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「『火の粉の舞』」
「ペルシアン!!」
無数の火の粉がペルシアンを燃やし尽くす。
回避トップクラスのペルシアンでさえ攻撃をまったくかわすことができずに体力を奪われて、ダウンしてしまった。
「ウフフ……確かあんたよね?カネコウジが言っていた月舞踊のオトハって」
「ええ。私がオトハです」
「そう……。カネコウジに聞いたところ、只者じゃないって話だったわ」
「そうですか?私はどこにでもいるただの女の子ですよぅ」
「……キュウコン」
破壊光線のような弾道を持つ、破壊的な炎がオトハの頬を掠めた。
攻撃に触れてはいないが、オトハは頬にひりひりと熱気を感じていた。
「アタシはあんたみたいなぶりっ子が大嫌いなの。人をおちょくったようなその態度が気に食わない。……燃やし尽くしてあげるわ」
「えぇ!?ちょっと待ってくださいよぉ」
しかし、ヒロコは容赦しない。
先ほどの破壊的炎をまた繰り出した。
でも、オトハも黙っていなかった。
やられたペルシアンを回収し、変わりに青いベトベトンを繰り出して攻撃を押しとどめた。
「ベトベトンがハイドロポンプを?」
「私のベトベトンはちょっと特殊なのです」
「水系の技が使えようが関係ないわ」
あっという間にハイドロポンプを押し返して、強力な炎をベトベトンに打ち込んだ。
「ベトベトン!?」
まさかの一撃ダウン。
オトハは慌ててベトベトンを戻す。
「弱いわね。どうやら、カネコウジの目は節穴に変わってしまったわね」
「チャーレム!」
「無駄って言っているじゃない!!」
先ほどの強力な炎攻撃を再び繰り出す。
チャーレムも避けられず、直撃した。
「あんた程度の敵なら、いくらでも戦ったことがあるわ。その程度じゃ、ここの誰にも敵いっこないわ。それに一番弱いアタシに勝てないようじゃね」
「……―――つ―――う」
そのときオトハは何かを小さく呟いていた。
「もう終わりよ。次でトレーナーのあんたを……え!?」
キュウコンに攻撃をやめさせた時だった。
あることに気付く。
そして、チャーレムは踊り始めた。
「(何で、あのチャーレムはダメージを受けてないの!?それに何を踊っているの?人をおちょくっているわけ?)」
「チャーレム、『とび膝蹴り』です」
踊り終えたと思うと、今度は強行に出る。
「そんなの、コレでどうよ!」
ディフェンダーのカードを使って、チャーレムの攻撃を防いだ。
弾き飛ばされるように、チャーレムは後退した。
「今度こそ終わりよ!『フレイムレイ』!!」
破壊光線のような炎を繰り出してきた。今度こそ決める気のようだ。
「チャーレム……『月舞踊:無姫<なきひめ>』」
精神を統一して、チャーレムは攻撃を受け止めた。
そして、あっけなく攻撃をかき消していく。
「また!?何なのよ、あの技!?……でもいいわ!そのまま全力で燃やしてあげなさい!!」
そして、一分くらいそのままの状況は続いた。
だが、ついに倒れた。
「っ!?」
信じられないようにヒロコは消えていくキュウコンを見た。
「一体何をしたって言うのよ!?攻撃をしていたキュウコンが倒れるなんて!!」
「それより、ジョカちゃんとナミネちゃんの居場所を教えてください。教えてくれたら教えますけど……」
「愚問ね」
そして、ヒロコは次にブースターを召還した。
「特殊攻撃が効かないのなら、打撃攻撃でどう!?ブースター!!『バーストドライブ』」
極大な炎をまとってチャーレムに体当たりを仕掛ける。
見た感じフレアドライブに見えないこともない。
「強力な打撃攻撃ですね?チャーレム」
相手の攻撃にあわせて両手をぐるりとゆっくり回しながら構える。
向かって来るブースターの動きに合わせて、オトハは指示を出す。
「『月舞踊:流漂<りゅうひょう>』」
流れるように動き、突進してきたブースターをいとも簡単にいなした。
