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においの秋

/においの秋

駄文執筆者 文書き初心者
※獣姦の描写があります。苦手な方はご注意下さい。


 夏から秋の移り目は何だか変だ。
 例えば、残暑のもわもわとした気候が急変し、皮膚を刺激するような肌寒さへとなった暁には体調不良となってしまったり、暑さで気怠さが抜け切れない日々だったのが、別の人間にでも変わったかの様に読書やスポーツ様々な分野に打ち込める。
 何でだろうね?
 秋がただ単純に過ごしやすいから? 雲一つ無い秋空は清々しいから? 夜空に浮かぶ満月が美しく見えるから?
 答えを聞いたとしても多彩で絞りこめないと思うし、恐らく人それぞれだと思う。それでも僕ははっきりとこう答えるだろう。
 それは“匂い”の所為だ。



 秋、とは言っても風物詩で印象深い紅葉はまだ見ていない。もう少し、月日が経たなければ紅く染まった葉が広がる光景を目にする事は出来ないだろう。
 雲がひとっこひとつ浮かんでいない爽やかな空模様。夏みたいにじめじめしたのでは無く、肌を心地良く撫でる風。今日に至るまで、僕が見つけた小さな秋はそのくらい。
 自宅までの帰り道、僕は決まって大きな公園を通る。理由は単純明快、公園を抜けた方が帰り道が短くなるからだ。そして、今日も僕はその公園へと足を運んでいた。
 何時も通りに、広がったコンクリートの道を歩いていく。路上のあちこちに僅かながらも落ち葉が散らばり、道の脇には木々がずらずらと等間隔で並べられている。
 まだ紅葉にはならないかあ。僕はまだ青い木の葉を見て、切実に思った。
 秋と言えば紅葉、これに尽きる。でも肝心のそれはまだ先になりそうだ。
 そんな事をしんみりに思いながらも、僕は道を歩んでいく。あと数十メートルで公園から抜ける、その時だった。
 突然、からっとした秋風が僕の肌を刺激する。
「うおっ」
 あまりにも唐突であったので、僕は頓狂な声を漏らしてしまう。幸い、周りに人がいなかったので、こんな情けない姿は誰にも目撃されなかった。でもそんなのより、僕の脳裏では気にかかるのが先程の風と共に舞い込んでいた。
 なんだろう、この匂いは。
 さっきの秋風と共に運ばれてきた芳しい匂い。それが僕の嗅覚を刺激してはなかなか離れない。僕の心をくすぐる香り。
 僕の心は最早、その香りに奪われてしまっていた。僕の足は公園を抜ける道へと運ぶ筈であった、しかし次の瞬間には風が吹いてきた方向へと歩いていた。
 木々が生い茂る道無きところを鼻についた匂いだけを頼りにして進んでいく。進む度に段々と強くなる匂いに僕の心は益々躍っていく。
 数々の雑草や枯れ葉を踏み鳴らし辿り着いた先には、他の物とは別段細い幹である木が一本だけ取り残された様に植えられていた。その木の緑色の葉とは対象的な橙色の小さな花が嫌でも目についた。
 あの匂いはこの小さい花からだったのか。
 一つ一つはあんなにも小さいのに、沢山集う事によってもたらす芳香。それが僕が追い求めていた匂いの正体であった。
 僕は深い深い呼吸をする。すうぅはあぁと空気を吸って吐いて、その花の香りを堪能する。今日初めて見た名も知らない木の花だけど、秋は紅葉だけでは無いと僕に教えてくれた。
 この香しい匂いだって立派な秋だ。



