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サンタがくれた物は…?

/サンタがくれた物は…?

この作品は20000HIT記念作品となっています。
そしてこの小説には官能描写が含まれていますので、苦手な方は控えてください。 ピカピカ


 外の気温は寒く、雪がしんしんと降っている中、とあるコンビニでバイトをしている一人の青年の姿があった。
 レジでひたすら会計の仕事をこなし、お決まりの台詞を言っては再びそれを繰り返していく。しかも今日はそれが最も多い日と言えるだろう。
 何故かって?それは今日が雪の降るホワイトクリスマスだからだよ。さっきからコンビニで売られているクリスマスケーキを買っていく親子が多いので、今こんな現状に立たされている。
 事実上、今日は子供が最も楽しみにしている日だと言っても間違いではない。
 こんな今は黙々と仕事をしている俺だって昔はそうだったのだから、普通の子供ならそう思っているに違いない。
 せっせとレジを打ちながらお釣りやらレシートやらを客に渡す。そしてお決まりのこの言葉。
「ありがとうございました。」
 これ、今日だけで一生分言ったんじゃないだろうか。何か気のせいか言い過ぎて顔が引き攣ってきたような気がするし。あくまで気のせいだが。
 それでも商品を渡す度に子供が屈託のない笑顔で
「ありがとう、お兄さん!!」
 なんて言うものだから、つい顔が引き攣ったものから緩んだものになってしまう。
 言っておくが、その気はないぞ。
 まぁ、こんな事からだけど、プレゼントを渡すサンタクロースの気持ちが少し分かったような気がする。
 子供のこんな顔が見たくて毎年誰に文句を言うこともなく、せっせとプレゼントを運んでいるんだな。
 そう考えると彼には尊敬の念を感じずにはいられない。てか、サンタクロースって絶対男がやるものなんだろうか。
 女のサンタクロースって聞いたことがないし、たとえいたとしても太ったおばさんとかが出てきたら嫌なうえに子供の夢を壊しかねないからな。
 そもそもサンタクロースなんかいないって奴もたくさんいるんだろうな。俺も今やそのうちの一人だが。
 俺のサンタいない説は小学生の時に自分の父親が洗面所でコスプレをしてたせいで立ってしまった訳だし。小さい頃に現実的な何かを見せ付けられた俺はしばらくショックで立ち直れなかったな。
 恨むぜ、父さん…。

「お~い、バイト君。ちょっと来てもらえるかね?」
「あっ、店長。分かりました」
「お客さんがいなくなったらでいいからね~」
 客に気づかれないように小さくため息をついた後、突然この店の店長に声をかけられ、ある程度客が減った頃を見計らい、会計の所にレジ休止中の板を置いてから店長の元に向かう。
 すると店長は椅子に座ったまま俺を見て笑いかけると、封筒を渡してきた。
 首を傾げながらも俺はそれを受け取る。どうやら中身はお金のようだ。
「はい、コレ。毎日忙しいところ頑張ってくれたから特別収入だよ。」
「で、でも店長! こんなの頂けないですよ!!」
「いいのいいの。今日はそろそろお客も来ないみたいだから、閉店。売り上げは例年よりも上がってるんだし。それに、君にはまた年明けには働いてもらうからね」
「はぁ…」
 申し訳ない気持ちで頭を軽く下げていると、店長は立ち上がり、俺の両肩をばんばんと叩いて笑った。
「そのお金で彼女とでもこのホワイトクリスマスを楽しみなさい!!はっはっはっはっ!!」
「ど、どうも…。じゃあ今日はお言葉に甘えて失礼させてもらいます。よいお年を、店長」
「うむ、君もよいお年を」
 俺は店長に頭を下げてからロッカールームに行き、着替えをしてから外へ出る。
 やっぱり思った通り寒いな。完全防備して早く家に帰るとするか。
 手袋、帽子(耳が隠れる)、マフラー、厚手のコート、そして雪が積もった時のために持ってきた長靴。
 普通の靴を鞄の中に半ば強引に入れ、長靴を履いていれば全く雪は靴の中に入ってこない。長靴万歳。
 雨の日と雪の日ぐらいにしか使えないが、今日は有効活用させてもらう。もう一度長靴万歳。
「それにしてもこんなに貰って良かったのか…? いつもより多く入ってるぞ」
 貰った封筒の中身を歩きながら確認する。軽く一ヶ月は優に過ごせるな。家賃も含めても結構な量だ。
 ある程度貯金はするが、それにしたって色々多い。店長、まさか本気で俺が彼女と過ごすとでも思ってるんだろうか。
 生憎だが俺にはそんなクリスマスを共に過ごす彼女もいなければ、近くに友達もいない。
 ただでさえ今は夜の11時。今から遠くにいる友達を呼べば、迷惑極まりないだろう。もしかしたら友達だって彼女と過ごしているかもしれないしな。
 余計な気を回しているのかもしれないが、俺はこれでいい。例年通り一人寂しくカップケーキでもつっついている方が性に合ってる。
 それでも何かやっぱり寂しくて、俺は雪が降る中、暗い夜空を一人見上げて、独り言を呟いてしまう。
「あぁ~…サンタさんよ~? もしいるんなら、今日だけでいいから俺と一緒に過ごせる奴を寄越してくれよ~…」
 なんて言ってもそんな都合の良いことが簡単に起こるわけがな…ぶふぉっ!?
「……っ!? …っ?!」
 急に頭にとてつもない衝撃が伝わり、前のめりに倒れてしまう。そして頭の上に何かが乗っかかっているようで、ひたすら俺は手足をばたつかせる。
 苦しい、息が少ししか出来ない。ていうか、冷たい。顔が急激に冷えていく。
 体温が地道に失われていくなか、どこかから声が発っせられた。おそらくは俺の頭の上の何かだろうが。
「いたた…。こ、こらぁ~…っ。あなた達、戻ってきなさぁ~い…!!」
「もがふぐ…ふぐぉふご…っ」
「んっ…? あ、あわわわ。ご、ごめんなさい!! 今すぐにどきますからっ!!」
 そう聞こえてからようやく俺の頭は解放された。痛む頭を押さえながら、今まで頭の上に乗っていたものの正体を見る。
 そして俺はその見たものの姿に衝撃を受けた。
「お、お前は…さ、サンタクロース?」
「ふぇっ!? は、はぃ…一応、サンタクロースとしての任はこなしていますが…」
 俺の言葉に怯えた様子を見せながらも答えたものの正体は、一瞬は見間違えたものの、よく見れば本で見たことがあるポケモンのデリバードだった。
 だけど何か様子がおかしい。そもそも何でデリバードが空から落ちてくるんだ。何でこんなにおどおどしてんだ。そして俺から聞いておいてなんだが、サンタクロースの任って何だ。て言うか、サンタクロースってポケモンだったのか!?
