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にんっしんっはなよめ

/にんっしんっはなよめ

作品執筆者文書き初心者
この作品には官能描写があります。またマニアック(妊婦)な描写もございますのでご注意ください。



 私は彼にとってただでかい図体をしている牝だと思われてるに違いないと思ってた。だって、彼の周りには可愛いらしい女の仔がいたから。妹みたいに甘え上手なイーブイに毛並みをいつも整えていて綺麗なロコン等。そしてどの仔も決まって体格が彼とほぼ同じであった。
 私は自分自身を呪った。私の種族は歳を重ねれば成長して進化してしまう。しかし私が憧れていた彼はかみなりの石を使わない限り、進化しないで姿を留めておく事が出来る。その故に、彼は決してライチュウになろうとしなかった。
 彼が進化しないのを見計らってなのか、イーブイやロコン達も進化しようとしなかった。彼女達の真意は私には知る由もなかったが。
 そんな彼女達に至っては進化後の姿も美しいと評判だった。なので、とてもじゃないけど私なんかが到底張り合える訳がなかった。
 だから、彼が私を好きだなんて言ってくれるなんて、天と地がひっくり返るくらいの衝撃的な出来事だった。


「うん、似合ってるよ。リザードン」
 電気袋となる赤いほっぺを持つ彼、ピカチュウが私の晴れ姿を一目見るなり言ってくれた。
 きらびやかなドレスに身を包まれた私は似合っていないのではないかと心底から不安であった。こんなに華やかで御上品なのは、リザードンである私が着るべきではないと感じていた。
 でも彼がそう言ってくれたので私の口元が緩むのと同時に、頬が熱くなる。嬉しくて堪らず尻尾の炎の勢いも増したくなるくらいだ。一応、ドレスを着ているので燃やさぬように細心の注意は配っているのだが。
「えへへ、有難う。ピカチュウだって、随分似合ってるよ」
 そんな彼もこの場に相応しいように整った服を着ており、普段よりも格好良く見えた。普段の彼は格好良くて可愛いのだが、彼に可愛いと言うと落ち込んでしまうので口にはしないようにはしてる。可愛いという言葉に過敏に反応するそんな彼もまた可愛いのだけれど。
 私の言葉に彼は照れ隠しとして、手でネクタイを弄ってきゅっと絞める。その仕草もまた、私には彼が凛々しくて格好良く映る。
「有難う、リザードン。でも僕は君のドレス姿をもっと前から見たかったな」
「だってこんな御上品なの私には合わないと思って……」
 私には着こなせる自信がなかった。彼にこの姿を見せるまで、私がドレスを着るだなんて滑稽に映りそうだと思ってた。
 最終進化後の姿で堅苦しい私に、ふわりとして柔らかなドレス。どう考えても不釣り合いだ。
 それでも彼は首を横に振りながら断固として私の言葉を拒否する。
「そんな事ないよ。可愛いよ、とっても」
 彼の言った可愛いという言葉。それはいくらなんでも間違いだろうと私は彼に訊かざるを得ない。
「私が可愛い? 本当にそう思ってる?」
 リザードン、今の私の姿になって可愛いと言われた試しは一度も無かった。それどころか褒められるような言葉を貰った事すら無かった。
 皆、私を目にすれば怖いと口を揃えて言ってたから。
 凶暴に見える尖った牙や鋭い爪がいつも私を表していた。事実、自分が棲んでた辺りの仔達は私を耐えず畏怖の目の色をしていた。
 だから他の仔と親しもうと近寄ったとしても、いつも皆に怯えられ、私から離れていってしまう。私の善き理解者であったゼニガメとフシギダネが成熟し、この地を離れてしまってからは実質私は独りだった。
 そう、私はひとりぼっちである筈だった。
「思ってるよ。そうじゃなかったら君にバンダナとかリボンをあげてないよ。君はプレゼントしてもつけてくれないけど……」
 しかし、独りだと思ってたのは私だけであった。少なからず彼は私の事を想ってた。こんな私、進化して凶悪そうに映る私に対して、彼はいつも穏やかな表情で優しく接してくれた。
