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エコレンジ

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昨夜GALD


彼女が出来てからどれぐらいたったのだろうか。元はといえば彼女ではなく、それ。さらに絞り込んで言うなら実験体というやつである。
名前はウインディと名付けられ、初めて人口生命体というものを作り出した。
形のモチーフは犬や虎あたりらしいのだが、人語は理解できるし脳などは人間が元に作られている。
それにらしいというのは実際のところ耳はまだしも、毛の色はこの世に存在するどの生き物からも離れているし大きさも比べては話にならない。
人一人担いで軽々失踪してしまうのだから、元が何かという話をするよりも人口生命体とくくったほうが早いだろう。
圧倒的な存在、生み出して問題になったのはそこではなかった。問題になったのは中身がないのである。
パソコンが出来上がっても、中身が詰まっていなければ意味がない、そうメモリーが白紙なのである。基本的動作、数千の言葉、そんな程度しかインプットされていない彼女は最初の頃は全てに首をかしげ、反応は機械的だった。
意味を知っていても、感情というものが確固たるものとして持ち合わせていない、あまりに機械的すぎて人工知能は失敗に思われた。
そんな勢いで研究の産物が失敗作だと決めつけられると、その矢先に待ち受けるのは廃棄処分である。研究者としては辛いのかもしれないが、変に置いておくだけでは危険因子として扱われてしまう。
生命倫理など色々抵抗したとしても、周りの圧力を考えると逃れることのできない未来。そんな未来を、感情がないからといって俺自身は命を奪い去ることができなかった。
人工物だとしても、そこには確かな俺の思いと重なった存在を守りたかった。そんな彼女が初めて覚えてくれた感情は悲しさだった。
理不尽な世界に嘆いたのではなく、むしろ俺がそんな成果が残せないからなんて理由に権力で消すなんてただの暴力だと嘆いた。
そんな叫びを彼女は何故か受け取り、意味を単に理解するだけでなく表情を自然に作ってみせたのである。あの顔を忘れることはできずに。焼きついてだからこそ笑顔を作らせてやりたくなった。
成果を残したことで研究の結果は公となり、研究は大きく発展することになるが俺は降りた。もちろん、後任や支障のないように穴は塞いで普通の生活に戻った。
大金にも変わるような研究成果を持ち出すことにはなったが、データは全て投げ出し、続けて人口生命体はすぐに生み出され、最初の一匹がどうのとか騒がれる時代が過ぎ去ったこの時代ではむしろ俺の功績はお釣りがくるようなものだった。
その後も色々な成果が残され、反対と賛成はぶつかりながらも研究により生まれる存在を認めるという答えへ収束することになる。今や生活に溶け込んでいる存在を、ここまで導いた先導者は間違えなく彼女だろう。
私生活を送るようになってからというもの、彼女は感情が芽生えたのはいいが性格は結局控えめなようであまり積極的ではなくある意味機械じみた面がある。
けれどもそれもきっと彼女の個性なんだろうと、俺は特段に否定することもなく彼女が笑顔でいれることに努力した。
「どうかしたんですか?」
「いや、なんでもない。」
座り込んでいるとふと声をかけられる。こんなことも、感情がなければおそらく不思議に思って声をかけたりと思わないのだろう。
そして、この声をかけられた本人はある考え事をしていた。そう、買ってきたものをどこにしまったかである。
たしか引き出しを開けてしまった記憶はある。しかし、昨日のことにしてはっきり思い出せずにどうも嫌な予感がしていたのである。
あたりに放置している様子はなく、どこに姿を隠したかはっきりしないでいた。
「昨日、買ってたやつどこにしまった、ディア?」
こういう時に頼りになる存在である。ディアというのは彼女につけた名前である。いうなればウインディというのは生物学上の呼び名であり、いうなれば俺の名前も人間でよくなる。
それはあまりにも味げなく、間接的すぎて距離感を露骨に表現してしまう。初めて名前をつけたとき、その名前を記憶させるのに苦労したのも思い出の欠片である。
