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たった一つの行路 №240

/たった一つの行路 №240

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「うぅ……」

 彼女が目を覚ますと、天井は鉄で舗装されていた。
 辺りを見回すと、そこはマグマのフロアではなかった。
 奥の方のフロアがマグマのフロアだということを眺めて理解した。

「私は……」
「大丈夫?」
「……!」

 目の前に姿を現したのは、先ほどまで自分が戦っていた相手、ケイだった。

「どこも痛くない?」
「……痛く……ないわよ」

 マジマジと見つめられて、気恥ずかしくなるティラナ。
 ケイはそんな彼女にモンスターボールを見せる。

「セレビィは返してもらうよ。これはカレンお姉ちゃんの友だちだから……」
「…………」

 黙りこくってしまうティラナ。

「ねぇ、クロノの場所を教えてくれない?僕は一刻も早くオーレ地方を元に戻したいんだ」
「どうして……?どうして元に戻したいの?」
「みんなの悲しみを救いたい。そして、ある人の笑顔を取り戻したいから……」

 そう語るケイの横顔が、少しだけ逞しく見えた。

「(……なに、この胸の高鳴り……) その……装置」

 ティラナは奥の方にある装置を指差す。

「その装置のパネルの上の部分がワープポイントになっているわ」
「ありがとう」

 ケイは立ち上がる。

「じゃあね」

 そういって、優しい笑顔でケイは消えていった。

「(なんで……教えちゃったんだろう)」

 ポカンと漠然とした表情をするティラナ。

「(悲しみしか信じられない私が……どうしてこんな気持ちになるんだろう……?あいつの……ケイのせいなの……?)」

 胸を押さえて、ティラナは思った。

「(私に無理矢理他の感情を与えつけたケイなら、もしかしてクロノの闇の力も…………)」



 たった一つの行路 №240



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 ―――通風孔フロア。

 ドゴォッ!!

 鉄の壁が崩れ去る。
 そして、広いフロアに二匹のポケモンが姿を現し、激しく激突を繰り返す。
 一匹はオオスバメ。
 吹っ飛ばされるようにして跳んできた。
 それを追撃するのは不気味なオーラを纏ったゴルバットだ。

「『ウインドスラッシュ』!」

 翼をクロスさせて突っ込んでいく。

「『蒼燕斬<そうえんざん>』……」

 風を纏って、オオスバメは吹っ飛ばされながらも、急加速で逆ベクトルに力を加え、ゴルバットを真っ向から討ちに出た。

「無駄だ」

 ズバッ!!

 翼でオオスバメを真っ二つにしてしまった。
 ところが、オオスバメのトレーナーはまったく動じる様子もない。

「……『弐式』DA!」
「!!」

 真っ二つになったオオスバメのすぐ後ろから、“本物の”オオスバメが飛んで来た。
 ゴルバットはオオスバメの威力に差し押さえこまれ、地面に叩きつけられようとする。
 しかし、寸前のところで体の力を抜いて、脱出することに成功する。

「『遊覧滑空<ゆうらんかっくう>』」

 そのままゆったりと浮かんでオオスバメを迎え撃つゴルバット。

「『サイコキネシス』DA!」
「…………。 スリーパー」

 ゴルバットとオオスバメが激突する寸前で、両者共に新たなポケモンを繰り出す。

「ザンクス……意外とお前は卑怯だな」
「そうでしょうKA?それが戦いの基本と言う奴ですYO」

 FUFUFUとザンクスは不気味に笑う。

「戦いにおいて弱みを見せると言うことは、それは戦術か隙しかないのですYO」

 サイコキネシスをあっさりと耐え抜くスリーパー。
 それを見て、スターミーは高速スピンをしながら、体当たりを仕掛けてきた。
 『ダークカッター』で反撃するスリーパーだが、不規則な動きで回避されてしまう。

 ガキッ!!

