Writer by RYO
CP 人×ポケ *見方によっちゃBL
完全主人公視点
※官能表現有り
朝から店の中に居るから、外の様子は確認していない。
何故か今日はお客さんの出入りが少ない。大体その時は雨か強い風が吹いている。だけど天気予報では一日中快晴だったはず。
何か町でイベントでもあったかな? だけど今時期この町ではイベントなんて聞いたことがない。まあいいか。
今は仕事に集中しよう。さっきから思ってたんだけど、来たお客さんがみんな汗をかいている。暑いのか外は?
店内は冷房が効いてるから涼しいけど…何か嫌な予感がする。大体予想はつくけど。
ま、いいか。あと二時間だ。手抜かないで頑張るとしますか。
ーーやっとバイトが終わった。今日は特に長い7時間だった。だけどお客さん少なかったな。
まぁ…車の免許を取る為だから仕方ないか。しかしそれにしても高すぎると思う。
たかが車乗るだけなのに三十万とか、ぼろ儲けじゃねぇか自動車学校は。
愚痴を思いつついつもの出口のドアノブに手を掛ける。ん? 生温いぞ。 やっぱり。嫌な予感的中。開けた瞬間サウナの様な熱い風が、俺の体を蒸発させるかの如く襲い掛かる。
あぁ、これじゃお客さん来ないな。閉店は9時。まだ5時過ぎだというのに駐車場ががら空きだ。赤字だなこりゃ。潰れたら面白いのに。
てか潰れてしまえ。ガチで。
そんな事を思いつつ額の汗を拭い、自転車に乗る。サドルが熱かったのは結構辛い。
まあいい、さっさと帰るか。お気に入りの曲を聴きながら。
ーー6曲目のギターソロが終わる頃にやっとアパートが見えてきた。相変わらずこのギタリストはスゴイな。本当に弾いてるのか? ギターの音が速すぎて良く聞き取れない部分もあるが。この前パソコンでライブの動画を見たが、凄い勢いでミス連発してたな。
そう思いつつ耳からイヤホンを抜き、自転車を物置にぶち込む。しかしこの中もむし暑い。さっさと出てっと…
アイツ腹減らして待ってるだろうから、早く飯をあげないと。摘み食いとかされたらたまったもんじゃない。
急いで階段を上り、鍵を開けて家に入る。そしてちゃんと鍵を閉めて。
「ただいまぁー」
カツカツと床に爪が当たる音が聞こえる。やっぱり、早速来たなアイツ。薄暗い部屋の中でもはしゃいでるのがわかる。数いる俺のパートナーの一匹。
毎日ローテーションで一日ボールから出している。今日は手持ちの六匹中の一匹。
まぁ他にも色々居るんだけど。さすがに一気に全員出すとまずい事になるからな。
白と濃い灰色の身体、鋭い爪が付いた四肢、頭には鎌が付いており、胸元に当たる部分がふさふさの白い毛。アブソルというポケモンだ。
相変わらず尻尾の動きが激しいな。そんなに嬉しいか。コイツ…って
「んおっ!」
飛び掛って来たね。いきなり、嬉しいんだなコイツ。可愛いやつだ。
「わかったわかった! 落ち着けって!」
嬉しいのは分かるが、この勢いは勘弁してくれ。バイト終わった直後に。
丁度今俺の腰辺りに抱き付かれてる。結構強い力で。そういえば部屋の中が朝の時とまったく同じだ。物が散らかってないという事は大人しく待ってたって事か。偉いな、コイツ。後で褒めてあげないと。
しかしこれ以上纏わり付かれても困る。早くご飯あげないと俺もきつい。
俺が部屋着に着替え終わった頃は6時半を過ぎていた。俺はソファーに何気なく座って、壁に掛かってある時計を眺めていた。
ふと目をやると、アイツは皿に入れてあげたポケモンフードを美味しそうにがっついていた。尻尾をぶんぶん振りながら。朝あげただけだもんな。腹減ってただろうに。
それにしても部屋の中が暑い。こんなに暑い日って今シーズンあったっけか。とりあえず額の汗を拭い、壁にある温度計に目をやると…
「三十二度って…」
思わず声に出してしまった。暑すぎじゃね? 今期最高温を更新したな。あ、こっち向いてる。
声に反応してこっちを見ていたアイツになんでもないよと声を掛けて。ごめんごめん、ここまで暑いとは思ってなかったんだ。こんな部屋
にずっとボールの外に出しておいても元気だなんて、さすがポケモン。
悪タイプだけど。
そんなことを思いつつ、俺は風呂のお湯を沸かそうと、風呂場に向かった。
ガスの元栓を開け、つまみを点火の位置に合わせる。そしてそのつまみを押しながら側面のハンドルを回す。カチカチと耳障りな音を出しながら数回回すと、やっと火がつく。つまみを「追いだき」の位置に合わせ、準備完了。
今日は暑くてぬるめに設定したから、案の定早くお湯が沸いた。まだ7時過ぎ… テレビもあんまり見ないしなぁ…
…そういえばアイツはどこ行ったんだ? さっきから姿が見えん。
「おーい。アブソルー?」
…無反応ですか。あの野郎。
玄関は鍵閉まってるし、ベランダから出た形跡も無い。もしや…?