「ただいま」
 少し寄り道をしてしまったが、僕はやっと自宅へと戻ってきた。玄関先で靴を脱ぎ捨てて、上がりこむ。そうすると、何時も通りに彼女がのさのさと歩いて部屋から出て来る。
「お帰り、少し遅かったわね」
 そう言って、出迎えてくれたものの若干機嫌が悪い気がする。声の調子も低いからだけど、そう判断したのは、彼女の首回りに付いている花びらから漂っている香りが余り宜しく無いからだ。長い間付き合っているから分かるのだが、彼女の機嫌の善し悪しは大体それが基準となる。
「御免、メガニウム。少し気になった事があって遅れたよ」
 僕はお詫びの意味を兼ねて、よしよしと彼女の頭を撫でてやるも一向に機嫌は良くならない。それ所か、更に悪くなっていく。僕は何か変な事でも仕出来してしまったのだろうか。
「……後でじっくり聞かせて貰うから」
 と言って彼女は撫でている僕の手を払って、どしどしと歩いて部屋へと戻ってしまう。部屋に入っていく彼女の様子はどことなく怒っていた。身の覚えの無い、彼女の態度に僕はぽかんとただ立ち尽くして見送る。
 ――何かしたっけなあ……。
 僕は胸の内に彼女に嫌われるような事をしたかどうか問い掛けてみるが、全然浮かんで来ない。これ以上考えるのも時間がかかるし、なにより、彼女を待たせて益々機嫌を損ねたくはない。
 取り敢えず、外を出歩いていた訳だから、僕は風邪の予防をする為に洗面所へと向かうのであった。

「さっさと吐いちゃいなさい。楽になるから」
 僕はどうしてこんな目に遭っているのだろうか……。
 部屋着に着替えて部屋に入るなり、彼女の前でご丁寧に正座をさせられた僕。彼女に問詰められて、あたかも浮気が発覚した夫みたいな状況になっている。
「どうして遅くなったのか言ってみなさい」
 彼女の僕を見る目が段々と下衆でも見ている感じになっている。それの所為で僕は縮こまって、背中に冷や汗をかかざるを得ない。
「あ、え、えっとその、ちょっとオレンジの花の香りに釣られて……」
 僕は彼女の気迫に押されて、動揺しながら口を開く。彼女はその回答を待っていましたと言わんばかりに、
「そう! 私が怒ってるのはそれよ! キンモクセイの品の無い匂いなんか付けてきて」
 とうとう堪忍袋の緒が切れたのか、彼女は怒りを露として話す。それで僕は更に彼女と顔が合わせられなくなる。
 彼女は植物のタマゴグループに属している。それ故か、自分以外の植物は大が付くくらい嫌いだ。春に咲き誇り、壮大に散りゆく桜だって毛嫌いする。今回に至ってはあの強烈な匂いの花、彼女が言うにはキンモクセイと言う奴も例外では無いとは。
「本当に御免、許してくれ!」
 ポケモンである彼女相手に土下座してまで、許しを請おうとする僕。もとはと言えば、僕がいけなかったんだ。彼女は自尊心が強いって分かっているのに、僕はご丁寧に他の植物の匂いを纏りつけたのが原因なんだ。
 僕は謝罪の意を込めて、ずっと床に顔を着けていると、首元に蔦が絡んでくる。首を締めるかの様に蔦をぐるぐると巻き付かれる。呼吸が次第に苦しくなっていく最中に、僕は彼女に蔦でぐいっと首を引っ張られて彼女の元へと引き寄せられる。
 今度は彼女に巻き付かれた蔦で顎を上げられ、強引に目を合わせられる。ここで目を泳がせたら誠意が無い事になってしまうので、僕は恐れつつも必死に目線を合わせる。
「……反省した?」
 彼女にそう訊かれて、蔦の所為であまり動かないけど首をこくこくと縦に振る。
「……そう。でも私の心は傷付いたんだから、埋め合わせるくらいの事はして貰うわよ」
 彼女は僕にそう告げると、何か悪知恵でもあるかの如く妖しい気に笑う。それに対し、僕はごくりと唾を飲んでしまう。
 首元に絡み付いていた蔦は段々と緩くなり、呼吸は楽になる。このまま解放されれば一番なのだが、まだ蔦は僕の首に絡んでいる。そして彼女はまた蔦を、人間で言うと手の様に器用に使って、自分の花びらに僕の顔を押し付ける。すると、彼女のくらくらしそうな甘い芳香が僕の鼻を焼き付ける。
 なんだ。この感覚は。
 香りを嗅いで間も無く、僕は身体に異変を感じた。身体の底からもわもわと熱が湧いてくるような、熱で思考する事も徐々にままならなくなるような。
 そして暗転するかの様に、ぼくのめのまえがまっくらに、