 チャクラムで受け止めるスリーパーだが、そのまま吹き飛ばされてしまう。

「でも、こうやって私を標的のオトハから離した事は賢明ですNE」
「ああ。これで思いっきり戦うことができる。『ダークスライス』」

 スリーパーの持つチャクラムが黒い刃を帯びる。
 スターミーを迎え撃って出た。
 ところが、クロノとスリーパーは水の塊に閉じ込められてしまった。

「『ウォータープリズン』DA」
「…………」

 しかし、クロノは冷静だった。
 闇の力を纏ったチャクラムで、水を切り裂いて脱出を図る。
 サイコキネシスで固定された水は力を失い、地面を濡らした。

「そこが隙ですYO」

 ドゴォッ!!

 オオスバメの超特攻がスリーパーを一撃で倒してしまった。
 しかしながら、その背後にはゴルバットがいた。

「『ダークレイブ』」

 闇のエネルギー弾を放つ。
 オオスバメに命中して、オオスバメは消滅した。
 その後ろから、本物のオオスバメがゴルバットを急襲しようとしていたのだが……

「MU!?」

 ダークレイブはまだ死んではいなかった。
 身代わりを突き破り、本物のオオスバメをもなぎ倒してしまった。

「やりますNE!」
「……上か」

 クロノは次のモンスターボールを構えていた。
 相手のエレキブルを見て、遊覧滑空でも攻撃をかわすことはできないと読んだのだろう。
 その読みは的中し、電気の球をぶつけられたゴルバットはダウンしてしまった。

「ブラッキー、スリーパー、ゴルバット……これで3匹がダウンか……」
「FUFUFU……こっちが倒れたのはオオスバメだけですYO」

 そういって、余裕の笑い声をあげるザンクス。

「まさか、お前がこれほどやる奴だとは思わなかった」

 そして、新たにクロノが繰り出したのはゴーストポケモンのゲンガーだ。

「いよいよシファーを倒した奴が出たNA」

 一旦エレキブルを戻すザンクス。
 クロノのゲンガーの危険度をザンクスは理解していた。
 相手が集団でも、影を操って拘束して叩き、1対1でも強力な闇の技を持って相手を圧倒する。
 その力に、カツトシ、シファー、そして、ハルキまでもが屈服してしまうほどの強さである。
 シファーを倒した実力を知っているからこそ、かつての世界の破壊者であるザンクスも警戒しているのである。

「アルセウスは失ってしまったが、新たな切り札で倒してあげま…………!」

 「すYO!」と、言う唇でザンクスが言葉を濁す。
 後ろからの気配に気付いて、ザンクスがふっと振り向いたのだ。

「他の侵入者がここに来たか」

 クロノも冷静に敵を見る。
 その敵とは……

「オーゥ、クロノを見つけたぜ!」

 上半身裸体の手拭いを巻いた男と……

「え?ホント……?」

 キャミソールを着た茶髪のどこにでもいそうな女の子だ。
 二人の名前はコズマとナルミと言う。
 ところが……

「で、どっちがクロノなの?」
「あ゛。どっちって、黒一色の男……だろ?」

 と、コズマは二人を見比べる。
 片方は黒いスーツに黒の髪。
 一方は黒いタキシードにドレッドヘアに黒い帽子。

「だからー!どっちなの!?」

 ナルミはじれったくコズマに突っかかる。

「知るかっ!俺様に聞くなッ!!」

 どっちもクロノを見た事がなかったようだ。
 これじゃどうしようもない。

「こうなったら、どっちも倒してやる!」
「えー……極端すぎー……」
「なんだか、面白い連中ですNE」

 KUSUKUSUとザンクスは薄気味悪く笑う。

「『シャドークライシス』」
「!」

 極大のシャドーボールがコズマ、ナルミ、そしてザンクスに襲い掛かかり爆発した。
 ところが、その爆風からサンドパンが飛び出した。

「『シャドークロー』だっ!!」

 ひらっと攻撃はかわされるが、ゲンガーは必死に回避する。
 一撃の重さを悟っているのか、攻撃を止めようとはしなかった。

「攻撃を私に防御させておいて、自分が攻撃するとは……抜け目ないオヤジですNE」

 煙から晴れたところに出てきたのは、ザンクスとそのポケモンであるスターミーだ。
 水のパワーとエスパーパワーを融合させたバリアーがゲンガーの攻撃を防いだようである。

