☆ここまでのあらすじ(ここまでのラグナの行動)
SHOP-GEARの三強の一人とまで言われる『一閃の野獣』ことラグナは、温泉街のキャメットで“エビルバッド”のボスであるバリーからカズミを助け出した。
その後、ユウナの依頼でオーレ地方のCLAW<クラウ>のアジトへと単独で潜入した。
しかし、CLAWの4人の幹部の前にラグナはボロボロにされて、傷を負った体で用水路へ身を投げた。
泳げない上に血だらけだったラグナは、そのまま意識を喪失した。
次にラグナが気がついたのは、50年も未来のヒワダタウンで、『月の踊り子の末裔』と呼ばれているオトノが居た。
彼女の力になろうと思ったラグナは、未来の世界でシノブ、レイタを仲間に加えて次々とマイデュ・コンセルデラルミーラの幹部の甘い光<スウィートライト>を撃破していく。
カンナギタウンで運命の時を待っていた未来の鍵を握る魔女、ココロからほぼ全てのことを知らされたラグナとオトノはあまりにも大きなことに困惑する。
そして、ラグナやオトノたちの未来の命運の鍵を握る最終決戦が幕をあけようとしていた…………
ズドンッ!!
大きな衝撃を受けて、船が大きく揺らぐ。
“せ、船長ー!!”
“も、もう俺はダメです……”
“ウィッチャークック号が……このままじゃ……沈みます……!!”
カントー地方とジョウト地方の境い目を走っていたウィッチャークック号。
だが、その場所で襲撃者が船を襲っていた。
船上は炎で燃え盛り、あちこちで爆発を起こしていた。
『ちっ!この船を……よくもっ!!』
先ほどからラグラージとシンクロして相手と対抗しているのは、この船の船長であるカナタ。
だが、相手の力の前に劣勢に立たされていた。
『ギャハハッ!1対1の真っ向勝負なら、お前にも勝利の目があるだろうけどよぉー、俺の目的は船もお前らもみんな壊すことだからよぉー!』
燃えている炎の中から姿を現したのは、ヘルガーだ。
もちろん、ただのヘルガーではなく誰かがシンクロしている。
『この船を守ろうとするお前と、全てを壊そうとするこの俺……どっちが有利かわかるよな?ギャハハッ!!』
『ちっ……下種がっ!!』
ラグラージが水の波動を飛ばす。
速いスピードの攻撃だったが、ヘルガーは攻撃を余裕で回避した。
『ギャハハッ!壊れちまいなっ!!』
ヘルガーの口から放たれるのは、緑色のエネルギー弾だ。
ソーラービームより威力が低いが、威力はそこそこある『ソーラーショット』だ。
『ぐぉっ!!』
攻撃を受けて、膝をつく。
草系の攻撃にめっぽう弱いラグラージ。
流石にもう一度攻撃を受けたらアウトだ。
それは相手もわかっているようで、連続でソーラーショットを放ってきた。
「お前の思い通りにさせるかよっ!!」
カナタはラグラージとシンクロを解くと、ニョロボンを繰り出した。
『ギャハッ!?』
予想外の展開と、ニョロボンのスピードに慌てたヘルガー。
攻撃をかわすことはできそうにない。
「ニョロボン、『爆水拳』!!」
バシャンッ!!!!
水が破裂する音を立てて、ヘルガーに一撃をお見舞いする。
ヘルガーは吹っ飛ばされて、炎の中に飛ばされていった。
「……ちっ……相性抜群かつ威力の高い技でも壁にぶつけるほど吹っ飛ばすことができねえか……」
相手はシンクロをしている。
そのせいで、防御力も格段に上がっているのである。
今の攻撃を例えるなら、レベル40のニョロボンが、レベル100のヘルガーにアクアジェットを当てた威力と考えていいだろう。
「出て来い!まだやられるタマじゃないんだろ!?」
『ギャハハッ!!当たり前だろ!』
炎から飛び出し、力を溜めていた。
「……!! こいつはっ不味いッ!!」
シンクロして強大な力を溜めているドンカラスを見て、顔をしかめた。
『この一撃で船は終わりだっ!!ギャハッ!『ガドリングスマッシュ』!!』
ドンカラスの目が赤く光ると、強力な破壊光線を繰り出してきた。
しかも、一つだけではなく、6つ同時にだ。
「……くっ!! シンクロ……」
カナタは対抗しようと、新たなポケモンとシンクロをしようとする。
だが……
ズドーンッ!! ズドーンッ!! ズドーンッ!! ズドーンッ!! ズドーンッ!! ズドーンッ!!
