遥か未来の話。
ポケモントレーナーはただポケモンを繰り出してバトルするだけではなくなった。
エデンという発明家がシンクロパスというアイテムを開発したことにより、ポケモンに乗り移る(シンクロする)ことによるバトルが可能になった。
シンクロを使うことにより、人間とポケモンの能力が掛け合わされて、爆発的な力を発揮するのである。
シンクロパスが開発された初期のこと。
マイデュ・コンセルデラルミーラという組織がポケモンを守るために人間を駆逐するという恐ろしい計画が遂行されていた。
実際、シンクロパスを開発したエデンは、マイコンの大幹部という立場に居たために、シンクロパスの所持者=マイコンという構図が成り立っていた。
シンクロパスを持たないトレーナーはまず、基礎的な能力において実力の差がついてしまう。
例えば、ポケモンを貰ったばかりの初心者トレーナーがシンクロパスを使用すると、ジムリーダークラスに匹敵してしまうほどだった。
マイコンのメンバーの襲撃により、世界は計算どおり破壊されていった。
地方は次々壊滅に陥り、人間の数も徐々に減っていった。
さらにマイコンの頂点<ボス>が覚醒し、世界の破滅の確定が決まったと思われた。
しかし、その頂点に立ち向かったのは、未来を諦めない二人の少女だった。
「…………」
やぶれたせかい……ではなく、ココロの家。
ヒロトはソファで横たわって眠っているラグナを眺めていた。
「どうされました?」
「……準備はいいのか?」
ドタバタと動いているココロを見ずに、ヒロトは質問する。
「もう少しお待ちください」
そういって、再び何かの準備を始める。
ヒロトとラグナが激突した後、3人はココロのポケモンのテレポートで家に戻ってきたのだ。
それから、ずっとラグナは眠ったままである。
「本当ならば……」
ヒロトが呟くのを見て、ココロは動きを止めた。
「ラグナをこの時間に残してやりたかった……。せっかく、こいつがあれほど言うまでの女に出会ったのに……」
自分がヒカリと結ばれなかったことと重ね合わせて思うと、ヒロトは辛かった。
「仕方がありません。ラグナ様は元の世界で成すべきことがあるのです。それに……」
少し黙った後、ココロは小さく呟く。
「ラグナ様は……わたくしの…………」
「…………」
その先の言葉を出さず、ココロは引き出しから何かを取り出した。
フラスコに入った緑色の液体のようだ。
「それは?」
「念のためです。ラグナ様にはこの記憶を消す薬を飲ませます」
「記憶を消すって……それは不味くないか?」
少々ヒロトは焦りながら、立ち上がる。
「大丈夫です。ラグナ様がこの時に来てからの記憶をさっぱり忘れるようにします。……おそらく」
「おそらくって……自信がないのか?」
「何せ、古いレシピを頼りに作った代物ですから。……ヒロト様も飲みますか?」
「…………。いいや、飲まない」
真面目にヒロトは答えた。
「この時間で経験したことを忘れたくないんだよ。この時間で2年間旅をしたことによって経験したことは俺にとって大きなプラスだった。それに……どうせ飲まなくても、過去を変えることはできないって君は言ってただろ?」
「そうですね」
そして、ココロはセレビィを繰り出した。
「始めるのか……?」
「ええ。始めます」
「ココロ……君は……」
「大丈夫。覚悟はできています」
ココロはヒロトを手で制した。
ヒロト、ラグナを順々に見て頷く。
「わたくしの最後の役目を果たします……!」
後は……任せました……ヒロト様……
