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とらとうさぎと

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COUTION!
この作品には官能表現が含まれます。
特に性転換、強姦・NTR、足扱きが含まれます。
大丈夫な方は↓にスクロールしてお進みください。
byオレ=廃ネット


とらとうさぎと 


 豊穣。草のエネルギーが足下より溢れ、香り爽やかな平原。
 常に「グラスフィールド」で覆われたこの地の支配者は、しかし草タイプのポケモンではなかった。

「ちゃんと献上品は持ってきただろうな?」
「は、はい……」

 恐れ震える幼いニャオハを先頭に、この周辺に居住するポケモン数匹がそれぞれに木の実やダンジョンのポケモンの肉を載せた籠を差し出している。それを目の前のレントラー夫妻に直接渡すのが、このニャオハの仕事だ。

「まあ、この量なら良いだろう。来月も先月のようなことは無いようにするのだぞ?」
「は、ははっ!」

 折しも豪雨で収穫直前の木の実が飛ばされてしまい、先月のレントラー夫妻への献上は目標の半分にも届かなかった。その時の夫レントラーの難詰は壮絶で、一同は死の恐怖をも味わった。一応この地を護る者として命を奪うようなことは無かったが、帰った住民たちが至った結論はこうである。

 レントラー夫妻に直接献上する役割は、死んでもすぐ代わりが育つ幼子に行わせる。

 勿論夫妻はただ収奪するだけの存在ではない。ひとたび外から襲い来る者が現れたら陣頭に立ち、強敵であれば自ら討ち取って住民たちを護っている。放浪し行く当てがない襲撃者の種族はその時々で千変万化であり、弱点となる属性の少ない電気タイプのレントラーは大抵の相手に互角以上に戦えるという側面がある。数少ない弱点である地面技も、主要なものがこの地に沸き続ける「グラスフィールド」のお陰で軽減されてしまう。しかも夫婦揃っての強い「闘争心」が対応の幅を広げている。より「闘争心」を駆り立てる同性を夫婦それぞれで分担することで、元から高い膂力を更に高めることができるのだ。

 反面その「闘争心」から来る高圧的な態度に住民たちからの不満は多いが、それでも護られていることの恩がある以上強く出られないのが一つ。

「ちょっと貰うね~!」
「あっ!」

 レントラーがニャオハから木の実の籠を受け取る瞬間、赤い影がすり抜けその一つを掻っ攫っていく。次の瞬間には既に追いつけないだけの距離にいたエースバーンは、満足げに高笑いしている。先月は住民たちの懇願で流石に手を出さなかったのもあり、すっかり油断していた一同。まさに脱兎、去っていく背中をしばし呆然と見守った後……。

「お前ら……まだあいつをのさばらせているのか!」

 夫レントラーの一喝はまさに轟雷。のけ反り転がるニャオハを放置し、後ろの大人たちは一斉に逃げ出す。頼れるものの無くなったニャオハは涙を流して白目を剥き、次の瞬間には失禁して気を失っていた。唐突な横槍の後に不快な臭いも漂うこととなり、しかしこれ以上何をできるわけでもなくなった夫レントラーは舌打ち一つ。妻レントラーも憮然としている。

「あのクソウサギ……この地の掟を何だと思っているんだ!」

 エースバーンの逃げ去った方を一睨みすると、夫レントラーはその場に放置された状態で並んだ籠に向かう。流石に数が多いので、妻レントラーは運ぶ手伝いをさせるために子供たちを呼びに行く。

 この地の守護者に一騎打ちで勝った者は新たな守護者となり、住民から毎月の献上を受けるとともに住民たちを護る任を負う……それがこの地で長く継がれてきた掟である。先代の守護者が雌だったので、それを一騎打ちで下したのは妻の方であるが。現在の守護者である妻に挑戦しようとする相手が雄だったときは、夫レントラーは「その前に守護者になれないでいる私が相手をしよう。私に勝てないなら当然守護者である妻にも勝てるまい?」と言って立ちはだかる。これで大抵の相手は黙って去っていき、それでも文句を言ってきたり挑戦してくる相手は「闘争心」で高められた力の下に下される。意外にも狡猾なやり方である。