俺の寝室のベッドに奴は居た。掛け布団の中に頭を突っ込んだ状態で。
やめてくれ。お前の頭の鎌で布団が重症を負う。だから
「おい、何してんだお前、俺の布団穴開くだろうがぁぁ」
強行手段、尻尾を持って引きずり出す。んん? 意外と硬い。多少引っかかったが穴は開いていない。
あぁ、危なかった。妙ににやけた表情が憎たらしい。
「何したいんすかアナタは」
にやけたまま俺の目をじーっと見てくる。やっぱり、コイツ、暇なんだな。しょうがない、外にでも連れて行くか。明日はバイトも学校も休みだし。外はちょっと暗いけど公園なら照明あるから明るいだろうし。
適当なジャージに着替えてっと。
「外、行くぞ」
奴は満面の笑顔で返事をした。畜生、負けた気分。
そんな訳ですぐ近くの公園にやってきました。とりあえず俺はベンチに腰掛けて満天の星空を眺めています。…綺麗すぎる。
アイツはそこら辺から持ってきた木の枝を吹っ飛ばしたり、鎌でズタズタに切り裂いたりと……すげぇ切味……アイツ俺の手持ちの中で一番強いんじゃね? …と思ってると、遠くから人影が。トレーナー的な奴ですか。うわすげぇベタな展開。しかもこんな時間に。
やっぱり来た。オイラと戦えと、明らかに年下なくせに、タメ口ですか。この短パン。捻り潰してくれる。
『オイラが勝つに決まってんだろ! 俺たちのコンビはお前なんかには負けねぇよ!!』
うっわ、年上にお前って。だからガキは嫌いなんだよ。言葉遣い知らねぇから。もう。しかもバタフリー出してきたし。
『さあ、掛かってきな!!』
腹立つわーって、アブソルよ、何が嬉しいんだ。尻尾振って。ま、いいや。指示出すか。
「アブソル、とりあえず……あの虫を…うん。どついてきて」
よーし。後はアイツに任せるかぁ。うん。トレーナー失格だな俺。任せるって…。ま、いいや。静かに観戦。
指示を受けた瞬間、アブソルは宙に浮いているバタフリーの下に電光石火並の速さで近づく。
『バタフリー! ふきとばし!』
その瞬間、バタフリーの羽から強烈な風が発生。しかしそんな技効かないよとでも言いそうな顔で、風を物ともせずに突っ込んでいく。
そして真下に来る直前に飛び上がり、その瞬間、バタフリーの顔面に鎌で一撃。
直後仰け反りながら地面に落ちていく。切れてはいないが恐らくかなりのダメージを負ったはず。バタフリーは体勢を整えようともがくが、アブソルはそのままバタフリーが地面に落ちる寸前に反対側に廻りこむ。そして、一撃を喰らわした直後から鎌に溜めていたエネルギーを脚力と遠心力で一気に放出!
「かまいたち」がバタフリーの背中に直撃。直後落ちてきた方向とは逆の方向に吹っ飛び、地面を擦りながら十メートル程滑り、停止。
「終わったな」
この瞬間、俺の勝利が確定。
言葉も出せずただ立ち尽くすガキ。アレだけの場面見たら子供ならそうなるか。ちょっとやりすぎたかアブソル。とりあえず俺は倒れたままのバタフリーのもとに駆け寄る。あぁ… 傷だらけ。やりすぎだなコイツ。
「ちょっとやりすぎだぞ?」
一緒に駆け寄ってきたアブソルの頭に手を乗せながら声を掛けた。真面目な顔をして静かに頷く彼。ちゃんと分かってるんだな。
ガキはまだ言葉も出せない状況だ。しょうがない。
俺は未だ動かないバタフリーを抱き上げる。以外と重いし…ちょっと持ちにくいが構わない。
「はいよ」
無言でバタフリーをボールに戻すガキ。ほほぉ、まだ立ち直れないか。 ん?