 私はピチューの頃からを彼を知っていた。だが、彼にとって私は取るに足らない仔だとずっと考えていた。だって彼は別け隔て無しで付き合う社交性から、常に色んな仔達から好かれていたからだ。それも年齢層を問わずである。
 それ故に私は彼の回りにいる事すら赦されない存在だった。世間一般から恐れられている私なんかが近付いてしまえば、彼はきっと皆から嫌われてしまう。だから私は決して彼に近寄ろうとはしなかった。
「それは……私には合わないと思って……」
 それでも彼は私に構ってくれた。最終的には彼が私を好きだとさえ言ってくれた。それも友達としてではなくて一匹の牝として。
 だけども、彼からその事を知らされた時には嬉しい気持ちどころか、反って彼に申し訳ないという気持ちで一杯だった。たとえどんなに悦びたい本心を圧し殺してでも。実際、彼には私なんかよりもずっと見合った仔がいて、私なんか全くもって彼に相応しくなかったのだから。
 しかし、私が断っても彼は好きだと言い続けた。私が小さかった頃、ヒトカゲだった頃から好きで止まなかった、と口にしながら。
 そんな私も同じ様に彼がピチューだった時から好きだった。まだ私がヒトカゲで誰からも怖がれないで皆と一緒に仲良く遊べていたあの頃から。
 だけど、今となって私はもうリザードンだ。ピカチュウよりも大きい身体に、空を翔られる翼、鋭利に尖った爪も牙も、私がリザードンであるというのを露呈している。彼が好きだったのはヒトカゲの頃の私であり、当時の面影すらないリザードンである私ではないと考えざるを得なかった。
「似合うに決まってるよ。今日のドレス姿を見たら余計にそう思う」
 それでも彼は私を選んでくれた。
 確かに君はヒトカゲじゃない。でもヒトカゲじゃなくたって君は君だ。進化して姿が変わろうとも僕は君が好きなんだよ。
 そう言われながら、私は彼の小さな手で身体を抱き締められた。私と彼の体格差を考えると、抱き締められたというよりは抱き付かれたと言った方が正しいのだが。でも、その時の彼の身体から和やかで優しい温もりが伝わってきたのを今でも鮮明に覚えている。
 告白されて、自分の気持ちに嘘を吐けなかった私は身体を彼に委ねた。
 そうして今、ドレスで隠れてはいるものの私のお腹は膨らんでいる。中には愛しい彼の子供がいて、子を宿して随分と経つ。
 進化前後の容姿に囚われるのは仕方ないと彼は情事を終えた後に言った。彼のお父さんもお母さんもお互い、自身の進化した姿に劣等感を抱いていたと言う。彼がライチュウに進化しない理由は、自分の両親みたいに進化する前と後の自分の容姿に固執したくなかったからであった。
 でも、“逃げ”だよね。僕のこの姿は。本来ならもう一段階進化出来るのに、そうしない僕は逃げてしまっている、と彼は嘆きながら私に吐露した。でも私は貴方が進化しないと望んだならそれで良いじゃない、と返した。彼には私の様な境遇を味わって欲しくなかったから。
 だけど君はこんな僕で良いの? 愛しい君の事ですらまともに抱けない身体が小さくて女々しそうな僕で、さ。
 どんな姿であれ、貴方が私を愛してくれるのには変わりないでしょ? 貴方が言ったように、進化してもしなくても私は貴方を愛してる。
 私の言葉で彼も納得したのか、以来、彼はピカチュウの姿のままでいる。対する私も彼のお陰で自分の姿を憎まずにいられる。
 体格差はある、だけどもそれを埋め合わせられるものが彼と私の間には確かにあった。
「本当に?」
「嘘を言ってどうするのさ。今日、式を開いて良かったなって思うくらいだよ。そうじゃないとリザードンはドレスを着てくれないだろう? 現に試着をした時なんか僕に見せてくれなかったし」
 彼の言葉に私は言い返せす言葉が見つからなかった。彼の言う通り、私が試着した時は絶対に見せようとはしなかった。というのも、彼が私のドレス姿を見たら幻滅して式を取り止めると思ったからだ。
