僕がレシラム様の軍隊に入隊してから、一日過ぎて朝になった。
僕は朝御飯の木の実5セットを数分で食べ終わった。
でも、ちゃんと噛んでいるからね。丸飲みなんて不健康な事はしないよ。
先頭隊長って、戦争の時に自分の軍の先頭に立って軍を引っ張っていく役割だって、リーシア君が教えてくれた。だけど、戦争以外は基本皆友達みたいなものだし、リーシア君もこの軍はフレンドリーが売りだって言ってたし、そこまで深く考えないでいいってアクオ君も言ってた。だからダクロ君もあんなにリラックスして寝られるんだよな。
「とりあえず、軍隊として重要な事を簡潔に説明する。
まず、新しいスケジュール表を作った。そのスケジュール通りに普段は動くんだ」
リーシア君がスケジュール表を作った。えっと、なになに?
・夜、当番で見張りが起きている。夜に敵襲があるかもしれないから。 ・朝、見張りは隊員を6:30に起こす。敵襲の場合は爆音機で起こす。 ・朝御飯は6:50。なるべく速く、よく噛んで済ませる。 ・7:05から戦闘訓練を行う。怠る者には罰を与える。 ・7:40~9:00は自由時間。但し戦争に支障が出る行為は禁ずる。 ・9:00から12:00まではレシラム軍の領域の警備を行う。やってきた者は、PSIズの所に連れていき、検査をしてもらう。 ・12:00から昼御飯。こちらも速く、よく噛んで済ませる。 ・12:15からは軍会議。第十三軍の全員で会議する。 ・12:45からはまた警備を担当。 ・15:45からは自由時間。 ・17:05に、戦闘訓練を行う。 ・17:40から、レシラム様に状況を報告しにいく。 ・17:55に戦闘隊での合同訓練。 ・18:30からも自由時間。但し前より短い。 ・19:00に夕御飯を摂る。間食は許されない。 ・19:30に就寝。見張りの当番は起きて状況を把握する。 なお、このスケジュールは戦争になった時、レシラム様から命令があった時等では大きく変わることがある。
うわぁ、結構ハードだな。まぁ、軍隊なんだから仕方がないかな?
それにしても、失礼だけどリーシア君って結構こういうの纏められるんだな。このスケジュールを定期的に確認しておかないと。
「次に、戦争になった時、相手のポケモンを殺してしまう事になっても、可哀想に思うな。だが、『お前が悪い』とも思うな。そうすると、殺すのが日常的になってしまう。それから…」
リーシア君、説明上手でもあるんだね。彼はこの軍に向いているなぁ。
さて。朝食を済ませたから次は戦闘訓練か。レシラム様の為に頑張らないと。
「リーシアって、普段は頼りないけどこういう時だけは立派だよね」
「ひ…一言多い!…兎に角、これより戦闘訓練を行う!ダクロ、起きやがれ!」
「ん~、何だかリーシアが隊長みたいだね~」
「あ、そういえば先頭隊長は僕だっけ」
「く…今はそういうのは無しだ!兎に角訓練だ!」
訓練っていっても、詳しくは何をするんだろう。場所とか、詳しいことは行ってからだね。
僕は準備をして、リーシア君達に着いていった。
着いた所は開けた野原だった。他の戦闘隊の軍の皆もいた。割とこの時間は訓練をしてる所が多いんだな。
「で、今日の訓練はどうするの”元”先頭隊長?」
「今日の訓練は、遠距離攻撃の耐性訓練だ!」
「あ、ツッコんでくれない…詳しくはどんな訓練を?」
「ん~、気になゆにゃ~」
「寝惚けてるんじゃない!まず、俺は氷の礫を連発する。それを無傷で終わらせるんだ」
成程ね。でも、これじゃリーシア君の訓練にならないじゃないか。
ブラッキーのダクロ君じゃ遠距離は覚えないし*1、シャワーズのアクオ君なら泡なり水鉄砲なりでできるかな?僕は火炎放射はできるけど、連発できないから駄目かな。
「行くぞッ!」
リーシア君が叫ぶと同時に跳んだ。そしてそのまま地面に氷の礫……もとい、
って、そんな事言ってる場合じゃないよ!は、早く避けないと!
いよっ、はっ!結構疲れる…
ん?ダクロ君……ダクロはいつもとは打って変わってなかなかの身体能力じゃないか。
…………僕は……………俺は、間一髪で雹の嵐を避ける。
…はぁ、なかなかの威力じゃねーか。くそっ、避けきれねぇ!
だが俺には技がある。俺は跳んでブレイズキックをリーシアに向けて放つ。
「喰らえリーシアぁ!」
「え、ちょ、待ってぐはぁっ!!」
「も~、リーシアに攻撃しちゃ駄目じゃないか」
「ご、ごめんダクロ君……。リーシア君、あんまりあの時の事覚えてないから説明してくれる?」
「~~説明中~~*3……って訳だよ。いてて…」
「ええっ!?ご…ごめん!これじゃ訓練にならないや……」
「いやいや、大丈夫だよ。じゃ、次は僕が泡を放つから、皆無傷で終わってね。……行くよ!」
お、今度はアクオ君の泡の雨……もとい、豪雨*4だ。
とりあえず、地下に潜ろう。
…………………………………....。
そろそろ終わったかな。ここから出るのには勇気がいる。豪雨が続いてたら怖いからね。
って、豪雨だった!避けないと。
ぐっ、よっ…雹の嵐より遅いから避けにくい……。
……僕は……俺は……アクオにブレイズキックで突っ込み……
…はっ!
