ポケモン小説wiki

ズーフィリア０～１

ズーフィリア† 

書いたやつ ティコ

人×ポケ となっています

【0】




ホウエン地方の某すいどう






一匹のチョンチーが力無く水中を漂っている。




眠っているわけではない。


このチョンチーは今、生死の境をさまよっているのだ。







体に力が入らなくなり、






何も見えなくなり、






しかし全身に走る激痛は はっきりと感じとれ、





息がどんどん苦しくなっていった。








チョンチーは 子供ながらに、



自分に 死 が近づいていることを



感じとっていた。












（……しん、じゃ…う、よぅ……





…やだよぅ……や……だ…………




















………………おかあさん……………………























……………………………………………………）
























ーーーーーーーーーーちくーーーーーーーーーーーーー







（いたいっ　　いた、いたたたたたたたた



おしりにっ　　おしりに なんかっ　なんか ささってっ



いたたたたたたた　　ひっぱらないでっ　いたったたたたた）






















強引に引っ張られた先に かすかに光を感じ取り、




チョンチーは、自分は完全に死んだのだと思った。
















（そんなに…らんぼうに しないでよぅ………



…あ……てんごく…？…）

【1】

「はぁ……」

もう１ヶ月になるか、ここでの釣りばっかり生活も…
釣ってはリリース、釣ってはリリース…
正直もう飽きてるけどこれしかすることないし…

「ああぁぁぁっ！ にしても今日は全然釣れねーし！
あ～ いい若者が何やってんだろ…勉強するわけでもなし 働くわけでもなし…」

今日はもう帰ろうか、と思ったそのとき、
ーーー　ピク　ーー　クンクンッ　ーーーーー
[おっ　ひいてる ひいてる ！！]

「…ん？これキテる？キテんじゃんっ！！」

気合を入れて竿を引っ張りリードを巻いたが 獲物が軽いのか力が弱いのか、
あれよあれよという間にあっけなく釣り上げた。
糸の先端に付いていたのは、かなりぐったりした様子のチョンチーの子供だった。
普通は口に針が刺さっているものだが、針はチョンチーのお尻(?)のところに刺さっていた。

「おい…おい、大丈夫か!?」

とりあえずチョンチーから針をとって、そばに横たわらせた。
見るとチョンチーの顔は青ざめていて、所々傷ついている。
頭の２本の触手は、消えそうなほど ぼんやりとしか光っていない。

「…っ これは毒だ…でも近くにポケモンセンターないし……
そうだ…家の近くにモモンの木があったはずだ！」

俺はチョンチーを抱えて家まで全速力で走った。
いつもなら釣ったポケモンは全部その場で逃がしてきた。
だが ひどく苦しそうにしているチョンチーをこのままで海に帰すわけにはいかない。
帰すのは毒を取り除いて体力が回復してからだ。

そして５分ほど走り、ようやく家が見えてきた。

「はあ、はあ、頑張れ！もう少しだからな！」

走りながらモモンの木から実を一個もぎ取り、家に入った。
チョンチーを抱えたまま椅子に座り、モモンの実を食べさせようと口まで近づける。

「これを食べろ！モモンには解毒作用があるんだ！無理してでも食べてくれ!」

チョンチーは小さく口を開けて一口食べると、続けて二口、三口と、すすんで食べてくれた。
モモンの実は甘くて美味しいし、柔らかくて食べやすいから、もしかしたら そのせいかもしれない。

「すぅ…すぅ…」

チョンチーは実を半分くらい食べたら、規則正しい寝息で眠り始めた。
さっきのような苦しそうな様子は無い。
顔色はだいぶ良くなったみたいだし、頭の触手の光は、心なしか さっきよりも生気がある気がする。
どうやら解毒は出来たみたいだ。

「ふぅ…よかった…」

しかし、まだ体に付いている傷は治っていない。
この家にポケモン用の傷薬などは無かったから、とりあえず消毒して包帯を巻いてやった。
明日になったらポケモンセンターまで連れて行って、ちゃんと治療してもらおうと思った。

「ふぁ～～あ…なんか俺も…眠くなってきたな…」

走ったのなんて久しぶりだったからか、安心したからか、急に睡魔が襲ってきた。
俺はそのまま夕飯も食べずに チョンチーを抱いたまま寝てしまった。

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