「『シャドークライシス』」
「ぶった切れっ!!」

 左の爪が風を切る『真空斬』。
 右の爪が黒き力を纏った『シャドークロー』。
 その両方の爪で十字に切って、クロノのシャドークライシスを4等分にしてしまった。

「…………」

 それを見て、クロノは二歩後退した。
 同時にゲンガーもクロノと同じくらい後退した。

「そろそろか?やるしかないようだな」
「何をするんだ?言え!」

 クロノはふっと鼻を鳴らすと、その場から消え去った。

「なにっ!?」

 同時にサンドパンもその場に立つと、消え去ってしまった。

「ちっ!ワープポイントで逃げやがったな!?逃がさねーぜ!」

 コズマも急いでワープポイントにタッチして消えて行ったのだった。

「なんてせっかちなオヤジなんだろうNE。で……君はどうするつもりなんDA?」

 ザンクスは残された女の子と対峙する。

「あんたが……クロノなの?」
「FUFUFU……残念ですが、私の名前はザンクスと言いますYO。全ての世界を破壊する者ですYO」
「全ての世界を破壊する者……?」
「その通りDA。2年ほど前に組織『エグザイル』は禁忌<タブー>を復活させて、世界を全て征服しようとしたのですYO。しかし、数名のトレーナーが私たちの野望を阻んだんですYO。その阻まれた影響で、私は記憶を失いこの世界に堕とされたのですYO」
「……それで、あんたは一体ここで何をしようとしているの?まさか、また世界を征服するなんて言う訳じゃないでしょうね!?」
「その通りならどうしますKA?私を止めてみますKA?」

 その言葉を聞いて、ナルミはモンスターボールを構える。

「追々そうするつもりですが、ここでの目的は別にありますYO。エグザイルを潰した一人、そして、この私のかつての切り札を破ったオトハを始末することですYO!」
「……狙いはオトハさんなの!?」
「そうですYO!始末したら、世界崩壊の準備を再び始めるのですYO!!」
「そんなことは……させないわ!私があんたを倒す!」
「FUFUFU……どこにでもいそうなただの娘が面白いことを言いますNE」
「ただの娘じゃないわ!私の名前はナルミ!オートンジムのジムリーダーよ!」
「それがどうしたんDA?」

 パチンとザンクスが指を鳴らす。
 すると、ナルミの背後にスターミーが回りこんだ。

「ジムリーダーごときが私に敵うとでも思っているのですKA?」
「っ!!」

 強力なハイドロポンプがナルミに向かって放たれたのだった。



 86

 一方、クロノを追っていったコズマは、ワープポイントによって、先ほどの通風孔フロアとは別の場所に来ていた。

「のわっ!?ここはっ!!」

 その場所を確認して、コズマはただ驚くしかない。
 切り立った断崖絶壁。
 その移動のための空中に浮かぶいくつものリフト。
 島の中でも風がよく吹く危ない場所である。

「うぉっぷ……」

 コズマは急に顔色を悪くして、下を向く。

「畜生……吐き気がする……」
「お前は高いところが苦手なんだろ?」

 コズマよりも先にこの場へワープしてきていたクロノがリフトに乗ってコズマに近づいていく。

「何で知ってやがる!……うぷっ……」
「なんで知っているか?お前達のことを見ていた奴がいるからな」

 おもむろにクロノは右手を挙げた。
 それが合図だったようで、空から黒い塊が降りてきた。
 いや、塊と言うのは何か違う。
 よく見るとその塊はカサゴソと蠢いていた。
 そして、次々と黒い羽根を地面に落として行っている。