 駄目だ、頭がこんがらがっていて何がなんだか分からない。こんな出来事に遭遇するなんて俺は運が良いのか悪いのか。
 この状況に一人で悩み、頭を軽く掻きむしっていると声が聞こえた。
「あの…」
「何だよ!?」
「ひっ……。ご、ごめんなさいごめんなさい…っ!!」
「あっ、いや。悪い、考え事してたらつい怒鳴っちまって…」
 怒鳴ってしまったことでデリバードは何かされると思ったのだろうか、頭を手で覆って、今にも泣きそうな顔をしている。何もしないのにそんな顔されたら、どうすればいいのか分からない。
 それに、これって端から見れば完全に俺が悪者みたいになってるじゃないか。完全に俺が被害者側なのに。
 くそ、しょうがないな。ここは一先ず穏便に事を進めるとするか。
 俺はいまだに怯えているデリバードに近づき、そっと手を差し延べる。
「いきなり怒鳴ったりして悪かったよ。とりあえず立ち上がろう。話はそれからだ」
「……何もしないんですか?」
「あぁ。元からそんな気はまったくないから。ほら」
 デリバードは俺がそう言うと、ゆっくりと差し出された手に触れた。意外と温かい手の温度が、手袋越しにでも伝わった。
 そして手を握ってデリバードは立ち上がると、まず俺にぺこりとお辞儀をした。
「えっと…まずはいきなり頭の上に落ちてきたりしてすいませんでした。乗り物から落ちてしまったもので…」
「乗り物?」
「はい。サンタクロースとしての仕事をこなすために私が使う乗り物です。オドシシ二匹を使っています」
 オドシシ…。多分、人間の世界で言うトナカイ的な役割だろう。そこは置いておくとして、このデリバードは本当にサンタクロースなんだろうか。
 口ぶりからして嘘をついているようには見えないし、かと言っていきなり目の前にサンタクロースが来て「私はサンタクロースです」なんて言われてもにわかには信じがたいし。
 まぁ、とりあえず話の続きを聞いてみることにしよう。
「君は何で乗り物から落ちたんだ?」
「それは…突然オドシシの二匹が喧嘩をしてしまって、止めに入った私がバランスを崩してしまい…」
「乗り物から落ちてしまった…と?」
 デリバードはこくんと頷く。
 何ともマヌケなサンタクロースがいたものだな。乗り物のトナカイの喧嘩を止めようとして落とされるとは。
 目の前にこのデリバードがいなければ思いっきり笑ってるところだ。しかし、今笑えばデリバードのプライドを傷つけてしまうだろうから、ここは我慢しておこう。
 そして、一通り話を終えたと思ったらデリバードは再び泣きそうな顔になっていた。
「えっ…。ちょっと、何で泣きそうになってるの!?」
「私、サンタクロースなのにこのまま仕事をこなせないままクリスマスを終わらせてしまう……。私を待ってくれてる子供達を悲しませてしまうんだ…。ふぇっ…ひっく…ひっく…っ」
「わぁぁっ!! 泣かないで!! 俺も君の仕事手伝ってあげるから!!」
 俺が咄嗟にそんなことを言うと、デリバードは涙で滲んだ瞳を俺に向ける。
 うっ、やばい。何か少し可愛いと思ってしまった。なにポケモン相手に変な感情を抱いているんだ俺は。
 そんな俺の気も知らずにデリバードは涙声で話してきた。
「で、でもあなたにこれ以上迷惑をかけるなんて……」
「いいよいいよ!! どうせ俺暇だし!? 家帰ってもろくなことないし!? 飯食って風呂入って寝るだけだし!?」
 気が動転しすぎていらんことをあれやこれや言いまくっている俺を見て、デリバードは少し笑った。
 あれ、笑った顔も結構可愛いじゃないか…じゃなくて!!
「じゃあ…お願いしてもいいですか? 私、この地域初めてなので分からないことばかりなんですけど…」
 デリバードは少しだけ元気を取り戻したのか、笑顔で俺に言った。
 ここまで言ってしまったんだ。今、逃げたらデリバードが可哀相だから手伝ってやるか。何かとんでもないことに巻き込まれた気がする。


「私が担当するのは少ないですけど、ここの辺りなんです」
 デリバードは地図を広げると、ある一帯の場所を指差す。そこは俺が最も知っている場所だった。
「なんだ、俺の借りてるマンションの中の人達じゃないか。確かにあそこは子供が多いからなぁ…」
 知らない場所とかだったらどうしようかと思ったけど、意外とプレゼントの量も少ないようで助かった。
 これなら早く済みそうだ。早く終わらせて自分の家にそのまま帰ることもできそうだし。
「良かった。この辺りに住んでいる人だったんですね。それではあまり時間もないようなので、急ぎましょうか」
「あぁ」
 デリバードは俺からの返答を聞いた後、自分と一緒に落ちてきたプレゼントの袋の中身を確認した後、ほっとした安堵の溜め息を漏らした。そしてそれを肩に担いでから歩きだした。
 多分中のプレゼントが無事で安心したのだろう。そう考えると彼女のクッションがわりになった俺の頭も微力ながら助けになったようで少し嬉しかった。
「ところで…」
「ん?」
 目的の場所、とは言っても俺の家そのものと言っても過言ではない場所に向かいながらデリバードは俺に話しかけてきた。
 身長差があるからデリバードが上目使いでこちらを見る形になる。逆に俺は見下してる側になってしまう訳だが。
「あなたにはクリスマスを一緒に過ごす人とかはいないんですか?」
「いきなり痛いところを突いてくるな…。生憎だけどそんな人はいないよ。もしいたら多分君とは今日会っていないだろうしね」
 俺なりの皮肉を込めて言ってみたのだけど、彼女にそれが伝わるかどうか。
 いや、多分皮肉にもなっていないだろうけどね。今の言葉は。
「そう、ですか…」
 意外に反応薄かった。それはそれでまた寂しいな。別にいいけどさ。
「急にどうしたんだ、そんなこと聞いて…」