―――やりのはしら
サニエルがやぶれたせかいへ飛び込み、ヒロト、ココロ、ラグナの3人がやりのはしらから去っていった。
残ったのは、ボロボロの白衣を着た柱にもたれている男……エデンだけだった。
懐から、板チョコレートを取り出し、パキッと強引に口で割り切った。
チョコの破片が飛び散るが、気にせずにエデンはチョコを頬張り続ける。
「(……せっかくここまで来たのに……俺の目的は果たせないのか……?)」
縦の長さが20センチ、横の長さが10センチほどの板チョコを一口かじると、空を見上げた。
やりのはしらの空は、まだバイオレットの奇妙な色に染まっている。
「(ジオンが負けるとは考えにくい……。でも、サニエルにオトノが居るからな……。1人だけなら何とかなっただろうけど……)」
両手を合わせて、その上に額を乗せる。
「(サニエルのことは本気で好きだった……。手に入れたかった……。……でも、母さんを酷い目に陥らせたあいつは許せなかった……。所詮、復讐と恋は一片に実らないということだったのか……?)」
おもむろに懐からひとつの指輪を取り出した。
それは小さく、女物の指輪のようだった。
内側には、“O. to E.”と掘られている。
「ジオンがやられたらどうしようか……。俺は復讐を諦めきれるのか……?」
ふっと小さく笑うエデン。
「諦めるしかないよな。悔いが残って自分では納得できないだろうけどな。無論……サニエルのことも……」
そういって、指輪をもう一度懐にしまい、眠りについたのだった。
―――やぶれたせかい
捻れた空間での超絶バトル。
サニーゴとジュカインが、ホウオウに向かって戦いを挑んでいる。
勝てば未来が約束され、負ければ未来は鎖される。
これが、世界の未来を懸けた戦いだった。
『『月舞踊:朔凪<さくなぎ>』!!』
『『パワーストーム』!!』
必中技の風の攻撃でホウオウを抑えて、サニーゴの一撃で叩きのめすという作戦だ。
しかし、朔凪にもびくともせず、ホウオウはサニーゴの攻撃圏をあっさりと抜けた。
『『セブンスフェザー』!!』
逆に7色の羽根を放って攻撃してくるホウオウ。
攻撃範囲は非常に広く、7つの属性を持つこの技を受けきることは容易ではない。
しかし、この攻撃を『月舞踊:桜舞<おうぶ>』と『あなをほる』でかわした。
『サニエル……時間をちょうだい!』
『わかった』
そして、ジュカインは息を軽く吸い込んで呼吸を整えてから踊りだす。
同時にサニエルはサニーゴからウソッキーにスイッチする。
『『岩石封じ』!!』
空間からどこからともなく現れる岩石が、ホウオウに四方八方へと襲い掛かる。
『それがどうした』
翼を広げると、岩石と同じだけの空気の刃が飛んで、岩を砕いていった。
『エアカッター』だ。
『まだよ……』
諦めず、岩石封じをもう一度放った。
『どこからだろうが、我にその攻撃は通用せん!』
エアカッターで攻撃を破壊すると、ウソッキーが次の攻撃を仕掛ける前に接近してきた。
『『セブンスフェザー』!!』
『『アースウェイブ』!!』
ウソッキーは地面を突くことにより、岩の波を発生させる。
すると、7色の羽根を防ぎきった。
『『メテオパンチ』!』
ガゴッ!!
『ぐふっ!?』
ホウオウの腹に一撃が入ってよろめく。
『(どういうことだ?あの女は見えないところから攻撃してきた……?)』
『私の空間を越えた攻撃はどう?』
『もう一撃っ!!』
『何度も当たるか!』
一旦間合いを取るために下がろうとする。
ドガッ!