「コズマとナルミと言ったか?いいタイミングで来てくれたものだ。おかげでザンクスを倒すために力を蓄えるキッカケを作ってくれた」
「あ゛ぁ?キッカケ?」
「邪魔者であるザンクスとお前達侵入者を消すことができれば、次はこの世界の時の存在を消滅させる!」
「世界の時の存在……?どういうことだ?」
「今まであった歴史の全ての消去だよ」

 クロノはリフトに乗って上へとあがっていく。

「なっ!?待ちやが……うぅ……」
「お前の相手をしている暇はない。後は任せた。ウゴウ」

 黒い塊から出てきたのは、フードを被ったカラスのような目をした男だった。

「ようやく僕の出番が回ってきたようだな」

 その男とは風霧に所属していたヤミカラス使いのウゴウだった。
 風霧のボスのバドリスが組織を解散したときに、バドリスについていかなかった唯一の幹部だった。
 クチャクチャとガムを噛んでいるのは相変わらずである。

「クロノはさっさとアレをやってきなよ」
「言われなくてもやる」

 そうして、クロノはその場から去っていってしまった。

「さーて、そこのオヤジを消すんだけど……」
「だーれーを消すって!?このガキがっ!」

 キングラーを繰り出すコズマ。

「『クラブハン……うぷっ……」

 しかし、酔っていて技の指示が出せない。
 コズマは高いところにいると酔ってしまうと言う、空酔いなのだ。

「相手にならないね」
「うぉっ!!」

 黒い塊……もといヤミカラスの軍勢たちは、コズマに襲いかかって行った。
 キングラーは重量感たっぷりのハサミを振り上げて、ヤミカラスを叩こうとする。
 しかし、数が多すぎる上に攻撃を回避されてしまう。

「『漆黒の渦』!」

 ぐるぐるとヤミカラスたちは、コズマとキングラーを包囲した。

「(全てヤミカラス……いや、ドンカラスも混じっているのか?なら、ドンカラスを潰せば……)」

 とは考えるものの、体がついていかない。

 ドガッ!!

「ぬおっ!」

 つつかれたり、翼で打たれたりしてダメージを受けるコズマ。
 それはキングラーも同じだが、持ち前の丈夫さを生かして、攻撃を耐えていく。

 ドガバキッ!ドガバキッ!

「ぬぉっ!!このスペシャルな俺様を……舐めるなぁっ……うぷっ……」

 断崖絶壁を見てしまい、再びコズマは膝をついて下を向く。

「やれ」

 その隙をウゴウは逃がさない。
 コズマとキングラーに一斉攻撃を仕掛けたのだった。



 86

 ―――ニケルダーク島司令室。

「……ふぁ……確かここはヘリポートの下の部屋……」

 ケイは2年前の記憶を辿り、思い出していた。

「この上でデスゴルドと戦ったんだよね。……クロノももしかしたらそこにいるのかな……?」

 ポツポツと独り言を零しながら、階段を探すケイ。

「その通りですよ。クロノさんはこの上にいます。でも……」
「……ふぁ?」

 声が聞こえて来た方を見て、ケイはすぐにモンスターボールを構える。
 向かってきたのは大きな水の塊……『アクアジェット』だった。

「行かせません!」
「……あれ?君は……3人の中でオッパイが大きい人!?」
「……っ! 慈愛のソフィアです!」

 名前を覚えられていなくて、がっくりとするソフィア。
 それだけでなく、変な名称で呼ばれて、すっかり顔を赤くしていた。
 蒼い装飾の少女は、唇に血を滲ませていた。
 それ以外に変わったところと言えば、服がぐっしょりと濡れていて、風邪を引きそうだなと言うところだった。
 そんな間にも、エンペルトの攻撃は続く。
 アクアジェットを受け止められて次に放ったのは、『ラスターカノン』。
 しかし、デンリュウは電撃で攻撃を相殺する。

「確かおじさんのところへ行ったはずなのに……おじさんをどうしたの!?」
「あのおじさんなら知りません。それよりも私にとってクロノさんを守ることのほうが大事なんですから」
「じゃあ、やっぱりこの上にいるんだね!?」