「あ~あ。ブイト当たっちゃったね」
ぱぱぱん!
そんな音がした気がした。。気がつくと、僕は皆で座っていた*5。
「ブイト、さっきのお前超怖ぇぞ……」
「目付きも鋭かったし、攻撃もするし…」
「……ごめん。もう一回説明してくれるかな、ダクロ君」
「……まあ、ブイトがアクオに突っ込んでいって泡が当たっただけだよ~」
「そっか。でもさっきのは一体…」
ファンファンファン!
ん!?サイレン!ヤバい、戦争が始まる!ロクに訓練もできてないのに!
でも、行かなきゃ。
「戦闘隊第十三軍!警報だ、戦争を開始する!直ぐ様現場に向かえ!」
「りょうかい~」
「解った!」
「OK、行くぞ!」
……余り畏まって言うのは好きではないんだけどね。それよりも戦争だ。
ちなみに警報器は、各軍のテントにある。だから訓練はテントの近くでやる。
いよいよ、僕の初戦闘だ。レシラム様の軍隊として、絶対に勝つぞ!
「お前らァ!よく聞けぇ!俺は親衛隊のゴウカザルだ!
作戦は………」
今、現場から少し離れた所に整列してる。
どうやらあのゴウガザル、親衛隊で、今回の戦闘の
僕も一応、十三軍の先頭隊長。前に出て戦わなくてはならない。
ゴウガザルにはプレッシャーが掛かっていないのだろうか?
「敵は今両側が絶壁の谷間にいる!奇襲をかけろ!!」
「了解っ!!」
さあ、いよいよ戦争が始まる。
この戦いで、一体何匹のポケモンが死ぬのだろう。
一体何匹、ポケモンを殺すのだろう。
「心配するな。困ったときは俺やアクオがフォローする。ほら、ダクロカゴの実」
「そうだよ。隊長だからっていろいろ気負う必要はないって」
「りーしあ………うおっ!?き、急に力が沸いてきたぞォ……」
ダクロ君って、起きると強いらしい。潜在能力ねえ。僕もあるのかな?
「いやあの、初めてだから緊張とかしちやって……」
「そんなことか……この私の力があれば全て終わる……!」
「わー!ダクロやめろ!覚醒するなぁ!」
「モクハ………あのブースター……」
「ん、デスガ…急にどうしたっスか?」
「間違いない……ボルダの弟だ」
「ボルダの?マジっスか……あいつが?何で解ったの?」
「フッ……お前も、観察力が足りないようだな……」
「ん……あ!アレっスね……ひひ」
「ゼクロムの軍め!うおおお!!!」
「ん、ん!?れ、レシラム軍だ!先手を討たれたか!」
ついに、戦争が始まった。
ここにいる兵士は皆、誰かに尽くす。
『軍』という一つの感謝表現として参加しているポケモンもいる。
考え方が違うから、争いが起きる。
……それが神の創った生き物。
神は何故、このように僕達を創ったのだろうか。
「うおお!ブレイズキック大回転!」
「おお、ブイト!応用もできてるのか!」
僕は足を炎で包み込み、回転蹴りを決めながら突っ込んでいく。
……だが、それを受け止める
「こんなのチクリどころかサスリも来ねえぜィ」
「!?僕の脚を!」
「おぉらよっとォ!!」
そのサイドンの腕で、あっさり僕は投げ飛ばされた。
地面に叩きつけられ、相当のダメージを負う。
おまけに、『岩雪崩』の構え。
あれに当たったら、ヤバい。
僕は必死に体を動かそうとするも、避けるのは無理か。
「やめろぉ!!『雹の嵐』!!」
あれは……リーシア君。
リーシア君が技を放つと、アクオ君が僕の回りに『アクアリング』を広げた。
「くっくくく………ふん!!」
リーシア君の起こした雹の嵐が、サイドンが地面を踏んだだけで砂の嵐へと一変した。
まさに一瞬の出来事。
そしてそのまみリーシア君を吹っ……!
「ぐはぁっ!!」
「くくく……『岩雪崩』っ!!」
サイドンが構えて、リーシア君が岩に埋もれてしまった!
どうしよう!な、仲間になれたのに………
「さぁてと、そこのシャワーズ。お前も一撃で仕留めてやるぜ。『十万ボルト』!!」
や……殺られる!
でも僕は体が動かないし………
お仕舞いだぁあああ!!
「!?」
……と思ったけど、そんなことは無かった。
十万ボルトを放ってから一秒も経たない内に、僕とアクオ君はサイドンの前から助けられて、リーシア君も岩から助けられた。
「ダクロっ……!」
「悪い。私、本気出すから。」