 今日だって、彼に無理を言ってわざわざふたりだけの結婚式にして貰った。参列する方なんて誰もいなくて、いるとしたらふたりの愛を確認する司祭の方だけの結婚式に。
「……良かった。私のドレス姿を見るのが貴方だけで」
「どうして?」
「……だって恥ずかしいもの」
 ふたりだけの結婚式にしたのは、私がとてもじゃないけど大勢に見せられないからだ。もしも大々的に行われたら、それこそ私は赤面してしまうだろう。ドレス姿の私を滑稽に思って笑う方もいるかもしれない。ただでさえ、体格差があって滅多に彼と私が夫婦に見られないのに。
「君のそんなところがまた可愛いよ、ふふっ」
 そんな私の真面目な悩みを彼は笑いながら茶化してくる。おまけに、可愛いだなんて彼が平気でまた恥ずかしい言葉を口にするものだから、私は彼に紅くなっている顔を見られまいと俯いてしまう。
「……僕は君のドレス姿を独り占め出来るからとても嬉しいけどね」
 頬を手先で掻きながらぽつりと言った彼の言葉に、私は嬉々として顔を上げて耳を傾けてしまう。そうすると彼が飛び付いてきたので、私は声を漏らしながら体重が掛けられた後ろの方へと倒されていく。
 押し倒された、とは言っても私よりも華奢な彼の身体では覆うのなんて出来ない。だから彼は私のお腹を圧迫させぬようになるべく私の上腹部の方で腰を下ろしてくる。そして私を無言でじっと見据えてくる。私も彼を見詰めてみると、彼の瞳には私の姿が映っていた。
 これまでの彼とは違い、いつになく真剣な雰囲気を醸し出していた。その所為で、私の頬に触れようとする彼の手を退く事は出来ない。私は何も言えずにただ彼の手を受け入れてしまう。
 彼の両手が私の頬を捉える。ずっと掴んだまま離さない、否、離してくれない。それどころか、グローブに入った私の両手は彼の手に触れては退かさずに、彼の背中に回していく。私はすっかり彼に心を奪われて、自分の身体までも預けてしまっていた。
 そして頑なに閉ざされていた彼の口が開く。
「いや、他の仔達になんか君のドレス姿を見せるものか。だって君は僕だけの――」
 お嫁さんなんだ。
 彼が言った刹那に、私の口は塞がれた。私が期待してた通り、彼の口によって。
 彼が舌を私の口へと乱暴に捩じ込んでくる。私は彼の舌を優しく受け入れ、応えてあげる。舌と舌とが絡み合っていき、お互い段々と鼻先でする呼吸が荒くなっていく。
 彼が執拗に私を求めてくる。求められた私は尻尾の先を振りながら悦ぶ。そうして私もまた彼を求めては舌を絡める。
 舌と舌とを絡めていくうちに唾液が口元から垂れていき、私の首筋まで滴っていく。しかし首筋だけには留まらず、私が身に付けているドレスまで唾液は落ちていく。
 そして彼が求めるのは私の舌だけに留まらなかった。彼は舌先を隅々にまで走らせて私を貪ってくる。彼の舌は忌み嫌われるべきである牙や歯にまで及ぶ。そんな私も便乗して彼の歯等を舐めていく。
 それくらいこの甘美な一時に夢中になっていた、彼も私もお互いに。
 彼の舌先が私の舌から離れると、私の口が解放された。口が離れていくのに合わせて彼の手も私の頬から離れていく。解放されて自由に物が話せるようになっても、頻りに出てくるのは吐息だけであった。私は勿論、それは彼にとっても同じであった。
 少しの間を置き、漸く呼吸が整ったところで私は冗談混じりで彼に言う。
「これから式でするのに慌てんぼうなのね、ピカチュウは」
 くすくす、と私が口に出して笑っても彼は顔色一つ変えなかった。それどころか彼から漂ってくる雰囲気すらも不変であった。
「僕がこれだけで終わるとでも?」
 そう、彼は私の言葉を単なる冗談で済ませてはくれなかった。
 その証拠に、彼の手は気づかぬ内にあるものを握っていた。そのあるものとは彼が牡である象徴を示すものに間違いなかった。
 彼のモノは既に熱り立っていた。彼の体格には似合わずぱんぱんに膨れ上がったモノはまるで彼の欲望そのものを具現しているかに思えた。