「い、いえっ…! 何でもないです!」
 彼女は顔を赤くして俺から顔を背ける。
 何か変なこと言ったかな、俺。
 気にしたら負けみたいな気がするから気にしないでおこう、そうしよう。
 それからは少しずつ彼女も赤い顔のままだけど話してくれるようになって、サンタクロースの話を聞かせてもらった。
 サンタクロースになるための条件とか、乗り物に使われるオドシシと自分の相性診断の方法とか、プレゼントを配る時間帯とかそれはもう色々聞かされた。
 俺にとっては何一つためにならない話だけど、何もしないでいるよりはマシで、おかげで彼女と幾分か打ち解けることが出来た。呼び方も君からお前に変わったしな。
 そんなこんなでしばらく歩くと、自分が借りてるマンションの前まで来ていた。
 改めて見てみると意外と広いマンションだよな。家賃がそれなりに高い理由も分かる。
 だからいまだに俺はポケモンを飼ったことがない。生活費にあまり余裕が出来ないからな。
 飼ってみたいとは思うけど、知識はそれなりにしかないからまだ怖いところもある……って、そんな話をしている場合じゃなかったな。
 今は彼女の、デリバードのプレゼント配達を手伝わなければいけない…はずなのだが。
「…おい? どうしたんだ?」
「あっ、い、いえっ…何でもないです…っ!!」
「その割に声と体めっちゃ震えてるぞ。寒いわけじゃあるまいし、まさか緊張してるのか?」
 彼女は俺の言葉にびくっと体を反応させた。図星かよ。
 サンタクロースともあろうものが情けない。乗り物から落ちたり、自分の配る場所がよく分かっていなかったり、いざ配るときになって緊張したり、色々世話の焼けるサンタクロースだな、オイ。
「お前、よくそんなんでサンタクロースになれたな。サンタになったんならこういうのは覚悟のうえじゃないのか?」
「そんなこと言ったって…私、今年が初めてなんですよ? サンタクロースの仕事…」
(まさかの新人さん入りました~!!)
 どうしますよ、この状況。一体サンタでもないこの俺がどうこの新人サンタクロースを手伝えって言うんだよ。
 普通逆だろ。サンタクロースにあれこれ言われながら手伝う感じじゃないのか。俺はてっきりそんな未来予想図を描いていたのに見事に一気に崩されたわ。
「しょうがない。とりあえずだ、お前はやることは分かってんだろ?」
「はい、まず煙突から入ってですね…」
「最初から間違ってんじゃねーか!! 今この場所のどこに煙突があんだよ!? そんなアメリカン式は雪水と一緒にそこら辺に流しとけ!!」
「は、はいぃっ!! 分かりましたぁ…っ!!」
 彼女は天然なのか分からないが、とりあえず今のは俺がツッコまなければ本気でやりかねない雰囲気を醸し出していた。
 本当にこんなんで大丈夫か、コイツは。
「でだ。とりあえずマンションに煙突はない。お前が入れる場所と言ったら…窓しかない!!」
「窓ですか? それって不法侵入なんじゃ…」
「お前がさっきやろうとしていた煙突からの進入は不法じゃないんですか!?」
 俺がそう言うと彼女はなるほどと言った様子で、手をぽんっと叩いた。
 そして早速彼女は一階の窓からの進入を試みた…のだが。
「ダメです。しっかり鍵がかかってますよ…」
「まぁ…普通に考えればそうだよな…。スマン、俺も馬鹿だったわ」
 失敗。
「どうすれば良いんですか~? このままじゃ、後5時間ぐらいで夜が明けちゃいますよ?」
 彼女が同じところを行ったり来たりして慌てている様子を見ながら、俺は顎に手をやり、考えてみる。
 それで考えてみた結果がどうしようもない子供でも考えられるようなものだった。
「何かサンタの特殊な力とかないのかよ? 壁摺り抜けとか、小人になるとか」
「そんなとける技とかちいさくなる技なんて覚えてないですよ~。覚えているのはプレゼントだけです」
「ありのままじゃねーか!! 少しは技マシンとか使うとかしろよ!!」
 くそ、このままミニコントしていては埒があかない。かくなるうえは…
「デリバード、あまりこの方法は使いたくなかったんだが…」
「えっ…。何ですか…?」


 ピンポ~ン…
「は~い、こんな夜中に誰かしら…?」
 マンションの住人がドアを開けるとそこにはデリバードが立って、プレゼントを差し出していた。
「あなたのお子さんに…お、お届け物ですっ…!!」
「は、はぁ……どうも」
 住人が差し出されたプレゼントを受け取ると、デリバードはぺこりとお辞儀をして去っていった。
 それを唖然とした様子で見ていた住人は、渡されたプレゼントを見てから少しだけ微笑んで呟いた。
「このプレゼント…。とりあえずあの子の枕元に置いておこうかしらね…」



「よし、成功だな」
「全然違いますよ!! これじゃあただの深夜急便じゃないですか!?」
 俺の隣で彼女は静かに叫ぶ。住民を起こさない程度の声量で。
「だが一応プレゼントは渡せただろ?」
「それは…!! そうですけど…」
「じゃあ、後これを十回近くやらないとプレゼント配りは終わらないな」
「ふぇぇ~ん…。私、恥ずかしくて死んじゃいそうですよぉ…」
 じゃあ何でサンタクロースになんかなったんだと問いたかったが、今は彼女の仕事に集中しなければいけない。
 てか、本来サンタクロースは見られてはいけない仕事のような気もするが…まぁ、いい。
 俺は渋る彼女の背中を軽く叩いて後押ししてやる。すると何故だか彼女は何か言いながらも次の場所へと向かった。
 それからも何とかそれを繰り返し、徐々にプレゼントの数は減っていった。
 プレゼントの数が0になった時には彼女が何か白い灰のように燃え尽きた感じに見えた。とりあえず優しく言葉をかけてやる。
「お疲れ様。初めてにしてはよく頑張ったほうじゃないか?」