意味はなんだとか聞いて、名前だといえばウインディが名前だと強く言い張る。だからあだ名だとか、色々遠まわしの説明を加えてディアが自分のことを指している事を認識せた。
彼女は少し記憶を過去に巡らせ、並ぶ断片的な映像を処理して答えを見出すと、あぁと声を出した。
「冷蔵庫に閉まってたんじゃないですか?ほら、一番上のとこ。」
嫌な予感が的中している。彼女に言われた瞬間には冷蔵庫に直進していた。
この家庭は三段式であり、したには主に野菜などが入っている。とりあえず、料理をするときはだいたいここから物が出てくる。
第二層では肉や魚など、日持ちが難しい分この家庭では人気の高いものが入っている。一人と一匹揃って肉を食いたがる貪食家である。
そして恐るべき第三層、そこは踏み入れた数多のものを凍えさせ、水でさえも悲鳴を上げれずに凍りつく。すべてを凍てつかせる凍土の箱、そしてディアが息を吹きかけるだけで電気代を上げる魔の空間である。
そこに昨日買ってきた有機物を俺は間違ってほ織り込んでしまったのである。きっと、それらは叫び声を上げた頃には暗闇に閉じ込められ声が反射する箱の中で、氷漬けにされてしまっているのだろう。
扉を開いた先にある世界は以前と白銀の雪に包まれることなく、白い壁に囲まれていて昨日買ってきた物が袋詰めのまま無残にも凍りついている。
袋を取り出して、ひっくり返すとがたんと硬い音を立てて黄色いのと黒い板状のものが転がりでる。
その様子をディアは不思議そうに眺めていた。彼女にとって、何故バナナとチョコいレートが同じところに入っているのか、そして何故凍らせたのか、疑問で仕方ないのだ。
こいうのを好奇心だということをディアは最近になって覚えた。
「それで何するんですか?」
「ハロウィンだし、チョコバナナでも作ってやろうと思ったんだがな。チョコレートはどうせ溶かすからいいんだが、バナナは問題だな。」
それなら私がと息を吸った瞬間俺は慌てて彼女の口を塞いだ。こんなところで炎をはかれたら解凍どころで収まらない上に家までさよならすることになる可能性までついている。
彼女も燃えるだとかそういうことは理解しているのだが、まだ生まれたばかりもあって脳はまだ子供と大差はない。
だから思いつくとすぐに行動に移してしまうという浅はかな面がやはりたまに傷である。ある意味では保護者であるものとしてそういったものを止めて教えるのが一つの仕事である。
止められて炎を飲み込むと、ディアに対しての説教が始まる。何故か毎回同じようなことを言っている気がしなくもないが。
実際のところ子供に火遊びさせるのは保護者として、やはり忍びない。注意するところは注意していかないと、変に性格が曲がってしまうと手を焼くことになる。
それにこんな人間離れした存在が火遊びなどというものに手を染めてしまうと、それこそ手を約程度ではすまずに燃焼ということもある。そうならないためにも必要なことをは施しておかなければならない。
「すいませんでした。それでどうしましょう?これ、溶かせないですか?」
「無理だな。火で炙るにしてもなぁ……」
この家庭、電子レンジというものが存在しない。ガスもほとんど使わない。
電子レンジがない理由は冷凍関係の食事を食べないし、使う気がしないからである。冷凍食品は確かに便利だが、ディアがいてからというものあまり頼らないようにしている。
そういう意味では我が子のように可愛がっているつもりである。研究者をやめて手もあまるので、そいうものは自分で作ろうと日々料理のスキルを上げている。
そちらのほうが、ディアにも色々と教えてやれることになるだろう。色々教えてやろうとするあまり、変に熱中してしまっているのは研究者の性なのか、料理にも変に時間を費やしている。
その時に使う火力でさえもディアに頼りきっている。火の加減を調整させることを教えながらも、節約している。といっても野外で火を越してもらうだけで、あとはこちらが全て行うだけだが費用削減には使える。
流石にフライパンをくわえさせても出来ることはしれているし、料理などまともにできるわけがない。
足は四本あるが、足であって器用にものが掴める程にまでは発達していなく火を起こしてもらう大役以外に参加することはない。
