ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語
作者 火車風
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第十一話 リーダーの責任 仲間を思いやるということ
「なんだか、敵が少なくない?」
ソウヤが聞いた。
ソウヤ達はリリーラを連れて四階を目指しているところだった。
「そう言えばそうだよね~・・・。前に一回来たからかな?」
ゴロスケも不思議そうだった。
「でも、その方がリリーラに危険が少ないからいいよ。」
ソウヤは元々あまり戦いが好きな方ではないのだ。
興奮していたり、相手が悪者の時はかなり好戦的なのだが。
「ナマズンは大丈夫でしょうか・・・。」
リリーラは不安そうだ。
早く会いたくてたまらないみたいだ。
「きっと無事だよ。心配しなくても大丈夫だよ。」
ソウヤはリリーラに優しく言った。
根拠はないが、不安がっているリリーラを元気づけようとしたのだ。
「あ、階段だ!これで下に降りれるよ。」
ゴロスケが階段を見つけたようだ。
三人は階段を下りて次の階へと向かった。
一方ソウイチたちは、お尋ね者をやっつけるためにフロア中を探し回っていた。
「なかなかいねえな~・・・。どこにいるんだ?」
ソウイチはきょろきょろと辺りを見回した。
「まさか急に出てきたりしないよね・・・?」
モリゾーはとてもびくびくしていた。
「今さらびびっても仕方ねえだろ?とにかく前進あるのみ!!」
ソウイチはモリゾーの気持ちなどお構いなしにどんどん先へ進んでいった。
「はあ・・・。」
モリゾーはため息をつきながらソウイチの後をついて行った。
「こっちであってるんですか?」
先ほど仲間にしたウパーのヌマオが聞いた。
ちょっと疑わしげな表情をしている。
「オレの直感に間違いはねえよ。」
ソウイチは気にも留めずなおも先へ進み続けた。
すると、そこにはソウイチの言ったとおり階段があったのだ。
「ほらな?」
ソウイチは自慢げにモリゾーのほうを見た。
「すごい・・・。本当に直感が当たるなんて・・・。」
モリゾーはソウイチの直観力にびっくりしていた。
きっとたまたまだとは思うが。
「これがオレの力よ。さ、下に行こうぜ!」
ソウイチたちも、ソウヤの後を追うように階段を下りた。
そしてソウマ達はというと・・・。
「とりあえず一人のシェルダーは五階にいることは分かってるけど、もう一人はどこにいるんだ?三階まで来たのに全然みつからねえな・・・。」
ソウマはため息をついた。
隅々まで探し回ったが、シェルダーが見つからないのだ。
「隠れとんちゃうか?敵に見つかったらこわいけん。」
カメキチが言った。
「でも、隠れてるとしたら、私たちが来たら出てくると思うわよ?」
「あ、言われてみればそうやな~・・・。」
ライナに言われてようやく気づいたカメキチだった。
「とりあえず早めに依頼を片付けて、ソウイチたちのサポートに回れるようにしねえとな。」
ソウマ達は下に降りる階段を探し始めた。
そしてソウヤたちはというと・・・。
「本当にありがとうございました!おかげでリリーラに会うことができました!」
ナマズンはリリーラと会えてうれしそうだ。
「無事でよかったよ。会えてよかったね!」
ソウヤもゴロスケも依頼が成功してすごくうれしそうだ。
なにより、二人の笑顔を見ることが一番うれしかった。
そして二人はお礼を言うと、一足先にギルドに帰っていった。
「じゃあ、僕たちもソウイチたちのサポートに回ろうか。」
ソウヤたちはソウイチたちを探し始めた。
その頃ソウイチたちは、おたずねものを探して西へ東へ歩いていた。
「くそお~!どこにいるんだよ!!」
ソウイチはいらだっていた。
「そんなに焦ったってしょうがないよ・・・。」
モリゾーはソウイチをなだめながらあきれていた。
「んなこと言ったって・・・、ん・・・?」
ソウイチは急に話をやめた。
「おい、あれ、リーシャンじゃねえか?」
ソウイチは小声で話した。
ばれると逃げられてしまうからだ。