「もうこんなクリスマスは嫌です…」
 彼女はボソッとそう呟くと俺の方を見た。あまり恨まれるようなことはしてないはずだけどな。
「まぁ、いいじゃないか。良い思い出になっただろ? サンタクロース初仕事記念だ」
「……ふぅ。でもおかげさまで確かに私の初めての仕事が無事に終わりました。これも全部あなたのおかげです。本当にありがとうございました」
 彼女はゆっくりと息を漏らしてから、また丁寧にぺこりとお辞儀をした。
 そんな風に改まってお礼をされるとむず痒いものを感じるな。そんなに俺はたいしたことはしてないのに。
 そう、実際にやったのは彼女の方だ。だからお礼を言われるのは本来彼女のはずなんだ。
 でもそれを直接聞くことは子供達から、ましてや大人の人達にはまず聞けない。ちょっと悲しいけどそれがサンタクロースの現実なのかな。
 うん、だったら今日だけでも聞かせてあげるか。あの言葉を。俺が今日何回も聞いた感謝の一言を。
「デリバード」
「はい、何でしょうか?」
 彼女は顔をあげてから笑顔で俺の方を見てくれる。少し恥ずかしく思いながらも俺は勇気を出して彼女に告げた。
「子供達のかわりと言っちゃなんだけど、言わせてもらうよ。プレゼントありがとな」
「…!!」
 デリバードは笑顔から一転、驚いたように俺を見てから少し涙ぐんでしまう。
「えっ、ええぇぇっ!? 何か俺変なこと言ったか!?」
「ぐすっ…。ち、違いますよぉ。人からお礼言われるのがなんだか嬉しくてつい……。サンタクロースってどうしても職業柄、人から直接お礼なんて言われないんですよ?なのに初めての仕事で聞けるなんて……ふ、ふぇぇ…っ!!」
「だぁぁっ! こんなところで泣くなってば!! ほら、泣くならとりあえず俺の部屋にでも来い!! なっ?」
 しまった。またつい口から余計な言葉が出てきてしまった。何でサンタクロースを家に呼ぶんだよ、俺!?
 そこは涙でも拭いてやってから泣き止むまで、待つ。そして頃合いを見て、彼女には帰ってもらうで良かったじゃないか。
 なんでさっきからこうも口がぺらぺらとあらぬ方向へと持っていこうとするかな。何なのこれフラグなの?
 いや、待てよ。考えてみれば俺と彼女はさっき知り合ってプレゼントを配っただけの元は他人じゃないか。
 そうだ、何を焦っているんだ俺は。
 いくら彼女でも、いきなり知り合った人、ましてや異性である男の部屋に上がり込むなんてそんなことがあるわけ…
「ひっく…じゃあ、おじゃまします……」
 あったよ!!
 現在進行形で今まさにあったよ!!



「……」
「……」
 おい、何なんだこの状況は。
 今ある現状をとりあえず説明しておこう。そしてそれに対する打開策を練ることにしようじゃないか。
 あれから色々あって今の場所は俺の部屋。台所、風呂つきの住み心地は悪くない普通の部屋だ。そしてポケモン連れ込み、同居が可能。そこは問題なし。
 そして嬉しいことに防音壁だ。いくら彼女が大きく泣いたってとなりには一切聞こえはしない。もちろん窓も閉めてる。
 バクオングが泣きでもしない限りは大丈夫なはずだ。よし、ここまではよしとしよう。
 でだ。何故彼女がこの部屋までついて来たのか。そもそも俺が誘ってしまったからついて来たわけだが、そこは彼女も否定しようと思えば出来たはずだ。
 なのにそれをしなかった。俺が推測するに彼女は少なくとも俺にある程度気を許している、と言ったところか。
 でなければあの場所でさっき俺が考えたあの進み方ではい、さよなら。来年また来てください的な感じで終わってたはずなんだよ。そしてカップケーキを一人でつついてから風呂に入り、クリスマスを終えていつも通りの生活にまた戻ってたはずなんだよ。
 それが今はどうだ?
 彼女は俺の横で一緒にベッドの上に座り、涙や鼻水も治まって落ち着いてる様子。だが、何故かしらさっきから体をしきりに揺らし、俺の方をチラチラ見てはたまに目が合うと、直ぐさま視線をずらし、目を泳がせて服のように顔まで真っ赤に紅潮させている。
 一体何を考えているんだ、彼女は。
 互いに無言のまま時間だけが過ぎていく。時計を見ると3時近くで、完全に深夜の時間帯だった。ここまで起きていると逆にもう眠れなくなるから困る。
「あ、あのっ!!」
「うわっ、びっくりした!? いきなりどうしたんだよ?」
「はぅぅ…ご、ごめんなさい…。でも、どうしても聞きたくて…」
 彼女は手を何度も合わせたり離したりを繰り返してもじもじしている。
 なんだかじれったさを感じながらも俺はなるべく普通に聞いた。
「なにが聞きたいんだ?」
「…どうして、私を部屋に呼んでくれたんですか?」
「えっ。いや、それはその…なんて言えばいいのか……。つまりだな…」
 彼女はじっと俺の目を見て離さない。必死に恥ずかしさを堪えているように見える彼女を見てついベッドの後ろに後ずさってしまう。
 立場が逆転したかのように今度は俺が目を泳がせ、焦ってしまう。反対に彼女はどんどんと俺の顔と自分の顔を近づける。
 そして彼女が目を閉じ、顔を斜めに向ける。それからは一瞬の出来事だった。俺はその時何が起きたのかをしばらく理解出来なかった。
「んっ…」
 デリバードは、彼女は俺と口づけを交わした。もちろん彼女の嘴と俺の口とでは人同士がやる口づけなどは到底出来ない。
 だから彼女は少しでもやりやすいようにと、顔を斜めにして少しでも俺の舌に自身の舌を絡めようと頑張ったのかもしれない。それが報われたのかは分からないが、彼女の舌は確かに俺との舌に絡み合わさった。
「んちゅ……ぷぁっ…」
「はぁっはぁっ…」
 止めようとしているのに体が思うように動いてくれない。それどころか彼女の舌と交わろうと、俺の意志に反して舌は動き回る。
