようなお遊びで見てはいけない目になりました。
なんでわざわざ海に来てまでこんな殺伐とした空気を味わわないといけないんだろう…。
そして結局、鬼気迫る意気込みで打ったムサシのサーブは案の定線を越えて僕達の遥か後ろに落ちました。

0-3

男としての見せ場で完全に失敗したムサシはかなり落ち込んでいました。
完全に向こう側の男性陣と女性陣で空気があまりにも違い、見ているこっちがいたたまれない気持ちになってしまいます。
こちらではカレントは呆れ、シスイさんはカレントに何か話している模様。
当たり前のようにシュネーさんは何考えてるか分かりません。
これがまさに対岸の火事状態ってやつなんでしょうね…。
そしてこちらが3点になったのでサーブ権がこちらに移りました。
どちらかが半分の点数を取った時点でサーブ権を移すのも今回のローカルルールです。
最初のサーブはシュネーさん…。
僕、ビーチバレーで初めてジャンピングサーブを見ました…。
サーブからかなり強烈なショットで始まりましたが、モモさんも軽い身のこなしでレシーブ。
跳んでいったボールはムサシの方へ…。
今度はきちんとトスを上げることができ、ようやくレッカのアタックへ繋がりました。
強烈なアタックはカレントのブロックを弾き、斜め後ろへ。
シスイさんもなんとかレシーブしようとしましたが僅かに届かずアウト。
「ごめんなさい。届かなかったわ。」
そう言うシスイさんにカレントや僕はそんなことないよと声をかけてましたが、
「大丈夫よ。」
表情はなかったですけどまさかシュネーさんがそんな言葉をかけるとは思ってませんでした。
みんなも意外だったようで笑っていましたが、お陰でみんなの距離が少し縮まった気がしました。
「勝つから。」
最後にボソッとそう言ったのを僕だけは聞きましたが…。

1-3

サーブはそのままシスイさんへ。
サーブできるの?
そう思っていると渡されたボールをそのまま尻尾へ。
そして尻尾でボールを跳ね上げ、そのまま前方宙返りでこれまた綺麗なサーブ。
ボールはフィニさんの少し奥へ飛んでいき、フィニさんは持ち前の身軽さでふよりと浮き、レシーブの反動で地面に降りました。
みんな器用だなぁ…。
そのままボールはレッカの元へ。
「つぇりゃぁぁぁ!!」
何を血迷ったのかレッカはそのボールをそのまま叩き込もうと既にアタックのためにジャンプ。
そりゃあ勝ちたいのは分かるけど…。
弾道が低いから確実に入らないのも分からないのか…。
結局、そもそも決まるはずのないアタックは盛大にすかしてそのまま倒れたレッカの惨めな姿で終わりました。

1-4

遂にこちらがマッチポイント。
男性陣二人が完全に焦っています。
そしてこの状況で僕にサーブが…。
絶対失敗しても成功してもあの二人から何かしろの言葉が飛んでくるだろうなぁ…。
もうちょっと楽しくバレーがしたかった…。
そんなことを考えながら放ったサーブはそこまで飛ばず、ネットギリギリへ。
二人しての過剰反応は何故か普通にサーブを外したよりも悲しくなりました。
そんなにキラキラと目を光らせなくても…。
そして二人してボールに向かってジャンプ。
ここまで言えばもう結果は分かっていると思いますが、二人が激突しボールはそのままトサリと地面に落ちました。
うわぁ…終始こんな感じでバレー終わりなのか…。

結果1-5

レッカ、ムサシ、罰ゲーム決定。

結局言い出しっペと悪乗りが仲良く身動きできないほどの砂山に消えました。
「チクショー!海に来たんだよ!砂に埋まりに来たんじゃねーよー!泳がせろー!!せめて泳がせろー!」
エロ大臣ここに眠る…。
ムサシに至っては一言も発さずに埋もれてました。
そのまま少し休憩。
残りのメンバーでこれまた何処から出したのかスイカ割りをして食べることに。
本人きっての願いでモモさんが割ることに。
目隠しをした状態ですこ離れた場所までモモさんをみんなで連れて行き、そこからみんなで声による誘導。
「まっすぐまっすぐ!」
「左にずれちゃダメよ!」
みんなの誘導で少しずつスイカへと近づいていき…
「そこ!」
一斉に聞こえた声でモモさんが棒を振り下ろしました!
すると見事名中!
流石に目隠しをされていた上に女性の力ではスイカを割ることはできませんでしたが、当たったことに変わりはありません。
モモさんもみんなも嬉しそうで何よりです。
が、それでもやはりシュネーさんは輪の中にはいるんですけど表情がないんですよね。
こういう時は一緒に喜びたいんですけどね…。
その後、カレントが改めてスイカを割り、みんなで食べました。
「ちくしょー…。スイカくれー。」
「もうそろそろ出してくれよ…。」
そんな声が砂山から聞こえてきました。
はっきり言って自業自得なんですけどね…。
そんな事を細い目しながら考えていたんですが、
「仕方ねーなー。」
そう言い、カレントがスイカのかけらを二つ持っていき、二人に渡しました。
まあ、砂に埋まってるんでもらえないんですけどね。
「おい!どこに置いてるんだよ!」
「ん?いや。お供えでもしとこうかと。」
完全に二人は砂のお墓状態です。
そのまましばらく放置されてました。


