☆前回のあらすじ
ポケモン総合研究所の近くの林で、リクはバギマによって追い詰められていた。
しかし、ケイとミナミが助けに現れて、何とかリクはピンチを脱出したのだった。
「どこまで行くんだ……?」
ジュンキとアイは相変わらず、謎のタキシード男を追っていた。
オオスバメに乗った男はラルガタワーへ行き、フェナスシティへ行き、そして今、パイラタウンにいた。
「……別に何をするわけでもないみたいだね」
アイの言うとおり、男はただ町を回って、ポケモンセンターやフレンドリーショップへ行って、人と話をしたり、買物をしているだけだった。
やっていることは、街の人と変わりはなく、怪しい行動はしていない。
ただ、この砂漠地方のオーレで黒いタキシードを着こなしているために、人の目は自然と男に集まっていた。
「(街を回っているのには何か理由があるはず……。それさえわかれば……。しかし……)」
ジュンキはふと首を傾げる。
「(リクからの連絡が来ない。一体何があったんだ?)」
「ジュンキお兄ちゃん、行くよ!」
「あ。ああ」
そして、再び男はオオスバメに乗って飛び立って行った。
アイとジュンキが男を追い回して、半日は経とうとしていた……
たった一つの行路 №170
「……ムニャムニャ……」
こっくり、こっくりと、ケイはポケモン総合研究所のテントにある木の椅子に座って眠っていた。
その姿はまだまだ幼い男の子そのものだった。
「にぃ~☆」
その様子を微笑ましい表情で眺めているのはミナミである。
きっと、可愛いな~と思っているのだろう。
「ぐむぅ……」
そして、風霧新人のバギマは、ロープでグルグル巻きにされて捕えられていた。
戦いが終わった後、ノックアウトさせたバギマをすぐに拘束した。
その後で、ミナミがリクのケガの手当てをした。
ケガは大事には至らなかったが、戦いの傷跡としてリクの右腕や頭に包帯が巻かれていた。
「風霧の目的はいったいなんなんですか?」
そんなリクは、バギマの前に立って尋問を始める。
「風霧の目的……それをオラが教えると思うか?」
「そう簡単に教えてもらえると思っていませんよ」
ため息をついてミナミを見た。
「リクちゃん。大丈夫だよ~☆ 私に任せて~☆」
「……ぐむ?な、何をする気だぁ!?」
ミナミがいかがわしい手つきでバギマに迫る。
彼女はにっこりと笑みを浮かべながら、バギマに攻撃を加えていった。
「や、やめろー!!」
コショコショコショコショ……
「ギャーッ!!」
コショコショコショコショ……
「やめれー!!」
ミナミのくすぐる攻撃だった。
まったく動けないバギマは抵抗する術がない。
「はぁ…はぁ…………やめろぉ―――!!」
「や め な い よ ☆」
「…………」
その姿を見て、リクはミナミに恐怖を覚えたという。
―――15分後。
「ふぁぁ……。よく寝た……」
目を擦りながら、ケイは辺りを見回した。
「何をしているんですか?」
「見てのとおりですよ」
後頭部に汗を浮かべながら、リクが呟く。
現在、ミナミはくすぐる攻撃をやめて休憩していた。
「わ、わかった……。教えるって!」
「じゃあ、教えてちょうだい☆」
バギマは息を整えて、ゆっくりと話し始めた。
「風霧は鳥ポケモン好きのトレーナーが集まった組織だということは知っているな?」
「ふぁ?そうなの?」
「えー?知らなかったー☆」
「ケイさんはともかく、ミナミさんはちゃんと知ってくださいよ」
呆れた顔をして、リクはため息をつく。
「風霧は鳥ポケモンの最強集団を作ろうとしているんだ」
「鳥ポケモンの最強集団ですか?」
「ぐむ、そうだ」
バギマが頷く。
「鳥ポケモンの最強集団ということは、みんな鳥ポケモンを使うんだね☆」
「……最強と言うことは、伝説のポケモンとかも含むのかな……?」