 そして息が漏れては彼女と俺はだらしなく涎を垂らし、熱い吐息をお互いに吐きかけるのだった。
「むぅっ…ぷはっ……」
 しかしこの長いキスを先に止めたのは意外にも彼女からの方だった。
 手を口に当て、口から垂れてしまった涎を拭いとってから息を整わせようとする。俺もそんな彼女を見ながら乱れた呼吸を整えていく。
 だが、彼女は途中で泣きそうな顔になりながら俺に向かって言った。
「ごめんなさい…っ。いきなりこんなことして嫌でしたよね……」
「はぁっ…はぁっ…」
「でも私…っ。初めてなんです。人からお礼を言ってもらってこんなにドキドキしたの…。サンタクロースになる前だってこんなこと一度もなかったのに…」
 惚けた目でそんなことを言う彼女。
 一方俺はようやく落ち着いて呼吸を出来るにまで至った。だけど今の彼女からの言葉のせいでまた心臓が痛い程に脈を打つことになった。
 そんな胸の鼓動を押さえ込みながら俺は問う。
「それって…。いや、お前は俺のことを実際どう思っているんだ?」
「ふぇっ…!? そ、それは、その…。優しくて暖かくて…。一緒にいると……何だかほっとするというか…」
 彼女が再び手を合わせたり離したりをしながら俯き加減で言うと、俺は何も言わずに彼女を強く抱きしめてみた。
「ひゃっ!? な、な、何を…っ」
「こうしているとどんな感じになる?」
「あっ、えっと…その、凄く…ドキドキ、します……」
「そうか。実を言うと俺もなんだよ。さっきから胸の高鳴りが収まらないんだ。」
「あなたも…?本当、ですか?」
 俺は体を離してから、彼女に向かって頷いた。すると今度は彼女の方から俺に抱き着いてきた。
 すりすりと痛いぐらいに顔をこすりつけてくるのを見ながら、俺は頭を優しく撫でてやる。
 痛っ。嘴が少し引っ掛かった。だけどそんな痛みを余所に彼女は譫言のように呟いた。
「すんっ…これが男の人の匂い…。思ってたよりも嫌じゃないです…」
「おいおい。一体何をしてるんだお前は?」
 さっきまでの雰囲気は何処へやら。
 互いに告白に似たような言葉を交わしてから、すぐこれとは如何様なものかね。
 俺は慌てて彼女の肩辺りに手を置いて引き離した。
「あのなぁ、仮にもお前はサンタクロースだぞ? こんな一般人なんかとそんなにくっついてもいいのか?」
「それでも、私はあなたとこうしていたいんです。今日会ったばかりのあなたでも…何だか今は凄くこうしていたくなっちゃうんです…。今の私、何か変ですよね…」
 彼女は少し酔ってしまったかのようにそう言う。まさかさっきの匂いで酔ったわけじゃないよな。もしくはこの変な雰囲気に呑まれているのか。
 でも今は冷静に考えている俺も実は彼女と同じなのかもしれない。
 何故なら今、目の前にいるこのデリバードを見て明らかに好意を抱き、しかもその彼女に対して発情してしまい、愚息を奮い立たせてしまっているのだから。
 正直もう俺自身は我慢の限界か。残っている理性よりも俺の中に眠っていた野性の何かが今すぐこのデリバードを犯したいと呻き声を上げている感じがする。
 今日ぐらいなら神様も許してくれるよな。
 何故って?それは多分彼女が、サンタクロースが俺に寄越してくれたプレゼントなのかもしれないのだから。
「それじゃあデリバード。俺と一緒に……気持ちよくなるか?」
「ふぇっ…? は、はい……」
 彼女は意外にも素直に誘いに乗ってくれた。やることを分かってくれたんだろうか?
 これはもうやるしかない。いや、やるべきなんだ。
 俺は彼女の目の前でズボンとパンツを一気に脱ぎ、愚息を突き出す。いきなりのことと、今まで雄の物なんて見たことがなかったのか、彼女は顔をさらに赤くしていた。
 しかし、そのそびえ立つ物に引き寄せられるかのように、彼女の目はしっかりと愚息を捉えていた。少し恥ずかしいものを感じながらも俺は彼女に言う。
「…デリバード、悪いけど最初にこれを舐めてくれるか?」
「こ、これを私がですか…っ!? それをすると……あなたは気持ちよくなれるんですか……?」
「あぁ。だけどそれもデリバード次第だけどな」
 この反応から見ると彼女は初めてのようだ。まぁ俺もそう言った知識はあっても実際にやったことなんて一度もない。
 今考えてみればこれからの人生、俺にそのチャンスがあったかどうかも怪しいところだ。
 でも考えてみれば、今からやる相手はポケモンなんだよな。人は人と、ポケモンはポケモンとやるのが自然の掟。人が勝手に決めた制度の一つと言っても過言ではない。それでも彼女が掟に背いた正規の相手ではないにしろこんなチャンスは恐らく二度とない。それは彼女にも同じことだが、彼女もそこを承知で俺にあぁ言ったわけだろう。
 と、そんなことを考えている内にどうやら彼女も覚悟を決めたようで、俺の愚息に手で触れた後、恐る恐る口を開けて、舌を愚息の先端にちょんっとつけた。
「くっ…」
「ひゃあ!! お、大きくなった…?」
「デリバード、続けて…」
 一旦は離れたものの、俺が言うと彼女は再び恐る恐る口を開けて舌でさっきよりも固く大きくなった愚息を舐め始める。
 危ない危ない。最近は自分でやるのも億劫になっていたから久しぶりに刺激が来たせいで危うく勢いでイきそうになってしまった。
 それにしても彼女の舌のなんと気持ちいいことか。表面はザラザラしていて、それでいてねっとりと温かみのある舌触り。手でやるよりも全然刺激の伝わり方が違う。これは癖になってしまいそうだ。
「…どう、ですか……?」
「凄く…良いよ……。デリバードはこんなことするのには慣れてるのか?」
「い、いいえ…。初めてです……」
 俺の勘は当たったようだ。もしかしてとは思うが彼女は…?