『…あんちゃん、何でそんなに強いのさ? 』
「知らん、普通に育てたわ」
知らないものは知らない。コイツが勝手に強くなってただけだし。てか勝負なんて全くしないし。俺トレーナー失格。
『へぇー、何もしてないんだ』
「あぁ。飯やって軽く散歩して寝るだけだ。それより早く回復させてやったらどうだ? 」
『あぁ、そうだな。それじゃ!』
クソガキが。年上にタメ口とはいい度胸じゃねぇか。でもいちいち気にしてたらキリが無い。よし、帰るか。
「帰るぞ、アブソル」
ぼーっとしてたアブソルに声を掛け、俺たちは家に帰ろうと、公園を後にした。
だけどさっきからコイツの様子がちょっと変だ。ちらちら俺の顔を見たりするし、目が合ってもすぐ逸らすし。んんー。気になる。
時間は9時を過ぎていた。さっきの件もひと段落し、俺は風呂に入る準備をしていた。ガスを着けっぱなしにしてたからお湯はそこまでぬるくはなってないと思うが。まだ部屋が少し暑いから気にする程では無いだろう。
バスローブを持ち、いざ風呂場へ……何か視線を感じる。この部屋には今、アイツしかいない。
何か見られてるね、じーっと。ふと振り返ると、大きめのバスタオルをくわえたアブソルの姿が。
嬉しそうに尻尾をぶんぶん振りながらこっちを見ている。
「……おまえも一緒に入るか?」
凄く元気な声で鳴いた。ちょっと頬が赤くなってたのは気のせいか? まあいいや。いざ天国へGO!
「あ”あ”ぁ~きもぢい”い”~」
今の俺凄く親父臭い声だったと思う。だけど気持ちが良いから仕方ない。
ヤバイ、このまま寝れそうだ。だけどそうしたら近所に迷惑が掛かる。こんな状態で発見されるなんてたまったもんじゃない。
ぬるめのお湯に浸かりながら頭の中で自問自答しながらふと横に目をやると、アイツの白い背中が見えた。
久々にコイツと風呂入ったけど、やっぱり少し成長したのか、前より背中が大きくなった様にも見える。
図鑑か何かで書いてたけど、アブソルって100年近く生きるらしいから、歳を取るのも人間に近いのか? 100歳超えた人間も多く居るし。そう考えると、まだまだ長い付き合いになりそうだ。
「今日は何だか疲れたけど、お前がここまで強いとは思わなかったわ」
それにしてもさっきの戦いは凄かったな。空中で攻撃して相手が地面に落ちる前にまた反対から攻撃。正直びびった。
マジあの鎌おっかねぇわ。
…声を掛けても無反応。いつもなら喜んで聞いているのに。何か様子がおかしい。
さっきから何故かこっちに背を向けて座っている。もじもじしながら。どうしたのだろうか?
「アブソルー、どおしたぁー?」
そんな声を掛けた瞬間、ビクッと背中を震わす。毛も逆立った気が。好奇心旺盛な俺発動。
「どうしたのさアブソル、何かあったか?」
湯船から出て顔を覗こうとしたら、
――!!?
「んおっ!?」
どつかれた。右前足で。どうやら本気ではないらしいから痛くはないけど。一体どうしたんだコイツは。やっぱり変。
ちょっと鼻息荒いし。怒ってるのか? 何かしたか俺? うーし。
こういうときは……あの手を使うしかないな。裸だけどやってやるぜ。よーし…
――!?
後ろから優しく抱擁。これで俺のポケモン達は大抵落ち着く。俺の必殺技。うわっ、湿った毛がくすぐったい。
「どうしたのさ、さっきから。何か俺悪いことしたのか?」
そう言い頭を撫ぜながら顔を覗き込む。うん、頬っぺた赤いね、赤い? のぼせたのか? しかし……何か視界の端に赤い”モノ”が。
あぁ、やっぱり。これは……アレだな…
「なーに、お前…」
――……
何も言わず静かにこちらを見るアブソル。顔を真っ赤に染めながら。間近で目が合う。雌みたいな顔。お前は雌か。
こういう時はやってやらないとなー、この前もアレだったし……
溜まり過ぎても可哀想だし、うん、我慢は良くない!