ミナミとケイが言うのを聞いて、リクは低く唸った。
「(鳥ポケモン……。じゃあ、前にマボロシ山でレックウザを狙ったのは、単に捕獲するためだけ……?)」
「中でもボスのバドリスは、最強の鳥ポケモントレーナーになるために、伝説の鳥ポケモンを集め始めた。……これがオラの知る風霧の全てだ」
「…………」
「じゃあ、風霧ってそんなに悪い組織じゃなかったんだね☆」
ケイは黙り込み、ミナミは能天気にそう言った。
「それなら……伝説の鳥ポケモンが狙いなら、何故、アゲトビレッジの祠を壊したのですか!?それに何故、カレンさんの時の笛を奪う必要があったのですか?」
「ぐむ?」
「時の笛で出てくるのはセレビィ。飛ぶことはできるけれども、鳥ポケモンではないはず。それに、ここのリライブホールもなんで壊したのですか!?」
立ち上がって、バギマに問い詰めるリク。
「オラは新入りで、幹部じゃないから、風霧以外のことは知らない」
「風霧“以外”のこと……?」
「知りたいなら、直接ボスのバドリスに聞くんだな」
「ボスは今どこにいるのですか!?」
バギマは少し考えた素振りを見せた。
「7年前……シャドーのボス、ワルダックが捕まった場所だ」
「……えーと、ラルガタワーかな?」
ケイが、う~ん、と唸りながら言った。
「何故そんな場所に……?」
「バドリスは、自分の最強の鳥ポケモンのパーティを結集させるためになら、手段は選ばない。祠を壊したのは、あるポケモンを怒らせるためだ」
「あるポケモン……?」
「そのポケモンてなーに?」
「そんなの自分で考えるんだなぁ」
バギマがツーンと言い放つと、ミナミは頬をプクーッと膨らませて、再びくすぐる攻撃を開始させたのだった。
ギャーッとバギマは泣き叫ぶ。
「とりあえず、ラルガタワーに風霧のボス、バドリスがいることがわかりましたね」
「あーそっか☆」
ミナミはバギマから離れてケイの手を取った。
「リクちゃん!じゃあ、私たちが行って、バドリスを倒してくるねー☆」
「ふぁ?僕も行くの?」
ミナミは決めると行動が早かった。
「え?ちょっと、待ってください!!」
止めるや否や、ミナミとケイはスクーターに乗って行ってしまったのだった。
「(とりあえず、ポケギアでユウナさんやバンさんたちに情報を送らないと……)」
そうして、懐からポケギアを取り出すリク。
その様子をバギマは、不敵な笑みで見ていた。
「(バハハ……たった2人でラルガタワーへ行っても何もできやしない!)」
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―――アゲトビレッジ。
「……また通信……?」
ピッとボタンを押して、小さな受話器に耳を押し付ける。
“ユウナさん!僕です”
「リクね。どうしたの?」
キーボードを操りながら、ユウナはリクの話に耳を傾ける。
ユウナが居るのは、ローガンの家の隣にある一軒家。
事件が解決するまでと部屋を貸してもらっているのである。
“実は、ポケモン総合研究所で―――”
リクはユウナに事の顛末を詳しく話した。
パソコンが壊されてしまったこと。
バギマという風霧の賞金首がSHOP-GEARを狙ってきたこと。
ミナミがケイを連れて戻ってきたこと。
そして、ミナミとケイが風霧のボスへ会いに行くためにラルガタワーに行ってしまったこと……を伝えた。
“どうしましょう……?”
リクは明らかに困った声をしていたが、何の迷いもせずにユウナは言った。
「大丈夫よ」
“本当ですか……?”
なおもリクは不安な声を隠せない。
「ミナミにはそのケイって子がついているのでしょ?シャドーを倒したオーレ地方の英雄の一人……。その子が一緒なんだから」
“うん……”
「それよりも、ジュンキの方が心配よ」
“え?ジュンキさん、何かあったのですか?”