 だがその掟に対し、独りどこまでも挑戦的なのがあのエースバーンであった。ある時は献上品を掻っ攫ったかと思ったら、またある時はレントラー夫妻に率いられているわけでもないのに襲撃者を討ち取ったりしている。実力もあり住民の助けになることもある存在のため、レントラー夫妻以外には手を出すに出せないのであった。加えて耳も早く、一度討伐に向かった際は事前に情報を得て雲隠れしてしまった。かと思えばいつの間にか戻ってきており、レントラー夫妻を今も逆撫でし続けているのだ。



「おい! 降りて来なさい!」
「あはは、お断り!」

 平原の中央に場違いなように鎮座している巨木。その大枝に寝そべり、先日掻っ攫った木の実を齧るエースバーン。下から怒鳴りつける妻レントラーの声も意に介す様子は無い。その態度になおのこと業を煮やす妻レントラー。

「降りてこないと、雷落とすよ!」
「やれるんならやってみてよ。掟もそうだけど、そんなことをしてこの木に傷をつけるようなことをしたらその時点でヤバいんじゃないかな?」

 半目で見降ろすエースバーンの態度に、妻レントラーは「闘争心」以上に駆り立てられるものを感じる。妻の方が来ていることからもわかる通りこのエースバーンも雌なのだが、挑戦的な態度とは裏腹の余裕顔で同性の住民から密かに人気という噂もある。ちなみに「多くの住民に糧を与えるこの巨木を傷つけてはならない」というのも掟の一つである。勿論掟など無くともエースバーンの言う通り下手に傷つければ守護者といえども住民から反感を買うだろうが。

「掟について言うなら、私が言おうとしていることもわかっているだろう!」
「悪いけど、掟だけが全てじゃないんでね。この前の君たちへの献上、直接渡す役があの子供のニャオハだった理由は知らないみたいだね?」

 エースバーンはため息を吐く。ニャオハはあの後一度意識は取り戻した。住処近くで失禁されたとあって腹立たしかったレントラー夫妻だが、それでもわざわざニャオハから命を奪うことはせずそのまま帰らせた。ただししっかり見送り帰らせたわけではなく、あくまでも「早く帰れ」と追い払っただけである。そのため途中で道に迷ってダンジョンに入り込んでしまい、エースバーンに救出された時には既に半死半生であった。

「知っているわ! まったく、そんな恐れ方などしなくていいものを……!」

 しかし刺々しく振舞う自分たちの態度など、住民たちが気にしなければ何の問題でもないと言わんばかりである。過去の守護者たちの指揮下で戦っていた時から実力こそ認められていたが、揃ってこの態度とあって他の住民たちからは何となく距離をとられる存在であった。形は違うが今のエースバーンのような立場であったのである。

「知ってて改めようとしないなら余計悪いね」
「お前はそんなことのためにこうも掟を冒涜するようなことを続けているのか!」

 二人揃って浮いた存在であったせいか、流れるままに夫妻となった。一見同族嫌悪が起こりそうにも見える組み合わせなのだが、お互いがお互い刺々しい態度を意に介さないとあって不気味なことに上手くいっている。本人たちが実際に気にせずに上手くいっているからこそ、他の住民も気にしなければいいのだという思いになってしまっているのである。

「そんなこと、ね? 守護者になったからって、何をしてもいいつもりかな?」

 妻レントラーの言い回しに呆れた態度のエースバーン。掟に重きを置いて育ってきたレントラー夫妻にとっては、戦う中での実力が全てであった。自然と実力が高まってきて、先代の守護者の老いもあり勝てると踏んで挑んだところ、ものの見事に勝ってしまった。今度は自分たちが守護者となる、それが当然のものとして疑う余地は無かったのだ。だがその頃にヒバニーからラビフットへと育っていたエースバーンは、確実に疑問を抱くようになっていたのである。

