SOSIA.チラ裏的作品その四
※注意
この作品には官能表現が含まれます。
なお、このお話はSOSIA.Ⅳ『愛と、石と。』のストーリーの一部です。
BLではないけどたぶん腐向け。
◇簡易キャラ紹介◇
○シオン:エーフィ
○孔雀:サーナイト
○橄欖:キルリア
旅立ちから一週間――現在、ジルベール領大陸縦断山脈西を北上中。野宿続きでそろそろ疲れも溜まってきた頃である。
「はー。暖まったぁ」
シオンが白い息を吐きながら満足そうに喉を鳴らす。
ちょうど夕食が終わった時である。時折村に立ち寄って食料を調達しながらの旅。昔はどうと云う事もなかったのに、屋敷での生活に慣れきった身には少々
「後片付けはわたしと橄欖ちゃんにお任せを。シオンさまは横にでもなっていて下さい」
「うん……」
初めのうちは手伝う手伝うと聞かなかったが、実際食器の後片付けに三匹も要らないし、橄欖と二匹の方が効率が良い。その旨を正直に伝えると引き下がってくれた。
「こーゆーコトは使用人に任せておけば良いのですよ。そうでなくともシオンさまにはボディーガードをしていただいてるわけですし」
「……そう、だね」
孔雀と橄欖が後片付けに勤しむ間、シオンは焚火に当たりながらもどこかソワソワしていて、別のことに気を取られているようだった。
妙にキョロキョロしたり、孔雀や橄欖の様子を気にしている。
「どうかされましたか? シオンさま」
「や、うん……ちょっと」
それに、なんだか……いつもと違う。
何が違うのか。
すぐにピンときた。
と、シオンがやおら横たえていた体を起こした。
「シオンさま、どうかされましたか?」
「や。ちょっと……用を足してくるだけ」
答えて横を向くシオンはどこか恥ずかしそうだ。
「あ……申し訳ございません」
仮にも異性相手に、そういうことを尋ねるのはまずかったかもしれない。そう思って頭を下げた。
「姉さん……気遣いが……足りませんね……」
シオンが草むらの向こうに消えてから、橄欖に釘を刺された。
「そうね……でも、昨日まではそんなこと気にする素振りはなかったわね。一つ屋根の下で暮らしているのだし、生理的欲求なんだからそんなに恥ずかしがることでもないのに」
「昨夜のアレで……警戒されているのかも……しれません……」
昨夜のアレとは、孔雀と橄欖が
「……なんというか……感情は……見た目通りでしたが……今までのシオンさまとは……何か違う……」
「橄欖ちゃんも気づいてた?」
そう、今日のシオンはいつになく牡の仔らしかった。
今のシオンを見て牝と間違うポケモンはいないだろう。容姿も声も変わっていないが、
――生理的欲求?
「あっ、そっか」
孔雀は思わず、ぽむ、と手を叩いた。
「うふふふふふ。そっかー。シオンさまもオトコのコなのよねー」
「……は?」
初心な妹は気づかないらしい。それもそのはず。シオンさまは屋敷に来てから、これまでそんなことをする必要がなかった。シオンさまにはずっとフィオーナさまがいたから。
もっとも、孔雀はシオンの学生時代、フィオーナに付き添ってあれこれと
「さっ、気にしない気にしない。さっさと片付けて、ほらっ」
「……何か、隠していますね……」
「詮索は無用よ?」
橄欖は訝しげな顔をしながらも作業に戻る。
作業に集中した頃合を見計らって、後ろに回って――
じゃ、後はよろしくお願いね。
孔雀はシオンの消えた草むらへと飛び込んだ。
「姉さん……!? 姉さんっ! まさか、覗きに……」
今頃気づいても遅い。
「追いかけなくては……いえ……しかし……」
迷ってる迷ってる。追いかけたら橄欖ちゃん、あなたも
きっと橄欖に次の一歩を踏み出す勇気はない。
それでは。
一匹で愉しむとしますか。
◇
「随分離れちゃったみたいね……」
用を足すだけなのに。
これはますます期待――いや不可解だ。
草むらを越えて、しばらく歩いてゆくと大きな木があった。
「は……ぁっ……」
