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アドバンズ物語第三十一話

/アドバンズ物語第三十一話

ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語
作者 火車風
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第三十一話 しい仲間チェリー ヌマオとローチの鬼特訓 前編


「う・・・、う~ん・・・。」
いつもより早い時間にソウイチは目が覚めた。
実際ソウイチが早起きするのはかなり珍しい。
そして、あたりを見回してソウマ達がいないことに気付いた。

「あれ?アニキ達はどこ行ったんだ?」
ふと目線を下に落とすと、手紙が置いてあった。

「ん?これは・・・。」
ソウイチは手紙を読んでみた。

[ソウイチへ 依頼がかなりあるので早めに出発することにした。当分の間は、そっちへは帰れないだろう。ソウヤ達のことをしっかり頼む。頑張れよ、リーダー。 ソウマより]

「へっ・・・。んなもん言われなくたってわかってらあ。」
ソウイチはふっと笑った。
窓からは朝日がキラキラと差し込んでいた。
そして朝礼の時も、ソウイチはいつも以上にやる気に満ちていた。

「っしゃあ!今日もバリバリがんばるぜ!!」

「なんか今日のソウイチ、いつもにも増して元気だね。」
みんなもソウイチの変化に気づいたようだ。

「まあな!アニキ達がいねえ間も、俺たちがしっかり頑張らねえとな!」
ソウイチはもう早く依頼に行きたくてうずうずしていた。

「おお、朝から気合が入ってるじゃないか♪感心感心♪」
ペラップもソウイチの様子を見て機嫌を良くした。

「オレだってやる時はやるんだぜ!」
ソウイチはほめられて満面の笑顔になった。

「よしよし♪その調子で今日も一つ・・・。」

「何!?足形が分からないだと!?わからないってどういうことだよ!?」
ペラップの言うことをさえぎってドゴームの大声が聞こえた。
みんな何事かと思ってそっちの方を見る。

「だってぇ~・・・。わかんないものはわかんないよう・・・。」
ドゴームに叱られてディグダはしょんぼりした声を出した。

「どうした?何かあったのか?」
ペラップがドゴームに聞いた。

「足形の不明なポケモンが来ているらしいんだ。ディグダは優秀な見張り番だ。足形が分からないなんてめったにないんだが・・・。」
ドゴームはそこで言葉を切ると、ソウイチ達の方を見て言った。

「まあ、こいつらみたいな素人が見張り番ならそれもわかるんだがな。」

「な、なんだとお!?」

「そっちだって、僕たちの足形がわかんなかったじゃないか!!」
当然この言葉にソウイチとソウヤは猛反発。
ドゴームをおもいっきり睨みつけた。

「そ、それは・・・。」
ドゴームは返答に困った。
すると・・・。

「・・・え?親方様に会わせてほしいんですか?お名前は・・・、ヨノワールさん!?少々お待ちくださいね。」

「ええええ!?ヨ、ヨノワールだって!?」
ディグダの言葉を聞いてペラップは飛び上がった。
みんながその名前を聞いてざわざわとしている中で、ソウイチ達はキツネにつままれたような顔をしていた。
そして、ヨノワールが中に入ってくると、みんなから感嘆の声が上がった。

「訪ねてきてくれてありがとう~♪」
プクリンもうれしそうだ。

「いえいえ!めっそうもない!お礼を言うのはこちらの方です。かの名高きプクリンのギルドに来れて、誠に光栄です。」
礼儀正しくヨノワールも礼を言う。

「ねえ、ドゴーム。」

「なんだ?」
ゴロスケがドゴームに話しかけた。

「あれは・・・、だれなの?」

「なにい!?お前ヨノワールを知らんのか!?とっても有名な探検家だぞ!?」
ゴロスケの質問にドゴームは飛び上がった。
当然知っているものと思っていたのだ。

「そ、そんなこと言われたって・・・。」
ゴロスケはしょげてしまった。

「おい、そんな言い方ねえだろ!?」

「そうだよ!オイラ達だって知らないんだから!」
ソウイチとモリゾーがゴロスケに味方した。
またしてもドゴームは集中攻撃を受けてうろたえた。

「まあ、無理もないですわ。知られるようになったのもつい最近のことですし・・・。」
見かねたキマワリが助け船を出した。

「突如彗星のごとく現れて一躍有名になった方ですから。でも、それぐらい探検家としての能力はすごいらしいですわ。」
どうやらなかなかの実力のようだ。

「へえ~、そんなにすごい人なのか~・・・。」
ソウヤは感心していた。
しかし、ソウイチは妙な胸騒ぎがした。
言葉では言い表せないような、何とも言えない感覚なのだ。