「多分そうですね。この辺にリーシャンはいませんから。」
ヌマオもうなずいた。
「よ~し!早速成敗してやるぜ!!」
「あ!ま、待ってソウイチ!」
モリゾーが止めるのも聞かずに、ソウイチは全速力で飛び出していった。
いったい小声で話した意味はなんだったのだろう。
「やっと見つけたぜ!!このオレが成敗してやる!!」
ソウイチはものすごく意気込んでいたが、リーシャンは不気味な笑いを浮かべていた。
「へっ・・・!わなにかかったな!!」
「え・・・?わ、わなって・・・。」
モリゾーが考える前に、周りにポケモンがうじゃうじゃ集まってきた。
「も、モンスターハウスだ!!」
モリゾーは前進から血の気が引いていくような気がした。
「ハッ!!何人いようが、オレがまとめて倒してやるよ!!」
ソウイチは気合い十分だった。
「まずいよ!絶対ソウヤたちを待った方がいいよ!!」
「そうですよ!これは数が多すぎますよ!!」
モリゾーとヌマオはソウイチに忠告したが、ソウイチはいっこうに聞き入れなかった。
そして、無謀にも大勢のポケモンを相手にすることになったのだ。
敵ポケモンは一斉にソウイチたちの方へ襲いかかってきた。
ソウイチはだいもんじで、モリゾーはタネマシンガンで応戦した。
しかし、ここはモンスターハウス。敵の数は予想をはるかに上回り、別の部屋からも敵がやってきてしまい無限ループ状態だった。
「ちきしょお・・・。きりがねえ・・・!!」
ソウイチはPPをほとんど使い果たし、これ以上のバトルは難しかった。
「うう・・・。体が動かない・・・。」
モリゾーもかなりダメージを受けていた。
タネやオレンはもう使い切ってしまい残っていなかった。
ヌマオもすでにぐったりとして動かなくなっていた。
「これでとどめだ!!」
リーシャンが突っ込んできた。
やられると思ったとき、ソウヤとゴロスケが二人を見つけて戦闘に加わった。
「モリゾー、大丈夫かい?ここは僕が引き受けるからモリゾーは休んでて!」
「無茶しすぎだよ!すこしはパートナーのことも考えなよ。僕たちが何とかするから、ソウイチはここにいて。」
ソウヤとゴロスケは二人を気遣い、勇敢にも大勢の敵を相手に飛び出していった。
最初は二人が優勢に見えたが、だんだんとPPが消耗し、そして悪いことに、さっきよりさらに敵が増えていった。
しかも、ベトベターのはき出した毒に二人ともおかされてしまったのだ。
そのせいで体力が限界を超え、二人は倒れてしまった。
「ソウヤ!ゴロスケ!」
ソウイチの体は考える前に先に動いていた。
このままでは二人が重傷を負いかねない、そう思ったソウイチは二人をかばいに入ったのだった。
敵の攻撃はなおもやまず、ソウイチももう限界だった。
「(オレ、このまま死ぬのか・・・?こんなところで、死ぬのか・・・?)」
ソウイチはもうろうとした意識の中でそう思った。
「これで終わりだ!!みんなかかれええ~!!!」
敵がソウイチたちにとどめをさそうとしたそのとき、あたりを大きな炎が包んだ。
ソウマ達が心配して戻ってきたのだった。
「(あ、アニキ・・・。)」
そこで、ソウイチの意識はとぎれた。
気がつくと、ソウイチはギルドの部屋に寝かされていた。。
横では、モリゾーたちが静かに眠っていた。
「気がついたみたいだな。」
ふと見上げると、目の前にはソウマが立っていた。
いつになく厳しい顔つきでソウイチを見ている。
「あ、アニキ・・・。オレ、いったい・・・。」
「この大バカ野郎!!!」
ものすごい怒鳴り声が辺り一面に響き渡った。
ソウイチはそのままの姿勢で固まってしまった。
「仲間をあんな目にあわせるなんて何考えてんだ!!オレ達が偶然見つけたから良かったものの、もしオレ達が来なかったら今頃どうなってたと思ってんだ!!!」
ソウマはものすごい剣幕でソウイチをしかりつけた。
こんなに激しく怒るソウマは初めてだった。
「だ、だって・・・。」
「だってもあさってもあるか!!他のみんなはお前を気遣ってたのに、お前は敵を倒すことばっかり考えて、ちっとも仲間のことを考えてなかっただろうが!!それでもアドバンズのリーダーか!!」」
