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ダイビング chapter1~5

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chapter1 ~図書館ではお静かに~ 


80年前、政府は時空干渉、つまりタイムスリップの実験を行った。
その実験が行われた街、ハザマタウンは消えた。
だが、消えたというのは何もない所になったということではない。
そこだけ、空間の壁が出来ているのだ。
上から下から、あらゆる方向から来る外の物を通さない不可視の壁。
その先に見える景色は80年前のまま。
動いていないのだ。人も空も景色も。
これはつまりハザマタウンだけの時空が止まったということになる。
時空に干渉することが別の方向に働いて結果的に失敗に至ってしまった。
このことにより政府は倒れたと言われています。

著者 アルフレッド=マーラン

「やっぱり載ってないか。」
図書館は¨情報の宝庫¨とはよく言ったものだ。
流石に自分の知りたいことが必ずあるとは限らない。
趣味でもない本を読むことをしてまである情報に貪欲になっている彼、クラウスは図書館の限界に溜め息をついていた。
「何やってんだよ?まさか読書に目覚めたか?」
普通に考えて図書館で真面目に本を読んでいる奴を冷やかすなんてマナー違反だ。
そんなことが平気でできるのは俺が読書を趣味としていないことを知っている奴のみ。
推測通り、振り向くと黒い体に黄色いリング、ブラッキーのクロノがいた。
「何の用だ?まさか俺を冷やかすために来た訳じゃないよな?」
「おお、怖い、怖い。焼かないでくれよ?それに俺は珍しく読書に没頭するクラウス君を見て、
何か助けられることはないかと思って話しかけてやったんだぜ?」
冗談交じりの彼の口調に一瞬本気で焼いてやろうかと思ったが、クロノにしては珍しい言葉を聞いて、
思いとどまった。
まあ、どうせ用件は分かってるんだろうけど。
「お前の親父のことか?」
「……、ああ。」
80年前の時空干渉実験の失敗に巻き込まれたのは約200匹。
その被害者の中に……、父さんがいる。
父さんは俺の憧れだった。
強くて、優しくて、いつも気丈に振る舞っていた。
それが一瞬にして終わるなんて…。
もし、また会えるなら……、




ー I hope to see you again ー




「おーい。どうしたんだ?ぼーっとして?」
「ん、いや、何でもない。」
「ふーん、まあいいや。それより、いいこと教えてやろうか?」
「いいこと?」
「バーランポストが80年前の事故調査隊を作るんだってよ。」
「え?」
バーランポストとは前の政府が倒れた後に政治の実権を握った大企業で、今、俺達が住んでいるこの街もバーランポストの支配下にある。
といっても、独裁的な支配ではなく、企業にしては大きすぎる経済力と政府とのコネを用いて支配したというところだ。
それはさておき、80年前の事故調査隊とは一体?
「事故調査隊って何をするんだ?」
「さあ?でも行けば何か分かるんじゃないか?」
「まあ、そうかもしれないけど……。」
「ほら、行こうぜ!」
「おい!引っ張るなって!」
「お客さん、図書館ではお静かにー!」
「「すいませーん!」」

こうして物語という名の時計の針が動き始めた。

chapter2~ギリギリセーフ~ 


最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 80年前で親父…
    ジーランス?
    ―― 2012-06-22 (金) 02:11:03
  • 80年ですか、ジーランスっぽい…
    ―― 2012-06-22 (金) 02:14:36
  • 名無しさん達へ

    ジーランスではないですが、その辺も考えながら続きを読んで下さると嬉しいです。
    コメントありがとうございました。
    ―― 2012-06-22 (金) 22:08:22
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Last-modified: 2012-06-20 (水) 00:00:00
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