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たった一つの行路 №231

/たった一つの行路 №231

「ナルミさん。お願いします」
「ええ……」

 赤い閃光がフィールドの中心にある装置を通り抜けた。
 その一瞬で装置は斜めに切断されて、爆発した。
 すると、上空へ立ち上っていた蒼い光の柱は消えて行った。

「ハッサム、ありがとう」

 役目を終えた赤き閃光は大人しくナルミの掲げたモンスターボールの中へ入っていった。

「…………。ナルミさん、行きましょう」
「…………」

 声をかけるものの、しばらく彼女はその場にペタンと座り込んでいた。
 リクはそっとしてあげるべきか、励ましたらいいかで迷い、その場をあたふたとしていた。
 彼があげたハンカチを、ナルミはまだ右手にぎゅっと握り締めている。

「(やっぱり、励ました方がいいですよね……)」

 声をかけようと手を伸ばしたそのときだった。

「仕方がないよね」
「え?」

 ナルミが顔を上げて呟く姿をきょとんとしてリクは見る。

「自分の意思には責任を持たなくちゃいけないということ。こんな結果になっちゃったのは、私の意思とログくんの意思の結果。だから、後悔しちゃいけないのよ」

 自分自身にナルミは言い聞かせると、バッと立ち上がってフィールドの淵へと歩いていった。

「え!?ナルミさん!?」

 その先にあるのがログも落ちた溶岩だと気付くと慌ててリクはナルミに近寄って行った。

「……ん?そんなに慌ててどうしたの?」
「早まらないでください!」
「……? まさかリクくん、私がここから飛び降りるとでも思ったの?」
「…………」

 違ったのですか?という顔をすると、ナルミはぷっと笑った。
 リクに背を向けて下を向いてナルミは手を合わせた。

「……ナルミさん……」

 彼女の意図がわかると、リクも彼女の隣に並んで、数秒間手を合わせた。

「さっ、リクくん、これからどうするの?」
「あっ……えっと……」

 さっきまでしんみりとした雰囲気に対して、ナルミは元気よくリクに問いかける。

「とりあえず、他の人に連絡を取って……それからです。一度フェナスシティに戻ろうと思います」
「そうね。急ごう!」

 何事もなかったかのようにナルミは出口に向かって走り始めた。

「(ナルミさん……凄いですね。とてもじゃないですけど僕にはできません)」

 もし自分がナルミの立場に立ったらとリクは考えた。
 自分だったらきっと2~3日くらいは、後悔で動けないとリクは思った。

「(しっかりと今の状況を割り切って前に進もうとしています。僕もナルミさんみたいな強い人になりたいです。そしていつか…………)」
「リクくん!早く!」
「は、はいっ!今行きます!」

 頬を赤くしたリクはナルミに呼ばれるとハッとし、急いで彼女を追いかけて行った。

「(これで固化現象が止まってくれればよいのですが……)」



 たった一つの行路 №231



 69

 ―――エクロ峡谷付近。風霧の元アジト。

「はぁはぁ……くっ……ぐおっ!!」

 蒼き燕の猛攻がカツトシに襲い掛かる。
 電光石火で自在に駆け巡るオオスバメは、ジリジリとカツトシを痛めつけていった。

「さぁ、どうしますKA?」

 カツトシに対して、余裕綽々のナポロン。
 カツトシのムクホークがダメージで鈍っていることをいいことに、カツトシを狙い続けている。

「く……っ……(この場は狭い……もう一匹出すスペースはない)」

 カツトシがいる場所は、風霧のアジトで地下にある狭い部屋。
 ゆえに相手と自分でポケモンを一匹ずつ出すと、他のポケモンが動けないほどのスペースになってしまう。
 もし出したとなれば、攻撃が味方にあたってしまうこと間違いないだろう。

「ムクホーク、頼む!」

 だから、カツトシはボロボロでもムクホークにこの状況を打開してもらうしか他はなかった。

「オオスバメ、受け止めるんDA!」

 燕返しでムクホークを捌きにかかるオオスバメ。
 がむしゃらに突っ込んでくるムクホークなど恐れるに足らないと思ったのだろう。

 ドゴォンッ!!