ソウイチは何も言い返すことができなかった。
「仲間のことを考えられねえようなやつは、リーダーでもアドバンズのメンバーでもねえ!!!自分の判断がどれだけ甘かったか、よく考えろ!!!」
そう言い放って、ソウマは部屋を出て行った。
ソウイチはその場で呆然としていた。
ソウマに言われた言葉がものすごく胸をえぐったからだ。
モリゾーやヌマオに無茶だと言われながらも、大勢の敵を相手にしてしまい、その結果Aメンバー全滅という結果を招いてしまったのだ。
ソウイチの目からは、一筋の涙がこぼれた。悔し涙でもあり、悲しみの涙でもあった。
今回は、心の底から自分勝手な判断をしたことを悔やんだ。
「ううう・・・。」
ソウイチが泣いていると、ソウヤたちが目を覚ました。
「そ、ソウイチ?どうしたの、なんで泣いてるの?」
モリゾーは心配そうに聞いた。
「モリゾー・・・。みんなも気がついたのか・・・。」
「なにかあったの?泣いてるなんてソウイチらしくないよ・・・。」
ソウヤも不安そうな顔だった。
「みんな、すまねえ・・・!オレが自分勝手な判断して、みんなを危険な目にあわせちまった・・・。ほんとに・・・、ほんとにすまねえ!!」
ソウイチは泣きながら土下座して謝った。
みんなは何が起こったのかまったく理解できないでいた。
「ちょ、ちょっと!どうしたのさ!?」
みんなは混乱した。
泣いて謝るソウイチなど見たことなかったからだ。
「オレは、リーダー失格だ・・・!もっと、みんなのこと考えてやれてたら、あそこでやられずにすんだんだ・・・。オレ、オレ・・・。」
ソウイチはなおも泣き続けていた。
みんなはその姿を見ていたたまれなくなった。
「ソウイチ、もう泣かないで。オイラはもう気にしてないからさ。」
モリゾーは優しく声をかけた。
「今回は仕方ないよ。あそこまで敵が増えるとは僕たちだって思わなかったもの。」
ゴロスケも言った。
「それに、ソウイチの自分勝手につきあわされるのは毎度毎度のことだからなれてるよ。」
ソウヤもにかっと笑った。
「じゃあ、許してくれるのか・・・?」
「もちろん!だから泣かないで。明日からまたがんばろう!」
モリゾーは笑顔で言った。
ソウイチは心からみんなに感謝した。
普段はいろいろ言われながらも、やっぱりみんなソウイチのことを信頼しているのだ。
そしてソウイチも、仲間のことがとても大事で、大好きなのだ。
「どうやら目が覚めたようだな。」
みんなが後ろを振り返ると、そこにはペラップが立っていた。
「しかし、ソウイチの無鉄砲さにはあきれたよ。今回は罰として全員晩御飯抜きだ。」
「ええええ!?」
「おだまり!!依頼を失敗しておいて言える立場かい?連帯責任だよ連帯責任!!明日からは失敗しないようにがんばること!以上!!」
それだけ言うと、ペラップは部屋を出て行った。
「そ、そんなのありかよ~・・・。」
今回はみんなソウイチの意見に賛成だった。
そしてその後、ソウイチはソウマのいるところへ行った。
幸いにも、ソウマは一人だった。
「あ、アニキ・・・。」
「どうした?なんか用か?」
「頼む!!オレに、もう一度リーダーをやらせてくれ!もう二度と仲間をあんな目にあわせたりしねえって誓う!!だから・・・、頼む!!」
ソウイチは必死でソウマに頼んだ。
ソウマは頭を下げるソウイチの様子をじっと見つめていた。
「分かったんならもういい。次からはちゃんと仲間のことも考えろよ。先陣切って引っ張るのはいいけど、あんまりワンマンになりすぎて冷静さを失うな。いいな?」
ソウマはソウイチの目を見ながら言い聞かせるように言った。
もう怒ってはいないようだ。
「じゃ、じゃあ・・・、許してくれるのか?」
「過ぎたことでくよくよしてもしょうがねえさ。でも、同じ失敗は二度とするなよ。」
そう言うと、ソウマは笑顔になった。
「ああ!今度こそあいつを倒してやるさ!!」
ソウイチはいつもの元気を取り戻した。
「あ、そういえばよ、アニキ達も晩飯抜きなのか?」
ふと何気なく聞いてみたソウイチだったが・・・。
