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ウォータリックエンデバー

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作者:突貫工事のくせして大遅刻をやらかした葉月綿飴

※濡れ場なシーンがあります。ご注意ください。

春という季節は、ポットデスが出し始める桜の匂いから始まるらしい。
そして、ある種のポケモンがなんやかんやで熱くなる季節でもあるらしい。

「…そこまで!勝者、フタチマル!」
「…よっし。対戦、ありがとうございました」
「こちらこそありがとう!いやー、少しの間にまた強くなったね君」
「ありがとうございます、でも俺はまだまだです」
「またまた謙遜しちゃってー」

目の前の対戦相手のザングースさんは、その強面からは想像できないくらいの素朴な笑顔でそう言ってくれた。その顔に緊張した心が解れるのを感じる。

「そいや、これからどうするの?せっかくだからおじさんが何か奢ったげよか?最近いいお店ができてさ、これがまた美味しいんだわ」
「いえ大丈夫です。というか俺もそれなりにポケジョブとかで稼いでるし、奢ってもらうのもなんか申し訳ないし…」
「もー、そうじゃなくてさー」

そう言いつつ笑顔を崩さずに俺の隣にくると、メガホンのような形を作って、

「…ふ、う、ぞ」

考えるより先にホタチが動いた。が、切っ先が白いネコイタチを捕らえる事はなかった。
これだから動けるデブは。

「…セクハラやめてくださいって前にも言いませんでしたっけ」
「うほー、いい殺意と赤面だねぇ。その様子だと一週間以上は溜まってるってところかな?」
「股間触りながら言うなうるさい黙れエロじじい」
「なるほど図星ってわけね。でもおじさんはただ単に心配なだけなんだよ、その様子だとまだ童貞捨てきれてないんじゃない?フタチマルくんと同年代はもう彼女見つけてやることヤッちゃってるのもそれなりにいるって聞くからさ」
「…余計なお世話です!」
「さしずめフタチマルくんのプライドがイケナイコトをするのを拒否って…オーケー、わかったからその本気で殺すって言わんばかりの目を止めてくれないかな、いやほんとごめん」

…下ネタを話さえしなければとても優しくて、強くて、慕えるのだけれど。
とはいえ、悲しいことに事実ではあるのだ。
年頃のポケモンであるならば、必ず誰もが抱くであろう…そういう行為をしたい、という願望。それは俺自身も例外ではない。が、見事に見透かされている通り、俺のプライドのようなものがそれを忌避してやまない。汚いものだとか修行の邪魔だとかそういう思念が度々横切る。
…でも、結局は諦念と恥ずかしさ、なんだと思う。
幼いミジュマルのときはカワイイだのなんだのと言われていたが、進化してからは修行…バトルに割く時間の割合が多くなったせいで正直自分自身が魅力的だと思えない。
あとなんと言っても恥ずかしすぎて余裕で死ねる。
…ということを前にザングースさんに打ち明けたところ、

「え?そーでもないよ?程よい童顔を残しつつも強さを求めてひたすら励むそのギャップ萌えはだいぶ需要あると思うし、なんならおじさんもたまに食べたくなっちゃ…ああいや今のは嘘、冗談だから気にしないでいーよー」

この際食べるがどういう意味かはスルーすることにした。多分ろくな意味じゃない。

「…それで今あの子はどう?元気にしてる?」
「ああ、ピカチュウですか。ちょっとうざいくらいには。おかげ様で。」
「ああそうなの、良かったぁ。あの子にもよろしく言っといてもらえるかな?はいこれ、あの子の好きなポフレ」
「わざわざ有難うございます。きっとあいつも喜ぶと思いますよ。それじゃ」
「うん、お疲れ様ー。あ、あと一つ」
「…?なんですか」
「いつでも卒業したいと思ったら連絡くれてごふぁ」
…さて、帰ろう。
ジムから俺たちの住む家にまっすぐと帰った。



「ただいまー」
「おっかえりぃお兄ちゃん、ご飯にする?それともお風呂にする?それともワ・タ…」
「いやそういうのいいから。」
「ちぇー。ボクなりにお兄ちゃんの事労ってるのに、つれないんだからぁ。」
「…まあ気持ちはありがたく受け取っておくけど、それだけじゃないだろ絶対」
「いーやぜーんぜん。お兄ちゃんがこの前異性のポケモンに友だちから始めようとして告白しようとした結果言葉が出ずに玉砕したことなんか全然知らないんだから」
「知ってんじゃねえか!というか、失敗した本人の前で事細かに話すなクッソ恥ずかしいじゃんか!?鬼か?オニゴーリかお前?」
「ボクのことをムラムラしている害悪みたいなこと言わないでよ、オニゴーリに失礼だよ?」
「どっちがオニゴーリに失礼なんだか…」