全ての破壊光線がウィッチャークック号に命中した。
6つの穴を空いて、船は爆発と共に徐々に沈んでいった。
『ギャハハハッ!ギャハッ!ギャハハハハハハッ!!これで終わり終わり終わりっ!ウィッチャークック号破壊完了だぁー!ギャーハッハッ!この甘い光<スウィートライト>のカラメルの力を見たかー!!』
下品な高笑いがトージョーの海の上空で響き渡ったのだった……
「カミヤが負けたぁ?」
「ええ。連絡がないから、周辺の下っ端たちを向かわせて行ったら、カミヤは捕らえられていたんですって」
「…………」
マイコンの作戦会議場。
といっても、この場にいるのは、大幹部のアソウとエデン、そして甘い光<スウィートライト>のチョコことサニエルだった。
「ハクタイシティのジムリーダーのタネギは、町を守りながら復興させる気でいるみたいね」
「てゆーか、一体誰がカミヤを負かせたんだ?それほどの奴がオトノたちの他に居るのか?」
エデンは危惧しているというよりも、ただ単に疑問に思っているだけのように言い放った。
「それはわからないけど……オトノ、シノブ、レイタ……そしてラグナの他にも敵が居るということを覚えておいた方が良さそうね」
アソウはメガネを外して、立ち上がった。
「大丈夫だって、アソウの婆さん。俺とサニエルが居る限り、敵が何人来ようと問題はないよ。なっ、サニエル?」
エデンはサニエルの肩をグイッと引き寄せようとする。
しかし……
ビシッ!!
エデンは頬に衝撃を受けた。
「気安く触るな!人でなし!」
酷く嫌悪を示す赤渕メガネをかけた少女サニエル。
しかし、それでもエデンはサニエルの肩に手をぽんと置いた。
「まぁ、今は別にいいよ。でも……」
ギラッとエデンは睨みつける。
「……っ!」
「命令にはしっかりと従えよ?さもないと……」
「……っ! わ、わかって……いる……」
「わかればいいんだ」
不敵な笑みを浮かべてエデンはその場から去っていった。
「…………。サニエル、ごめんなさい。こんなことに巻き込んでしまって」
「…………」
アソウの言葉に返事もせず、サニエルはスタスタと歩いていってしまった。
「……もう少し……。もう少しね……。あと少しでこの“アワ界”は浄化されるの……。ジオン……早く覚醒しなさい」
モンスターボールとシンクロパスを持って、アソウはその場所から去ろうとする。
そして、最後に呟いた。
「私は……私を許さない……。この罪……“アワ界”を壊してなかったことにしてみせる……。誰が来ようと邪魔はさせない……そう……」
外に出てみると、吹雪が吹いていた。
空を見上げると厚い雲が太陽の光を鎖している。
「ラグナ……あなたが立ち塞がろうとね……」
アジトで待ち構えるマイデュ・コンセルデラルミーラの幹部たち。
マイコンの下っ端たちには日常どおり人間を殲滅させることを目標とさせた。
ジョウト地方のヒワダシティやシンオウ地方のキッサキシティ、ついにはカントー地方の中枢都市であるヤマブキシティまで侵攻に出た。
町の警察やマイコンのレジスタント集団が必死に抵抗しているが、数十人いるシンクロパスを所持したトレーナー達に並のトレーナーが束になっても時間稼ぎくらいしかならないだろう。
全てはマイコンの大幹部や頂点<ボス>を倒さなくては、この戦いに終わりは来ない。
そのマイコンのアジトがあると言われるテンガン山に、3人のトレーナーが辿り着いた。
「それにしても……なんかあったのか?」
「何がだ?」
「だって、なんか君たち、よそよそしくないか?」
尖がった形の魔法帽を被ったレイタが言う君たちとは、当然一緒にマイコンのアジトを目指しているラグナとオトノのことである。
「別に……。普通だろ?」
「その割りに、オトノが君をチラチラ見ている様な気がするけど?」
「……ん。ああ。だから、それがどうした?」
ラグナはクールに返す。
「…………。まぁ、別にいいけどね。俺は君たちがどんな状態だろうと幹部や大幹部を蹴散らしてくれればいいんだ」
そして、レイタはふと足を止める。