そして、勢いを増したブースターを押し出すように壁へと突き飛ばす。
ズドーンッ!!という大きな炸裂音とともに分厚い壁が崩壊した。
チャーレムは手をブンブンと振っている。どうやら、先ほどブースターを突き飛ばした時に炎で少しダメージを負ったようだ。
「そのまま、『サイコキネシス』です!」
追撃がブースターに命中する。
しかし、まだブースターは倒れない。
「頭に来たわ!!コレでどうよ!!」
「(パワーが増しています……?)」
ヒロコがカードの中から一枚取り出すと、ブースターの炎が増していくのにオトハは気がついた。
カードには『プラスパワー』と書かれている。
「これであんた達を終わりにしてあげるわ!!『バーストドライブ』!!」
決死の一撃。
先ほどと同じ攻撃とは思えない威力と迫力だ。
「チャーレム!『月舞踊:受風<じゅふう>』です!!」
チャーレムに当たって強大な爆発が起きた。
「終わったわね。あんた達……」
爆発の規模、飛んできた地面のコンクリートの破片、立ち上がる煙でヒロコは確信する。
「まだ終わっていませんよ」
「!!」
煙の中からチャーレムが飛び出した。
油断していたヒロコは何もできず、チャーレムの跳び膝蹴りがブースターにクリーンヒットをするのを見るだけだった。
宙を舞って地面にドサリと落下するとキュウコンと同様にヒロコの一枚のカードとともに消滅した。
「どうして!?攻撃は確かにチャーレムに当たったはず……プラスパワーと合わせたバーストドライブを受けて立っていた奴なんて今までいないのよ!?」
確かに、ブースターのこの攻撃の破壊力はライトのバシャーモの『オーバードライブ』やミナノのブースターの『ブラスト』級……いや、それ以上だったかもしれない。
だが、現にチャーレムはダメージを負ってはいるものの、まだまだ余裕があるようだ。
「そんなこといわれても困ります。攻撃を受けて立っていたのですから」
少し困ったように言いながら、最終的にはニコリと笑顔で言うオトハ。
その様子にヒロコの堪忍袋の尾が切れた。
ブチッ……と。
「もういいわ……あんたなんて骨も残してやらない……アタシを本気にさせたんだからね!!」
二枚のカードを取り出して、2匹のポケモンを一気に召還した。
「このポケモンは!?」
「炎鳥と鳳凰……ファイヤー&ホウオウ!!この二匹を見て今まで生きていた奴はいないわ!!『聖なる炎』!『ゴッドバード』!」
「っ!!『受風<じゅふう>』です!」
ホウオウの神秘に輝く炎とファイヤーの強襲が同時にチャーレムを襲う。
ほぼ同時に2つの技がチャーレムを捉えて吹っ飛ばした。
ズザザッと勢いよく吹っ飛ばされるもののオトハの手前で押し留まった。
「(いけませんね……『受風』でもダメージを軽減し切れません……このままでは負けてしまいます……)」
2匹の伝説のポケモンを目の前に、オトハは少々焦る。
「アタシの全力の攻撃を見せてあげる。ファイヤー!『炎をもたらす』!」
ヒロコのファイヤーの炎の力がドンドン強くなっていく。
そして、その炎はホウオウへと譲渡して行った。
「(この2匹が要のようですね……それなら……)『月舞踊:星奪<せいだつ>』です!!」
「何を踊っているのかは知らないけど、消えて無くなりなさい!最大パワーの『聖なる炎』よ!!」
ホウオウはしっかりと踊っているチャーレムを見て、攻撃を放った。
オトハは悟った。温度、炎の密度、大きさ……全ての点でこの攻撃が今まで見たことのない力だということを。
「間に合ってください!!」
炎がぶつかる瞬間までチャーレムは踊り続けた。
そして、踊り終えた瞬間にオトハは指示を出す。
「チャーレム!『無姫』……」
しかし、時はすでに遅し……攻撃がチャーレムに当たり、その炎の熱がオトハにも襲い掛かった。
燃え盛る炎……。
そして、辺りを灰にしていった……
「今度の今度こそ終わったはず……」
とは言うものの今度はオトハのいる場所から目を離さなかった。