『ノゥッ!!』
次は頭上からの一撃だった。
予想外の攻撃にホウオウは地面に落ちた。
『もう一度、『アースウェイブ』!!』
『当たるか』
翼を広げて、一気に飛び上がり、攻撃範囲から逃れた。
『そういえば、月島の末裔は先ほどから何をやっている?』
ジュカインを見ると、まだ踊っていた。
そして、不意に2人の目があった。
『よし……決まったわ。『月舞踊:星奪<せいだつ>』!』
『何?まさか……その技は……!』
『これから、あんたの体力はどんどん減っていくわ!倒れるのは時間の問題よ!』
『ふっ……何を。倒れる前に貴様らを倒せばいいだけの話っ!!』
そして、ホウオウが猛攻に出る。
虹色の羽根を牽制してくると、同時に大文字を放ってきた。
羽根に対抗するため、ジュカインが前へ出て全力の『リーフストーム』を放つ。
押されつつあるが、攻撃を少なからずとも防いでいた。
その間に大文字が襲い掛かるが、サニエルがサニーゴに再びスイッチをし、『ミラーコート』で跳ね返そうとする。
サニエルのどの空間からでも技を出せる特殊能力で、ジュカインの目の前にミラーコートを張って、攻撃を弾き返した。
『ぐっ!!』
自らの強力な一撃を受けて怯むホウオウ。
『『月舞踊:朔凪<さくなぎ>』!!』
さらに、どの場所からでも繰り出すことができるジュカインの一撃で地道にダメージを与えていく。
『効かんっ!!』
大文字を放ちつつ、ブレイブバードで突進してきた。
オトノを窮地に追い込んだ『フレイムバード』だ。
『突っ込んでくれるなら、これでどう?『ステルスロック』!』
空間に岩の障害物を発生させる。
向かってくるホウオウにぶつけてダメージを与える作戦のようだ。
『その程度の攻撃……!!』
バキッ!! バキッ!! バキッ!!
発生させたステルスロックを砕きつつ、ジュカインに襲い掛かる。
『オトノに攻撃はさせないわ』
すると、サニエルがホウオウの前に出た。
『『ロックニードル』!!』
背中の硬い触角を針のように伸ばす技だ。
『っ!!』
バキッ!! ドガッ!! ドガッ!!
『きゃっ!』 『あぅっ!』
技の勢いはホウオウの方が上だった。
ロックニードルは入っていたが、ホウオウのパワーの前に折られてしまった。
Uターンをして、定位置に戻ってから、再び『大文字』をジュカインに向かって繰り出してきた。
『はぁはぁ……まだよ……』
大文字をかき消すことに成功した。
サニーゴの迎撃は多少なりとも、ホウオウの攻撃の威力を削いでいた。
そのおかげで、『月舞踊:受風』でダメージを最小限に抑えることができ、整った体制のまま『月舞踊:無姫』で迎え撃つことができた。
『『トゲキャノン』!!』
『……くっ……』
サニーゴの角の再生は早い。
すぐに新しい角からトゲを連射して、ホウオウにぶつける。
ジュカインに気をとられていたために、攻撃をまともに受けた。
『はぁはぁ……『セブンスフェザー』!!』
『『リーフストーム』!!』
2つの攻撃がぶつかった。
そして、結果は相殺に終わった。
どちらも体力が低下しているために、技の威力が落ちているようだ。
『『ステルスロック』!!』
先ほどのホウオウが向かってきた際に繰り出した技をもう一度空間に放った。
そこで、一旦膠着状態になる。
『はぁはぁ……貴様ら……やってくれるな……』
『『星奪』の効果は充分現れているようね。サニエル……もう少しだよ……っぅ……』
『ええ』
サニーゴは頷いた。
『無駄だ。貴様らでは我に勝てん』
『そう?』
『私たちは、次の攻撃で決めようと思っているけど』
ジュカインはリーフブレードの構えをし、サニーゴは笑っていた。
とは言うものの、オトノもサニエルももう残されている体力は僅かしかない。
『我にはこの技があるのだよ』
そして、少しずつホウオウはサニエルとジュカインから後退していった。
『『じこさいせい』』
体を輝かせて、少しずつ傷を癒していく。
『どうだ……これで貴様らの負けは決定的だろ?』
『ジオン……忘れているわよね?私の能力を』
『何……?』
ドバンッ!!