 僕は身に覚えの無い内に自身の裸体を曝け出し、仰向けの彼女に乗っかっていた。顔との距離は僅かなもので直ぐにでも情事が始められる。
「随分とご無沙汰だったからねえ……。楽しませて貰うから」
 そして、僕は彼女に蔦で背中を押されてしまい、体勢が崩れていく。それから顔が彼女の顔へとぶつかる、そう思いきや寸前の所でしっかりと彼女は前脚で受け止め、口と口同士だけが触れ合う。
「っ……んぅ」
「んっ……」
 彼女は触れ合うだけでは治まらない。僕の口内に舌を慣れた様子で侵入してきては貪るかの如く舌に絡みついてくる。僕自身も、と言うよりは身体が勝手に反応して彼女の行為に対応する。
 時々漏れるお互いの息遣い。情事の幕開けを彷彿させる様に、その吐息にはもう既に熱がこもっている。それから身体は次第に火照ていく。もう、秋の肌寒さなんて忘却の彼方へと飛んでしまう。
 舌と舌が舐め合えば、さらさらとした水ではない粘着質な唾液が音を立てて、この部屋を閑寂にしない。それだけでは無く、何度も何度も響いて、僕の耳に胼胝でもできそうである。
 ――でもそれがまた良いんだ。
 そんな危ない思考が脳裏を過ぎる。これを通して分かるのは、僕はもう堕ちるところまで堕ちてしまっている事だ。錠でも掛けない限り、僕は止まらない、いや止められない。
「ふはあっ……あんっ」
 口を離して濃厚なキスの余韻を暫く堪能、と言うのはさせない。僕は床に片手をつけて上体を起こし、直ぐさまもう片方の手を彼女の乳房へと押しつける。口同士が唾液の糸で繋がり、それが崩れるまで見つめ合う時間なんて勿体無い。
 自分がこうなってしまったのも、漂ってくる彼女の匂いの所為だ。身体の奥底から抑えきれずに何かが湧いて出てくる。それは主に溜まりに溜まっていた性欲な訳で。
 現に僕の愚息は顕していた。通常時よりかも太くて大きく、尚且つ硬くなっている。そして、はち切れんばかりにそそり起ち、彼女のお腹へと当たって存在感を強調している。
 僕は愚息を彼女のぽよんとしたお腹へと擦りつけ、乳房を揉んでいく。腰を前後に運動させれば摩擦によって愚息から刺激が伝わってくる。それに加えて彼女の乳房、とは言ってもあまり膨らみは無いので硬直した突起物を中心に弄っていく。
「ぁあっ……はあっ」
 彼女は感じているのか、艶のある声を我慢すること無く発し、そしてそれは部屋に埋め尽くしていく。もしかしたら、お隣さんの所まで、声の波が漂ってしまっているかも知れないが、そんなのは関係無い。今、重要なのは彼女の嬌声をこの耳に焼き付けることだ。
 彼女はしきりに熱い吐息を出しては声を上げる。この流れはもう永遠不変だ。僕の精力が尽きるまでは。
「そろそろこっちの方も濡れてきたんじゃないの?」
 僕はそう言って、突起物をまさぐっていた方とは逆の手を、即ち床に着けて置いた方の手を動かして、手探りで彼女の秘部を探す。そして、液体の流れを探し出し、それに沿いながら指先をずらしていくと、何やら穴の様な所へと指は沈んでしまった。すると、ねちょりとした粘着質なものが指を包んでいく。これは紛れも無く彼女の愛液である。
「もうこんなに濡らしちゃって……。えっちだなあメガニウムは」
 僕は入れた指を前後に動かし、ぐちゃぐちゃと弄る。そうすれば愛液がだらしなくわんさかと溢れ出てくる。
「ふあっ……らめぇっ」
 呂律が回らなくなってきた彼女。着々と壊れてきたようである。こうなってくると、もっともっと苛めたくなってくる。
「もう良いよね? やっちゃっても」
 指を引き抜いて、僕はすくっと立ち上がり彼女の下腹部の辺りまで移動し、彼女の秘部に乱暴に愚息を宛行う。愚息の先端からは、我慢出来ないのか透明な液体が漏れていた。
 彼女の表情を覗けば、すっかり紅葉の如く真っ赤かに染まった頬、うるうると涙ぐんだ眼、次いでだらだらと口元から垂れる唾液。
 ――さっきの彼女は何処へ行ったのやら。
 あんな勝気に僕を叱っていたのに、今となってはこんなにも弱々しくなっている。でもこんな彼女は普段、お目にかかれないから貴重な瞬間だ。
 ――そもそも自分自体がこんなにも主導権を握っているなんて珍しいんじゃないのか?
 何時も通り、通例なら僕は彼女に無理矢理犯される。それは彼女が、草ポケモンが故に使える蔦とかを持て余す事無くふんだんに使って僕を拘束するからである。でも今回に至っては全くの逆で、未だそれらを使用してはいない。もしかしたら何か企んでいるのかも知れない。
 それでも、この機を逃す訳にはいかない。僕は腰を沈め、愚息で彼女を一気に貫く。
「あああぁぁっっ……」
 途端に彼女は苦しく甲高い声を上げる。僕の愚息が膣へと入り込んだだけなのに、花びらをもぐったりさせるくらいに疲れを見せる。呼吸は乱れ、落ち着く素振りはちっとも見せない。でも僕は、
「まだまだこれからだよっ!」
 そう言って、腰を乱暴に振っては愚息を動かし始める。手を彼女の横腹に添えてしっかりと固定をしながら、何度も何度愚息の出し入れを行う。
「ぁあっ……やあっ」
 彼女は僕の愚息を丸々拒むことなく受け入れ、気持ち良さそうに嬌声を発する。狂ったように口をあんぐりと広げて、理性の欠片なんか毛頭無い。
 情事が滞りなく行われる為にか、彼女の膣内では潤滑油が分泌される。許容範囲を上回ってなのか、連結部からはそれが仕切りに溢れてくる。溢れてきた物は勿論、彼女の身体を通してや直接床へと落ちて、部屋の床に水溜まりを作る。その水溜まりからは淫臭が漂ってくる。もっとも、もう部屋には様々な臭いが立ち籠めていた。
 視覚、聴覚そして触覚とどれを取っても彼女との情事で刺激をされているが、一番刺激されているのは嗅覚である。他の三つでも興奮を覚える事は出来るのだが、嗅覚だけは格別だ。僕をこんなにも興奮させているのは、間違い無く“臭い”だからである。彼女の匂い、性交に生じる臭いと僕からしてみれば、どれにしたって香しいのだ。
 僕は臭いの虜。
 僕は彼女の虜。
 臭いが嗅ぎたい。
 彼女を犯したい。
 臭いが消えるまで嗅ぎたい。
 自分が壊れるまで犯したい。
 そして僕は罠に嵌まっていた。
 “臭い”と言う罠に。