「馬鹿を言うんじゃない! 大体、私たちだって掟通りに連中を守っているんだよ!」
「『連中』、ね……?」

 妻レントラーの再びの言い回しを、口の中で真似るエースバーン。中空を見上げ、処置無しを再認識した瞬間であった。レントラー夫妻にとっては、住民たちは「守る側と守られる側」「貢ぐ側と貢がれる側」で隔てられた存在である。それに対してエースバーンは「守護者も住民の一人」「役割が違うだけで対等な存在」という考えが完成していた。いくら言いあってもこの差は埋まらないと実感し。

「ええい! 埒が明かない!」

 いつまでも降りてこないエースバーンに対し、妻レントラーは巨木の幹に前足を掛けて登り始める。太くてしっかり地に足をつけられる手足はどこか不器用そうにも見えるのだが、そんな印象とは裏腹に器用に登っていくのは猫系統の種族の血がなせる業なのだろう。そんな気配を感じ取りエースバーンは流し目で近付いてくるのを眺め。

「付き合う気は無いよ?」
「あっ!」

 妻レントラーが近付いてきたところで籠を引っ掴み、太枝を蹴って頭から飛び降りる。枝からの距離ができた瞬間、エースバーンは足先から炎を噴射させる。飛び降りる瞬間に噴射しなかったのは、それこそ自分が巨木を傷つける側にならないためである。そして地面ギリギリで炎の噴射の向きを操り半回転して着地。籠はエースバーンの腕を軸に回転し続け、遠心力で木の実は一つも落とさない。その直後にはいつもの脱兎である。突然のことに声を上げる妻レントラーだが、その割には冷静に動きを眺めていた。

「やれやれ。あいつ、俺の動きを見てるね」

 この巨木でのやり取りは、実は初めてではなかった。前回同様に背後から怒鳴り声が響き続けているが、一緒に向けられている目線はどうにも冷静さを感じる。大方が今回は逃がすことでこの動きの隙を調べようとしているのであろう。それは露骨な態度ではあるが、いい加減いつまでも逃げ続けることはできないと感じ始めたエースバーン。

「早いところどうにかしないとね」

 目についた茂みには誰の気配も無かったので、ひとまずそこに飛び込む。そこで軽く息を吐くと、籠から木の実を出して頬張る。次は或いはここに伏兵でも忍ばせ不意打ちさせるかもしれない。レントラー夫妻に反抗を始めて以来、包囲の手が確実に強まってきているのを感じているエースバーン。この地に留まる限りいずれ逃げ続けられなくなるのだから、取るべき手段を取る時が近付いているのであった。



 快晴。豊穣の地を覆う澄み渡る青空は、この地の総ての恵みを一体化させたようであり。

「なんだ? そちらから来るとは珍しいな?」

 不快な珍客。他の者に対する時以上に刺々しい態度で出迎える妻レントラーの前に、無言で立つエースバーン。その後ろには、住民の一部が喧々囂々でついてきていた。この異様な光景が何を意味しているか、想像できない方がおかしい。だが「その瞬間」までは。レントラー夫妻は息を呑む。

「どうした? 用があるのだろう?」
「……」

 エースバーンの手には、銀色のホイッスルが握られていた。この地に伝わる至宝の一つであり、しかし住民であれば手に取れるような台座に安置されている。それは「ある目的」のための存在であるからだ。エースバーンはそれに口をつけ、次の瞬間。
 高音。一筋の高音が一帯に響き渡る。天からの声のごとき美しい高音は、しかし「守護者の交代」のための一騎討ちを周囲に報せるものである。守護者が妻レントラーに交代するにあたっても、一騎討ちの前に同じ音が響いた。代々の守護者たちはその間接的な接吻により連綿と繋がっているのがこの地なのである。

「嬉しいぞ。やっとやる気になったのだな?」

 住民たちがその挑戦に一層騒がしくなったのに対し、レントラー夫妻はにんまりとほくそ笑む。いい加減逃げ続けられる日々には辟易しきっており、こうして挑戦しに来てくれることが色々と手っ取り早いのである。勝てば命を奪う事さえ許されるのが掟であるため、いつもは掴みどころのないエースバーンの表情にもどこか緊張の色が見える。だが。