シオンさまの声だ。木の向こう側からだから、姿は見えないけれど。
荒い息遣いも聞こえる。それに鼻腔をくすぐる不思議と甘い匂い――気分を落ち着かせるような、昂揚させるような。とても扇情的で魅惑的で、麻薬のようですらある。
わたしはその匂いを知っている。いつも嗅いでいる匂いだけれど、普段はごく薄くて気づきにくい、シオンさま自身の匂い。それがここまで漂ってくるくらい色濃く放たれている。
「二年前のあの時以来……ね」
孔雀は気配を悟られぬよう、木の陰から少しだけ顔を出した。
「んっ……」
思わず目が釘付けになる。何をしているのか見当はついていたのに、いざ目視するとわたしほどのポケモンでも動けない。
それくらいの破壊力を伴ったフェロモン全開シーンだった。
その光景は淫靡ながらも美しく、煽情的かつ甘美で、何もかも忘れて虜になってしまう。
一つの動きが、仕種が、絶えずこちらの胸を刺激して、それだけで声を上げてしまいそうになるのを何とか堪えた。
「ふぁ、あぁ……」
これは見てはいけない光景だ。好奇心だけで来るものではない。
そんな事を思うと、少々の冷静さが生まれてくる。
「ん……くっ……ん……」
そのお陰か、孔雀はシオンがすごく
葉っぱを集めてそこに下腹部を擦り付けていたかと思えば今度は体を無理に丸めて前足を伸ばしてみたり、舌を届かせようとしてみたり。
胸の高鳴りはまだ収まらない。
もっと見ていたいけれど、気づいてしまうと何かこう、むらむら――じゃなくてもやもやしたものが。
いいや、この場合は最初の表現が合っているのかしら。
「わたくしがお手伝いして差し上げましょうか? シオンさま……」
覚えずそんなコトを口走ってしまっていた。
「ふぇええええっ――く、くくくく孔雀さんっ!!!?」
その声で孔雀の存在に気づいたシオンが悲鳴を上げ、慌てて姿勢を正す。
――しまった。一生の不覚だ。わたしとしたことがこんな。
「も……申し訳ありませ~ん……シオンさまのお姿があまりにも、その……可愛らしくて」
こうなってはもう隠れている意味はないと、孔雀は木の陰から歩み出た。
「みっ……見て……」
言いかけたシオンの顔がかぁっと桃色に染まる。すみれ色の細かな体毛越しでもそれが分かるくらいに。
「……たんだよね……だからあんなこと……」
俯いてしまったシオンさまは、さっきとは別の意味でまた愛らしい。
いとおしい。
「……ええ。ですから」
「ふぁっ!? く、孔雀さんっ……!」
――もう、止められない。
孔雀はシオンの体を半ば無理矢理に仰向けにひっくり返した。
「わたしが手伝って差し上げますのですよ」
開いた後ろ足の付け根の辺りを、やさしく愛撫する。突然の強い刺激を与えないように、最も敏感なところは外して。
「ひぁっ、だ、ダメ……」
「大丈夫ですよ。わたしも立場は弁えておりますゆえ……」
「だ、大丈夫なわけ……はぅっ、そこはっ……! あぁっ!」
胸元のふさ毛の奥にある乳嘴を軽く
「……本番行為には及びません。シオンさまの貞操はお守りしますからご安心を」
孔雀は正座して、シオンを抱き上げてその上に座らせた。四足歩行のポケモンでは自力でその姿勢は維持できないので首を支えてあげると、間近で見つめ合う格好となった。
「孔……雀さん……」
「キスは……許してくださいませんよね?」
「あ、当たり前でしょ。ていうかもうやめてよ……こんなこと……」
シオンは恥辱と罪悪感の混じった表情で顔を背けてしまう。そんな姿も可愛らしくて、こちらとしてはいっそう自分を止められなくなるというのに。
それでも自分に言い聞かせて、抱き壊して、自分の物にしてしまいたい衝動を抑える。今はまだ。
「シオンさまには浮気心などないのですから、罪はありません。わたしとて……わたしはあくまで侍女ですから……ね? ご主人さまのお手伝いをして差し上げているだけですよ」
あなたの気持ちをわたしの物にはできないでしょう?