 ――何時もの彼は何処へ行ったのやら。
 流石にちょっとやりすぎたかな。我ながらそう思う。
 彼は私の撒いた臭いに完璧に嵌まっていた。自分でもこんなにも上手くいくとは思っていなかった。
 何時も、彼と交尾をするときは媚薬ならぬ媚臭なんてものは出さない。それはあくまでも私が犯す立場にあるからだ。彼を弄りながらするのはとても気持ち良く、気分が良い。彼に負担を掛けてしまうけど、それくらい愛しいのだから致し方ない。
 でも最近、彼と交尾なんかしてなかったし、今日に至ってはキンモクセイの嫌な匂いも付けてきたから、と言う名目で彼に媚臭を嗅がせたらこんな事になるとは。
 ――まさかこんなに彼の性欲が溜まっていたとは。
 それは彼に主導権を握られてしまった時点で気付いた。こんなにも積極的な彼は初めてで、私は為すがままであった。
 取り返そうと思えば取り返せる。でも偶には良いかなあ、と思って今に至る。
「うあっ……はあっ」
 私は彼に花柱の奥まで思い切り突かれて、声を上げずにはいられない。全身に駆け巡る快感が嫌でもそうさせる。口を大きく開けて必死に喘ぐ。
 ――病み付きになりそう。
 この快楽に。日常では味わう事なんて先ず出来ない。身体を重ねる事でしかこれは味わえない。そして欲からか、私は口を滑らせるのだ。
「あんっ……もっとお、はげしくぅっ」
 それを聞いた彼は、にやりと嫌らしげな笑みを浮かべて、腰の動きを加速させていく。それに伴い、私の身体と彼の身体とがぶつかり合う音が激しさを増し、私の花柱が彼の雄蕊によってぐちゃぐちゃと更に掻き乱される。
 ――とても幸せ。
 熱い吐息が尽きず、永久機関の如く何時までも出続ける。身体も冷める事を知らずに何時までも火照り続ける。部屋に蔓延している淫猥な匂いも何時までも消えない。
 でも、私や彼には辿り着くべきである終着点がある。それは雄は雌に種を残す、である。私と彼は種族が違うので残したとしても種を宿すかどうかは不明である。実際、過去に宿した試しは一度も無い。
 それでも、交尾の区切りが近付いているのには間違いない。器に入った水が溢れる寸前の様に、私が果てるのも時間の問題だ。それは彼にも言える事だ。
「っろそろ……だすぞっ」
 苦しそうに息を切らしながら彼は私に言った。それに対して私は重たい首をこくんと一度縦に振るだけ。
 そしてその後、彼が数回私の奥まで突いたと思うと、彼と私は快感の絶頂へと連れていかれた。
「ぁああああっっ!」
「ぅうううあっ!」
 果てた瞬間に頭の中が真っ白へと染まる。私が私であることを忘れてしまいそうな程に、快感は全身に駆け巡る。
 私の中には彼の熱い熱い種が注がれて、最終的には全て受け入れきれず私の身体を伝って床へと垂れていく。
 時間の経過に従い、快感の余韻は薄れていく。視界は次第に晴れていくも、彼の輪郭はゆらゆらと揺らいで定まらない。まだぼやけてしまっている。そんな彼も様子を伺う限りでは、ずっと動かないで息を荒くしているだけである。
 私はただ呆然と時の流れに身を任せていた。そんな時に、彼は私の中に納めていた雄蕊を引き抜いた。栓代わりとなっていた雄蕊が消えたことにより、私の雌蕊からは彼の白い種がどんどん溢れ出てくる。
 ふらついた足取りで彼が私に近付いて、私の顔の前に雄蕊を近付けてくる。その雄蕊の先端から柱、つまり葯と花糸にはべっとりと種が纏りついている。
 本能によってなのか、それとも種から発せられる淫靡な臭いに誘われてなのかは分からないが、私は自然と彼の雄蕊を咥えて種を舐めて取っていた。隅から隅まで全部舐めて、彼の雄蕊を綺麗にしていく。
 私が口を離しても彼の雄蕊は生命力がまだ残っている。彼の欲望は満たされておらず、雄蕊は依然として膨張しているままである。
 それを見た途端に、私は彼にお尻を突きつけて、私もまだ物足りないと訴える。
 そして、彼の雄蕊が私の雌蕊に再び押し付けられる。
 私もまた彼と同様に自分の撒いた臭いに嵌まっていた。