そう他愛もない会話をしながら風呂に入る準備をする。俺を兄と呼んでくるこのピカチュウは、種族こそ違えど家族として長く過ごしてきた。だからその分の絆も深い、と思うんだけど…

「あ、お風呂はもう沸いてるからそのままドボンしちゃっていいよ~」
「ん、助かる、あんがと。そういやそこの袋にあるの、お前の大好きなポフレ」
「うっはーマジじゃーん!気が利かないお兄ちゃんにしては妙だからー…さしずめザングースさんあたり?ありがとうって言っといてー」
「はいはい、伝えとくよ」

湯船のお湯は果たして熱々だった。お風呂はこういうのに限る。

「ふぃー…きもちいー…」

疲れが溶け出す感覚を味わうと同時に、思考が解される気もする。
…ジムでのザングースさんとの会話が脳内でリフレインされる。

(…風俗、かあ)

正直、その言葉を初めて聞くまで自分にはソンナ事とは無縁だと思っていた。具体的には、
『最終進化するまで自分のイケナイ事と向き合うことなんてない!修行一筋で生きていくんだ!』
(…なんて、思っていたけれど)
現実はそう上手く(?)行くはずもなかった。
頭では否定してても、心の片隅で性的なことが燻ってしまう。
ザングースさんはそんな自分のことを「健全な成長」であると言っていた。でもそれが自分にはあまり信じられなくて。
一生懸命頭では考えないようにしても、成長途中の体ではどうしても性欲は溜まってくる。
だから仕方なく手で慰めることにした。今はまだそれで抑えることができているが、もし誰かと交尾をしたくてたまらなくなったら…?そう考えると何故か胸の奥が寂しくなる。
自身の性的欲求に素直になろうとすると、それはそれでプライドが邪魔をしてくる。ザングースさんは交尾をすることを「オトナの遊びでもあるんだよ」と言っていた。しかし、正直今でもそれが本当だとは思えないし、交尾の場面を想像するだけで今度は顔と胸の奥が熱くなる錯覚を覚える。
兎にも角にも、
『お前が交尾するのは早いんだよ!好きなポケモンと付き合ってからだ!!』
…とまあそんなミジュマルでも持たなさそうなちゃちいプライドが邪魔をしてきて離れないのだ。

「…オトナになることって、なんだろうな」

自然とそう口から零れていた。
フタチマルに進化したときはこれ以上なく嬉しかったのを覚えている。そしてこのまま頑張り続ければ、立派なダイケンキになれるのだ。そう思っていた。ついこの前までは。
でも、自分の身体にはどうやら進化以外にも変化はたしかにあったのだ。
結局のところ、それに心がついていけてない、ということを俺自身が否定したいだけなのかもしれない。とどのつまり俺のメンタルはダイケンキになるには遠すぎる。
そう考えると尚更寂しくなって来る。
…いや、自分の身体が自分のではなくなっていくような錯覚が怖くて、さみしくて、耐えられないだけなのかもしれない。
それでも結論は一緒になってしまうのだが。

まだある。ピカチュウについてだ。
最近になって、異様にスキンシップが増えた…気がする。顔が近かったり、ふとした拍子に密着されたり…とにかくベタベタされることが多くなったのである。
何かしただろうか、そう思って聞いても
『んーん?なんでもないよ?』
といって毎度のようにはぐらかされる。隠し事をされるとそれはそれで不安になる。


「………?」

ふとおもむろに違和感を感じて下半身を見やると、それは見事に自分の薄紅色の肉棒が屹立していた。
身体は正直であるとはよく言ったものだ。
前にザングースにその手のポスターを見せてもらったときも、アシレーヌのそれは扇情的な表情と大きく膨らんだ胸をギリギリ見えるか見えないかで隠していたポーズに、あっという間に俺の雄は白旗を上げてしまったのだった。

「…のぼせたかな」
寝る前に抜くものさっさと抜いてしまって寝よう、そう決意した。
風呂場の外に出ると。

「おにーちゃーんっ」
「うお、どうしたんだよいきなり。急に抱きつかれても困るんだけど」
「んーん、なんでもないよ。でもね」
「…え」

なにをするきだ、と言おうとして口から出ることはなかった。
バチッ、と僅かに、それでも確かに身体中を駆け巡る電流。
(せいでん、)
き、と知覚する瞬間、俺の意識は落ちた。