「いつまでも揶揄い続けてもつまらないからね」

 口から出た余裕の言葉に、住民たちは少々安堵した息を漏らす。一騎討ちに参加する者以外は、応援はおろか僅かな口出しも御法度であるという掟もある。だがレントラー夫妻の日頃の態度から、守護者の交代を求める雰囲気は徐々に強まっていた。そんな息を漏らした者たちを睨みつけると、多くの住民が一斉に竦み上がる。そういうところが嫌われる要因だと言いたいエースバーンであったが、もう言っても仕方ないところまで出てきてしまった。

「どうやら、命まで懸けれるようだな? まあ、もう遅いがな!」

 妻レントラーはおもむろに夫レントラーから離れる。一騎討ちにあたっては、開始時点での両者の距離や周囲の者が近付いていい範囲まで詳細に決まっている。夫レントラーもゆっくりと妻レントラーとの間を開け、住民たちなど怯えたようにそれ以上に距離を置く。立ち合いの数も十二分だ。

「いいかな?」
「いつでも来るといい!」

 エースバーンの方も掟による位置関係は頭に入れているが、最終的にはお互いの合意あってというのも掟である。既に一騎討ちを経験している妻レントラーの返事に頷くと、まずは足裏に火球を作り……。本来であれば複雑なモーションを挟んで幻惑するのが「火炎ボール」の真骨頂であるのだが、これは挨拶代わり。

「いくよ!」

 前後の隙が大きくなる無駄な動きは挟まず、素早く蹴り入れる。威力も速度も十二分であるが、先に声を掛けたとあってはあたる物も当たらない。妻レントラーは脇に下がると、宙を切った火炎ボールを見送り。何はともあれこれで始まったのだ、ここからはこちらからも手を出す。妻レントラーは全身に電撃を纏わせると……。

「なんだ、その構え?」
「さあね?」

 エースバーンは下腹部に手を当て、それは構えと言うには珍妙な姿であった。だがエースバーンは真っ直ぐに妻レントラーを見据え、掛かってくる瞬間を狙っているようだった。頭上に疑問符がいくつも浮かぶ。ただ、今まで何度もその戦闘する様子を見てきたのだ、エースバーンの実力的には「闘争心」を乗せれば負ける相手ではないことくらい把握している。一歩間合いを詰めると、相手の肉体から嫌でも滲み出す僅かなフェロモンが「闘争心」に届いているのを感じられ。

「覚悟!」

 猛然と距離を詰めると、纏っている電撃を迸らせて飛び掛かる。ワイルドボルト。エースバーンはそれを引き付けるだけ引き付け、ギリギリのところで直撃だけは回避する。妻レントラーの体は宙は切ったが、すぐに地面に足を突いて踵を返す。そして二度目のワイルドボルトを放とうとした瞬間。

「うあっ?」

 目の前でエースバーンが下腹部に当てていた手を振り上げた瞬間であった。一旦手を股下まで伸ばすと、そのまま妻レントラーの眼前で軽く振るい。攻撃と呼ぶにはあまりにも威力が無く、隙も明らかに大きい。自殺行為にしか見えないその動きに、しかし何故か妻レントラーの足が止まる。

「どうかな?」
「なん……お前……?」

 唐突に脈が上がり始め、体が震え始める。それは戦意溢れる「闘争心」によるものとは程遠く。それどころか先程まで迸っていた「闘争心」は、打って変わって相手への手出しを弱める方向に働き始める。それはまるで異性を前にした瞬間であり。先程まで「闘争心」迸らせる同性であった相手の筈なのに。

「こうなっちゃうともう何もできないよ……ね!」

 言うが早いか、エースバーンは横薙ぎに妻レントラーの肩を蹴り入れる。それは全く無造作であるのに、妻レントラーは躱す素振りも見せず。まるで「メロメロ」に掛かったかのように無手となってしまった。遠巻きに見ていた夫レントラーもこの妻の急変ぶりに愕然とする。