『づぅっ!?』
後方から当てられたのは、『水の波動』だ。
それを見て、後ろを振り向いた。
『サニエルの空間殺法か!?』
そして、再び正面を向いたとき、ジュカインとサニーゴはそこには居なかった。
『どこへ行った!?』
『こっち』
ホウオウが左側を見ると、壁に張り付いたようにサニーゴがいた。
『『パワーストーム』!!』
『せ、『セブンスフェザー』!!』
動揺したホウオウは当てずっぽうに攻撃を放つ。
しかも、サニーゴのパワーストームは岩系最強の技。
動揺した相手を押し切るのは、そう難しいことではなかった。
『ぐぉっ!!』
運動会の大玉転がしに出てくるほどの大きな岩が、幾つもホウオウにぶつかっていく。
『はぁはぁ……まだだ……もう一回『じこさいせい』を……』
『オトノ……後は任せたわよ』
『あ゛……?』
意識を朦朧とさせた、ホウオウが見えたのは、ステルスロックを辿って接近してくるジュカインの姿だった。
『この一撃を未来の為に……』
電気を纏ったリーフブレードを集中させながら、後方のステルスロックにエナジーボールを放った。
『『ストライク・サンダーブレード』!!』
ステルスロックの爆発の勢いに乗って、一気に加速した。
ホウオウへと向かっていく。
『……オトノ……月島の踊り子……貴様……貴様だけはっ!!』
ホウオウは大きく息を吸い込んで、反撃に出る。
月島の踊り子に対する怨念と執念が、強大な光の存在を呼び覚ましたようだ。
『まさか……まだ技が打てるの!?オトノっ!!』
『っ!!』
オトノは聖なる炎に飲み込まれた。
……熱い……意識が失いそう……
ここで負けるの……?
ううん。負けられないよ……
ラグナが……ラグナがあたしを待ってるもの……
ラグナだけじゃない。
シノブもレイタもサニエルも……旅で出会ってきた人があたしを待っているもの……
あたしは……負けない……
この一撃は……未来を切り開く一撃なのっ!!
そして、オトノの意識は途絶えた。
―――「あれ?あたし、どうしたんだろう……?」―――
目を開けて、起き上がるオトノ。
頭を抑えて、思い出そうとする。
―――「確か……あたし……ホウオウに最後の一撃を与えたところだったのに……」―――
しかし、今の自分はポケモンを持っていない。
もう一つ不自然なことを思うなら、この空間が白くて何もないということ。
現実にはありえない世界だった。
―――「夢……かな?」―――
―――「オトノ」―――
ふと、一人の男の声がオトノの耳に届いた。
その声とは、今やオトノの心の半分以上を占める人の声だった。
―――「ラグナ!!」―――
遠くから見えるラグナに触れたくて、急いで走って駆け寄った。
そして、辿り着くと共に、オトノはラグナの胸の中に飛び込んだ。
―――「ラグナ……一体どうなったの?」―――
―――「終わったんだ」―――
―――「終わった?じゃあ、世界は……未来は救われたのね!」―――
喜びの声をあげるオトノ。
しかし、ラグナの声は沈んでいた。
―――「どうしたの?ラグナは嬉しくないの?」―――
―――「オトノ……すまねぇ。お別れの時間みてぇだ」―――
―――「え……?」―――
突然の言葉に耳を疑うオトノ。
―――「お別れ……どうして?」―――
―――「本当にわりぃ……。あれだけ俺はお前の傍に立っていてやるといいながら、この場にいることはできねぇらしい……」―――
―――「そんな……嫌だよ……ラグナ……」―――
ギュッと思い切り抱きしめるオトノ。
その倍の力でオトノは抱きしめられた。
―――「俺はオトノの傍に立っていられることはできねぇ……だから……」―――
ふっと唇と唇が触れ合う。
そして、ラグナは正面きって言った。
―――「心はお前の中に置いて行くから……」―――
少しずつラグナの体が消えかかっていく。
―――「ラ……グ……ナ……」―――
グスッと鼻水と涙混じりに彼の名前を呼ぶ。
―――「ラグナ……好きだよ……」―――
―――「俺もだ……オトノ」―――
そして、ふっと、ラグナは消滅した。