 目が醒めたと同時に、僕の身体はとてつもない疲労感に襲われた。特に腰。それは臭いの副作用でも呼ぶべきものであった。
 頭の中はお酒でも飲んだように、ぼうっとしていて思考回路が上手く働かない。どことなく上の空へとなってしまう。
 鼻には情事の際に発生した猥褻な臭いが未だに残っている。そしてこの部屋にもそれがまだ漂っている。
 流石に空気の入れ替えぐらいはしたい、そう思った僕は、隣で満足そうに寝ている彼女を起こさぬよう慎重に離れる。そして風邪をひかぬようにと、彼女によって脱がされてしまった寝間着を拾い集めて次々と着ていく。
 酔っ払いの千鳥足みたいに足を運びながら、窓へと近づいていく。窓の施錠を解除し、新鮮な空気を取り入れる為に少し開ける。
 部屋に入り込んできた風には、今回の元凶とも言えるあの“匂い”まで舞い込んできた。


後書き。
もうとっくにキンモクセイなんか枯れてしまいましたw これを書いた当初はまだ咲いていたんですけどw
木々の葉も紅く染まってしまいましたし、季節が変わるのは早いなあと感じる今日この頃です。それではまた。

追伸、作者は植物に関して苦手です。


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Last-modified: 2012-10-14 (日) 00:00:00
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