……………。どれくらい、たったのだろうか。

ふと、下半身に違和感を感じて目を開ける。そこには。
俺の肉棒を口に含んで、ちゅぱちゅぱと音をたてて尺八をするピカチュウの姿がそこにあった。

「…!?おま…」
何してるんだ、と言葉を紡ごうとしたが上手く口にできない。
どうやらまだ麻痺が残ってるようだ。

「…ぷは。お兄ちゃんおはよう。目が覚めた?」
「…なん、の、」
「『つもりでこんなことをしてるんだ、でしょ?』そんなの決まってる、ボクがお兄ちゃんの童貞をもらうんだよ」
「…な」

割と本気で意味が分からない。というか、ピカチュウがそんな事を考えていたなんて。

「…だれ、か、に」
「見られるわけないじゃん。だって今までだって、そんで多分これからもこの家は僕たち兄弟だけでしょ?」

…事実である。
実のところ、俺…フタチマルとピカチュウは血が繋がっていない。
ともすれば物心がついたときから、お互い親すらもいない。故に俺には愛情がよくわからない。
でも、俺はピカチュウとこんな関係になるのは。

「…ね、お兄ちゃん」

そう思っている間にも、すっかり俺の肉棒を弄んで、質量と硬度を高めさせて、そそり立たせた主犯格が話しかけてくる。

「…ごめんね」
「…!」
「こんな事をするのはやっぱり嫌だよね。それはボクもよくわかってる。でも…」

ピカチュウはいつの間にか笑いながら目に涙を浮かべて、

「…ボク、お兄ちゃんのことが好き。大好きなんだ、とっても…」
「………。」
「これがとんでもなくエゴの押しつけだってことはわかってるよ。だからお兄ちゃんが嫌ならそれでいいよ。多分麻痺はそろそろ解ける頃だと思うから…。でも、もしお兄ちゃんが受け入れてくれるなら…。」

確かに、そろそろ身体が自由に動かせるようだ。
やろうと思えば、すぐに起き上がってピカチュウを押しのけることはできそうだ。
………。
でもそれでいいのだろうか。
最近妙にスキンシップが増えたのはそういうことだったのか。
ピカチュウはオスなのに、と喚く心がある。
『兄』として応えてやるべき、ダイケンキみたいなのをめざすならば、と訴える声もある。
…もし、今よりも深い関係になれるのなら…もっと強い絆で結ばれるのなら…

俺は力を抜いて楽にすることにした。

「…お兄ちゃん!?」
「…別に…お前からの好意を…あまり無下にはしたくない…だけだから」
「…素直じゃないんだね」
「うっさい。…俺も、好き、だ。ピカチュウのこと」
「…うん。大好きだよ、お兄ちゃん」

正直、これでいいのかはわからない。
でも、不思議と後悔はないような…きがする。…卒業したかったからのもちょびっとあるのかもしれない。
そう思いながら覆いかぶさるピカチュウを受け入れた。
目の前の電気ネズミの舌は、思ったよりも柔らかくて甘い。


「…あはは…お兄ちゃん、もうギンギンに固くして先走りまで出しちゃってるの。ほんとウブなんだから」
「…うるせ。ウブなのはお前もだろ」
「えへへ。…お兄ちゃんほら見て、ボクもう待ちきれないよ」

こっちを向いたピカチュウの唇から糸を引く唾液が、埋めてもらえるのを待ちわびてヒクヒクと動く後孔が、チョコンと立ったうすピンク色の可愛らしい避雷針が、その全てがてらてらと光って正直エロい。

お互い十分に臨戦態勢に入っていた。



「じゃ、入れるね」
「…ん。無理すんなよ」

仰向けになったフタチマルの上にピカチュウが乗る格好の騎乗位。
それが初めての舞台らしい。

「…ぅん…」

そうして俺の初物槍は、肉を割ってピカチュウの中に侵入し始める。
いや、むしろピカチュウの肉壺が飲み込もうとしているのか。

「…っつ」

やはりいくらか慣らしてもピカチュウは処女であるがゆえに少しきついらしい。

「…大丈夫、か?一旦抜いても」
「…だい、じょうぶ…お兄ちゃんの、おっきくて、いい…それより、どう?ボクの中」
「…正直あったかいのに包まれてて、やばい…っ」

ピストンの前にもう出してしまいそうだ。
しかし修行のせいしんりょくでなんとか耐える。

「見て見て…全部入ったよ、お兄ちゃんの物。動くね」

そう恍惚とした表情を浮かべながら言うピカチュウの顔から視線を下にやると、正面にみえるのは俺の肉棒ではなくピカチュウのカワイイムスコ。
ぴったりとくっついて、根本まで入りきったという視覚と感覚のダブルパンチでまた崖っぷちに追い込まれそうになる。
そうして初めて同士の、拙いけど愛情は確かな交尾が始まった。