そんなわけで、電子レンジがなくてもそこまで不便なことがなく生活を続けているわけである。不便なのかもしれないが、慣れてしまっているせいか感覚が鈍っている可能性もある。
バナナは自然解凍という方向で話は決まった。その間はハロウィンとは何かということについて無駄に語ってしまったような気がする。
そのあたりも研究者として生きているのだから、話し出すと止めれないのだ。延々とハロウィンについてろくに知りもしないのに喋りだすと口が進んだ。
本来ハロウィンなんて、変な服装をするとか、お菓子がもらえるだとか、悪戯さするよって言ったりする程度が知識の範疇なのに、ここまで話し込むとはどれだけ主観を入れ込んでいるのだろうか。
しかし、そんな長引く話をディアは飽きもせず聞いてくれるというのもまた子供なんだろう。親の言うことを聞かなければという認識があるというよりも、どちらかというと興味津々な姿勢をとっている。
なんでも珍しいことを話せば食いつくのがやはり子供、数年すればそのうちあぁとかへぇとかそうだねと生意気になるのだろうと心の片隅で思ってしまう。
そんな長きに渡る対話を終えて、バナナの方の様子見をしてみると表面は元に戻っている。冷たさはあるものの、触った感じは悪くはない。ただ握りしめてみるとやはり芯は硬い。
自然解凍なんてやはりこの時期では短時間で期待できる効果のあるものではないということだろう。
そこでディアにもダメだと首を振ると残念そうに顔をしかめた。なんだかかんだで、お菓子を期待してしまうところもまた子供、可愛げがある。
この時、半分俺はよからぬことを思いついていた。レンジがあるんじゃないかと、人工的にできているものが。
それを人工的ではないと否定して、現実を半分受け入れていないのは紛れもない俺自身ではある。
「なぁ、ディア。お菓子持ってないだろ?それじゃ、どうなるんだ?」
「悪戯されるんですよね?さっき言ったばかりじゃないですか。」
よしそれじゃ口を開けるんだと、早速実行に移してしまうあたりが自分が本当に子供として可愛がっているのか疑わしくなる。
ディアは何も言わずに口を大きく開けて、なんですか?と言っているような気がするような曖昧な言葉を俺に飛ばす。
そこに俺はバナナを突っ込む。もちろん、喉に突き刺すようなことをしたりなどするわけではない。
「食べちゃダメだぞ?口を閉じて、噛むんじゃないぞ?」
訳も分からずにバナナをくわるディア。そこには俺の求めている答えが確かに存在している。
そのままバナナを引っ張り出そうとしては、奥に詰め込み、バナナを出し入れする。
ディアは意味不明だとふがふがいっているが、それはそうである。これは大人の事情であって子供に理解できるはずがない。
俺だけはおぉとバナナを動かしているが、ディアはいたずらというものを正確に理解しきれていないのか不満そうである。
半分ぐらいは食欲のせいで、早く食わせろとかいうことなんだろうが、それではこちらの都合に合わない。
いい子だと、ゆっくり動かして抜け出して唾液で濡れたバナナを眺めては唾液を飲む。
「いい子だ、バナナを溶かすためでもあるんだからな。」
ふがぁと不満層にディアは鳴いている。腹の虫がないているのだろうか。
正直悩んでいる。目の前にある性欲をどうするべきか。生体を確かめるために、適当にいじったとか言い訳もできる。
研究者なのだ、そのあたりも完璧でないと我慢ができない、そう言えば許されると勝手に決め付けた。
要約バナナを取り出すと、ディアは不満そうにバナナを見つめた。まだ、唾液で濡れていて湿るバナナを、もちろん腹が減ったという意味でほしそうに見つめている。
「それで何がしたかったんですか?」
「まだ終わってないぞ、そんな不満そうな顔するな。あとでちゃんと作ってやるからチョコバナナ。」
ほら後ろ向いてと言うと、食べ物に釣られて渋々ディアは体を回転させた。しかしよくできた体である。
人工物とは思えないぐらい、普通に男性が喜ぶような尻である。我ながらさすがとしか言えないというあたり、自信過剰なのかもしれない。
「顎を床につける感じで頼む。後ろ足はあげたままだぞ。」
「これ、本当に意味あるんですか?」
「チョコレート出せないから文句言っちゃダメだぞ。」
「あとでチョコバナナ、作ってくださいよ!」