「でも、そんなにすごいの?」
ゴロスケとモリゾーが聞いた。

「ああ。これは聞いた話だが、まず特徴的なのは、チームをもたず単独で行動するところだ。相当腕に自信があるんだろうな。」
ドゴームはうなずきながら言った。

「へえ~・・・。しっかし、一人でそんなことしてさみしくねえのかな・・・?」
ソウイチは素直な思いを口にした。

「そういう問題じゃないでしょ・・・。」
ソウヤはやや呆れ気味だ。

「でも、もっとすごいのはその知識の多さだ。世の中で知らないことはないというぐらいいろんな物事を知っているらしいんだ。」

「えええ!?そ、そんなに物知りなの!?」
ソウヤはかなり驚いていた。
人間からしてそんなことはあり得ないと思ったのだ。
しかし、フーディンと比べるとどちらの方が勝っているかはわからないだろう。

「あくまでもうわさですわ。でもその知識で探検を次々と成功させていったわけですし、今ではヨノワールを尊敬するポケモンもかなりいると聞きますから・・・。あながちウソではないと思いますわ。」
キマワリの言うことはかなりの説得力があった。

「じゃあ、何度かここへ来たことがあるの?」
ゴロスケが二人に聞いた。

「いや、初めてだ。ディグダが分からなかったぐらいだからな。親方様も会うのは初めてなんじゃないかな・・・。」

「ええええええ!?」
ドゴームの言葉にみんな驚いた。
なにしろあんなにフレンドリーにしていれば以前に面識があるとだれでも思うだろう。

「まじかよ!?初対面なのにあそこまで親しくできんのか!?」
今に始まったことではないが、やっぱり驚いてしまうソウイチなのであった。

「親方様はああいう方だからな。初めて会おうがなんだろうが関係ないのさ。」
そして、改めて二人の方を見るソウイチ達。
どうやらこの間の遠征のことを話しているようだ。

「なるほど・・・。それは残念でしたね。」

「うん、今回は大失敗。何も分からなかったよ♪」
その割には落ち込んだ様子を見せていないプクリン。
やっぱり表向きだけの失敗だからだろうか。

「プクリンのギルドが霧の湖に挑戦するとお聞きしましたので、その成果をうかがおうとここへ来たのですが・・・。」
ヨノワールはちょっと残念そうだ。

「ごめんね~♪何も分からなくて~♪」
どこかの漫才コンビのネタを思わず思い浮かべてしまうような言い回しだ。

「いえいえ。いいんです。それよりも、これも何かのご縁。私はしばらくトレジャータウンに滞在する予定ですので、その間たまにここへおうかがいしてもかまわないでしょうか?ここは新しい情報がたくさん入るので、私の探検にも役立ちそうなのです。」
ヨノワールはプクリンにお願いした。

「それなら全然オッケー!ここはほかの探検隊も普通に出入りしてるし、もう大歓迎だよ♪」
プクリンはうれしそうに言った。

「というわけでみんな!このヨノワールさんが、しばらくトレジャータウンにいると思うからよろしくね♪ヨノワールさんは有名だし物知りだから、みんなもいろいろ相談したいことがあると思うけど、でもそこは、あまり迷惑をかけない程度にお願いね♪」
プクリンはみんなに向かって言った。

「みんな!有名だからと言って、間違ってもサインとかねだらないようにな!」
ペラップがみんなにくぎを刺した。

「いや、サインくらいお安いご用ですよ。私の知識などつたないものですが、それでも皆さんのお役にたてれば幸いです。何か相談があれば遠慮なく聞いてくださいね。」

「こ、光栄でゲス!」

「こちらこそよろしくですわ。」
ヨノワールの言葉にみんな沸き立った。

「じゃあみんな♪解散♪」
ペラップがそういうと、みんなは各自の持ち場に戻った。
そしてヨノワールも、トレジャータウンのあたりを散歩してくると言って出て行った。

「だけどびっくりだね。あんな有名な人が来るなんて。」

「ほんとほんと!なんだか尊敬しちゃうな~。」

「なんだか見た目からしてすごそうだものね。」
ゴロスケとモリゾー、ソウヤはヨノワールの話で持ちきりだった。
そのなかで、ソウイチだけは話に加わらなかった。

「(あいつ、どこかで見たことがある。それもいい出会いじゃない。もっと最悪な、何かに関係してたような気がする・・・。)」
なんとなくそんなことを考えるソウイチ。
根拠はないが、体中がなんとなくそれを知らせているのだ。

「どうしたの?ソウイチ。さっきからずっと考え込んでるけど・・・。」
モリゾーがいきなり顔を覗き込んだので、ソウイチはびっくりしてひっくり返ってしまった。

「だ、大丈夫!?」

「ああ・・・。な、なんでもねえよ。」
ソウイチはそういうと、掲示板の方へ歩き出した。
みんなは少し気になったが、これ以上聞くと機嫌が悪くなりそうな気がしたので、あえて聞かなかった。


アドバンズ物語第三十二話



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Last-modified: 2011-04-19 (火) 00:00:00
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