 デンリュウが拳をぎゅっと握ってエンペルトを殴り飛ばそうとするが、腕のガードでダメージを軽減されてしまう。

「絶対に行かせません。私がここであなたを倒します」

 『鋼の翼』を叩き込まれてデンリュウは押し戻された。

「全てはクロノさんのため……愛するクロノさんのためならどんなことだってします。例えそれが世界の時を破壊することでも……」
「世界の時の破壊……?」
「私はこの世界が嫌いなわけじゃありません。しかし、クロノさんが『この世界はリセットが必要だ』って言ったのです。その言葉を信じます!」
「うわっ!!」

 後方に回り込まれてハイドロポンプを受けてしまうケイとデンリュウ。
 何とか体勢を立て直して、立ち上がった。

「一時はクロノさんを憎んだこともありました。私の思いを受け止めてくれず、突然現れたオトハと言う女の子に夢中になって嫉妬していました」

 ソフィアは胸を押さえて俯いていたが、やがて顔を上げてケイを覚悟した顔で睨んできた。

「でも、そんなのはいいんです。クロノさんの思う通りの世界になれば……どうなったってかまわない!」
「ふぁ……クロノって人を崇拝しているんだね……そして、好きなんだ……」

 ケイの問いに頷かず、じっと見てくるソフィア。

「でも、僕たちはどんな理由があっても、クロノを止めないといけない。一人の意思で多くの人をこんなに悲しめちゃダメだよ」
「あなたにダメだと言われても、もう止まりません」
「ううん。絶対に止めるよ」

 デンリュウが『10万ボルト』を放つ。
 懇親の一撃だったが、エンペルトは水の膜を張って、電撃を水に吸収してしまう。

「『アクアウォール』です!!」

 そして、受け止めた電気を纏った水は壁のように形状化して、ケイとデンリュウへと襲い掛かっていく。
 まるでコンピュータが壊れてもお構い無しの津波のような大きさだった。

「デンリュウ」

 目の前に『光の壁』を張って、前に進んでいくデンリュウ。
 力技で一気にその水の壁を抜けていった。
 その後ろにケイもついて行き、攻撃をかわした。

「エンペルト、『ハイドロクランチ』です!」

 大きく息を吸い込んだエンペルトは、連続して5発の水弾を放ってきた。
 しかも、その攻撃は一撃ごとに威力が増して行っている。
 ソフィアのエンペルトの切り札の技のようだった。

「デンリュウ、『充電』、『かみなりパンチ』!!」

 ソフィアのエンペルトに対して、チェーン技を仕掛けるデンリュウ。
 相手のハイドロクランチをかわし、光の壁で受け、パンチで相殺し、接近して行く。

「(……耐えられてしまった!?)」
「そこだよ!」

 ズドォ―――ンッ!!

 デンリュウの一撃が炸裂したのだった。



 87

「……さて……」

 クロノが辿り着いたのは、ニケルダーク島の最も高く広い場所だ。
 そこはかつてケイがダークルギアをスナッチした場所でもある。
 すなわち、ヘリポートである。
 クロノは意識を集中させる。
 すると、右手から黒い光を浮かびだした。

「やはり、この力は素晴らしいな。“究極の闇の存在”」
『まさか、この私に憑依されても自我を保てる人間が居るとは……』

 その黒い光は言葉を喋っていた。
 いや、実際は何かのテレパシーなのだろうか?
 本当のところはよくわかっていない。

「だが、この程度ではまだまだだ」

 そういって、クロノは今まで誰にも見せたことのない6つ目のモンスターボールを取り出した。

「こいつの力を引き出して、俺の力は全てを超越し、過去と未来のすべてを消滅させる力を生み出すのだ!」



 第三幕 The End of Light and Darkness
 混迷のニケルダーク島④ ―世界の破壊者ザンクスvs真深<しんみ>の闇クロノ― 終わり



 ザンクスの猛攻撃に対してナルミに為す術はあるのか……?


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Last-modified: 2015-12-27 (日) 23:50:24
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