「ええ。あ、そうか。リクはパソコンが壊れちゃったから、メールが受信できないのね。ジュンキ、怪しい男の根城とする場所に辿り着いたみたいなのよ」
“それってどこなんですか!?”
「2年前にダークポケモンを生産していた場所よ」
“……つまり、シャドーの秘密工場!?”
「今ではただの廃れた工場だけどね」
“そこへジュンキさんが……?”
「ええ。だから、私とログはジュンキと合流するつもりよ」
“そうですか……。わかりました!くれぐれも気をつけてくださいね!”
「ええ。何かあったら連絡するわ」
そして、ユウナは受話器の電源を切った。
「行くかい?」
口元を紫のスカーフで隠したログが壁に寄りかかっていた。
ユウナはサイドバッグを腰に装備して、外へと出た。
「ええ、行くわよ!」
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「入って行っちゃったね」
「(ここで間違いないはずだ……)」
少し前にユウナに連絡を入れたジュンキは、アイと共に隠れて、男が工場の中へ入っていく姿を確認した。
「(……ここに何らかの秘密が隠されているはずだ……)」
「さぁ、行こ!」
「待った!」
飛び出そうとするアイの手をジュンキはガシッと握った。
「なあに?」
「大事な話がある」
「告白なんていうのは駄目よ?アイにはお兄ちゃんが……」
「そうじゃない。ここから先は俺ひとりで行く。アイは家に帰ってろ」
「えー?」
「えーじゃない。この先はとっても危険なんだ!」
グニュッ!
「……っ!?」
思いっきりアイがジュンキの脚を踏ん付けたのだ。
「アイより弱いくせに……アイのケライのくせに……生意気言わないでよ!」
「……いい加減にしろ!!」
ジュンキが猛る。
その勢いにアイは気圧される。
「俺の相手はいつも凶悪な組織だったり、強い賞金首だったり……。こんな危ない仕事に子供のお前をこれ以上連れまわすわけには行かないんだ!!」
「何を言っているの?お兄ちゃんが連れまわしているんじゃなくて、アイが連れまわしているの!勘違いしないでよね!!」
「だから、そういう屁理屈を言うのをやめろ!本当にこれ以上は……」
バキッ!!
「……!?」
アイはグーでジュンキを殴っていた。
あまりにも突然のことで、目をパチクリしてアイを見ていた。
「もう……知らない!!お兄ちゃんなんて、アイのケライから外す!アイ、一人であそこに行くんだから!」
「なっ!!待て!!」
ジュンキがアイの腕を掴もうとするも、一歩届かず、空を掴むだけだった。
勢い余って、ジュンキはこける。
「くっ!!待てよ!!」
バタバタと、ジュンキはアイの後を追って工場へと潜入した。
「……あれ?」
そして、ジュンキは立ち止まる。
「(人の気配はない?……どういうことだ?)」
ジュンキは息を呑んで周りの気配を探る。
「(……少なくともさっきのタキシード男は居るはずなのに……)」
とりあえず、工場の中を歩いていく。
ダークポケモンを作っていた設備は2年前とまったく変わっていなかった。
稼動させた気配はなく、機械には埃が被っていた。
「(ここでグライオンみたいなおかしなポケモンを作っているわけではないのか……?)」
結局、上へ上へと歩いて行っても誰もいなかった。
外へ出た先にある大きなモニターがある部屋ももぬけの殻になっていた。
「(ここじゃないのか……?いったい、アイもあの男もどこへ消えた……?まさか……)」
壁や床を調べ始めるジュンキ。
「(もしかしたら……隠し扉とか隠れた通路があるのかもしれない……!!)」
「……う~ん……。イタタタ……」
お尻を擦りながら、白いワンピースの女の子、アイは辺りを見渡した。
「ここは……どこ?さっきまで工場の設備があったのに」
アイの目に映ったのは殺伐とした通路だった。
しかし、おかしな雰囲気を彼女は感じていた。