「変だよ……孔雀さん」
「今までお気づきではなかったのですか?」
「気づいてはいたけど……まさかここまで」
言葉の上では拒否しているかのよう。しかし、強く拘束しているわけでもないのに離れないところを見ると満更でもないのか、それとも逃げるのを諦めて覚悟を決めたか。前者だとしたらこれは好機、後者だとしたらシオンは勘がいい。
わたしの手から逃れようなんて、あなたにはまだまだ早いのです。早すぎです。
「はい。それでは続き、始めますよー」
体を支えていない方の左手を、後ろから尾の付け根に持ってゆく。四つ足のポケモンの場合、自分では決して触れることのできない場所がある。
「あ、っ……」
そこに触れると気持ちいいのだという。別に性的な意味ではないが、時と場合によってはその意味も持つのだろう。シオンは小さな喘ぎ声を漏らして体をぴくんと震わせた。
「や、ひゃめてっ……だ、だめだって……!」
「こういうところって、牝性と同じで
後足の内側、乳嘴、尾の付け根、首の後ろ、耳……順々に愛撫して、可愛いらしい喘ぎを愉しむ。
よもやこんな機会が巡ってくるとは。わたしってなんて幸せな侍女なのでしょう。
「ね、狙っ……ぁっ、て……た、でしょっ」
「ほ? あらわたしったら。口に出てしまいましたねー」
でも、まだだ。これは侍女としてのご奉仕に過ぎない。いつかは本当に彼を手に入れてみせる。だから、今はまだ。
「ちょっ、だからっ、ぼ、僕、まだっ……きゃぅっ、ぁっ、はぁっ、ん、きゅ、みゃっ」
シオンは本格的に孔雀の手から逃れようとする。力だけで暴れるシオンの体を支えるのは少しきつい。孔雀は
そこで面白いことを考えついた。
「シオンさまぁ、往生際が悪いですよー」
「違うんだってっ! 離してぇっ」
シオンの胸に左手を
「観念しちゃってくださいませ」
そして
これで全身の性感帯を刺激したらどうなるだろう、と――
ふとそんなことを思ってしまったのだった。
そして思ったとおりに実行した。
抱き壊してしまいたい、そんな衝動を抑えられずに。
「みゃっ……!」
さほど激しくもない嬌声。
一方で胸の角には、これ以上ないというくらいの至福の感情が伝わってくる。
ろくに声を出せない程気持ちが良いんだろう。
何もかも忘れて快楽に埋没して。今は相手がわたしだという事も忘れて構いませんから――
「は、離し――ぁあっ……」
どんなことになるか予想はついていましたけれど、このようなことで離しはしませんよ。これはあなたへのご奉仕なのですから。
あなたの身には今、快楽の渦が駆け抜けているのでしょうか?