相手の不思議な技を考えると、そうせずにはいられなかった。
そう、それは未知なる物を恐れる不安からだった。
そして、その不安は的中する。
「……!!」
自身最強の攻撃と言っただけあって、チャーレムをしっかりと倒した。
しかし、オトハはほぼ無傷だった。
オトハの隣にいるポケモンの存在が彼女を守ったようだ。
「スイクン……自分で出て私を守ってくれたのですか……?」
スイクンはオトハの顔をふと舐める。
「くすぐったいですよぅ」
オトハはむじゃきに微笑む。
しかし、闘志を剥き出しにしているヒロコを見てしっかりと気を引き締めなおす。
「ヒロコさんは強いです。でも……私、負けるわけには行きません。ジョカちゃんやナミネちゃんを助けるために……私、負けません」
「ウフフ……口だけならなんとでも言えるわよ」
「全力で行きます」
オトハはスイクンを戻して代わりに別のポケモンを繰り出した。
そして、ヒロコはそのポケモンを見て呆然とした。
「あんた……そのポケモンで戦うと言うの?」
「はい。もちろんです」
「……バカにするのも大概にしなさい!」
ヒロコが怒るのも無理はなかった。
オトハの繰り出したポケモンは炎タイプに圧倒的分の悪いワタッコだったのだから。
「一発で仕留めて上げるわよ!!『聖なる炎』!!」
先ほどの極大かつ高密度の炎がワタッコに放たれる。
避けられるわけがない……ヒロコはそう思った。
「ワタッコ、『ソーラービーム』です」
あろうことか、避ける指示さえも出さず攻撃の準備を始めた。
オトハはその攻撃が巻き込まれないところまでトコトコと移動した。
「(一体何を考えてるの!?)」
攻撃はワタッコを飲み込もうとした。
だが……
「え!?」
当たらない。
かわす動作なんてしていないのに、攻撃が当たらなかった。
まるでそれが自然のようにワタッコはのんびりとし、ソーラービームを発射し、ファイヤーに命中させた。
「くっ、もう一度よ!!」
「ワタッコ!今度はファイヤーに『宿木の種』です!!」
もう一度、ヒロコのホウオウの最強の攻撃を繰り出す。
だが、結果は同じだった。
ワタッコは攻撃をスルーして、宿木の種をファイヤーに植え付けて、体力を吸っていった。
「これならどうよ!!ホウオウ!『虹色の翼』」
7色の翼をはためかせて、ワタッコへと襲い掛かる。
「『影分身』です」
何匹にも分かれて、ワタッコはホウオウの攻撃を完璧にかわしていった。
「ファイヤーも『ゴッドバード』で打ち落としなさい!」
宿木の種を植え付けられながらも、果敢にファイヤーは攻撃を繰り出す。
しかし、ホウオウ、ファイヤーの2匹同時攻撃でもワタッコにまったく当たらなかった。
「ワタッコ!最大チャージです!」
そして、その間にも宿木の種でみるみるうちにファイヤーの体力は減っていった。
「何で当たらないの!?当たればワタッコなんて一発で倒せるのに!!」
丁度そのときだった。
「ホウオウ!?」
ホウオウが地面に不時着するように落下し、そのまま消滅してしまった。
「何で!?ホウオウは一度も攻撃なんて受けてないはずなのに!?一体何を…………まさか」
ヒロコはこれがキュウコンがやられたときと同じだということを思い出した。
そして、その共通点はチャーレムの謎の踊りを見たことによるものだったことに気付く。
しかし、その思考の時間がヒロコの隙となった。
「そこです!!」
ワタッコがファイヤーの顔に引っ付き、零距離で最大パワーのソーラービームを放った。
攻撃を受けたファイヤーは撃墜。ヒロコのカードとともに消滅した。
「炎ポケモンがダメならこれでどうよ!!」
繰り出されるはケンタロス。
「『全力突進』!!」
強靭な脚と巨体を持つケンタロスがふわふわとしたワタッコに突っ込んでいく。
しかし、ふわりとケンタロスの全力の攻撃をいとも簡単にかわし、後ろを取った。
「行きますよ!!『壱の舞』!『弐の舞』!」
そして、目に見えぬ綿胞子と種マシンガンの攻撃であっという間にケンタロスを倒してしまった。