「っ!?どういうことですKA!?」

 この一撃を甘く見ていたナポロンのオオスバメが押し負けた。
 ムクホークもオオスバメも吹っ飛んで部屋の壁にぶつかる。
 そして、次の一撃を決めたのは、こうなることを信じていたトレーナーのほうだった。

 ズドォッ!!

 壁のダメージで怯んだオオスバメに向かって、ムクホークが電光石火を決めた。
 この一撃が決定打となり、オオスバメをノックアウトさせた。

「ムクホーク!装置を頼む!」
「させませんYO!」

 出てきたのは、虎模様の電気ポケモン、エレキブルだ。
 ムクホークの突撃を体全身で受け止めて、進撃を止めた。

「ムクホーク!『がむしゃら』だ!」

 エレキブルの腕を暴れるように振り払い、打っ飛ばす。
 常軌を逸したパワーにナポロンは一瞬だけ驚いたが、次の瞬間には納得したように鼻で笑った。

「エレキブル」

 シュンッ!! ドゴォッ!!

「っ!!ムクホーク!」

 エレキブルを振り切って、装置を壊そうとブレイブバードで向かって行ったムクホーク。
 しかし、虎のように後ろから追って来たエレキブルが、ムクホークを電気の纏った手で叩き落した。

「(……速い。装置を壊す隙もまったくない。…………。)」

 カツトシはマスキッパを繰り出した。
 伸びるムチで『パワーウィップ』でエレキブルを討ちにかかる。

「なるほどNE。避ければ装置に当たるというわけですKA」

 攻撃の意図を読み取って、指示を出すナポロン。
 エレキブルは『パワーウィップ』を電気を纏った手で弾いていく。

「あなたはナポロンといいましたよね!?あなたはクロノの仲間なのか!?」
「FUFUFU……クロノの仲間……いい読みですNE」

 続けざまにパワーウィップを続けるマスキッパ。
 このままエレキブルに反撃の隙を与えない。

「それなら、オトハさんは無事なのか!?」
「……オトハ……?」

 不意にナポロンの顔から表情が消えた。
 それに気づくカツトシ。

「ん……?おい、オトハさんは無事なのかって聞いているんだ!」

 カツトシの勢いを受け継いだマスキッパがエレキブルに一撃を与えて吹っ飛ばす。
 均衡を破ったのだ。

「オトハ……どこかでその名前を聞いたことがあるんだよNE……」

 膝をつき、頭を抑えるナポロン。
 そして、苦しそうに呻き声を上げる。

「(一体なんだって言うんだ……?ともかく、あいつが隙を見せているうちに装置を……)」

 マスキッパの種マシンガンが装置に向かって放たれる。
 しかし、回り込んだエレキブルが10万ボルトで攻撃を弾き飛ばす。

「(さっきの『パワーウィップ』で倒れないのか!?)」

 再びマスキッパとエレキブルが打ち合いを続けることになった。

「(オトハ……そうDA……その名前の女とはどこかで戦ったことGA……)」
―――「私の名前はオトハです。あなたたちを倒しにきました」―――
「(“あなたたち”って、誰のことDA?)」

 ナポロンの記憶の断片が少しずつ少しずつ繋がってきていた。

「(クロノにも……ここではないどこかで会った事が……)」
―――「月島を滅ぼして、“あるもの”を見つけたいんだ」―――
「(そうですNE……やっぱり、会った事がありますNE……他にもタキジ、クレア、ダイナ……)」
―――「卓球は楽しい。君もそう思うだろ?」―――
―――「スイクン!『聖なる風』です!!」―――
―――「闇の力で俺は……この世界を…………」―――
―――「……情けないわね。あんな小娘に負けるなんて……もうあなたは用済みよ」―――
「……っ!!」

 そのとき、ナポロンはバッと立ち上がった。

「FUFUFU……FUFUFU……HAHAHA!!そういうことKA!」
「なんだ……?」

 突然笑い出したナポロンをカツトシは不気味そうに見ていた。

「さて……これからどうしましょうかNE」

 カツトシを見ずにナポロンは、軽く頭を右手の5本指でトントンと叩いて、考え事をする。

「(よくわからないけど……隙だよな!?) マスキッパ!!最大パワー!!」

 パワーウィップを力込めて、エレキブルに向かって放った。

「さっきから、邪魔ですNE」

 ドゴンッ!!