「(この前、ここへお兄ちゃんと遊びに行った時はこんな場所なかったけど……?)」
壁はしっかりとコンクリートで固められていて、地面はその場で足踏みするとカンッカンッと音がした。
「もしかして、ここがさっきの怪しい男の秘密のアジトなのかも……?」
「ねえ、シャトレ、知っている?」
「……!」
女の人の声がしたのを聞いて、アイは近くにあったドアを開いた。
そのまま、フロアに入って、ドアの前を通ろうとしている女達の話を聞いた。
「ベルさんが首につけている鈴って、昔、恋人から貰った物なんですって!」
「え?そうなの?」
「そーなのよ!ある筋の情報から聞いた話なんだけど、ベルさんはその男の人にベタ惚れして、何でも言うことを聞いたんだって」
「それ本当?あの人の性格からして全然信じられないんですけど……」
アイは全然関係ない話だと思うと、ドアをゆっくりと閉めた。
そして、ドアに耳をつけて、2人の女が通り過ぎるのを確認していた。
「(かくれんぼは得意なんだからー♪)」
余裕で微笑み、ドアを開いて、移動をしようと試みた。
ガチャガチャ……
「……え?」
ドアには鍵が掛かっていて、開けることはできなかった。
「何で……? ……っ!!」
ふと、アイは気配に気付いて後ろを振り向いた。
そこには、4つのモンスターボールがあった。
そして、同時に4つのモンスターボールが開くと、一斉にアイに襲い掛かった。
「きゃあっ!!」
サイケ光線、オーロラビーム、ハイパーボイス、エナジーボール。
全て違う属性の攻撃を何とかアイはギリギリのところでかわす。
「……ナゾナゾ!」
アイは相手を確認せずに雑草ポケモンのナゾノクサの葉っぱカッターで牽制する。
しかし、ポケモンたちはその攻撃をまともに受けながらも、平気で接近してきた。
一匹はデリバードである。
ナゾノクサに向かって冷凍パンチを放ってきた。
「マーマー!尻尾で払う!」
しかし、サポートに入ったマーマーという名前のニャルマーが飛んでいるデリバードを金属の床にたたきつける。
だが、相手のポケモンたちも馬鹿ではなかった。
しっかりとマーマーの攻撃の隙を狙って、ハイパーボイスを放ち、マーマーをコンクリートの壁にぶつけてやった。
ドゴームのハイパーボイスである。
そして、さらに別のポケモンのシグナルビームがアイに襲い掛かる。
「ルリルリ!水鉄砲!!」
攻撃を抑える形で、コンパンのシグナルビームを防ぐ。
しかし、まだドゴームが自由に動ける。
ルリルリというニックネームのマリルを狙って破壊光線を撃ってきた。
「『溶解液』!!」
フリーだったナゾノクサが、ドゴームの目に攻撃をヒットさせて目晦ましに成功した。
目を晦まされたドゴームは破壊光線の攻撃を別の方向に撃った。
その先にはデリバードがいて、そのまま当たってノビてしまった。
「ルリルリ、攻撃を止めて『転がる』!」
コンパンのシグナルビームを水鉄砲で抑えていたが、タイミングを見計らって、右にかわし、音を立ててコンパンにぶつかった。
「連続攻撃!!」
ズド! ズドッ!! ズドンッ!!!
攻撃は隙なくコンパンに命中する。
そして、ナゾノクサとドゴームの方も決着を迎えようとしていた。
視力を失ったドゴームは騒ぐことしかできなかった。
眠り粉は効果がないことをナゾノクサは承知していて、痺れ粉を振りかけてドゴームの動きを鈍らせた。
最後に花びらの舞でドゴームを壁へと吹き飛ばしてノックアウトさせた。
ドゴオンッ!!!!
もう一方で、マリルの最後の一撃がコンパンに命中した。
天井、床、壁……とピンボールのようにぶつかったコンパンは、そのままダウンしたのだった。
「後一匹……。 ……っ!!」
残りの一匹を忘れていたわけではなかった。
だが、他の3匹との戦いで放った最後の技は、明らかに隙になっていた。
ズドォ――――ンッ!!!