「え?そんな話は聞いてないぞ?」
「ってことは・・・。飯抜きはオレ達だけか~!!」
ソウイチはその場でがっくりとうなだれた。
「腹減った~・・・。」
それを象徴するかのように、ソウイチのお腹もぐぐ~っと鳴った。
「晩御飯食べれないのはきついね・・・。」
ソウヤもかなりおなかがすいているのか、お腹のあたりを手で押さえている。
「ホント迷惑かけてごめんな・・・。オレのせいで・・・。」
みんなに許してもらったとはいえ、ソウイチはまだ昨日言われたことが忘れられなかった。
「しかたないよ。とにかく、元気出していこう!」
モリゾーとゴロスケはソウイチを励ました。
「だよな・・・。よっしゃ!今日こそあの神社鐘野郎を倒してやるぜ!!」
励ましのおかげで、いつものソウイチに戻ったようだ。
しかし、さすがに空腹は癒えないため、ガルーラの倉庫から預けていたリンゴを何個か引き出し、おやつ代わりに食べることにした。
もちろん、他のメンバーには内緒だ。
「自分の道具を食べたってバチはあたらねえよな。」
ソウイチはリンゴをむしゃむしゃと食べながら言った。
「多分そうだと思うけどね。」
ソウヤもぱくぱくと木の実をほおばっている。
それから数十分後、食べ終えたみんなは再びリーシャンを倒すためにたきつぼのどうくつへ向かった。
今回はソウマ達が別の依頼でいないため、四人だけで行くことになる。
ソウイチは、今度こそ仲間を死にそうな目にはあわせないと心に誓った。
ソウマとの約束でもあり、自分との約束でもあるからだ。
「さ~て、あの鐘野郎はどこだ・・・?」
目を皿のようにして辺りを見回すソウイチ。
しかしリーシャンはおろか敵の姿もまったく見えない。
「変だなあ・・・。敵が全然いないや・・・。」
ゴロスケもソウヤも不思議そうだ。
「とりあえず、前にリーシャンがいた階まで行ってみようよ。」
みんなはモリゾーの提案に賛成し、ひたすら下へ降り続けた。
そして、ようやくリーシャンがいると思われる階へとたどり着いた。
リーシャンは前にいたところと同じ部屋にいた。
「またお前たちか!!今度もこいつらにやられてしまえ!!」
リーシャンはまたポケモン達を一室に集めモンスターハウスにしてしまった。
しかし、ソウイチたちはいっこうに動じる様子がなかった。
「お前ら、用意はいいか?」
ソウイチは三人のほうを見た。
「もちろん!」
「いつでもいいよ!」
「今度こそ成功させるよ!」
みんな準備万端だ。
「かかれええ!!」
リーシャンの掛け声で敵ポケモン達が一斉に襲いかかってきた。
「今だ!!」
ソウイチが合図すると、みんなは四方へ散らばった。
そして、敵ポケモン達がソウイチに突っ込んでくると同時に、爆音とともに大爆発が起こった。
あたりに土煙がもうもうと立ち上り、リーシャンは何がどうなっているのか理解できなかった。
視界が晴れると、リーシャンの目に飛び込んできたのは倒れた敵ポケモン達だった。
「ば、バカな!!あれだけの数を一瞬で・・・。」
「これがオレ達の作戦だ。しかしこうも威力が高いとは思わなかったぜ。」
ソウイチは余裕たっぷりだった。
「お前!いったい何をした!!」
「ばくれつのタネを使ったのさ。それもたくさんな。」
普段はまったく使うことのないばくれつのタネが思わぬところで役に立ったようだ。
「残るはお前だけだ!今度こそ覚悟しろ!!」
ソウヤはリーシャンをにらみつけた。
「絶対に負けないぞ!!」
モリゾーとゴロスケも気合い十分。
4対1で明らかにこっちの方が有利、負ける要素はどこにもない。
「ふん!今度も勝つのはこっちだ!!」
すると、リーシャンの目の色が突然変わった。
「(あれは・・・。まずいぞ!!)みんな、あいつの目を見るんじゃねえ!!」
ソウイチの声で、ソウヤは目をつぶったものの、モリゾーとゴロスケは目をそらすことができなかった。
そして、二人の目からは光が消え、うつろな状態になった。
「ちっ・・・。遅かったか・・・。」
そう、二人はさいみんじゅつにかかってしまったのだ。
「お前たち!あいつらをたたきのめしてしまえ!!」