そういうと下半身を持ち上げたまま、上半身を落とす。ディアはこれがどういうことかは分かっていないようだ。
欲望に染まった手が両足の間に向かう。しっぽを上へ払い除けて、さらに数センチ進んでいく。
そして両足の間を片手が捕えると、そのまま横へ短い毛をかき分ける。
そこにはちゃんとあるべきものがあり、そこにバナナを埋めていく。膜なんてものは作っていないのだから、もちろん初めてなのかどうなのか感覚的にはディアには難しいところだろう。
それ以前に分かりもしていないのが現実なんだろうと、俺はわかりきったことを変に考えた。
「あぅ、そんなとこダメですよ。汚いです……」
「大丈夫、皮剥いてないからさ。」
バナナ一本など容易にディアの秘所は飲み込んで見せた。もちろん、唾液が滑りやすくしてくれているからこうして容易に入れ込むことができたわけではあるが。
改めてここまでくると自分の愛情というものの歪みを感じざる得ない。しかし、そんな罪悪感に囚われていられるほど暇ではない。
黄色い物体を引っ張りあげると、ディアの足の愛だから徐々に顔を出し始める。
水面からようやく上がってきたバナナには悪いが、すぐにまた深い海に俺は沈める。
「変ですよ、こんなの……」
「我慢しなくていいぞ。ただ、解凍できないかもなぁ。」
「分かりましたよ、早くしてください……」
生意気にもそんなこと言う余裕があるとは少しディアをなめていたのかもしれない。
それならばと、ゆっくり運動させた一度目よりは速度をつけてバナナを俺は動かしだした。
初めての異物を受け入れられるほどの体は持っていても、やはり頭脳がついていかないようでディアはおかしいですよと愚痴をこぼし続ける。
まだ、普通に言語を発することはできるようだが、少しずつ快楽というものに飲まれだして、息を変に漏らしたり少し音程の違う声を上げる。
その乱れはバナナの速度に比例していく。変に動かしすぎると、ディアの感覚が変になるかと心配したが体のつくりはちゃんとできているということで、快楽を味わえているようだ。
さらにバナナも何度も水中に体を潜めるせいか、毎回出るごとに濡れて体を出しては再び消えていく。
彼女の体は快楽を覚え、体は分泌しているようだ。もちろん、本人はそんなこと意図していないし理解すらしていないのだが。
「あんっ、ひゃめてくだ……もういいでしょ……」
「良くないんじゃないか?ほら、気持ちいいだろ?」
「気持ちいい……?ひぇんですよ、ますたー。私、わからないです……」
それでも俺のことを悪いと批判しないあたり、やはり何をされているか理解していない子供と同じである。
体が大人でも、これがどういったのか行為か認識していないのだから、正しく体が正直だというやつだ。
もちろん、これを機会に気持ちいいとかそういうことを言えばおそらく彼女はそういう風に認識するのだろう。
「こんなに濡れて、えっちじゃないか、ディア。」
「えっちってにゃんですか?わかりませんよ……もう、へんです、わたし、だめ……。」
そういうと大きく悲鳴を上げて体を揺さぶった。直撃したバナナは正しく、水中から釣り上げられた魚のような有様だ。
一通りを終えて満足した俺はバナナをディアから引き離すと、ディアは床に寝そべった。
走り疲れた犬のようにフーフーと舌を出して息を整えることに専念している。
「何したんですか?マスター。」
「別にこれといって、それよりもチョコバナナ食べるんだろ?」
「答えてください、えっちってなんですか?」
ろくでもないことを教えてしまったと後悔した。変に片足だけ突っ込ませるようなことをするから、ディアは全身で浸ってしまったようだ。
「忘れろ、あれは何もなかったんだよ。」
「分かりました、家焼きますね。」
「そういう脅しはよくないとこの前教えただろう。そんなこと言っても何も買わないと言ったじゃないか。」
ディアは起き上がると、ふぅと息を吹いた。その息は確かに目に見えたかのようでオレンジ色をしていた。
冷え込んで見えるような白い息とは真逆の存在、本気で火を吹き出す気があるのかもしれない。
たまに不機嫌になるということを聞かなくなるのが子供、それも可愛いと思っていた今日この日までは。
そこから俺は口を割られさせられることになる。その話を聞いたディアは顔を赤くして馬鹿と怒鳴った。