 ここ暫く、彼と身体を合わせていない事実もあってか、私は彼のモノに釘付けとなってしまった。喉から手が出そうな程に欲しいのだが、この時と場合を考えるとなると手が出せない。
 いくらなんでも、今ここでするのは――。
 あと少ししない内に、式が始まってしまう。それを考慮すると、今ここで彼の身体を受け入れている余裕なんて無い。
 やむを得ず、私が彼を説得しようとした矢先には、
「ちょっと、待って――っ」
 口封じとして口の中に彼のモノが乱暴に突っ込まれた。彼によって私の口内が犯されていく。
 私は拒もうと舌先で彼のモノを押し退けようとするものの、反対に彼はそれを負けじと押し込んでくる。私の舌先が彼のモノに触れてしまう事もあってか、萎えるどころか反って更に肥大化させてしまう。最後の手段として彼は私の頬に手を置いて力付くでがっちりと固定し、私の口から自分のモノを出させないようにしてくる。
 どうして彼がこんな酷い事を。
 突然、彼に性的な暴力を受けた衝撃で私は瞳にうっすらと涙を浮かべてしまう。ドレスを濡らしてしまいたくなるくらいに、ぼたぼたと溢れ落としてしまいたくなる。しかし私は伴侶なのだから、彼が私に施す事に文句は言えない。
 私の澱んだ顔を眺めながら、彼が申し訳なさそうに口を溢す。
「ごめん、リザードン。いきなり乱暴な事をして」
 彼は片方の手を私の頬から離して、そっと私の涙を拭う。それでも彼のもう一方の手は私の頬を捉えたままで解いてはくれない。
「だけど、君のドレス姿を見てから君を犯したい衝動が抑えられないんだよ。どうしても君が可愛いくていとおしくて仕方ないんだよ」
 彼の吐息が顔にへとふり掛かる。熱気を帯びている彼の吐息が。それも幾度となく。彼が興奮しているのは明らかであった。
 ――可愛くていとおしくて仕方ないんだよ。
 それを言われてしまったら私は彼を拒むなんて出来なくなってしまう。私が彼を興奮させてしまったとなると、責任をもって私が鎮めてあげるしか術はない。
 彼と同じく、私も密かに感情が昂ってはいた。彼が私のドレス姿を見て興奮するのと同じ様に、私も彼の正装姿を見て胸が高鳴っていたのは事実だった。
 ポケモンである私たちは普段衣服なんてものは着ない。だからこそ、妙に心が揺さぶられてしまうのだろうか。
 今度は自ら進んで彼のモノを丁寧に舐めていく。彼が気持ち良くなれるように先端から柄の部分、そうして根元にまでかけて隅々と舌先を移動させていく。
「あ、いいよっ、りざぁどん」
 悦が混じった彼の声が聞こえてきて、私は舌を休める暇無く使い続ける。
 彼が心地良さそうにしていると、私もされたくなってしまう。だがここはぐっと堪えて、張り詰めて苦しそうな彼のモノを御奉仕してあげる。
 ここ最近、式の準備やらで何かと忙しく彼と身体を重ねる暇なんて無かった。また、そうしようとも思わなかった。しかし、彼の所為でもう私は自分に歯止めが効かない。
「あっ、うっ、いっ……」
 彼の女の仔みたいな嬌声を聞くのも久し振りだった。だからなのか、私はもっと聞きたいと願ってしまう。たとえ彼のモノが辛くなろうともお構い無しに。
 私は舌を使うだけでなく、首まで動かして彼のそれを扱いていく。モノの先端部からは滑りを含んだ透明な液体が溢れていく。この液体は彼が気持ち良くなっているという何よりの証拠であり、私の渇いた喉を潤していく。
 私が彼のモノを舐める度にちゅぱちゅぱと厭らしい水音が奏でられる。そうして彼の口からは相も変わらぬ可愛らしい声が発せられる。それらの淫らな調べに私は虜となる。
 でも彼にはもっと気持ち良くなって貰いたい。私はそう思って一連の動作を速くしていくとともに、彼が敏感に反応する部分を集中しながら舌でなぞる。その際に、私は彼の背中に置いといた手を少しずつ下げていく。手をお目当ての場所までずり下げたら、私は彼が痛みを訴えないくらいに加減しながら手でぐいっと握り締める。
「そこはっ、だめだよっ」