「さぁ、見えてきたよ。奴らのアジトがあると言われているテンガン山」
テンガン山はシンオウ地方を二つに分ける大きな山脈だ。
この山脈があるために、影響があるものがある。
例えば……
「……!!」
オトノが気配に気付いてモンスターボールを取るが、出てきたのはカラナクシだった。
「青い色のカラナクシね。初めて見たわ」
「カラナクシを見るのは初めてか?」
「うん」
オトノはラグナに素直に頷く。
カラナクシやトリトドンは、東と西で色が違う。
西側のカラナクシたちはピンク色をしているが、東側のカラナクシたちは青い色をしている。
「ガキのころから気になっていたけど、なんで色が違うんだろうな」
「なんだ、この地方の出身のクセに、君は知らないのか?」
「知らねぇもんは知らねぇよ」
ラグナは眉間にしわを寄せて、レイタにムスッと文句を言った。
「東と西では性質が違うらしい。だいぶ古い文献ものだけど、色違いのことが載っていてそれを読んだことがある。著者はトミタ博士といったか……?まぁ、だいぶ昔に読んだものだから忘れたけどね」
「(トミタ博士……ノースト地方のマングウタウン研究所の博士か)」
元の時で、ラグナは何度かトミタ博士に会ったことがあった。
当時の印象を思い浮かべると、頼りのないちょっと若いおじさんという印象だった。
「(あの時の依頼が、『逃げ出した初心者用のポケモンを捕まえてきてくれ』だったからな。覚えてねぇ筈がねぇ(汗))」
基本的にラグナは手配書の討伐依頼しかこなさない。
しかし、このときはラグナ以外は忙しくて誰も引き受けることはできなかった。
なのでラグナは渋々受け入れたのである。
「(あの依頼はどう考えても、一番の適任は元ポケモンレンジャーログだったじゃねぇか。なんであの時に限って休暇なんて出しやがったんだよ)」
とりあえず、そんなトミタ博士のことを思い出しながら、オトノがカラナクシに手を振っている姿を見ていた。
逃がしているようだった。
「ラグナ、レイタ、行こう!どんな戦いが待っているかわからないけど、あたしたちは負けるわけには行かないもんね!」
「ああ」
「当然だね」
気を引き締めて、再び3人は歩き始める。
そして、いよいよテンガン山の入り口の洞窟が見えてきた。
「ここだね」
レイタが洞窟に足を踏み入れようとしたそのときだった。
「……っ!! レイタ、危ないっ!!」
圧縮されたボールのような物がレイタに向かって飛んできて、オトノが叫ぶ。
レイタは慌ててその場から飛び退くが、その球体は地面と当たると共に大きく弾けた。
「なっ!!」
上手く着地できず、地面を転げるレイタ。
「……この技って、まさか……」
何かに気付いたオトノを筆頭に攻撃の方向を見た。
そこには、白の半袖のTシャツに水色のカーディガンを羽織った黒いスパッツ姿の女性とネイティオの姿があった。
「仕留め損なったわね」
彼女はネイティオに捕まって、3人の近くに舞い降りた。
「……知ってんのか?」
「こいつは、リニアで会った甘い光<スウィートライト>のミントよ!」
「オトノとシノブで倒した奴か!」
オトノとラグナはモンスターボールを持って、ミントと対峙する。
「リニアの時はお世話になったわね」
「あんた……リニアから吹っ飛ばされて、てっきり死んじゃったもんだと思っていたわ」
「死んでなくて残念ね。リニアから投げ出された時に、このネイティオのテレポートで地面にぶつかる前に脱出したのよね。そうしたら、渦巻き列島に飛ばされちゃって大変だったよね。位置を決めずに全力でテレポートしたから仕方がなかったけど」
そうして、シンクロパスを取り出し、ネイティオと一体になった。
『あのときの御礼をしてあげるね。それに……全ての悲しみを終わらせるために……あなたたちは邪魔なのよね!』
ネイティオのエアカッターだ。
鋭い風の刃がラグナとオトノに襲い掛かる。
『『月舞踊:無姫』!!』
オトノがシンクロして、攻撃を防ぐ。
さらにその後ろから、ラグナ=ダーテングが風の斬撃を放った。