「っ!?」

 振り下ろしたムチは、エレキブルが側面を叩いて攻撃を逸らしてしまった。
 ゆえに攻撃はエレキブルにも装置にも当たっていない。
 さらに、次にカツトシがマスキッパを見たときには、

「『雷鳳丸<らいほうがん>』!!」

 テレポートのように音もなく近づいてきたエレキブルによって吹っ飛ばされていた。
 電気の塊をぶつけられたマスキッパは、凄まじい電圧をその身に受けてダウンした。
 草系のアドバンテージがあるにもかかわらず。

「マスキッパ!?くっ……トリトドン!」
「もうお前の相手をしている場合じゃないんですYO!」

 エレキブルは手から1つの電気の塊を繰り出した。
 しかし、それだけではなく、電気の塊に力を与え続けると、そこから更に8本の剣が生まれた。

「(なんだかわからないけど……まずいッ!!) 『濁流』!!」
「『日輪と雷剣<ラウンドスライサー>』!!」

 部屋の半分を飲み込もうとするトリトドンの濁流。
 だが、それを上回ったのは太陽……電気の塊の中心を回りながらカツトシたちへ向かう8本の電気の剣だ。

 ドガガガガッ!!!! チュドォォォッンッ!!!!!!!

「ぐっ……うわぁああああっ!!!!」

 この一撃で、地下室の半分が消し飛び、さらにその地下室の天井に穴を開けた。
 空は気持ちよく浮かんでいる雲が見える。

「さて……少しやらなくてはいけないことがありますNE」

 ナポロンはギャラドスを繰り出してその背に乗った。

「まずはもう一度あいつに会わないといけませんNE」

 エレキブルがあけた穴からナポロンは脱出して行ったのだった。

「……っ……」

 そして、カツトシはダウンしたトリトドンと共に、その場に取り残された。
 強大な電圧を受けて、考えることも動くこともできず、そのままカツトシは気絶してしまったのだった。



 70

 ―――ポケモン総合研究所跡地。

「一体……どこに行ったのでしょうか……?」

 青い服の優しい雰囲気を纏った女性が、エンペルトと一緒に首を傾げて周りを見る。
 まわりには崩れた瓦礫やバラバラになったテントがあり、それらはすべて凍りついてしまっていた。
 それは、固化現象によって生じたものであり、彼女のエンペルトの放った『吹雪』攻撃はほんの一部でしかない。

「ソフィア……あなたが愚図だから逃がしたじゃないの!」
「え……そんな事……」
「そんなポヨンポヨンとみっともない乳を揺らして……はしたないと思わないの……?」
「あうぅ……」

 ドダイトスを引き連れた緑の服の女性……ティラナは何かとソフィアに突っかかっていた。
 そういう彼女も、標的である2人を見失っていたので、人のことは言えないと思うのだが……

「ゴウカザル!『目覚める野性』!」
「この声はアンカラですよね……?」
「あっちの方ようね!」

 ソフィアとティラナが駆けつけると、激しいバトルが勃発していた。
 ゴウカザルの手から繰り出される小さな炎弾をマリルとミミロップに打ち込んでいた。
 最初のうちは2匹とも耐えていたが、耐え切れなくなってそのまま2匹はダウンした。

「負けないんだから!リンリン!」
「フワンテ~、お願い☆」

 アイのマルノームがシャドーボールを繰り出して、ゴウカザルの炎攻撃を防いでいく。
 その隙にフワンテがゴウカザルの背後を取りシャドーボールを打った。
 攻撃は避けられてしまったが。