「お前……!」
「口は出さないよね?」

 夫レントラーは言いかけた言葉を飲み込む。そこにエースバーンが掟についての言葉を重ね、封じ込めに罰の悪さを見せる。一方の妻レントラーはまだ立ち上がろうとする様子は見せるが、何があったのかわからないまま無為にもがき続けるだけとなっていた。

「異性相手だと『闘争心』は仇になるって聞いているよ? メロメロも掛かっているし、もう負けを認めたら?」
「うぅ……こと、わ……るっ!」
「じゃあ、仕方ないな」

 エースバーンは自らの股間に手を伸ばし「それ」を引き出す。彼女には絶対に無いはずの雄の証。その出現には夫レントラーも住民たちも目を剥く。このエースバーン、さっきまで雌だった筈では。

「やめっ! やめっ!」
「じゃあ、降参する?」
「それは……馬鹿な!」
「じゃあ、仕方ないね」

 エースバーンは唐突に表れた性器を弄り回し、刺激することで膨張させる。次は妻レントラーの後ろ脚を掴み、雌の陰部を露わにさせ。向こうが何をしようとしているのか、見ている夫レントラーにも間違いなく分かるが。しかし夫妻はそれぞれに何もできない。片や自らが絶対視する掟によって、片やエースバーンに掛けられた技によって。

「ひゃぁっ!」

 エースバーンの手が、妻レントラーの割れ目に触れる。それだけで妻レントラーは守護者と言うには似つかわしくない嬌声を上げる。エースバーンの手は戦いには向かない柔らかい物であるが、それが故に愛撫には非常にうってつけなのだ。

「ほら、降参しちゃいなよ?」
「だれがっ! おまえにゃんかにっ!」

 とうにろれつも回らなくなっているのに、妻レントラーはそれでもと降参を拒む。夫レントラーは妻に対して降参して欲しい気持ちと、それでも立ち上がって欲しい気持ちと。エースバーンの手は容赦なく、妻レントラーの陰部の突起をを強く押した瞬間。

「ひゃぁあああっ!」

 妻レントラーは悲鳴と共に果てた。夫や住民たちの衆人環視の中だというのに、守護者の立場だというのに。力無く汁を漏らす股、濡れて窄む周りの毛並み。

「うーん。流石にこれ以上は勘弁してあげたいんだけど、やっぱり諦めない?」
「うぅ……。ゆるさない……!」
「そう。じゃあ、やるしかないね」
「えっ?」

 エースバーンはレントラーに覆い被さり、口では拒んでも愛撫されて準備万端の割れ目に先端を宛がう。エースバーンのものの方も、妻レントラーの艶姿で既に準備は万端であった。挿入。

「やめっ……畜生がっ!」

 制止を掛けようとした夫レントラーの悲鳴は、しかし振り向く住民たちの目線に封殺される。自分以外許されなかったはずの聖域に、しかも外敵以上に憎らしい相手のものが入っていく。それをただ眺めていることしか許されないのは、妻とともに守護者として自分たちを絶対的にしていたはずの掟であった。

「うーん、いい締り……」
「ああっ! ああっ!」

 エースバーンのものはそこまで大きくはないが、既に出来上がっていた妻レントラーの中はこれでもかと言うほどに締め上げる。四足の種族にとって相手に腹を晒すことは最大の屈伏である筈なのに、憎んでいるはずの相手と腹を合わせている現実。拒みたいはずの目の前の状況を、しかし拒めなくしてしまうだけの押し寄せる快楽。

「出す……ぅあっ!」
「ああああああっ!」

 妻レントラーが意思に反して必死に搾り取る、その力に任せて、エースバーンは中に熱を吐き出す。炎タイプというだけあって熱い精液は、妻レントラーの意識を、プライドを、情け容赦なく焼き払っていく。自らを締め付ける快楽に対し、憎む相手に体を許してしまった不快感と屈辱が激しく衝突する。それだけでももうここから消え去りたいというのに。