消滅すると共に、ひとつのシンクロパスが地面に落ちて壊れた。
―――「ラグナ……ラグナぁー!!」―――
「オ……の……ト……ど……」
「(……?誰?)」
自分の体が揺らされて、徐々に意識が覚醒へと向かう。
「オトノ殿……オトノ殿……!!」
今度ははっきりと耳に届いた。
ゆっくりと目を開けてみると、銀色のポニーテールの少女が覗き込んでいるのがわかった。
「……シ……ノブ……?」
「オトノ殿!!よかった……ご無事で……ご無事でよかったぁ―――!!」
シノブが顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら、叫んだ。
「シノブ……そんなに泣かないで……」
「ひっぐ……ううん。あたい……このままオトノ殿が目を覚まさなかったら、自害をしようと思っていたんじゃ」
「そ、そこまでしなくても……」
いまだシノブは泣き続けて、オトノはオロオロするばかり。
くるりとあたりを見回すと、どうやら病室のようだった。
「とりあえず、よかった」
「あ……」
シノブに気をとられていて気付かなかったようだが、隣にはサニエルの姿もあった。
「サニエル……あたしたちどうなったの……?」
「周りを見てわからない?」
「それじゃ……」
オトノはぱあっと明るい表情をした。
サニエルも笑顔で頷き返す。
「しかし……オトノ殿が目を覚ましたというのに、ラグナはどこへ行ったんじゃ?」
「ラグナ……いないの?」
オトノは表情を曇らせてサニエルを見る。
「やりのはしらに戻ったときは、居なかった」
サニエルは首を振る。
それを見て、オトノは俯いた。
「(あの夢は……やっぱり事実なのかな……?だとしたら……)」
「ふっ……現実的にラグナは姿を消したようだね」
ガチャっと魔法帽子を被った男が入ってきた。
「レイタ……?」
「オトノ……どうやらラグナは君のことを現実的になんとも思っていなかったようだね。まったく、君は哀れだな。あんな男を好きになってしまったが為に、深く傷つくのだから」
「…………」
シノブがオトノに励ましの言葉を言おうとしたが、何て声をかけていいかわからず、口をつぐむ。
「それは違うよ」
反論したのはオトノだった。
「あたしもラグナのことが好きだった。ラグナもあたしのことが好きだった。けどね、あたしは全然傷ついていないよ」
「傷ついていない?そんな事現実的に…………」
「オトノ、強がってない?」
サニエルも心配するように聞き返す。
「大丈夫。ラグナは……あたしに心を置いていってくれたから……」
そういって、オトノは手を胸に当てて曇りのない笑顔を見せた。
それを見てシノブとサニエルも釣られて笑う。
「…………。現実的にありえないな。心なんてものはまやかしだ」
酷く面白くなさそうに、レイタは部屋を出て行った。
すると、レイタの文句を言う声がオトノの部屋から聞こえてくるが、後に楽しい雑談へと変わっていく。
その様子を聞き入れてから、レイタは歩きだす。
「(まぁいいさ……。ラグナ、オトノ……君たちがマイコンを倒してくれたおかげで、俺の世界撲滅作戦が敢行できるよ。それまでそうやって仮初の平和の中で笑っているがいい……)」
ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべていると、一人の女性と交錯した。
「(……あの女は……)」
気付いて振り返ると、その女性はスーツを着た20代くらいに見える若々しい人だった。
その女性は、オトノの部屋へと入っていった。
「…………。まあいいか」
そして、レイタはこの町から姿を消した。
オトノの部屋から聞こえてくる、嬉しさにあまりに泣き出す彼女の声を聞かず…………
未来の時計の針は再び動き始めたのだ。
たった一つの行路 №211
第三幕 The End of Light and Darkness
未来の運命の戦い⑩ ―エピローグ~残った心~― 終わり
そして、舞台はアジェンリミト次元のアワ界、ピース20年のオーレ地方へ戻る……!!