 ふと頭の中に一つの疑問が思い浮かび、俺は必死に愚息を舐めている彼女の頭に片腕を置き、余った方の腕を彼女の背中から腰と言った順序で撫でながら、徐々に彼女の秘所へと到達させる。
 そして秘所の入口付近を指で軽く触ってみた。その瞬間、彼女の腰が浮いた。
「んむぅ…っ?! ぷぁっ!! ど、どこを触っているんですかぁっ!!?」
「どこをって…デリバードの大事なところをだけど……?」
「そこはおしっこをする場所ですっ!!確かに大事なところですけど…。触るなんて…」
 やっぱりそうか。彼女、こういうことに関する知識には疎いようだ。
 だからここがどういうところかも、よく分からない。じゃあどうやってこれからやっていこうと思ったのだろう。
「これから一緒に気持ちよくなるには、触って慣らしておかないと駄目じゃないか。デリバード、お前は赤ちゃんがどうやって出来るか知ってるか?」
「えっ……確かコウノトリが運んできてくれるんですよね?」
「それ、どこのヨッ〇ーアイ〇ンド!? 違うだろ!!」
 彼女は酷く驚いてからまるで違うんですか?とでも言った表情で俺の方を見ていた。駄目だ、こいつ純粋の天然だ。
 ここは俺がきっちり教えてやらないといけないな。
「いいか。赤ちゃんはな…」
「きゃっ…!?」
 高い声を上げた彼女の脇を両手で掴んだ後、後ろを向かせる。それから俺は仰向けになり、彼女を俯せにし、尚且つ彼女の秘所が弄くれる位置まで彼女自身をずらす。もちろん愚息は彼女の目の前にそびえ立っている。
 こんなことは彼女はおろか俺も初めてだから少し緊張するが、何とかなるだろう。目の前に見える彼女の赤い服(?)、そして股の中間辺りに見える綺麗な淡いピンク色をした縦筋。それから横顔を覗かせている彼女の真っ赤な顔。
「あの、何を? 恥ずかしいですよ、こんな……」
「いいからいいから。話を続けるぞ。赤ちゃんはな、お前のここと…」
「ひゃんっ!! 触っちゃやぁっ…!!」
「お前の目の前にある俺のそれが繋がり、初めて赤ちゃんが出来るんだよ。」
 俺の言葉を聞き、はっとした様子で彼女は俺に言った。
「と言うことは私は……あ、あなたと繋がって赤ちゃんを産むんですか……?」
「いや、必ずしもそうなるってわけじゃないけどさ…。それに、俺は人でデリバードはポケモンだろ?赤ちゃんが出来ることはないと思うが…」
「私、これがそんなことだなんて知りませんでした…」
 彼女はしゅんっと落ち込んだようになる。
 なんだ、俺はてっきり彼女がやることを分かっていたと思い込んでた。
 だったら彼女とやっても意味がないってことになるよな。
「じゃあ、やめるか…」
「えっ?」
「俺はてっきりこうなることを分かって誘いに乗ってくれたんだと思ってたよ。でもデリバードが分からないのに無理にやったって何の意味もない…」
「ごめんなさい……。で、でも…っ!!」
 彼女は体を起こして俺の方に向き直してから、強くはっきりと言った。
「代わりと言ったら変ですけど、その、私に…させてくれませんか!?」
「はっ…? な、何を?」
 俺は何のことだかまったく分からない。
 しかし彼女は真剣な顔つきで再び俺に分かりやすいように言ってくれた。
「ですから、私があなたに…。プレゼントをさせてほしいんですっ…!!」
「プレゼント?」
「はい…。あなたがさっき私がして気持ちよくなったみたいに、また…私が気持ちよくさせてあげます…。だからあなたは私にどうやったら気持ちよくなるかを教えてくれないでしょうか…?」
 今の言葉を言うのに彼女は一体どれだけの勇気を要したんだろうか。瞳には軽く涙が溜まっているうえに、体は凄く震えていた。
 それに対して俺は彼女の肩を掴み、引き寄せてから彼女の嘴の先にキスをする。
 彼女はピクンと震えたものの、俺をじっと見つめたままだ。
「俺、子供じゃないけどプレゼント貰ってもいいのか?」
「わ、私が…サンタクロースがあげたいと言っているんですよ? それを拒むんですか?」
「はは。まさか…。くれるって言うならありがたく貰っておくよ」
 俺がそう言うと彼女は微笑み、また体の向きを変え、先程と同じような態勢になる。
 そして目の前にそそり立っているであろう愚息を嘴で傷つけないように気をつけながら舌で舐め始めた。
「くっ……ぅ」
「こんな感じでいいんでふか…?」
「あぁ。その調子で全体を舐めてみてくれないか。多分デリバードの口だと上下に動かすのは無理そうだから、舐めるだけでいいよ」
 彼女は俺が言った通りに、全体を満遍なくその舌で舐めてくれる。少しだけ優越感に浸りながらも、彼女にやってもらうだけではこちらも悪い。
 そう思った次には既に俺も彼女の秘所に舌を這わせていた。縦の筋に合わせて舌を動かすと彼女がピクリと震える。
「んぅっ……や、やっぱり私のも舐めてもらわないとダメ、なんですか…?」
「そりゃあデリバードだって初めてなんだから、しっかり慣らさないと痛い目見るぞ? それに何だかんだ言ってもお前のここはしっかり濡れてきてるし」
「濡れる…?」
「う~ん。要は気持ち良い証拠かな」
「…よく分からないですけど、確かに舐められてから何か頭がぽーっとしてきたような……舐められたところが凄く熱くなってるような気がします……」
「だろ? それが気持ち良い証拠なんだ」
 そうなんだと言った表情で俺を見る彼女。本当に何も知らないんだな。
 当然と言えば当然なのかもしれない。サンタクロースって基本こんなデリヘルみたいなプレゼントなんかしないものな。
 多分世界で初だと思う。サンタクロースからこんなプレゼント貰う人はな。
 そんな考えを頭で巡らしていると、舐めていた彼女の秘部から愛液が垂れてきた。俺はそれを軽く指で横に開いてみる。透明な愛液が彼女の中で糸を引き、艶めかしいピンク色をより一層引き立てているように見えた。
「おっ、お前のここからこんなに蜜が垂れてきたな? 良い感じに気持ち良くなってるみたいだな」
「やぁ…。恥ずかしいです、そんなに広げて見られたら……」
「別に恥ずかしがらなくてもいいじゃん。結構綺麗なもんだぞ、お前のここは」