リーシャンの号令で、モリゾーとゴロスケはソウイチたちを攻撃し始めた。
「ちょっと!ゴロスケ、どうしちゃったのさ!僕だよ、ソウヤだよ!わからないの!?」
「こいつらは催眠術でリーシャンに操られてる!何言ったって聞こえるわけねえだろうが!!」
ソウイチはソウヤに怒鳴った。
「じゃあどうするのさ!パートナーを傷つけろっていうの!?」
「じゃあどうやって回避すんだよ!!このままじゃ体力がもたねえぞ!!」
「ハハハハ!!いい気味だ!!そのまま仲間同士でつぶし合え!!」
リーシャンは岩の上で、高みの見物といった様子でこの光景を眺めていた。
「あの野郎!!くそお・・・、どうすりゃいいんだよ!!」
ソウイチにはいい考えがなかった。
このまま倒れてしまうしかないのだろうか。
「そうだ!一か八かだけどこんなのはどう?」
ソウヤが何かをソウイチにささやいた。
「それだ!よし、オレはモリゾーを引きつけるから、お前はゴロスケを頼む!!」
そう言うとソウイチはモリゾーの方へ向かっていった。
「チャンスは一回だよ!気をつけてね!!」
ソウヤもゴロスケの方へ向かう。
ソウイチはモリゾーの攻撃を避けつつリーシャンの方へと誘導していった。
しかし、すべての攻撃をよけれるわけもなくソウイチもだいぶダメージを受けていた。
ソウヤの方も、できるだけゴロスケを傷つけまいとしてかなり体力を削っていた。
リーシャンの方は二人の作戦に気づくそぶりもなく、ただただこの戦いを見物していた。
「よし!行くぞ、ソウヤ!!」
「オッケ~!ソウイチ!!」
人はそのままリーシャンの方へ猛ダッシュした。
「ん?あいつらいったい何をする気だ?」
「いっけえ!!」
「おりゃあああああ!!」
二人はリーシャンに向かってかえんほうしゃと十万ボルトを放った。
「ふん!力を合わせたところで倒せると思っているのか?甘い甘い!!」
リーシャンは二人の攻撃を軽々とよけた。
「甘いのはお前だ!!」
「これだけで済むと思うなよ!!」
二人は左右に分かれた。
「なんだと!?」
リーシャンが正面を見ると、そこにはタネマシンガンとみずでっぽうを出しながら突っ込んでくるモリゾーとゴロスケの姿があった。
二人が技を出すタイミングを見計らって左右によけたのだ。
「う、うわああああああ!!!」
ズドーン!!
二人はリーシャンに激突し、そのまま岩の上から転げ落ちた。
「へっ!どうだ!!」
「やったね!ソウイチ!」
「おう!さすがソウヤだぜ!!」
二人は互いにガッツポーズをした。
リーシャンも伸びていたが、さいみんじゅつのせいでモリゾーやゴロスケも目を回していた。
ひどい目にあわせないという誓いはどこへやら。
何はともあれ、リーシャンはその場で御用となった。
「お前たちよくやったな!これで、前回の失敗も帳消しだな。」
朝とは一転して、ペラップは笑顔でみんなをほめた。
「同じ相手に二度もやられるわけにはいかねえよ。」
「でも、捕まえることができて本当によかった。」
みんなとても満足そうだった。
「リーシャンノタイホニ、ゴキョウリョクカンシャシマス!コレハイライノホウシュウデス。ドウゾウケトッテクダサイ。」
ジバコイルはソウイチたちに3000Pを手渡した。
「うわ~、やった~!!これで大金持ちだ~!!」
モリゾーとゴロスケは飛び上がって喜んだ。
「おっと、10分の1はギルドの取り分だよ!お前たちはこれだけだ。」
そう言ってペラップが渡したのは300P。
「ええ~!?またこれだけなの~・・・?」
二人とも不満顔だ。
「修行の身なんだから我慢しな。」
ペラップはお約束の言葉を言うと、プクリンの部屋へといってしまった。
「ほんと、もう少しでいいから増やしてほしいよ・・・。」
わずかなお金を見つめて、切実そうにつぶやく二人であった。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
誤字脱字の報告、感想、アドバイスなどもお待ちしてます。
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