たった一撃だった。
それだけで、ルリルリ、マーマー、ナゾナゾの3匹は立てないほど体力を減らされた。
相性の悪かったルリルリは完全にダウンしているが。
「戻って……! 行って!リンリン!」
急いで満身創痍の3匹を戻す。
強力なソーラービームに対して、アイが繰り出したのは紫色のボディに大きな口を持ったマルノームだ。
牽制でヘドロ爆弾を放つが、相手……ロズレイドは巧みに動いてかわす。
「あのポケモン、変な感じがする……。一体なんだろう?あの、グライオンみたいなおかしな感じ……」
ふと、ロズレイドが手の花を前に出した。
すると、花がやや大きくなってエネルギーがそこに集束していく。
「(さっきと同じ……?) リンリン、気をつけて!」
ヘドロ爆弾やシャドーボールで攻撃を指示することもできた。
でも、アイは防御する道を選んでいた。
そして、集束されたソーラービームがリンリンに命中した。
……だが、
「……うん。そのまま行くよ!」
ソーラービームはリンリンの口の中に吸い込まれていったのである。
そして……
「吐き出す攻撃!!」
そっくりそのままソーラービームをロズレイドにお返ししたのだ。
フルパワーのソーラービームを返されたロズレイドはなすすべもなくノックアウトした。
「ありがとう」
リンリンを労って、ボールに戻すとガチャっと扉の開く音がした。
「え?開いたの?」
ゆっくりとドアを引いてみると、鍵は外れていた。
「(今の罠だったのかな……?)」
とりあえず、扉を開いて通路へと出たアイ。
その扉にはBと言う文字が刻まれていることに、アイは気付かない。
「これからどうしよう……」
アイの戦えるポケモンは残り3匹。
進むには厳しい状況である。
「でも……あの男の正体を突き止めるまでは帰らないもん!ジュンキお兄ちゃんにギャフンと言わせるんだから!」
拳をギュッと握り締めて、そう宣言したのは良かったのだが……
「侵入者みたいですよ、ラフィ」
「子供の侵入者?でも、捕まえなくちゃいけないわね!」
先ほどの噂話をしていた2人の女がやってきたのだ。
「(わっ!逃げよう!!)」
先ほどの部屋は行き止まりで先に進む道はなかったし、謎の男も居なかった。
それなら、別の部屋だと思い、アイは女たちから逃げ出した。
「待ちなさーい!!」
アイは全力で走って女から逃げていた。
しかし……
「ここまでですね!」
「あ!?」
前からもう一人の女性が立ち往生していたのだ。
「このフロアは通路が円のように繋がっているのよ。だから、1人が逆の方向を回れば、もう1人と必ずぶつかることになっているのよ」
「(あ)」
「大人しくしなさい!!」
ガチャッ
アイは近くにあったドアを開いた。
「大人しく捕まるくらいなら、逃げるもん!!」
そして、バタンっとアイはドアを閉めた。
「あらら……そのフロアに入っちゃいましたねー」
「シャトレ、そのフロアって何フロアだっけ?」
「えーと……ドアにはCって書いてありますね。ここは一階だから……つまり……うふふ……」
「あー……。あの子、後悔するわね。私たちに捕まっていた方が幸せだったって……」
シャトレという女は黒く微笑み、ラフィという女は哀れみの表情をしていたのだった。
「イッターい!!何でいきなり床が抜けるのー!?」
アイが入った部屋は、簡単に言えば、落とし穴の部屋だった。
「……うぅ……ここは……?」
辺りを見回すと倉庫のような場所だった。
しかし、檻とか手錠とか、そんなものがたくさんあって、アイはゾクリと嫌な気持ちになった。
「(……なんか嫌な感じ……。ここから出たい……)」
「お前は何者DA?」
そして、奥から男の声がする。
「……!(タキシードの男!?)」
アイは慌ててモンスターボールを手に取った。
「……よくわからないが、侵入者のようだNA。“CLAW<クラウ>”のために捕まえないといけないNE!」
第三幕 The End of Light and Darkness
「や め な い よ ☆」 終わり