 彼が自分の身に危険を感じて焦りながら口にするが、私は聞く耳も持たずに弄り倒す。手を前後に動かして尻尾を扱くようにしたり、一掴みして尻尾をくしゃくしゃにまとめてみたり、と私は愉しむ。
「ひゃっ、やあっ……」
 彼の甲高い声が口から溢れてくる。それもその筈である。彼は尻尾を掴まれると過敏に反応してしまうのだ。言うならば、彼の尻尾は性感帯となっている。
 喘ぎ声を絶えず出している彼の口からはだらしなく涎が垂れ始めてくる。眼もとろんっと陶酔しきったかのように霞んだ色をしていた。
 彼の口は駄目と言ってはいるものの、身体ではちゃんと楽しんでいるのだ。
「りざぁ、どんっ。で――」
 彼が喋っている最中に、彼のモノからは私の口内に目掛けてどろりとしたものが勢い良く溢れてくる。どろりとしたものが出てくるのに合わせて、彼のモノはびくびくと脈を打つ。
 口の中は彼のどろりとしたもの、つまり精液で満たされていく。なので、私は口元から溢れ落ちないように喉を鳴らしながら飲んでいく。味としてはそんなに美味しくないものの、彼から出てきたものなので私は歓んで飲む干していく。
 そろそろ射精も終わった頃合いだと思って、彼のモノを咥えるのを止めて解放する。すると、私の顔にべちょりと何かが飛んできて付着する。続いてそれは私の首回りにまで纏わり付いてくる。
 身に覚えがある粘着性に、嗅覚を刺激する独特の臭い。
 もしやと思って、私は彼のモノに視線を移していく。するとモノの先端からは未だに白濁色の精液がとろりと滲み出ていた。つまり私はまだ彼の精液を完全に飲み干せていなかったのである。
 しかし、普段の彼からしてみればこんなに精液なんて出さない。今日が特例過ぎるのだ。久し振りに彼の口淫したというのもあると思うが。
「いくらなんでも、出しすぎじゃないの?」
 私が訊ねると、彼は息を切らしながら答える。
「……そのくらいドレス姿の君に興奮したって事だよ」
「そう。でも、もうこれでピカチュウの興奮も鎮まったでしょう?」
 これだけ精液を吐き出せば流石の彼も満足しただろう。その代わりに、私の顔と首回りには彼の精液が付いてしまったので、式が始まるまでには綺麗に拭き取っておかなくてはならない。
 式が始まる時間が迫って来たのと精液を拭き取る作業もあるので、私の胸の上にいる彼を降ろそうと手で彼の身体に触る。途端に彼が呟く。それもにっこりとやらしい笑みを浮かべながら。
「でも、君の興奮が収まってないんじゃないかな」
 彼の悪魔のような囁きを受け入れたくなってしまうものの、私は気にせず彼を下ろした。すると、全身にびりっと痺れる感覚が走る。
「なっ、なんでっ……」
 手は爪先すら微動だにせず、同様に足も尻尾もびくともしない。私の身体の自由は奪われたのも同然だった。
 原因は百も承知している。それは彼の特性であるせいでんきだ。私が彼の身体を触った事で発動した特性である。
 では、何故急に彼は特性を使ったのか。
 答えはとっくに分かりきっている。
「無理しなくていいんだよ、リザードン。君の欲求は僕が満たしてあげるから」
 私が彼に抵抗しないようにする為だ。
 私が本気になって抗えば彼の力なんて捩じ伏せられる。しかし麻痺状態としてしまえば、力の差は関係無しに彼は私を征服する事が出来る。
 彼の口元は彼の思惑を示唆しているかの如く歪んでいた。そして、彼は身体の位置を寝そべっている私の下腹部が見える所に移していく。そして彼はドレスの裾を掴んではひらりと捲った。
「すっかりこんなになっちゃって……。やっぱり我慢してたんだね」
 ドレスで身を包んで私の大事な部分が隠れているとはいえ、覗かれてしまえば全く意味がなかった。私は彼に愛液が滲み出てくる程に熟れきった秘部を見られてしまい、恥ずかしくて頬がかあっと熱くなる。
 次に彼は手で秘部に触れてくる。愛液で潤った秘部は容易に彼の手先を呑み込んでいき、
「あっ、だめ……」