「まだやりますか?」
ヒロコはたった一匹のワタッコにこれだけ押されていることが信じられなかった。
だけど、冷静になってヒロコは笑った。
「ウフフ……まだやるかですって?当たり前じゃないの。こっちはアタシたちにはやらなくちゃならないことがあるのだから!」
「それって神を殺すことですか?」
「あら……知っていたのね。ウフフ……そうよ。そのために、あんたたちが助けようとしているジョカとナミネを渡すわけにはいけないの」
「あの二人が神とどういう関係を持つのです!?」
「あんたは知らなくていいことよ。これで最後よ!」
「!!」
最後にヒロコが繰り出すのは、やはり炎ポケモン。
伝説のポケモンのエンテイだ。
「『炎の渦』!!」
「回避して『種マシンガン』です!」
オトハは初めて回避の指示を出した。
ワタッコは期待に応えて攻撃を回避して見せたが、種マシンガンはエンテイにまったく効いていなかった。
「あんたにいいこと教えてあげる。最強の攻撃を出すことができるのはホウオウだけどね、強さのバランスで言ったらこのエンテイの方が上なのよ!」
「…………」
「あんたのワタッコの攻撃は効かないわ!」
オトハはふとワタッコを戻した。
「それなら、この子で勝負です!!」
先ほどオトハを炎から守ってくれたポケモン……スイクンだ。
「相性で勝てると思うほど甘くは無いわよ!!『炎の渦』!!」
「スイクン!『水の波動』です!!」
二つの相反する攻撃が激突する。
両者、伝説のポケモンと言われている辺り、基本的な攻撃でも凄まじい威力を発揮している。
だが、この激突は片方が押し切った。
「あっ!!スイクン!!」
水の波動があっけなく蒸発して、攻撃が命中する。
その怯んだ隙を狙ってエンテイは接近を仕掛けた。
「吹っ飛びなさい。『グレンライジング』!!」
「スイクン!『ハイドロポンプ』です!!」
しかし、炎を纏ったエンテイにハイドロポンプはまったく効果は無く、そのままスイクンは打っ飛ばされた。
「いつもより、水タイプの威力が弱い気がします……」
「あら、よく気がついたわね」
ヒロコはそういうと、一つのカードをオトハに見せびらかした。
「『グレンジム』。水タイプの攻撃を弱める効果があるのよ。これでアタシのエンテイの弱点は無いに等しいのよ!!」
「(やはり。一筋縄ではいきませんね……!!)」
スイクンは戦えるものの深手を負い、かなり苦しそうだった。
ヒロコのエンテイはまだ戦える。
「『炎の渦』」
エンテイの怒涛の攻撃にオトハは何とかかわして隙をうかがっていた。
しかし、連続で繰り出されるその攻撃はまったくオトハとスイクンにその隙を与えてくれなかった。
いつエンテイの一撃がスイクンに入ってもおかしく無かった。
「(こうなったら賭けです……)スイクン!『影分身』です!!」
オトハの指示にコクリと頷いて、何匹にもスイクンは分身する。
「ウフフ……その程度の分身で何になるって言うの?」
炎の渦が少しずつ、少しずつ、スイクンの分身を消し去っていく。
「スイクン、『月舞踊:時月<じげつ>』です!!」
本体同様、影分身たちも一様に舞いを披露する。
「また踊りね……そんなの発動する前に潰せばいいだけよ!」
そして、ついに影分身は消え去って、残りは本体だけになってしまった。
「チェックメイトよ」
炎の渦がスイクンへと襲い掛かる。
「いえ、成功です。スイクン、『聖なる衣』です!!」
スイクンに指示をする直前、スイクンは淡い光を放つ。
すると、エンテイから受けた傷が完全に回復したのである。
そして、今度は煌く美しい衣を纏って、エンテイの炎の渦を弾き返した。
「やってくれるじゃない……!!」
「決めます……『月舞踊:朔凪<さくなぎ>』!!」
エンテイが自らの炎で苦しんでいる間に、スイクンは精神統一をした。
そして、次の瞬間、カッ!と動いた。
それだけのことだった。
ズバッシュッ!!