しかし……
『こっちよ』
『なっ!?』 『えっ!?』
ネイティオは確かにダーテングの攻撃が当たったように見えた。
だが、次の瞬間、二人は後ろを取られていた。
『『燕返し』ね!』
『ちっ、『リーフスラッシュ』!!』
2人の技が激突するが、攻撃の速度では明らかにネイティオの方が出だしが早かった。
手の葉っぱに風を付加させる前に、攻撃が決まって弾き飛ばされる。
『ラグナっ!!』
ズバッ!
そして、よそ見した瞬間にヤドキングも燕返しを受けて吹っ飛ばされた。
二人は仲良く並んで地面に転がった。
『二人がかりでこの程度なのね?底が知れているわね。まだ、その男よりも女侍のほうが強かったわね。そういえば、シノブはどこにいるの?』
2人の真上に跳んで、超能力の球体のエネルギーを集めながら、質問をする。
『(ちっ、燕返しが鋭ぇ……。あのポケモンに対抗するには……)』
ラグナは立ち上がって、シンクロを解く。
すると、ヤドキングが前に出た。
『ラグナ、レイタ……ここはあたしにやらせて」
「てめぇ、何を言ってんだ!奴は……」
『わかっている……。でも、ラグナ……あんたはエデンを倒さないといけないのよ。ここで消耗させるわけには行かないの』
「……だがよ……」
オトノはシンクロを解いた。
「大丈夫……。ラグナが信じてくれれば、あたしは絶対に負けない。だから、あたしを信じて」
「……オトノ……」
オトノの真剣なまなざしを見て、ラグナは頷いた。
「……わかった。オトノ……絶対死ぬなよ」
「うん。すぐ追いつくわ」
「よし、レイタ、オトノに任せて先に進むぞ!……ん?」
しかし、レイタの返事は無かった。
『もう一人のお仲間なら、最初の攻撃の後とっとと洞窟に入って行ったのよね』
「あのヤロー……」
ラグナは非常に怒りながら、レイタの後を追っていった。
『それで、別れを済ませて、あなたが私と戦うのね?『月島の末裔:オトノ』』
「月島の末裔……ね。その呼ばれ方、最初、何のことだかわからなかったわ。ママやお婆ちゃんからは何も聞いていなかったから……」
オトノは新たなモンスターボールとシンクロパスを持つ。
「でも、ココロさんから話を聞いて理解したわ。あたしもラグナと同じように、200年も昔に決まっていた“究極の光と闇の存在”を消すための子孫だってことだということにね!」
持っていたポケモンとシンクロをする。
その出で立ちは、薄い羽を持ち、両手に槍を持った蜂の姿をしたポケモンだ。
『スピアーね。でも、わざわざ弱点だらけのポケモンで来るなんて、命を捨てたの?』
確かにミントの言うとおり、飛行とエスパータイプのネイティオと毒と虫タイプのスピアーは非常に相性が悪い。
『いいえ。あたしはあんたの油断を突く!』
そういいながら、先制攻撃としてミサイル針を繰り出す。
『ふうん。やれるものならやってみてね』
ネイティオは攻撃を鋼の翼で弾き落としていく。
『『ダブルニードル』!!』
月舞踊の桜舞で接近し、後ろからの攻撃が決まろうとしている。
『かかったわね』
『っ!!』
力を溜めていた『サイコボール』を空中にストックさせていたネイティオ。
その攻撃が彗星のように空から落ちてくる。
攻撃の主であるネイティオは、テレポートでその場所からワープして、自分は巻き沿いにならない場所に移動していた。
『(『月舞踊:受風』!!)』
間一髪でサイコボールの直撃を受けながらも、ダメージを軽減させるスピアー。
だが、もともと効果が抜群の技であるがゆえに、ダメージは大きかった。
『くっ……』
『私のネイティオは、サイコボールを空中にストックさせておくことができるの。念のために今のうちに、2つくらいストックしておくね。そして、3回以内の攻撃で止めを刺してあげる』
次々とサイコボールの力を溜め始めるネイティオ。
しかし、スピアー=オトノが黙っているはずが無い。
接近して、針の一撃を与えようとする。
だが、テレポートで攻撃はかわされてしまう。
『それなら……『月舞踊:朔凪』!!』
ズバズバズバッ!!