 私の身体には先のせいでんきにも似た快感がびりっと伝導する。私の言葉を顧みずに、彼は自分の手を秘部から出したり入れたりとしてくる。その都度、秘部から愛液を散らして彼の手を濡らす。そして、私ははしたなくも快いと感じてしまうのだ。終いには彼の手だけでは物足りないとすら考えてしまい、私はあるものが欲しくなっていく。
 口では駄目と言いながら、態度では彼の手からもたされる快感に溺れている。全くもって私は矛盾している。これでは彼にとやかく言う資格も無い。
 そんな彼は私の心を見透かしてか、秘部から手を抜き去る。そして、
「そろそろリザードンが欲しいのあげるよ……」
 と言ってきて、彼のモノを私の秘部にへと入らない程度に擦り付けてくる。彼のモノは先程散々精液を放出したというのに、それを感じさせないくらいに硬さを取り戻していた。
「だけどこれ以上やったら……」
 自分の理性を抑止出来なくなってしまう。
 確かに私は彼のモノが欲しかった。しかし時間は私達を待ってくれない。刻一刻と式が始まる時間が迫ってきている。おまけにこの状態で彼に抱かれたらこのドレスがしわくしゃになってしまい、最終的にはありとあらゆる液体が付着して汚れてしまう。
 しかし彼は私の言葉に構う事無く再度訊ねてくる。
「リザードン、これ欲しいよね?」
 彼は再び自分自身のモノを秘部にぐりぐりと擦り付けてくる。あくまでも自分からがっついて行為をするより、私を焦らして楽しもうという魂胆のようだ。
 擦り付けられるだけではこそばゆいだけで私が本当に欲しいものは手に入らない。
「でも、式が……」
「これ欲しいよね?」
 私が何を言おうとしても、彼は全く無視して質問攻めを繰り返す。この調子だと私が欲しいと言うまで彼は続けるに違いない。それに彼がモノを私に擦るのだって止めてくれないだろう。そうされるだけでも私の性欲は徐々に膨れていくばかりだ。
 彼のしつこさと自分の欲望に負け、私はとうとう折れてしまう。彼の要求を呑む為にこくりと頷いた。しかし私が頷いたにも拘わらず彼は意地悪に、
「ちゃんと口で言って貰わないと」
 と言ってくる。どうやら彼は私が彼の尻尾を無断で弄んだのを根に持っているようだ。彼の執念深さに呆れながらも、仕方なく私は声に出して求める。
「……ピカチュウの欲しいよ」
 仰向けになっている所為でこちらから表情は読み取れないが、きっと彼はえらい上機嫌に笑っているだろう。
「やっぱりね、それじゃあ入れてあげる」
 秘部に彼のモノが宛がわれたと思いきや、彼は躊躇いもなく入れてきた。私自身も彼のモノを拒む事なくすんなり呑み込んでいく。彼のモノを受け入れた数は私は覚えていない。それくらいに身体を重ねていれば行為が滞るなんて皆無だ。
 彼のモノが私の秘部に全て沈む。遂に欲しかったものが漸く手に入った。
 久し振りの彼のモノの感覚に、私は咆哮する程に悦ぶ。炎タイプの私に劣らない程に彼のモノは熱く、逆に溶かされてしまいそうな勢いだ。
 彼は私に黙って突如腰を前後に振り始める。いきなり営みを始められたのに戸惑いつつも、私は秘部で蠢く彼のモノに、歯を噛み締めながら味わう。
 彼のモノが私の秘部から何度も出たり入ったりし、その都度に彼の透明液と私の愛液がぐちゅぐちゅと奏でられながらかき混ぜられる。それと同時に、彼の皮膚と私の皮膚とがぶつかり合って、結合部から全身にかけて快感が伝わる。
「あぁ、ぴかちゅーっ!」
「いっ、りざーどんっ!」
 彼は汗を飛び散らしながら幾度となくモノを秘部に沈める。私は炎タイプであるにも拘わらず全身に汗を滲ませながらモノを受け入れる。彼と私は互いに久方ぶりの身体を通しての睦み合いに酔いしれていた。
 私が妊娠してから彼のモノを受け入れたのは両手の爪を数える程度しかない。それ程、彼は私の健康と子供の安全を考慮して私を求めなくなった。対する私も自分の健康状態や子供を優先して彼に身体を預けなくなった。
 しかし、せめて今日だけは。ふたりの記念日となる今日ぐらいは彼と身体を重ねても罰は当たらない筈だ。お腹の子だって、私と彼、お母さんとお父さんが仲良しだって分かってくれる。