「俺に任せろって。ちゃんと気持ちよくさせてやるから」
俺はそっちの趣味は無い。でもこんな問題でもちゃんとやってやらないと可哀想だ。大切なパートナーの一匹だし。違うか? まあいい。
溜まったものは出してやらないと。
という訳でアブソルは今風呂場のマットの上に仰向けの状態です。顔が真っ赤だ。
ここならぶちまけても安心だ。シャワーで流せばいいし。
しっかりと股間の大事なモノが自己主張をしながら、涙目でこっちを見ています。雄なのに凄く可愛い顔してるし。うわぁ…
しかし俺はそっちの趣味は無い……また言っとく。
「言っておくが、嫌なら言ってくれよ? 無理にはしないからさ」
一応言っておいたが、今止めると後々無意識に出るらしいし。いわゆる夢精ってやつだ。
俺の手持ちの一匹のブイゼルがこの前なってたな。朝にボールから出した時に顔真っ赤にしながらシャワー浴びに行ってたし。
しかしコイツは四足歩行、俺がやらないとだめだ。そうなる前に処理しとかんと。
「本当にいいか?」
――……っ……
頬を染めながら静かに頷いた。時は来た。それだけだ。
(ちょっと焦らしてみるか……)
よーし。
――あぅ……ん…っ
まず指先で裏筋をなぞってみる。微かに反応あり。だが効果今一つだな。
でもよーくソレを見てると、人間のモノとはかなり違うな。モノの先に行くにつれて細く、尖ったような形をしている。
しかもかなりでかい。俺のよりも二周りぐらい。
白い体毛に、真っ赤なモノ。すごく目立つなぁと思っていると、
――……あっッ…
…そんなに見ないで。恥ずかしいから。 とでも言いたそうな顔で見てくる。
「ごめんごめん、恥ずかしかった?」
頭を優しく撫ぜながら問いかける。真っ赤な顔で頷く彼。顔だけ見たら雌にも見えなくない。
うわっ、可愛いなコイツは! という訳で再開。
今度は一般の男性がやるように扱いてみる。四足歩行のポケモンにはできないやり方。うおっ、熱っ。
恐らくコイツにとっては効果抜群だろう。
――ぁぁんっ!?
狙い的中。身体をくねらせて感じてるし、オマケにモノの先から粘った液が出てきた。気持ち良いんだな。でも動くから凄くやりにくい。よーし。アレでいこう。
途切れた快楽に疑問の声をあげた彼。ちょっと待ってな。こうやって……
俺はコイツの後ろにまわり、まず彼を背中から抱き上げ、座る。そして俺に背中からもたれかかった形にする。
そして彼の両前足の下、脇の部分に俺の左手を通す。丁度彼の顔が俺の顔の横にくるようにしたら、準備完了。頭の鎌がちょっと危ないけど……気にしない。
「そんじゃ、再開しまーす」
再開。さっきと同じように扱く。うん。感じてるね。でもさっきよりはやりやすいな。気持良さそうな声出しやがって。あ、舌出てる。うーし。次は…
――……んんっ!?
モノの下にある二つの玉……そう……睾丸と呼ばれるもの。それをもみもみと揉んでやる。優しく、優しく包み込むように。
「おー、そんなに気持ちいいか?」
虚ろな目をしながら、だらしなく涎を垂らし、快感に溺れるアブソル。身体も力が抜けきっている。
だんだん息が荒くなってきたな。手がもう液でぐちょぐちょだ。もう少しか? いや、まだ終わらせてやらない。さっきの面倒な事件の仕返
しだ。 違うか?
くだらない事を思いつつ、次の作業に移る。今度はモノの先の尖った部分を親指と人差し指で摘み、その部分だけをこねるようにして弄る。おぉ、これも効果抜群だな。下半身をくねらせ快感に悶えている。雄とは思えない喘ぎ声を出しながら。
大分そのトーンも高くなってきた。耳元で聴いてたら、何かこっちもそんな気分になってくる。この空間に漂ってる匂いのせいも少しあるけど。ダメだ、そっちの道に走っちゃダメだ俺。あぁ、早く終わらせないと。
そしてさっきと同じように扱く、ぬちゃぬちゃと卑猥な音を立てながら。
遂に限界に達したようだ。身体が大きく仰け反り、あぶぅぅぅとか変な声を出しがら、モノから白く濁った液体が吹き出る。しっかしかなり量が多いな。それはアブソルの腹と俺の顔に、そして、俺の後ろのあった鏡にまで飛んで行き、辺りに独特な匂いを撒き散らす。
だらしなく舌を垂らし、悪タイプとは思えない表情のアブソル。
「気持ち良かったか?」
まだ大分息が荒いアブソルに問いかけてみた。ん? 前足をこっちに、来いって事か。どうしたんだ?