刺激が強すぎるのか目からは涙を零しながら、下からは大量の水が溢れ出している。
「あらあら……シオンさまったら」
フィオーナはシオンのそういう感情も愉しんでいるみたいだけれど、孔雀は別段ドSというわけでもない。快楽と愛情だけ与えてやれればそれでいい。
シオンが我を忘れて快感に浸っていられるよう、
「ぁあっ、ひぐっ……と、止まらないよぉ……」
――にしても、とんでもない量だ。孔雀の衣は胸の角から下がびしょ濡れになって、吸水量の限界を超えた水が森の草地に滴り落ちている。
「もう……どれだけ我慢されていたのですか」
「ふえぇん……だって、言ったじゃない……はぁっ、んっ……まだ、おしっこ……してなかったのっ……」
「では、はじめは本当に用足しのためだけだったのですね? シオンさま。一匹になって変な気を起こしてしまわれた、と。くふふ。可愛いです」
孔雀は左手で口元を押さえて笑った。
――あ。
「――って……僕ってばぁああ……ななななにをして――」
体内に
不覚にも、体を支える右手にも大して力を入れていなかった。というか、愛撫の側に
「あ、暴れないでくださいシオンさまっ――きゃっ」
変に暴れるから顔にかかってしまったではありませんか。
「やだぁっ、離してぇっ!」
「お、落ち着いてください!」
シオンは体を押さえようとする孔雀の腕の中で暴れまわって、結果的に被害を大きくした。
しばらくしてシオンが孔雀の腕の中で大人しくなったときには、孔雀は文字通り頭から水をかぶったような有様だった。
「全く……髪まで濡れてしまいましたよー」
「ひっ……ぇっ……」
シオンは目を開けないが、閉じた瞼からは涙が溢れている。
――泣かせてしまった。
「あ、いえ……シオンさまが悪いわけではありませんから……お気になさらず」
こんなつもりではなかったのに。
どうして、見ているだけで我慢できなかったのか。
普段することのない"後悔"という感情が、孔雀の胸の奥に芽生えた。
「ぅっ……孔、雀さんっ……」
怒っている……のか。シオンさまが、わたしに。
そんな……嫌です。あなたにだけは嫌われたくない。
シオンさま。わたしはただ――
「はい。どうぞ――」
孔雀はシオンを抱いたまま後ろに倒れた。
正座していた足を伸ばして、膝に座らせていたシオンを胸の上まで移動させる。
「何のつも……り……ふぁっ」
角が少し邪魔かもしれないが、サーナイトには豊満な胸がある。シオンの体の反応はまだ収まっていない。今のうちに。
あまり大きくないシオンさまの最も敏感な部分を柔らかい胸で自らの角ごと挟み込んだ。両手が塞がっているので、
「ほら、シオンさま……出して……!」
「やんっ、ぇっ、みゃ、ん、んんっ……!」
ここまでしてしまったら、最後までやるしかない。怒らないでシオンさま。
ね、気持ち良いでしょう?
「ぁあっ……あぁぁぁぁっ――!」
シオンはそのまま絶頂に達して、白濁液を吐き出した。
長旅で溜まっていたようで、勢いも量も凄い。トクトクと脈打つかのように断続的に流れ出て、孔雀の胸から首、顔にかけてを白く染めた。もともとサーナイトの肌は白いから、染まった、という表現はそぐわないかもしれないけれど。
口の周りについたそれを舐めてみる。
食生活ゆえか体質なのか、シオンさまの味はほんのりと甘く、そして少し苦かった。
◇
「……で、姉さん……」
「何かしら」
「何をされていたのかは……知りませんが……体から……シオンさまの匂いがします……よ」
「鼻の錯覚ね」
「……錯覚は……目では……?」
「じゃあ、空鼻ね」
「それは……耳……」
「……いいじゃないの。わたしはシオンさまが好きなの。橄欖ちゃんだってそうでしょう? 好きなひとの匂いをつけて何が悪いのよ?」
「その過程を……お尋ねしているのですが……」
橄欖はシオンの心をほぼ完璧に読めるから、本当はわかっているのだろう。
「……これ以上は訊きません……ただ……フライングは……これっきりに……してくださいね……」
「わかったわよ。身をもって。シオンさまを悲しませるようなことになるなら、もうしない」
「約束……ですからね……姉さん……次は……許しませんよ……」
シオンさまはあの後逃げるようにキャンプまで戻って、橄欖曰くそのまま寝てしまったのだという。
孔雀は近くの葉でシオンの甘くて苦いものを拭き取り、目覚めるパワーで体を乾かしたあと戻ってきた。
それで、妹とのこの会話である。
最後の橄欖の言葉には殺意と、ほんの少しの羨望、嫉妬――
「ええ。今度はあなたの番。そういうことよね?」
~Fin~
ただのえrい思いつき?
いえいえ、この展開は最初から考えていました(笑
「わたくしがお手伝いして差し上げましょうか? シオンさま……」
孔雀のこの台詞、『愛と、石と。』本編にもちゃんと入っているのですよ。
感想いただけると嬉しいです。
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