毛皮同士がぶつかって、ぽふぽふとかぽんぽんとかの気の抜けるような音が響いている。しかしフタチマルが受容する快楽は確かなもので、できることは目をつぶりひたすら送り込まれる快楽に耐えることだけだった。
ピカチュウも初めてなので技巧は未熟であるはずだが、慕っていた弟を犯しているという燦然とした事実のせいか、あるいはフタチマル自身が喜びを感じているせいか。
なんにせよフタチマルにとっての初めては、肉同士の交わりに依る快楽だけでは表現できない、胸の奥からくるときめきもが、その性感を何倍にも高めて、フタチマルに降り注ぐのだ。

一方でピカチュウは、一生懸命歯を食いしばるフタチマルの顔を見て、ご満悦だった。
兄が自分の中で気持ちよくなってくれている、ヨガってくれている。
そして半分強引に初めたのにも関わらず、それを受け入れて初めてを自身に捧げてくれたこと。
そのずべてがたまらなく嬉しかった。
だから自然と大きく身体を上下させる。

「はあ…はあ…このままお兄ちゃんの童貞、ボクが貰っちゃうね…?」
(………。)

甘露の中でもフタチマルのプライドはしつこく訴えた。
このままピカチュウにリードされ続けていいのか、と。
だからフタチマルは、

「………っ!」

本能に従って腰を突き上げた。

「…んぅ…っ!?あ…あ…」

途端、動きを止めてピクピクと震えだすピカチュウ。
きゅうしょに あたった ようだ。
フタチマルはニヤリと笑って、今から自分のターンだと言わんばかりに連続で突き上げる。

さっきと打って変わって嬌声を上げながら乱れるピカチュウ。
その様子はフタチマルを満足させるのに十分だった。兄弟なら一緒に気持ちよくならなければ。
しかしそれはフタチマルにとっても同じことだった。
ピカチュウがよがる分、腸壁の締りがきつくなる。
その上突き上げた分の衝撃が肉壁との擦れに上乗せされる。
ピカチュウを気持ちよくさせるはずが、自分自身にも反射して返ってくる諸刃の剣。
そうして千重波の如く、二匹の肉体は共鳴し、弾けて、響き合って、快楽の波は二匹を渦巻いて、二匹にかぶさって離れようとしない。
二匹はすでに最高潮であった。


「…ぁ、おにい、いっちゃ、ぅぁ…!」

最初に限界を迎えたのはピカチュウだった。
ひときわ大きく身体が震えると、びゅくりと精を吐き出した。
とろりとした精が落ちて、フタチマルの下腹部に着弾する。


「…っ!出る…っ!」

それをトリガーにしてフタチマルも達する。
本能のままにピカチュウの体を掴んで、股間部に押し付け、全てを注ぎ込まんと無心になって白濁を注ぎ込んで遡上させる。
ちょっとも残さないように。持てる欲望も、愛情も、全てを。

そしてピカチュウは、身体を震わせながら、自身の中に貯まる暖かさと水っぽい感触にまた多幸感を覚えた。
そうして絶頂と余韻は長く続いた。




「…そこまで!勝者、フタチマル!」
「いよし、勝てた!対戦、ありがとうございました!」
「うへぇー、ありがとうだけどまた強くなってるよぉフタチマル君…もうおじさんついていけないよぉ~」
「またまた。そういうのも本当上手いんですから。」
「いや割とガチで言ってるんだよ、これ。それよりもなんか…ちょっと気分でも晴れてたりする?もしかして…何か『イイコト』、あったりした?」
「いえ、そうですね…秘密、です」
「そんな~殺生な~~~~」
「お兄ちゃんお疲れー。はいこれモーモーミルク」
「ん、ありがとなピカチュウ。…ん、うまい」
「…目の前で惚気ける兄弟…ぐぬぬ羨ましい…」
そうして、日は過ぎていくのだ。
絆を少しずつ、でも確実に深めていきながら。

終わり


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Last-modified: 2023-06-15 (木) 22:15:30
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