 顔はもう茹でられたタコみたいに真っ赤な顔になってしまっている彼女を見て、何か可愛いなぁなんて思いながら俺は彼女を持ち上げて、体をこちらに向けさせ、向かい合うようにする。
 まともに顔を見るのが恥ずかしいのか、チラチラと目を色々な方向にやりながら彼女は落ちつかない様子でいた。
「やっぱり恥ずかしい?」
 こくんと頷くのを見て、俺は彼女を腕で抱き寄せてから肌と肌を重ねる。
 温かい。人よりも少し高めな彼女の体温がこんなにも心地よく感じられる。ふと、ずっとこうしていたいなんて思ってしまうが、そうもしていられない。
 俺だけが過ごさなければいけない時間があるように、彼女にも彼女の過ごさなければいけない時間がある。人とポケモン、いや、今の場合は一般人とサンタクロースだ。住む世界が違う。けれど今だけはそんな身分(?)やら何やらなどは関係ないはず。
 何か言っていることがごちゃまぜだけど、もういい。とにかく俺は今、この少ない時間を大事にしなきゃいけないんだ。
「デリバード、もう落ち着いた?」
「はい…。ありがとうございます……」
「別にいいさ。じゃあそろそろ本番に行くけど、本当に大丈夫か? 嫌だったら今ここでやめても……」
 俺の言葉は途中で遮られてしまう。彼女の口で。見れば、いつの間にか体の震えや緊張もなくなっているようだ。
 彼女も意を決したようで、口を離してからも俺の目だけはじっと見ていた。そしてゆっくりと仰向けに寝転がり、俺が入れやすいようにしようと思ったのか、自らの手で秘部を横に出来るだけ開いて見せた。そのうえ瞳は潤んでいて、上から覆いかぶさっている俺を上目使いで見てくる。
 こんな反応をされては、俺は勿論のこと、愚息もしっかり反応してしまっていた。俺は愚息を根本から握りしめ、彼女の秘部に近づけていく。
「よし…。じゃあ、入れるからな?」
「あ、あの…っ。出来れば優しくお願いします……」
「分かってる。最初から俺はそのつもりだから」
 てか、言っとくけど俺もしっかり童貞だからな。彼女と同じで初めてだから、めちゃくちゃ緊張してんだからな。
 今も近づけて入れる一歩手前のところで手がガクガク震えてるわけだからな。
 えぇい、ここまで来たらやるしかないだろうが。勇気を出せ、俺!!
「ゆっくり、ゆっくりと……」
「んんぅ…っ!!」
 愚息の先端が彼女の秘部に進入すると、彼女から先に声を上げた。正直俺も上げたいところだが、ここで根を上げては男が廃る。少しの間我慢しろ、俺!!
「やぁぁっ……太いの…っ。太いの入ってくるぅ……」
「後…もう少し……っ」
 愛液やら自身の我慢汁からなのか滑りはよく、結構スムーズに入りこんでいく……と思った矢先、壁のようなものに突き当たった。
 あぁそうか。これが彼女の純潔の証か。単純に言えば、処女だってことだけど。
「デリバード、もう一度聞くけど、俺なんかがお前の貰っちゃっていいのか?」
「んっ……こ、ここまで来たんですから……最後まで責任取ってくださいよぉっ……!! 今の私、体が疼いて疼いてしょうがないんですからぁ……っ!!」
「そうだったな。じゃあ最後までやらせてもらうからな……っ!!」
 壁を突き破り、彼女の膣内をさらに進んでいく。奥に進めば進むほど彼女の膣の柔肉がきゅうきゅうと締め付けを増していき、愚息は容赦なく絞られる。
「くぁっ…そんなに締め付けるなっ…」
「そんなこと、言われたってぇ……くぅっ!!」
 とうとう耐え切れずに声を出してしまった俺はデリバードの背中に手を回し、強く抱きしめながら再び進入を始める。
 彼女も俺の首の辺りに手を回し、抱きしめ返しては、体を震わせて必死に下半身から来る処女膜の破けた痛みを耐え、同時にじわじわと来る快楽にも耐えているようだった。
 あまり時間をかけてもいられなかったが、こればかりは仕方のないこと。じっくりと慣らしながら互いに快楽を分かち合わなければいけない。
 それから数分も経たない内に、愚息の先端は何かに当たり、それ以上先に進むことは出来なかった。無理に少し押し込もうとすれば、彼女が小さい鳴き声を漏らす。
「いぅ…っ。そこっ…小突いちゃ……」
「この感じからするに、どうやら奥まで入りきったみたいだな…」
 小突いてしまったのは子宮口のようだ。少し痛い思いをさせてしまったかもしれない。そう思ったのだが、反対に彼女の顔は少し悦に浸っているようだった。
 軽目になら大丈夫そうだな。覚えておこう。
「どう? 初めての感じは?」
「まだ少し、痛いですけど…気になるほどの痛みじゃないです…。それに何だか体の奥からジンジン感じるものが…」
「良かった。あまり痛くはなかったみたいで」
 安堵した俺は再び彼女の嘴の先にキスをする。それに対して、恥ずかしそうにしながらも彼女もぎこちないキスを返してきてくれた。普通の口じゃないから、やはり舌同士の絡み合いになってしまうが、それはそれでいいかな。なんて思ってみたり。
「よし。落ち着いたところで、そろそろ動かすよ?」
「お願いします……」
 彼女が言うことに頷いてから、俺は愚息を引いたり押し込めたりの繰り返しを始める。初めてでぎこちない感じはあるが、それでも十分気持ち良かった。
 引き抜く度に吸い付きの良い彼女の膣肉が一緒について来て、離そうとしてくれない。逆に押し込めたら押し込めたで、膣肉がぎゅっと引き締まり、根本からゆっくりと絞られる。
 後はこれの繰り返しなだけだが、それでもこの単純な動きだけで絶妙な快楽を得ているのは間違いない。
 一人でやるときとは違う温もりがあって、不思議と気分が良くなっていく。これが最高にハイってやつだぁぁ!!なのかもしれない。
「ぐぅぅ……すげぇ…すげぇよデリバードの中……熱くてトロトロで……とてもじゃないけど氷タイプなんて思えない……っ!!」
「やぁぁっ…恥ずかしいから言わないでぇ……。ひゃんっ!! あひぁっ!!」
 一往復するたびに彼女が可愛い喘ぎ声をあげるものだから俺は楽しくなって、夢中で腰を振った。
 そして左手で腰の辺りに手を固定し、残った右手で彼女の陰核の皮を剥き、現れた豆を指で強く摘む。
「ふひゃぁぁんっ!!? やっ、そこは……弄っちゃ……くぅぅんっ!!」
「ここ気持ち良いんだ? じゃあもっと弄ってあげるから、デリバードも一緒に……っ」