「ゴウカザル、『ブラストバースト』!!」

 アンカラが指示を出すと両手の手首の甲を合わせて、後ろに回した。
 どうやら力を溜めているようだ。

「リンリン!『ダストシュート』!」
「オオタチ~『手助け』だよ☆」

 アイは危険だと察知して、最大の技で勝負に出る。
 ミナミもそのことを充分に察知して、機動力のあるフワンテから支援力のあるオオタチにチェンジした。
 黒い強力な毒攻撃がゴウカザルに向かって放たれた。

「いっけぇっ!!」

 ダストシュートがヒットするそのとき、ゴウカザルが両手を前へと出した。
 その手から出たのは、今までに溜めた炎のエネルギーだった。

「きゃあぁぁっ!!」
「いやぁぁぁん!!」

 圧倒的エネルギーを誇るその技は、ダストシュートを飲み込んでオオタチとマルノームを真っ黒焦げにした。
 更に技の勢いはとどまることを知らず、ミナミとアイをも吹っ飛ばした。

「あぁぁぁ……」
「……いてて……! ミナミおばちゃん!?」

 そして、打ち所が悪かったミナミは目を回して気絶してしまった。

「……そんな……」
「あとはキミ一人だぜ!」
「……っ!」

 アンカラとゴウカザルがアイにジリジリと近づいてくる。

「大人しく寝ていれば、苦しまずに済むよー?」
「……! 大人しく寝てるなんて出来るわけないでしょ!ナゾナゾ!マーマー!」

 アンカラに向かって、痺れ粉とシャドークローで仕掛けるナゾノクサとニャルマー。

「エンペルト」
「私を忘れないでよね」

 ピキーンッ!! ドゴォッ!!

「……あっ……」

 後ろから仕掛けられた攻撃に、同時に二匹は倒されてしまう。
 アイは後ろを見て恨めしそうに二人をにらみつける。

「どーするの?これでもまだ降参しないって言うの?」

 勝気な表情でアンカラはアイにを見下す。

「降参するというのなら、慈しみの歌を歌いますよ」

 柔和な物腰で伝えるソフィア。

「まだやるというのなら、悲しみの歌を届けるわよ」

 凍りつかせるような瞳で訴えかけるティラナ。

「…………」

 アイはその3人に包囲されてしまう。
 そして、彼女の出した結論は…………

「ニドニド……ブイブイ……」

 モンスターボールから2匹のポケモンを繰り出した。
 ニドリーナとリーフィアだ。

「そうくるのですね」
「それなら、容赦はしないよ!」
「鎮魂歌<レクイエム>で決まりですね」

 3人はそれぞれのポケモンに指示を与えると、エンペルト、ゴウカザル、ドダイトスはアイたちに襲い掛かった。

「アイは……アイは絶対に負けないんだからっ!!」

 この4分後……ポケモン総合研究所の上空へと強力なエネルギー波を放出した時、この場でのバトルは終わりを告げた。
 どちらが勝ったか、この結果はリクたちに伝わることがなく、しかし、ポケモン総合研究所には蒼い光の柱が不気味に立ち続ていたという…………



 71

「ううん……?」

 フェナスシティの病院。
 寝ぼけた目を擦りながら一人の少年が起き上がった。

「ふぁ?ここはいったいどこ……?僕は風霧のボスのバドリスって人に勝ってそれから……?」

 頭に触れてヘッドバンドがないことに気付き、周りを見てそれを探す。
 簡単に見つけることができ、すぐに頭に装着する。
 よく見ると、ヘッドバンドの他にもモンスターボールやスナッチマシンも外されてその机の上に置いてあった。