「うおっ」
いきなり俺の首に抱きつき、そして、
「んんむぅうぅ!?」
唇に湿った感触。目の前には頬を染め、切なそうな表情のアブソル。しまいにはコイツに押し倒され、無防備な体勢にされる。おいおいおいおいおい、俺は男だぞ! やめろ!
俺は離れようともがくが、力が負けて全く歯が立たない。これがポケモンかぁぁぁぁあ
「んんんむぅ……ぅん…」
舌を絡められ、卑猥な音が風呂場に響き渡り、徐々に体の力が抜けてくる。コイツどこで覚えたんだよディープキスって。
…ダメだ、コイツの力が強すぎてびくともしない。完全にコイツのペースに流されてる…
もう息が続かない……目の前が霞んできた……もしかして…俺は…コイツに………
「……っぷはぁぁっ!!」
目の前が白で塗り潰される寸前に開放された。いきなりの事だったから全く抵抗できなかった。コイツの力のせいもあるな。
俺はまださっきの体勢のまま、いつ、何をされるのかが恐ろしくて、声も出せずにいた。かろうじて呼吸は落ち着いたが。
コイツはにやけた表情のままだ。俺を見下してる様な感じもする。怖い。ひたすら怖い。本当に殺されそうな気がして。
そしてコイツが顔をゆっくりと近づけてくる。ゆっくりと。 もう…終わりか…? 俺はコイツに 殺されるのか?
「…や…めっ……」
恐怖のあまり声も出てこない。背筋が凍る様な感覚。筋肉という筋肉が固まった感覚。 そして…
「うっっ……!!」
目を瞑っていた俺の頬にざらついて湿った感触。この感触はどこかで感じた事がある。俺はゆっくりと目蓋を開ける。
そこにはいつものにやけた表情のアブソルが、俺の頬を舐めていた。
知らぬうちに俺は涙を流していたようだ。それを優しく舐め取っていたのか。そういう事は…
「…助かった…?」
俺の声に反応したコイツと目が合う。何だその勝ち誇ったような顔は。ムカつく… ああぁぁぁ! この野郎!!
「おい、何だその顔は……こっちは本気でビビってたんだぞこの野郎ぉぉ!!」
俺はコイツの側頭部の鎌の付け根を引っつかみ、思いっきり揺する。頭グラグラするだろう? この野郎ぉぉぉ
でもこのくらいで止めてやるか。コイツ絶対仕返ししてくるだろうし。
「とりあえずどいてくれ。お前が出したもん洗わないといけないし」
さっきから風呂場内に独特の生臭い様な匂いが漂っている。いい加減流さないとガビガビになるし、匂いで気分が悪い。
俺は立ち上がり、湯沸かし器のつまみをシャワーの位置に合わす。最初は冷たいが、徐々に温かくなってきた。
「よーし、まず掛けるから目瞑っとけー」
まず頭から掛け、そこから背、尻尾、そして精液がベットリ付いた腹部をしっかりと濡らす。そして次はシャンプー。手にたっぷりと乗せ、
さっきと同じ順番で泡立てていく。
丁度股間の位置に差し掛かった時、「んんっ」とか変な声を出していたが、気にしない。もうしばらくお預けだ。
そんなとこで泡まみれのアブソル完成。
「流すぞー」
ふわふわだったコイツの身体が一気に痩せていく。流し終わった後には、毛が水を吸ってボリュームが無くなったアブソルが出現。意外と身体細いんだなコイツ。
「とりあえず俺も洗うから、そこで待っててくれ」
風呂場から出て、バスマットの上で座るアブソル。あちこち毛がはねてしまっている。自慢の胸元の毛も、今は身体にぺったりくっついて分からない。後でドライヤーとブラシかけてやらないと。意外と毛並気にしてるもな。
まだまだ長い夜になりそうだ。
そう思いつつ、体と頭を洗い終わった俺は、軽く湯船に浸かってから、風呂場を後にした。
後書き
初めまして、RYOと申します。この小説のテーマなんですが、題名にもありますように、シングル=一人の夏という事で、「夏休みなのにやることはバイトだけという暇な学生」の話だとわかって頂けたら幸いです。
手持ちはまだ居ますのでちょっと続きがあるとか無いとか。
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