「まだ続けるんなら、何度でもやってあげるけど?」

 容赦することのないエースバーンの追及。これに乗れば即ち快楽だけは重ねて貰えることが約束されるが、それ以上に不快感と屈辱、そして夫への申し訳なさまで加わりいたたまれない。早めに降参しておけばここまでにはならなかったのにと、悔やむばかりである。

「うぅ……。降参……します」

 妻レントラーは折れた。その言葉を聞いた住民たちは、こぞって歓声を上げる。遂にこの高圧的な守護者から解放されると。一騎討ちの最中が掟で雁字搦めだったのもあり、終わった瞬間の反動でより開放的になっている。が。

「うん、さて。独り納得いかないのがいるみたいだけど?」

 エースバーンの言葉と目線で、一気に静まり返る。妻が守護者の座から引きずり降ろされた上、二人で憎んでいた相手に寝取られることとなった。それを掟によりただ黙って眺めているしかなかったということが、何よりの屈辱であった。

「納得とかじゃない! おのれ、おのれ!」
「仕方ないな。相手になってあげるから、ほら」

 そんな夫レントラーの前に、エースバーンはホイッスルを転がす。一騎討ちに勝利してなった新たな守護者は、一晩休んだのちに台座に戻すのが掟である。前の守護者との戦いに疲れて弱ったところを急襲し、本来であれば守護者につけないような弱い者が立つのを防ぐためのものでもあるのだが。しかしエースバーンは自らその守られる立場を放り転がした。

「なっ! おのれっ……!」

 夫レントラーも、流石に一瞬は逡巡する。自らを守る筈の掟を転がしてまで機会を与える、これは罠か挑発なのではないか。だが罠だったとしても、最早何であるというのか。妻を穢され今また掟を冒涜し、このような者を許してなどおけるか。何よりもそれを黙って見ていた、黙って見ていざるを得なかった自分が腹立たしい。ならば、答えは一つ。

「もう、知るかぁっ!」

 夫レントラーはホイッスルを吹かず。即ち掟を破る凶徒としてエースバーンに食って掛かる。たとえ勝ったとしても、その後は掟による裁きが待っている。もういっそその方がいい。目には迸る怒りと、僅かながらの涙。そんな夫レントラーに対しエースバーンは。

「はいっ!」

 股間に手を伸ばして撫で、その手を夫レントラーに向けて振るい。先程妻レントラーに対して使ったのと同じ動きを行なう。そして。

「うっ! あっ?」

 夫レントラーもまた足を縺れ(もつれ)させよろける。両後ろ足の間から、何故か一瞬で出来上がっていた性器が顔を覗かせており。

「同じ手に掛かっちゃうのね? もう少し冷静になった方がいい……よっ!」

 エースバーンは足に炎を纏わせ、夫レントラーに向けて飛び蹴りを入れる。ブレイズキック。夫レントラーは体を弾かれてもんどりうつ。地面に叩きつけられて股が開かれると、改めて盛大に勃起した性器が露わになり。住民たちもこれには当惑した表情となる。

「ぁっ! ぁあっ!」

 自分でも何が原因なのか理解できないまま起こる心身の脈動。性器を晒してしまったことに羞恥する間もなく。言うことを聞かなくなりそうな体に鞭打ち、必死の思いで何とかエースバーンにワイルドボルトで飛び掛かるが。しかしエースバーンは無情にも夫レントラーの額に足を乗せ、軽く受け止めてしまう。

「君も堕ちたようだし種明かししようか。俺の特性、知っての通り『変幻自在』にタイプを変えるものなのだけどね」

 もはや聞こえているかどうかもわからないというのはエースバーンの内心であるが。自らの体を小物でも受け止めるように乗せた足の先、夫レントラーの目線には嫌でもエースバーンの割れ目が入ってくる。そして先程妻レントラーを犯した性器は、無い。驚愕より先に本能が夫レントラーの脳内で胎動し、唾の塊を飲む音を響かせる。