流石に恋だとか、そういう単語ぐらいは知っているのだからどういう行為なのかの説明はできないことはなかったし、わからない単語は教えれば物覚えのいい彼女は覚えてくれる。
だから、そういうことが恥ずかしいことだとかちゃんと真面目に押してると感情を持つ彼女はちゃんと見合った反応を示したのだ。
「人の体で遊ばないでください!そういう、男の人は変態なんでしょう?よくないですよ、そんなので私のことをえっちだなんて……」
「わかった、悪かった。俺が悪かった、直ぐに作ってやるから。」
「いらないです。だからマスターも恥ずかしいことしてください。等価交換です、だめなら家焼きます。」
「難しい言葉を知ってるじゃないか、感心する。」
「誤魔化さないで、さっさと脱いでください。私を電子レンジなんて皮肉ですか?」
下がる気がない姿勢に俺は従わざる得ない。なんという強制力なのだろうか、飼い犬に手を噛まれるとかいうレベルは超えている。
そんな姿を見てもディアは恥ずかしいとかは思っていないようで、むしろ興味の方が強いらしい。
そもそも、裸を見ることがどうだとかそういう性的なことは教育してないのだから無理もないだろう。
へぇというだけでじろじろと見ている。恥さらしのつもりならさっさと開放して欲しい。
すたすたと歩きよって、彼女にしては珍しく大きく飛びかかってきた。
最初のことは大型犬みたいによくやっていたが、いろいろ勉強していくうちに生活習慣はガラッと変わってしまった。
久々に全身で感じるディアの毛並みに変わってないとある意味では安心を覚えた。
何度か抱き寄せたこともあったが、そのときは何も分かっていないようで不思議そうにしていた頃が懐かしい。
あの時と変わらないこの毛並み、何かに似ているようでどれとも違う、ディアとしてウインディとしての毛並み。
「それで、ここからどうすればいいんですか?」
「別に言われた通りに再現しなくてもいいわけだが。」
笑顔で燃やしますよと、笑えない冗談である。なんだか変に今日は強情であるが、次はどうしたらいいとか行っている方も恥ずかしくなることがわからないのだろう。
こういう時だけは無知が憎い。そもそも色々記憶した状態で作り出してしまえば、記憶能力の確かめ用がなくなるからブランクで造らざる得なかったとは言えこういう時に説明がいるのは困る。
「それで、舐めればいいんですか?」
言ってる方も気分が気分なのであぁと適当に流した。飼い犬が飼い主を踏み倒して上から見下ろしているというのをディアはどう思っているのだろうか。
そもそも、そういう概念で育てていないのだからどちらが上だとか決め付けて生活を送ってはいない。
勝手に、俺のことを主人だと認識するようになったのはディアの頭脳であって、それに従って下に出ていただけかもしれない。
動いたら焼きますからねとディアは念を押すと頭を下げていく。そして走る、下半身に暖かい感触。
両足を横に前足で押さえつけてディアは俺の下半身を完全に捕らえる。
炎を吐き出せるのだから、心理的に熱いものだと錯覚していたが、やはりここもちゃんと火傷がする程熱い舌ではないようだ。
ちゃんと人間に害のない体温になるように合わせて生み出したのは、自分自身であるのに自信を持ちきれていなかったとは情けない話である。
人肌よりもやや高めに設定はしたが、問題ない温度である。雑というよりも、我武者羅にディアは舐め回している。
普段の食事でもそういうことは行儀が悪いと教えてきただけであって、舐めるというスキルは高くはないが舌の柔らかさの精密な出来具合でカバーが効いている。
正直な意見は気持ちいいである。ディアは表情的にはいつもと変わらず平常心で、覚めた表情だが生物的本能が働いているのか積極的である。
本能的な面は流石にインプットしている。腹が減ってもそれがわからなくて餓死したとか、そういうのは失敗以外の何でもないし生命というのにはなにか欠いた存在になってしまう。
だから、色々と感覚的な部分はそれなりにいじってはあるがこういうことまで繊細にプログラミングしたかは記憶にない。
「いいんですか?」
「悪くはないかな……」
「そうですか、それならいいんですけど。」
そっけない返事にディアは不満なようで、目は依然と真剣なのか鋭い。変に物事を追求するとは言え、学習能力を身につけさせたことがここまで問題になるとは思わなかった。