「りざーどんっ、ちょっとどれすをっ」
「……どれすがどうかしたの?」
 行為の最中で、彼が突然ドレスと叫ぶものだから思わず聞き返してしまう。
「たくしっ、あげてよ」
「でも、まひしてからだがっ」
 たくしあげて、と言われても私の身体は先程彼に麻痺させられたばかりだ。彼から口移しでクラボの実を飲まされない限りは、手を動かすのすらままならない。
「きみにあげたでんきはぼくのしっぽをとうしてにがしたからうごくよっ」
 本当にそうなのだろうか、と彼の言葉に疑問を持ちながらも麻痺して動かない筈の手を動かしてみる。すると先までの麻痺状態は嘘みたいに、手が自由に動かせた。
 私は彼に頼まれた通りに手でドレスを掴んで胸元に寄せて、少したくしあげてみる。私の下腹部は空気と触れ合い、ドレスの中で籠っていた熱が外へと逃げていく。それでも私の身体は依然として燃えるように熱く、火照るのはどうにもとまらない。
「こ、う?」
「もっとぉ、りざーどんのおなかがみえるくらいにぃ」
 私が少し下腹部を彼に見せたとしても、彼は満足しなかったようで今度は具体的にお腹が見えるくらいにと注文してきた。
 彼に指示された通りに、お腹の丁度真ん中にある窪んでいる部分までが見えるように私はドレスを抱えていく。ドレスで隠されていた自分の素肌が段々と露になっていくのに、私は妙な恥ずかしさを覚えてしまう。普段なら平然と彼に全身を曝け出しているというのに。これもドレスがもたらす効果なのだろうか。
「こうかな……ぴかちゅー、はずかしいよっ……」
 顔から火が出そうなくらい余りの恥ずかしさで今にもドレスを下ろしたくなる衝動に駆られるが、彼がそれを赦さない。
 彼は手で私のお腹に浮かびあがっている線をなぞる。そして、私のお腹に手を置いて赤ちゃんが動いている様子、胎動を確認する。
 しかし、一点に置いていたと思いきや、また違うところへと手を移して今度は軽く手のひらで擦ってくる。
 そうした後に彼は言う。
「……ほら、あかちゃんだってよろこんでる。おなかがどれすにかくれてたら、ぼくたちのあいがあかちゃんにつたわないよ」
「そんなうまいこといって、ぴかちゅーはわたしのおなかがみたいんでしょっ」
 彼の言葉に説得力も欠片もなかった。理由は明白で、私がドレスをたくしあげた途端に彼はお腹ばかり弄ってくるからだ。それにドレスに隠れていても、赤ちゃんは喜んでお腹の中で反応してくれた。
 彼がお腹を触るのは私と営みをしている事で赤ちゃんへ負担が掛かっていないかの心配はしているのだろう。だが、彼は妊娠する前から私のお腹を弄るのが大好きなのだ。たとえ、私がお腹を触られるのが好まないにしても。
「だって、ぼくはあかちゃんもりざーどんのおなかもあいしてるんだものっ」
「じゃあ、わたしをあいしてるのおなかだけなの?」
「ううんっ、ぼくはきみのぜんぶをあいしてるんだよっ!」
「ぴかちゅーったら……」
 きっぱりと断言する彼の惚気に私は恥を覚えてしまうどころか、行き過ぎて嬉しくなってしまう。そう感じてしまうのは、きっと私は身も心も完璧に彼へと溺れてしまっているから。
「りざーどん、そろそろでるよっ……」
 彼のモノも限界が近付いてきていた。最後の力を振り絞って、彼はモノを動かす速度を上げていき、結合部からより多くの刺激が得られるように努める。
「あ、あっ、ああっ」
 彼がモノの動作を速めた事により、私は我慢出来ずに声に出して喘いでしまう。彼から与えられる刺激が既に許容範囲超える寸前にまで達しており、私が果てるのも時間の問題であった。
「りざーどん、りざーどんっ!」
「ぴかちゅう、ぴかちゅーっ!」
 がむしゃらに腰を振るのと同時に私の名前を呼んでくる。私も彼と同じ様に必死に口にする。
 彼が最後にすとんと腰をを下ろして、私を突いた。その瞬間に全身が快感に満たされて、彼と私ふたりともびくびくっと突如身体が痺れて声にならない叫びをした。