「僕以外には……だれもいない……誰かいたみたいだけど」

 両隣には2つのベッドが置かれていて、布団やシーツがくしゃくしゃになっているのを見て、誰かが寝ていたという推測をした。

「(ミナミさん辺りがここまで僕を運んでくれたのかな……?)」

 そんな思考をめぐらせてぼんやりしていると、誰かがこの部屋の戸をあけた。

「あ……おにいちゃん、だいじょうぶ?」
「…………」

 まだ6~7歳くらいの幼い女の子だった。
 その後ろにいるのは下手すると一回り違うのではないかと思う魅力的な女性の姿だった。

「あ……うん。大丈夫。僕の名前はケイ。……お嬢ちゃんは……?」

 ケイは少女の目線に立って優しく話しかける。
 いつも妹と話しかけるのよりも丁寧な口調だった。

「わたしはカズミ……。うしろのおねえちゃんはユウナっていうなまえなの」
「カズミちゃんとユウナさん……早速なんだけど……」

 ケイは目線を上に向けた。
 立っているユウナを見たのである。

「僕はどうしてここにいるの?ミナミさんはどこ……?」
「…………」

 ケイに問われて、ユウナは明らかに困惑の表情を浮かべる。
 そして、頭を下げた。

「ゴメンね……。思い出せないの。私がどんなことをしていたか、あなたがだれなのか……」
「ふぁ!?記憶喪失なの!?」

 カズミがユウナと部屋の外に出ていたのも、ユウナを医者に見せるためであった。
 実際のところ、ユウナの記憶は所々が欠けていた。
 特にユウナはオーレ地方に来るまでの記憶はまったくない。
 かつ、相手の名前と顔が一致しない人もいれば、まったく忘れてしまった人もいる。

「でも、ラグナおじさまのことはおぼえているんだよね?」
「……名前だけね。あと……ハルキ……オトハ……うっ……」
「ふぁ!?ユウナさん!?」

 頭を抱えて倒れこむユウナ。

「あまり無理して思い出そうとしたらダメなんじゃないの……!?」
「そ……そうね……」

 酷く疲れた顔をして、ユウナはベッドに腰をかけた。

「でも、私……大変なことをしたような感じがするのよ……きっと思い出さないといけないこと……だけど……」

 ユウナは胸元に両手にぎゅっと服を掴んで、震えていた。

「……思い出すのがとても怖い……」
「……それなら、無理に思い出さないほうがいいよ」

 不意にケイの方を見る。

「逃げることになるかもしれないけど、今はそれでいいと思うよ。覚悟が決まるそのときまで……ね」

 のんびりとした様子でケイは言ってのける。

「ありがとう……」

 その姿を見て安心したか、ふっと息をつくユウナ。
 カズミはその2人を見てにっこりと笑っていた。

 Prrrrr

 ちょうどそのときに誰かの着信音が病院で鳴り響く。
 ケイが近くのP☆DAを取るが、反応はない。

「私の……?……カ・レ・ン?」
「(え?カレンお姉ちゃんから?)」

 ポケギアを取ったユウナはディスプレイに書かれた名前を読み上げた。
 そして、7~8回コールされたところで、応答した。
 カレンからの電話と聞いて、ケイはユウナに注目する。

“ふふふ……ようやく出たわね!『ロケット団の娘:ユウナ』!”
「……カレン?」
“あら、あたしの声がカレンの声に聞こえるの?あんた、頭がおかしくなったんじゃない!?まー、“あんなこと”があった後じゃ、おかしくなるのも当然よね”
「……じゃ……誰なの……?」

 相手の名を聞くユウナ。

“改めて言うわ。あたしはベルよ。改めてあんたに言うわ。オーレコロシアムに来なさい!そこで決着をつけるわ!”
「……オーレコロシアム……」

 ユウナは返事をすることなくただ復唱する。

「(カレンお姉ちゃんじゃない……?それにオーレコロシアム……そこで一体……?)」

 ケイが考えをめぐらせていると、電話を受けたユウナの口から信じられない言葉が飛び出てきた。

「……ハルキが……死んだ……?」



 第三幕 The End of Light and Darkness
 コールドペンタゴン⑥ ―記憶と訃報― 終わり



 彼の光は曲がることなく、闇を突き刺す。


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Last-modified: 2015-10-04 (日) 17:06:06
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