この一連の動作を通していろいろと学習したようで、ディアはとうとう口の中で咥えたのだ。
変にバナナなんて咥えさせて遊ぶからこうなってしまったのだとある意味自業自得である。やめろと言っても、耳をピクピクと動かして聞いているのに聞く耳持たずとディアは離す気はないようだ。
熱いと表現するよりは、やはり暖かいと書いたほうが妥当だろう。口の中で舌が俺のを絡みとってくる。
上下に動かすことも然ることながら、舌の微妙なざらつきに擦られ感覚が麻痺してくる。
ここまでこれば犬といよりもやはり動作は人間に近い。姿は動物でもやはり中身は限りなく人間として出来上がっている。
はぅと勢いづけて飲み込むディアの必死さは顔の表情からは伺えないものの、そういう表情が彼女らしさでいいのかもしれない。
口元を通過しては中で舌に擦られ、そして吐き出される時に再度口でこすられる。
これにどうやって耐えろというのだろうかというのが、導き出された答えで俺の表情は苦しいものとなっていく。
ディアはそれを見て、さっきの自分と近しいものを読み取る。これでいいんだと内心で確信を抱いていた。
俺のは生ぬるい液体をディアから塗りこまれているのにも関わらず、我慢できずに分泌を続ける。
ヌルヌルとした二種の液体によって俺のはコーティングされていきながらも、ディアはまだ収まらずに続ける。
前足でしっかりと両足を押さえたまま、解放されることのない俺のはとうとう限界を超える。
さっきまでの透明な液体とは違って、白い濃い液体をディアの口の中で突然吹き出したものだからすこしディアも驚いていたようだ。
「これが精液ですか、あまり美味しくないですね。チョコレートのほうがいいです。」
「だから言ったじゃないか。」
「鈍いです、馬鹿。」
「こらこら馬鹿と言ったほうが馬鹿だと教えただろう。」
「抱きついたりはしませんよ、そういうの恥ずかしいってことぐらいはわかってますから。」
「いいよ、再現しなくてもいいから。」
何が言いたいのかつかめずに言ってから気がつかされることになる。ディアははぁとうんざりしている。
こういうことはそういう仲の者同士がやることだともちゃんと説明した、だからやめておけと釘を刺した。
それでも続けるディアは好奇心だけに駆られているのだと、子供なんだとどこかで見くびっていた。愛情表現が抱きつくだなんて、彼女にはある意味重すぎたのかもしれない。
だからあんな風に、遠まわしにしか言えないのだ。控えめでわかりにくいだけでなくここまで素直でわかりにくい性格にいつの間に育ったのか。
ディアなりに、心境は複雑で混沌としているからこそ躊躇いがあってはっきり言えないのかもしれない。
いつから彼女は愛しいという感情を覚えたのだろうか。


何がしたいのか、それは自分にもわかりませんとか毎回のことですよね。


何かありましたら

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 無知なのをいいことに悪戯したらなんなのか問い詰められて仕返しされちゃったパターンですね(
    このマスターの失敗は相手が本気を出したら制御できなくなるウインディだったことでしょう。
    そろそろもふもふが恋しい季節。このマスターも寒い日は抱きついたりしない程度に体を寄せ合うくらいはさせてもらえるといいですね。
    ――カゲフミ 2012-11-10 (土) 23:28:00
  • >カゲフミさん
    変にバナナ使おうと思ったらこうするしかないじゃないかと思って、勝手に好きな展開に運んでました(
    結局は雄が受けに回るのが展開的には好きなんですよねー
    季節的にもふもふ欲しいです、手段は問わないので暖めて欲しいです(

    コメントありがとうございましたー
    ――GALD 2012-11-11 (日) 23:45:34
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Last-modified: 2012-10-30 (火) 00:00:00
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