――――


彼らも開放し、少し人が減ってきだしたので海へ。
カレントとシスイさんは元々みずタイプなので楽しそうに泳いでいます。
そしてレッカは宣言通り泳げるようになっていました。
恐らく、彼女が泳げないのを知っていてレクチャーしたいがためだったのでしょう…。
「待って待って!足がつかないよ!」
「大丈夫!落ち着いて!」
これまでにないほどレッカはものすごく優しくなってました。
ムサシとフィニさんは二人とも泳いでるのか浮いてるのか分からないような状態でした。
僕はそこそこ泳げる程度です。
シュネーさんはかなり泳ぎがうまいです。
しかし、本人に聞くと
「口をずっと閉じておかないとしょっぱいから疲れる。」
そう言ってすぐに上がってしまいました。
そういえば…後ろにも口がありましたね…。
そんなことを言う彼女の可愛い部分が見れただけでも今回の海には来た意味があったでしょうね。
でも、僕は彼女の笑う所が見たいんです。
ここだけは譲れません。
みんなで海水浴、それは本当に楽しいことです。
あっという間に時間が経ってしまうほどなんですから。
気が付けば日も傾き始めていました。
「日も落ちだしたし、今日はここで解散にするか。」
カレントはそう言い、シスイさんとお祭りへ行くと言っていました。
初めから昼はみんなで騒いで、夕方からは好きな女性と二人きり…そういう計算だったんでしょう。
ここは素直にカレントの粋な計らいを存分に使わせてもらいましょう。
「シュネーちゃんバイバ~イ!ヒョウくんもバイバ~イ!」
フィニさんはそんな無邪気な子供のようにムサシに連れられて帰って行きました。
「家まで送る。今日は本当に楽しかったよ。たまにはこういう息抜きもいいかもな。」
そう言ってムサシはとても満足した顔で帰って行きました。
彼はどちらかというと日頃のストレスとかを忘れたかっただけなのかもしれませんね。
「俺はモモと祭りを楽しんでくるよ!じゃあな!」
そう言い、レッカとモモさんは早足で祭りがあっている場所へ行きました。
そして夕暮れの砂浜に、僕とシュネーさんだけが取り残されました。
強い海風に乗って来るので身を切るような寒さになっています。
「シュネーさん。最後に行きたい場所があるんだけど…いい?」
元々寒さには強いので少し寒そうなシュネーさんを気遣ってそう聞くと
「シャワーだけ浴びさせて。潮でベタベタするのも嫌だし。」
少し身を震わせながらそう言いました。
近くの脱衣所のシャワーまで歩いていくと
「覗いたら殺す。」
それだけ言い残して入っていきました。
僕がそういうことするように見えるなかなぁ…。
とまあ、そんな事を考えながらぼーっと待っていると案外早く出てきました。
「お待たせ。それで?どこに行くの?祭りなら嫌よ。五月蝿いし。」
つらつらとよくそんな楽しいことを完全否定してみせますね…。
そこまで言われれると悲しいですよ。
でも、今回僕が連れて行きたい場所はお祭り会場ではありません。
「違うよ!こっちこっち!」
そう言い、彼女の手を引いてその場所へと歩いて行きました。
時間はまだまだありますし。