「タイプってのは俺たちポケモンの命の根幹に関わるものだから、性別にも応用できないかなって思ったんだよ。そしたら苦労はしたけど成功しちゃってさ」

 火炎ボールを扱うのと同じ要領で、エースバーンは足を繰り夫レントラーを横に転がす。妻と同様に「闘争心」を掻き立てる特性が仇となり、ワイルドボルトも力が入っていないのがわかる。レントラー夫妻の勝ち筋であるこの特性は、確かに性別を自由に変えられるポケモンが相手だとしたら仇となる。そんなポケモンの存在は今まで聞いたことも無かったが、弱点を突くために編み出したとなると話は変わってくる。同じ種族でも過去に覚えられなかった技を覚えられるようになったり、ポケモンたちも研鑽を重ねているのだ。

「まあ……流石にここまで堕ちるとは思わなかったけど、俺も酷いことはしたくないからね。もう二度と挑もうとは思わないように、徹底的に堕とすだけにするつもりだよ」

 再び地に落ちた夫レントラーに寄ると、足先を操り大股を開かせる。先程以上に天を突く形で存在を誇示する性器。その根元にエースバーンが足を重ねる、それだけで。

「ぁぁぁあああっ!」

 夫レントラーは達して悲鳴を上げる。吐き出す精液に振り回されて暴れそうになるそれを、エースバーンは更に踏み込んで制御する。精液は夫レントラーの黒い毛並みに掛かり、鮮明な対比色となる。吐き出すこと十数秒、ようやく止まったと思った瞬間には。

「ほら、堕ちるんだよ? もっと出さないとね?」

 火炎ボールを扱う足技は、ここにも健在であった。エースバーンは夫レントラーの性器を、足先で扱き始める。本来であれば一騎討ちの敗者は命を奪われても仕方ないというのが掟である。だが嫌われ者と言えど、流石にこの地の仲間に手を下す気にはなれないエースバーンは、この「闘争心」を折り「メロメロ」を仕掛ける更に先まで突き進むことで立ち上がる力を奪うだけに留めようと決めていた。本来であれば守護者を決める神聖な一騎討ちの中なので、住民たちはげんなりとしているが。

「もっとも、君たちは掟だけが全てみたいだけどね?」

 立ち会う住民たちの中で、まだ若干あどけなさが抜けないキバゴたちにエースバーンは目線を向ける。流石にこの戦いようは見せられないと、周りの大人たちに目線を遮られているが。過去に妻レントラーに挑んだオノノクスは、その「じゃれつく」がごとき手足の打ち付けで片腕が不随となってしまった。そのオノノクスもまたレントラー夫妻を問題視しての挑戦であったのだが、弱点を狙う地面技が溢れる豊穣で弱らされて当惑しているうちに敗北を喫したのである。夫妻と同じく「闘争心」の持ち主であったため、エースバーンの性転換能力の開発と確認には非常に良い相手となった。そのオノノクスの子供たちは、母親をあのような体にしたレントラー夫妻を憎んでいた。

「本当に悪いのは掟の方だから、君たちだけを責めるのは酷な話だとは思うよ?」

 それでも掟に重きを置く者が多いこの地において、エースバーン自身はその行い自体は強く否定してはいない。彼女にとっては戦う相手はレントラー夫妻ではなく、その根底にある掟そのものなのであった。昔は何らかの形で必要だった掟なのだろうが、今は枷となっている部分も多い。だから自分が守護者となり変化へと一喝する。

「まあ、今は……気持ち良くいっちゃいなよ!」
「はああぁあぁぁっ!」

 エースバーンに再び性器を踏み込まれ、夫レントラーはまたも絶叫しながら精液を吐く。精液は腹や胸の毛並みでは吸い切れない量で、脇腹から地面に音を立てて垂れている。悲鳴と共に出し切ると、今日はもう使い物にならないと項垂れる性器。それ以上は仕方が無いので、エースバーンは足先に付いた精液を夫レントラーの尻で拭い、犯されてから未だに起き上がれないでいる妻レントラーに目を向けた。

 地に転がされたホイッスルを拾おうとする者は、誰もいなかった。レントラー夫妻からエースバーン、その時代の流れを皆が受け入れるかのように。



新年一発目からこれだよ!

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Last-modified: 2023-01-02 (月) 14:33:06
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