「えっ!?」
見えない何かが、エンテイに一撃を与えた。
それがヒロコには何なのか、まったくわからなかった。
「エンテイの攻撃を弾き返し、見えない攻撃を繰り出し……どうやら見誤っていたのはアタシの方だったようね」
「……!!(まだ戦えるのですか!?)」
あれだけの攻撃を受けながらも、まだエンテイは消えずにそこに存在した。
「さすがにさっきのカウンターと攻撃を連続で受けていたら、危なかったわよ。“これ”が間に合ったわね」
ヒロコの左手には、『いいきずぐすり』と書かれたカードがあったが、それはすぐに消滅した。
「攻撃を跳ね返し、見えない強力な攻撃を繰り出すのなら、残る攻撃はこれしかないわね」
エンテイは紅蓮の炎を身に纏う。
「『グレンライジング』!!行きなさい!!」
「スイクン!戻って!!」
オトハは真剣な表情をして、再度ワタッコを繰り出した。
「今度こそ燃やし尽くしてあげるわ!!」
エンテイがワタッコにぶつかろうとする。
当たっていれば一撃でダウンすることだろう。
そう、当たっていればの話……
「ワタッコ!『終の舞』です」
攻撃は自然と離れるようにふんわりとワタッコは上空へ浮かんでかわす。
その間にも、ワタッコは念力、自然の力で全ての風の力を自分自身に纏った。
そして、その風の力を手の綿に乗せて解き放った。
「なっ!!」
紅蓮の炎をも切り裂き、エンテイに最大の一撃を叩き込んだ。
そして、ついにエンテイも姿を消した。
「……まさか……アタシが負けるなんて……くっ!!」
すると、ヒロコの持っていたカードの束が燃え出して、全てのカードが消滅した。
「ワタッコ、ご苦労様です」
労いの言葉をかけて、すっかり脱力しているワタッコを戻す。
そして、オトハはヒロコを見る。
「教えてください……。どうして、ジョカちゃんとナミネちゃんを攫ったのです?」
「……仕方がないわね。少しだけ教えてあげるわ。それはね、遥か昔、神が封印したある天敵を復活させるためよ」
「神が封印した……天敵?」
「そのためには特別な生贄が必要なの」
「生贄なんて……そんなの良くありません!!やめてください!!」
「……そう。それじゃ、あんたはアタシたちが神によって永遠の苦しみを味わされてもいいって言うのね」
「……!! ……わ、私……そういうつもりで言ったわけじゃ……」
「いいえ、あんたの言っていることはそういっているのと同じよ。神に対抗できるのは“それ”を復活させる他に方法は無い。つまり、アタシたちが自由を手に入れるにはそれしか方法が無かったのよ」
「…………」
「ウフフ……あんたはどうするのかしら?アタシたちを放っといてその二人を助けるのかしら?それとも、アタシたちを見殺しにするのかしら?」
「……わ、私は……」
オトハはそれ以上言葉が続かなかった。
第二幕 Dimensions Over Chaos
ラハブの新境地② ―――VSヒロコ――― 終わり