『うっ!!』
敵のその場に風を巻き起こす不可避の技。
ネイティオは風に刻まれて、ダメージを負う。
『……前受けたよりも……強烈ね……』
『当然よ。この技は、飛行系のポケモンに効果は抜群なんだから!『ダブルニードル』!!』
ズドッ!ズドッ!
2連続攻撃をネイティオに与えて、落とした。
『……つぅ……相当の攻撃力ね……。それなら、機動力で勝負したら拉致があかなそうね』
すぐにミントはネイティオからブーピッグにスイッチする。
『(あのポケモンは確か『リフレクトガード』が厄介なポケモンだったわね……)』
『ふふっ、シノブが居ない今、あなたはどう攻略するのかしらね?』
戦いが激化しようとしたそのときだった。
「あたいなら、ここに居る!」
『え?』 『!!』
声の方を見ると、そこには銀髪のポニーテールの女性がいた。
『シノブ!無事だったのね!?』
「もちろんじゃ。オトノ殿を残して死ぬことなど、まだ出来ぬのじゃ!」
そして、スピアーの隣に立つシノブ。
それと同時にスピアーとのシンクロを解くオトノ。
「ラグナとレイタが先に行ったの」
「あの二人も一緒なのか?」
「うん。一刻も早く合流するために、ミントを一緒に倒そう!?」
そういって、オトノはジュカインのモンスターボールを手に取った。
「…………。オトノ殿。お主はラグナのことが好きか?」
「えっ?」
ちょっと、驚いたが、オトノはあまり慌てはしなかった。
「いいから答えておくれ。ラグナのことは好きか?」
そう言われて、オトノは頬を染めて、頷いた。
「うん。あたし、ラグナのことが好きだよ。ずっと一緒にいたいと……思っているよ……」
「…………」
シノブは頷いた。
「オトノ殿……貴女は先に行くんじゃ」
「え?」
「貴女の隣にいるのは、あたいではない。あのラグナじゃろ?」
「でも、オトノを一人にしていけないよ」
「あたいのことは心配せずともよい。それよりも……早く行くんじゃ!」
「……シノブ……」
そう言われて、オトノはシノブに抱きつく。
「……ありがとう……」
そして、オトノはテンガン山に入っていった。
『まさか、あなたが現れて、しかも一人で戦うとはね。……って?』
ミントが、シノブの異変に気付いた。
何故か、ボーっとしているのである。
「(オトノ殿に抱きしめられた……あぁ……もう、あたい……死んでも悔いは無い……)」
なんか……感傷に浸っているシノブ。
『『サイコボール』』
「……え?」
ズドーンッ!!
無抵抗のシノブにサイコボールが直撃したのだった…………
たった一つの行路 №201
第三幕 The End of Light and Darkness
未来の運命の戦い① ―執念のミント― 終わり
守るべきモノの為に、彼女は戦わなければならなかった。