ポケモン小説wiki
アイキャンフライ

/アイキャンフライ

writer→スキャナ


無駄話 ~この短編集を書こうと思った経緯~ 

今も面識がある方なのですが、昔、友達がふざけてなのか笑いながら飛び降り自殺してみたいって言うんですね。勿論しないと僕は思っていました。
 でも、そんな事しないと分かりきっていても私は心配して声を掛けるんですが、声を掛けてしまうのは、本当にその友達の事が大好きで心配しているからか、もし友達が自殺してしまったら自分の立場が悪くなるからなのか、どっちなんでしょうね。私は自分が何故心配したのかは分かりません。
 でも、理由なんて無い、ってアニメでそんなセリフよく聞きますけど、結局心の中ではどちらかの理由がちゃんとあるはずなのです。だから自分は、もしかしたら自分が知らないところで、自分の立場だったり、他人からの評価ばかりを気にしているダメな人間なのかも……
 なんてシリアスな事を考えていたら、暗い話ばかり考えてたらキリがないやと、もっと友達にも楽しいお話をと、180°話をUターンさせてしまったのがこれです。

続き物ですが、掌編並みの短い話を気まぐれ更新すると思います。

ポケモンタウンの日常集 

その一 ファミコンプレイしてると良くある話……なわけねーよ 

『ああああよ! なにゆえもがき生きるのか?』
 テレビから、トゥルトゥルというあの知る人ぞ知るRPGゲームの懐かしの効果音が流れてくる。
 プレイヤーは懐かしい興奮と感動を感じ、口角が自然と釣り上がりニヤァといやらしい顔になっている。
『ほろびこそわがよろこび。死にゆく者こそ美しい。さあ わがうでの中で息絶えるがががががががが』
 すると、ガガ――ガガガガッガーっと音がなって画面がバグり、フリーズした。良くある事だと、プレイヤーはイライラを抑えて本体へフラフラと歩み寄る。
 本体の電源をぶち消してカセットを引っこ抜き、フーフーとカセットに息を吹きかけ再装填。そしてまた電源を付ける。
 プレイヤーはにじみ出る汗を拭き取らず、今度こそとコントローラーを手にテレビの前でどっしりと構えた。
『おきのどくですが ぼうけんのしょ1ばんは きえてしまいました』
 デロロン♪デロロン♪デロロン♪デロロン♪ドゥールン♪
「あ、ああ、俺の、俺の、俺の俺の……」
 気付けばプレイヤーは喉はカラカラ、思うように声も出せないし、顔は一瞬で老けて呆然としている。
 そして手に持ったコントローラーを、コードが引きちぎれる位の勢いで、プレイヤー後方にあったガラス窓の外に向かって投げて無責任なメッセージを表示するテレビを振り返る。と同時に叫ぶ。
「懐かしのデータを返せ大魔王ゾー○ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 しかし、投げたコントローラーの勢いでコードが引きちぎれる訳でもなく、コードに釣られて本体がすごい勢いで前方五十センチ、上斜め四十五度に吹っ飛んだだけだった。いや、それでもすごい力なのだが、テレビの真ん前で思わず立ち上がったプレイヤーの、それも股ぐらの急所になんと本体がぶつかった。
 実は例の本体、先のプレイヤーの使用しているディスクドライブ付きのやつは、結構重かったりする*1
 そして先ほどのプレイヤー、フローゼルは衝撃的な痛み*2の中思い出す。
 小さい頃、まだ進化する前のブイゼルだった頃買ってもらった唯一のゲーム。ドラゴン○エストⅢ。そしてのめり込みゲームばかりして、怒られる俺。そして、途中までクリアするも、だんだん大きくなるにつれて自由時間が少なくなり、そして親と喧嘩してグレてしまい封印したゲーム。
 そして、大人になってそのことを思い出し、つい最近出したらまたハマってしまった俺。仕事を削ってでも、人生で唯一やり残したこの冒険に時間を費やした。時は流れ、主人公のレベルはMAX。ついに大魔王○ーマまでたどり着き『ぼうけんのしょ1ばん』にセーブしたんだっけ。

 しかし、ついにその走馬灯のような思い出も途切れ痛みが本格的に襲ってくる。
「はうっ!? ……ぁ……ぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
 痛みの余り、ワンルームのアパートを飛び出し暴れながら叫び、叫びながら暴れ、フローゼルは階段を……
 

 踏み外した。
 

「あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァアアイ キャァァァン フゥラァァァァァイイイイイイイイイイイイイ!!」
 後日談では何故フローゼルが、あの言葉を叫んだのは彼自身良く分からないらしい。
 とにかく、ポケモンセンターでの治療は無料だし、逆に保険が降りたから後々フローゼルは得をしたそうだ。腕の骨を折ったらしいが。


「……それでさ、俺が、子供の頃の途中までのデータを大人になって引き継いでやってたらさ、ラスボスの大魔王ゾ○マのセリフのところでバグって、ぼうけんのしょ消えやがんの。俺はぼうけんのしょが消えたのは絶対○ーマのせいだと睨んでるんだ」
 フローゼルが閉店したカフェのテーブルでそう豪語するのはバイト先の店長、ガルーラである。もっと詳しく言えば、この閉店したカフェこそがフローゼルのバイト先であり、そして今日は骨折が完治して久々に顔を見せに来たのだった。
 ガルーラのお腹の袋にはまだ子供は居ない。成熟し子作りを行うのがとても早いガルーラの大人としては珍しい。
「あんたいい年こいて何やってんのよ。聞いて呆れるわよ。それも骨折ったんでしょ? さんざんじゃないの」
「まぁまぁ。もう三角巾で腕吊ってないんだし、保険も降りたしこっちは得したんだからさ」
 そこまで言うと、ガルーラは嫌味ったらしくこう言った。
「ふーん……ただで儲けた上に休んでたんだ。いいねえ楽な商売で。こっちはただでさえ人員不足でバイト探すのとか色々大変だったっていうのに……そうだ、今度から毎日今まで休んでた分深夜の閉店までタダ働き決定ねあんた」
 フローゼルの顔が、これでもかというほど青くなる。
「ちょ、困るよサラさん。流石にそれはキツイよ、っていうか落ちる前も落ちたときも滅茶苦茶痛かったんだからね俺!! 股間とか腕とか」
「フフフ。ジョーダンよジョーダン。それにしても、無事でなにより。そんなことで頭打って死んだら都市伝説としてネタにされるがせいぜいよ」
「だな」
 そして、夜の閉店したカフェにハハハという二匹の笑い声が響いた。


 ポケモンが理性を持ち社会的に暮らす街、ポケモンタウン。
 そんなこんなで今日も、平和に時がゆーっくりトロトロ進むスリルを楽しみたいものからするとシケたこの街の一角には、他のお気楽な店と違って毎日繁盛して忙しいカフェがあるのでした。


*1 ディスクドライブ付きファミリー○ンピュータ。総重量約一.五kg 乾電池含む
*2 因みに男性は知ってるだろうが、男特有の急所であるあそこに攻撃されると、何故かあそこではなく脇腹が痛む。

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Last-modified: 2012-10-02 (火) 00:00:00
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