――――


「ここどこ?周りになんにもないけど。」
歩いているうちにすっかり日は落ち、空には綺麗な星が輝いていました。
海風に乗って香る潮の匂いがそれなりに雰囲気を出してくれてます。
今、来た場所がみんなで遊んでいた砂浜から離れた岩場。
何故こんな場所に来たのかって?
押し倒すためじゃないですよ。
ここからはある物がとても綺麗に見えるんです。
「多分もう少しだから一緒に待ちましょう。」
「そりゃああなたが誘ったんだから待つけど…。」
僕たちは普段会話をしないので岩場に打ち付ける波の音だけが響いています。
長い沈黙の中にその音だけが響く。
そんな時間に耐え切れなかったのか彼女が急に
「もしかしてまた私に合わせたりしたの?」
と、少し怒った感じで聞いてきました。
「違うよ。ほら!灯りが消えだした!」
そう、遠くの明かりを指差し言うと彼女は何か言おうとしたのを止めました。
小さな静寂の中、満点の星空の中に…
ドォーー…ン。
そんな遠い音と共に一輪の華が咲きました。
「どう?シュネーさん。僕が大好きな花火のスポットは。」
最初の一つを切り口に次々と七色の華が咲き乱れ、フゥと夜空へ消えていく様をただただ、シュネーさんは見ていました。
僕の声も聞こえないほどに。
でも、それでいいんです。
ようやく彼女に僕の好きなものを見せられました。
今までは僕だけが知っていたこの場所を。
波の音に紛れて花火の音は消えてしまい、ただただ美しい華が、一夜の華が咲き乱れる様を二人、並んで眺めていました。
「ありがとう。とても綺麗ね。」
「あっ!!」
彼女の言葉に僕は思わず声を出してしまいました。
いえ…彼女の表情に…。
「どうしたの?」
疑問に思う彼女は気づいていなかったのでしょう。
花火と月と、そんな薄い明かりで照らされた彼女の小さな微笑みを…。
「笑ったシュネーさん…可愛いですよ。」
ようやく僕が本当に見たかったものが見れました。
そのまま自分の感情を口に出すと
「ありがとう。あなたのお陰ね…。」
そう言ってまた、微笑んでくれました…って…え?
周りの音が聞こえなくなるくらい…僕の中では大きな音が鳴り響いていました…。
「コレはお礼。」
ずるいですよ…不意打ちなんて…。
でも、少しだけ…彼女の可愛い所が見れたから…それでいいかな?
そのままラストスパートに入ったのか打ち上がり続ける花火を二人、静かに見つめていました。
顔は海風じゃ冷めないほどに火照ってましたけど…。


――――


「なあ…あれ何があったと思う?」
「いやいや知るかよ…どういう関係なんだ…?」
二学期が始まると、早速僕は噂になっていました。
それもそのはず…。
「おはよう。」
いつものような無愛想なシュネーさんが、僕の横に座っているからです。
知らない人からしたら訳が分からないでしょう。
でも、彼女は…シュネーさんは…。
いえ、シュネーは…僕の恋人です…。
「どうしたの?顔真っ赤にして。」
なんでもないです…。
口にすら出せない僕の本心とは裏腹な彼女は…今日も無愛想です。


あとがき 


どうもCOMです。
今回は惜しくも表彰台には上がれませんでした。
だがそんなことは関係ない!
投票してくれた人や読んでくれた皆さん、ありがとうございます。

以下コメ返し


登場したポケモン達がが個性豊かに描かれていて、(特にシュネーさん)始終、本当に楽しく読みました。よって、1票です。 (2013/04/01(月) 09:59)

>>シュネーさんは特に癖がありますからね。
ありがとうございます。


僕もシュネーさんみたいな彼女が欲しい! (2013/04/07(日) 23:38)

>>ただし終始笑顔なし。
お前らにもいい出会いがあるよ!


とても面白かったです (2013/04/14(日) 23:18)

>>ありがとうございます。

以上コメント返しでした。


コメント 

お名前:
  • >>名無しさん

    そちらの方でしたか。
    シュネーとヒョウは恋人同士ですが、夏の海で彼らは恋仲になっているので海にいたメンバー以外は知りません。
    そんな無愛想なシュネーがいきなり距離を置いて座っていたのにヒョウの横に座っていれば驚きますよね?
    驚きません? ごめんなさい。説明不足でしたか…
    ――COM 2013-08-07 (水) 11:33:59
  • ラストの学校のシーンがよくわからなかったです
    ―― 2013-08-06 (火) 22:24:21
  • >>名無しさん

    コメントありがとうございます
    最後のシーンはわざとオブラートに包んだんですけど、伝わりきってなかったですか。
    すみません。
    所謂、鱚です。
    ――COM 2013-08-06 (火) 22:17:59
  • ラストがすこしわかりにくかったです
    ―― 2013-08-06 (火) 22:12:17

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*1 男が危険な恋愛に身を投じること。
*2 人を恋しいと思う気持ちとかわいそうと思う気持ちは、根本は同じだということ。

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Last-modified: 2013-04-14 (日) 00:00:00
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