 豆をクリクリと弄くりまわしながら、ひたすら腰を前後に振っていくと、限界が近づいていくのが分かった。
 愚息に急速に何かが溜まっていくような感じがして、そこで俺は彼女の腰に両手を置き、何回も子宮口を強く突く。
 その時初めて、俺の愚息と彼女の秘部が合わさって弾ける淫音に気づき、俺と彼女は顔をさらに赤くさせた。
 コツッコツッと小さい子宮口が愚息によって開かれていく。この中に出してしまっていいのか迷ったのだが、所詮は俺は人間で、彼女はポケモン。子供は産まれるはずがない。だったらこの快楽をそのまま彼女に受け取ってもらうことにしよう。
「そろそろ出そうだ…っ。中に、中に出すからな…っ!!」
「ふぇっ…?だ、出すって赤ちゃんのもとをですか……!?」
「そうだ…。俺の精子、お前ん中に、沢山っ。出してやるからな……っ!!」
「ひゃっ!! あうっ!! そ、そんなに強く突かれたら……私…っ!!」
 片言な台詞を言いながら俺は出来るだけ強く腰を打ち付け、彼女の子宮口目掛けて精子を吐き出す。
 先に果ててしまったのだが、俺がイッたすぐに彼女の膣内がより一層きつく締まったことから彼女も同じようなタイミングでイッたようだった。
 俺が軽い呻き声をあげたなか、彼女は俺を強く抱きしめ、吐き出されている精子を受け止めていた。
「はぁっはあっ……」
「あぁぁ…出されてる…っ。中に赤ちゃんのもとが……沢山出されてるぅ……っ」
 譫言のように呟く彼女がとても愛おしくて、俺はまた彼女の嘴の先にキスをしてしまった。
 一通り出し終わったのか、愚息は収縮していた。引き抜けば愚息は彼女の愛液と自身の精子が彼女の膣と糸を引いていた。それも重力によって、すぐ崩れてしまったが。
 そして余程俺が出してしまったのかしらんが、彼女の膣からはコポリと俺の精子と彼女の血が混ざり合わさった薄いピンク色の液体が垂れて、彼女の蕾も濡らしてしまっていた。
 まだ彼女は息を荒げている。無理もない。初めてが結構激しいものだったからな。優しくとお願いされたが、あれほどの快楽を無視して優しくするのは無理だろう。
「はふぅ……あの、気持ち良かったですか?」
「ん?あ、あぁ。凄く良かったよ」
「良かった…。でもプレゼントする側なのに、私があなたからプレゼント貰っちゃいましたね……」
 言ってから途端に顔を赤らめる彼女。自分で言ったことを恥ずかしがってどうする、まったく。
「気にするな。俺からのお礼の気持ちとでも受け取っておいてくれればいいから」
「で、でも…」
「いいから。な?」
 俺から凄むように言われたからなのか、彼女はこくんと頷いた。
 それにしても疲れた。時間は今何時だ?俺は適当に体を拭き、服を着てから時計を見た。
「朝の6時、か」
「クリスマス。終わっちゃいましたね…」
「そうだな」
 見れば彼女は寂しそうな顔をしている。ふと疑問に思ったのだが、サンタクロースはこれから一年間、一体何をするのだろうか。
 次のクリスマスまで普通に暮らすとか、はたまたコールドスリープに入るとかか?
 前者の確率も高いが、なんか後者もないとは言い切れないな。
 またあれこれ考えを巡らしていると、彼女が俺の隣で言った。
「とりあえず、今年の私の役目は終わりました。これで後はトナカイ達が戻ってきてくれれば…」



「今年もお疲れ様。はい、特別手当」
「ありがとうございます。店長」
「また年が明けたらガンガン働いてもらうからね。しっかり休みなさいよ」
 店長とそんな話をしてから、失礼しますと言って俺は着替え、店を出る。
 やっぱり今年も雪が降っていた。防寒対策はばっちりだ。後、頭の衝撃を和らげるものがあれば尚、良いんだけど。
 ふぅと溜め息を一つついてから、ゆっくりと空を見上げる。
 津々と降る白い雪と…んっ?あれは赤い何か…?
 おかしいな。完全に雪じゃないよね、あれ。雪とは違ったまた別の何かだよね?
 おかしいな。何か見覚えがあるようなないような。てか、確実にあれは俺の頭目掛けて来て…


あとがき的な何か

10000HITに続き、こちらは20000HITの記念として書かせていただきました。
本当であれば来月あたりに投稿しようかと思っていたのですが、来月から本格的に忙しくなるので、早めのクリスマス気分を味わっていただく形となってしまいました…。
いつも通りの拙い文章ではありますが、少しでも楽しんでいただけたらと思います。

あと、一つこの小説を書いていて疑問に思ったのですが、デリバードの体はあれって地毛?それとも赤い服を着ているのかな?


最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • デリバ大好きなので堪能させていただきましたー。
    ハッピーエンドでよかったですw
    ―― ? 2010-11-19 (金) 22:26:47
  • ピカピカさんの小説、久し振りに見ましたよ。相変わらずクオリティが高いですね。デリバード可愛いすぎです!!お持ち帰り~!!
    ――ミクシムⅤ ? 2010-11-20 (土) 09:35:34
  • >雀さん
    デリバードの雌はこのwikiの中であまり見たことがないので、書かせていただきました。
    デリバードは可愛いですよねw
    HGSSの時のデリバードは何か可愛かった…。
    >ミクシムVさん
    久しぶりで申し訳ないです…。私生活が忙しくて、これからは大体一括での投稿になりそうです。
    クオリティ…。私の小説にあればいいのに…w
    ちなみにこのデリバードのお持ち帰りにはオドシシ二体もついてくるので、あしからず。
    ――ピカピカ 2010-11-20 (土) 17:57:08
  • とても良い!
    ―― ? 2013-11-19 (火) 23:36:21
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Last-modified: 2010-11-18 (木) 00:00:00
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