 彼のモノからどろっとした精液が噴出されて私の中にへと注がれていく。二回目の射精だというのに精液の量は尋常ではなく、早速も彼のモノと私の秘部の隙間から漏れ始めてくる。
 絶頂を迎えた余韻に浸る間もなく、彼が自身のモノを私の秘部から抜いた。いつもであったら私の秘部に包まれながらモノが鎮まるのを待つのだが、何故か今日だけは違っていた。きっと彼は式が始まるから急いで引き抜いたのだろうと私は思っていた。
 しかし私の予想は全くの的外れであり、それどころか彼の精液は私に注がれた分だけでは尽きていなかった。
 いきなり彼のモノがびゅくっと大きく脈を打った。その刹那に、私のドレスに彼の白くて異臭を放つ精液がふり掛かった。ドレスに付いた精液はやがて染み込んでいって斑点をつくりあげる。そうしてまた彼のモノが脈を打つと、今度は私のお腹に精液が掛けられる。時間が経つにつれて射精の勢いが衰えていくと、精液がぼたぼたと私のお腹だけに落ちていく。
 これでとうとう私は彼に全身を汚されてしまった。式は間もなく始まるというのに、秘部から何まで全て、私は彼の精液でマーキングされている。
「はあっ……はぁ」
「はぁ……ふぅ」
 ふたりの息切れが収まるのにつれて漸く、彼のモノが精液を吐き出すのを止めた。その頃には秘部からは営みの残骸が地面にまで垂れていた。
 しかしどうすればいいのだろうか。式は目と鼻の先だというのに私と彼の汚れようは。
「もうすぐ式が始まっちゃうのに……染みになっちゃうよぅ……」
 私も便乗してしまったとはいえ、これにはいくらなんでも度が過ぎている。特に最後、彼が私に向かって精液を掛けてくるなんて考えてもなかった。それもよりによってご丁寧にお腹にまで掛けるとは。
 いくら彼が口付けだけで終わらない愛の誓いを繰り上げて行ってくれたとはいえ、これには思わず言いたくなってしまう。
「……ぴかちゅーのばかぁっ……」
挿絵
 私がそう言っても、彼に反省の色は微塵も見られない。それどころか彼は乱れた衣装を整えて、にっこりとご満悦な表情を浮かべて言ってくる。
「そう言いながらも、僕の匂いが染み付いて歓んでるでしょ? 僕だって君の愛液やら色々染み込んだ衣装になって嬉しいし……」
 彼のとんだ言葉に呆れて、私はつい大声で叫んでしまう。
「もうっ、ぴかちゅーのへんったいっ!」
 しかしそんな事を言いつつも私は彼の匂いが染み込んだドレスはまんざらでもなかった。




 その頃、式場では司祭のヤドキングが新郎と新婦が現れなくてこまったなぁ、と呟いていたそうな。




後書き
体格差とかタマゴグループ違うのにとかは突っ込まないようにお願いします。そして最後のオチに関しても突っ込まないください(蹴 寧ろ覚えている方がいるのだろうかと思ってしまいます。
ちなみに尻尾から電気を逃がせるというのはライチュウの図鑑説明文からです。進化前のピカチュウが出来るのかは微妙です。
リザードンのお腹を弄るのは正義だと思います。
なおピカチュウはせいでんきのデンリュウとライチュウの子供と想定しながら書いてます。 妙な強姦等の描写があるのは父親からの遺伝です(
今回の作品は、ウロ様から素敵であまあまな絵を下さったので、それを元に考案しました。ウロ様の絵の雰囲気を全面に出し切れたかは限りなく謎ですが……。
この場をお借りして再度お礼の言葉を。ウロ様、絵を下さって本当に有難うございました。


作品タイトル にんっしんっはなよめ
原稿用紙(20×20) 36.6 枚
総文字数 12420 文字
行数 232 行
台詞:地の文 1550文字:10870文字


感想、コメントなどご自由にどうぞ。


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Last-modified: 2012-02-23 (木) 00:00:00
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